【不要な治療を「患者への納得診療」とは無縁におこないつづける歯科医】

 【私立大学の歯学部は,主に戦前期に設立されたもの以外,すべて廃学(廃部)にさせたらよい】



 ①「〈「削りしろ」探せ (3) 〉歯医者なぜ長引く 供給過剰,無駄な治療も」(『日本経済新聞』2015年9月17日 2:00,http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04H9E_Y5A900C1MM8000/?dg=1)  

 東京都内の30代の男性会社員は歯科医の言葉に首をかしげた。「つぎはいつ来院できますか?」  虫歯の治療は終わったはずだが……。

 歯科医いわく「歯周病の疑いがあります」。結局,治療を続けることを決めた男性は「いったん歯医者にかかると,なかなか終わらない」と苦笑する。

 こんな経験をした人は多いだろう。背景のひとつと指摘されるのが,歯科医が置かれた環境の厳しさだ。
 補注)本日のこの記述を始めるきっかけは,本ブログの筆者も「こんな経験をした」からである。いつまでも「説明のない歯石とり」ばかりが,なんと10ヶ月も続くだけだったので〔通院は4週間に1度程度の間隔〕,もういいかげんに,こちら〔患者さまのほう〕から「通院お断わり」の連絡を入れて,断わった。

 実は,あるほかの歯について治療の必要を相談していたのだけれども,こちらについてはなにも診断を下してくれず,加療せずじまいであった。なにかがおかしい「歯科医院の一見本」であった。


 だいぶ以前の話題である。いまから15年以上も経った思い出であるが,初めてかかった歯科医院の歯科医師,当方が治療を依頼した歯の治療にはかからず,その虫歯の穴に脱脂綿を詰めたまま「治療を終わらせること」を2回繰り返した。

 この歯科医の出身大学・歯学部は『明海大学』である。その「程度の悪いこと」=「意地の悪さ」だけは天下一品であった。なぜ,そういう対応になるのか,いまだに理解できないでいる。


 治療に来た患者の歯をろくにイジリもしないで,脱脂綿だけ詰めこんで返す歯科医がどこにいるのか? 外科医になぞらえてでいえば,縫合の必要な切り傷(裂傷)の患者が運びこまれたのに,その傷口を縫合(手当・治療)もしないで帰宅させるのと同じである。これではもう完全に「医者・歯科医の倫理的な責任問題」だというほかない。

 以前からとくに顕著であった歯医者の「医者としての資質」の低劣化傾向は,大学歯学部の経営問題に関してから明らかになっている「現状の問題性」にもうかがえる事実である。最近,このあたりの論点をとりあげる新聞記事が出ていた。これを参照し議論してみたい。

 1)「経営のために治療を長引かせる」
 神奈川県で開業する50代の歯科医は「経営のために1人でも多く患者を診なければならない。すぐ治療の必要がない虫歯や歯周病で通院を長引かせるケースはある」と打ち明けた。
   『日本経済新聞』2015年9月17日画像 『日本経済新聞』2015年9月17日画像2
 歯科医の数は全国で約10万人。厚生労働省によると,人口10万人当たりの歯科医数は1978年の40.7人から2012年には80.4人に増えた。医師より開業する割合が高く,定年もない。この結果診療所は6万8701カ所(2013年)と,コンビニエンスストア(約5万2千店,2015年)を上回る。
 補注)筆者の住む自宅の周辺にも,ここ5~6年に関する記憶では,歯科医院が何院も新規に開業している。いまだから,ネットで事前にある程度は調査してから,歯の治療が必要になったとき近所の歯科医院を選ぶことになる。

 だが,なにせ初めて治療を受ける歯科医院にいくときは「博打」同然の気持にもなる。実際に治療を受けてみてからでないと,いい歯医者なのか・否(悪)なのかは判断できない。事前には分かりにくい。とくに新規開業の歯科医院に関しては情報はない。


 〔記事本文に戻る→〕 一方,フッ素うがいの普及などで子供の虫歯は減少している。12歳の平均虫歯数はこの20年で4分の1になった。需要と供給が反比例するいびつな市場である。

