【蓮池 透が公刊した,猛烈な安倍晋三「批判の本」】

 【安倍晋三は《嘘つきだ》と痛烈に,名指しで批判する本だが,そのとおり  “政治的な事実”  である】

 【日本国首相の「不都合な真実」や「不名誉な事実」の暴露】



 本日〔2015年12月22日〕は冬至である。クリスマスが本当は冬至のこの日のことであったのか,それとも新年を迎えるための区切りの日であったかは,筆者にはまだよく分かりえない話題である。それはともかく,本日の朝刊の新刊本広告として,つぎのものが出ていた。
蓮池透本広告日経2015年12月22日朝刊4面
 本ブログ筆者がみて,ここに切り貼りしてかかげたこの広告部分は,『日本経済新聞』朝刊4面(「政治」)の下部(脚)に出稿されていた講談社の広告全体のうち,ほぼ右側3分の1を充てられていた。

 ① 紀伊國屋書店の広告,蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社,2015年12月18日発売,サイズB6判・ページ数 282頁)。

 本書の現物は未見(未読)なので,とりあえず,紀伊國屋書店のホームページに出ている宣伝用の「内容説明;完全に隠蔽されていた,日朝交渉の全裏面史!!」に聞いておきたい。

 本ブログ筆者自身の感想などは後日,追記する予定である。本書の目次から紹介する。

蓮池透拉致被害者表紙3 a) 目 次
  序 章  「救う会」に乗っ取られた「家族会」
  第1章 拉致を使ってのし上がった男
  第2章 被害者死亡を認めた首相の大罪
  第3章 拉致被害者を利用したマドンナ
  第4章 情報はゼロの外交官
  第5章  「救う会」を牛耳った鵺
  第6章 政治家を怖れるマスコミの罠
  第7章 カンパを生活費にする男
  第8章  「家族会」を過激にした張本人
  特別対談 - 拉致問題の現在と最終解決  青木  理&蓮池  透

 b) 著者紹介
 蓮池 透[ハスイケ・トオル]は,1978年に北朝鮮に拉致された蓮池 薫の実兄,北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の事務局長などを歴任した。

 1955年新潟県に生まれ,東京理科大学理工学部電気工学科卒業後,1977年東京電力入社,2002年日本原燃に出向し,同社燃料製造部副部長,核廃棄物再処理(MOX燃料)プロジェクトを担当,2006年東京電力原子燃料サイクル部部長(サイクル技術担当),2009年に東京電力を退社。

 c) 出版社内容情報
 2002年の日朝平壌会談のあと安倍晋三は,本当に拉致被害者たちの北朝鮮一時帰国に反対したのか? 被害者家族が語る究極のインサイドストーリー。その後,対北朝鮮強硬派として政治的な地位を高めた現首相,そして,その周辺に蠢いた数多くの人間たちの打算と裏切りを告発する,究極のインサイド・ストーリー!!
 註記)https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784062199391

 ② 講談社の広告

 ① に利用してみた本書,蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』の解説は,出版元であるこちら講談社のものを転記していた。ただ,講談社のこの解説になかには発行日が,2015年12月17日と書かれていた。
 註記)http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062199391

 --蓮池 透はすでにだいぶ以前から,北朝鮮に拉致された被害者(蓮池 薫)の肉親の1人として,『救う会』『家族会』からは離脱していた。本書の目次をみただけでも,いったい誰がどのような人物として,そしていったいなにをやってきたか,なかでもとくに安倍晋三が小泉純一郎政権時代から,いったいどのような関与を,この拉致問題に対しておこなってきたかもとりあげ,批判している点がよく伝わってくる。

 蓮池 透が指摘・批判するいちばん大きな問題は,安倍晋三が「北朝鮮による拉致問題」を,自民党政権と自分自身に対する日本国民たちの支持をえて高めるための〈小道具:具材〉として活用・料理してきた事実にみいだせる。

 すでに,正式名を『北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会』と名乗る略称『救う会』や,『北朝鮮による拉致被害者家族連絡会』と名乗る略称『家族会』などについて,本ブログは以下の記述〔など〕でとりあげたことがある。

