【魔法使いの弟子にはもともと手に負えない《悪魔の火》】

 【原発の再稼働は麻薬患者がヤクから抜けきれない状態に酷似している】

 【原発関係裁判において国策的な判決を出す裁判官は「噴火リスク『社会通念』で容認」するといったが,

 この観点は「安全神話」の錯誤を理解せずに蒸し返す蒙昧・暗愚であり,

 国民たちの大多数が反対する原発再稼働の考えも否定する非常識でもあり,要は典型的な法律▲▲の見本である】


 ①「相次いだ不祥事,支持率乱高下 第4次安倍内閣の1年」(『朝日新聞』2018年10月2日朝刊4面「総合」)

 安倍内閣がいまの顔ぶれになり,第4次安倍内閣に引きつがれたこの1年あまりは,選挙での強さや強引な国会運営で相次ぐ不祥事への批判をはねのけてきた。だが,9月の自民党総裁選や沖縄県知事選では勢いに陰りもみえはじめている。2日の内閣改造を前に振り返ってみた。(▼1面参照)

『朝日新聞』2018年10月2日朝刊安倍晋三政権図表 昨〔2017〕年7月の東京都議選で自民党が惨敗した直後の内閣支持率は,加計(かけ)学園問題などの影響で政権交代後最低の33%に急落。安倍晋三首相は局面打開のため,8月に内閣を改造し,9月に衆院解散と手を打った。

 衆院選では,小池百合子都知事が率いる希望の党の失速を横目に,自公で「3分の2」の議席を確保する大勝。トランプ米大統領との蜜月関係を深め,北朝鮮の脅威も背景に支持率は40%台にもちなおした。

 だが,再び政権は揺らぐ。財務省の決裁文書改ざんが発覚した今〔2018〕年3月に支持率は31にまで急落。日報隠蔽(いんぺい)問題が発覚し,財務事務次官のセクハラ問題が起きた4月には,不支持率が初めて5割を超えた。麻生太郎財務相による問題発言も相次ぎ飛び出した。

 通常国会では働き方改革関連法など野党の反対が強い重要法案をつぎつぎと採決。「数の力」に頼る強気の国会運営が目立ったが,支持率は30%台後半を維持した。ただ,9月の自民党総裁選では石破 茂・元幹事長に善戦を許し,沖縄県知事選では全面支援した候補が敗れた。統一地方選と参院選を控え,「選挙の顔」としての首相に不安を抱く声も出始めている。

 ②「〈経済気象台〉日本サラリーマン考」(『朝日新聞』2018年10月2日朝刊12面「金融情報」)

 サラリーマンという固有名詞のない集団は煮ても焼いても食えない。かくいう私も永らくサラリーマンを経験した人間である。だからよ~くわかる。たとえば,自民党総裁選。553対254での安倍晋三首相の3選は,石破 茂さんが善戦したという印象もあるが,サラリーマン化した組織ならではのふがいない数字だ。

 「モリカケ問題」で死に体だった安倍さんが3選にふさわしいかどうかよりも,人事で自分の属する派閥が優遇してもらえるか,干されるかが,安倍さんについていた方が得という流れを生んだ。

 サラリーマンは群れる,流される,なびく情けない集団だ。しかし,時としてその集団が大変動を起こす。とくに名前を名乗らなくてよい無記名投票の場合である。今回も無記名だったことが石破さんの善戦に寄与した。

 企業でも同じことがある。2年前,セブン&アイ・ホールディングスで権力を握っていた鈴木敏文前会長が,グループのコンビニ子会社の社長を交代させようとしたところ,逆に鈴木氏が退任に追いこまれる騒動があった。

 取締役15人全員の無記名投票で決議されたわけだが,2票の白票が鈴木派の過半数を阻止した。この白票はサラリーマン重役たちの仕業である。彼らは社内や世のなかの微妙な変化を読んで行動する。1人ではできないので「みんなで渡れば怖くない」状況ができると,やっと立ち上がる。

 サラリーマン軍団はバカにできないが,動くのに時間がかかる。党や派閥,会社の看板に群れず自分の名前で行動する。小泉進次郎氏のように派閥に属さず誰の世話にもならない。こうした生き方が時代を切り開く原動力となる。

 ③「福島汚染水問題,東電が対応陳謝 経産省の小委員会」(『朝日新聞』2018年10月2日朝刊29面「社会」)

