【福島原発事故でも稼げる電力会社の,優雅な,国策的保護の経営体制】

 ①「東電料金,全国最高に 6月,原発ない沖縄電超す 事故後の値上げ響く」
    
(『朝日新聞』2014年5月11日朝刊)

 東京電力の家庭向け電気料金が6月,沖縄電力を抜いて全国でもっとも高くなる。離島の沖縄は発電や送電の費用がかさみ,原発もないことから,これまで本土より1~2割高かった。しかし,福島第1原発事故後の値上げで差が縮まった。業界関係者は「本土と沖縄の料金が逆転するのは,聞いたことがない」と驚く。

 電力10社が公表するモデル家庭の1カ月の料金を,朝日新聞が集計した。東電の6月分は,前月より26円高い8567円。9円下がった沖縄電力の8558円を上回った。原発事故前の2011年1月をみると,発電の98%を火力で賄う沖縄が7270円と全国で最高だった。一方で,原発の比率が約3割だった東電は,沖縄より14%安い6257円。10社の中で3番目に安かった。
『朝日新聞』2014年11日朝刊
 1千円余りの差が縮まるきっかけになったのは,2011年3月の原発事故。相次ぐ原発停止を受け,東電は2012年9月から家庭向け料金を平均8.46%値上げした。原発の代わりに火力発電が増え,燃料費の変動を反映させる「燃料費調整制度」も料金の上昇につながった。

 沖縄は価格が安定する石炭を多く使う一方で,東電は価格が急騰した液化天然ガス(LNG)の比率が高い。このため,料金差縮小に拍車がかかった。2011年1月から3年半の上昇率は,東電が全国最大の37%に対し,沖縄は18%にとどまる。

 同じ構図はほかの電力会社にもあてはまる。中部,関西,九州なども家庭向け料金を約4~10%値上げした。3年半の上昇率は関電28%,中部27%,東北26%,九州22%に達する。

 電力業界は「電力を安定させ,料金も抑える」として原発を長年推進してきた。しかし,福島第1原発の事故を機に,地震国の日本で原発は必ずしも安定した電源といえなくなった。

 2016年にも,家庭が料金やサービスで電力会社を選べる「小売り自由化」が始まる。電気事業連合会長の八木誠・関西電力社長は「競争力ある料金には,原発再稼働が必要だ」と訴えるが,料金面でも疑問符がつき始めている。2011年末に政府が試算した発電コストで,原発は1キロワット時当たり8.9円以上。2004年の試算から5割はねあがった。

 廃炉までの期間が原則,運転開始後40年に短縮されたほか,原発の廃炉や使用済み燃料の最終処分などの費用が料金にさらに上乗せされる可能性もある。

 ②「〈経営の視点〉エネルギー政策の方程式」
    
(『日本経済新聞』2014年5月5日朝刊)

   のような記事(事実指摘)が出ていてもなお,原発コストは安いのだといいはる日本経済新聞の編集委員が,まだいるから奇怪である。〈子どもの日〉に掲載されていたこのコラム「経営の視点」の解説記事である。--つまり,視点がずれているか,ゆがんでいる筆法である。

 電力小売りを全面自由化する法案が国会で審議入りした。エネルギーの大競争時代が迫る。企業が針路を決める条件は,電力市場改革,東京電力の再建の行方,原子力発電の将来の3つ。この連立方程式の解をみきわめることだ。答えはどれも欠けるわけにはいかないが,簡単には解けない。たがいに絡みあい,矛盾を抱えているからだ。

 関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)。4基が並ぶ原子炉の南側斜面で多数の作業員が働いていた。断層調査のために掘った幅70メートル,深さ40メートルの穴を埋め戻す作業だ。原発の再稼働をめざ指す電力各社は原子力規制委員会が定める新しい基準を満たす対策を急いでいる。関電の場合,3カ所の原発にかかる費用は約3000億円。ここに来て追加の耐震工事が不可避となり,上ぶれする可能性もある。

 それでも,この費用を上乗せしても大飯の発電単価は1キロワット時あたり「数円の世界」(吉田裕彦所長)。発電単価が10円前後の液化天然ガス(LNG)発電所に比べ圧倒的に安い。