 厚労省は国家試験の合格者を絞るが,2015年は前年比1%減にとどまる。愛知学院大学の田中貴信・前歯学部長は「合格率が低い大学の定員削減や統廃合などに乗り出す時期」と危機感を募らす。日本歯科医師会も抑制を求める。ただ歯学部の定員削減は私立大学の経営に直結し,「自主的な協力をお願いするしかない」(文部科学省)。
 補注)もっとも私立大学でも創設させるときは,文部科学省が許認可権限をもって対応してきたのだから,一般の民間営利企業の開業・営業に対する関係当局の規制や指導とは,まったく異なる行政の対応ができるはずだし,そうしなければならないはずでもある。

 そもそも,ここまで歯科医(院)をめぐる需給関係を悪化させてしまい,歯科医が過剰な医療関係市場にさせた根本の原因は,文部科学省の設置認可作業以外にはありえないはずである。ということで,文部科学省のいいぶんはまるで他人事であり,無責任のきわみである。


 2) 採用に応募殺到
 歯科医に限らない。リハビリテーションを指導する理学療法士も競争激化が懸念される。高齢化を見越して養成する専門学校や大学の設置規制を緩和したところ,2000年に年約3千人だった国家試験合格者は2013年に1万人を突破した。

 現場ではすでに過剰感がにじむ。都内の総合病院は今春,若干名の募集に40人超の応募があった。リハビリに詳しい日下隆一仏教大教授は「このままのペースだと2025~2030年にも飽和状態になる可能性がある」。さほど日常生活に支障がない,老化に伴う骨の変形なのに長期間リハビリするような弊害も指摘される。

 医療界では「供給が需要を生む」との言葉がある。サービスの提供者が診療内容を決め,患者側はそれを受け入れざるをいない。豊富な人材供給は手厚い医療体制に必要な半面,不要な治療を生み出したり,無駄な支出につながったりする土壌にもなる。

 埋もれたニーズを発掘する動きもある。茨城県結城市の歯科医,三木次郎さん(60歳)は寝たきりの在宅療養患者の口腔(こうくう)ケアにとり組む。ケアで健康状態が改善し,誤嚥性肺炎などのリスクが低下する患者は多く,「結果として医療費全体を下げる効果も期待できる」。

 必要な人が,必要な治療を適切に受けられる。そのためにはどんな体制が求められるのか。医療界だけの論理ではなく,社会全体で探る時期にきている。

 ②「〈「削りしろ」探せ(3)〉医師・歯科医,地域で偏り」(『日本経済新聞』2015年9月17日 2:00,http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08H4Z_Z00C15A9SHA000/?n_cid=SPTMG002)

 医師や歯科医にくわえ,リハビリテーションを担う理学療法士など,医療や介護に従事する職種は多岐にわたる。どのように養成されているのだろうか。

 Q 医師や歯科医になるには。

 A 原則大学の医学部か歯学部で6年間の教育を受け,国家試験に合格することが必要。今年は医師8258人(合格率91.2%),歯科医2003人(同63.8%)が合格した。
 補注)歯科医の合格率がかなり低い(悪い)が,この原因(理由・事情)は,後段で言及する論点である。

 Q 歯科医を養成する歯学部の体制は。

 A 高度成長期に食生活の変化などで虫歯が増え,医師と同様に歯科医の増員も求められた。ただ近年は歯科医の過剰が懸念されるようになり,国は国家試験の合格者を絞りこんでいるが,抜本的な削減にはつながっていない。東京など養成機関が複数立地する都道府県でとくに人数が多く,医師とともに,地域ごとの偏りも指摘される。

 Q 歯科医の活動の場を広げる動きもあるようだ。

 A 徳島県歯科医師会は昨〔2014〕年4月,徳島市民病院に歯科医を派遣し,がん患者の口腔(こうくう)ケアの相談に応じるとり組みを始めた。同会の森秀司会長は「歯科医は積極的に外へ出て,治療中の患者や要介護者など歯科治療ニーズのあるところへ向かうべきだ」と話す。