 東京電力福島第1原発で浄化したはずの汚染水の8割超が基準値を超えていた問題で,東電は〔10〕1日,経済産業省の小委員会に経緯を報告した。委員からは「汚染水は国民の関心事と思っていなかったのか」などと批判が相次ぎ,東電の松本純一・廃炉推進室長は「大きな反省点は,国民の意識とのズレ」と陳謝した。

 福島第1原発では,多核種除去設備(ALPS)で処理した水がタンクにたまり続けている。小委員会は設備でとりのぞけないトリチウム(三重水素)を含む水の扱いを議論してきたが,8月末にあった公聴会で,ほかの放射性物質も基準を超えていることに批判が集まっていた。

 この日の小委員会では,「いままで説明を受けていない」「分かりやすい資料をそろえるべきだ」といった声が出た。松本室長は,処分法が決まった際には再びALPSにかけて基準値以下にする方針を説明。「説明が不十分だったと反省している」と述べ,今後はデータをまとめた資料を定期的に公表するとした。(引用終わり)

 以上と同旨の記事は『日本経済新聞』同日の朝刊34面「社会1」に「汚染水,処分前再浄化へ 福島第1原発 基準超,東電が謝罪」という見出しで報道されている。

 前日〔ここでは10月1日〕の『日本経済新聞』朝刊(21面「地域総合」)には,先月の北海道胆振東部地震に関連するコラム記事が掲載されていた。これも読んでおきたい。
 ◆ 真夜中,札幌市内の自宅で激しい揺れに跳び起き,慌てて机の下にもぐった。体感で震度5か。おさまると,すぐテレビをつけた。震源付近では被害が大きいかもしれないが,北海道全体では限定的だろう。そんな風に考えをめぐらせているとテレビが突然プツンと消え,真っ暗になった。停電だ。とっさに水道の蛇口をひねったが,水が出ない。

 ◆ 急いで懐中電灯をもって近くのコンビニエンスストアに向かった。一番近い店は営業休止の張り紙。つぎに近いコンビニは非常電源でなんとか営業していたが,満員でもう水は売り切れていた。店員は「蓄えている電気がなくなればレジが使えなくなり,いったん店を閉めざるをえない」といった。

 ◆ 9月6日発生した胆振東部地震では直接の被害にくわえ,その後の全道停電が企業や家庭を苦しめた。ある酪農家は搾乳機が動かせず,乳牛の病気を防ぐため社員総出で6時間,乳を絞ったという。「捨てなければいけないのに絞るのは本当つらかった」と振り返る。

 ◆ なぜ全道停電が起きたのか。北海道電力が電力供給力の半分以上を,震源に近かった苫東厚真火力発電所(厚真町)に集中させていたことが要因のひとつであるのは明白だ。真弓明彦社長は記者会見で「苫東厚真の3基が一気に停止することは想定できなかった」と話した。想定外では済まされないというのが東日本大震災の教訓ではなかったか。
 補注)ここでの指摘「想定外では済まされない」が「3・11」の,いわば『社会通念』になっていることに注目したい。

 ◆ 北電は国の安全審査で泊原子力発電所(泊村)の再稼働が見通せないなか,発電コストを抑えるため安価な海外炭を燃料とする苫東厚真に頼っていたとの指摘がある。電力供給という使命より利益追求を優先していなかったかが問われる。
 補注)ここでは「3・11」以後とあまり変わりなく,電力会社が利潤追求の観点を優先してきた,そういった立場にいまも執着している点に注意したい。

 ◆ 全道停電によって泊原発も外部電源を一時すべて失った。停止中とはいえ原発内部にはつねに冷却が必要な使用済み核燃料が大量に置かれている。今回は冷却用の非常電源がすぐに動き,地震発生から約10時間で外部電源も全面復旧した。全道停電で誰よりも肝を冷やしたはずの北電幹部は徹底した原因究明と再発防止の責めを負う。
 補注)ここでは「つねに冷却が必要な使用済み核燃料」という説明に留意したい。もちろん,非常・異常の発生時にその冷却できないと原発は,放射性物質の絡んだ事故を必らず起こしてしまう。このことは,東電福島第1原発事故が日本における実例となって否応なしに実証した。

 こう考えてみたらよいのである。同じ「発電所の事故」がたとえば火力発電所で起きてしまい,大爆発事故になったと仮定する。原発の事故と比較してみればよいのである。それぞれの事故において「なにが・どのように異なる」かは,「想定して」みるまでもなく決定的といえる違いを現象させる。