 ⇒  2014年12月01日「いつまでも埒があかない北朝鮮の日本人拉致問題」,副題「『日本人の物語(不幸・悲劇)』に終始する『拉致の被害』論」「拉致「異論」との対話問題」「金 日成バッチとブルーリボンバッジの呉越同舟?」。

 蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』は,今朝発注したばかりで未読であるゆえ,実際に一読したのち,さらに感想など関連する議論をすることにし,本日はつぎのように事前に記述しておくだけにする。

 ③ 安倍晋三程度の亜流政治家に洗脳されるほどに日本国民たちは感度不良の知性・理性しかもたないのか

 アマゾンの書評(ブック・レビュー)欄には,本日〔12月22日〕朝の時点で1件投稿されている。しかし,この「★1つしか付けていない評価の主」は,あいもかわらず,まったく『北朝鮮ばりの日本側におけるネトウヨ流になる「逆洗脳・作用」』にドップリ浸かったままの感覚でもってしか,この本を読めていなかった様子(知識水準)がひしひし伝わってくる。

 その程度の貧弱な理解水準しかもちえない日本国民たちが大勢いる。だからこそ,安倍晋三の「対北朝鮮に対する単細胞的な敵視政策」は,いいかえれば,この「北朝鮮による拉致問題」があるのだからこれを逆用した関係をもって,なにに対してでも「水戸黄門風の葵紋」の代わりにこの拉致問題をもちだしては,かの国との外交問題すべてをぶちこわしにしてきた。

 それでいながら,安倍晋三の拙劣でとりたてて能のない対北朝鮮外交の実質(具体的な成果はなにもなし)をなんとも思わない日本国・民は,自分たちのほうこそが,本当は絶対的に「戦後朝鮮の被害国なのだ」とでも形容すべき,すなわち「ある種の《万能感》的な対抗意識」を,基本的に〈虚偽のイデオロギー〉として抱き,しかもこれにしがみつづけている。

 これまで,官民を挙げて共有されねばならなかったかのような「現代日本における北朝鮮に対する一種独特の政治・社会意識」は,安倍晋三の対北朝鮮外交にありように関してみれば,この意識じたいに関してすらなにも疑問を感じないまま,いままで過ごしてきた。これは実に奇妙な「隣国に対する基本意識」であるが,それでもこの気分をもちつづけられる国家・国民でもある。

 しかしながら,外交問題への取組やその対処方法はたとえ,とうてい許しがたい要素・性格を根底に控えさせる「不倶戴天のような相手国」であったとしても,この外交は外交じたいとして否応なしに「やらねばならない」「付きあわねばならない」。この基本は,外務省の官僚に尋ねるまでもなく,しごく自明であり過ぎる「諸外国とのつきあい方の初歩:イロハ」に属する注意事項である。

 ところが,安倍晋三率いる現状のごとき自民党極右政権は,ブルーリボンバッチを「常時〈佩用〉」し,それもふだんの着衣につけて行動している。このやり方は,特定の価値観に偏向した意思表示手段をもって敵国であるとみなしたかのような,つまり,北朝鮮に対して特別に用意された,挙国一致的な「敵意むき出しの外交姿勢」である。
ブルーリボンバッチをつけていない鳩山由紀夫画像
出所)http://blogs.yahoo.co.jp/koreyasu12345/30119897.html
これはブルーリボンバッチ「思想」に洗脳されている日本国民
側における〈素朴な意見〉「実例のひとつ」である。安倍晋三
にとっては歓迎したい動きであった。


 そしてなによりも,安倍晋三たちは,この政治的な構えに疑問を抱いていないどころか,むしろ意識的に国民たちの支持をえるための便法として,そういう《政治的にもみえすいた演技:扮装》を,日常の活動のなかに密着・注入させてきた。

 北朝鮮拉致問題をどのように受けとめ考えるか,各種各様の意見・立場があるにもかかわらず,安倍晋三政権の枠内では,そのブルーリボンバッチ着用方式に明確に象徴されるように,ただひとつの方途にしか固着しえないほどに頑迷である。

