【対米従属国家体制である「日本における米軍基地の問題」こそ,「戦後レジーム」の代表的な軍事的課題である。だが,安倍晋三政権も指をくわえたまま放置している】

 【「戦後レジームからの脱却」との提唱は,ごく軽い冗談でなければ,本当はブラック&ホワイトの共存的なジョーク】
   安倍晋三風刺画像赤ん坊  マイケル・グリーン画像2
   註記)右側人物はジャパン・ハンドラーズの1人,マイケル・グリーン。


 ①「厚木騒音訴訟,5次提訴 米軍機飛行差し止め,焦点」(『朝日新聞』2017年8月5日朝刊34面「社会」

 1)40年以上も続いてきた裁判である
 米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県綾瀬,大和市)の騒音被害をめぐり,周辺住民らが〔8月〕4日,米軍機と自衛隊機の飛行差し止めと,約86億3200万円の損害賠償などを国に求める第5次集団訴訟を横浜地裁に起こした。40年以上にわたり各地の訴訟で退けられてきた飛行差し止めの実現をあらためて求め,被害の抜本解決をめざす。
神奈川県地図画像
  出所)この神奈川県の地図(概略図)は,https://matome.naver.jp/odai/2138553676643145601/2138553690343342603

『朝日新聞』2017年8月5日朝刊34面「社会」厚木基地騒音
 首都圏の住宅密集地にある厚木基地は「国内でもっとも危険な基地」といわれ,騒音被害を受ける住民は神奈川県と東京都の計300万人に及ぶと推計されている。今回の提訴は両都県の計8市に住む6063人。年内に追加提訴して厚木基地訴訟では最多の1万人規模となるみこみだ。
 補注)米空母艦載機が発生させる騒音の被害は,厚木基地のある綾瀬市・大和市・海老名市にくわえて,横浜市・藤沢市・相模原市・座間市・町田市、さらには鎌倉市・茅ヶ崎市・川崎市などにも及ぶ。軍事専門家によれば,このような基地と住民の関係はアメリカでは国土が広いこともあって,ありえない。

 ところが,日本では敗戦の結果,占領してきた米軍が各地の旧日本軍の諸基地を占拠・専有してきたまま,その後,72年が経過するいまでもまだ,占領軍そのままの姿で居すわっている。日本以外にも米軍基地をかかえている国は,第2次世界大戦に敗戦したドイツ・イタリアも含めて各国に存在する。

 だが,日本ほどアメリカのまるで1州であるかのように,便利に都合よく「徴用・専有」されている国はない。なにせ,原子力空母の母港が横須賀の海軍基地にあるくらいである。その意味でも日本はアメリカの第51州というにふさわしい軍事基地の様子が,そうした在日米軍が専用にする各地の基地によって表現されている。つぎの2図を参照しておく。(画面 クリックで 拡大・可,より鮮明に映る)
在日米軍基地配置図
出所) http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2015/html/n2341000.html

沖縄県米軍基地図解
出所)http://fukunawa.com/okinawabase

 〔記事に戻る→〕 最大の焦点は,騒音の大半を発生させている米軍機の飛行差し止めだ。1976年提訴の1次訴訟から,騒音を違法状態とする判決が定着。4次訴訟では一,二審で初めて自衛隊機の夜間早朝の飛行を差し止める判決が出たが,最高裁で破棄された。米軍機の飛行差し止めについては,日本の支配が及ばないことを理由に門前払いが続いてきた。
 補注)「日本の支配が及ばないことを理由に門前払い」ということは,はたして,どういう意味なのか? つまり,日本国内には “アメリカ合衆国の飛び地” が「軍事基地のかっこう」で実在するという事情になる。その「他国の飛び地」のなかでなされる「軍事施設の運用」について,日本〔政府〕は口だしできないという「日本の裁判所」の,それも最高裁判所の理屈(説明:判決)である。最高裁というのは,日本の国民・県民たちの立場にとって,この自分たちの味方をしてくれないどころか,アメリカの手先であるかのような判決を下しつづけている。

