【国民・血税負担の原発事故後処理は,21世紀中には不可能である】

 【トンデモない怪獣・魔物にかかわってしまった人類の暗愚,原発も原爆も同じ本質である】



 ①「〈でーたクリップ〉放射線が妨げる廃炉」(『日本経済新聞』2017年1月20日朝刊29面「ニュースな科学」)

 この「解説記事」のコラムが,つぎのような,とてもノンキにも聞こえる原発事故関連の記述をしていた。東電福島第1原発事故現場の「後始末にかかる時間は永遠です!」とでも受けとるほかないような科学記事の解説コラムになっている。解説だけでなく,今後における解決策の見通しなども言及してほしいところであるが,そこまでは初めから書く必要はないらしいこのコラムの内容であった。
長嶋茂雄引退写真
出所)1974年10月14日「旧後楽園球場」でカクテル光線に照らされながらお
    こなわれた昭和の名シーンで,長島茂雄は「わが巨人軍は永久に不滅で
   す」と叫んだ。読売新聞社は原発の導入に早くから率先してかかわって
    きたマスコミ機関であった。「原発事故の被害も永遠」か!
http://topicks.jp/images/1042361


 東京電力福島第1原子力発電所の廃炉作業で「最難関」とされるのが,原子炉周辺で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しだ。着手に向けては,具体的な位置や量の把握が不可欠だが,事故後6年が近づくいまも,えられた情報は少ない。きわめて強い放射線が詳細な調査を妨げているためだ。

 デブリが潜む1~3号機の原子炉を覆う格納容器内部では,これまでの調査でそれぞれ1時間あたり最大約10シーベルト,73シーベルト,1シーベルトの地点があると分かっている。積算で7シーベルトを浴びると大半の人が死に至るとされる。調査地点は各号機で違うため単純に比較はできないが,人が立ち入れる環境ではないのは共通だ。
 補注)この説明を受けて聞くかぎりでは,こう解釈するほかないはずである。つまり,「これまでの調査で」は「1~3号機の原子炉を覆う格納容器内部」に「デブリが潜む」と推定されるが,「それぞれ1時間あたり最大約10シーベルト,73シーベルト,1シーベルトの地点がある」ことは「分かっている」ということしか “分かっていない” という実情である。

 専門家でもきびしく観る者は,格納容器内の底面などにデブリが溜まっているとは考えず,すでに建屋の地面にまで溶融した核燃料が落下・到達したと推測している。地下流水の汚染問題は,デブリではなく原子炉とこの関連施設に原因しているのであり,デブリとは関連がないかのように,それも確実に示せる証拠もなしにそのように,いままで解説されてきている。だが,建屋の地面にまで溶融した核燃料が落下し,デブリ化していないとは誰にも説明できていない。


  ここで『河北新報』が2016年9月10日に報道した記事「〈福島第1〉溶融燃料 つかめぬ詳細」に触れてみるが,この記事はこう解説していた。
    事故発生から5年半を迎える東京電力福島第1原発では,凍土遮水壁などによる汚染水対策と併せ,1~3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しという廃炉工程最大の難関が待ち受ける。

 東電は2021年12月までの取り出し着手をめざすが,原子炉内部の様子がようやくみえはじめた段階で,状況の把握すらけっして容易ではない。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
河北新報2016年9月12日原発経過表
 デブリでは〔2016年〕7月末,2号機に関する調査結果がまとまった。物質を透過する性質のある宇宙線の一種「ミュー粒子」で調べたところ,大半が原子炉の圧力容器下部にとどまっている可能性が示された。大部分が格納容器下部に溶け落ちたとみられる1号機とは異なっていた。
 註記)http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201609/20160912_63061.html
 ② 有害・猛毒である原発事故現場の惨状

 要するに,なんといおうとも,東電福島第1原発事故現場は分からないことだらけである。これから本格的に後始末にかかるための準備の,そのまた下準備の段階で,悪戦苦闘させられているのである。

 はたして,このような現場の状況において,いったいいつになったらまともに,この原発事故の「現場の後始末ための工事」そのものに,本格的にとりかかれるというのか。この点でさえまだ,まったく不透明である状況に留めおかれている。ましてや,そのあとにつづいて着手されるはずの “廃炉工程の作業開始” などは,いまのところでいえば,ただ単に「夢みたいな話」としてしかいいようがない苦境にある。

 すでに現段階において東電福島第1原発事故現場の後始末のためには,つぎのように非難もされているほどに莫大な資金が要求されている。しかし,今後においてもこの金額がさらに膨らんでいくことは覚悟しておく必要がある。

 日本国・民はそれこそ「トンデモナイ珍・怪獣の残骸」(とくに有害で猛毒の放射能憑きであるそれ)を抱えこまされたのである。これは「21世紀日本原発事故物語」としての実話である。いうなれば,そういった意味では,安倍晋三のように語れた “アンダーコントロール” 風のおとぎ話などではない。