 Q 他の医療従事者の養成はどうなっている。

 A 理学療法士についても国が設置規制を緩和し,高齢化などを背景に養成する専門学校や大学の設立が続く。日本理学療法士協会の半田一登会長は「高齢者が要介護状態になるのを防ぐ手助けや,手薄だった働く現役世代を支えることを重視していく」と話す。

 ③「〈「削りしろ」探せ(3)〉合格率の低い歯科大は定員削減や統廃合を-田中貴信・愛知学院大前歯学部長-」(『日本経済新聞』2015年9月17日 2:00,http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91582740Q5A910C1I10000/?n_cid=SPTMG002        
 愛知学院大学歯前学部長田中貴信
 歯科医の供給過剰が指摘されている。愛知学院大学歯学部(名古屋市)の前部長で,同大付属病院長も務めた田中貴信氏に,今後の供給体制のあり方を聞いた。

 ◆  歯科医の供給過剰が指摘されています。

 ◇ 「私が大学を卒業した1960年代の全国の歯科医数は3万数千人だった。日本の人口からすると,歯科医の数は7万~8万人程度が限界と考える。しかし,すでに10万人を超え,適正人数をはるかに上回っている。技術の高い歯科医には患者が多く集まるが,経営が苦しく,開業資金を返済できない歯科医も出てきているなど二極化している」。

 ◆  大学歯学部の供給体制は。

 ◇ 「戦前から終戦後しばらくまで,歯科大学・歯学部は,国立は2校,公立1校,私立4校の7大学体制だった。高度成長期に食生活の変化などで国民の間に虫歯が増え,診療まで何時間も待たされるなどと歯科医不足がさけばれるようになった。

 そこで歯科大学,歯学部が続々と新設された。愛知学院大学歯学部は,そんな状況のもとで初めてできた歯学部で,8校目となる。その後つぎつぎに新設され,現在は計29校に上る。7校が29校になれば供給過剰になるのは必然だろう」。
 補注)ここにも説明されているとおり,歯科大学・大学歯学部が「つぎつぎに新設され,現在は計29校に上る」現状にあるわけだが,これを認可したのは文部科学省(旧文部省)であった。

 ところが,前段に出ていた文部科学省の文句は「歯学部の定員削減は私立大学の経営に直結し」,「自主的な協力をお願いするしかない」(文部科学省)というのだから,奇怪な・理解不能な発言である。

 歯科医(院)が過剰供給状態にあり,歯科医院じたいの採算経営が困難に立ち向かっている時代状況を提供してきた大本の官庁が,そのような無責任発言をしている。

 歯科業界全体にかかわる〈営業維持の死活問題〉とはいえ,文部科学省が歯科大学や大学歯学部に対する直接の行政を担当しているゆえ,文部科学省が本来の文教政策としても,もっと大所高所から,つまり「国家全体の観点から」,この歯科教育問題に対処すべき立場にある。

 ところが,現状の難題に対面しているときに,「歯学部の定員削減は私立大学の経営に直結し」ているので,〔なんどもくどくどと批判することになるが〕「自主的な協力をお願いする」といった文句は,いまさらながら,まったく〈腑抜けた〉いいぐさであり,責任回避の逃げ口上である。


 ◆  いわゆる『団塊の世代』の歯科医が引退すれば適正水準になりませんか。

 ◇ 「そういう見方もあったが,歯科医が急速に増えたのは団塊の世代の少しあとで,毎年4千人近い歯科医が誕生する時代が続いた。しばらくは大きな減少カーブにはならないだろう」。

 「また現在,歯科医は過剰で,医師は不足だといわれている。たしかに医科でも,産婦人科・小児科などリスクの高い診療科の医師や,地方の病院では医師は不足していると懸念されている。一方で,都市部では一部の診療科の医師はすでに過剰とも思える。現状の供給体制では,医科もいつかは歯科と同じような状況に直面するのではないか」。