 「1976年提訴の1次訴訟から」すでに時間は40年を超えている。これはいったいどうしたことかと大きな疑問を抱くのは,基地周辺で騒音に日夜悩まされている人びとでなくとも,あまりにも当然である。このたび内閣改造をした〔2017年8月3日〕という安倍晋三君であるが,2012年12月26日,民主党に替わって安倍が第2次内閣を組んでからも,「この厚木基地」の騒音問題に基本的な進展はない。いつも「騒音は違法」だとか「自衛隊機の夜間早朝の飛行を差し止める判決が出た」りするものの,結局は「米軍機の飛行差し止めについては,日本の支配が及ばないことを理由に門前払い」という判決になるのであれば,国家としての「この日本はやはりアメリカの属国か」という認識にしかなりえない。

 2)厚木基地は航空母艦「飛行甲板」の役目
 とくに,厚木基地は航空母艦でタッチ・アンド・ゴーの,それも夜間訓練に使用されている。戦闘機パイロットの技倆を常時,高度に維持するためには,航空母艦での訓練ができなあいだにもその代わりにして,この厚木基地を航空母艦の飛行甲板にみたてて訓練を継続しているゆえ,在日米軍の軍事力保持のためには「日本政府側はその訓練を拒否できない」だけでなく,もとより「口だしすらできない」米日間の上下従属関係が厳在している。本ブログ筆者いわく「在日米軍の《在日特権》」である。

 つぎの画像資料は,航空自衛隊戦闘機によるタッチアンドゴー訓練の様子である。これは同じ機の映像を3コマ切りとり,この1枚に合成・加工したものである。
自衛隊機タッチアンドゴー訓練図
出所)https://www.youtube.com/watch?v=3Sx_cT9-A8M

 この画像をみたところで,重ねて,こういう説明も添えておく。--「空母が母港を置く港の近くの陸上には航空基地が不可欠である。厚木海軍飛行場は横須賀に近い位置からも絶好の存在であり,厚木があるから米空母が横須賀に母港を置けるともいえる。空母への着艦は『制御された墜落(コントロールド・クラッシュ)』と表現されるように,きわめて高度な技量を要求されるため,空母搭載機の操縦要員はつねに着艦訓練を繰り返す必要があり,空母が前線配備になるときには毎回,その技量を維持しているかのテストが実施される。空母着艦訓練は昼夜と夜間に分かれるが,とくに難しいのが夜間着艦訓練(NLP)で,騒音もいちじるしい」。
 註記)
http://robamimi.at.webry.info/200512/article_9.html

 以上の問題(議論)については,創元社などが刊行している,つぎの諸文献が参考になる。ここであえて紹介するが,本日の論旨全体における流れなかで意味がある。
 ※-1 孫崎 享『戦後史の正体』創元社,2012年。

 ※-2 前泊博盛編著,明田川融・石山永一郎・矢部宏治『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』創元社,2013年。
 
 ※-3  吉田敏浩・新原昭治・末浪靖司『検証・法治国家崩壊-砂川裁判と日米密約交渉-』創元社,2014年。

 ※-4  吉田敏浩『「日米合同委員会」の研究-謎の権力構造の正体に迫る-』創元社,2016年。

 さらに,つぎの著作も紹介する価値がある。

 ※-5 矢部宏治『日本はなぜ,「基地」と「原発」を止められないのか』集英社インターナショナル,2014年。

 ※-6 矢部宏治『日本はなぜ,「戦争ができる国」になったのか』集英社インターナショナル,2016年。

 ※-7 白井 聡『永続敗戦論』太田出版,2013年。

 ※-8 小川仁志『脱永続敗戦論-民主主義を知らない国の未来-』朝日新聞出版,2015年。

 ※-9 笠井 潔『8・15と3・11-戦後史の死角-』NHK出版,2012年。

 ※-10 佐藤健志『戦後脱却で,日本は「右傾化」して属国化する』徳間書店,2016年。

 ※-11 山崎雅弘『戦前回帰-「大日本病」の再発-』学研教育出版,2015年。

          

