【小池百合子「希望の党」代表は,自分との選挙用ツーショット写真を撮る立候補者から3万円徴集し,選挙供託金以外にもさらにウン百万円などなど上納しろといっているらしく,この女性政治家はよほど政治資金に困っている様子である】

 【小池百合子のせいで空中分解した民進党の混乱ぶりに大喜びしている安倍晋三君】


 ①「〈乱気流 2017衆院選)民進3分裂 枝野新党・希望・無所属」(『朝日新聞』2017年10月3日朝刊2面)

 民進党が分裂した。小池百合子・東京都知事率いる新党「希望の党」に合流することで一致して安倍政権を倒す,と訴えた前原誠司・民進代表の思惑が外れた。民進側に「宗旨替え」を迫る小池氏への反発が野党を合流ではなく,細分化の方向に向かわせている

 1)「排除の論理」,枝野氏対抗 連合に支援要請,50人規模想定
 〔10月〕2日,東京都内のホテル。民進の枝野幸男代表代行が1人,「立憲民主党」のボードを手に新党結党への思いを語った。「私たちのめざすべき社会のあり方,理念や政策の方向性を応援してくれた皆さんにとって,選択肢がない状況になってしまっている」「多くの国民から『枝野が立て,その選択肢を作れ』という激励をいただいた」。
枝野幸男立憲民主党画像
出所)https://dot.asahi.com/wa/2017100200083.html

 枝野氏が新党を視野に動き出したのは,衆院解散翌日の9月29日。小池氏が記者会見で,改憲支持や安全保障法制の容認などを条件に候補を絞りこむ「排除の論理」に正面から言及してからだ。民進の理念や積み上げてきた政策を「新たなプラットフォーム」で実現するとの前原氏の説明とは,まるっきり違う展開にあぜんとした。
 補注)前原誠司の脇の甘さは,小池百合子のせこさの前でも通用しなかった様子である。つぎの引用をしておく(「偽メールに幻の山尾幹事長 前原誠司『持ってない』伝説」『週刊文春』2017年9月28日号)。
  「やっぱりもってないなあ」。幻の幹事長人事を受けて思わずこう漏らしたのは,民進党の衆院議員である。山尾志桜里氏を幹事長に起用しようとするも,不倫問題で断念に追いこまれ,就任早々つまずいた前原誠司代表(55歳)。彼の政治人生を振り返ると,驚異的に「不運」なのである。

 まず,前原氏が民主党代表だった2006年,「偽メール事件」が発生する。同党が堀江貴文氏が自民党幹部の親族にカネを振りこむよう指示したとのメールを国会でとりあげて追及したが,これが捏造メールであることが判明する。質問した永田寿康氏は議員辞職し,前原氏も代表辞任に追いこまれた。
 註記)引用は「週刊文春」編集部,2017/09/21,http://bunshun.jp/articles/-/4208 から。
 翌30日〔2016年9月〕には,民主党政権を切り盛りした前議員ら,希望の党に合流を拒否されたとする民進出身議員の名前を記した出所不明の「排除リスト」が出回った。枝野氏はこの日夜,辻元清美幹事長代行らと東京都内でひそかに会談。新党の準備に入ることなどで一致した。
 補注)その排除リストに記載されていたのは,つぎの15名であった。
『朝日新聞』2017年10月3日朝刊画像   小池百合子の意向を受けて,すでに出回っていた「排除リスト」は,前職12人と元職3人の計15人を挙げていた。

  菅 直人 (東京18区)
  野田佳彦 (千葉4区)
  岡田克也 (三重3区)
  赤松広隆 (愛知5区)
  長妻 昭 (東京7区)
  枝野幸男 (埼玉5区)
  安住 淳 (宮城5区)
  近藤昭一 (愛知3区)
  辻元清美 (大阪10区)
  阿部知子 (神奈川12区)
  篠原 孝 (長野1区)
  初鹿明博 (東京16区)
  海江田万里(東京1区)
  手塚仁雄 (東京5区)
  櫛渕万里 (東京23区)
 ただ,新党に突き進むには懸念もあった。10月1日に党本部で会談した前原氏が,「無所属で出馬するなら希望側が対抗馬を立てないよう調整する」と発言したからだ。1人しか当選しない小選挙区で野党系候補が乱立すれば,与党候補を利するだけだ。無所属でも,与党側と一騎打ちになるなら勝算が高まる。枝野氏らは揺れた。

