【安倍晋三の傲慢,ここにきわまれり】

 【自分にとって命とりである森友学園「問題」を抹消したいシンゾウ君】

 【東アジア国際政治情勢のなかでもまた,その幼児性を強く感じさせるシンゾウ君の「政治家」(?)としての資質や言動】



 ① ま え が き

 本日〔2017年5月15日〕のこの記述は,北朝鮮が昨日〔5月14日〕早朝に打ち上げたミサイル(あの国にとっては最高度の性能をもつらしい型)をめぐる報道をとりあげ議論する。最近は2月以降,安倍晋三なる日本国の総理大臣は,自分の身に降りかかっている「森友学園の小学校新設申請『国有地払い下げ問題』」が,命とりになっている経緯を熟知している手前,北朝鮮のミサイル発射騒ぎを「できれば好都合な材料として」利用するための必死の努力=演出をおこなおうとしている。
『朝日新聞』2017年5月15日朝刊1面北朝鮮ミサイル
出所)『朝日新聞』2017年5月15日朝刊1面。

 2日前〔5月13日〕の本ブログ記述でも話題にした森友学園問題は,安倍晋三首相夫婦に不可避にかかわる政治的な疑惑をもたらしており,すでに3ヵ月にもわたり,日本の社会を騒がせつづけている。ところが,以前であればすでに失脚を強いられているようなこの森友学園問題であっても,「安倍・自民1強」状態の国会勢力分布のなかでは,安倍晋三の粗暴な強気をもってするもみ消し対策,それもみえすいた児戯に等しい策謀ばかりがめだっている。

 ②「国営放送」が「安倍晋三の意向」にかなった「北朝鮮ミサイル関連のニュース」を垂れ流すこの国の低劣ぶり-2017年5月14日におけるマスコミ報道-

 本ブログ筆者は昨日〔2017年5月14日〕の正午,NHKラジオを通して,以下にとりあげて記述する「北朝鮮のミサイル発射」を報道したニュースを聴いていた。それは,あたかも「戦争でもはじまる予兆」が現われたかのようにも聞こえる『このニュースばかり』を中心に伝えるその報道になっていた。それはまた,妙(やけ)に熱心に「北朝鮮問題」を力強く放送する内容であって,その大げさに過ぎる放送内容は,昼食を摂りながら不快感を感じさせるものがあった。

 昨日〔5月14日〕の記述はさらに別に,畑村洋太郎の「失敗学」に関する,それも原発問題に関係させた議論もしていた。こちらは長文であったので書き終えてから,『天木直人の BLoG』をのぞいてみたところ,次段に参照するような,安倍晋三政権の,それもあいもかわらずに “戦争大好き的な極楽とんぼコンビ” にも映る2人:「シンゾウ君と菅君」の,「北朝鮮のキの字の,あるいはミサイルのミの音を聞いただけで」「いきなり奮い立ち・ただちに興奮しだし,異様にも過剰反応したがる」自民極右的な,それもきわめて幼稚な体質を批判する一文が記述されていた。

 昨日中は,前述の畑村洋太郎に関する記述をもって,その日の執筆は終わりにしたかったところであった。しかし,同日中にこの『天木直人の BLoG』の文章を転載し,紹介し,さらになにかを議論しておくことが有意義だと考え,まず,次項 ③ に引用しておくことにした(実際の公表は本日の5月15日になったが……)。

 日本の政権の中枢にいる首相や官房長官が,本当にこの程度の認識でもって,外交・軍事問題に対する基本的な姿勢を構えているのだとしたら,これは大東亜戦争中の東條英機内閣と同じか,否,あの時期よりももっと低次元をさまよっているごとき,つまり相当に程度の悪い,それもいまどきの「21世紀の日本における内閣」だと嘆かされる。
 補注)『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2016年2月19日の記事見出しは,こういうものであった。「『私が責任者ですから』 安倍首相と東条英機は口癖まで同じだった!   野中広務も『安倍は東条と全くかわらない』」〔といっていた〕
 註記)http://lite-ra.com/2016/02/post-1990.html 下掲の風刺画は『朝日新聞』。
       安倍晋三と東條英機風刺画『朝日新聞』