         
 〔記事に戻る→〕 5次訴訟では前回に続き,民事訴訟と行政訴訟の両方の手法で飛行差し止めを請求。実現するまで,対米協議を国に義務づけることも初めて求めた。賠償請求額は,4次訴訟の2倍の1人当たり月4万円。過去3年分と,差し止め実現までの将来分も求めた。

 厚木基地周辺では「70デシベル以上で5秒以上」の騒音が年間に2万回以上も測定され,真夜中の飛行や部品落下も続く。大波修二・原告団長は「騒音の主因である米軍の艦載機部隊は近く岩国に移駐する予定だが,騒音が減るかは見通せず,闘いを続けなければならない」と話す。
 補注)「70デシベル」とは,それではいったい,どのくらいの騒音(あるいは肉体的・精神的な負担・苦痛)になるのか? つぎの 3)を充てて,専門的な説明に聞いてみる。

 3)騒音レベルの説明
 この騒音レベルとは「騒音計の国際的に規定された聴感補正のA特性によって計量されたもの」である。なおここで「A特性」とは,さらにこう説明されている。前提となる項目なので,この説明もくわえておく。

 a)「周波数補正回路」として「騒音計」に関する問題であるこの「A特性」とは,人間の聴感(3~4kHzが感度が良い)に近い周波数の重み付けをほどこした〈特性の理解〉である。通常の騒音測定はこのA特性とされ,「騒音レベル」といわれている。JIS C1509-1 にも規定されている。参考にまでいえば。職業性難聴では4kHz,高齢者では高周波音が聞こえにくいとされている。
 註記)この段落のみ,https://www.e-koubou.co.jp/sousin_archiives_s06.html

 b)「単位記号 dB(デシベル)」は,騒音規制法,騒音にかかわる環境基準等の測定をもって規定されている。⇒JIS C1509-1 :2005(IEC61672-1:2002)では,その正式名称をサウンドレベルと称し,測定器をサウンドレベルメータと呼んでいる。

 c)「騒音レベルの目安(dBA)」(騒音レベル→騒音例と規制値等)

  30 → 住宅街(37) …… “サウンドレベルメータ計量下限は,28dB” である。

  40 → エアコン室内機・ウインドエアコン(40~46),いびき①(44),シャワー音(室内で 40~50)
    
    ☆-1「環境基準AB地域夜は 45dB」〔以下〕。

  50 → ヒートポンプ室外機音(56),洗濯機(52~70),トイレ排水音(室内;50),入湯音(室内;50~53),いびき② (55),公園(58),軽ワンボックス(アイドリング時車内)(50)
    
    ☆-2「環境基準AB地域昼 55dB」〔以下〕
    ☆-3「環境基準C地域夜 50dB」〔以下〕

  60 → 夏用タイヤ車内(65),サイクロン掃除機(低騒音モード)(67),冬用タイヤ(68),ねこ(69),軽ワンボックス(セルモータ稼動時車内)(66~69)
    
    ☆-4「環境基準C地域昼 60dB」〔以下〕

  70 → トイレ流水音(63~72),軽(70),乗用車(71~83),防音型ディーゼルエンジン発電機兼用溶接機(73),セミの声(72~76), サイクロン式掃除機(強モード)(75),大型ボール盤(77),防音型ガソリンエンジン発電(78),普通車ドア閉音(78~80),ポータブル発電機(79)
    
    ☆-5「新幹線環境基準(Ⅰ)70dB以下」
    ☆-6「新幹線環境基準(Ⅱ)75dB以下」

  80 → 大型車(76~81),コンパクター(82),電車24m地点(87),ムクドリの大群木の下(78~81),小型発電機(87),雷鳴(落雷音84)
    
    ☆-7「特定建設作業 85dB」
     ☆-7-1 作業環境(Ⅰ)85dB未満

  90 → 電車12m地点(90),バックホー(94),波板鋼板切断(96),
ベースギター(90~94),マフラー改造車(4輪 ① 90.9)
    
     ☆-7-2 作業環境(Ⅱ)90dB未満
     ☆-7-3 作業環境(Ⅲ)90dB以上

  100 →アスファルトカッター(100),救急車サイレン,番犬威嚇音(102)
    
    ☆-8「許容基準(15分以下/日)100dB」

  110 →クラクション(109),ベースドラム(102~108),(単発暴露騒音レベル 113.2)

