【「日本維新の会」国会議員による汚い言動,日本語の意味もろくに判らぬ「京大工学部卒業のエリート国会議員」が『朝日新聞』に対して放った「記事を捏造した」との非難は,その根拠・理由がそもそも理解不能】

 【他方で,在日韓国人女性に「複合差別の言辞」を投じていた「2ちゃんねる管理者」は裁判で敗北】

 【差別の問題(種)は尽きぬけれども,これを煽るような政治(内政・外交)を,熱心におこなっている日本国の政治家:安倍晋三がいる】



 ①「『犯罪者』発言を謝罪し撤回 足立氏,『朝日捏造』撤回は否定」(『朝日新聞』2017年11月18日)

 この記事は『朝日新聞』の報道した内容が「捏造」だと非難・攻撃を受けた当の朝日新聞社が,反論も兼ねてとりあげ書いていた。足立康史という国会議員は,いささかならず狂信的とも感じられるほど『朝日新聞』が大嫌いな人間であるらしく映る。しかも,そのような攻勢:口撃を,国会・委員会の場で公的な発言のかたちで,朝日新聞社にしかけていた。

 もっとも,新聞社に対するこうしたたぐいの非難・攻撃であるならば,ときおり取材もせずに記事を書くことも実際には記録している産経新聞社(の記者がいる)も,同じ具合に俎上に載せて問題にすべきである。だが,なぜか『朝日新聞』だけがもっぱら標的「化」されるところに,そうした行為に関してはとくにめだった特徴になっている。しかも『朝日新聞』の場合は,取材して書いた記事をめぐる話題である。双方を比較してとりあげることじたいに,どだい無理があった。
    阿比留瑠比画像4
   出所)https://www.youtube.com/watch?v=YYm57vXCmCw
 こういう事実があった。「産経の阿比留瑠比氏は2011年辻元清美議員への名誉毀損裁判で敗訴した。今〔2017〕年4月には小西洋之議員への名誉毀損で敗訴が確定。いずれもまったく取材せずに噂話を記事にし,どうしてこのような人物を論説委員にしておくのか」と産経新聞の捏造体質を批判した。
 註記)この段落は http://www.asyura2.com/17/senkyo228/msg/803.html から。

 さて,この ① の記事を引用する。

 --日本維新の会の足立康史衆院議員は〔2017年11月〕17日,衆院文部科学委員会の質疑で自民党,立憲民主党,希望の党の議員3人の名前を挙げて「犯罪者」と指摘した問題について,3党の国会対策委員長に「つたない表現だった」と謝罪し,発言を撤回した。維新および足立氏は,15日にあった衆院文科委の議事録から問題のあった発言を削除することに応じる方針だ。(オピニオン面=社説。これはのちに引用する)
 補注)あとになって「問題のあった発言を」「議事録から削除することに応じ」て始末できるのであれば,これではなにをいってもかまわないという仕儀になる。日本の国会ではヤジの応酬がお盛んであるが,安倍晋三という首相も現にいくらでも「総理大臣の立場」から,そのヤジ(それもかなり程度が悪く,ユーモア〔諧謔〕のセンス〔頓知〕も皆目なし)を放ってきているのだから,なにをかいわんである。
『朝日新聞』2017年11月17日21時50分
出所)http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20171117004838.html

 足立氏はこの日,維新の遠藤敬・国対委員長と国会内にある3党の控室を訪問。立憲の辻元清美・国対委員長に対し,「当事者や国民に不快な思いをさせた。深く反省し,撤回し,謝罪を申し上げたい」と述べた。辻元氏から再発防止を求められると「注意をして国会活動にとり組むので,なにとぞご理解をいただきたい」などと語った。自民の森山 裕・国対委員長,希望の泉 健太・国対委員長にも同様に釈明した。

 立憲は「対応が不十分」として足立氏への懲罰動議を衆院に提出した。自民,希望は足立氏の謝罪を受け入れ,懲罰動議には同調しなかった。

 足立氏は,加計(かけ)学園の獣医学部新設問題を審議した15日の衆院文科委で,「獣医師会から献金をもらっている」として立憲の福山哲郎幹事長と希望の玉木雄一郎代表を名指しし,さらに「なんらかの権限がある」と自民の石破茂元幹事長の名も挙げ,3人について「犯罪者だと思っている」と述べていた。