 補注)この「原発発電コスト」「1キロワット時あたり」「数円」だという俗説は,なんら確実な根拠のない虚説である。① では「2011年末に政府が試算した発電コストで,原発は1キロワット時当たり 8.9円以上」だと書かれていた。

 自民党政権に代わったからといって,これがまた数円に戻るわけもなく,この日本経済新聞の論説委員はなにも根拠のない「間違った原発コスト:数円」論を,性懲りもなく,オウム返ししている。

 以前,日本経済新聞はそれを「1円」であるかのような表も作成して報じていたが,こんどは「数円」に増えている。どこが違うのか?
 電力自由化時代を勝ち抜く条件は競争力のある電源だ。「関電が原発を4基稼働させ,中部電力が1基も動かせなければ,中部電は電気料金で勝てない」(関係者)。首都圏市場を見据える中部電にとり,西に陣取る関電の原発がどれだけ動くのか気が気でない。

 ただし,既存の原発を動かすだけなら,の話だ。福島第1原発事故は,ひとたび事故が起きれば電力会社の存続が危うくなることを示した。電力自由化の下で,上限のない賠償リスクや,巨額の資金調達が伴う原発の建設・維持を電力会社が担うのは簡単ではない。

 「国と事業者の役割分担をはっきりさせてほしい」。電気事業連合会会長でもある関電の八木 誠社長は訴える。国の新しいエネルギー基本計画は原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。電力自由化と原発は両立するのか。この問いに答えを出さないかぎり,大競争は始まらない。

 補注)「重要なベースロード電源」といったからといって,原発コストが従来唱えられていたように「安価な電源」でもない原発にかけて,このベースロードとしての役割に重要性を置く,といった考え方そのものに疑問がもたれる。「国側が面倒をみて」といったふうな「役割分担」の話題も,電力会社側の調子のよい経営姿勢に映るほかない。
 東電の再建を,効率的な市場をつくり強靱なエネルギー産業に組み替える  “てこ”  にする。東電の大株主である国は思惑を隠そうとしない。突破口はLNGの調達部門を他社と統合し,東京湾岸の火力発電所を最新型に建て替える「包括的アライアンス」だ。

 調達量を世界最大規模の年4000万トンに増やして購買力を高め,割高な燃料費を下げる。狙いはわかるが,東電と上流で組む電力・ガス会社は原燃料を同じ価格で調達し,小売り段階で東電と競えるのか。巨大な独占を新たに生むのではないか。疑問が残る。

 東電の数土文夫新会長は「東電には国際感覚がない」という。エネルギー基本計画は電力やガスなど業態の垣根を越えた「総合エネルギー企業」の誕生を促す。電力需要が伸びる海外で,インフラ商談が過熱する現実もある。

 補注)「東電には国際感覚がない」という前に,経営感覚そのものを欠落させているのがこの地域独占企業なのだから,このような議論の仕方じたいが問題含みであった。

 福島第1原発の事故責任もろくに負わないで済ませてきた事業経営体,それも地域独占企業「東京電力」が,いまだに存在しつづけている。それでいて,つぎの段落のような方向転換が,東電に関して起きている。
 鉄鋼や重電のようにエネルギーも国際競争に堪える日本企業は必要だ。うまくいけば “強い” 東電が核になる。それと国内の競争促進は両立するのか。エネルギー各社は様々な変数がある中で百年の計に決断を下さなければならない。

 ③「首都圏電力,参入合戦『6兆円市場』に圏外も異業種も」
    (『朝日新聞』2014年5月10日朝刊「経済」)

 つぎに紹介する記事は,② に言及のあった〈電力産業の新展開〉に関する報道である。

 東京電力が供給する首都圏の『6兆円電力市場』をめぐる争奪戦が始まった。古くなった火力発電所を自前で建て替えられない東電が入札を始めたことが,きっかけだ。2016年の電力小売り自由化もにらみ,業種や地域を超えた企業が続々と市場参入をもくろむ。