 ④「石田総務相,岩屋防衛相 〔9月〕2日に内閣改造 党総務会長に加藤氏」(『日本経済新聞』2018年10月2日1面)
  -第4次安倍晋三政権は早速,閣僚「雛壇飾り・祭り」の最中である-

『日本経済新聞』2018年10月2日朝刊安倍第4時政権閣僚 安倍晋三首相は〔9月〕2日の内閣改造と自民党役員人事で総務相に石田真敏氏,防衛相に岩屋毅氏,復興相に渡辺博道氏を初入閣させる。党総務会長に加藤勝信厚生労働相,選挙対策委員長に甘利 明氏がそれぞれ内定した。(関連記事総合1面に)

 党憲法改正推進本部長に下村博文氏を起用。党改憲案の秋の臨時国会提出に向け党務を強化する。二階俊博幹事長や岸田文雄政調会長,森山裕国会対策委員長,萩生田光一幹事長代行は再任。筆頭副幹事長に稲田朋美元防衛相が就く。高村正彦副総裁は退任する。

 首相は2日午前の役員会で党の新執行部を発足。閣僚の辞表をとりまとめたのち,昼すぎに新閣僚を呼び込む。皇居での認証式を経て夕方に第4次改造内閣が発足する。

 以上の1面の記事につづき,2面「総合1」の記事「首相,参院選・改憲に照準 加藤・甘利氏,自民要職に 初入閣10人超 論功の色」も引用する。

 安倍晋三首相は〔9月〕2日の内閣改造・自民党役員人事で,悲願である憲法改正と来〔2019〕年夏の参院選を見据えた布陣とする。改憲案の党内手続を担う総務会長を側近の加藤勝信氏,選挙の実務にあたる選挙対策委員長を盟友,甘利 明氏に託す。総裁選で首相を支持した議員から10人超を初入閣させるなど論功の色も濃い。(引用終わり)

 この程度のいい加減にみあきた,それもいわくつきの「煮ても焼いても」「食いたくない」「自民党の問題児」的な議員たちが,あの人もこの人もつぎつぎと大臣・役員になれるといっても,自民党という「コップ(おちょこ)」のなかで,「どうぞ肩書き作りのために勝手にやっておくれ」という印象しかもてない。

 もっとも,第3次政権までと比較するまでもなく,この第4次政権では留任する大臣たちが多いが,居ても居なくてもたいして変わりない人物もいる。ときには,害悪を散布するような大臣を多くかかえてきた安倍晋三内閣の組織・布陣であった。結局,なんの興味も面白みもない安倍晋三の,だれきった「新内閣」の登場とあいなりそうである。
◆ あっせん利得と加計学園不正献金疑惑の真っ黒
クロスケが,選対委員長と憲法推進本部長に就任!!
もはや,自民党そのものが「国難」だろう!!&
靖国神社宮司が露骨な「天皇批判」!! ◆
=『くろねこの短語』2018年10月2日 =


 沖縄知事選で教育勅語マンセーの佐喜真君が敗北したのはネトウヨがフェイクニュースやデマを流して足を引っ張ったからだという意見があるようだ。おいおい,それは違うだろう。足を引っ張るどころか,別働隊として積極的に利用したのが本当のところなんしゃないのか。

 そんなことより,初老の小学生・ペテン総理が内閣改造と党内人事に着手だそうで,そこで名前が上がっているシェンシェイ方の顔ぶれが凄い。まるで在庫一掃セールみたいな面子で,生活保護叩きの鬼嫁・片山さつきの入閣や網タイツのゴスロリ・稲田の筆頭副幹事長就任がとりざたされたりして,これのどこが適材適所なんだろうね。

 さらに,党内人事はあっせん利得の布袋頭・甘利君と加計学園不正献金疑惑の下村君が,それぞれ選対委員長と憲法推進本部長とくるんだから,国民を舐めるのもいい加減にしやがれ,ってなもんです。

 あっせん利得の甘利君については,昨夜のBS-TBSの番組で政治部キャップとやらが「選挙があったので」なんてまるで禊が済んだかのような発言をしていた。これには驚き桃の木ですね。選挙で通れば疑惑はチャラになるんだったら,永田町は犯罪王国になっちまいますよ。

 議員会館で金を受けとったことは事実で,だからこそ大臣を辞任したんじゃなかったか。しかも,その後は不眠症を理由に国会さぼりやがって,結局説明責任はまたく果たさず仕舞いだ。説明責任ってことでは,加計学園不正献金疑惑の下村君もまったく同罪なんだね。