 「希望の党から公認できないといわれた」「急に対抗馬を立てるといわれた」。この日深夜から2日未明にかけて,「排除」されたという民進の前議員や元議員らからSOSが相次いで届いた。新党立ち上げの決断に至ったのは2日早朝だったという。

 枝野氏は2日,民進最大の支持団体である連合に支援を要請。結党表明の記者会見では,「『生活者や納税者,働く者の立場に立つ』ということが私たちの立ち位置。連合と連携しながら積み重ねてきた理念や政策で,理解,賛同してもらえると確信している」と話した。

 枝野氏周辺は前職で十数人,新顔や元職を含めると50人規模の参加を想定する。だが,〔10月〕10日の公示までは時間がない。与党側が事実上の選挙戦を進めるなか,準備がほとんどないまま仕切りなおしを迫られる。このため,綱領や政策などについては民進のものをそのまま引き継ぐ。

 希望の党は〔10月〕2日,枝野新党が立つ選挙区に候補者を擁立する方針を示した。野党候補が乱立すれば,共倒れの可能性が高まる。枝野氏と近い民進の参院議員はいう。「ここで失敗すれば,リベラル勢力が壊滅してしまうかもしれない」。

 2)前原氏,合流の主導権失う / 小池氏,戦略に狂い失速感
 枝野新党を誕生させたのは,枝野氏と先月の民進代表選を争ったばかりの前原氏だ。党内で「保守対リベラルの対決」と受け止められた代表選は,保守勢力との再編に前向きな前原氏と,再編論に反対姿勢を取る枝野氏という構図だった。とはいえ,すぐに再編を進める意図はなかった。

 目算が狂ったのは,代表就任後の幹事長人事。若手で次世代のリーダー候補と目された山尾志桜里前衆院議員を登用することで党勢回復につなげるねらいが,山尾氏の男性との交際問題を週刊誌に報じられ,断念。その後も離党ドミノが止まらない現状を許した。

 ゆきづまり感が漂うなかで安倍晋三首相の衆院解散方針が伝わり,持論の再編を小池氏に託した。解散が迫り,政策のすりあわせや公認問題を詰めないまま小池氏と「合意」。受け入れる側の小池氏に主導権を渡すかたちとなり,「排除の論理」を許す事態を招いた。党内では「前原氏はだまされた」との受けとめが大勢だ。小池氏サイドにも不安が広がる。「代表の思いとは違うイメージが広まってしまっている」。小池氏周辺は〔10月〕2日,失速感が強まる現状を嘆いた。

 小池氏はもともと,希望の党の前職や新顔らに多数の民進前職らをくわえ,一気に単独過半数を狙える人数の候補を全選挙区に立てる戦略を描いていたという。一方で,「(民進離党組の)蜘蛛(くも)の糸にしてはならない」との考えから,新党の軸に「寛容な改革保守」をすえ,憲法や安全保障といった国家の根幹をなす政策について,公認予定者の考えを一致させようとした。

 そうしたなかで飛び出した9月29日の「排除」発言 註記)は,民進前職らの強い反発に遭っただけでなく,希望の前衆院議員らからも「ここまでやるとは思わなかった。ムチャクチャだ」「この騒ぎで(小池人気に)水を差した。明らかにマイナスだ」と不満の声が漏れる事態を招いた。
 註記)「小池氏『全員受け入れ,さらさらない』選挙前に民進を厳選」(『東京新聞』2017年9月29日夕刊)。
 補注)小池百合子は本当に「エラソウに」,こう断言していた。民進党側が事前に,前職や元職,新人の公認申請希望者のリストを提出したが,小池は会談終了後,記者団に「私たちの政策に合致するか,さまざまな観点から絞りこみをしたい。全員を受け入れることは,さらさらない」と選別する考えを示していた。
小池百合子「さらさらない」画像
出所)http://www.news24.jp/articles/2017/09/29/04373836.html
   補注)その後,本日〔2017年10月3日〕中までには,つぎのような記事が登場していた。
 

 a)「小池代表の『排除』発言に反発 連合は希望の支援見送りへ」(『日刊ゲンダイ』2017年10月3日)

 民進党最大の支援団体「連合」が希望の党の支援を見送る方向で調整に入ったことが分かった。希望の小池代表が,民進からの合流希望者について「全員受け入れ,さらさらない」「排除する」と選別していることに対し,連合内部で「何様なのか」「カネとヒトがほしいだけか」などと反発が広がっているためだ。