『朝日新聞』2014年5月10日朝刊 a)「東電の入札引き金」--「関東圏ではアライアンス(提携)ということで,いろいろ可能性がある」。4月28日の記者会見で,中国電力の苅田知英社長はこう語り,首都圏進出に強い意欲を示した。

 同社は鉄鋼大手JFEスチールと東京ガスと組んで,首都圏に火力発電所を建設する検討を進めている。東電が6月からおこなう大規模な発電所の新設や建て替えの工事の入札に参加する構えだ。中国電に強みがある石炭火力発電所を想定しており,建設場所はJFEの製鉄所がある千葉市か川崎市が検討されている。

 首都圏への進出がもっとも早かったのは中部電力。東電と組んで茨城県に石炭火力発電所を新設する計画を表明したほか,昨〔2013年〕夏には三菱商事から新電力会社「ダイヤモンドパワー」の株式を取得して経営権を握り,首都圏で企業向けの売電も始めている。関西電力も今〔2014〕年4月,子会社を通して首都圏での企業向けの売電事業に乗り出した。

 電力各社が首都圏をめざすのは,みずからの地盤である地方は今後,人口減少が避けられず,電力販売も先細ることが確実だからだ。あるエネルギー会社の幹部はこう話す。「競争は全国区で進んでいる。主戦場は首都圏だ」

 b)「小売り自由化にらむ」--これまで電力各社は地域独占の壁に守られ,他電力の地域に進出するのはまれだった。その情勢を一転させたのが,2011年3月の東電の福島第一原発事故だ。

 東電は多額の損害賠償を抱えこみ,自力で老朽火力発電所を建て替えられなくなった。大規模な入札をおこない,他の企業に新しい発電所を作ってもらい,電力を買う仕組みに切り替えた。他社は作った電力をすべては東電に売らず,残りはみずら首都圏で売ることができることになる。

 東電の入札には,さらなる可能性も含まれる。1月に政府が認定した東電の再建計画には,発電所建て替えだけではなく,燃料調達から発電までをともに担う「包括提携」をおこなうパートナーをみつけると明記されているからだ。地域を超えた電力会社の合従連衡につながる可能性もあり,電力業界は入札の行方に注目している。

 6月から始める入札は,原発6基分にあたる600万キロワット分と大規模だ。このため,参入をうかがう企業は電力会社にとどまらず,発電所を建てやすい海岸沿いの土地を持つ鉄鋼業や製紙業なども水面下で検討を進めている。

 各社がめざす先にあるのは,2016年の家庭向け電力小売りの全面自由化。電力業界に詳しいコンサル大手の担当者は,「年が明けてから具体的な相談が増えてきた。石油やガスだけでなく,通信など異業種からも関心が高い」と話す。

 ただ,自由化が進んでも競争ですぐに電気料金が下がるとはいい切れない。経済産業省も「電気料金を抑制する効果がある」としか説明していない。

 --そのとおりである。電力産業界の地図にこのような変動が起きていったとしても,必らず電気料金が下がると請け負えるわけではい。家庭用のプロパン・ガスの購入先を安い業者に求めるのとは,まったく次元が異なる需給関係の問題である。場合・やり方によっては,電気代「再」値上げという結果が出ないという保証もないと思ったほうが妥当である。

 ④「福島第1 汚染水対策の柱 凍土壁の来月着工,遅れも 地盤沈下,規制委が懸念」
    
(『日本経済新聞』2014年5月6日朝刊)

 東京電力福島第1原子力発電所で,汚染水対策の柱とされる「凍土壁」の着工が遅れる可能性が出てきた。計画を認可する原子力規制委員会が安全性に疑問を呈しているからだ。予定する6月の着工が遅れれば廃炉の道筋に影響が出かねない。

『日本経済新聞』2014年5月6日朝刊 「凍土壁を設けることでかえって悪いことが起きないか」。5月2日,規制委が開いた会合で更田豊志委員は,こうクギを刺した。念頭にあるのは地下水の流れが変わることへの懸念だ。

 凍土壁は1~4号機を囲むように地下約30メートルまでの土壌を冷却材で固める。原子炉建屋などに毎日約400トン流れこむ地下水の流れを食い止め,放射性物質を含む汚染水の増加を防ぐのが狙い。汚染水が海洋へ流出する危険性も解消する。