 生活保護受給者をdisりまくったシェンシェイや刑務所の塀を歩いているような真っ黒クロスケが要職に就いてデカイ顔するペテン政権ってのは,それこそが「国難」ってことだろう!!
  (後略)
 註記)http://kuronekonotango.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-c394.html
 ⑤「〈悪魔の魔法使い:親方〉がいない,原子力の火に翻弄される地球の原発事故現場」

 1)「汚染水,浄化後も基準値超え 89万トンの8割超 福島第1」(『朝日新聞』2018年9月29日朝刊1面)
 東京電力は〔9月〕28日,福島第1原発のタンクにたまる汚染水について,浄化したはずの約89万トンのうち,8割超にあたる約75万トンが放射性物質の放出基準値を上回っていたことを明らかにした。一部からは基準値の最大約2万倍の濃度が検出されていたという。今後,追加の処理が避けられなくなり,東電が進めてきた汚染水対策の見直しが迫られるのは必至だ。(▼3面=解説,これはつぎの 2) にとりあげる)

 東電や経済産業省によると,多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水約94万トンのうち約89万トン分を分析したところ,一部のタンクから,基準値の約2万倍にあたる1リットルあたり約60万ベクレルのストロンチウム90が検出された。

 東電はこれまで,ALPSで処理すれば,化学的に水素と同じ性質をもつトリチウム(三重水素)以外の62種類の放射性物質を除去できるとしていた。ストロンチウム90は半減期が約29年と長く,人体では骨にたまりやすい性質がある。

 東電は今後,汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は,再びALPSなどに通して処理する方針も示した。現状の処理量は1日340トン程度にとどまる。再び処理することになれば,追加の費用にくわえ,年単位の時間がかかるとみられる。一方,汚染水は年5万~8万トン増えており,敷地内のタンクの増設は2020年に限界が迫る。

 基準値を超えた原因について東電は,2013年度に起きたALPSの不具合で,高濃度の汚染水が処理しきれずに混入したことや,放射性物質をとりのぞく吸着材の交換が遅れたことなどを挙げている。今後,吸着材の交換時期を見直すなど対応を検討するという。ただ,今後も基準値超えの放射性物質が検出される可能性は否定できないと認めた。

 東電は,こうした測定値をホームページに掲載していたが,積極的には説明してこなかった。「掲載しただけで満足していたのは大きな反省点」としている。今年8月に福島県などで開かれた経産省の公聴会では,汚染水の中にトリチウム以外の放射性物質があることに批判が集まっていた。(引用終わり)

 2013年9月7日,ブエノスアイレスで開催されたIOC総会で安倍晋三は,日本の首相である立場から,2020年に招致したい東京での五輪を訴えていた。だが,そのなかには,いまもなお続けて『その大ウソ』が証明されている,つぎの点があった。 
▼ 安倍首相「アンダーコントロール」のウソ
=『WEBRONZA』2013年9月18日 =

 安倍首相は,滑らかな英語で東京への五輪招致演説をした。首相官邸ホームページにその和訳が掲載されている。福島について言及したのは開始直後だった。「フクシマについてお案じの向きには,私から保証をいたします。状況は,統御されています。東京には,いかなる悪影響にしろこれまで及ぼしたことはなく,今後とも及ぼすことはありません。……」。

 英語では「アンダーコントロール」といった。え? 立ち並ぶタンクのあちこちから汚染水が漏れてくる。地下水は山側から容赦なく流れこみ,それが汚染されて港湾に流れ出る事態も続く。汚染水はいま,「アウト・オブ・コントロール(制御不能)」じゃないですか。
 註記)https://webronza.asahi.com/science/themes/2913091700003.html 
 この指摘・批判はいまから5年前になされていた。その間,福島第1原発事故現場における地下水の放射性物質による汚染問題は,基本的になにも解決できていない。「3・11」直後からこの原発事故現場は石棺方式で覆って保存している,つまり,チェルノブイリ原発事故現場と同じやり方がひとつの案として提示されていたが,現地被災者からの猛反発を受けて以後は口にされなくなった。

 石棺方式により当座の事故処理はさておいても,地下水の汚染問題は安倍晋三が5年前にすでに解決をしていると虚勢を張って大ウソを吐いて以来,いまだになにも解決できていなどころか,いよいよ限界的な状況(事態の深刻さが臨界点に到達)にまで昂進してきた。安倍晋三という日本の首相はこのウソひとつだけをもってしても優に自認する理由になる。もっとも,まだ居座っていて「第4次政権」を組むというだから,この国はいったいどこまで堕落したかとあなどられてもしかたあるまい。

