【人類を滅亡させる危険を増大させつつあるる原発推進の愚かさと
   企業営利・欲望の問題,そして国家官庁監督組織の無責任】



   ①「9千億円の “巨額損失” が新たに発生? 東芝を食い潰した日米の原発利権」(『dot.』更新 2015/7/22 07:00,本誌・永野原梨香/ジャーナリスト・桐島 瞬稿)

 1)記事本
 名門企業・東芝が揺れている。不適切な会計は当初500億円強とされたが,それは枝葉末節の話。東芝が社運をかけて2006年,企業価値の3倍の約6千億円で買収した米国大手の原子炉メーカー「ウェスチングハウス」が3・11以降,不良債権化。最大で9千億円の  “損失”  になるという。社長らの進退問題に発展した疑惑の裏で蠢(うごめ)く原発利権を追う。
 註記)この段落は『週刊朝日』2015年7月31日号134-135頁の記事「東芝を食い潰した日米の原発利権」(主題の大見出し文句)の冒頭にかかげられていた文である。以下の本文引用は,134頁3段目の最後あたりから始まる。記事の現物そのものも画像資料にして紹介しておく。必要に応じて閲覧を乞いたい。
 週刊朝日2015年7月31日号135頁週刊朝日2015年7月31日号134頁
 東芝は「ウェスチングハウス」に相場の3倍以上をも投じたが,その内訳はどうなっていたのか。会計評論家の細野祐二氏が説明する。

 「実体価値は2千億円ほど。そのほかは,のれん代などが4千億円だったとされています」。のれん代とは,ノウハウや顧客との関係など,無形の固定資産のこと。買収先企業の「見えない価値」への投資であり,6千億円が適正な金額といえるのか。

 ただ,東芝は買収によって,原発ビジネスが約2千億円から2015年には約7千億円,2020年には約9千億円に拡大すると計画していた。「2006年に経産省が『原子力立国計画』を発表し,既存原発の60年間運転,2030年以降も原発依存度30~40%を維持,核燃料サイクルの推進,原発輸出を官民一体で行うとぶち上げました。東芝はその先陣を切ってコケた。計画を当時まとめたのが現在,安倍首相の秘書官として出向している経産官僚らです」(元政府高官)。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
東芝3幹部写真週刊朝日2015年7月31日号より
 しかし,原発事業は東日本大震災による福島原発事故を契機に落ちこんだ。世界の原発マーケットも冷えこみ,大きく歯車が狂い,結果的に6千億円という過大投資が経営の足を引っぱる原因になったとみていい。 東芝の稼ぎ頭だった原発事業だが,欧米を中心に原発ビジネスのマーケットは縮小傾向だ。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏はいう。

 「アメリカでは建設のキャンセルが続いているし,チェコやハンガリーでは建設しようとしても,なかなかかたちにならない。その影響でフランスの原子炉メーカー・アレバは約6千億円の巨額負債を抱え,事実上倒産しました。フィンランドのオルキルオト原発などは原発ビジネスがうまくいかない代表的なケースで『原発経済界のチェルノブイリ』と呼ばれています」。

 オルキルオト原発3号機は,アレバとドイツのシーメンスの合弁で2009年の試運転をめざしていた。しかし,当初の予算額をオーバーするなどして,シーメンスが撤退。いまだに営業運転のメドが立たない。

 「コストアップの要因は,安全設備の複雑化にあります。原発では,小さなものを含めれば山のように事故が起きています。よって,規制が厳しくなり,それに対応するためのコストが増していくのです」(飯田氏)。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
飯田哲也画像
出所)http://blog.goo.ne.jp/shirakawayofune001/e/754c5b0c42612b673a6d5c41b68093b0

『朝日新聞』2015年7月22日朝刊9面「経済」 原発輸出に展望はみいだせない状況なのだ。細野氏はいう。「第三者委員会がいっている1500億円だとかいう金額は枝葉末節のこと。本丸はウェスチングハウスの減損です。原発事業が落ちこむなか,ウェスチングハウスののれん代などの4千億円は減損しなければならないでしょう」。

