【属国日本の悲哀,いつまで経ってもアメリカ合衆国の第51州であるかのような様相を払拭できないでいる】

 【「戦後レジームからの脱却」をみずから放棄した安倍晋三の自己矛盾】

 【それでいて安倍晋三は,北朝鮮と戦争でもしたいらしい,狂気に走るこの国の総理大臣は,以前から退場すべき時期を迎えていた】



 ① 矢部宏治の新刊本『知ってはいけない-隠された日本支配の構造-』の広告

 この画像資料は矢部宏治『知ってはいけない-隠された日本支配の構造-』(講談社,2017年8月17日発行)の新聞広告である。『日本経済新聞』本日〔2017年9月1日〕朝刊の3面に出されていた。(画面 クリックで 拡大・可)
『日本経済新聞』2017年9月1日朝刊3面矢部宏治広告
   8月17日に発売されてから,この月いっぱいのうち(半月以内)にすでに4刷目の発行になっているという宣伝である。ほぼ2週間で4刷発行だから1週間に2回増刷している。この画像のなかに書いてある内容はすでに,矢部宏治の既刊本にも説明されているが,こんどはこの新書判でもって,日本人が「しってはいけない」在日米軍の治外法権,いうなればアメリカ軍の「在日特権」,これをいいかえれば,安保法体系が憲法体系よりもはるかに上位・優勢である地位を占めている「日本国の政治的な現実」を説明している。

 本ブログ内では,矢部宏治の見解・主張はなんども論及しており,その論旨・核心もくわしく説明してきたので,ここでは繰り返さない。それにしても,最近における安倍晋三君は「戦後レジームからの脱却」にほとんど触れられなくなっていた。ついこのあいだまでは,それを盛んに吹聴し,しかも大騒ぎして叫んできたけれども,いまでは,この日本が実際に置かれている米日軍事同盟関係の基本的な枠組(アメリカに対する日本の従属関係)を,みずからの口から話題にすることができていない。そうした「国際政治的な現実の様相」は引きつづき堅固に維持されてきている。

 というように,関連することがらに言及してみたところで,さらにつぎのニュースを紹介する。この記事には写真も添えられていた。

              


 ②「米軍ヘリ,ベイブリッジに低空接近 市民団体が撮影 真横飛行『危険だ』」(『東京新聞』ウェブ版,2017年8月23日 07時06分)


『東京新聞』ウェブ版2017年8月23日米軍ヘリ 横浜港で米軍ヘリコプターが低空飛行し,横浜ベイブリッジを支えるケーブル付近まで接近したのを,市民団体「リムピース」の星野 潔(きよし)さん(49歳)が撮影した。航空法では,橋最上部の3百メートル以上を飛ぶことなどが義務づけられているが,米軍には適用されない。今回の飛行目的は不明で,星野さんは「橋のケーブルの真横付近という低空を通過し,危険だ。横浜港は米軍の訓練空域でもなく,許されない」と話している。

 星野さんによると,ヘリは8月3日午後1時ごろ,南側から横浜港に飛来した。米海軍厚木基地(神奈川県)所属の第51海上攻撃ヘリコプター飛行隊の多用途艦載機MH60Rとみられる。米軍施設「横浜ノースドック」付近の上空を通過したあと,南東に約2キロ離れたベイブリッジ方向に楕円(だえん)軌道を描くように2回飛行し,2回目には橋に低高度で接近。その後,ノースドックに着地し,最終的に南側へ飛び去った。

 星野さんが横浜港を望む地点から撮影した画像には,最上部が175メートルのベイブリッジのケーブル付近を飛ぶヘリがとらえられている。また橋までの水平方向の距離について,星野さんは「数十メートルの近さだった」と証言している。ノースドックで離着陸するヘリやドックに入る艦艇の監視のため,リムピースのメンバーは10年以上前から週3回ほど横浜港に通っている。今回のヘリの高度の低さや橋までの距離の近さは異例だったという。

 もし同様の飛行を日本のヘリがすれば,航空法違反の可能性がある。国土交通省によると,港の上空は原則「航空機から半径6百メートル内の最も高い障害物から3百メートル」が最低安全高度とされる。しかし,特例法によって米軍には適用されない。

 今回の飛行目的は不明だが,外務省によると,米軍施設間の移動のための飛行は,日米地位協定で認められている。一方,訓練目的の場合,横浜港を含めた首都圏に訓練空域が設けられていないため,原則的にはおこなえない。仮に低空飛行訓練を行うケースでは,航空法と同一の規制を適用して安全性を確保することを日米間で合意している。