    ☆-9  “サウンドレベルメータ計量上限は,130 dB”

 d) 以上に関するおおまかな説明

  ☆-1 環境基準
   A地域:もっぱら住居地域  
   B地域:主として住居地域
   C地域:相当数の住居と併せて商工業等の地域
 
  ☆-2 新幹線環境基準
   Ⅰ:主として住居地域
   Ⅱ:Ⅰ以外の地域であり通常の生活を保全する必要のある地域

  ☆-3 作業環境
   Ⅰ:継続的現状維持区分
   Ⅱ:Ⅰになる改善努力要区分
   Ⅲ:改善が必要な区分

  ☆-4 許容基準。聴力保護の観点から定めている常習的な騒音暴露基準

  ☆-5 特定建設作業:指定地域のみ
   註記)https://www.e-koubou.co.jp/sousin_archiives_s16.html

 以上についてはさらに『パワー平均値』(横浜市環境創造局の説明)も,聞いておく必要がある。この説明を聞いたあと再度,冒頭から引用中の新聞記事に戻る。
  「パワー平均値」とは,航空機などの騒音レベルの平均値を算出するさいに用いられる平均化の手法である「パワー平均」により算出された平均値であり,音のエネルギー量(パワー)にもとづいて計算される。騒音以外の分野では,測定値の平均値を算出するさいは,通常は測定値をそのまま用いた算術平均値(測定値の総和 / サンプル数)が使われている。

 しかし,航空機騒音の測定で用いられている騒音レベルは,音のエネルギー量を対数変換したデシベル(dB) 単位で表わされているため,この騒音レベルの測定値の平均値を算出する場合は,騒音レベルの算術平均値ではなく,騒音のもととなっている音のエネルギー量に戻って,音のエネルギー量を平均したパワー平均値を用いる。
 註記)http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/mamoru/kanshi/words/powerave.html
 〔ここで,記事に戻る ↓ 〕
 4)新世代も原告団に
 40年あまりつづく裁判で原告団の高齢化が進むなか,新しい世代の姿もある。神奈川県大和市の会社員宮崎努さん(45歳)は「家族を守るために行動しなければ」と立ち上がった1人。この日の提訴前,初めてデモ行進にも参加した。基地の北約3キロの住宅街で育った。機体は低空飛行で迫り,会話も授業も途切れた。「異常な環境や怖さを当たり前と思って生きてきた」。いま,3歳の息子は耳をおさえ固まってしまう。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
厚木基地騒音苦情発生分布地図
出所)この画像は「厚木基地周辺における騒音苦情の発生地点」
http://robamimi.at.webry.info/200512/article_9.html


 原告団の運営を手伝っていた母親が体調を崩し,代わりを務めるように。資料を読んで被害の実態を深くしり,「裁判をしらないまま被害に苦しんでいる新住民や若い世代に,訴訟の大切さを伝えたい」と,小中高の同級生らに長文の手紙を出すなどし,50人近くが原告にくわわった。

 裁判は40年を超え,担い手の高齢化が進む。一方で基地周辺はベッドタウンとして新住民が増えている。宮崎さんは住所を入力すれば被害の程度がわかるアプリの開発や,騒音の現状などを広く知らせる「爆音ツイッター」などを訴訟団に提案し始めた。「子に誇れる環境をとり戻すために,訴訟への参加が広がる環境を作っていきたい」と語る。(記事引用終わり)

              

 ② なぜ,在日米軍基地の騒音問題は解決されていないのか-敗戦後日本における在日アメリカ軍事史の事情と理由-


 つぎは「相模原市は市内だけでなく,近隣の座間市や厚木市にも米軍施設があるけど,航空機などによる騒音対策はどうなっているの?(はまれぽ編集部のキニナル)」「市内5ヶ所で騒音を測定し,国や米軍に対する要望を資料にしており,要望の結果,2017年までに厚木基地の空母艦載機が移駐予定。市民は不満多数」(『はまれぽ.com』2016年01月14日)といった「見出しの文句」が書かれていた説明に聞いてみる。