 減損すれば大赤字だ。そうなると,2011年3月期に計上されていた5千億円の繰り延べ税金資産もとり崩す必要性が出てくる。繰り延べ税金資産は将来的に黒字になることを前提に資産に計上できる。赤字が続くと計上が認められなくなり,資産が一気に減る。

  「4千億円+最大5千億円で,合計9千億円のマイナスで新たな巨額損失となります」(細野氏)。
 出所)右側画像資料は,『朝日新聞』2015年7月22日朝刊。

 ウェスチングハウスを減損すると繰り延べ税金資産が大幅に減り,債務超過となる危険性もある。原発事業の損失を他部門で埋めようとした焦りが,今回の利益水増しの動機になったとみられるのだ。 --以上,135頁3段落目までで,4段落目は出ていない。
 註記)http://dot.asahi.com/wa/2015072100110.html?page=1
    http://dot.asahi.com/wa/2015072100110.html?page=2

『朝日新聞』2015年7月23日朝刊6面「経済」2 以上,原子力産業に参入した東芝が,2011年「3・11」を境にして失速した経営状態を余儀なくされてしまい,まったく余裕のない実質的な営業状態に追こまれている事実が説明されている。

 企業価値が大幅に減損する事態にはまった東芝が,苦しまぎれに会計操作によって「利益水増し」に走った。
 出所)左上側画像は『朝日新聞』2015年7月23日朝刊。C / Oとはキャリー・オーバーの略で,経費計上の先送りや海外子会社に在庫を高く売ったりして利益を水増しする意味(粉飾手法)である。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
『朝日新聞』2015年7月22日朝刊9面「経済」2
出所)『朝日新聞』2015年7月22日朝刊。

 原発産業がはたして儲かる商売であるかどうか,新興国で原発を導入する動向が出ており,これに対して原発を製造し販売する先進国側企業がこの原発市場に期待していた。けれども,「3・11」を契機に原発をめぐる経済環境が大きく変質してきた。このために現状にあっては,儲からない産業・業種になっているわけである。

 2)原発製造メーカーの責任論議,高まる(『Finance GreenWatch-日本で唯一の「環境金融」の内外情報サイト-』2011年3月29日)

 この記述は「3・11」直後のものであった。東京電力福島第1発電所の原発  “マークⅠ”  型式が,実質「欠陥製品」であった点を突いて批判している。

 東電福島第1原子力発電所の事故復旧が難航しているなかで,原発製造メーカーの責任論議が高まっている。原発事故による損害救済の法制度として,事業者の責任を定めた原子力損害賠償法があるが,それとは別に,今回の事故を起こした原発が  “欠陥製品”  ではないかとの指摘が出ている。

 第1電子力発電所の原発は,1号機,2号機が米GE社製で,3号機,4号機はそれぞれGEのライセンス契約で東芝,日立製作所が製造,メインテナンスを担ってきた。同原発については,35〔39〕年前に当時のGEの社員(デール・ブライデンボー氏ら)が,安全性に問題があるとして抗議し,受け入れられなかったため辞職した経緯が報道されている。

 製品に欠陥があった場合,製造物責任法(PL:product liability)では製造業者だけでなく,輸入業者にも損害賠償の責任を認めている。多様な製品を世界中で製造・販売しているGEは,各地でPL訴訟を提起されている。

 だが,同法は原則として消費者の保護が目的で,GEと東電のような原発取引などの場合は,PL法よりも民法の対象になるとみられる。その場合,原発の欠陥・不具合をしりうる立場にあったGEが,それを東電にしらせずに販売した場合に契約責任の論議が生じるほか,多くの市民や事業者が今回の事故によって損害を被ったことを前提にすると不法行為責任の論議も生じる。
勝俣恒久社長時代2008年4月画像
 ただ,同原発は30~40年といわれる運用年数を超えて稼働しており,東電と製造メーカーのあいだの保証契約が終わっているとみられる点も,責任論議に影響を与えそうだ。東電は2005年に勝又恒久社長(当時,現会長)時代に,運用年数を60年に延長している。
 註記)http://financegreenwatch.org/jp/?p=813
 出所)右側画像は2008年4月「東電社長時代の勝俣恒久」,http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008043001000631.html