 連合は〔10月〕5日に開く臨時の中央執行委員会で支援見送り方針を正式に決定するとみられる。連合は民進からの出馬予定者ら約170人に推薦を出しているが,今後は政党に関係なく,推薦候補を個別に支援するという。小池代表の「排除」発言には,連合の神津里季生会長も「おかしい」と激怒していた。
 註記:リンク ⇒ )https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/214765

 b)「銭ゲバ・希望の党が候補者に党への上納金500万円を要求!  民進党の政党交付金も自分たちのものに」『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2017年10月3日。
 註記)http://lite-ra.com/2017/10/post-3487.html

 c)「『排除の論理』はなぜ心を打たないのか 10月総選挙大波乱へ」(保坂展人稿『HUFFPOST』2017年10月02日 20時42分 JST,更新 18時間前)

 野党の隙を突いた「奇襲解散」という功利的な計算は,文字どおり「計算違い」となりました。9月26日の安倍首相の解散表明記者会見の直前に,小池東京都知事が「希望の党」代表就任の記者会見をぶつけます。そして,前原民進党代表が打った前代未聞の奇策である希望の党への「民進党丸ごと合流」によって,政界はカオス状態に入り,さらに「排除の論理」で野党結集の求心力より遠心力が働き,民進党の事実上の分裂劇へと転じていきます。

 政治は言葉がすべてです。公平で平等な社会をめざす社会的包摂とは,差別や格差を生む社会的排除とは正反対の姿勢です。総選挙直前の「排除の論理」(「
全員を受け入れることは,さらさらない」)とは,権力を行使して他者の尊厳を奪う行為であり,寛容ではなく偏狭な態度です。さらに,これからの政治は「苦しい思いをしている人びと」「社会的排除の風圧に弱っている人々」に対しての共感力をもった社会的包摂の政策が問われるのです。
 註記)http://www.huffingtonpost.jp/nobuto-hosaka/election-edano_a_23229550/ 〔 〕内補足は引用者。

 d)「『立憲民主党』に期待する」(『BLOG あのな,教えたろか。』2017.10.03)

 枝野幸男氏の「立憲民主党」創設,とても良かった。いけいけどんどんで,調子に乗っていた軽佻浮薄な「希望の党」に比べて,地味で政治哲学を感じさせる枝野氏の会見だった。今週の雑誌では,いかにも小池百合子が総理になるかのような特集記事ばかりだが,残念ながら一周遅れの記事になった。目まぐるしく野党の再編劇が続くから,たった一日で世論も激変してしまう。

 小池百合子は「排除する」と堂々と明言したことで,「寛容な保守」なんて大嘘じゃないかということがバレてしまい,独裁者のイメージが流布されてしまった。空気を読むことだけには長けた政治屋だったが,これで小池ブームは萎んでいくことを小池自身が察知したから,都知事の椅子にしがみつくに決まっている。

 「希望の独裁党」からの立候補はない。自分の身の保身しかない代表をもつ「希望の独裁党」の未来は「失望」しか待っていないことになる。「希望の独裁党」に移動した政治屋たちは,「踏み絵」を躊躇なく踏んじゃいますという,理念も信念もあっさり覆す風見鶏どもの党だという評価になる。

 「立憲民主党」は「信念がブレなかった政治家の党」というイメージが,これから拡がっていくだろう。保守コンプレックスしかない民進党内のアホどもの受け皿を作ってくれて,小池百合子よ,ありがとう。保守のなんたるか,リベラルのなんたるかも,結局最後まで理解できなかった民進党内右派たちは,「風だより」の政治屋さんに過ぎなかった。

 枝野幸男の信念の方が希望がある。じわじわと「信頼」を獲得する。どうせ面白可笑しい政治サーカスが好きなマスコミが,今後も小池情報ばかり流すだろうから,騙されつづける大衆も多いのかもしれない。マスコミ受けしない「立憲民主党」は確かに「苦しい船出」になるだろう。