 2)「〈解説〉東電,汚染水処理ずさん 基準値超え,指摘受けるまで未公表」(『朝日新聞』2018年9月29日朝刊3面「総合」)
 東京電力福島第1原発事故の汚染水処理のずさんな実態が露呈した。〔9月〕28日,汚染水の8割超が基準値を超えていたことを東電が初めて公にした。汚染水問題が浮上した2013年以降,「(汚染水は)コントロールされている」とし,東京五輪に向け問題を矮小化してきた経済産業省の責任も重い。(▼1面参照)
 補注)「安倍晋三」の政治責任は「経済産業省」よりも「≧」。

 基準値超えのデータの公表は,経産省が8月末に開いた住民向けの公聴会がきっかけだ。それまでは,原子炉内にある溶け落ちた核燃料を冷やしたあとの高濃度の汚染水は,特殊な浄化装置にかければ,トリチウム(三重水素)以外は含まれていないことが前提だった。

 だが,実際は放射性のヨウ素やストロンチウムも基準を超えていると,公聴会直前の報道や住民側の指摘で明かされた。指摘がなければ,今回の汚染水の分析結果は埋もれたままだったかもしれない。

 東電は〔9月〕28日,「個々のデータはホームページに載せていた」(松本純一・廃炉推進室長)と釈明した。しかし,原発事故から7年超の膨大なデータのなかから,基準を超えた汚染水が存在している実態を第三者がつかむのは,きわめて困難だ。情報開示の姿勢に大いに問題が残る。

 東電は「汚染水タンクの用地に限界がある」,政府は「東京五輪までに福島復興を世界にみせたい」と対策を急ぎすぎた。今後はさらに浄化させる方針を示したが,汚染水処理の技術的な「頼りなさ」と,住民の疑念は解消できるのか。週明けに再開する経産省の小委員会で,解決策を一から議論しなおすべきだ。(引用終わり)

 東電福島第1原発事故現場の地下水の汚染問題は「解決策を一から議論しなおすべきだ」というが,いままでこの関係工事のためにわれわれの血税をどのくらいつぎこんできたのか。東電本体をつぶさずに,いったいいくらの税金を融通してやり,この会社を生きつづけさせてきたのか。

 「3・11」を惹起させてしまった原子力村の流儀というか信念というものは,いまではとり返しができないくらいにまで,地球環境の一部を完全に破壊した(チェルノブイリ原発事故と東電福島第1原発事故など)。われわれの目前にみせつけられている,現に解決の見通しすら全然つかない現実があるではないか。
     the-situation-is-under-control.jpg
 出所)https://www.keepcalm-o-matic.co.uk/p/the-situation-is-under-control/
 いまとなって,安倍晋三が東電福島第1原発事故について実際に口にした “The situation is under control” という「決めセリフの政治責任」が放置されていい理由は,なにもない。

 3)「核燃料取り出し,4度目の先送り 廃炉に影響も 福島第一 3号機」(『朝日新聞』2018年9月28日朝刊7面「総合」
  『朝日新聞』2018年9月28日朝刊東電福島第1原発事故画像
 註記)福島第1原発3号機の最上階=2017年12月1日,福島県大熊町。
 東京電力福島第1原発3号機の使用済み燃料プールからの核燃料のとり出しについて,東電と経済産業省は〔9月〕27日,今〔2018〕年11月に予定していた作業開始を来〔2019〕年2月以降に延期する,と発表した。クレーンなどの装置にトラブルが相次いでいるためで,実際の作業開始は来春以降にずれこむ見通し。40年間をみこむ廃炉の工程全体にも影響が出る可能性がある。
 補注)廃炉工程が完了できる期間を40年をみこんでいるという「想定」は,どこまでも「仮定(独自に考え出した予定?)」であって,まさか半世紀以内にその工事が終えられるなどとは,いまのこの時期になって “信じている” 者はいない。当面する対応だけでも1世紀はかかると判断しても間違いにはならない。気の遠くなるような技術経済的な問題が「廃炉工程」には随伴していく。