 安倍晋三君に関する「政治家としての基本的な人間性・人格」についてはすでに,「幼稚と傲慢」「暗愚と無知」「欺瞞と粗暴」であるといった定評(定番)が公認されているほどである。

 しかも,最近においてもさらに鮮明にもなっているように,日本の最大手紙である『読売新聞』を “自民党の広報紙” として頤使できるような「安倍の政治家としての基本姿勢」は,みずから日本のこの「自民1強(狂・凶)政治」の弊害を,いよいよ極限状態にまで追いやりつつある。

 もういい加減,「安倍晋三は替え時」である。自民党内にはもうまともな政治家はいないのか。正直なところ,数だけは非常に多いのであるが,その中身や機能においていうと実は,員数合わせに使える以外はほとんど不全であり,役立たずの国会議員たちである。
   本日のこの記述を公表したあとに,つぎの文章を含んで書いている水島朝穂(早大法学部教授)のメールマガジンが着信したので,これを引用・紹介しておく。

 「新聞を熟読せよ」と答弁するなど,ここまで国会をバカにした首相がこれまでいただろうか。「たかが選手が」とやった渡邉読売巨人オーナー同様,安倍首相は「たかが国会議員が」と思っているのだろう。もはや気分は「立法府の長」,である。また,憲法研究者をここまで敵視した首相がかつていただろうか。

 安倍首相は『読売』インタビューなどで,「憲法学者のうち自衛隊を合憲としたのはわずか2割余りにとどまり,7割以上が違憲の疑いをもっていた」ということを理由に「自衛隊を合憲化する」ために改憲をすると繰り返し語っている。この首相に論理はない。
 註記)「安倍首相と渡邉読売の改憲戦術--情報隠し,争点ぼかし,論点ずらしの果てに」,水島朝穂『直言』2017年5月15日,http://www.asaho.com/jpn/bkno/2017/0515.html

 ③『天木直人の BLoG』2017年5月14日(昨日の記述)


★ 北朝鮮のミサイル危機を煽るしかない無能な安倍政権 ★
=『天木直人の BLoG』2017-05-14=

 けさ早朝のNHKニュースが緊急ニュースとして流した。北朝鮮が弾道ミサイルらしきものを一発発射した模様だと。安倍政権は急遽,国家安全保障会議を開き対応策を検討し,その後,緊急記者会見を開くと。このニュースだけを聞くと,なんだか大変なことが起きたような印象を受ける。そして,これから安倍首相と菅官房長官のコンビはこの北朝鮮のミサイル発射について騒ぎたてるだろう。

 しかし,今日5月14日の朝日新聞〔朝刊〕が書いている。北朝鮮で13日未明に弾道ミサイル発射の動きがあったと。軍事関係筋は「軍事衛星からみえやすい場所でやっている。米朝対話を意識し,交渉条件をつり上げる狙いがありそうだ」と。なんのことはない。すでにこれは北朝鮮の外交ゲームであることを関係者は皆しっているのだ。
   『日本経済新聞』2017年5月15日朝刊北朝鮮ミサイル『日本経済新聞』2017年5月15日朝刊2面北朝鮮ミサイル
     出所)『日本経済新聞』2017年5月15日朝刊,1面・2面。

 米国も韓国もしっている。もちろん朝日新聞もそのことをしっていて,すでに原稿を昨晩のうちに書いていたのだ。北朝鮮の危機は,4月末の一色即発の危機は去って,水面下の外交交渉による長期戦に移った。そうなれば安倍政権の出番はない。安倍首相にできることはなにもない。

 そうなれば,安倍首相はいきづまった国内政局に向かいあわざるをえなくなる。いま世界で一番北朝鮮の危機を望んでいるのは安倍首相ではないのか。安倍・菅コンビは北朝鮮の危機を煽りつづけなければ,もたないのではないのか。だから北朝鮮の危機をいたずらに煽っているのだ。無能な政権の典型である。
 註記)http://kenpo9.com/archives/1453
 補注)2017年5月15日朝刊に報道された北朝鮮が発射したミサイルについて,『朝日新聞』は1面冒頭の記事として「北朝鮮が弾道ミサイル 高度2千キロ超,成功か 韓国・文政権発足の直後」との見出しで報道していた。この記事から一部分を引用する。

