【すべてが幼児化しつつある「安倍晋三の・のための・による」恣意的な国家運営体制のより深刻な堕落,その腐朽化】

 【前川喜平前文部科学省事務次官が腹をくくった安倍晋三批判を展開】



 ①「報道の自由度ランク,日本は72位 G7最下位に」(asahi.com 2017年4月26日22時18分)

 この記事は以前にも触れたことがあるが,1ヵ月が経った時点でもいまさらのように強調しておくべき日本の報道に対する〈世界的次元〉の評価=順位づけである。ともかく安倍晋三が2012年12月26日に政権を奪回してからというもの,この報道の自由度ランキングは落ちこむ一方であった。

 とくに,2014年夏以降,朝日新聞社に対して安倍晋三の攻勢がかけられた「従軍慰安婦問題」「攻撃」は,歴史の事実としては否定しようにもできるはずもない「旧大日本帝国史に固有であったこの歴史問題」を,できれば「亡きモノ」にしたいがために(日本近現代史から抹消しておきたいので),極端にまで異様な展開をみせていた。

 最近では,あの森友学園の国有地払い下げ問題につづく加計学園の獣医学部設置認可にからんで発生していた,それも国家高級官僚たちの「安倍晋三に対する忖度」による,しかも不公正で客観性など皆無であった設置申請に関する事務処理過程の模様は,日本における「報道の自由度ランク」を急速に落下させてきた安倍晋三政権による「言論機関への抑圧状況」と同時並行的に進行してきたものであった。つぎにその関連記事を引用する。
   国際NGOの国境なき記者団(本部・パリ)は〔4月〕26日,2017年の「報道の自由度ランキング」を発表した。調査対象の180カ国・地域のうち,日本は前年と同じ72位だが,イタリア(52位)に抜かれて主要国7カ国(G7)では最下位だった。

 ランキングは各地で働く記者や専門家へのアンケートをもとに作成。北欧諸国が上位で,中東シリアや北朝鮮が下位に並ぶ傾向は変わっていないが,世界各地で「民主主義が後退し,ジャーナリズムの力が弱まっている」と警告している。
報道の自由度ランキング2017年版
註記)「Rk」はランキング,「Pt」はポイント。
出所)http://vox.hatenablog.com/entry/2017/04/29/182757


 日本は2010年の11位から順位の低下が続く。安倍政権への辛口キャスターらの降板なども踏まえ,「メディア内に自己規制が増えている」「政権側がメディア敵視を隠そうとしなくなっている」などと問題視。特定秘密保護法については,国連の特別報告者から疑問が呈されたにもかかわらず「政権は議論を拒み続けている」とした。

 43位だった米国については「トランプ大統領がメディアを民衆の敵だと位置付け,いくつかのメディアのホワイトハウスへのアクセス制限を試みた」と警戒感を示した。(パリ=青田秀樹)
 註記)http://digital.asahi.com/articles/ASK4V5VV7K4VUHBI02S.html
 ② 『読売新聞』の「週刊誌化現象」を実証する記事,「加計学園疑惑リーク元 読売新聞が異例報道の『官僚の風俗通い』」は安倍官邸からの “リーク” 」(『デイリー新潮』2017/5/24(水) 17:00配信)

 森友学園の小学校新設申請「国有地払い下げ問題」につづいて,世間を騒がせる「つぎの安倍晋三的疑惑問題」となった「加計学園の獣医学部:忖度的な設置認可」問題については,この疑惑問題に関する内部文書を提供・公表した前川喜平前文部科学省事務次官の発言が,『週刊新潮』によってつぎのように報道されていた。
   前川喜平・前文科事務次官(62歳)の出会い系バー通いを報じたのは,読売新聞の〔2017年〕5月22日付朝刊だった。新聞メディアでは異例ともいえる官僚の “風俗通い” 追及記事だが,これは安倍官邸が主導したものだった。背景にあるのは,前川前次官が “第2の森友問題” といわれる「加計学園」疑惑報道のキーマンであるとの事情だ。