 足立氏はこの質疑で,「総理のご意向」などと記された文部科学省の文書の存在を報じた朝日新聞の記事についても,「捏造(ねつぞう)」と繰り返していた。ただ,この発言については17日,国会内で記者団に「撤回の考えはない」としたうえで,「いまも捏造だと思っている」と語った。

  ※ 本社〔『朝日新聞』側〕「強く抗議」※

 朝日新聞社広報部の話  「捏造」とは,存在しないことを存在するように偽ってつくることを意味します。弊社は,関係者に取材し,文書を入手し,それらを踏まえて報道しています。国会内でおこなわれた足立氏の発言は事実に反し,報道機関である弊社の名誉を傷つけるものです。国会議員がこうした誤った認識にもとづく発言や発信を繰り返すことは,きわめて問題だと考えており,足立氏に強く抗議します。(記事の引用終わり)

 朝日新聞社はこのように「事実に反した」,それも報道機関の名誉を傷つける問題発言をおこなった国会議員の足立康史に対して,強く抗議するという形式で反論をしていた。だが,それ以上の対応はしないで済ますのか? 最近においては,とくに数だけはやたら多い自民党の国会議員のなかには,ろくでもない資質・素性を発揮してやまない者たちが少なからず混在している。

 足立康史(日本維新の会)がそこまで朝日新聞社を叩いたのであれば,その根拠なり理由なり,またその事情なり背景なりを的確に指摘・枚挙したうえで発言すべきである。ところが,国会議員が委員会の場でする発言とは思えないような言動を平然としただけで,それ以上に聞く側を納得させるような材料が提示されていなかった。大昔,浜田幸一という国会議員がいて,日本共産党議長宮本顕治に関して,つぎのごとき発言をしたことがあった。
   1973年当時の話題となる。浜田幸一は当時,自民党国会議員だった中川一郎・渡辺美智雄・石原慎太郎らとともに,派閥横断的な政策集団である青嵐会を結成しマスコミ対応の事務総長を務めた。浜田はこのころから,武闘派議員としても有名になり,数々の逸話を残してきた。農林水産政務次官・防衛政務次官・衆議院建設委員長・予算委員長などを歴任したが,予算委員長は「宮本顕治人殺し」発言を放って辞任を余儀なくされた。
浜田幸一画像
出所)https://www.youtube.com/watch?v=GWsju1kwJM0

 宮本顕治に関する経歴(過去の行跡)ついて若干触れておく。浜田幸一のいっていた指摘に該当する事件は「日本共産党スパイ査問事件」(1933年)として有名である。だが,日本共産党側は「リンチの存在」そのものを否定してきた。なお,宮本顕治は1977年7月,第11回参議院議員通常選挙で全国区から初当選してから,1989年2期12年を参議院議員として務めた。1982年7月から8月にかけて開催された第16回大会では中央委員会議長に選出されていた。
 さて,ここでの話題として,その「日本共産党スパイ査問事件」(1933年)をもちだしたのは,足立康史の国会委員会における発言(『朝日新聞』捏造)の場合,はたして,実際的な論旨としていかほどに裏づけられているのか,大きな疑問があるからである。

 国会委員会の場で,単なる与太話にしか聞こえないような「大手紙への非難・攻撃」に終始していた。国会議員としての品位・品格問題以前の,基本的な素養のもち方の問題が問われる次元にまで,後退していた発言内容であった。

 ②「まとめサイトの差別認定 大阪地裁,運営者に賠償命令」(『朝日新聞』2017年11月17日朝刊)

 ネット上の差別的な投稿を集めて掲載され,名誉を傷つけられたとして在日朝鮮人の女性が,まとめサイト「保守速報」を運営する男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が〔11月〕16日,大阪地裁であった。森田浩美裁判長は,運営者に名誉毀損(きそん)や差別の目的があったと認定し,200万円の支払いを命じた。

李信恵画像 訴えていたのは大阪府東大阪市在住のフリーライター李 信恵(リ・シネ)さん(46歳)。原告の弁護団は,まとめサイト運営者への賠償命令は「しるかぎりで初めて」と評価した。運営者側は控訴する意向。判決によると,運営者の男性は約1年間,保守速報に,匿名掲示板「2ちゃんねる」などに書きこまれた李さんを差別や侮蔑する投稿を,編集したうえで掲載した。
 出所)右側画像は李 信恵,http://hasshinkyoku.blog.jp/archives/13435775.html