 だが,安倍政権打倒は大義だが,大義のために悪魔に魂を売ることはない。希望の党」が「維新の会」と同じ,保守コンプレックスの政党だと判明して良かった。危うく騙されるところだった。小池百合子も,安倍晋三とよく似た,「排除の独裁者」の性質をもつ狭量な政治屋だった。今後はこの真実をどうやって世の中にしらせていけるかだ。
 註記)https://yoshinori-kobayashi.com/14173/
 小池氏は〔10月〕1日,「排除」発言について,記者団に「政策による(選別)といった。言葉の問題だ」と弁明。火消しに動いたが,事態は好転していない。一方,小池新党から公認をえられる見通しがなく,枝野新党への参加にも抵抗感がある前衆院議員らは無所属での立候補を余儀なくされる。衆院選後までは民進に残る参院議員も浮足立つ。

 岡田克也・民進元代表は2日の記者会見で「小池さんの発言を聞いていて政策面でかなり違う。(枝野新党も)政策的にぴたっとこない」と述べ,無所属出馬を表明。民進分裂に至った点については「悔いの残る結論」と述べた。

 安住 淳・前代表代行も2日に無所属宣言。「本当に政権をとる気なら,我を張らずに調整するのがいい」と述べ,「(前原氏が)枝野氏と折りあえなかったのは残念だ。1議席を争う政権選択選挙はリベラルの力がいる。呑みこむ寛容さが必要だ」と苦言を呈した。

 3)「〈視点〉『反安倍』受け皿,自壊の恐れ」
 民進党が希望の党への一括合流という「奇策」に失敗し,小池新党・枝野新党,無所属に3分裂することになった。小池新党への合流を決めるうえで最低限必要だった政策合意を後回しにして,人気にすがった身売りの末の分裂劇である。

 前原誠司氏の責任は重い。小池百合子氏との間で合意文書を作らず,いわば口約束だけでみずから事実上の解党を宣言し,小池氏に「排除の論理」というべき選別権を与えた政治的稚拙さだけではない。候補者が小池新党の公認をえるために,安保法制の廃止や10%への消費税率引き上げなど,党の根幹をなす政治的主張の放棄を迫られ,「転向」を宣言する文書にサインすることも,だ。

 政治や社会の状況変化に応じて政策を変えざるをえない場合はあるが,選挙目的のためだけに直前までかかげた政策や理念の根幹をかなぐり捨てるのが,政党政治家のとるべき道といえるだろうか。

 前原氏は事実上の解党と合流を宣言した両院議員総会で,反安倍政権の受け皿をつくるために「名を捨てて実を取る」と述べた。しかし,結果として民進から3分裂した候補者が選挙戦で相まみえるならば,安倍政権を倒すために一致するという合流の唯一の「大義」すら失われることになる。

 このままでは,政権与党に立ち向かう勢力が自壊する。前原氏の小池氏との「奇策」は,安倍1強を復活させる結果をもたらすことにもなりかねない。(政治部次長・松田京平)(記事引用終わり)

 以上の『朝日新聞』政治部次長の分析は,ほぼ妥当な解説をしている。安倍1強政治への対抗,あるいはその崩壊を狙うべき野党勢力のありかたに関していえば,小池百合子はあたかも「安倍晋三自民党のための第五列造り」であるかのような動きをしてきた。

 なお,ここでいう「第五列」とは,1930年代に起きていたスペイン内乱中,4個部隊を率いてマドリードに進攻するフランコに呼応した共和政府内のグループを,フランコ側が第五列と称したことに始まるが,要は「内部にあって,外部の敵勢力に呼応して,その方針のもとに活動しているグループ」を意味する。

 本ブログ内でも議論してきたように,小池百合子は「保守・反動・極右の政治家」である。したがって,基本の政治路線(イデオロギー・理念)は安倍晋三と瓜二つといっても過言ではない。この女性政治家率いる「希望の党」が,安倍自民党と3分の2以上の議員勢力を,改選後の衆議院で占めることになれば,日本国のファシズム化への前提条件がととのったことを意味する。

 もっとも,前原誠司自身は極右とはいえないまでも,その軸に近い保守的な政治家である。ということで,ここではつぎの ② 批評を参照する。この文章は,40日ほど以前の時点における予測的な分析であったが,的を射ていた解説である。なお文体は変更した(文意にいっさい変更はない)。

 ②「前原氏は民進党を右翼的再編に導き,財界のために構造改革を推進する党にする 小沢氏も便乗か そこに小池新党 行き着く先は国民不在」(『BLOGOS』猪野 亨稿,2017年08月24日 12:11