 今回は角度を通常より上げて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で,飛距離を抑えたとみられる。その半面,通常の角度で撃った場合はさらに飛距離が伸びることになる。日米韓は通常の軌道で撃った場合の飛距離などについて分析を続けている。首相官邸幹部は,「日本に向けて普通に撃てば8分程度で届いていた」と述べた。

 一方,ロフテッド軌道は落下速度が速く,迎撃が難しいとされる。日本では今後,弾道ミサイル防衛体制の見直しなどの議論が加速する可能性もある。北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのは,韓国の文 在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任してから初めて。文氏は〔5月〕10日の宣誓式で「条件が整えば平壌にもいく」と述べ,北朝鮮の金 正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長との会談も視野に入れていた。北朝鮮は今回の発射で文氏の出方を探る狙いもあったとみられる。

 これに対し,文氏は14日,「国連安全保障理事会の関連決議に明白に違反するだけではなく,韓(朝鮮)半島はもちろん,国際平和と安全に対する深刻な挑戦行為だ」と述べ,朴 槿恵(パク・クネ)前政権と同様の認識を示した。そのうえで「韓国政府はこれを強く糾弾する」と批判した。ただ,文氏は「北韓(北朝鮮)との対話の可能性を念頭に置いている」とも述べた。その上で,対話について「北韓の態度に変化がある時にはじめて可能だ」と強調した。(引用終わり)

 ところで,今回における北朝鮮ミサイル発射騒動では,日本国防衛省自衛隊側では地対空迎撃ミサイル「PAC3」による迎撃態勢や,あるいは事前にJアラートによる警戒情報をただちに実戦対応的に日本全国に流すことがなかった。この対応は,前回の騒ぎのときと一貫しない措置であった。そのときどきの気分でこのように「異なった戦術的な姿勢」がバラバラに執られるようでは,いったい安倍晋三政権は「国家防衛」のための基本方針をどのように維持したいのか,全然理解できない。

 安倍晋三と菅 義偉のコンビが「北朝鮮の危機を煽れる」ほどに,世界政治の次元においてまともな存在観が,日本の政府側にあるわけではない。実体としては,国際政治からはカヤの外にいるごとき日本の2流政治家たちである。すなわち,実際には,オオカミ少年の真似すら上手にできないこの2人である。
   追記:補注)すべて〔の国々;アメリカ,中国,韓国,ロシアなど〕が,北朝鮮の仕かけた瀬戸際外交にそれぞれのカードと思惑をもって参加しようとしている。そんななかで安倍首相の日本はなにもない。ひとり外交ゲームの埒外にある。一番怒って,圧力をかけろと叫んでいるごとくだ。場違いも甚だしい。
 註記)「北朝鮮の瀬戸際外交のゲームに参加できない安倍首相の日本」『天木直人の BLoG』2017-05-15,http://kenpo9.com/archives/1458 〔 〕内補足は引用者。

 われわれ日本の国民・市民・住民・庶民のほうにあって注意すべきことがらは,なにか。それは,このような2人の政治家が「日本国といういわばひとまず安全なところ:部署」にいながら(したがってここでは在日米軍の関係をきちんと視野に入れた話題にしておくべきなのであるが),ひたすら「はかない〈遠吠え〉的な扇動の発言」を盛んに放っている事実についてである。

 もっとも,いつもみなれた光景とはいえ,結局は国内の愚民向けにしかなりえないような,それもかなり臭い安倍晋三たちによる「政治の演技」,つまり,実質面では日本側の無力外交を意味し,形式面では内弁慶的な内政向けの空宣伝用である〈みせかけの政治的な演技〉は,ほどほどにして自民党3〇〇トリオ画像おいたほうがよい。
 出所)左側画像は,http://ironna.jp/article/3404