 判決は,李さんへの「朝鮮の工作員」といった表現は侮辱にあたると認めた。「日本から叩(たた)き出せ」などの記述は人種差別にあたると判断。容姿などの揶揄(やゆ)も挙げ「複合差別だ」と述べた。運営者側は「情報の集約に過ぎず違法性はない」と主張していた。しかし判決は,表題の作成や情報量の圧縮で内容を効果的に把握できるようになったと指摘した。(『朝日新聞』の引用終わり)

 同じ内容の記事は『日本経済新聞』2017年11月18日朝刊では,つぎのように報道されていた。『朝日新聞』にくらべると,だいたい5分の2の字数である。
◆ 差別表現まとめサイト運営者に賠償命令 大阪地裁 ◆
=『日本経済新聞』2017年11月17日朝刊 =


 特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)で精神的苦痛を受けたとして,在日朝鮮人のフリージャーナリスト,李 信恵さん(46歳)がインターネットの掲示板「保守速報」の運営者に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日,大阪地裁であった。

 森田浩美裁判長は200万円の支払いを命じた。原告代理人の弁護士によると,こうした特定の話題を集約する「まとめサイト」の運営者の賠償責任を認めた判決は珍しい。
 ③ 差別の定義-いくつかの説明-

 1)『大辞林 第三版』 
 ある基準にもとづいて,差をつけて区別すること。あつかいに違いをつけること。また,その違い。偏見や先入観などをもとに,特定の人びとに対して不利益・不平等な扱いをすること。また,その扱い。⇒「人種差別」「差別待遇」

 2)『小学館デジタル大辞泉』
  イ) あるものと別のあるものとの間に認められる違い。また,それに従って区別すること。「両者の差別を明らかにすること」
  ロ) とりあつかいに差をつけること。とくに,他よりも不当に低くとりあつかうこと。⇒「性別によって差別しない」「人種差別」

      
 3)『ブリタニカ国際大百科事典』
  “discrimination”  特定の個人や集団に対して,正当な理由もなく生活全般にかかわる不利益を強制する行為をさす。その差別的行為の対象となる基準は,自然的カテゴリー(身体的特徴) の場合もあれば,社会的カテゴリー(所属集団) の場合もあるが,いずれにせよ恣意的な分割によっておこなわれる。

 現代フランスの社会学者 R. ジラールは「スケープゴート(贖罪の山羊)化の理論」によって差別現象のメカニズムを解明した。それによると社会の危機状況にみられる相互暴力のカオスを回避するために,無際限な暴力の拡散を恣意的に選択された特定の個人あるいは集団に集中させる “犠牲の論理(第三項排除)” が差別現象の根底にあるとされる。

 たとえば,ドイツの社会不安に乗じてナチス政権が利用した反ユダヤ主義,関東大震災直後の朝鮮人虐殺などがスケープゴート化の現象として考えられる。こうした原初の排除効果が制度化されたものとして,アパルトヘイトなどにみられた居住地域や交通機関における差別的待遇がある。現在,アメリカの公民権運動の成果から人権の観点にもとづく差別撤廃の動きが世界的な規模で展開されつつある。
 註記)以上,https://kotobank.jp/word/差別-169844

 これらいくつかの「差別」に関する概念の説明を聞いてすぐに理解できるのは,以下のように析出できる,それも「差別に関する言動」に関した社会学的・社会心理学的な,そしてさらには政治学的な意味あいである。

 ※-1 足立康史の場合,『朝日新聞』(朝日新聞社)の記事なのだから「捏造」なのであり,そして,ともかくいけないその内容だからいけないのだ,という具合に非難・攻撃している。ところが,その核点を具体的な証拠をもって裏づける用意も手順もないまま,ともかく「差別発言」に走っている。そこまで決めつけられるのであれば,『産経新聞』や『読売新聞』の記事もまた,相当に偏向的であり,かなりまずい点が多々含まれているはずだと,とりあえずでも見当を付けておく余地もありそうである。

 前述してもいたように,『産経新聞』の阿比留瑠比(あびる・るい,1966年生まれ)などは,実際に取材もしないでデタラメを記事にしあげたあげく,相手から提訴されて裁判では敗北していた。