 米軍厚木基地の広報担当は取材に「運用上の詳細はコメントできない」と回答。防衛省は「移動にかかわる飛行だったとの認識だ」と答えた。米軍では,新型輸送機オスプレイの墜落など事故が相次ぎ,懸念が高まっている。星野さんは「ヘリが橋に接触すれば,通行中の車を巻きこむ惨事にもなりかねない。米軍機が日本各地で勝手に訓練し,市民生活に脅威を与えているのではないか」と訴える。
 註記)http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017082390070648.html

 この記事は,在日米軍の治外法権的な地位を象徴するごくありふれた実例のひとつを書いているに過ぎない。たまたま,横浜ベイブリッジを支えるケーブル付近まで接近して低空で飛行する姿,それもまっすぐに飛ぶのではなく,「楕円(だえん)軌道を描くように2回飛行し,2回目には橋に低高度で接近。その後,ノースドックに着地し,最終的に南側へ飛び去った」ということであったが,この飛行の仕方は通常,民間機であれば,あるいは自衛隊機であっても,わざわざおこなうるようなものではない。

 この点については,つぎの ③ の記事を読めば関連する日本国内における軍事事情の一端が理解できるはずである。米軍にだけ与えられている「在日特権」はみごとなまで自由・気ままに利用されている。本ブログ内ではこの赤坂プレスセンターの米軍ヘリ基地問題についてはすでに記述していた。
 補注)つぎの記述も参照されたい。2014年11月17日「アメリカ軍が支配する日本国,その実例『赤坂プレスセンター&ヘリポート』,⇒ http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1013777667.html

              

            


 ③「23区唯一の米軍ヘリ基地『赤坂プレスセンター』撤去訴え50年」(『東京新聞』2017年4月19日朝刊)


『東京新聞』2017年4月19日朝刊赤坂ヘリ基地 東京23区で唯一の米軍ヘリコプター基地「赤坂プレスセンター」(東京都港区)の撤去を求める住民運動が50年になるのを機に,あらためて撤去を要求する集会が〔2017年4月〕18日,基地に隣接する都立青山公園で開かれた。ここからヘリが一日数回離着陸し,騒音や事故の不安が絶えない。約百人が「港区に米軍基地はいらない」と訴え,基地の周りをデモ行進した。

 六本木ヒルズや国立新美術館に近く,商業施設や住宅が密集する都心の一等地。赤坂プレスセンターを離着陸する米軍ヘリは,ビルの間を縫うように飛ぶ。「きょうも首都の空をわが物顔で飛んでいた。われわれは半世紀の運動の意味をかみしめ,米軍に帰ってもらうまで粘り強くがんばっていきましょう」。集会を主催し,住民らでつくる「麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会」の川崎悟実行委員長(54歳)が呼びかけ,活動継続を決議した。

 センターは,かつては旧日本陸軍第一師団歩兵第三連隊の駐屯地で,戦後は米軍が接収,管理する。ヘリポートのほか将校用の宿舎,米軍の準機関紙を発行する新聞社などがあり,ヘリが横田基地(東京都福生市など),厚木基地(神奈川県大和市など)などとの間を行き来する。

 撤去を求める活動は1967年4月,当時近くにあった東京大の研究施設の労働組合が始めた。港区が2008~09年に実施した調査では,1日平均5回の騒音があり,近隣22町会が「うるさいと感じる」との結果が出た。実行委の2013年の調査でも,100デシベル(電車の通るときのガード下と同程度)を超える騒音が観測された。

 子ども2人と青山公園を利用する主婦山田万左子さん(45歳)は「ヘリの音がすごい。低く飛ぶので怖い」と不安を口にする。昨〔2016〕年2月,横田基地からセンターに向かうヘリがエンジントラブルで調布飛行場(東京都調布市)に緊急着陸しており,地元の霞町町会の防災部長,岡村次郎さん(70歳)は「万が一のことを考えると怖い。プロペラ音にくわえて振動,燃料の臭いもひどい」と指摘した。

 実行委の板倉博事務局長(65歳)は「目標はあくまで全面撤去だが,一時間近いアイドリングや低空飛行など,住民への配慮を欠いた飛行をまずあらためてもらいたい」と話した。

  【赤坂プレスセンターの説明】 広さ約2万7000平方メートルの米軍基地。環状3号線六本木トンネル建設などに伴い,2011年に同基地の土地4700平方メートルが日本側に返還された。2008年の都と米軍の協定で,同基地のヘリが島しょ部の住民の救急搬送にも使われている。
 註記)http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017041902000131.html