 安倍晋三と菅 義偉のコンビは,国際政治の実際(現場)とは無縁の場所で騒いでいる。どうみても,どだい無力・無駄な対応しかできないでいる。国際政治の交渉の場は,洞窟みたいな穴蔵のそれも暗い奥底でおこなわれているような行為・交渉である。前段の2人はその洞窟の入り口付近にすらろくに近づけないでいるのだから,モノゴトのうわっつらだけを薄目でみているような観察に終始している。

 本日〔5月15日〕『朝日新聞』朝刊7面「国際」には「〈考論〉北朝鮮,米中に対抗姿勢 弾道ミサイル発射 李 鍾元氏に聞く」が掲載されており,こういう解説が出ていた。この現代朝鮮半島研究を専門とする早稲田大学大学院教授の発言には,日本の政治そのものや政治家の行為に関する言及は一言もない。
   北朝鮮はなぜこのタイミングで弾道ミサイルを発射したのか。韓国で発足したばかりの文 在寅(ムン・ジェイン)政権を圧迫してもえられるものはなく,北朝鮮への圧力で連携する中国と米国に対抗する姿勢を示したのだろう。とくに,中国の言いなりにはならないという意思表示ではないか。中国が重視する「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)の国際会議を狙ったかのようだ。
     
李鐘元画像『朝日新聞』2017年5月15日朝刊 6回目の核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射は米国との本格的な対決につながりかねず,強行しなかった。一方で,米中に抑えこまれたとの印象を避けるため,ICBMより射程の短いミサイルの発射に至ったのだろう。

 みずからの交渉力を高めるため,中距離ミサイルの実験は続ける構えだ。米国との交渉でミサイル実験の凍結で譲歩する事態も想定し,その前にやっておく意図もあるはずだ。

 北朝鮮の思惑にかかわらず,南北対話を模索する文氏にとっては困難な状況になった。「北朝鮮寄り」という韓国内の保守派による批判や米国内にある警戒感をよそに,北朝鮮と対話するのは当面難しい。さらに軍事的な緊張が続けば,米中との協議を加速させる可能性がある。
 この発言は読んでのとおりである。安倍晋三などはいうなれば,今回の「国際政治・外交問題」のどこかにでもいいのだが,立ち入るスキなどまったく与えられていない(その相手にもされていない)。その事実が,手にとるように実感できる専門家の解説である。また,本日の『日本経済新聞』朝刊3面にはこういうベタ記事がでていた。
◆ 文 在寅政権で南北が初接触 韓国側,発射を批判 ◆
 
 【ソウル=峯岸 博】 北京で開幕した「一帯一路」の国際会議で韓国与党「共に民主党」の朴 炳錫(パク・ビョンソク)議員と北朝鮮代表の金 英才(キム・ヨンジェ)対外経済相が〔2017年5月〕14日,会場内の控室で短時間,言葉を交わした。朴氏は同日の弾道ミサイル発射を強く批判した。聯合ニュースが朴氏の話として伝えた。

 韓国の文 在寅(ムン・ジェイン)政権発足後,南北の接触は初めて。朴氏は「北側が南北対話に期待感を持っているような印象を受けた」と説明したが,対話内容は具体的に明かさず「いろいろな話をした」と述べるにとどめた。
               

 ④ 安倍晋三自民党総裁の広報紙となっている『読売新聞』の堕落

 1)「安倍首相『読売新聞熟読を』発言 『黙殺』した新聞と『見出し』にした社」(『J-CASTニュース』2017/5/9 18:29)

 安倍晋三首相が,2020年までに憲法を改正して施行したいとするみずからの発言について,国会での具体的な答弁を拒んだ。国会では「首相」として答弁しているのに対して,改憲をめぐる意見は「自民党総裁としての発言」だというのが理由だ。
2017年5月3日読売新聞安倍晋三インタビュ記事画像ー
 そこで安倍首相が口から飛び出したのが,発言が掲載されている読売新聞を「熟読していただいてもいいのでは」という言葉だ。こういった特定の媒体の熟読を勧めるような答弁は異例で,大半の大手新聞は発言をとりあげたが,「黙殺状態」の社もあった。