 だが,この思考の特性はよく考えてみるまでもなく,明解に,あちら側の国家体制と瓜ふたつである。この政治手法では,相手国がどの外国であれ,なにかの交渉をおこない,成立させ,成果を生むための手がかりすら求めることができなくなる。

 安倍晋三が「北朝鮮問題を利用し」,自民党支持層を獲得する戦術のために生かしているそうした政治手法は,あまりに幼稚であり,一流をめざす政治家がまともに採るべきものではない。

 安倍がいつものように披露してきている政治のやり方は,子供のケンカ・レベルである。したがって,2国間における外交問題となるや,それも相手が北朝鮮になると最低限必要な抑制が効かないゆえ,政治的な操作(やりとり)などまともに成立させえない。いうなれば,常時「パンクした精神状態」であるのだから……。

 相手国の北朝鮮がとくにひどい独裁国だからといって,こちら(日本国)のほうでも,その程度を真似る〔猿まねする〕ような国家であっていいわけがない。

 もっとも,現状において安倍晋三が政治的に追求し指導する路線のなかには,日本国の「民主的な独裁的政権体制」化という目標がはっきりみえている。それゆえ,この「幼稚と傲慢」「暗愚と無知」の首相による粗暴・乱雑な政治路線が,ただ無意識的(?)に猛進していくだけでは,一流国としての外交はとうてい推進不可能である。

 --さて,本日の記述は,以上までの記述でとりあえず終わりにしようと思っていたところ,ネット上には2015年12月20日の記事としてすでに,以下に紹介する関連記事が出ていた。これは,読書案内として,くわしく紹介しておく価値がある。

 次段に参照する記述内容は,本書,蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』に関して,こう説明している。これは,本ブログ筆者の解釈も入れた要約である。

 ★-1  「北朝鮮による日本人拉致問題」を,自民党および自分自身のために「党略的・個人利害的にのみ利用してきた」安倍晋三の内政・外交を批判している。

 ★-2 くわえていえば,外交問題を個人次元においてまで政治的に悪用してきた,この安倍晋三の狷介かつ劣情的な魂胆を,一般国民に広くしらせるうえで,必読文献である。

 ★-3 なかんずく,本書,蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』は,安倍晋三と自民党極右政権に〈一定の打撃〉を与えうるはずである。つまり,2016年7月に予定されている参議院選挙にも大きく影響を与える可能性もある。
蓮池透後援会ポスター画像
 出所)これは2010年のもの。http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/dab2a827385c9650d2118a3ba605ac2c

 一方に,安倍晋三を盲目的に支持する『国内の愚民』が多数いるけれども,他方に,こちらの特定である知的水準にまさしく合致した宰相が,この安倍晋三なる人物と実在している。この人物に特有である「幼稚と傲慢」「暗愚と無知」に頼った「一国の指揮」ぶりは,単なる悪知恵の活用だけにかぎっては狡猾にも展開できていた。これはいわば,彼の〈特技〉であった。

 ところが,その実質の内容となると,まったき低質で空虚そのもの,やはり百害あって一利もない「逆向きの成果」ばかりである。それも世襲政治家的に我流の政治であるがゆえに,結局はつねに「反国家的・非国民的な逆作用」=《負の効果》しか招来しえない采配ぶり,こればかりが明白にさらけ出されている。

 ④ 蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社,2015年12月)を紹介した記事

 本書をまだひもといていない時点である。そこで,この本を紹介した記事が12月20日時点で書かれていたので,これをつぎに全文引用しておく。

 『リテラ -本と雑誌の知の再発見-』(2015年12月20日)に掲載された「安倍さんは薄ら笑いで私に…元家族会・蓮池 透氏が著書でも徹底批判! 安倍首相の拉致問題政治利用と冷血ぶり」である。
 註記)以下は,http://lite-ra.com/2015/12/post-1803.html(~・・・post-1803_5.html まで)。なお引用では敬称はとった。文章については若干の補正もある。