 ※-2 インターネット掲示板「保守速報」におけるように「在日朝鮮人だから」ともかく,差別されて当然といった〔そうであるならば,同じ黄色人種として白人系から「ともに」差別されてきた「歴史と現在」も当然のことになるが〕きわめて粗雑な理屈は,論理も歴史もなにもへったくれもなにもない,つまり「差別と偏見の社会意識」を剥き出しにした「精神暴力的な言論」である。

 在日〔朝鮮〕人たちに対しての場合,「日本の庶民のなかに潜在する差別意識」は,安倍晋三首相が「北朝鮮の脅威(核弾頭搭載ミサイル問題)」を執拗に煽る操作によって「異常にまで昂揚させられる」といった〈愚かな社会現象〉を惹起させていた。この問題に関して断わっておくべきは,日本人自身が安倍の「北朝鮮マターに対しては〈自民党・極右的な扇動のための言論〉を政治的に利用してきた」その本性をみぬけないかぎり,これからもなんどでも反復されていくはずである。
   つぎの図解は,北朝鮮ミサイルがいまでは,アメリカのアラスカ州および北米西北までを,その射程距離内に収めている点を描いている。
テポドン図解画像
出所)http://plaza.rakuten.co.jp/viple/diary/200904050001/
 そもそも,日本の安倍晋三だけが北朝鮮問題に対して「対話ぬきの圧力一辺倒」の外交姿勢を明示している。だが,アメリカのトランプにしても,中国の習 近平,ロシアのプーチン,韓国の文 在寅らは,おそらく腹の底ではこのアベ・シンゾウのことを「あのボクちゃん(ガキ)のやることだからね」と観察している。国際政治のなかでは,その程度にしか自分の役目(?)を演じられない「安倍晋三〔の空演技〕」である。この人物に日本の国民たちが「北朝鮮問題」で翻弄されるようでは情けない。

 日本国と北朝鮮・韓国との近現代国際政治史は,旧大日本帝国時代の「過去」とまったく無関係に語られるかのように誤解されている。それにしても,北朝鮮問題に関して安倍晋三が国際政治面からわずかでもなにかを貢献しえたと観れば,実際にはなにもなかった。拉致問題はいままでどのように経過してきたか? 多分これからも,なにも成果は期待できない。安倍が首相でいるかぎりはそうだと断わっておくべきかもしれない。
安倍晋三北朝鮮政策は無意味
出所)http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/d4e912c2aa4f564f5472204237cfb45d

 安倍晋三側において,いままで “なしえていること” といったら,それはひたすら国際政治問題として維持されるべき基盤を「破壊すること:ぶちこわすこと」だけであった。ましてや,安倍自身がみずから主導権を握って,この北朝鮮問題に率先してとりくみ,解決をめざすための「積極的な意思と政治家としての能力」を,一度でもいい「発揮しえたかのようにみえた場面」があったか問われて,これに「諾(そうだ)」と応えてくれる「各国首脳は1人もいない」。それが,われわれ庶民の目線からでも透視できるごく簡単な「国際政治舞台における現実の模様」であった。

 ④『朝日新聞』と『日本経済新聞』の本日〔2017年11月18日〕「社説」

 1)『朝日新聞』「〈社説)憲法70年 改憲ありきの姿勢では」
     (-いわば,国民たちを舐めきってきた安倍晋三の政治姿勢-)

 自民党が憲法改正推進本部の会合を開き,改憲に向けた議論を再開した。衆院選で自民党は,自衛隊の明記,教育の無償化・充実強化,緊急事態対応,参院の合区解消の4項目を公約にうたった。公明党とあわせた与党で,改憲発議に必要な3分の2を上まわる議席を獲得した。

 与野党を問わず,国会議員の改憲志向は強まっている。本紙と東大の調査では,当選者の82%が改憲に賛成姿勢だった。一方で,国民の意識と大きなズレがあるのもたしかだ。本紙の今月の世論調査で「首相に一番力を入れてほしい政策」を聞くと,社会保障32%,景気・雇用20%,教育15%などが高く,憲法改正は6%にとどまった。

 自民,公明両党にも温度差がある。公明党の山口那津男代表は最近,こう指摘した。「発議は,国会内の多数派工作で可能な場合もあるが,国民投票でぎりぎりの過半数では大きな反対勢力が残ってしまう。国民の憲法としては不幸な誕生になる。発議の3分の2の背景には,それ以上の国民の支持があるくらいの状況が望ましい」。