 以上の記事は,同じ日本国民たちであっても,近隣に米軍基地をかかえていて米軍機が離着陸するたびに発生させる騒音問題に悩ませられていない人たちに対しては,一見は無関係であり,あたかも「未知の事実」である点を教えている。沖縄県にたくさんある米軍基地や日本列島の各地に散在・配置されている米軍基地が発生させる米軍機の騒音問題は,その意味では日本国民たち全体に対しては「普遍する問題」だと受けとっておく必要性がある。問題は21世紀の核心は,この2017年になってもなにゆえ,アメリカが宗主国みたいに日本国土をたくさん占拠・専有し,それも自由自在に使える軍事基地として運用しているのか,というところにある。

 反復するが,安倍晋三が口を酸っぱくしていってきたごとき「戦後レジームからの脱却」の問題は,現状における日米安保関連法体制のもとでは,しょせんもとから不可能事でしかなかった。この事実をしらないわけではないにもかかわらず,つまり,その実現などとうてい不可能でしかない目的が,あたかも実現できるかのように説かれてきた,いうなれば大嘘が堂々とかかげられてきた。だから「戦後レジームからの脱却」とは単なる空想なのであって,そうすれば日本は「美しい国」「ふつうの国」へ変われるみたいに強調してきた安倍晋三の “観念主義に徹していた提唱” は,実質的にはまったくの虚構でしかありえなかった。

 ここではさらにつづけて,【TOKYO Web検索結果画面】で「米軍ヘリ」で検索したところで,初めの画面に記載されている10件からつぎの記事を拾うが,主にその見出しのみを紹介してみる。
 註記)http://search-sitenaviplus2.newswatch.co.jp/?cs=sjis&ord=s&id=25617&kw=%95%C4%8CR%83w%83%8A&x=0&y=0

  ⅰ)“オスプレイ「沖縄の危険増す」 米軍ヘリ,大学墜落から13年”(『東京新聞』2017年8月14日朝刊)
   ⇒ http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081402000108.html

    ⅱ)「沖縄,米軍ヘリ不時着に抗議」(『東京新聞』2017年1月21日夕刊)
   ⇒ http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017012102000246.html

  ⅲ)「沖縄米軍ヘリパッド再着工3カ月 えぐられた森」(『東京新聞』2016年10月23日朝刊)
『東京新聞』2016年10月23日朝刊沖縄ヘリバッド画像
  「米軍北部訓練場(沖縄県東村など)で,米側が部分返還の条件としているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設に日本政府が再着工して〔2016年10月〕22日で3カ月となった。東村高江で抗議する住民らと機動隊の衝突が激化するなか,日本政府がめざす12月の返還に向けて工事は急ピッチで進んでいる。

  ⅳ)「米軍ヘリ 静岡・御殿場の民間工場敷地に緊急着陸」(『東京新聞』2016年9月14日夕刊)
   ⇒ http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201609/CK2016091402000241.html

 このように日本国がまるでアメリカ合衆国の第51州であるかのように,それもアメリカの正式な州であれば,けっして許されないような軍事的利用のされ方をしている。にもかかわらず,最近における国際政治の緊急話題である「北朝鮮ミサイル発射」の問題に関連させて安倍晋三は,2018年度における軍事費(防衛費)予算請求額(概算要求額)をさらに増額させてきた。

 安倍晋三政権になってから,この好戦的な世襲政治家は,とくに北朝鮮を意識してなのか「やらなくてもいい」,つまり「米軍〔基地〕」関連に任せておけば,日本側においては必要としないはずの軍事予算を,日本側でわざわざ調達しようとしている。ここまで深く日本はアメリカの軍事的な属国状態に置かれているとすれば,日本側からなにも好きこのんでアメリカのための軍事予算を増やすような対応措置は,愚の骨頂である。それでなくとも「思いやり予算」やSACO(Special Action Committee on Okinawa;沖縄に関する特別行動委員会)関係の国家予算は,馬鹿にならないほどの金額でもって日本国側からの予算を米軍側に提供してきている。

 昭和20年代に首相だった吉田 茂の対米姿勢「軽武装・経済優先」の基本方針を,安倍晋三は学んだことがないのか? もちろん,その当時における特殊な政治事情のせいで,吉田の姿勢がまともな外交方針だったとはいえないものの,当時から最近まで日本の軍事問題に関していえば,奇妙にも屈折していた「戦争問題」に対するひとつの「外交的な工夫」としてみる吉田の姿勢は,それなりに評価すべき要素も含んでいた。