 加計学園が運営する大学の獣医学部新設をめぐり,安倍総理が便宜を図ったとされる文科省作成の文書が流出したのは報道のとおりだが,そのリーク元こそ,前川前次官であるという。「ネタ元は前川さんです」と明かすのは,加計学園文書の存在を報じた朝日新聞の関係者。

 「記事にしたあとに,官邸スタッフから,“ 安倍総理周辺は,どこかのメディアと組んで前川さんに人格攻撃を仕かけようとしている。その結果,前川さんの出した文書の信憑性が問われ,丸々報じた朝日も恥を掻くことになるから” といわれました」。

 ともすれば,政権発足以来の窮地に立たされかねなかった安倍政権が講じた,メディアを用いた防衛策。5月25日発売の『週刊新潮』では,前川前次官がリークに打って出た理由を解説。問題の出会い系バー利用客の証言とともに,詳しく報じる。
 註記1)引用は,https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170524-00521675-shincho-pol から。
 註記2)『週刊新潮』2017年6月1日号掲載記事。この週刊新潮ではなくて,そのライバル週刊誌である『週刊文春』同日号の広告が,本日の『朝日新聞』2017年5月25日朝刊にだされていた。つぎの画像資料がそれであるが,該当部分のみ切り貼りした。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
    『朝日新聞』2017年5月25日朝刊新潮6月1日広告
     『読売新聞』2017年5月22日朝刊前川前次官報道
 そして,下の読売新聞社会面記事の切り抜き画像は( ↑  画面 クリックで 拡大・可),『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』(http://lite-ra.com/2017/05/post-3179.html)から借りた画像資料である。この読売新聞の記事は,さすがに安倍晋三政権御用新聞なりの「売文業者ぶり」を端的に自己表現している。安倍君のための政府広報紙である読売新聞の本質的な性格(本性)を,遺憾なく発揮できている記事であった。
 ネット系の辛口サイトであるその『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』や『日刊ゲンダイ』も,以上に記述した「安倍晋三と加計学園とのオトモダチ的な癒着問題」を正面からとりあげ,批判的に報じているのに比べて,日本で一番の発行部数を誇る読売新聞が「安倍様を擁護するためを」モットー(旗幟:基本方針)とする報道姿勢に徹しているのだから,2017年の「報道の自由度ランキング」が,2010年の11位から2017年の72位に急降下してきたのは「理の必然」そのものであった。

 ③ 本日〔2017年5月25日〕『朝日新聞』朝刊-安倍晋三に対する迎撃戦にはげむ朝日新聞の報道内容-

 1)1面「前文科次官『文書示された』 加計学園「総理の意向」巡り証言」「獣医学部の新設計画『行政ゆがめられた』」

 以下も同じにしていくが,この記事などは全文を引用するわけにもいかないので,最初の段落のみを紹介する要領で記述する。添えられている図表などは全部参照しておきたい。
『朝日新聞』2017年5月25日朝刊1面画像
『朝日新聞』2017年5月25日朝刊1面加計学園 「安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について,今〔2017〕年1月まで文部科学事務次官だった前川喜平氏(62歳)が〔5月〕23日,東京都内で朝日新聞の取材に応じた。
 (画面 クリックで 拡大・可 ⇒ )

 内閣府から文科省に「総理のご意向」などと伝えられたと記された文書について,前川氏はみずからが担当課から説明を受けたさいに示されたと証言。獣医学部の新設については,加計学園を前提に検討が進んだとして,「行政がゆがめられた」と語った。(▼2面=「いちからわかる」,3面=招致要求へ,35面=一問一答)

 2)2面「〈いちからわかる!〉『国家戦略特区』に新しい獣医学部?」「」(この解説記事は全文を紹介)

 アウルさん 新しく獣医学部ができるんですって?

 A  「国家戦略特区」という制度で,学校法人「加計学園」が愛媛県今治市につくることが認められた。来年4月の開学をめざしており,文部科学省が開学について審議している。できれば52年ぶりの新設だよ。

 ア 国家戦略特区とはどういう制度なの?