 規制委が心配するのは副作用だ。凍土壁の内側の地層に含まれる水が減り,地盤沈下を招く恐れがある。建屋が傾けば深刻だ。会合で東電は「建屋は堅固な地盤に設置されている」と説明したが,規制委は追加のデータによる裏づけを求めた。

 地下水位が下がりすぎて,建屋の地下にある高濃度の汚染水が周囲に漏れ出す可能性もある。緻密な水位の管理が欠かせない。凍土壁は2015年度前半に完成させて6年間運用するが,壁の維持には冷却材を循環する装置の稼働が必要だ。

 効果じたいを疑問視する見方もある。規制委の検討会委員である東北大学の阿部弘亨教授は「凍土壁を採用した方がよいのか,しなくてもよいのかがまったくみえない」と指摘。東電の原子力改革監視委員会で副委員長を務めるバーバラ・ジャッジ氏も維持コストがかかることなどを理由に「代替手段を考えるべきだ」と主張する。

 地下水対策として原子炉建屋の周囲に遮水壁を造る発想は事故直後からあったが,実行は見送られてきた。凍土壁は粘土壁に比べて遮水効果や施工性に優れるが,昨〔2013〕年に相次いだ汚染水問題で窮余の策として設置が決まった経緯がある。

 もっとも,規制委は計画そのものは否定していない。事務局の原子力規制庁幹部は「安全性さえ確認できれば反対する理由はない」と話す。「福島県民としては成功を期待している」(いわき明星大学の東之弘教授)と地元からの要望も強い。

 東電は汚染水対策として汚染前の地下水をくみ上げて海に流す計画などを進めているが,現状で決定打はない。汚染水問題の解消は今後40年続くとされる廃炉作業の入り口となる作業だけに,実施できるか注目される。

 --「3・11」の原発事故から早3年と2カ月が経過した。福島第1原発の事故現場はいまだに,いつごろ収拾できそうなのかという見通しすらつけられないでいる。「汚染水問題の解消は今後40年続くとされる廃炉作業の入り口となる作業だけに,実施できるか注目される」などと指摘されているが,ともかく,原発事故に特有の困難が半世紀もの視野で覚悟を迫られるという始末である。罪つくりな巨大発電装置が原発である事実は,もう嫌というほど思いしらされている。それでもまだ,原発をつくるという計画がなくならない。

 『日本経済新聞』2014年5月10日朝刊「社説」は,こう指摘していた。--核廃棄物は深い地層に埋めることになっている。電力会社が主導して2002年から,自治体からの公募で処分地選びを始めたが,メドが立たない。処分がなぜ必要か,国民の理解がえられていないうえ,数万年以上も安全性を保てるかなど自治体の懸念も強い。
 ⑤ 「型発電諸 立地に挑戦-砂漠に太陽熱/上空で風力/洋上に原発 グーグルなど開発競争」
    
(『日本経済新聞』2014年5月9日夕刊)

『日本経済新聞』2014年5月9日夕刊 【ワシントン=川合智之】 砂漠の太陽熱発電や上空に浮かぶ風力,海上で地震を避ける原子力など,これまで立地に適さなかった場所でも建設できる新型の発電所が実現に向け動き出している。米グーグルなどが相次ぎ提案,一部は運転を始めた。二酸化炭素(CO2)の排出削減には再生可能エネルギーや原子力の活用が不可欠だが,既存発電所を置き換えるには適地がみつからず建設が頭打ちになりがち。ユニークな発想で立地の限界に挑む。

 米グーグルと電力大手NRGエナジーなどは,カリフォルニア州南部の砂漠に世界最大の太陽熱発電所(出力39万キロワット)を建設,営業運転を始めた。太陽の動きに応じて自動で向きを変える鏡を開発。砂漠に照りつける太陽のエネルギーを集め,熱で蒸気をつくる。