 「3・11」の大地震によって福島第1原発は,津波が襲来してくるまえに破損されていたと推測するのが,工学的なそれも常識的な見地から判断しても妥当である。だが,破損=事故が発生した原因をすべて,その直後に襲ってきた津波にせいにできたため,その真相がいまだに解明されないままにある。

 機械工学の観点から,すなわち信頼性工学・安全性工学から判断するに,原発という装置・機械が,あの大地震になんら問題なく完全に耐えられると考えるほうが常識外れである。もしも,そのように問題なかったと本気に判定する専門家は,彼の基礎学力からして疑ってかかる必要がある。

 装置・機械じたいを40年以上も使用する(耐用させる)という技術経営感覚,それも放射能をあつかって発電させる原子炉を保守・管理し,維持・稼働させていくという技術面の特殊性を有する原発である。通常の装置・機械と同じに技術的に対応して,原発を40年以上も稼働させられるという考えなのであれば,この思考方式じたいが根本より疑われて当然である。

 ② 広瀬 隆『東京が壊滅する日-フクシマと日本の運命-』第2回(『ダイヤモンド社書籍オンライン』2015年7月21日)

 この記述は,ダイヤモンド社が発行した本の宣伝記事である。だが,本日記述の議論にとっては有意義な内容であるので,その点は意にかけずに引照する。この広瀬 隆『東京が壊滅する日-フクシマと日本の運命-』の発行日は,2015年7月17日であった。
  広瀬隆「東京が壊滅する日」画像2 広瀬表紙
 2011年3月11日の福島第1原発事故を半年前に予言したのが,ノンフィクション作家の広瀬 隆『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社,2011年8月)であった。同書は衝撃的な事実を発表していた。

 広瀬 隆といえば,以前より電力業界からは《蛇蝎》のように嫌われていた人物であった。だが,広瀬がどのような人物であり作家であるかとはひとまずかかわりなく,ともかく現実には「3・11」の原発大事故は発生してしまった。

 ★ 川内原発の真の恐怖とは? 白抜き黒枠データを公表する
信じがたい九州電力と原子力規制庁の正体 ★

 壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日-フクシマと日本の運命-』が話題を呼んでいる(これは上記に指摘したように出版元の売り文句である,発売日が7月17日→この記事は21日)。このたび,新著でおそるべき予言をした著者が,連載第1回に続き,鹿児島県にある川内(せんだい)原発のしられざる危険性を,さまざまなシミュレーションから緊急警告する!
    【※ 人物紹介】   広瀬 隆(Takashi Hirose,1943年生まれ)は,早稲田大学理工学部卒,公刊された数々の資料,図書館データをもとに,世界中の地下人脈を紡ぎ,系図的で衝撃的な事実を提供しつづける。メーカーの技術者,医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家。

 『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯-ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。
広瀬隆「東京が壊滅する日」画像 1)「日本地理」と「風の流れ」が教える危険性
 さて,再稼働を目前にしている鹿児島県の川内原発の耐震性は,地震の一撃で大事故を起こす。しかもその地震が目前に迫って,風前の灯である。

 ところが昨年,2014年7月16日に出された「九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉および2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案」(審査書案)には,耐震性の計算式も,このような耐震性の計算のもとになった計算図表もまったく見当たらない。

 この審査書案をもとに,原子力規制庁の官僚が,ゴーサインを出したはずなのだが,これでは,まともな原発かどうか,誰にも判断できないではないか! まったく書かれていないどころか,最近出された川内原発の「工事計画認可申請書」は,耐震性だけでなく,重要な部分が,真っ白になって,黒枠で囲まれているのだ。

 昔は,都合の悪いデータを墨塗りにして出すことがよくあったが,いまや,そちこちが真っ白けである。それを,平気で公開している。われわれが,原子力規制庁の官僚を呼んでヒアリングをおこない,「一体,誰がこのようにひどい文書を発表するように,あなたたちに命じたのか? 責任者はただではすまないぞ」と質問すると,「原子力規制委員会の田中俊一委員長の指示による」という。
 註記)http://diamond.jp/articles/-/74973

 ここまで悪質になった原子力行政を,なぜテレビと新聞が痛烈に批判しないのだろうか? なぜ,みな,平気で生きているのだろう? 鹿児島県は九州の最南端にある。そこに川内原発があるのだ。この地理は,きわめて重要である。