 「新聞読めっていうのかい!」
 「そんなバカなことないでしょ!」

   安倍氏は,憲法記念日にあたる2017年5月3日の読売新聞朝刊1面のインタビューや,同日に開かれた改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで,2020年までに憲法を改正し施行をめざす意向を表明した。この発言は5月8日の衆院予算委員会でとりあげられた。発言の真意を問う長妻 昭衆院議員(民進)に対して,安倍氏は

 「国会における政党間の議論を活性化するためのもの」
 「大いに国会両院の憲法審査会において各党間で是非議論していきたい」

などと答弁。改憲の具体的内容についての答弁がないことに,「なんで国会でおっしゃらないのか」といらだつ長妻氏に対して,安倍氏は「自民党総裁としての考え方は,相当詳しく読売新聞に書いてありますから,ぜひそれを熟読していただいてもいいのでは」と答弁した。すると議場は,

    「新聞読めっていうのかい!」
    「そんなバカなことないでしょ!」

などと紛糾し,浜田靖一委員長(自民)は「一部新聞社の件などなどあったが,それはちょっとこの場では不適切なので,今後は気をつけていただきたい」と,その場を収めた。
 註記)https://www.j-cast.com/2017/05/09297450.html?p=all

 その『読売新聞』の紙面は,画像資料でも前段の途中(あいだ)に挙げてあったが,読売新聞社側の話では,この「2017年5月3日の読売新聞朝刊1面に掲載された「安倍晋三に対するインタビュー」記事は,安倍のほうから話をもちかけており,この記事を制作させたのではないかという疑いがもたれている。つまり『読売新聞』は,安倍晋三の広報紙であるどころかむしろ,三百代言的な売文業者並みのやっつけ仕事として,このもちこまれたインタビュー記事の制作・報道を受け負うといったふうな,きわめて黄色い下品な新聞紙だということになる。

 2)孫崎 享「北の危機を煽り憲法改正までいいはじめた安倍首相のおごり 日本外交と政治の正体」(『日刊ゲンダイ』2017年5月12日)

 安倍政権は,北朝鮮が軍事行動に出るかもしれないとの危機を煽り,それを政治利用した。象徴的だったのはミサイルだ。すぐにも北朝鮮のミサイルが飛来するかのごとく騒ぎ,国民に避難訓練まで指示した。しかし,現時点では,北朝鮮が日本にミサイルを撃つほど切迫した状況にはない。当然だ。他国から攻撃を受けていない北朝鮮が,日本に先制攻撃を仕かければ,国際社会の反発を招き,間違いなく体制が崩壊するからだ。
 補注)昨日〔5月14日〕の早朝に北朝鮮はミサイルを発射していたが,その政治・外交的な含意はすでに触れたところである。孫崎 亨のこの意見は,その点も含んだうえで,このミサイル発射に関する軍事的・外交的な分析・観察を披露している。

 北朝鮮が日本に対してミサイル発射に踏み切るまでには,つぎのような経緯をたどるとみられる。

 ⅰ)北朝鮮がミサイル発射や核実験をおこない,米国のトランプ政権が強硬路線に出る。
 ⅱ)米国が中国やロシア,韓国と最終調整する。
 ⅲ)米国が外交的に解決する手段は途絶えたと判断し,北朝鮮を攻撃。
 ⅳ)北朝鮮が韓国,日本を報復攻撃する。

 このプロセスを考えれば,いまはⅰ)の段階にすら至っていない。にもかかわらず,日本政府は都道府県の危機管理担当者を集めて北朝鮮のミサイル発射に備えた説明会を開催し,避難訓練を実施するよう呼びかけた。この連休中,滋賀県に講演に出かけたのだが,大津市の幼稚園では避難訓練するように指示が出ていたという。