 ところが,安倍晋三は,そのあたりに潜む繊細かつ巧妙な「日本国のアメリカ合衆国に対する属国的状態」を,しごく単純に「戦後レジーム」ととらえ,これからの脱却を提唱していた。だが,この提唱はかえって「腸捻転的なその脱却」願望にしかなっていなかった。すなわち,その「脱却などできもしないのに」「それを国民たちに向かい盛んに叫ぶことだけはする」といったふうな,完全に自家撞着である訴えをつづけてきた。そうであればこそ,いまとなってみるまでもなく,安倍晋三が政権を掌握してからすでに4年と8ヶ月が経ってきた時点になってみても,実際における米日軍事同盟関係のもとでの「戦後レジームからの脱却」が,わずかでもいいのだが実現されていたという現象はなかった。

 つまり,安倍晋三はできもしない〈脱却騒ぎ〉をいわば空騒ぎとしておこなってきたけれども,要は「戦後レジームからの脱却」などはなにひとつ実現されていなかった。前段の ③「23区唯一の米軍ヘリ基地『赤坂プレスセンター』撤去訴え50年」(『東京新聞』2017年4月19日朝刊)という記事は,半世紀が経ってもこの小さな米軍基地をとりもどせない日本側の事情を報じていた。安倍が現実的にたとえば,この赤坂プレスセンターの返却をアメリカ側に求めたという話は聞いたことがない。昔,石原慎太郎が都知事の時代にそのような努力をした形跡があるが,まったく歯が立たなかった問題であった。しかし,安倍は日本国首相である。試してみる気はないのか?

 ここで,防衛省による「防衛費」概算要求を報じる記事に話題を戻す。

 ④「防衛省,概算要求5.2兆円 2.5%増 ミサイル迎撃強化」(『日本経済新聞』2017年9月1日朝刊4面「政治」)

 1) 記事引用
 防衛省は8月31日,2018年度予算の概算要求を発表した。米軍再編費などを含め5兆2551億円で2017年度当初予算に比べ 2.5%増えた。厳しさを増す安全保障環境を反映し,過去最高を更新した。北朝鮮による弾道ミサイルへの対応で迎撃体制を強化するため新装備の導入を進める。東シナ海などで挑発を続ける中国を念頭に,南西方面の体制強化を急ぐ。
『日本経済新聞』2017年9月1日朝刊4面軍事費予算図解
 小野寺五典防衛相は同日の省内の会合で「わが国の領土,領海,領空を守り抜く万全の備えを構築する。防衛力整備を着実に実施する事業を計上した」と述べた。項目別で増加が目立つのは日々の活動を維持するための経費だ。装備の修理費は705億円増の6884億円,燃料購入費は204億円増の939億円を求めた。艦艇や航空機の活動量が増えているためだ。

 北朝鮮の弾道ミサイルへの対応として,陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入方針を明記した。概算要求は金額を盛り込まない「事項要求」にとどめ年末までに費用を決める。イージス艦から発射する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の射程を伸ばしたミサイル取得費や,地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の能力を高めるための改修費も計上した。警戒管制システムの処理能力向上にも踏み切る。
 補注)地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)が今回の問題,北朝鮮ミサイルを迎撃するための兵器としては,ほとんど無意味に近いほど無力であって,その迎撃力において疑問だらけであった。ところが,この北朝鮮ミサイルの問題発生を奇貨として安倍晋三は,防衛費をさらにつり上げる材料に利用している。しかもいまの段階では,概算要求がともかく「事項要求」になっているのだから,軍事費(防衛費)を聖域化(特別枠化)しようとする意図まで感じさせてもいる。

 〔記事に戻る→〕 護衛艦2隻と潜水艦1隻の建造費も求めた。イージス艦に搭載する防空用ミサイル「SM6」の試験弾薬の取得費,ステルス戦闘機を探知しやすくする次世代レーダーの開発費も新たに求めた。離島奪還作戦を想定し,新たに島しょ防衛用の高速滑空弾や対艦誘導弾の技術研究も始める。無人偵察機「グローバルホーク」は導入中止を検討したが安保環境を考慮し導入経費を計上した。宇宙状況を監視するレーダー設置に向けた準備費用や,サイバー防衛隊を40人増の150人とする費用も盛り込んだ。奄美大島や宮古島に陸上自衛隊が新たに部隊を配備する費用も計上する。(引用終わり)