 ◆ 今後の歯学教育,歯科医療界はどうあるべきでしょうか。

 ◇ 「歯学教育,歯科医療界は大きな岐路に立っている。行政,歯科関係者が,現実をしっかりみつめて,根本的な改革に早急に手をつける時期に来ている。合格率の低い大学の定員削減や統廃合など,抜本的な対策が求められるのではないか」。

 ※人物紹介※ 「たなか・よしのぶ」(71歳)は,1969年東京医科歯科大歯学部卒業。愛知学院大歯学部教授,同大歯学部付属病院長,同大歯学部長を経て,2015年に退職。

 つぎに参照するのは,歯科医問題に関するウィキペディア風の解説である。

 ☆ 概 要 ☆

 近年の歯科医師過剰問題と政府の歯科医師国家試験難化方針(2006年)を受けて],私立歯科大学を志望する受験生の数が大幅に減少した。その結果,多くの私立歯科大学で入学時における定員割れが発生している(欠員率が50%を超える大学もある)。

 2010年には,延べ志願倍率(=志願者数/合格者数)が1倍台前半となる私立歯科大学が続出した。 これは,試験さえ受ければ(受験勉強を全くしなくても)誰でも合格できることを意味する(受験〈即〉合格)。

 これでは,将来歯科医療を担う優秀な人材を確保することはできない。 少しでも学生を集めるために入学試験の一般的な実施期限である3月中旬を越えても,入学試験を実施した大学が全私立歯科大学の半数を超えた(2010年,各大学広報による)。

 a) その後の人気回復傾向。
 一般・推薦・AO入試を合計した総志願者数は2005年度入試の11,458人をピークに減少を続け,2011年度入試ではピーク時の半数を割り,4割程度の志願者数となった。

 だが,長引く不況による根強い医療系人気,薬学部の6年制化,私立医学部の難化などの影響を受け,2012年度入試より志願者数は増加に転じ, 2014年度入試の志願者数は,募集定員の4倍の8,030人となり,8000人台に回復,最終入学者数も募集定員1,803人に対して,1,756人となり充足率97%まで回復している。

 b) 歯科医師数過剰と歯科医院経営状態の悪化との関係。
 1990年以降,歯科における国民医療費は,医科,調剤の国民医療費が増大するのとは異なり,20年以上も毎年2兆5000億円程度で推移してきた。その間に歯科医師数は 7.5万人(1990年)から10万人超(2010年)となり3割も増加した。

 その結果,歯科医院間での競争が激しくなって経営状態が年々悪化している。とくに東京は競争が熾烈で,1日に1軒のペースで歯科医院・診療所が廃業に追いこまれている。

 厚生労働省によれば現状の歯科医師数を維持していくには毎年1200人の歯科医師国家試験合格者数で足りる。ところが,実際の歯科医師国家試験合格者数はここ数年2400人程度で推移している。

 厚生労働省による『今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会』中間報告書(2006年12月)は,歯科医師数は毎年平均およそ1,500人のペースで増加しており,19年後の2025年には約11,000人の供給過剰に達し,それ以降も改善されないと推測している。日本の総人口が今後減少していくにもかかわらず,歯科医師数は依然として今後も増加していくという予測がなされている。
 註記)http://www.weblio.jp/wkpja/content/私立歯科大学定員割れ問題/私立歯科大学定員割れ問題概要

 文部科学省がなにをやればいいかは一目瞭然である。学生集め,それも学力的に十分にかなった受験者を集められない,あるいは国家試験が6割程度〔以下〕しかない歯科大学・大学歯学部は廃学にする行政指導を,できれば強制的にもおこなうべきである。ところが,肝心要である文部科学省の姿勢がへっぴり腰に映る対応に終始している。

 前段引用での最後の記述が「日本の総人口が今後減少していくにもかかわらず,歯科医師数は依然として今後も増加していくという予測がなされている」という状況のなかで,文部科学省がそのようにのんびりした行政の姿勢がいいのかと問われれば,これには大いに疑問ありといわざるをえない。

 なお,歯科大学・大学歯学部の問題ついては,末尾に参考文献として2点を挙げてある。あとで一読をお願いしておき,ここでは,つぎの文書が総括的に解説する関連事情をさらに聞くことにする。