 おおよそ出力100万キロワット以上の原発は,40年にプラスして20年延長して稼働させると企図されている。だが,その後始末として迎える廃炉「事業」がさらに1世紀はかかるとしたら,もう電気を生産しないで廃炉工程だけを残した原発の存在は,その解体作業にたずさわる企業経営にとってみれば,かっこうの儲け話になる。しかし,原発という発電装置・機械は,電気を作る目的よりもそのあとに迎える「解体作業(廃炉工程というバックヤードで)の仕事」のほうが,よりおおごとである。

 〔記事に戻る→〕 東電や経産省によると今〔2018〕年8月,プール内の燃料をとり出す装置で警報が鳴った。調べたところ,ケーブルの保護部品が仕様どおりにとり付けられておらず,ケーブルが雨水で腐食していた。抜本的な部品の交換が必要で,復旧には少なくとも来〔2019〕年1月までかかるみこみ。その後に原子力規制庁の検査を受ける必要があり,さらに数カ月はかかる見通しという。

 3号機では今〔2018〕年3月,燃料を動かすクレーンが起動直後に故障。5月には制御盤が焦げるなど電気系統にも損傷がみつかった。製造元の米メーカーが出荷時に設定した電圧と,原子炉建屋内の電圧が異なっていたことが原因だった。

 燃料とり出しの延期は今回で4度目。当初の計画では2014年末にも搬出を予定していたが,現場の放射線量が想定より高く,水素爆発した建屋のがれき撤去なども難航していた。3号機の建屋最上階にある使用済み燃料プールでは,566体の核燃料を冷却しながら保管している。新たな地震や津波に見舞われると冷却できなくなる恐れもあり,建屋近くの別の保管施設への搬出を急いでいる。(引用終わり)

 原発=危険,しかも核燃料を使用するがゆえの特別仕様でもあるその危険性であった。使用済み核燃料とは分かりやすく表現すれば『原発のウンコで』ある。だが,ふつうのだたのウンコとは根本より物理化学的な性質を異ならせている。つまり,ただのウンコではないやっかいなものが「トイレのないマンション」である原発の稼働中からも発生するし,廃炉にされてからも半永久的についてまわるのだから,たまったものではない。

 ということで,「誰だ,こんなもの:原発」を作ったのは,といいたくもなる。いまから65年も前の1953年12月8日であった。アメリカ大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが『平和のための原子力』に関する演説を,ニューヨークの国連本部で開催された原子力の平和利用に関する国連総会でおこなっていた。

 もとはといえば,原水爆しか適当な使途がない原水爆の原理を「平和利用に応用するのだ」といったごとき〈根源からの矛盾した提言〉であった。21世紀のいま,嫌というほど思いしられているその逆性=害悪が噴出している最中である。しかも,後戻りして修正・封印したくとも絶対に不可能である。20世紀の前半期に立ち戻りたいと希望しても,とうてい不可能かつ不可逆的な事象が発生している。

 ⑥ 四国電力伊方原発の再稼働を認める判決を下した「法律▲▲」である高裁判事の,たいそう迷惑な「誰かを忖度した裁判指揮」


 『朝日新聞』2018年9月26日朝刊は,1面の左上に配置させ報道した記事「伊方原発の運転認める 広島高裁 差し止め仮処分取り消し」は,これを担当した三木昌之裁判長が,原発問題の基礎知識によほど欠けているのでなければ,「左ヒラメ・右カレイ」の要領で原発事案の裁判に高裁としての結論を出していた。だが,この原発裁判に関する判決は,以前の「原発神話」にも数段も劣る「いまどき実に愚昧な判決だった」と酷評するほかない。

 この判事の頭のなかに前提されていたらしい原発問題に関連する諸知識をめぐる「社会通念」は,常識的な次元に関して,あるいは現状において「技術的に通念」になっている原発問題をめぐる初歩的な知識すらも,まっこうから否定し,無視している。判決のなかで示したつもりのその「社会通念」とは,けっして “ふつうに” 通念など称せるものではありえない。

 ある意味ではたしかな「専門バカ:そのもの」である一定の裁判官が,原発に関する争点を「社会通念」のほうにかこつけた判断を下した。だが,担当した裁判官が「原発に関する係争」を,そのように簡単に裁判所側として始末できるほどには,この問題について通暁できていなかった様子をうかがわせている。原発訴訟をあつかう資格はこの裁判官にはなかったとしかいいようがない。彼が本当は原発に関する基本的な理解をしていたとしても,判決に接してみるかぎりそう論断しておく(例のヒラメ・カレイ)。