 いまの安倍晋三が防衛費関連の増額で実際に実現させようとするもくろみは,在日米軍(広義では当然,アメリカ軍そのもの)に対する「子分・三下・フンドシ担ぎ」的な役割分担を,みずから進んでより多くを請け負おうとする,実に “賢くない方向” を採っている。安倍はともかく,自分の為政において目先をくるくる変えて,いろいろな施策を提示してきた。

 2)保坂展人の安倍晋三批判
 安倍晋三が最近打ちだした「最新の標語」が『人づくり革命』であった。日本共産党はこの「革命」ということばを安っぽく使うなと噛みついていたが,それはさておき,つぎの『HUFFPOST』に掲載されていた保坂展人世田谷区長(ジャーナリスト )の,「人づくり革命」に対する批判の文章に聴いてみたい。

 以下の記述は,保坂展人「なぜ,『人づくり革命』に違和感を覚えるのか?」(『HUFFPOST』2017年08月07日 22時34分 JST,更新 2017年08月07日 23時25分 JST)から,適当な段落を引用してみた。

 a) 森友学園・加計学園問題と共謀罪,そして「自衛隊南スーダンPKO日報」問題等の渦中で支持率を急落させていった安倍晋三首相は,〔2017年〕8月3日に内閣改造に踏み切りました。「仕事師内閣」と気負った改造内閣の目玉となる看板は「人づくり革命」でした。「一億総活躍社会」以上に耳慣れないキャッチフレーズです。

 広辞苑によると,「革命」とは「従来の被支配階級が支配階級から国家権力を奪い,社会組織を急激に変革すること」とあります。「人づくり」とは本来,ていねいに個人の成長や発達を促し,支援するプロセスであって,荒々しいものではありません。「人づくり」をとりまく環境や制度をダイナミックに改革することを意図しているのだとしたら,内閣の政策表現としては不出来な言葉です。

 安倍首相が列挙して語る「革命の根拠」を聞いていると,巧妙なすりかえをしているように感じます。「家庭の経済事情」によって生まれた時から子どもが選択できる進路があらかじめ決められているような格差社会・身分社会は,いったい誰がつくってきたのでしょうか。

 b) 政権交代時の「高校無償化」をバラマキだと批判してきたのは誰だったでしょうか。すなわち,自民党政権のうちでも,小泉純一郎政権以降の新自由主義の世界観で,弱肉強食を是とする格差社会は一挙に拡大しました。私は,小泉政権当時の永田町で,従来の常識や規制をくつがえすような「改革」が矢継ぎ早に進んでいくのをつぶさにみていました。

 高等教育への進学のために奨学金を「有利子ローン」として割り切り,債権回収ビジネスに門戸を開いたことや,労働市場の規制緩和のかけ声のもとに「製造業への派遣労働」が許容されるようになったことで,「いつでも集められて,いつでも首にできる低賃金労働者」が急増し,2007年のリーマンショックでは生産調整による「派遣切り」の結果,大量の派遣労働者が住居を失い途方に暮れることになりました。

 収入を貯蓄にまわすゆとりがなく,貯金を取り崩しながら働く生活保護世帯以下の収入しかない「ワーキング・プア」も一挙に広がりました。非正規労働者が拡大することで,正規労働者の賃金も1997年以降の約20年にわたり下降を続けました。結婚から遠ざかり,子育てどころか,自分自身の明日がみえないという若者が増えました。少子化社会が加速したのも,若い世代の雇用環境が悪化したのも政策責任です

 歴代自民党政権,とくに小泉政権以降の「改革」は,「人づくり革命」どころか,「人潰し社会化の加速」だったことへの反省の視点は,どこかにあるのでしょうか。日本社会がもっていた平等性が瓦解し,果てのない競争社会が産み出した「格差と貧困」は,昨〔2016〕年アメリカのバーニー・サンダース民主党大統領候補が社会主義者として呼びかけた「革命」の根拠に相通じるものです。