 ④「歯学部:30年で約3割の定員減-2014年国家試験合格率は大幅ダウンの63.3%」(https://passnavi.evidus.com/dept_research/201504/01/html/1)

 医学部(医学科)が定員増を続けるのと対照的に,歯学部(歯学科)では定員減が続き,この30年で約3割減っている。背景には近年の歯科医師の過剰感,それに伴う歯学部志願者の減少,私立歯科大学・歯学部の入学定員割れなどがあった。私立大の定員割れは,入学定員の削減・学費の値下げによっていくぶん改善された。

 もうひとつの課題とされていた国家試験合格率も,2008~2010年は60%台に下降したが,2011~2013年は70%台に回復した。しかし,2014年実施の第107回国家試験では前年より7.9%の大幅ダウンで63.3%となり,過去10年間でもっとも低い合格率となった。

 国立大学の平均合格率は78.3%で,岡山大学歯学部の86.6%がもっとも高かった。公立大学(九州歯科大学のみ)が75.2%,私立大学の平均は58.6%で,東京歯科大学の94.5%が飛びぬけている。

 歯科医が過剰と言われているが,実際は都市部に集中しており,医師同様地域偏在が大きい。また,世界的にみてもようやく先進国の平均ぐらいになったところで,アメリカに比べて人口あたりの歯科医数はまだ半分。

 歯学でも再生医療の研究がマウスの歯の再生などで進められているなど,歯学と医学の融合も進んでいる。歯科医療は全身医療であるという考え方が一般的になり,医学部や薬学部との連携教育はいっそう推進されていくだろう。
 補注)1970年代後半の話題である。たとえば,北海道の過疎地域には歯科医がおらず苦労していたが,これを解決するために韓国から高年齢層の歯科医が,植民地時代に教育を受けているので日本語が堪能な人たちとして招聘しては,その穴埋めに充てていた。実際にその1人であった韓国人歯科医に聞けたところでは,当時ですでに600名くらいは「私と同じような人が日本に来て治療に当たっている」という話であった(そのために韓国のほうがどうなっていたかについては寡聞にしてしらず,これ以上は説明できない)。

 少人数制のチュートリアル,参加型臨床実習,最新機器を導入した臨床実習と,歯学教育は大きく変わりつつある。高齢化が進む地域医療の現場や,歯科医の少ないアジア・アフリカ諸国への貢献など,活躍の場も広がっている。

 ⑤「トンデモ歯科医の見分け方 出身大学の偏差値の把握も必要」(『女性セブン』2015年1月22日号,http://www.news-postseven.com/archives/20150112_297393.html,2015.01.12 16:00)

斎藤正人表紙 a) 削らなくていい歯を削っていたり,抜かなくていい歯を抜いていたり,世にあふれるペテン歯科医。そもそも成り手に問題が多いというのは『この歯医者がヤバい』(幻冬舎新書)の著者でサイトウ歯科医院(東京・渋谷)の斎藤正人院長だ。

 「大学の歯学部は医学部に入れなかった挫折者や親のコネ入学が少なくない。定員割れで名前を書けば入学できるような歯学部もあります。ハッキリいって,知識レベルに不安のある人間が歯科医になっているケースが多いんです」。

 斎藤さんのしる歯学部学生には「鶴岡八幡宮」を「つるおか,やはたみや」と読んだり,「静脈」を「せいみゃく」と大真面目に読むツワモノまでいるという。

 2014年,歯学部全29校における国家試験の合格率は63.3%で医学部の国家試験合格率90.8%と比べかなり低い数値だった。最下位の大学にいたっては23.6%で4人に1人しか合格していない。

 こうした学生が何年も国家試験に落ちつづけてやっと合格し,歯科医となっているのが現実だ。しかも,その後鍛練する機会は少ないと医療ジャーナリストの田辺功さんはいう。

 b)「ほとんどの一般病院は歯科を併設しておらず,多くの歯科医が開業します。しかも医科のように複数の医師が切磋琢磨することが少なく,歯科医はデタラメ治療がまかりとおりやすい。たとえばインプラント治療ではメーカーの講習を2~3日受けただけで施術を始める歯科医もいる。歯科医の質がチェックされないことが最大の問題です」。