 1)60年近い問題
 相模原市にはJR横浜線相模原駅から矢部駅の北側に,旧日本軍の兵器生産工場として使われ,戦後,米陸軍に接収されていた「相模総合補給廠」という施設がある。これ以外にも,隣接する座間市とまたがり,管理本部が置かれるなど,在日米陸軍の中枢部である「キャンプ座間」,キャンプ座間などの米軍基地に勤務する米軍人らの住宅専用区域「相模原住宅地区」という計3ヶ所の在日米軍関係施設がある。その総面積は約428.5ヘクタール(428万5000平方メートル,横浜スタジアム約164個分)にも及ぶ。これらの施設は,相模原市の計画的なまちづくりにだけでなく,市民生活にも大きな影響を及ぼしている。その最たるのもが航空機による騒音問題だ。
 補注1)ここでは厚木市ではなく,そのほぼ北部にそれも東西に幅広く位置する相模原市の「騒音問題」を説明することで,厚木市の基地問題の広がりに言及している。
 補注2)「キャンプ座間」などの概略(以下はウィキペディア参照)。キャンプ座間(Camp Zama)は,神奈川県座間市と相模原市南区にまたがるアメリカ陸軍の基地で,座間キャンプとも呼ばれている。

 在日米軍陸軍司令部(米軍外部での通称「リトルペンタゴン」,内部では建物番号からとった通称「101(ワン・オー・ワン)」が置かれており,管理部隊は在日米陸軍基地管理本部(旧第17地域支援群)である。司令部など主要施設は座間市側にあるが,ゴルフ場等を含め基地面積の約7割は相模原市側に位置している。陸上自衛隊も,敷地内の一部に駐屯している(座間駐屯地)。


 このキャンプ座間が自衛隊にとって有する基地としての重要性は,こうも説明される。「中央即応集団」は,陸上自衛隊における防衛大臣直轄の機動運用部隊であり,日本の新防衛大綱にもとづき,2007年3月28日に創設された(安倍晋三第1次内閣・政権のとき)。集団司令部を神奈川県相模原市の座間駐屯地に置く。

 この「中央即応集団」は,有事に迅速に行動・対処するための部隊として機動運用部隊(第1空挺団・第1ヘリコプター団)や専門部隊(特殊作戦群・中央特殊武器防護隊など)を一元的に管理・運用する目的と,国際平和協力活動に関する研究および教育訓練(国際活動教育隊・国際平和協力活動等派遣部隊)および指揮をおこなうために新設された。国内展開時には,増援・緊急対応部隊として機能し,国外展開部隊に対しては指揮機構の役割も有する。創設時の人員は約3,200名,2008年3月末の3個部隊発足により現在の人員は約4,500名となっている。

 従来,陸上自衛隊の上級指揮官には「▽▽長」または「総監」の職名が用いられてきたが,中央即応集団にあっては指揮官名として陸上自衛隊では初めて「司令官」が用いられた。司令官には陸将(指定職3号〔→支給される本俸:月給は81万8000円〕)が就き,防衛大臣の直接の指揮監督を受ける。国内担当と国際担当のそれぞれ1人ずつの副司令官には陸将補が就く。

 日本の国土の上に配置されている在日米軍基地に「居候(?)させてもらっている」陸上自衛隊のこの「中央即応集団」は「機動運用部隊」であり,英語風に表現すれば “special task force” である。いうなれば,日本国防衛省陸上自衛隊の最新鋭・最強の特別編成部隊だということになる。しかし,この部隊が米軍のキャンプ座間に同居させてもらっているのだから,日本国の軍事組織(実力・暴力装置)が「米日間の上下従属関係」のなかで,どのような位置づけと役割をもたされているかは,あえてくわしく語らずとも諒解できる。

 〔ここで,引用中の相模原市の話題に戻る ↓ 〕
 この点について相模原市は,なんらかの対策をおこなっているのか。米軍基地の交渉を中心におこなう市総務局渉外部渉外課の柏木稔輝(かしわぎ・としき)主任に聞いた。柏木主任によると,現在,相模総合補給廠はヘリコプターの常駐はなく,東京都福生市など5市1町にまたがる在日米軍横田基地の航空機の離発着スペースとして使用しているという。