 政治は結果責任であるといいます。「格差と貧困」「不平等・不安定社会」という結果と向き合うのなら,「人づくり革命」という言葉は出てこないと思います。必要なのは,日本社会の平等性を回復し,安定した社会生活を送ることができる生活の土台を築くための「政策変更」,あえていえば「政策革命」です。ここを放棄して,「さあ人づくり革命断行だ」というのは世論の目先を変えて,「革命」という激しい言葉で人びとを幻惑しているにすぎません。

 c) 「女性活躍」「一億総活躍」に続いて,今回の安倍政権の「人づくり革命」がどのような波紋をもたらすのかは,これからの政治とメディア,そして世論にかかっています。支持率低下に直面しているとはいえ,政権から発する言葉は,その是非についても「話題」になります。この夏,代表選挙を迎えている野党第一党の民進党代表選挙で,なにが語られているでしょうか。「人づくり革命」という奇妙なスローガンを相対化し,「格差と貧困」「不平等・不安定社会」を克服する社会モデルを提案しあい,議論するべき時だと思います。

 現在の日本に必要なのは「人づくり革命」ではなく,「生命が大切にされる社会」です。企業収益と効率向上のためには,人の生命をむしばみ疲弊させることに鈍感だった政策の大転換です。内閣改造にあたって飛び出した「人づくり革命」という言葉が,唯一意味があるとすれば,そうした議論が深まり,加速する機会になるかもしれないということにあると考えています。(保坂展人の引用終わり)
 註記)以上,http://www.huffingtonpost.jp/nobuto-hosaka/revolution_b_17698752.html
 
 その一方で安倍晋三は,北朝鮮ミサイル問題を針小棒大に喧伝していけば,日本国民が自分に対する評価をすっかり落としている「最近の情勢」を,それこそ革命的(!?)に変化〔回復〕させうるかのように思いこみ,なんとかして「人づくり革命」という標語までも創案しては,これが現実離れの発想であることなどなんのその,国民たちの目先をごまかす「つたない・ケチ臭い謀略的な計慮」ばかりを前面に繰りだしている。

 だがしょせんは,賞味期限切れどころが下手に口にしたら食中毒死しかねないのが,現在までなんとかもっている安倍晋三政権の本質である。ということで,すでに昨日〔8月31日〕の本ブログ記述で紹介してあった識者の安倍批判の文章を,再度紹介しておきたい。2018年度における軍事費(防衛費)の増額請求(しかも事項要求)を念頭に置いて読んでほしい。

              


 ⑤「安倍首相は北朝鮮有事をけしかけているのかもしれない」(『天木直人のブログ』2017-08-31)

 ここにきて,安倍首相の北朝鮮に対する強硬姿勢は異常なほどだ。ロシアや中国が自制的なのはわかるが,北朝鮮と朝鮮戦争を戦っている韓国や米国よりも強硬である。トランプでさえも話しあいの道を閉ざしていないというのに。

 そう思っていたら今朝のNHKが流した。昨日〔8月30日〕の夜11時ごろにトランプ大統領との2回目の首脳電話会談をおこなったと。立てつづけに電話会談するのは異例だと。そしてトランプ大統領はもはや北朝鮮との対話は役立たないといいはじめたと。

 ひょっとして,安倍首相はトランプ大統領に北朝鮮への攻撃をけしかけているのかもしれない。そんなことはあろうはずがないだ,ひょっとしてそうかもしれない。そう思わせるような,このところの安倍首相の異常とも思える対北朝鮮強硬姿勢だ。

 このままではなにをやっても支持率は回復しない。9月末まで臨時国会を引き延ばしたのはいいが,臨時国会が始まれば,たちどころに加計・森友疑惑で追いつめられる。それをごまかすために解散・総選挙に打って出ても,議席減は避けられない。

 かくなるうえは北朝鮮有事に頼るしかない。そうなればすべてがチャラになる。有事の時の政権交代などありえない。改憲に反対する国民はいなくなる。もし安倍首相がこんな事を考えてトランプ大統領をけしかけているとしたら言語道断だ。

 その言語道断を安倍首相ならやりかねない。そんなことにならないためにも,戦争が始まる前に,まともな国民は安倍・反安倍を問わず,一致団結して安倍首相を首相の座から引きずり降ろさなくてはいけない。
 註記)http://kenpo9.com/archives/2249

  こちら側においてみれば,かなりに狂気状態にまで落ちこんでいるお子様首相が,あちら側〔北朝鮮のこと〕にいる独裁君の向こうを張って(とはいえあちらはトコトン本気でやる気まではないはず),本気でトランプに戦争ゲームを開始するようにけしかけているつもりであるならば,まったくこの首相は失格である。

 もとより,国際政治の駆け引きなどまともには,なにも・少しもできない「世襲3代目の政治家:ボクちゃん」になにかができるほど,実際の外交は生やさしいものではない。トランプもきっとこの甘ちゃん首相に対しては「けっして本心」を語ることはあるまい。本心を告白・披露している晋三君だけが,実にみっともない演技(パフォーマンス)をしている最中(つもり)である。