 現在までインプラント手術中の事故など,歯科関連の重大事故が多々起きている。大切な歯を守るため,歯科医をどう見分ければいいか。なにより大切なのは歯科医のコミュニケーション能力だ。

 「患者の相談や悩みによく耳を傾けて,どんな治療を望むか確認してくれる歯科医は信頼できます。治療法をしっかりと説明し,患者の同意を得る『インフォームド・コンセント』を心がける歯科医がおすすめです」(斎藤さん)。

 c) 治療のやり方も大きなヒントになる。「最近は患者の顔をみず,レントゲンやCTを眺めるだけの歯科医が多いが,治療の基本は患部に触ることです。腐敗や薬の染み具合を確認するため,患部の匂いを嗅ぐことも重要。五感をしっかり使って治療する歯科医は信頼できます」(斎藤さん)

 d) 歯科医の腕をしるには  “身辺調査” も有効だ。「歯科医は経験がものをいうので,なるべく歯学部卒業後10年以上の歯医者を選びたい。また,偏差値下位の私立大学歯学部出身の歯科医には注意が必要です。

 他の先生から教科書どおりに指示された治療はできても,実際の現場で状況に応じて自分で考え,判断を下すことができない歯科医が多いからです。厳しい見方ですが,歯科医の知性やレベルはある程度,偏差値で判断できます」(斎藤さん)。

 --そこで参考にまで歯科大学・大学歯学部の偏差値を紹介しておく( http://daigakujyuken2.boy.jp/zenkokushigakuburanking.html )。これは一例の数値であり,受験産業の各社によって多少の相違は残る。しかし,議論の基本に関しては支障がない。
 
       ★ 2015年全国大学歯学部偏差値ランキング ★

 
 ※-1「69~60」(すべて国公立大学である)
  東京医科歯科大 [歯/国/東]  66   大阪大学 [歯/国/大阪]  66
  九州大学 [歯/国/福岡]  65     北海道大学 [歯/国/北海道]  63
  東北大学 [歯/国/宮城]  63     岡山大学 [歯/国/岡山]  63
  広島大学 [歯/国/広島]  63     新潟大学 [歯/国/新潟]  62
  徳島大学 [歯/国/徳島]  62     鹿児島大学 [歯/国/鹿児島]  62
  九州歯科大学 [歯/公/福岡]  61   長崎大学 [歯/国/長崎]  61

 ※-2「59~50」(すべて私立大学である)
  東京歯科大学 [歯/東京]  58    昭和大学 [歯/東京]  54
  日本歯科大 学[生命歯/東京]  53  日本大学 [歯/東京]  51

 ※-3「49~40」(すべて私立大学である)
  愛知学院大学 [歯/愛知]  49    明海大学 [歯/千葉]  48
  大阪歯科大学 [歯/大阪]  48    日本大学 [松戸歯/東京]  47
  日本歯科大学 [新潟生命/東]  47  朝日大学 [歯/岐阜]  47
  神奈川歯科大学 [歯/神奈]  45   北海道医療大学 [歯/北海]  44
  岩手医科大学 [歯/岩手]  44    松本歯科大学 [歯/長野]  43

 本ブログ筆者の大学問題に関する持論でいえば,一般論として偏差値55以下の大学・学部は不要・無用としている。とりあえず,※-3の歯科大学・大学歯学部は廃学にしたほうがよいはずである。

 私立大学の経営問題を考えている「らしい」文部科学省のみせている「前述のようないいわけ」は,文教政策にたずさわる国家官庁のいいぶん:理屈としては『下の下』である。前述に紹介したごとき台詞を吐ける文部科学省ならば,こちらも不要・無用。

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 ◯ 参考資料 ◯

  ※-1 公益社団法人日本歯科医師会『歯科医師需給問題の経緯と今後への見解』平成26年10月

  ※-2『歯科大学・歯学部入試』2014年