 読者は,ここで第2のフクシマ原発事故が起これば,日本はどうなると思いますか?

 a) フィリピン海で発生する台風の進路は,偏西風に乗って北上する。つまり,日本列島が斜めに走っている方向と同じく,北東に向かって,沖縄から九州~四国~本州~北海道へと風が走るでしょ?

 b) だから日本の天候は,西から東へ変化するのだ。したがって,原発事故で出た放射能の流れる方向も,これとまったく同じ方向に流れる。東京を含む東日本地域で大量の「癌」&「心筋梗塞」が発生する!
広瀬隆東京が壊滅する日画像2
 c) 3年前のフクシマ原発事故では,そのため,放出された放射能の8割が,図の黒い矢印で示したように,その偏西風に乗って太平洋に落ちた。2割だけが陸上に降りつもった。その2割でさえも,東京を含む東日本全域が,これから「おそるべき大量の癌発生」の時期に突入しようとしている。

 なぜなら,放射能の被害は,4年から4年の潜伏期を過ぎると,どっと症状が現われるからだ。フクシマ原発事故から4年を過ぎたいまが,ちょうどその大量発症のスタート時期である。

 d) 福島県内では,子どもたちの甲状腺癌が,すでに70倍を超える発症率に達しているのだ。福島県だけではなく,人口1300万人の首都・東京を含めた,東日本全域で大被害が進行中である。また,症状は癌だけではない。おそらく空前の数で,心筋梗塞が発症するだろう。

 その警告のために書いたのが,今回の『東京が壊滅する日-フクシマと日本の運命』である。読者は,自分と家族の身を守るために,すぐこの書を読まれたい。

 e) 放出された放射能は,読者が想像しているよりはるかに天文学的な,危険な量である。しかも,地上に降りつもった放射性セシウムは,100分の1になるのに200年かかるのだから,ほとんどが地上に残っている。大被害の発生は,いよいよこれからスタートするのである。

 f) さて,この凄惨な被害を出したフクシマ原発事故に比べて,明日にも起ころうとしている川内原発の事故では,どうなると思うだろうか?

 フクシマ原発事故のように放射能の2割が降りつもるのではなく,放出される放射能の「全量」が,さきほどの日本地図に示した赤い矢印のように,偏西風に乗って日本列島に降りつもることは,子どもでも分るだろう。

 つまり陸上の作物は,すべて食べられなくなる。水も飲めなくなる。空気が汚染されるのだから,呼吸もできなくなる。
 註記)http://diamond.jp/articles/-/74973?page=2

 この広瀬 隆の指摘については,本ブログが先日(2015年07月12日)の記述,「民意のすべてに反する安倍晋三政権の欺瞞と傲慢-福島民報と産経新聞の6月下旬:世論調査など-」で触れた文献,瀬尾 健『原発事故…その時,あなたは!』(風媒社,1995年6月)が,川内原発(1号炉)に事故が発生したと想定するとき,放射性物質の流出・拡散がどの方向にどのように拡散していくかをシミュレーションし,これを図表化している。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
瀬尾原発事故31頁川内1号炉
出所)『原発事故-その時,あなたは!-』風媒社,1995年6月,31頁。

 2)川内原発事故時のおそるべきシミュレーション
 一方,九州大学応用力学研究所の広瀬直毅《なおき》教授たちによる「川内原発における放射性物質流出事故における海洋拡散シミュレーション」では,左の図のように,太平洋沿岸は,北上する暖流の広瀬隆東京が壊滅する日画像3黒潮によって,千葉県の銚子あたりまで沿岸を放射能が一気になめつくす。カツオがこの海流に乗って泳いでいる。その先は,フクシマ原発の沖合なので,寒流の親潮がすでに大汚染している。

 もっとおそろしいのは,日本海側である。対馬海流も九州から北上して,北海道まで,全域の海を汚染する。この日本海は,内海なので,放射能はほぼ永久にそこにとどまるのだ。こうして陸も海も,食料の全滅した国が,ニッポンと変るのである。