 A 安倍政権の成長戦略の柱の一つだ。地域を限定して規制を緩め,地域や産業の活性化につなげようと2013年に始まった。「東京圏」「関西圏」「広島県・今治市」など全国10地域が指定されている。外国人による家事サービスや企業による農地の取得など,特区以外ではできないことができるようになっているんだ。

『朝日新聞』2017年5月25日朝刊2面加計学園 ア ほかにも似たような制度があった気がする。

 A 小泉政権が始めた「構造改革特区」だね。これは地域がみずからアイデアを出し,国に提案するスタイルだ。国家戦略特区の場合は,国の主導で規制緩和のメニューや地域,事業者などを決める「トップダウン型」といえる。
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 ア なぜ獣医学部の新設が規制緩和なの?

 A 原則として学部をつくるのは大学の自由だけど,医学部や獣医学部などは医師や獣医師らの増えすぎを抑えるために文科省が認めてこなかった。だから特区に限って認めるように緩和したんだ。医学部も特区で認められ,千葉県成田市に今春,国際医療福祉大医学部が開学したよ。

 ア 特区や規制緩和の課題は?

 A 規制には健康や安全を守るために必要なものもあって,単に緩めたり,なくしたりすればいいというものではない。特区で規制緩和をする場合,そこで事業ができる一部の企業や団体だけが利益を得られるケースも出てくるので,事業者を選ぶ過程には透明性が求められるんだ。

 3)3面の1「前文科次官招致,民進要求へ 加計学園問題」
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐり,内閣府が文部科学省に「総理の意向」などと伝えた文書の存在を認めた前川喜平・前文部科学次官について,民進党の安住淳代表代行は〔5月〕24日の記者会見で,国会での参考人招致を求める考えを示した。『週刊文春』〔前掲画像資料〕が同日,ネット上で前川氏のインタビューを報じたことを受けて答えた。25日の参院文教科学委員会で要求する。

 安住氏は「文書はすべて事実だと当時の事務次官がいっている以上,委員会で話してもらった方がよい。菅 義偉官房長官が『怪文書だ』というのはウソをついたことになる」として,政府の説明との食い違いを批判。そのうえで「世の中にとって必要性を感じないものを,自分の友人が経営している大学の学部を作ってやろうということで,無理やり制度を利用したことが証言から分かってくると総理として大きな責任問題になるのではないか」と述べた。(後略)

 4)3面の2「『1校限り』規制はそのまま 特区に獣医学部新設 加計学園問題」
 学校法人「加計(かけ)学園」が,国家戦略特区で獣医学部新設を認められた経緯をめぐり,前川喜平・前文部科学事務次官が「総理のご意向」などと書かれた一連の文書の存在を認める証言をし,野党は追及を強める構えをみせている。政府は学部新設を「岩盤規制の改革」と強調するが,その手続きの公平性があらためて問われそうだ。
『朝日新聞』2017年5月25日朝刊3面加計学園
 約半世紀ぶりの獣医学部の新設について,政府は「規制緩和の成果だ」と強調する。菅義偉官房長官は〔5月〕18日の会見で「(国家戦略特区は)何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度。総理の指示のもと,スピーディーに(規制改革を)実現をすべく関係省庁が議論を深めるのは当然のこと」と強調した。

 5)35面の1「『総理のご意向』私だって気にする  前川前文科次官・一問一答 加計学園問題」(この記事は全文紹介する)
 学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり,文部科学省の事務次官だった前川喜平氏(62歳)が朝日新聞の取材に応じた。内閣府から「総理のご意向」といわれたなどと記録した文科省の文書について,前川氏は次官在任中,担当課から説明を受けるなかで示されたと証言。官僚トップの次官として「筋を通すべきだった」とも語った。主なやりとりはつぎのとおり。(▼1面参照)
註記)以下で◆は記者,◇は前川喜平