 14平方キロメートルの敷地に34万7千枚の鏡を敷き,30階建てビルに相当する高さ140メートルにあるボイラーに太陽光を集める。14万軒分の電気を賄える。米エネルギー省から16億ドル(約1600億円)の債務保証を受けた。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)発ベンチャーのアルタエロス・エナジーズ(マサチューセッツ州)は,飛行船型の風車を300メートル上空に飛ばし,送電ケーブルで地上に電気を送る試験をアラスカ州で近く始める。地上の風車に比べて2倍以上の発電能力をもち,台風にも耐える安全性を備える。世界でもっとも高い地点での風力発電になるという。

 米農務省などの支援を受けて開発,130万ドル(約1億3千万円)を投じてアラスカ州と共同で1年半試験する。これまで高価なディーゼル発電に頼っていた離島や過疎地域の電力市場は170億ドル(1兆7千億円)とみており,代替を狙う。

 風力発電所は風の強い場所に建てる必要があるが,適地が限られていた。上空では強い風が安定して吹くため通常の風力発電より発電コストは半減,1キロワット時あたり18セント(約18円)に下がるとみている。将来は洋上などで幅広く使えるという。

 同社にはインドのタタ・グループのラタン・タタ名誉会長の投資会社が出資した。風の強い上空での風力発電は欧米で実験が盛んで,グーグルやスリーエム(3M),KLMオランダ航空などがそれぞれ別のプロジェクトに投資するなど開発競争が激化している。

 地球温暖化対策には風や太陽などの自然エネルギーの活用のほか,運転時にCO2を出さない原子力発電に期待が集まる。ただ安全性の確保や地元の合意をえられる立地を探すのは難しかった。

 補注)原発は炭酸ガスを出さないから地球温暖化防止になるというのは,完全なる間違いの「俗説」である。本ブログではいままでなんどもも指摘してきたことだが,原発で電気を発生させるさい電気に変換できないで外部の放出してしまい,しかもその分の熱量を〔日本の原発であれば海岸→〕周囲の冷却水に吸収させる結果,この原発近辺の海域を温暖化させ,環境破壊をしているのである。この事実を抜きに,原発は地球温暖化防止に役だつというのは,以上の事実を無視したまさしく盲論である。
 MITと米建設大手CB&Iなどは4月,東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ,地震や津波の被害を避ける浮体式洋上原発を提案した。電力は海底ケーブルで陸地まで送電する。

 格納容器は水面下にあり,海水を冷却水に用いる。出力100万キロワット級の大型原発も設置可能という。通常の原発は大量の冷却水を確保するため海岸か川沿いに建設するが,人口密集地に近いと新規建設のハードルが高い。

 ロシアは原子力船の技術を応用した世界初の洋上原発を2016年の完成をめざして建設中だ。岸に近いところに停泊させる計画だ。

 補注)この洋上原発は,地球環境温暖化の新しい原因をくわえることになる。洋上の原発施設だからといって,さらに野放図に「大量の冷却水」を使用することの意味,すなわち,環境破壊の可能性・必然性をまえもって,十分に検討しておかねばならない。
 以上の具合に,福島第1原発の事故が仮になかったにしても,このような新しい発電装置の開発・利用が進展していくのが技術の発展だとみなさざるをえない。だが,この東電の原発事故のせいでさらに,その歩調が早まったことも事実である。ということで,つぎの話題を挙げておしまいの段落にしたい。

 ⑥「〈時時刻刻〉脱原発へ,再始動 小泉・細川元首相、結集狙い社団法人」
    
(『朝日新聞』2014年5月8日朝刊)

 小泉純一郎氏(72歳),細川護熙氏(76歳)の元首相コンビが5月7日,「脱原発」をめざす社団法人を設立し,再始動した。国民運動を進めるのが目的だというが,今後の滋賀、福島両県知事選に向け,脱原発勢力の期待は高まる。だが,政界引退から時間がたち東京都知事選でも惨敗しただけに,どこまで幅広い勢力をまとめられるかが課題だ。
『朝日新聞』2014年5月8日朝刊写真
 --この記事,けっこう長い文章であるが,ここでは冒頭のみ引用するに留める。こうした動向といえども,「3・11」原発事故がなければ,日本社会のなかに勃興しなかったことだけは,たしかである。