  1)「安倍さんは嘘つき」
 先日,本サイト〔引用元のこと〕が報じた,北朝鮮による日本人拉致事件被害者である蓮池 薫の兄・透による “安倍首相批判” には大きな反響が寄せられた。安倍がこれまでアピールしてきた,拉致問題に関する “武勇伝” がことごとく嘘にまみれていた……それを拉致被害者家族が直接指摘したことに,衝撃を受けた人が多かったようである。

 だが,透の怒りはおさまらない。じつは先日〔12月〕17日,透は著書を上梓。そのタイトルはズバリ,『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)というものである。

 まず,透が暴露した安倍の “大ウソ” とはどんなものか。そのひとつが,先日,辻元清美のパーティで明かした,2002年,日朝首脳会談時の “武勇伝” である。

 当時,官房副長官だった安倍は小泉純一郎・元首相とともに訪朝したが,安倍はそのときのことを「北朝鮮側,金 正日総書記から拉致問題について謝罪と経緯の報告がなければ,日朝平壌宣言にサインをせず,席を立って帰るべきだと自分が進言した」と触れまわった。

 しかし,透は「そういうことになっているが,ウソ。それは,みんなの共通認識だったんだから」と,暴露した。つまり,安倍は〔当時〕いってもいないことをでっちあげて,自分のイメージアップに利用した。

 そしてもうひとつ,蓮池が語っていたのが,拉致被害者が北朝鮮から一時帰国したときの “大ウソ” だったが,本書では,そのウソの経緯が詳しく書かれている。

 実に24年振りの帰国となった被害者らだが,あくまで政府は「一時帰国」とし,北朝鮮に戻すつもりでいた。そんななかで透は,弟・薫を日本に踏みとどまらせようと恩師や旧友たちと再会させたりなど,懸命に尽力した。だが,マスコミは「いつ北朝鮮に戻るのか?」と質問してくるだけ。両親でさえ,戻る日をカレンダーでカウントダウンをする日々だったという。

 なぜなら,安倍をはじめとする政府側は北朝鮮に対して戻すと約束してしまっていたからである。当然ながら,彼らが「弟たちを止めることなどしな」かった。透は,国が力を貸してくれない絶望感に襲われながらも踏んばりつづけ,結果,薫らは日本に残るという決断をおこなったのだ。

 2)しかし,薫ら拉致被害者5名が日本に留まることを決意し,それが覆せないほどに強い意志だとしると,安倍らは「渋々方針を転換」。にもかかわらず,安倍は “体を張ってオレが〕必死に止めた” などといいだした。
 註記)〔 〕内補足は筆者。以下同じ。

 この大ウソに対して透は既報のとおり,「これは〔安倍晋三の〕真っ赤なウソ! 止めたのは,私なんだから! 安倍さんが止めたっていうのであれば,途中で電話をしてくるとかあるはずだけど,そんなのない。あれは,安倍さんが止めたんじゃない,私が止めたんだ!」と怒りを露わにしていた。本書でも,こう述べる。
中山恭子画像
 「あえて強調したい。安倍晋三,中山(恭子のこと,当時,拉致被害者・家族担当で内閣官房参与だった)は,弟たちを一度たりとも止めようとしなかった。止めたのは私なのだ」。
 出所)画像は中山恭子,https://www.youtube.com/watch?v=nP9kIsxtQYA

 「世間では北朝鮮に対して当初から強硬な姿勢をとりつづけてきたと思われている安倍首相は,実は平壌で日本人奪還を主張したわけではない。 --中略--  安倍は拉致被害者の帰国後,むしろ一貫して,彼らを北朝鮮に戻すことを既定路線として主張していた。弟を筆頭に拉致被害者たちが北朝鮮に戻ることを拒むようになったのをみて,まさにその流れに乗ったのだ。そうして自分の政治的パワーを増大させようとしたとしか思えない」。