 見識だろう。国会による発議にこぎつけたとしても,最終的に改憲の是非を決めるのは主権者である国民による投票だ。国民の納得が不十分なまま強引に発議にもちこめば,国民投票の結果がどうあれ,国民の間に深刻な分断をもたらす恐れさえある。

 憲法のどこに,どんな問題があるのか。その問題は憲法をあらためなければ解消できないのか。ほかの政策課題より先に,いま改憲を急ぐ必要性はあるのか。まず衆参両院の憲法審査会での超党派の議論が重要だ。少数意見を排除せず,丁寧な議論を積み重ねる。少なくとも野党第1党の賛成をえる。手順をふんだ合意づくりの努力を尽くすことしか,国民の幅広い納得をえる道はない。

 安倍首相は5月に憲法への自衛隊明記を訴え,「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と意欲を示したが,夏以降は「スケジュールありきではない」と述べている。当然の姿勢だろう。なによりも大事なのは,国民の多くがその改憲は必要だと理解し,同意することである。

 改憲ありきの姿勢は厳に慎むべきだ。ましてや安倍氏自身の首相在任中の施行を視野に,期限を区切るようなやり方では,国民の合意は広がらない。(引用終わり)

 --本日,本ブログの「表題」は「『安倍の・アベによる・シンゾウのための』,国民の支持に欠けた自民党・公明党『専制的・独裁志向』のヘイト的な体質」としていた。この『朝日新聞』の社説「論調」は,そのアベ的な政治姿勢の性急さ,「ふつうの国で,美しい国へ」とこの日本国を変えていきたいらしい,それも《焦り》をにじませていた意識を指摘(批判)している。

 安倍晋三は「自衛隊明記」「緊急事態対応」を強調しているけれども,後者の問題はほかでもなく北朝鮮を念頭に置いた,それも前述のように北朝鮮を囲む米中ソ韓の政治姿勢とはほとんど無関係に,つまり,単に安倍の「独りよがり」によって叫ばれている強調点であった。

 ところが,なかでも「緊急事態対応」という訴求は,北朝鮮のミサイル問題がらみになっているせいで,日本国民には受けいれやすい要素が含まれていた。かといって,在日米軍基地に軍事的に支配されている日本側においての話題として,つまり安倍自民党ができそうな軍事的な対応がはたして,有事において即事的に実行できるのかといえば,いまだに〈不確実な要素〉を残している。

 2)『日本経済新聞』「〈社説〉首相,最短の所信表明 経済・北朝鮮,新味乏しく」
    (-日経はマンネリ化したこの首相を批判-)

 安倍晋三首相の17日の所信表明演説は,第1次政権を含めもっとも短い内容だった。衆院選から1カ月足らずで公約にかかげた政策は具体化していない。当初は見送る考えだった所信演説を,野党の要求に応じて実施し「謙虚さ」をアピールしたが,逆に省力化が目立った。経済や北朝鮮を中心にひたすら政策実行を訴えたものの新味に乏しく,野党の批判を招く結果となった。(所信表明演説の全文総合3面に〔ここでは引用しない〕)

 所信表明演説は約3500字。平成以降では小泉純一郎元首相が郵政解散後の特別国会で実施した所信演説に次ぐ2番目の短さだ。時間は衆院が15分10秒,参院が13分20秒程度。参院では紙を早く読み上げる印象が強く,議場からは「目次だけ(読んでいる)じゃないか」とのヤジも飛んだ。

 政府・与党は〔11月〕1日召集の特別国会について,当初は首相指名選挙や衆院議長の選出などにとどめ,8日程度の会期にする方針だった。首相は学校法人「森友学園」や「加計学園」をめぐる対応で世論の反発を招いたため,衆院選後の政権運営は「謙虚さ」を強調。各種世論調査で内閣不支持率が支持率を上回っていることもあり,野党が求める所信演説と各党代表質問を受け入れた模様だ。
 補注)安倍晋三はいつも「テイネイとしっかり」と断わり,そしてここでは,おまけに「謙虚さ」も付けくわえていたが,いままでの実歴をみるかぎり,それらが発揮される程度はどんどん悪くなるばかりであった。今回におけるこの所信表明演説が実際にその点を裏づけている。