 民進党の代表選挙は,枝野幸男氏と前原誠司氏の争いであって,争点のひとつが野党との選挙協力をどうするのかであった。だが,前原氏がめざす方向がしだいにに明らかになってきた。代表選挙の前から共産党との選挙協力はみなおすといっていたが,他方で全選挙区で候補者を擁立したいともいっていたし,早々に小池新党にエールを送ってもいた。

 そのようななかで,自由党や社民党との関係はどうするのかと思っていたら,前原誠司氏の推薦や支持議員には,小沢系議員が多数,名を連ねていた。小沢氏が小池新党にエールを送り出しているというのはネット上では飛び交っていたが,すでに前原氏と小沢氏とのあいだには共闘が出来上がっていた。

  ※-1「共産党との共闘打ち切り要請,前原氏『同じ思いだ』」(TBS,2017年8月23日)
  ※-2 「自由党さんや社民党さんとの調整ということもおこなっていかなくてはいけない」(民進党,前原誠司元外相)

 これらに先だって前原氏は,報道各社のインタビューで,つぎの総選挙で共産党以外の党とは,政策の一致を条件に候補者調整をおこなう考えを示していた。消費税問題で自由党,社民党と政策が一致するのかよくわからない,検討はするということであった。

 前原氏が小池新党にエールを送っているのは,その票のおこぼれを欲しいからである。現状では,自由党,社民党と候補者調整をおこなっても体勢(大勢?)に影響はなく,野党3党のなかでは基礎票の一番多い共産党とのあいだでの選挙協力がなければ現状では自民党には勝てない,そこで小池新党からのおこぼれ票がぜひとも必要となってくるわけである。

 〔結局〕「前原誠司氏がちゃぶ台をひっくり返す? 共産党よりも日本ファースト 泥船は沈む」。
 補注)ここでの「日本ファースト」はその後「希望の党」に変わっていた。

  ※ 国民まで沈めないでね ※

  前原氏の構想は,「健全」な保守政党を作るということだが,自民党が腐敗した,だから「健全」な保守政党を作れば支持されるはずだ,というもくろみである。法人税減税などはとんでもないことであり,安倍自民党ができなかった消費税率の引き上げは,財界に媚びるためにも譲れない政策のひとつになる。

 つまり,前原氏の戦略は,安倍自民党に代わって財界からの支持をとり付けることにある。もともと保守二大政党制を欲していたのは財界である。一方の保守政党が国民の支持を失ったときに,他の保守政党が受け皿になるような仕組である。けっして革新政党に票が流れないようにしたいのである。
 補注)その意味では,体制内労組の上部組織である連合に,枝野幸男が会っている事実にも注目したい。報道ではこう伝えられていた。「民進・枝野幸男氏,新党結成へ 連合会長に伝える」と見出しのつけられた記事を引用する。
   民進党の枝野幸男代表代行は〔10月〕2日午前,東京都内の連合本部で連合の神津里季生会長と面会し,希望の党に合流しないリベラル派による新党を結成する考えを説明した。衆院選(10日公示,22日投開票)での新党への支援も要請したとみられる。枝野氏は神津氏との面会後,記者団に「現状について具体的に報告し,私の考えている方向性について話した」と述べるにとどめた。
 註記)『産経ニュース』電子版,2017.10.2 11:50,http://www.sankei.com/politics/news/171002/plt1710020056-n1.html
 それによって安定的に構造改革を断行できる政治体制ができるともくろんでいたわけである。しかし,実際には小泉政権による構造改革で格差社会が出現し,どうにも国民の支持を保守政党では受けと止めきれなくなってきた情勢に移行している。二大保守といっても構造改革を競いあう政党という意味であって,安倍自民党のような従来のバラマキを目的とした保守政党とは意味がまったく違うます。「構造改革を推進するための政党」を作りたいというのが前原氏である。

 そして,小池新党は,ただの寄せ集めによってしかなりたつ余地のない「政党」ですから,早晩,政党としての体をなさなくなる。恐らくそこを狙って,保守政党としての再編を狙っていると思われる。維新の会のときの松野頼久氏のように,民進党から出た議員がまた合流しただけの話になっていたが,小池新党に擦り寄った長島氏やら細野氏も同じになることが予想される。結局,たいした再編はできようはずもない。
 補注)小池百合子が組織した新党「希望の党」が,衆議院解散総選挙を実際に経たあと,どのくらいの当選議員を獲得し,「政党としての体を」ととのえられるか,はまだ不詳である。しかし,国民・有権者たちの目線からみた「このところにおける民進党の混乱ぶり」は,蓮舫から前原誠司に代表が移っていたなかでの現象として,実に腰の定まらない様相ばかりをさらけ出してきた。