 ◆ 文科省が内閣府から「総理のご意向だと聞いている」といわれたなどとする文書8枚を,民進党が国会で示し,文科省に調査を求めたが。

 ◇ いずれも獣医学部の新設について,担当の専門教育課の職員から,自分が説明を受けたさいに示された。昨〔2016〕年9月9日~10月31日に計6回,課長や課長補佐らと事務次官室で獣医学部の新設について打ち合わせをした。9月28日には「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」という文書を,10月4日には「大臣ご指示事項」の文書を示されたと記憶している。

 ◆ 一連の文書には「総理のご意向」「官邸の最高レベル」という言葉がある。どう思ったか。

 ◇ 文科省がそれらの言葉をもち出され,圧力を感じなかったといえば,うそになる。「総理のご意向」「最高レベル」という言葉は誰だって気にする。私だって気にしますよ。ただ,あくまでも内閣府の審議官が語ったという言葉なので,真実はわからない。

 ◆ 文科省はなぜ,獣医学部新設に慎重だったのか。

 ◇ 獣医学部の新設を認めるのは文科省だ。獣医師は全体としては足りていると農林水産省がいっているなかで,むだな大学をつくったとの批判が文科省に回ってくると心配した。理屈に合わない規制を見直すのは当然だ。だが,獣医学部の新設については,どういう人材が,どれだけ必要か,ということが最後まで欠落したまま進んだ。

 (獣医師の需給見通しを示す)農水省や(公衆衛生を担当する)厚生労働省が,獣医師が足りていないというデータや,生命科学など新しい分野で必要な人材のニーズなどを示さないなかでは,本来は踏み切れない。踏むべきステップを踏まずに飛び越えろといわれたように感じ,筋を通そうにも通せなかった。行政がゆがめられた。

 ◆ 文科省の担当者らはどんな様子だったか。

 ◇ 説明に来るたびに弱り切り,困り切った顔をしていた。彼らには「(松野博一・文部科学)大臣のご判断に任せるしかない」と伝えた。本当は,私自身が内閣府に対して「こんなことは認められない」と強く主張して筋を通すべきだった。反省している。

 ◆ なぜ,証言しようと考えたのか。

 ◇ 大臣が〔5月〕19日に記者会見し,「該当する文書の存在は確認できなかった」との調査結果を発表したが,あるものが,ないことにされてはならないと思った。実際,会見では「なかった」とはいっていない。調査が甘いといわれることを覚悟で,とにかく調査はしたけれど「確認できなかった」というのが,ギリギリの表現だったのではないか。

 ◆ 文科省の「天下り」問題では,前川氏自身が懲戒処分を受け,事務次官を引責辞任した。今回の証言について,首相官邸への「逆恨み」だと受けとられるのではないか。

 ◇ 再就職をめぐる問題については,私に責任がある。引責辞任は自分の考えで申し出て,大臣と官邸の了解をいただいた。官邸からも大臣からも「辞めろ」とはいわれていない。政府が国会で批判を浴びる事態を招き,私は謝罪するしかない。逆恨みする理由がない。

 【※ 人物紹介】 前川喜平は東大を卒業後,1979年旧文部省に入り,初等中等教育局長,文科審議官などを経て,2016年6月から事務次官を務めた。 
 --そういえばだいぶ以前の記憶であるが,東京農業大学も獣医学部をほしがっていた。しかし,長年のその念願はいまだに実現していないままである。おそらく農大の関係者は,加計学園の獣医学部の設置申請が手続中である状況を,それはもう恨めしそうにみていたはずと観察しておく。なにせ,安倍晋三の親しいオトモダチかあるいは「彼のおめがね」にかなわないことには,いまの日本国行政の実際的な状況のなかでは,このような案件の実現は至難であるらしい。

 それにしても,最近における安倍晋三政権の民主主義に関する政治理念の緩み具合というか,より正確にいえばその欠如ぶりはひどい。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
『朝日新聞』2017年5月25日朝刊4面記事
 本日〔2017年5月25日〕『朝日新聞』朝刊でみると4面(総合4)には,この時代錯誤の反動形成政権の非民主的な基本体質を正直に告白する諸記事が並んでいる。面倒なので上のように画像資料でかかげておくが,このなかでも,自衛隊統合幕僚長河野克俊の「文民統制」感覚の完全なる欠如は,おそろしい発言である。