 演説の内容は,新味に欠けた。政府関係者は「選挙の街頭演説で訴えていたことをほぼそのまま演説にした」と語る。選挙の争点の一つとなった少子高齢化について,首相は「力強く踏み出すとき時だ」と強調した。少子高齢化をデフレ脱却に立ちはだかる最大の壁と位置づけ「人づくり革命」と「生産性革命」の政策パッケージを12月上旬にまとめる考えを示したものの,これも第4次安倍内閣が発足した1日の記者会見で発表したのとほぼ同じだ。
 補注)「少子高齢化」の問題がこの先,明るい見通しをもてるて,いうなれば,出生率が増加しそうだとかと「デフレ脱却」の展望が開けつつあるなどといった兆候は,いままでのところ,いっさいみられなかった。標語だけでは「人づくり革命」と「生産性革命」の政策パッケージなどと,耳にだけは心地よく響く表現をとっているものの,実際における社会と経済の動向とは無関係であって,口先だけの〈飾り文句〉の行列でしかない。

 安倍晋三の為政は「日本社会のなかに潜在・顕在する各種の差別」,つまり経済的な原因や社会的な条件によっても現に発生している「各種各様な差別問題」を,みずから拡大再生産させるような,いいかえれば,結果的に《差別の意識》を,あえてかきたて,呼びもどすようにする社会構造を,政治運営を介して提供してきた。日経のこの社説もつぎに,北朝鮮問題に言及している。

 〔日経社説に戻る→〕 北朝鮮問題は選挙戦と同様,演説の冒頭にもってきた。「日本をとり巻く安全保障環境は戦後もっともきびしいといっても過言ではない」と主張。トランプ米大統領の来日をはじめ衆院選後の一連の外交日程で北朝鮮包囲網づくりに尽力したが,効果は未知数だ。14日のマニラでの記者会見では「これから厳しい冬を迎えるなか,北朝鮮への制裁の効果を注意深く見極めていくことで一致した」と指摘している。
 補注)安倍晋三にとって「北朝鮮マター」は,選挙のとき自民党に有権者の票を誘導させる効果はあっても,拉致問題に象徴される北朝鮮関連の問題は,この首相に頼ったところで「そのなにかの小さい問題ひとつ」についてさえ,まったく「解決させうる展望」がもてないでいる。国交回復の問題は,いったいいつの話になるのか?
 
 安倍晋三の口から出る言葉といえば「北朝鮮に圧力をくわえる」ことばかりであって,それこそ “バカのひとつ覚え” にしか聞こえない。まことにもって頑迷固陋と形容するほかない政治精神の持主である。よりによって,この人は「世襲3代目の政治家」であった。日本の政治じたいにとってみれば,そのままが《弊害の塊》みたいな「幼稚で傲慢」の政治家である。

 首相がもっとも重視する政権課題のひとつである憲法改正は,演説の最後に「たがいに知恵を出しながらともに困難な課題に答えを出していく」と呼びかけるにとどめた。首相の国会演説は歴史上の偉人のエピソードを交え政策の意義を説くのがお決まり。それも今回は見送った。「来〔2018〕年1月にすぐ施政方針演説がある」(首相周辺)ため温存したのだという。首相は参院で高等教育の無償化のくだりを読み飛ばした。ヤジが大きかったのが影響した可能性はあるが,看板政策だけにばつが悪い印象を残した。(引用終わり)

 「? ?」という印象である。森永卓郎が数日前にNHKラジオに出演したさい,こう語っていた。第2次安倍政権になってから5年近くが経っているが,賃金の上昇率は「実質マイナス3%」であったと。アベノミクスなる名称だけでもデッチあげておけば,「自分が歴史に残る宰相」になれると大きな勘違いをしている。だが,いまとなってはすでに十二分にも分かりきっている事実がある。それは,安倍が「敗戦後史のなかでは最悪の総理大臣」になっていた点である。

 現に「高所得の会社員に増税案 財務省,給与控除を縮小」という『日本経済新聞』(nikkei.com,2017年11月16日)の記事は,冒頭の段落を,こう書きはじめていた。だが,この程度の小手先になる〈日本国〉のイジリ方では,経済全体に対して「大きく変えられる要因」にはなりえない。
★ 安倍政権,脱デフレ宣言にジレンマ
 「最優先」位置づけ / 消費増税判断 ★