 透がこれほどまでに憤慨するのは当然の話である。安倍はこうしてエピソードを捏造し, “拉致問題の立役者” であることをさんざん世間にアピール,支持層を広げてきた。嘘の武勇伝によってかたちづくられた「北朝鮮にはっきりモノがいえる人物」「情に厚いリーダー」などというイメージによって,結果,総理大臣にまでのしあがったのだ。

 しかも,問題はこの捏造癖だけではなかった。拉致問題をきっかけに多くの人気をえることができた安倍は,こんど度は北朝鮮を目の敵にしてきた右翼勢力とも連携するかたちで,北朝鮮に対する強硬な姿勢を激化させる。それはまさに,拉致問題の解決とは真逆なものだったという。

 透は,安倍が第1・2次内閣で北朝鮮に対して「講じた手段」を,「北朝鮮に対する経済制裁と拉致問題対策本部の設置……このふたつのみである」と論評し,これを「やみくもな経済制裁」として批判する。

 北朝鮮に対して経済制裁を実行するならば,「被害者の救出に直結する戦略的なものであるべき」だと透は訴えてきた。「北朝鮮にどのような反応が生じるか,一方の日本はどのようなシナリオで救出するのか,そうしたことをきちんとシミュレーションしたうえで,具体的に知恵を絞った方策」でなければ意味がない。

 3)しかし,日本がおこなった「やみくもな経済制裁」は「北朝鮮の感情を悪化させ,彼らの結束を固めただけ」であった。

 それでは,なぜ日本政府は効果のない手段にこだわってきたのか。透は「拉致問題に対する基本姿勢が〈逃げ〉であったからだ」と看破する。「勇ましい姿勢」を国民にしらしめるという「日本国内向けのパフォーマンスをしていた」だけだ,というのである。

 当然のこと「拉致問題対策本部の設置」にしても,それは「国内向けの拉致問題啓発活動」でしかなく,拉致被害者を帰国させるための外交政策でもなんでもない。

 拉致問題を自分の人気を上げるための道具に使う……。はたして本気で拉致被害者たちを救う気があったかどうかさえ疑わしいが,透が本書で明かしている「拉致被害者支援法」の成立の経緯を読めば,いかに安倍首相が拉致被害者に対して冷酷であるかがよく分かる。

 「拉致被害者支援法」は,2002年11月に安倍らが中心になって成立させたが,草案では,拉致被害者にひとり当たり月額13万円を支給(収入が発生した場合は減額)すると書かれてあったという。これにはあまりに低すぎないかという指摘もあがったが,自民党議員からは「野党が吊り上げるからこの程度にしておく」と説明がなされた。だが,現実には,委員会審議で金額が高すぎると反発され,法案はそのまま成立されてしまった。

 これでは被害者たちは騙されたようなものだが,この自民党のやり方に対して透は,「国の不作為を問い国家賠償請求訴訟を起こしますよ」と安倍に迫る。そのとき,安倍は「薄ら笑いを浮かべながら」こういいはなったという。「蓮池さん,国の不作為を立証するのは大変だよ」。

 安倍首相本人が流布してきた “拉致問題の解決に心血を注ぐ信念の政治家” 像からはまるでかけ離れた,信じがたい態度である。少しでも,拉致被害者および家族へ深く思いを寄せていたのなら,このような言葉は出てくるはずがない。だが,それでも安倍による『拉致被害者の政治利用』は延々とつづいた。それは昨〔2014〕年〔12月〕の衆院選でも同じだ。

 安倍は昨年の衆院選で,自民党候補者の応援のために薫の地元である柏崎で演説会を開いた。そのさい,演説会の出席を薫に求めたが,薫は多忙を理由に固辞。すると,今度は両親を駆りだしたのだ。そして会場では,安倍と候補者から「拉致被害者,蓮池 薫さんのご両親も来ておられます」と紹介されたのだという。このとき,蓮池の母親は「結局,安倍さんのダシにされただけだね」と嘆いていたというが,まさに面張牛皮とは安倍首相のことである。