 一方,キャンプ座間には5機のヘリコプターが常駐しているほか,在日米海軍厚木基地の空母艦載機などが利用している。とりわけ昭和30年代初めごろから厚木基地にジェット機が飛来するようになって以降,騒音が大きな問題となっている。
 
 現在,厚木基地の航空機騒音規制については1963(昭和38)年に合意,1969(昭和44)年に一部改正した日米合意によって午後10時から午前6時まで飛行活動は禁止,日曜日の訓練飛行は「最小限にとどめる」とされている。しかし,この合意には「運用上の必要に応じ,緊要と認められる場合」は例外とされており,厳密に規制が守られているとはいいがたい状況だという。

 2)多様な苦情
 戦闘機が離着陸するさいの騒音が市民生活に多大な影響を及ぼしていることは,想像にかたくない。相模原市では厚木基地関連の騒音を測定するため市内に4ヶ所,キャンプ座間用に1ヶ所の計5ヶ所に自動記録騒音計を設置している。この騒音計は70デシベル(セミの鳴き声や掃除機の音)が5秒間続くと1回として記録。測定データは国や米軍に対する要請活動をおこなうさいのデータとして使用する。( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
厚木基地騒音問題統計
 相模原市によると,70デシベル以上を5秒間以上計測したのは2002(平成14)年度から2013(平成25)年度までで,約1万4000回(2010年度に計測)から約2万9000回(同,2002年度)で推移。100デシベル(自動車のクラクション,電車が通る時のガード下)も212回(同,2010年度)から746回(同,2003年度)で推移し,苦情は累計1万282件に上った。

 2014(平成26)年度の件数をみてみると,相模原市内の総数は1万9802件。騒音は神奈川県でも測定しており,大和市上草柳(かみそうやぎ)より少ないものの,南消防署東林分署の地点が2番目の多さ。最高音も全体で4番目だった。また,2015(平成27)年4月1日から12月31日までで70デシベル以上を1万3151回(うち100デシベル以上は280回)記録。苦情は665件となっている。

 苦情は,相模総合補給廠に近い中央区相模原・宮下本町,厚木基地の滑走路の延長線上にある南区上鶴間周辺,キャンプ座間のヘリポートが近い南区磯部・下溝地区に集中している。 柏木主任によると,具体的には「夜勤明けだが騒音で眠れない」「具合が悪くて家で休養しているのに,これでは逆に悪化してしまう」といったものとのこと。

 それでは,実際に近隣住民はどう感じているのか。相模総合補給廠が近い相模原駅周辺と,南区磯部地区,本来はまれぽの調査エリア対象外ではあるが,キャンプ座間および最寄りの小田急線相模台駅周辺で計30人に話を聞いた。

 まずは,相模原駅周辺。60代女性は「ここ(補給廠)に,そんなに多くヘリコプターが飛んでくることはない気がする。軍のヘリより,爆発騒ぎの時のマスコミのヘリのほうがうるさかった」と話してくれた。 一緒にいた70代女性のほか,矢部駅近くに50年以上住んでいるという70代男性も「軍のヘリというより,猛スピードで走る自動車や夜中の横浜線の音のほうが気になるかもれない」とのことだった。

 実際,スマートフォンの騒音計アプリで測定したところ,トラックや踏切の警告音で80デシベル近くになることはあるものの,それ以外は50デシベル(家庭用エアコンの室外機,静かな事務所)から60デシベル(デパート店内,走行中の自動車内)前後で推移していた。

 つづいては,座間市の相模台駅からキャンプ座間にかけて。ここは県道51号線が走り,近隣で大規模工事をしている影響で大型トラックが頻繁に通行する。平均的には60デシベル後半だった。 近くで昼食を買いに行く途中という40代男性は「同じキャンプ座間といっても広い。この辺よりはヘリポートに近い方や厚木(基地)の滑走路の延長線上の方がひどいのでは」という回答。駅周辺やキャンプ座間で聞いても,おおよそ同じような答えが返ってきた。