 だが,こんな訓練はなんの意味もない。秒速2~3キロで飛んでくる北朝鮮のミサイル発射を確認した日本政府が緊急情報として〈北朝鮮のミサイルが飛来する可能性があります。急いで近くの建物に避難してください。ないときは地面に伏せてください。建物の中の人びとは窓から離れてください〉などとアナウンスしたところで,終わるころには着弾している。

 しかし,いまや政府の御用機関と化した多くのメディアはこれを大々的に報じ,危機感を煽ったため,国民も信じてしまった。さらに安倍首相は対北朝鮮について強硬姿勢をとることで国民の支持が高まったとみて,憲法9条改正にまで言及した。その狙いは国民のためでも,自衛隊員を敬うためでもない。自衛隊を海外に派遣し,米国の戦略の下で血を流させるためである。
 註記)https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/205264 この孫崎 亨の見解に近い本ブログの記述は,2017年05月06日
「北朝鮮の金正恩君にも嗤える日本(安倍晋三君の国)のJアラート(全国瞬時警報システム)はナンセンス,この警報システムは原発の防御には無力な装置」がおこなっていた。
  ⇒  http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1065849224.html
 
 ⑤「安倍首相が国会質疑で『俺の改憲の考え方をしりたいなら読売のインタビュー読め』エスカレートする憲法違反と傲慢」(『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2017.05.09)

 1)安倍首相の「2020年に新憲法を施行する」宣言は憲法違反だ
 2020年に新憲法を施行する。憲法記念日に合わせて勝手にそう宣言した安倍首相だが,昨日〔2017年5月8日〕の衆院予算委員会でこれについて信じられない答弁をおこなった。それは民進党の長妻昭議員の質疑でのこと。

 安倍首相は自民党憲法改正草案で現行憲法の97条「基本的人権の尊重」が削除されている点などについて,国会でたびたび質問を受けてきたが,ずっと一貫して「憲法審査会で議論されること」として自身の考えはいいはぐらかしてきた。長妻議員はあらためてこうした問題を言及したのだが,安倍首相の答弁は,無責任きわまりないものだった。

 「自民党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひそれを熟読していただいてもいい」。

 安倍首相は2020年新憲法施行を,〔5月〕3日に開催された日本会議系の改憲イベントでのビデオメッセージと同日の読売新聞朝刊に掲載されたインタビューで揚言したが,傲岸不遜にも「それを読め」といったのだ。この総理にとってみれば,国民への説明の場である国会の答弁は,インタビュー記事よりずっと軽く,蔑ろにしていいものらしい。

 まったく思い上がりも甚だしいが,だいたい新憲法の施行を国民の信任もなく宣言したことじたいが大問題だ。しかも,国会などではなく自分の支持者で固められた集会や御用メディアで一方的に憲法改正を明言したのである。当然,こうした安倍首相の傍若無人な態度には「憲法違反ではないのか」という声もあがっている。
岸井成格画像
  出所)画像は岸井成格,http://matomame.jp/user/good_news/814a3c7af65c77815b10

 たとえば,ジャーナリストの岸井成格氏は,〔5月〕7日放送の『サンデーモーニング』(TBS)で,「これは総理が主導してやってはいけないことですよね。総理自身がごく最近までですよ,国民の熟議が必要であって,そのため国会で各党が考えを全部出しあって,そして十分議論して国民とともに進める,それが憲法改正だと安倍総理自身がおっしゃってきた。それが急にこういうかたちでポーンで出して,そしてスケジュールまで決めて,中身まで決めて。これは総理大臣の権限を越えて,憲法違反の疑いが出てきたんですよね」と批判した。
 註記)http://lite-ra.com/2017/05/post-3143.html

 2)安倍首相と萩生田官房副長官は「総理ではなく総裁の発言」と詭弁
 さらに,安倍首相への批判は自民党内部からも起こっている。憲法審査会メンバーで自民党憲法改正推進本部長代行である船田元衆院議員は,〔5月〕8日に自身のメールマガジンで安倍首相の “独断行為” について,「内容以上に厳しいのは,この時期に総理が踏みこんだ改憲発言をしたことじたいだ」「深く改憲議論にかかわってきたわれわれとしては,第一義的には憲法制定権力を有する,国民を代表する国会が発議すべきものというのが常識だ」「行政の長たる総理大臣には,もう少し慎重であっていただきたかったというのが本音である」と非難。「この発言は国会での議論のゆくすえや期間を,行政の長が規定することにつながりかね」ないと,安倍首相に苦言を呈している。