 この地獄図のなかに入る被害者は,読者だけではない。国会議員も含まれる。テレビと新聞の関係者も含まれる。電力会社の社員も含まれる。ところが,理解を超えることに,彼らがその “第2のフクシマ原発事故” の責任者なのである。

 そのため,膨大な数の国民が,川内原発の再稼働に反対して,デモと集会をくり返しているというのは,当然の怒りだと思いませんか? 現在の政治家を選んだ結果が,こうなったのです。

 それでは,原子力規制委員会や原子力規制庁の人間を誰が選んだかといえば,この政治家たちなのだ。つまり,ほとんどの悪事は,人事によって決定されてきた。いわば,悪循環に陥っているのが,日本の実態だ。
 註記)http://diamond.jp/articles/-/74973?page=3

 3)火山噴火の「身の毛もよだつ」恐怖
 火山の噴火が続いている九州なので,噴火のおそろしさについても,触れておこう。4年前の福島第1原発では,津波をかぶったために,すべての電源を失うという最悪の事態となって,コンピューターもなにも動かないまま,原子炉が最悪のメルトダウン事故に突入した。

 それでは,火山の噴火によって,同じことが起こらないだろうか?

 福島第1原発を開発したアメリカのゼネラル・エレクトリック社(GE)に入社し,技術者として18年間働き,原発建設にも携わってきた専門家である佐藤 暁(さとし)氏は,通常の噴火で起こりやすい原発大事故について議論するべきだとして,以下の重大な警告を発している。

 火山灰は,硫酸イオンを含んでいるので,少々の雨などで湿気を帯びると,火山灰が送電線に降りつもって,電気が地面にショート(短絡)してしまう。それを防ぐには,停電させるほかないので,福島第1原発と同じように原発の外部電源は完全に失われる。そうした緊急事態に備えて,非常用のディーゼル発電機が,原発内部には備えられている。

 フクシマ原発事故では,その非常用のディーゼル発電機が津波をかぶって使えなくなったのだ。原発内部のすべての電源になるこの命綱のエンジンも,運転すれば過熱してくるので,これを冷却しなければ,運転ができない。つまり,ディーゼル発電機室の内部を大量の空気で冷却する必要がある。その冷却用空気に外部から火山灰がとりこまれてくるのがこわいのだという。

 なるほど,それを防ぐために,ディーゼルエンジンには,自動車のエンジンと同じように,空気を浄化するフィルターがついている。このフィルターに火山灰が付着するので,目詰まりを起こしてオーバーヒートし,最終的にはエンジンが停止する。福島原発事故で起こったと同じ,全電源喪失に至るのだ。

 川内原発は,日本の火山学者が,口をそろえて,「こんな火山地帯にあってはならない原発だ」といっている,恐るべき原子力発電所なのである。
 註記)http://diamond.jp/articles/-/74973?page=4 原子力安全委員会委員長の田中俊一は2014年7月16日,川内原発の審査などに関して「基準の適合性はみていますけれども」「安全だという事は私は申し上げません」と,受けとりによっては完璧に近い無責任の発言をしていた。万が一,田中が安全審査をした「原発に事故」が起きても,自分には責任がないといったも同然である。

  4)九州電力の語っていた安全神話(ブログ『紙屋研究所』2011年10月2日)
  九電の原発安全宣言も「日本でチェルノブイリのような事故は起こりえません」という文句であった。以下に引用するこの文章は「3・11」の記憶がまだ生々しい時期に原発問題を記述していた。

 --9月22日(2011年)に九州電力への要請行動があったので参加した。主催は「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」である。玄海原子力発電所の1号機の廃炉や,2・3号機の再稼働の中止など5項目を求めたものだ。

 ぼくはつねづね,九州電力が発行している『原子力発電所についてご説明いたします。【安全性】編』というパンフレットを依然として普及していることに疑問をもっていたので,そのことを聞いてみた。

 このパンフレットは,2011年9月23日現在でも「九電エネルギー館」に大量に置かれていた。なんか写真が人質事件のときみたいになってますがw。パンフレット,といっても三つ折りでA4になるリーフレットのような簡単なもので,そこにコラムとして「日本でチェルノブイリのような事故は起こりえません」という見出しの記事がある。