 他方の小池百合子が国政に対して,いったいいかほどの貢献,換言すれば,国民たちのための内政・外交がきちんとできそうなのかという肝腎な点も,いまの時点ではさっぱり理解できない。理解させるための材料は,なにも与えられていない。都知事になって1年が経過した小池であるが,仕事としてなにを成就してきたのか? 築地市場の豊洲への移転問題は,中途半端のままに結論づけていた。2017年6月20日時点での話題であった。

 東京・築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で,小池百合子都知事は〔6月〕20日午後,市場を豊洲市場へいったん移したうえで築地を再整備し,再び築地へ戻すという基本方針を発表しました。都庁での記者会見で,「築地の伝統やブランド守り,将来に負の遺産を残してはならない」と述べました。これまでの経緯をまとめました。

 小池百合子都知事は20日,記者会見を開き,豊洲に移転した上で5年後をめどに築地市場跡地を再開発し,市場機能を持たせる方針を表明した。都議選告示(23日)を前に,都政最大の懸案である市場問題に一定の方向性を打ち出したかたちだが,実現に向けた課題も残る。
 註記)「築地市場の豊洲移転問題…小池都知事が基本方針発表」『YOMIURI ONLINE』2017年06月21日 16時30分,http://www.yomiuri.co.jp/matome/20170228-OYT8T50084.html
 補注)この築地市場の移転問題をニュースなどで観てきた東京都民などは,結局「最初は豊洲が問題だった」かのような姿勢であった小池都知事が,結論としてはなんとも絞まりのない「両論併記」的な決定をしていた点に「首を傾げる」ほかなかった。鳴り物入りで豊洲移転問題をとりあげ問題にしていた小池であったからには,つぎのような批判もある。

   その批判は,「『おかしな議論』で豊洲問題は混乱した リスク論の第一人者が読み解く,問題の本質-リスク論の第一人者,中西準子さんが考える豊洲移転問題のもっとも大事なポイント」(『BuzzFeed News』2017/06/18 07:01,https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/junko-nakanishi?utm_term=.dlK3jBqbW#.wyvkelGx3)の指摘に表現されている。

 公害問題の専門家である中西準子が,小池による豊洲「地下水などの汚染問題」の対処方法について指摘する問題点を聞かされると,政治家である百合子の焦点ボケは,より明白に浮き彫りになってくる。

 前段の記事のなかから,途中に出ている見出しの字句などを引用しておく。

  ◇-1 「小池知事,政治家,報道するメディアの方々がほんとうに『リスク』という考え方を理解しているのか,大いに疑問です」。
  ◇-2 「小池知事の『お詫び』には,『何をもっとも避けたいリスクとして,対策をとるのか』という大事な視点が欠けている」。
  ◇-3 「豊洲の安全対策にこれ以上費やす時間とお金があるなら,他の社会問題にそのコストをかけたほうがいいと思います」。つまり「格差の問題,貧困に直面する子供や老人の問題……。お金をかけることで命を救うことができるのに,放置されている深刻な社会問題はたくさんあります」。「使えるお金が限られている以上,何にお金をかければ,社会はもっと良くなるのか。問われているのは,お金の使い方です」。「無駄な議論を長引かせてはいけなかったと思うのです」。

 政治家のおこなう議論は,それこそ政治的な駆け引きの材料に使われることが主題になる場合が多いゆえ,昔は公害対策問題の専門家でいまはリスク学の研究者である中西準子が,小池百合子に対して繰り出した批判点は,必ずしもうまく噛みあっているわけではない。しかし,小池の政治家としての問題点をしるうえでは有用な議論を提供してくれている。

 〔猪野 亨の本文に戻る→〕 財界の支持をえようとも,国民は消費税率のアップなど求めていませんし,連合の組織票など大したことはなく,結局,沈没することは間違いない。このような前原氏が新代表になれば,共産党が選挙協力をすることはむしろ背理になる。そうなると独自の候補を出すことこそが共産党が国民の負託に応えるということになる。
 補注)衆議院解散総選挙に立ちむかう「各党の布陣」は,結果的に,この指摘のとおりになりそうである。ただし「希望の党」に対して「共産党が選挙協力をすることはむしろ背理になる」ので,この協力関係は成立しえず,どだいから無理である。枝野幸男が組織した「立憲民主党」に対してならば,共産党からの選挙協力は可能であるが,連合という労組上部組織とのかねあいが,さらに難題として控えている。