 船田議員は「国会の3分の2の勢力だけでどんどん進められるものではな」いと述べるが,こんなことは民主主義に則った手続を考えれば当たりまえの指摘だ。だが,こうした当然の批判をかわすために,安倍首相の側近である萩生田光一官房副長官は〔5月〕7日に出演した『新報道2001』(フジテレビ)で,安倍首相の新憲法施行発言を「憲法審査会がなかなか動かないなかで一石を投じたというのが正直なところ」と責任転嫁。「あくまでも自民党総裁としての個人的提案」などと言い出した。

 つまり,「新憲法施行に言及したのは総理としてではなく自民党総裁としてだから問題はない」と,逃げ道をつくりはじめたのだ。それはもちろん,萩生田官房副長官の親分たる安倍首相本人も同じだ。昨日〔2017年5月8日〕の衆院予算委では,白々しくも「この場に立っているのは自民党総裁としてではない」「ここで党総裁としての考えを述べるべきではないというのが私の考え方だ」といいはって,2020年新憲法施行発言をはぐらかし,「どうぞ憲法審査会で活発な議論をされたらどうか」と発言者としての責任を案の定,放り出してしまった。
 註記)http://lite-ra.com/2017/05/post-3143_2.html
 
 3)国会で逆ギレする安倍首相のほうがはるかに「品が悪い」
 しかも安倍首相は「憲法審査会において(改憲の)議論が佳境に入っていくときを迎えている」などともいったが,今国会で憲法審査会での審議はたったの3回。また,安倍首相は読売のインタビューで “9条は違憲だから改憲で合憲化するのが使命” などといったが,今国会の憲法審査会では9条の議論などほぼおこなわれていない。

 いや,そもそも昨〔8〕日の集中審議でも,安倍政権の顔色を伺ってばかりの内閣法制局のトップである横畠裕介長官でさえ「自衛隊は憲法に違反していない」と答弁したように,内閣法制局の判断は「自衛隊は合憲」なのだが,安倍首相はそれさえねじ曲げて改憲の材料に仕立て上げようとしているのだ。

 憲法違反も疑われる新憲法施行をぶち上げながら「自民党総裁としていっただけ」と逃げ,NHKで中継される国会では自民党改憲草案の危険な本質を悟られないようにとしらばっくれて,はぐらかす。さらに昨日の国会では,森友学園問題を追及され昭恵夫人と森友学園が「ずぶずぶの関係」と指摘を受けると,安倍首相は「『ずぶずぶの関係』とか,そんな品の悪い言葉を使うのはやめたほうがいい。それが,民進党の支持率に出ている」などといつものように逆ギレし,野党批判に話をすり替えたのだった。

 品が悪いのは,自分の妻に向けられた疑惑を本筋から逸らして他人の批判に転嫁する安倍首相のほうだ。

 だが,こんな具合に国民の声を無視し,国会を軽視し,いい加減かつ,いき当たりばったりのスタンドプレーを連発する人間が,いま,権力が自分に集中するかたちに憲法を変えようとしているのだ。集中審議は本日もおこなわれるが,この国の総理のいい加減な態度をしかと目に焼き付けてほしい。
 註記)http://lite-ra.com/2017/05/post-3143_3.html

 ⑥「〈政治断簡〉おごる首相がつかんだ『コツ』 世論調査部長・前田直人」(『朝日新聞』2017年5月15日朝刊4面)
 
 大型連休のさなか,安倍晋三首相がぶちあげた憲法改正提案には正直,驚いた。目標は2020年の施行。9条の戦争放棄や戦力不保持の条項を残したまま,自衛隊の存在を明記するという。現行9条に自衛隊をくわえる「加憲」の考え方はかねて,公明や民進にもある。そうか。ついに民進も含む合意形成へ腰をすえる大戦略に転換かと思ったのだが,どうやら早合点だったようだ。