    1986年〔4月26日〕,チェルノブイリ原子力発電所で,安全設計上の欠陥や運転員の規則違反などが重なったため,原子炉と建屋の一部が壊れ,周辺へ放射性物質が放出される大事故が発生しました。

 このようにパンフレットには記述され,「設計上の問題」が3点,「運転規則違反」が3点にわたって記述されている。そして,「当社の原子力発電所は」としてつぎの4点を挙げたうえで,

  すべての運転範囲で自己制御性を確保
  外部に放射性物質を放出させないための頑丈な格納容器がある
  原子炉自動停止回路を切ることができない
  運転員の誤操作を防止するシステム(インターロック)が採用されている

「…などの十分な安全対策が取られており,同様の事故が起こるとは考えられません」と締めくくっている。

 この記述は,福島第1原発の事故以前にはもっともらしくみえた。炉の構造が違い,ヒューマンエラーを回避するしくみがあるのだから,外界に大量の放射性物質を放出する事故なんて起こりっこない,という理屈だ。

 ところが,福島の事故が起きてからは,まったく説得力を失う。「外部に放射性物質を放出させないための頑丈な格納容器」は壊れ,「周辺へ放射性物質が放出される大事故」は起きてしまったのだから。

 それでも,「日本でチェルノブイリのような事故は起こりえません」というのだろうか。頭がおかしければいうだろう。「チェルノブイリの事故とまったく同じようなプロセスでの事故は起こりえない。なぜなら日本には黒鉛減速軽水冷却沸騰水型炉はないのだから!」という,無意味きわまる「反論」だけがそこに残る。

 国民の不安は「周辺へ放射性物質が放出される大事故」が起きないかどうかであって,「チェルノブイリの事故とまったく同じようなプロセスでの事故が起きるかどうか」などということではない。「軽水炉で周辺へ放射性物質が放出される大事故は起きたけど,黒鉛炉じゃないからよかった!」ってアホですか。
 註記)http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20111002/1317514919

  いま日本国の首相を誰がやっているかを断わるまでもなく,世の中の多くのものがその種のアホ〔的な人間範疇〕によって動かされているようである。福島原発事故は「軽水炉で周辺へ放射性物質が放出される大事故」であった。

 東電がその後始末のためにいまも,国民の血税を対策費のために回してもらいながら必死になって対応しているものの,いったい,あと何十年経ったころに原発の敷地が更地に戻せるのかと問えば,いまだに皆目その展望すらつかないでいる。半世紀か,それとも1世紀さきまでかかるのか? このみきわめじたいすらできない「事故跡の惨状」である。

 今後のために記憶しておく必要がある。「チェルノブイリ〔や福島〕の事故とまったく同じようなプロセスでの事故は起こりえない」けれども,また新しいかたちで「原発の事故」が発生する可能性は否定できない。この原発に関する認識を否定する者はアホでなければ,いまもなお「原発安全神話」の盲目的な信者である。

 そういえば,経済産業省の旧「原子力安全・保安院」(現在は田中俊一が委員長を務める原子力規制委員会)に対して,子どもがこういうコトバ遊びを考えついていた話は有名になっていた。

  “ほあんいんぜんいんあほ”(保安院全員阿呆)

 5)広瀬 隆はなぜ,本書『東京が壊滅する日』を緊急出版したのか
 このたび,広瀬 隆は『東京が壊滅する日-フクシマと日本の運命-』を緊急出版した。

 現在,福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」,甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省2011年11年25日公表値)という驚くべき数値になっている。

 東京を含む東日本地域住民の内部被曝はきわめて深刻だ。映画俳優ジョン・ウェインの死を招いた米ネバダ核実験(1951~57年で計97回)や,チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年を迎えるいま,『東京が壊滅する日-フクシマと日本の運命-』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。

 1951~57年に計97回おこなわれた米ネバダの大気中核実験では,核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば,福島第一原発~東京駅,福島第一原発~釜石と同じ距離だ。

 核実験と原発事故は違うのでは(?)と思われがちだが,中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第1原発の場合,3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウム以上にタチが悪い。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
ガンマー線空間線量分布図
註記)この図表をさらに詳細・精密にみるには,
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tenrou/radiation/20120712osenmap.pdf
を参照。

 「3・11」で地上に降った放射能総量は,ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。不気味な火山活動&地震発生のいま,「残された時間」が本当にない。子どもたちを見殺しにしたまま,大人たちはこの事態を静観していいはずがない。

 最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり,大量の汚染物が流れこんできた河川の終点のひとつが,東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も,東京を含む10都県の全食品を輸入停止し,数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいるいま,オリンピックは本当に開けるのか?