 ⑥「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」,『板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」』2017年8月31日も,このたびにおける安倍晋三の演技ぶりを正視できずに,これを「バカの1つ覚え」と形容したうえで,この事態をきびしくつぎのように批判していた。標題は「安倍晋三首相は,『第3次世界大戦』を勃発させようとしている『悪霊』に未だに憑りつかれているようだ」。

 「バカの1つ覚え」 安倍晋三首相は,北朝鮮が弾道ミサイルを発射すると,必らず「暴挙だ。これまでにない深刻かつ重大な脅威であり,地域の平和と安全をいちじるしく損なう。北朝鮮に断固たよる首脳会談後は,「トランプ氏が米国は同盟国である日本と100%ともにあると述べた」などと記者団に報告している。

 しかし,トランプ大統領が,米朝両国がおこなった「オスロ秘密会合」(〔2017年〕5月8日から10日まで)で合意した内容に従い,単なる「対話」ではなく,「北朝鮮を核保有国として認める」としたうえで,「米朝和平」(米朝国交正常化・国交樹立・平和友好条約締結→朝鮮半島統一)への動きが,本格化させているのに,安倍晋三首相は,「対話」という言葉を一度として使おうとはせず,むしろ「懸命になって潰しかかっている」のだ。

 安倍晋三首相は,「第3次世界大戦」を勃発させようとしているオバマ前大統領やヒラリー・クリントン元国務長官という「悪霊」に未だに憑りつかれているようだ。

 ⑦ クラウゼビッツ「戦争論」などの理解においては,まったく及びでない日本国首相の悲劇

 1)前 
  カール・フィーリプ・ゴットリープ・フォン・クラウゼヴィッツ(独: Carl Philipp Gottlieb von Clausewitz 1780~1831年,プロイセン王国の軍人で軍事学者)がとくに「政治的交渉の延長としての戦争概念」を提唱したことは有名である。

 つまり,戦争における暴力の相互作用は,政治的・社会的・経済的・地理的な諸要因によって抑制されるゆえ,戦争というものは政治に対して従属的な性質をもっていると指摘した。すなわち,殲滅戦争から単なる武装監視にいたるまであらゆる戦争の形態を,政治が規定することを論じた。これを定式化したクラウゼヴィッツは「戦争が他の手段を以ってする政治の延長」だと定義したのである。

 このクラウゼビッツの「政治と戦争」論に対する基本思考に照らして判断すると,安倍晋三君の頭脳のなかにあってはこの「論」が完全に不在である。板垣英憲いわく「バカの1つ覚え」。安倍は,北朝鮮との戦争をしたがっているかのような姿勢しかみせておらず,きわめて単細胞の思考しかできない政治家である。「政治と戦争」の関連問題の “イロハのイ” からして,その観念を欠如させている「日本国の総理大臣」である。

 クラウゼビッツが「政治的交渉の延長としての戦争概念」とか「戦争が他の手段を以ってする政治の延長」と規定してみた「政治交渉」とは,完璧といっていいくらい無縁の場から,それも相当に愚かにも “子供じみた発想” しかできていないのが,この日本国の総理大臣であった。国民たちの立場・利害をあらためて考慮するとき,この国の暮らす生活者として,これ以上の不運・不幸はない。

 2)「〈FT特約〉北朝鮮の危機どう対処 日中韓の主導権 重要」(『日本経済新聞』2017年9月1日朝刊8面「国際」に転載された『フィナンシャル・タイムズ』紙の8月31日「社説」)
 「対話は答えではない」。北朝鮮の挑発的なミサイル発射試験に対し,トランプ米大統領がツイッターで示した最新の反応だ。すでに「炎と怒り」という脅しを突きつけていたトランプ氏のこのコメントは,米国は北朝鮮の政権に対する先制攻撃を検討しているのではないかという不安を再燃させるだろう。

 米朝間の威嚇の応酬は,トランプ氏と金 正恩(キム・ジョンウン)委員長の個人的な決闘という感さえ与える。だが,朝鮮半島の危機を鎮めるにはアジアの主要国,とくに韓国・日本・中国が反目を乗り越え,共通の問題に協調して対処することが必須となる。