 つぎのように考えてみたい。

 ★-1 その負担は無限なのか? 原発国民負担「過去分」2.4兆円,福島第1処理費倍増21.5兆円。東電はもともと,事故対策のための積立金は準備していなかった。まず「安全神話」があったし,それにいざ事故が起きたときは免責されることは事前に判っていた法的な事情でもあった。

 原発事故以前,過去の電気代までも国民の責任になすりつけはじめた。経産省は原発ムラの責任を国民の負担にまわし,責任を転嫁して恥じない。それでいて同省の官僚たちは,妙策が考案されたと誇っているのだから,国民の公僕である自負心も地に落ちた。世耕弘成経済産業省大臣は,原発は安いといいはっていた。

 この経産省大臣,やはり,相当にバカなことをいえた安倍晋三「似」の大臣の1人である。原発のコストは事故も起こしたことによって,これからは無限に近いような社会的費用を発生しつづける。これからも事故対策のためにかかえる経費は,着実にその金額を増大させつづけるに違いない。

 ★-2 大惨事以上の福島原発の収束・廃炉は,もしかすると不可能かもしれないのである。現時点では 600トンもの溶融燃料が行方不明。日本は溶けたウラン燃料を取り出す技術をもっていないことを認めている。国民負担の税金,電気代は巧妙に増やされている。

 デブリ(溶融した核燃料)の存在については,その形状からしてなにも把握できていない。ある意味,これほど「ふざけたような事故現場の状況理解」もない。現況が理解できていないかぎり,事故現場の対策すらろくに立てられないのは当然である。

 以前から絶望的な状態にあったというほかない原発事故現場である。福島第1原発の敷地内をキレイに掃除して見学ツアーまで組んで「観光地」化させたところで,この事故現場の核心部分が改善されたり解消されたりしているわけでない。

 ★-3 天文学的な『国民負担』である福島廃炉のための費用は,年間だけで数千億円の単位にもなっている。当初の想定2兆円を大幅に超えている。経産省の計画による東電救済があったところで,見通し〔の〕依然立っていない未知の廃炉作業が,未来に待ちかまえている。もっとも,この廃炉ために有効な技術は現在存在していない。

 それではこれからさき,何百年かかかったら始末できるのか。子どもたちの未来に,重い負の遺産を送って(贈って?)いる最中である。いいかえれば,福島原発の廃炉・収束に関する見通しは,夢物語に近いといってもいいほど,非常な困難をかかえている。

福島第1原発事故処理問題関係画像 結局,廃炉も解体もできない原発であるから閉鎖するしかなく,石棺化するほかないのだが,現地の被災者がそうはさせじと許してはくれない。汚染水対策でも東電は無能・不誠実であるほかなく,いまだにこちらの難題も解決できていない。
 (画面 クリックで 拡大・可 ⇒)

 ★-4 福島原発廃炉に『180年以上』はかかる。なぜなら,英国原発廃炉2基で90年以上かかるといっている(ここでは,被引用者によるこの足し算は不当であるのは,同時並行的に廃炉作業をおこなることが不可能ではないから……,だが形容の仕方としては基本的には妥当する考え方でもありうる)

 ましてや,メルトダウンした事故を起こした原発はどうなるのか? むしろ,こちらの問題が福島第1原発事故の核心であった。すなわち,いまも目も当てられないでいるのが,その現場の状況である)
 註記)以上は,http://s.webry.info/sp/kimito39.at.webry.info/201612/article_25.html を参照したが,ほとんど原型を留めないほどにまで補正・加筆をくわえて記述。右側画像も同所から借りた。

 【ここで再び,引用中の記事に戻る ↓  】
 そのため東電は,遠隔操作ロボットによる調査の計画を進めている。近く2号機の調査に投入されるロボットは長時間の調査ができるよう積算で1000シーベルトの放射線に耐えられるようにした。今回の調査も当初は,2015年夏にとりかかる予定だった。ロボットの投入口でさえ,1時間あたり10シーベルトを超す放射線量の場所があったことも響き,約1年半遅れた。今後は1,3号機でも調査を予定するが,順調にいくかは不透明だ。(記事引用終わり)

 この「予定よりも遅れた」といったごとき,いままでも「たびたび起きていた事情」の発生は,これからも再びつづけるかたちで,「たびたび起こっていく事情」となるはずである。廃炉工程にたどりつける以前の段階(デブリを確認するための作業)ですでに,すったもんだばかりであるのが,現状における東電福島第1原発事故現場の「〈後始末〉状況」である。

 今後においても多分,高い確率でもってそうなっていくと観ておくほかないのだが,22世紀とか23世紀とかを念頭に置く対応(対策)が必要だとすれば,これはもうすでに「いま生きているわれわれ」にとっても「想像を絶する事態」が,目前にぶちまけられていると表現するほかあるまい。

 「原発」は結果的にも罪作りであった。原爆は当初から罪そのものを作る兵器である。両者(核発電という装置と核兵器という武器)は,人間の身体構造に譬えれば,もとより右手と左手(左右対称部位)の関係にあったわけである。その本体はもちろん共通しており,原子力という《悪魔の火》である。