 安倍自民党よりも前原民進党の方がましなどということはいえない。前原氏は,安倍内閣のもとでの憲法改正は否定しつつ,しかし憲法改正の議論はしていくなどといっている。これではかえって,民進党が憲法改正を主導するようなことになりかねないし,安倍自民党は喜んで乗ってくる。
 補注)小池百合子の「希望の党」は改憲をめざす政党である。解体された民進党から希望の党に籍をうつした議員たちは「その全員が完全に改憲派である」はずはなく,なにかもやもやしたまま旧民進党の議員たちは小池の軍門のもとに下ったことになる。

 財界向けの政策も同様であり,そこでは明確に国民不在である。安倍自民党の支持率が低下するなかでの「助け船」でしかない前原民進党が,安倍自民党よりもましとは絶対にいえる存在ではない。
 補注)ましてや小池百合子の「希望の党」が「安倍政権よりもマシだ」といえるような根拠もまったくない。

 連合も財界よりの政策しかかかげることをせず,その存在意義が失われつつあり,集票力さえもなくなりましたが,民進党もその連合に続く路線を選択するのかどうか,まさに今回の代表選が民進党にとっての正念場です。(猪野 亨からの引用終わり)
 補注)枝野幸男は新しく「立憲民主党」を創立させるさい,連合の神津里季生(こうづ・りきお)に会いにいっているが,財界のほうから観れば,「体制派内労組上部組織」である連合などはたいした対抗勢力(countervailing power,もとの意味は「売手と買手とのこの勢力の均衡を拮抗力」)ではない。「労働者・勤労者」と「資本家・経営者」との相対関係のなかでは,とくに日本の企業体制のなかにあって,対抗勢力というこの概念は形成不全のままに留めおかれている。
 註記)http://blogos.com/article/242122/
    http://blogos.com/article/242122/?p=2

 ③「9条の未来,論戦深まるか『いまこそ戦争放棄』/ 自衛隊明記『士気上がる』衆院選」(『朝日新聞』2017年10月3日35面「社会」)という記事に関連するコメント

 この記事に対してコメントを寄せていた保阪正康は,こう述べていた。

★ ムード先行,歴史的感覚欠如 ★
= ノンフィクション作家・保阪正康さん =


 改憲を総選挙で一大争点とするのは事実上初めてといえるのに,ムードや雰囲気で論じられている。自民党の重鎮だった後藤田正晴氏(故人)ならいま,「君,どうなっているんだ,これは。論理も,歴史的感覚も,なにもない」といっただろう。

 安倍首相ら改憲派は「押しつけられた憲法」「みっともない憲法」とさえいうが,米国の要求があったとはいえ,幣原喜重郎や吉田 茂といった憲法制定時の閣僚らが,歴史的な使命感を背負ってどれだけのエネルギーを注いだのかしろうとしたのか。

 太平洋戦争では,日本は唯一,軍が政治を主導。「特攻」に象徴されるように「勝つまで戦う」という歴史的な罪を犯したが,その問題点を十分に検証したのだろうか。
小池百合子画像77
出所)http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/ab0f96344870e29835af8b887e81594d

 改憲をいうのであれば,歴史や先達への畏敬(いけい)の念と覚悟をもって,憲法の欠落点を精密に議論する姿勢が必要だが,それはみえない。憲法改正の必要性や9条への考えを語らない希望の党の小池氏も,安倍首相と同様,憲法改正の論理をもっていないようにみえる。

 一方,護憲派も守るばかりでいいのか。憲法の問題点を論じるような姿勢が足りない。憲法は,護憲か改憲,保守か革新かとは関係なく,国民1人ひとりが自分なりに考えるべき問題だとも強調したい。(引用終わり)

 保阪正康は,護憲派にも一言苦言を呈しているけれども,改憲派の立場,つまり「歴史も論理もなにもない」かのような,それでいて単細胞的な思考しかできない極右政治家たちを批判している。小池百合子も間違いもなくその1人であって,「希望の党の小池氏も,安倍首相と同様,憲法改正の論理をもっていないようにみえる」と批判されている。