 韓国はこのところ国内の政治危機にとらわれ,日本の戦時中の行為に対する謝罪要求も激しい論争の的となっており,北朝鮮問題における両国の協力を困難にしている。日本は最近まで,金体制の危険よりも中国の台頭によるリスクに気をとられていた。中国は米国が対北朝鮮防衛のために韓国に配備した,地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の脅威に神経をとがらせてきた。

 北朝鮮危機が戦争に発展すれば,このような懸念はすべて近視眼的だったということになるだろう。日本と韓国は金氏のミサイルの射程内にある。中国は北朝鮮の同盟国だが,朝鮮半島での紛争は難民の流入,最悪の場合には死の灰が降りかかってくる事態にもつながりうる。共通の脅威に直面しているという現実を受け入れれば,創意に富む地域的な外交努力の余地が生まれる。

 現実的であることもまた重要だ。当面,抑止と封じこめが最重要課題であることは変わらない。THAAD配備で核抑止力に影響を被るという中国の懸念は,通常の安全保障の文脈であれば理解できる。だが中国はいま,韓国が直面する脅威の重大さを踏まえて寛容な態度をとるべきだ。その見返りに米国と韓国は北朝鮮の脅威が和らげば,THAADを撤去するという保証を与えられる。

 最後にトランプ氏の問題がある。米国の主要同盟国でさえ,トランプ氏の判断に重大な疑念を抱いていることは疑いようがない。そうであればこそ,アジアの主要国が北朝鮮危機で主導権を握ることがなおさら重要になる。(31日付「社説」=英フィナンシャル・タイムズ特約)

 3)若干のむすび
 ところが,安倍晋三君がこのところ,北朝鮮ミサイル問題に対してみせている外交的な姿勢は,「売られたケンカ」は喜んで買うといったごとき,実にバカらしいというか,なんの考えもない立場を露呈させている。もともとこの人にあっては,国際次元における政治・外交に必要不可欠である「創造的な思考空間」における政策的な工夫が,まったくといいほど確保されていない事実を,あらためて教える対応になっていた。この人に日本の政治(内政も外交も)を任せることができない。この点は明白である。安倍の政治が危険だという意味でいえば,あの面相からは凶相しか読みとれていなかった。

 さらに問題なのが,この未熟政治家:安倍晋三のとても危険である方向性のみを,一生懸命に反映させるための「公のための報道」をしつづけているNHK(国営放送)の立場であり,そのニュース制作のありようであった。安倍政権の意向をそのままに,なにも批判的な見地も添えないで,垂れ流し的に放送している。NHKに対する受信料不払い問題以前の重大な問題が,この国営放送には以前からの痼疾として除去できていない。

 要は,いまの日本の現状にとってみれば「百害あって一利なし」の国家指導者が,安倍晋三という総理大臣である。早くお辞めくださいといっておくほかない。むろん,いまの時点まででも,安倍が何月何日ころに衆議院解散総選挙に挑むのではないかという情報が,あれこれ流通していることはたしかである。

 ------------------------------

  【追 補:その1】  小林よしのりも,こういっていた。安倍晋三は「日本史上,最低最悪の首相である」(『BLOG あのな,教えたろか。』2017年8月31日,https://yoshinori-kobayashi.com/13896/ )。

  【追 補:その2】 「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」『板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」』2017年9月1日の「安倍晋三首相は,自然災害,戦争被害から国民の生命,身体,財産を守る手立てをせず,外交無策により国民を危機に曝す」は,安倍晋三をこう批判していた。

 「関東大震災,東海大震災,東南海大震災,南海大震災の4連発」が,いつ起きてもおかしくないと憂慮されている。「天災は忘れたころにやってくる」という。「天災はその恐ろしさを忘れたころにまた起こるものであるから,用心を怠らないこと・油断は禁物であるという戒め」である。物理学者で文学者の寺田寅彦のことばといわれる。

 にもかかわらず,東京都内に限ってみると,超高層ビルの建設ラッシュが続いている。本当に「4連発」が起きた場合,地域住民はどうすればいいのか。「3・11」の東電福島第1原発大事故で漏れ出た放射能を「アンダーコントロール」してはいない。

 北朝鮮(金 正恩党委員長=元帥)が発射した新型中距離弾道ミサイル(火星12)に対して,肝心要の「全国瞬時警報システム(通称:J-alert)は,なんの役にも立たなかった。

 安倍晋三首相は,自然災害ばかりか,戦争被害から国民の生命・身体・財産を守る手立てを整備することもなく,しかも外交無策を続けて国民を危機に曝している。

 ---------------------------


              

            

---------------------------