 アメリカ軍の手下でしないこの自衛隊軍人の最高幹部がこのように〔仮にでも意図的でないとしたら〕,きわめて無知な発言をしている。日本国民は,1945年以前の大日本帝国陸海軍隊が,いったいどのような制度的存在であり,どれほど国家の進路を誤らせたかについて,もう一度その記憶をとりもどす必要がある。

 ④ む す び

 日本の新聞大手紙はご存じのように,一方においては「読売新聞(政府広報紙)-産経新聞(政府御用紙)-日本経済新聞(財界代弁紙)」といった布陣があり,他方においては「朝日新聞(体制批判的新聞社)・毎日新聞(同じだが公明党にはなにもいえない)・東京新聞(名古屋・東京中心の地方紙で体制批判的)」という布陣があって,いちおう対立的・対照的な陣容を形成している。

 これがために,安倍晋三政権のように極端にもデタラメな保守・極右・反動の政府が存在しているにもかかわらず,これら新聞社全体が一致団結した方向で,そして「社会の木鐸」的な観点に立脚したうえでまともに体制批判をおこない,世の中をより正しい方向に導くための基本的な役割を果たせないでいる。

 要は「前者」と「後者」の新聞社群が無用・不要な,対立と競合の体制にある。とりわけ読売新聞社は,1950年代においては原発を導入する言論機関の旗手になるなど,いつでもあいかわらず「国家体制寄りに偏る黄色い新聞紙」でありつづけてきた。産経新聞社になるとこれはもう,単なる安倍晋三政権の「提灯もちか,あるいは幇間か端女の役目」を遺憾なく果たしているだけである。

 森友学園の小学校新設申請「国有地払い下げ問題」にしても,加計学園の獣医学部「設置申請認可」にしても,安倍晋三が首相個人として正面と裏面とを問わず深く関与してきた実情があった。安倍による国家行政の私物化現象がいちじるしく,しかも弛緩的に膨張している。まさに「権力は絶対に腐敗する」途を,安倍自身が文字どおり一直線に驀進しつつある。それでいて,安倍は権力の座に就いて以来,首相の立場・理念としてではなく,個人としての利害・関心から日本の政治(内政・外交)をおこなってきた。

 ところで,森友学園の問題も加計学園の問題も,いま騒がれているような特定の疑惑が世間の注目を大いに喚起させている最中に,都合のよいことに「隣国から雑音」を入れてくれるかたちでもって,どうやら安倍晋三を助けてもいる人物がいた。それはいうまでもなく金 正恩君である。

 安倍晋三君と同じに世襲3代目の政治家「独裁者」である金 正恩君が,ミサイルを立てつづけにポンポン打ち上げるものだから,これに対しては安倍君が「アイツはけしからぬ」と大声を張りあげては,モリトモ学園やかけ学園の問題に関する報道が庶民の耳にまではよく聞こえないように操作させており,ともかくひたすらに,北朝鮮を非難するためだけの遠吠えを熱心にしていた。おまけに,NHKなどがニュースとして放送する関係の報道姿勢は,いかにも安倍晋三君のための国営放送局であるという立場を,終始一貫して維持していた。

 本日の話題に登場した文部科学省の前事務次官前川喜平は,安倍晋三に対して完全に反旗をひるがえす発言をおこなっていた。前川はすでに国家官僚の地位を離れた人物であるゆえ,安倍晋三のほうからは「じかにやっつけられる材料」はなく,そのために読売新聞社においては,『✕流週刊誌』でなければとうてい恥ずかしくて掲載しえないような俗流記事を,この前川個人を狙い人身攻撃するために報道させていた。