 もっとも,小池百合子がどのような政治的なイデオロギー・理念を抱いている政治家であるかは,すでにバレている。要は「極右:保守・反動・国粋」なのである。ただ,その自分の政治家としての立場を明示しないまま,都知事の仕事ではすでに1年を経過してきた。もしかすると,彼女は「10月5日あたり」に,衆議院解散総選挙に打って出るのではないかと勘ぐられてもいるが……。

 小池百合子自身のかかえる問題そのものよりも,問題は「選挙民がこの女性都知事の本性に対する理解度」が,どこまで進んでいるのかにある。彼女における都知事の仕事も,これをよく観察していると,結局は龍頭蛇尾的であった。安倍晋三と同じに公式の文書を残そうとしない主義は,政治家としてのイロハにもとる。

 いまの小池百合子は,当初の人気・喧噪ぶりにくらべて評価するにずいぶん低調になっている。小池は女性であるがために「大年増の厚化粧」(石原慎太郎)などと罵倒されたりしてもいたが,問題は,女性であれ男性であれ政治家としての成果にある。都政のやり方を直視していれば,もしもこの人が国政に進出したときも,おそらくその程度かあるいはこれ以下にしか,仕事ができないかもしれない。

 ④「〈大機小機〉『衆院選後』を憂う」(『日本経済新聞』2017年10月2日朝刊)

 安倍晋三首相が衆院を解散し「10日公示→22日投開票」の選挙戦が事実上,始まった。解散の大義や消費増税の使途見直し,憲法改正などが争点。台風の目は小池百合子東京都知事が率いる新党,希望の党だ。「安倍  vs 小池」に埋没するのを恐れた民進党の候補をとりこみ,与党を脅かす。

 衆院選は日本の権力構造をリセットする究極の手段だ。なのに,勝敗がどうなっても明るい展望がみえてきそうにない。なぜか。自民,公明による与党の獲得議席を場合分けして,選挙後を予測してみる。

  ▼ ケース (1)   … 3分の2以上を維持する
  ▼ ケース (2)   … 3分の2は失うが過半数は守る
  ▼ ケース (3)   …  過半数割れに陥る

  (1)  では,安倍氏は再び盤石の政権基盤をえる。2018年9月の自民党総裁選での3選も確実だ。問題は,首相が「こんど度こそ」とばかりエネルギーを改憲に注ぎそうな点だ。おごりや緩みも再発しかねない。ある官僚は「政権に緊張感が生まれず,歳出削減など改革へのとり組みが鈍くなるのでは」と危ぶむ。

  (2)  のケースは複雑だ。自民が単独で過半数割れするなら「安倍おろし」が始まる公算が大きい。そうでなくても,首相が求心力を失った「弱い与党過半数」で改革を進めるのは難しい。2019年夏の参院選が気になって,人気とり政策が横行しないか心配だ。

 議席に十分,余裕がある「強い与党過半数」には少し期待できる。安倍氏は総裁3選にむけ,アベノミクスを成功させなければならないからだ。ただ,規制緩和などの正攻法でなく,賃上げ要請や内部留保課税など強引な手法に走って物議を醸すかもしれない。

  (3)  の場合,自公が他党との連立に動かないなら希望の政権奪取が現実味を増す。しかし,その先は混乱必至だ。衆院選の結果にかかわらず参院は自公が過半数をもつ。つまり,悪夢のねじれ国会が再現するのだ。希望は選挙後,自民や公明との「大連立」でもしない限り,国会運営で立ち往生するリスクがある。

 悲観にすぎるとの批判をもらいそうだ。もちろん,3ケースともプラス面もある。安倍氏や小池氏が指導力を発揮して予測を裏切ればいい。そうでないなら,日本の未来を悲観論が覆うことになる。(ペン尻)(引用終わり)

 このコラムの記事は「安倍氏や小池氏が指導力を発揮して予測を裏切ればいい」などと悠長な発言をしていたが,この2人ほど日本の政治(国政・都政)を劣化・腐朽させている者はいない。この「ペン尻」なる筆名の文章,いったいなにを,本当は望んでいるのか? 安倍晋三の存在を前提に話題を語るのは当然としても,こうしたとりあげ方を,当然とし過ぎるような論旨には問題を感じる。

 結論。反動以上に極右である政治家安倍晋三のオンナ版(woman-version)が,極右以外の何物でもない反動政治家である小池百合子。それだけのことであった。有権者諸氏,騙されてはいけない。

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