 同時に,日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン,イラク,トルコ,イスラエル,パキスタン,印中台韓,北朝鮮の最新事情をはじめて触れた。

 ③ 簡単なむすび

 以上に説明した広瀬 隆の見解は,いわゆる原子力村利害関係者諸集団からまったく相手にされていない。というのは,広瀬による以上の議論は,一言でも彼らのほうですなおに聞いたり受けいれたりした分には,原発の不要性・危険性,いいかえれば,原発の反人類史的・非人間史的な反動性・反逆性をただちに認めたことにならざるをえないからである。

 広瀬が指摘する問題(東電福島第1原発事故)のうちとくに,「現在,福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超」であるという事実は,原子力村的な利害関係の見地からは徹底的に無視されつづけ否定されてきた。われわれは,チェルノブイリ原発事故のその後における現状がどのように推移してきたかを思いおこす必要がある。

 「3・11」から早4年と4ヶ月が経過してきたが,これからいよいよ放射性物質がもたらす〈悪魔的な疾病〉がじわじわと,日本社会(東日本:福島中心とする地域)において発現していく。具体的な病状として,それも目にみえるかたちで発症しはじめる時期が到来している。その犠牲者が乳幼児から青少年に対して集中的に発生することは,いうまでもなく周知の事実である。
原発利権ペンタゴン3
 それにしても,いまのところ政府の立場は,戦争末期に原爆を投下された広島や長崎の被曝被害状況が,アメリカによって妨害・隠蔽・悪用されただけで,被爆者自身の救済には直接に役立たしめられずに経過してきた事実に似る様相を呈している。

 注意しなければならないのは,このような様相を醸成する背景事情には,日本政府や財界・官界・学界・言論界などが構成する「原子力村的な日本国権力支配」の構図が控えていることである。

 東京オリンピックなど開催する経費があるならば,福島の被災地救済のためにそれを振り向けるべきであった。東電福島第1発電事故現場は,いったいいつになった  “under control”  の状態(安倍晋三が夢うつつに吐いた原発事故現場の理解に関する大ウソだが)になりうるのか,まったく見通しすらついていない。

 ④ 『朝日新聞』『日本経済新聞』掲載の東芝関連関連記事

 1)『朝日新聞』の関連記事
 「(墜ちた名門 TOSHIBA:上)米流経営監視,骨抜き(2015/07/22)利益水増しの経緯語らず 不正会計問題の東芝会見」『朝日新聞』2015年7月22日朝刊9面「経済」。

 この「経済」の大部分を占める記事は,「東芝不正会計」「ブランド毀損,140年で最大-東芝・田中久雄社長-」「利益至上主義の企業風土-第三者委・上田広一委員長-」の見出をかかげた記事になっていた。

 「(墜ちた名門 TOSHIBA:中)隠語,不正の意識まひ」『朝日新聞』2015年7月23日朝刊6面「経済」。 

  「(墜ちた名門 TOSHIBA:下)『選択と集中』が裏目に」『朝日新聞』2015年7月24日朝刊8面「経済」。

 2)『日本経済新聞』の関連記事
 「東芝ショック(上)統治不全,政府の成長戦略に冷水 日本企業への不信再燃も」『日本経済新聞』2015年7月23日朝刊13面「企業総合」。

 「東芝ショック(中)他人ごとではない 部下への指示どこまで」『日本経済新聞』2015年7月24日朝刊11面「企業総合」。
 
  「東芝ショック(下)」←7月25日に掲載予定か? 25日に分かりしだい記入する。

 『日本経済新聞』には,以上の特集記事以外にも通常の記事で東芝関連を報じたものが多く掲載されているが,ここではいちいち挙げない。
 
   3)東電福島原発事故の関連記事
 ネット上にはこの関連記事もあれこれたくさんあるが,今日の時点の検索で目に入いり,気づいた記事が,つぎの 4)の解説記事である。広瀬 隆も警告しているように,チェルノブイリ原発事故では5年を境にして被曝の被害がじわじわと表面化しだしている。