 『朝日新聞』の同日朝刊からは,3面の記事「噴火リスク『社会通念』で容認 広島高裁『大多数は問題にせず』伊方原発」に移って,こちらを引用する。
   『朝日新聞』2018年9月26日朝刊3面厳罰裁判広島高裁
 註記)会見で弁護団声明を発表する河合弘之弁護団長(右から3人目)=9月25日午後,広島市中区。
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた仮処分決定について,広島高裁は四電の異議を認め,とり消した。頻度が低く,予測が難しい火山の巨大噴火による被害は「社会通念」上容認される。司法の「お墨付き」をえて,四電は伊方原発の運転再開に乗り出す。(▼1面参照)

 「法律を社会通念で無効,そんなことをよくやりますね。法律家ならまず法律を重んじろ」。住民側の河合弘之弁護団長は決定後の会見で決定を厳しく批判した。裁判に参加する住民の1人,綱崎健太さん(38歳)=広島市=は東京電力福島第1原発の事故と比較し,「まったく同じことが,火山で起きているんじゃないか。司法はそれを忘れてしまったのか」と嘆いた。

 異議審は,阿蘇山(熊本県)が約9万年前と同様の破局的噴火を起こすリスクが争われた。そのリスクを理由に3号機の運転を差し止めた昨〔2017〕年12月の広島高裁決定を覆す根拠としてこの日の決定がもち出したのが「社会通念」だった。決定は,国が破局的噴火へ対策を進めていないのに「国民の大多数は格別に問題にしていない」と指摘。「(破局的噴火を)容認する社会通念があると判断するほかない」と結論づけた。

 この司法判断の下敷きにあるのが,巨大噴火のリスクを「社会通念上容認される」とした原子力規制庁が示した考え方だ。今〔2018〕年3月に示されたもので,九州電力玄海原発3,4号機の運転差し止めの仮処分申し立てを却下した同月の佐賀地裁決定も,この考え方に沿ったものだった。
 補注)原発を再稼働させるために審査する国家の機関:「原子力規制庁」という名称からして羊頭狗肉。

 この日の広島高裁決定は,原発の運転再開の条件となる原子力規制委員会の新規制基準も火山リスクを除いて是認。差し止めが認められるためには,破局的噴火の可能性を相応の根拠で示さなければならないとし,住民側に高い立証のハードルを課した。

 1) 火山学者「それでも容認,科学ではない」 審査のガイド,不備は認める
 原発の新規制基準による審査で使う「火山ガイド」では,原発から160キロ以内に火山がある場合,火砕流などが及ぶ可能性がないかを評価する。過去の火山活動や現在のマグマのたまり具合などを把握し,原発に影響を及ぼす可能性が「十分小さい」と判断できなければ,原発の立地には適さないと定められている。
 補注)ちなみに「富士山山頂火口から距離は新宿区の都庁までは約95㎞」である。富士山は休火山(現在は正式に使用しない用語)である。広義では富士山も活火山である。この富士山がたとえば10年後に突如として大噴火しないという絶対的な保証は,専門家であってもできない相談である。

 なお,富士山の噴火可能性については,「富士山噴火の可能性」『富士山噴火.net』https://富士山噴火.net/kanousei/ を参照されたい。火山が噴火するという種類の問題は,日本全国いたるところに実在している現実的な話題である。

 〔記事に戻る→〕 巨大噴火について原子力規制庁は,3月に示した文書のなかで,噴火が差し迫った状態ではなく,原発の運用期間中に発生する科学的な根拠があるといえなければ「可能性が十分に小さいと判断できる」との考えを表明。ガイドについては「変える必要はない」(幹部)との姿勢を変えていない。

 今回の異議審の決定について,鹿児島大の井村隆介准教授(火山学)は「噴火予測ができないこと,安全かどうかを科学的に判断できないことなど,多くの火山学者が指摘してきた火山ガイドの不備は認めた。それでも,社会通念で容認するというのは,科学ではなく社会的な判断だ」と話す。
 補注)この「社会通念で容認するというのは,科学ではなく社会的な判断だ」というのは,日本の裁判所側(具体的に指摘すれば司法側において頂上に位置する権力機関の最高裁事務総局)の価値判断である。なかんずく,安倍晋三政権そのものの判断であった点を意味する。国と電力会社側に不利な判決を出した,それもとくに各地裁段階で原発裁判を担当した裁判官たちは,左遷人事の目に遭わされてきている。

 巨大噴火は,発生の頻度そのものは低い。ただ,神戸大の巽好幸教授(火山学)は「頻度の低さは,安心を意味するものではない。想定される被害者数に発生確率をかけた危険度では,巨大噴火は最悪の災害のひとつだ」と指摘する。