 安倍晋三政権はいわば最初から末期的症状を露骨にみせつけていたけれども,このごろはいよいよ,その本質的なはしたなさを直接周囲にみせつけるような政治路線を固めつつある。ということであるせいか,本日『日本経済新聞』の連載コラム「大機小機」は,こう述べている。
★〈大機小機〉憲法もポピュリズム ★
=『日本経済新聞』2017年5月25日朝刊 =

 施行70周年を迎えた5月3日の憲法記念日,安倍晋三首相が憲法改正を表明した。2020年施行を目標にするという。安倍首相は,長く日本国憲法の争点となってきた9条について1,2項はそのままにしたうえで,3項を追加,そこに自衛隊を明記する考えを示した。論理はなきに等しい。改憲を支持する人たちも,これで満足するのだろうか。

 迷走は9条だけではない。首相は,維新の会が主張している「高等教育の無償化」を憲法に書き入れる考えも示した。これは憲法に書くべきことなのか,疑問に思う人が多いだろう。教育は大事といえば誰もが同意する。いうまでもなく,これが今回の首相発言の背景だ。

 しかし,憲法に書き入れるか否かは別にして,これははなはだまずい提案だ。日本の高等教育は,全額無償化する前に大リストラをする必要がある。1989年,大学は499あった。国立96,公立39,私立364。現在その数は86,91,600,合計777だ(2016年)。
 補注)本ブログ筆者は以前より,日本の大学はいまの3分の1しか要らないという持論をかかげつづけてきた。ところで,職業専門大学が設置されることにもなったと報道されているが,いまさら屋上屋を架すような高等教育機関制度いじりは,混乱を来たすほかない施策(愚策)である。

 少子化のもとで若者の数が減り続けることがわかっているのに,これだけ大学を増やしてきたのだ。定員割れを起こしている私立大学は約半数の257校もある。こうした問題にメスを入れずに,大学をすべて無償化などありえない。さらに大きな問題は財源である。高齢化の下で膨らむ社会保障の財源不足から,年々30兆円を超える赤字を出しつづけている国に大学無償化の余裕はない。
 補注)その「定員割れを起こしている私立大学」「257校」群にくわえて,さらに「ほぼ同数の日本の大学」群(つまり都合すると5百校あまり)は,大学本来の理論的・実践的な教育水準を確保できているとはいえない。いわゆるリベラルアーツ(教養科学)の議論に頭脳細胞作用的に堪えられない:着いていけないような大学生は,もとより似非学生であるほかない。こちらの大学生集団に相当する学生たちを収容している大学群は,前段の「257校」とほぼ同数くらいの大学数がさらにくわえて存在する。

 文教族といわれる政治家は「教育国債」でやればよいというが,これは看板を替えただけで赤字国債とまったく同じ。消費税引き上げを先送りする人たちが大学無償化とは実に無責任な話なのである。

 憲法を10年変えなくても日本が自壊することはないが,消費税を10年上げなければ,この国は戦わずして滅びるかもしれない。5月3日に首相は「少子高齢化,人口減少に真正面から立ち向かう」といった。しかし,提案された改憲案のいったい,どこに真正面から立ち向かう姿勢があるのか。ポピュリズムに訴え改憲を急ぐアクションだけではないか。

 憲法は国家百年の計である。日本国憲法99条は,総理大臣による性急な行為を禁止しているのではないか。
 本ブログ筆者はいつもいっていることだが,誰にいわれるまでもなく「教育も百年の計」である。安倍晋三政権は自分の権力保持しか関心がない。というよりは,自国の百年先をみこした政治ができていない。というよりはまた,そのために必要な政治理念や将来目標をもたない。

 「安倍晋三の幸せは国民の不幸せ」といった文句は,すでに指摘したことのある “日本国の当面する最大の懸念” である。国民たちもおとなしすぎる。この程度の幼児的な首相の跳梁跋扈を許す有権者であってはなるまい。


 ※ 参考記事 ※

 「とんでもない事になって来た安倍首相の加計学園疑惑」『天木直人の BLoG』2017年05月25日。
   註記)http://kenpo9.com/archives/1526


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