 3)行政の「壁」
 そうなのであればと,キャンプ座間のヘリポートに近い相模原市南区の磯部地区で聞きこみをおこなった。先述した2015年度の苦情件数665件のうち,磯部地区からの苦情は50件。そのうち,50件すべてがヘリコプター関係という立地だ。

 同地区周辺に住む20代女性は「いまの時期はエアコンをつけているので窓を閉めているからまだいいが,春や秋などエアコンをつけずに窓を開けている時期は最悪。『バリバリ』と低く響く音が続き,子どもが泣きながら目を覚ます」と訴える。
 
 また,別の30代男性は「座間市は家の防音工事をおこなうさい際の助成や,騒音がひどくてテレビの音が聞こえないということでNHK受信料の補助が適用されるのに,相模原市は対象外。近隣エリアだというのに,あまりにも不公平」と行政への改善を求めていた。 これについて相模原市の柏木主任は「厳密にいえば相模原市は防音工事対象外のエリアがあるということ。ただ,NHKの受信料に関しては当市が対象となっている地域はいっさいない」という。

 柏木主任は「要望などは現在もおこなっているが,騒音測定の結果や市民の声をもとに,さらに強く国に働きかけて市民の不公平感解消に努める」としている。また相模原市や神奈川県と基地周辺各市などで構成する「神奈川県基地関係県市連絡協議会」では,前述のデータなどを利用して国や米軍に要請を実施。成果として,2017年末をめどに,厚木基地の空母艦載機の大半を,山口県の岩国基地に移駐させる日米合意をとりつけている。

 柏木主任は「本来は2014(平成26)年に移駐されるはずだったという経緯もある。移駐が実現したからといって騒音がゼロになるとは限らないが,軽減されることは予想される。(移駐が)確実に,早期に実現するよう,働きかけていきたい」と話した。

 4)取材を終えて
 セミの鳴き声ほどの音が年間6000回,車のクラクションが200回以上,しかも継続的に鳴り響いていて,近隣の自治体と生活の補助に差があるというのであれば,当然納得できる話ではないだろう。一方で,市民の声がまったく届いていないというわけでもない。当面は,2017年の厚木基地の艦載機移駐がめどになるだろうが,早期かつ確実に実現し,市民の不平等も解決できるよう,行政の手腕に期待したい。(引用終わり)
 註記)http://hamarepo.com/story.php?story_id=4938
    http://hamarepo.com/story.php?page_no=1&story_id=4938&from=
    http://hamarepo.com/story.php?page_no=2&story_id=4938&from=

 以上,最後の記述「行政の手腕」とはなにか。日本の裁判所は「司法-立法-行政」のうちその司法分野の国家機関であるが,在日米軍基地の問題になると最高裁ですら「アンタッチャブル・マター」であるかのように,この騒音問題に関する提訴を裁き,「アメリカのためである判決」を下してきた。

 すなわち,日本の裁判所は,在日米軍基地の問題をまともに審理できていない。安倍晋三君はそれでいて,いつも念仏のように「戦後レジームからの脱却」を,しかも「自身の政治家としての信念」であるかのように唱えてきた。

 だが,いまもなおこのように,基地周辺の市民・住民たちは騒音に苦しめられつづけている。安倍晋三君にあっては,いつものように口先だけでなく,問題の解決のために,実際的な結果を出すためにもっとまともに「テイネイにしっかり」と尽力しなければなるまい。もっとも,いままでの経過:実績〔なし〕を思い出すと,彼にはなにも期待できないが……。

 最後にいっておくが,沖縄県の在日米軍基地は,今日記述した神奈川県厚木基地をさらに集約・強化させたかたちをとって,よりひどく騒音問題などで県民を苦しめている。沖縄県の米軍基地がかかえている問題は,騒音の問題だけではなく,軍事面の諸論点をかかえこんでいる。ただし,今日のところは論じない。

 【付 記】   本ブログ筆者には,本稿に関連する記述がある。⇒ 2014年05月21日,主題「日本の空は主に米軍が領有,騒音に苦しむ基地周辺地域住民」,副題「日米安保条約体制下,がまんを強いられる日本国住民。これは平和の国でいられる日本の代償か?」

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