 4)それだけではない。昨〔2014〕年5月の日朝合意後,安倍政権はマスコミを利用して「拉致被害者が帰ってくる」と大々的に喧伝した。

 だが,実際は,昨〔2014〕年の「夏の終わりから秋の初め」にあるといわれていた北朝鮮からの報告もなし。日本側は北朝鮮が報告をしてこなかったと説明していたが,これは北朝鮮の「生存者なし」という回答を日本側が受け入れなかっただけだと指摘されている。さらに,延期した報告期限もとうに過ぎ,またしても膠着状態に陥っている。

 結局,昨年に安倍がやったことといえば,「安倍首相が拉致被害者を北朝鮮から連れ帰るかもしれない」とメディアを通じて期待感だけを掻き立て,その後は厳しく追及されることもなく,問題をフェードアウトさせただけであった。透はこれを「一大茶番劇」と表現する。
 
 「安倍首相には,『誠心誠意,協議,交渉をした。あらゆる手段を講じた。だが,また北朝鮮に裏切られた。本当にけしからん』とする逃げ道がある。もしそうなるのだとしたら,2014年の一連の動きは,すべて政権浮揚のためのパフォーマンス,拉致問題の政治利用,換言すれば一大茶番劇であったとみられてもしかたがない」。

 もちろん,拉致被害者たちを政治的に利用するために近づいてきた輩は安倍晋三だけではない。とくに「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下「家族会」)を初期から支援した「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(以下「救う会」)の幹部は「右翼的な思想をもつ人ばかり」。

 「救う会」による勉強会では,憲法9条の改正や核武装の必要性までもが語られたという。そのころの様子を,透はこのように振りかえる。

 「当時の『家族会』メンバーには,政治的信条はとくになかった。キャンバスにたとえれば,真っ白だったといえる。それが,『救う会』のいわゆる『オルグ』の連続により,徐々に右翼的な色に染まっていった」。

 これは透にしても例外ではなかった。テレビ番組では「個別的自衛権を発動して,自衛隊が救出にいってもいいのではないか」「憲法9条が拉致問題の解決を遅らせている」と発言したこともある。だが,透は,当時の自分を「勘違いしていた」「いま考えると非常に恥ずかしい」という。

 このままではいけない。右傾化してしまった「家族会」をニュートラルな立場に変える必要がある。そう考えた透は「北朝鮮との対話」を訴えるようになるが,するとこんどは,「国賊」「売国奴」とネット上で誹謗中傷を受けるようになり,「家族会」からも「退会」の手続がとられてしまった。実質上,除名されてしまったわけである。

 5)そうした流れはいまも変わらない。被害者のための積極的な交渉をおこなわない政権の外交には文句はつけず,右翼思想の議員やネトウヨたちは北朝鮮叩きのために拉致問題を利用しつづけている。

 拉致被害者救出運動のシンボルマークとしてつくった「ブルーリボンバッジ」も,いまでは議員たちの「国内向け選挙民向けのパフォーマンス」〔その演技のための小道具に悪用されているのがブルーリボンバッチである〕になってしまった。そして,こうしたすべての筆頭こそが安倍首相である。透は安倍をこのように断罪する。
   「まず,北朝鮮を悪として偏狭なナショナリズムを盛りあげた。そして右翼的な思想をもつ人々から支持をえてきた」。

 「アジアの『加害国』でありつづけた日本の歴史のなかで,唯一『被害国』と主張できるのが拉致問題である」。

 「ほかの多くの政治家たちも,その立場を利用してきた。しかし,そうした『愛国者』は,果たして本当に拉致問題が解決したほうがいいと考えているだろうか?」
         蓮池透表紙2
  註記)蓮池 透・太田昌国『拉致対論』太田出版,2009年8月。
 拉致問題の解決を望むのであれば,ただ圧力をかければいいというものではないことは,もうすでに明らかになっている。だいたい,透の言葉を借りれば,「集団的自衛権の行使容認を閣議決定して北の脅威を煽っている人が,その北との協議を進めている」現実の無茶苦茶さこそが,すべてを物語っているのではないか。