 財務省が2018年度税制改正で提案する所得税改革案をまとめた。会社員の給与収入から差し引ける給与所得控除を縮小する一方,すべての納税者に適用する基礎控除を引き上げる。年収800万~900万円を上回る高所得の会社員は増税となり,フリーランスなど請負契約で働く人や自営業者は減税となる。多様な働き方を税制面から後押しする。
 註記)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2356411016112017MM8000/
 『植草一秀の『知られざる真実』』2017年11月11日は,その見出しを「経済低迷持続下で株価だけが急騰する理由」と付けた文章のなかで,こう述べていた。
   アベノミクスのもとで株価が上昇していることを安倍政権は「成果」であると強調するが,これはまったく違う。経済全体が低迷しているなかで大企業の利益だけが突出して拡大している。つまり,一般の労働者,一般の国民を踏み台にして大企業の利益が増大しているのである。主権者の利益ではなく,大資本の利益だけを追求する政治。これがアベノミクスの実相である。
      『日本経済新聞』2017年11月17日朝刊安倍政権、脱デフレ
  出所)これは『日本経済新聞』2017年11月17日3面の記事から借りた。当該記事の見出しは「安倍政権,脱デフレ宣言にジレンマ 『最優先』位置づけ / 消費増税判断」。
  補注)
アベノミクスのアホミクス的なゆえんは「賽の河原の石積み」的な本質にあった。基本指標から観た全体的・平均的な趨勢は,いままでもあくまで「▲」基調で経過してきた。ゆえに「もともと」ダメノミクス……。


 〔植草に戻る→〕 短期的には企業収益が拡大し,株価が上昇するが,長期的には重大なバランス喪失が表面化する。供給力に対する需要の絶対的不足に直面するのである。これを回避するには,経済政策の基本を抜本転換しなければならない。所得格差の拡大を推進するのではなく,所得格差の是正,所得再分配政策の拡大を経済政策の中心に置くことが必要不可欠なのだ。安倍政権が政策転換しないなら,政権そのものを転換するしか道はない。
 註記)http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-4d9f.html
 ⑤ むすび的な若干の議論

 この国は経済が落ちこんでから,いまだに不調のままである。四半世紀もその時間は経過してきた。『日本スゴイですね』(系)のテレビ番組が流行っている現象は,実は経済面におけるそうした「回復しがたい不利な日本的な状態」の真相を,「社会意識面の有利(?)」でもって少しでもいいから,カタルシス的にかつ表面的に挽回しておきたいとする,実に切ない〈負け惜しみ〉的な方途において生まれた,ある意味ではずいぶん皮肉な「テレビ文化的な社会動向」のひとつである。

 だが,そうした問題次元に向けられている(不安や不満)のはけ口が「在日差別問題」などのほうへ急転回していくとなるや,ただちに「日本の経済社会のかかえている〈悪い局面〉」から頭をもたげた動因が,いままではなんとか円滑に「共生できてもいたはずの隣人:他者」を,いきなり差別しなおす行為」のほうに回帰させる作用を起こさせた。

 自分たちの側に溜まっている「不安や不満」が,その方向に向かい転換がなされる,換言すれば吐き出されることによって,一時的ではあっても「押し隠せるか」のように勘違いしてきた。いまの日本社会のなかでは,その種の「虚偽の社会意識」だけが異様に肥大化し,大きく剥き出しにもなっている。

  こういった時代のなかで,安倍晋三が念仏のように唱えている中身,「少子高齢化をデフレ脱却に立ちはだかる最大の壁と位置づけ『人づくり革命』と『生産性革命』の政策パッケージ」が,本当に展開されていくような未来は予見できていない。そのようにいまから断わっておいたほうが懸命である。安倍が首相であるかぎり「そうであるほかない」。

 要は「あらゆる差別のない日本社会」でありたいはずの日本の政治が,いまのところ,男女共同参画社会さえ本心では嫌う基本姿勢を保持する自民党(内の多数派)の政権下にある。安倍晋三は「戦後レジームからの脱却」を唱えてきたけれども,それは女性の立場に対しては「参政権のなかった戦前」の体制に戻したいということか?

 明治帝政時代における女性の立場には「基本的な人権」などなかったも同然であった。過去の時代,女性差別問題の一典型が現実に継続されてきたわけであるが,いまだに女性差別の問題はその「解決するための努力を継続的に必要不可欠としている」時代にある。いうなれば「差別問題の根っこ」には「すべての諸差別に共通するひとつの特徴」が潜んでいる。

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