 放射性物質による被害(病状)は,ふつうの病気とは異なった症状であり,それもはっきりしたかたちで診断しにくいのが,その「ガンと被曝の相互関係」である。原子力村利害関係者諸集団からの有形無形の圧力もあって,この被曝を原因とする被害は,極力「ないもの」にされる動向がめだっている。それでもいずれは徐々にその被害の実態は明らかにならざるをえないものと予想する。
   
 4)「(Re:お答えします)がんと被曝,影響どう判断?」『朝日新聞』2015年7月24日朝刊7面「総合5」
 東京電力福島第1原発事故に伴う被曝の健康影響をみる福島県の甲状腺検査で,事故当時18歳以下だった計103人が甲状腺がんと診断されました。事故の影響は考えにくいとのことですが,なぜそう言えるのでしょうか。(広島県 女性)
◆ 推定被曝量,他の事故と比較 ◆

 甲状腺検査は,事故当時18歳以下の福島県民約38万5千人を対象に,昨〔2014〕年3月末に1巡目の検査が終わりました。この結果と,現在実施されている2巡目以降の検査で,主にがん発生がどう変化するかで被曝の影響を評価します。

  今〔2015〕年3月末時点で,1巡目の98人,2巡目の5人が手術を受けてがんと確定しました。国内で大規模な検査が実施されたことはなく,多いのか少ないのかはわかりません。103人のうち100人は,進行が遅く経過もいい「乳頭がん」でした。乳頭がんはなっても生涯気づかないケースがあります。3人は,乳頭がんよりは進行が少し早い「低分化がん」でした。

 県の県民健康調査検討委員会は「現時点で事故の影響は考えにくい」としています。理由のひとつとしてチェルノブイリ原発事故と比べて,放射性ヨウ素の推定被曝量が少ないことを挙げています。甲状腺がんは甲状腺局所の被曝が100ミリ シーベルト以上で明らかに増えることが分かっています。

 チェルノブイリの避難民の甲状腺被曝量は平均500ミリシーベルト。汚染区域の住民では平均100ミリシーベルトで,影響を受けやすい乳幼児はその2~4倍被曝したと推計されています。一方,福島県の子どもの被曝は,国連科学委員会 や放射線医学総合研究所の推計ではチェルノブイリより1桁は少ないとの結果が出ています。

 また,チェルノブイリでは,事故当時0~5歳だった乳幼児に甲状腺がんが多発しました。県内ではいまのところ,事故当時,5歳以下だった子どもからはみつかっていないことも挙げています。

 ただ,チェルノブイリでは事故の4~5年後から甲状腺がんが急増しました。甲状腺検査の実施責任者を務める福島県立医科大学の大津留晶教授は「きちんと検査し,長期的に見守っていきたい」と話しています。

 われわれは日本における公害問題がたどってきた実際の歴史に学ぶ必要がある。いまここでは,つぎの画像資料でのみ警告しておくに留めておくが,今後,福島原発事故の後遺的な被害がどのように・どのくらい現象していくのか,正確には,まだ誰にも予測できていない。
市川定夫表紙
 この市川定夫『新公害原論-遺伝学的視点から-』(新評論,1988年)は「放射能は微量でも危ない」と警告していた。チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年4月26日のことであった。

 それから25年〔四半世紀〕あとであった,2011年3月11日に起きた福島原発事故の対応や処理は,いまだに前轍を同じように踏むかのような様子しかみせていない。被曝の問題についていえば,これからもさらにつづけて確実に,深刻なかたちで日本社会のなかにその被害が発生・現象していく。

 Fukusima →   “under control”  ? 誰か,このような愚にもつかない迷文句を吐いたのは……。否応なくも歴史に残されるべき〈恥さらしの文句〉である。

 ※ 最近刊の参考書 -- study 2007著『見捨てられた初期被曝』岩波書店,2015年6月。