 このほかにも透は本書のなかで,「家族会」「救う会」内部の内紛や金銭をめぐるトラブル,政権を忖度するNHKをはじめとするマスコミへの批判など,さまざまな問題を告発している。

 だが,「私は本書で関係者を断罪することを意図するものではない」と述べているように,透は鬱憤晴らしのためにこの本を世に放ったわけではないだろう。拉致問題の進展を阻む元凶が,被害者たちを政治利用しながら総理大臣の座にのさばっている,この重大で深刻な問題を忘れてはいけない。(編集部)

 --以上の記述についていえば,すでになんども断わってきたように,本日の時点で筆者はまだ本書を入手しておらず読んでいない。けれども,いままで蓮池 透の他作などにうかがえる見解・立場から予想していたとおりの内容・中身であった。やはり「そうであったか」という印象・感想である。

 蓮池 透はいままで,何冊もこの北朝鮮拉致問題に関連する著作(共著)を公表している。それらも併せて読めば,最近における日本政府=安倍晋三の欺瞞的な対北朝鮮外交の一端に接することができるはずである。

 ⑤ 原発問題における安倍晋三政権の欺瞞的な政治姿勢

 蓮池 透は,東京電力福島第1原子力発電所に勤務していた。しかも,彼の経歴には,2002年日本原燃に出向し,核廃棄物再処理(MOX燃料)プロジェクトを担当したあと,2006年東京電力に戻ると,原子燃料サイクル部部長(サイクル技術担当)になっていた,と書かれていた。

 つぎに引用する「放置されたままの東電の信じがたい原発事故発表の衝撃」『天木直人のメールマガジン』(2015年12月22日,1041号)は,福島第1原発の3号機で核燃料として提供されていたのがMOX燃料であった事実にかかわる記述をおこなっている。
    原発事故について素人の私でも,これらのニュースがどれほど深刻な意味をもっているか,分かる。すなわち東電がいまごろになって発表した。放射能が大量放出されたのは福島原発第3号機の格納容器が完全に破損していたからだったと。これを12月18日のNHKなどがあっさりと報道して終わっている。

 これまで散々伝えられてきたことは,爆発をおそれて水蒸気を放出(ベント)したため放射能が拡散した,ではなかったのか。格納容器が完全に破損していたということは,いわゆるメルトダウン,メルトスルーということではないのか。

 専門家にいわせれば大変なことに違いない。それをいまごろになってなに食わぬ顔をして認めたのだ。そう思っていたら,立てつづけにもうひとつの驚くべきニュースが流された。

 東電は18日,汚染地下水が染み出るのを防ぐ「海側遮水壁」が完成したことによって,せき止められた地下汚染水が急増している(1日約400トン)と原子力規制委員会に報告したという。12月19日の各紙が小さく報じていた。

 深刻なことは,急増する地下汚染水の浄化が間に合わず,海に流さなければ対応できない恐れがあることだ。なんのための「海側遮水壁」だったのか。しかし私が衝撃を受けたのはこのふたつの報道だけではない。

 より衝撃を受けたのは,このような深刻な東電の発表について,メディアがまったく騒がないところだ。それだけではない。うそつき安倍が原発再稼働に踏み切った。その後も電力会社が続々と原発再稼働の動きをみせている。

 この安倍政治のでたらめぶりを追及できるこれ以上ない東電の発表を,野党がまったく政治問題化しないところだ。この国のメディアは機能していない。この国の政治はもっと機能していない。これでは国民はなにも気づかないままだ。

 国民の気づかないところで,この国は大変なことが,あらゆるところで噴出し,解決策のないまま漂流し続けているのだ。私はもっぱら外交についてそのことを指摘しつづけているが,いきづまってるのは外交だけではない。

 すべてにいきづまっているのだ。この国は危機的状況にあると思う。
 註記)http://movement.main.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=3358
 出所)http://foomii.com/00001/2015122208245030491
 つまり,原発問題についても安倍晋三政権に重大な責任がある点はいうまでもなく,この安倍のせいで日本全体が,実質的に全身(肉体も精神も)マヒ状態にある。