長妻昭画像 連休明けの〔5月〕8日の衆院予算委員会の集中審議は,首相と民進の大ゲンカ。質問に立った民進の長妻 昭氏に感想を聞くと,おかんむりだった。「もはや皇帝気どり常軌を逸していますよ。なんでも『俺がいえばできるんだ』と過信しているんでしょうね」。〔長妻の〕怒りの発端は,首相の「自民党総裁としての考え方は,相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひ熟読していただいてもいい」という答弁である。
 出所)左側画像は長妻 昭,http://mainichi.jp/graph/2015/04/08/20150408ddm005010035000c/002.html

 「憲法改正2020年施行目標 首相インタビュー」との見出しが躍った5月3日付の読売新聞の詳報ぐらい,すでに熟読している。首相は,首相と党総裁の立場を使い分けて,国会での具体的な説明を求める長妻氏の問いにまともに答えようとしなかった。9日の参院予算委でも民進の蓮舫代表の追及に「この場で自民党総裁として一政党の考えを披瀝(ひれき)すべきではない」といったかと思えば,「われわれ自民党は結果を出してきた」と党を代表してアピール。一方で,いつも政権に協力的な維新にはテイネイに話した。

 荒廃する国会。長年,安倍氏と対決してきた長妻氏によれば,「最近,首相は変なコツをつかんだ」そうだ。いわく,

  (1)  質問に答えずにはぐらかす,
  (2)  ヤジに反応する,
  (3)  ヤジに対して長々と反論をして時間をかせぐ,
  (4) 「だから民進の支持率は上がらない」という民進批判に切り替える,

という流れで追及から逃げ切る「コツ」。これでは議論が深まるはずもない。「それが日に日に増長して,天まで届くような状況になってきた。『なにをいっても,支持率は絶対に下がらないんだ』という迷信のような確信があるのでしょう。それは,われわれの責任です」。
 補注)だが,この責任は民進党だけの責任ではなく,国民(有権者)側などにおける責任でもある。あの「幼稚で傲慢」な安倍晋三の態度に怒らないでいられる人びとが日本国住民の多数派だとしたら,この日本という国に民主主義はふさわしくないとまで断定されかねない。

 民進たたきで悦に入る首相を「増長」させているのは,安定した内閣支持率らしい。首相は4月の国会審議でもNHKの世論調査を引いて,「内閣支持率は53%。自民,民進の支持率はご承知のとおり」と民進を皮肉った。慢心,ここにきわまれり。

 世論調査の役割は,権力者に信任を与えて増長させることではない。さまざまな政治・政策課題に対する「声なき声」を浮き彫りにし,政治の足らざるを補うためのヒントを読みとることにある。それは本来,民主主義を豊かにするためのツールのはずだ。
安倍晋三画像44
 なのに首相は,森友学園問題の真相解明や原発政策の見直しを求める多くの世論からは目をそむけ,好都合な数字のみにおごり,弱る野党をあざ笑う。「安倍1強」がきわまり,まるで独裁者のような首相のふるまいをみるにつけ,やせ細る民主主義への危機感が,ひたすら募る。(引用終わり)
 出所)右側画像は,http://ameblo.jp/m08068469/entry-12050487573.html

 --「自民・安倍1強(凶・狂)政治」のなれのはて,そのいちじるしい弊害が,いま,われわれの目の前でまざまざと実演されつつある。非力な野党勢力,高齢社会のせいなのか必要以上におとなしい国民・市民・住民・庶民たち。これからもしばらくは,安倍晋三がますますのさばるだけの「日本政治の構図」をつづけさせていくのか?
     安倍晋三似顔絵ヒトラー    安倍晋三国民は従え画像
 それともこの首相,調子に乗りすぎてしまい,自分で墓穴を掘るような大失敗を犯すかもしれない。こちらの心配のほうがより大きい。しかもすでに,安倍1人の失敗:除去で済むような「日本国の現状」ではなくなっている。

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