 それは実は,安倍晋三自身にとっては〈喜ぶべき事態〉〔⇒愚昧な宰相にみあった衆愚の存在〕の到来かもしれない。だが,実はこの安倍自身にとってすら,たいへんまずい日本国の現状が生成されつつある。
    つぎの報道は2014年1月中旬のものであった。参考にまで引用しておく。「3号機の格納容器破損による汚染水漏れ,書かないメディアの不思議」という題名である。

 都知事選の争点として脱原発の色合いを出来るだけ薄めようとしている安倍政権と自民党だが,そんな姑息なことをするより,目の前の原発による危機をいかに解決するかを考えるべきだろう。

 MOX燃料を使用していた3号機の格納容器から,とんでもない高濃度の放射能が,いまも漏れている。大新聞は,都知事選が近づくにつれて,フクシマの最新の事故状況をほとんど書かなくなったが,まずNHKのサイトから引用(「NHK NEWSWEB」の該当記事)。

☆ 3号機 冷却水が格納容器から漏れたか ☆
=2014年1月20日 5時12分=


 東京電力福島第1原子力発電所3号機の原子炉建屋1階の床を流れている水を調べたところ,放射性物質の濃度が高く,メルトダウンした燃料を冷やした水が格納容器から漏れている可能性が高いことが分かり,東京電力では,詳しい漏洩箇所などを調べることにしています。

 福島第1原発3号機では18日,原子炉建屋1階の床に幅30センチほどの水の流れがあり,継続的に排水口に流れこんでいる様子をがれきの撤去作業をしていたロボットのカメラが捉えました。
 福島原発3号機溶融記事写真
   出所)http://www.shikoku-np.co.jp/national/science_environmental/print.aspx?id=20140118000544

 東京電力が調べた結果,1リットル当たりの放射性物質の濃度はストロンチウムなどのベータ線と呼ばれる放射線を出す放射性物質が2400万ベクレル,セシウム137が170万ベクレルと建屋の地下にたまっている汚染水の値に近い,高い濃度であることが分かりました。

 水の温度はおよそ20度で,原子炉の底の温度とほぼ同じだということです。東京電力は,「地下にたまった汚染水よりやや濃度が低いが,なんらかのルートで格納容器から漏れ出した水と考えられる」と話しています。

 3号機ではメルトダウンした燃料を冷やすための水が原子炉に注がれ,格納容器の破損箇所から漏れて建屋の地下にたまっていますが,燃料の状態や格納容器の破損状況は分かっておらず,東京電力は詳しい調査をおこなうことにしています。
 註記)http://koubeinoko.exblog.jp/22995922/
 原発の問題について本ブログは,福島第1原発の後始末は半世紀や1世紀をかけても片づかないと指摘してきた。ましてや,福島の原発1基が格納容器まで破損していたのであれば,これはまさしく “チャイナ・シンドローム” である。

 チャイナ・シンドロームとは,原発事故の状態のうちでも,核燃料が高熱によって溶融〔メルト・ダウン〕してしまい,原子炉の外に漏れ出すメルト・スルーと呼ばれる状態を意味する表現として,使われている。この事態は深刻という形容では表現しきれない,ひどく憂鬱な気分にさせられる。こういう原発事故を現場をかかえたままのこの日本国であるが,今日のニュースも,電力会社の原発再稼働を動きを報道していた。

 誰か? 福島原発事故現場は “under control” だなどと,愚にもつかない大ウソの発言を吐いたのは……。そのような人間が首相をやっているのが,破廉恥に映るほかない「この国の基本的な政治の構図」である。

 以上の様子はマンガでなければ,現実そのものである。現実であるならば,これを早急にどう始末していけばいいのか? 誰しも本当に深刻に真剣になって考えねばならない問題である。

 --なお,以上の原発事故に関する記事については,本ブログでは12月18日に論及していた。

 ◇ 2015年12月18日「『現況における東電福島第1原発事故現場』の『技術史的な位置づけ』でいえば『原発の〈廃炉〉』という表現は不適・不要である」