 阿蘇の巨大噴火の周期は不規則で,いつ起こるかわからない。具体的な根拠を示すことができないからといって,運用期間内に「火砕流が到達する可能性が十分小さい」とした評価に,巽さんは疑問を示す。
 
 2) 四電「来〔10〕月27日に運転再開」
 「高裁レベルで判例が積み重なるのはいいことだ」。経済産業省資源エネルギー庁の幹部はこう話し,政府からは歓迎する声が広がった。7月に閣議決定したエネルギー基本計画は,2030年度の発電量に占める原発の比率を20~22%とする目標を維持。今回の決定は,原子力規制委員会の新規制基準を満たした原発は再稼働するとの政府方針に沿ったものだからだ。
『朝日新聞』2018年9月26日朝刊3面原発稼働状況

 四国電力にとっては伊方1,2号機がすでに廃炉となるなか,3号機の稼働が経営に直結する。小林 功常務も「正直,安堵している」と語った。3号機は決定を受けて10月27日に運転再開する。もともと2018年1月に運転再開する計画だったが,「空白期間」によって経常利益ベースで約330億円のマイナスとなり,業績が悪化。10月下旬に稼働できれば,2018年4~6月期に純利益が赤字に陥った決算は「年間を通じては黒字になりそうだ」(小林常務)。

 ただ,四電は大分地裁でも3号機の運転差し止めを求める仮処分申請を出されており,〔9月〕28日に決定が下される予定だ。「司法リスク」は続くが,小林常務は「他のわれわれの係争の勝利にもつながる」と期待感を示した。(引用終わり)

 この広島高裁の伊方原発の運転「差し止め仮処分取り消し」に対する判決をめぐっては,原発再稼働に基本的には賛成であり,財界の立場を反映させる論説をいつも展開してきた『日本経済新聞』でさえ,なおこういう注文をつけていた。つぎに,同紙の2018年9月28日朝刊「社説」を引用する。

 ⑦「原発の火山噴火対策は万全か」(『日本経済新聞』2018年9月28日朝刊「社説」)

 四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転差し止め申請をめぐり,広島高裁と大分地裁が相次いで再稼働を容認した。火山噴火への対策が争点となったが,高裁,地裁ともに「安全性に欠ける点はない」と判断した。ただ,他の原発を含め噴火への備えにはなおも懸念が残る。国や電力会社は対策を強めるべきだ。

 伊方3号機は原子力規制委員会の審査に合格し,2016年8月に再稼働した。だが,広島高裁は昨〔2017〕年12月,住民らの求めに応じて運転差し止めを命じ,四国電が異議を申し立てていた。これとは別に大分地裁でも地元住民らが停止を求め,仮処分を申請していた。

 争点になったのが,約130キロ離れた九州・阿蘇山が噴火したときの安全対策だ。広島高裁の前回決定では,大規模噴火が起きれば原発に火砕流が達する恐れがあるとし,差し止めの根拠とした。同高裁は今回,原発の運転中に巨大噴火が起きるリスクは「いちじるしく低い」と前回決定を覆し,大分地裁も同様の理由を挙げた。

 大規模噴火が起きるのは1万年に1回程度とされ,原発に限らず防災対策全般で想定していない。「発生可能性や切迫性を示す相応の根拠がないかぎり,想定しなくてよい」とした今回の高裁や地裁の決定は,司法として一定の判断基準を示したもので,評価できる。
 補注)この日本経済新聞なりの原発裁判に対する評価,「大規模噴火が起きるのは1万年に1回程度とされ,原発に限らず……」は,現実の理解に関してそもそもの問題があった。この点については,さきほど参照のためにかかげた『富士山噴火.net』の解説を読めば,いかほど浅薄であるかを思いしらされるはずである。

 一方で,これで噴火対策が万全というわけではない。広島高裁は規制委が審査指針として定めた「火山影響評価ガイド」について「不合理」と指摘した。同指針は火山噴火の時期や規模をある程度予測できることを前提にしているが,火山学者から異論が出ている。大規模噴火の前に核燃料をどう運び出すかなども対策が要る。規制委は指針を見直し,これらを詰めるべきだ。

 遠くの火山で中小規模の噴火が起きても大量の火山灰が降り,非常用発電機などが機能しなくなる恐れがある。電力会社や規制委は最新の科学的知見を集め,安全対策を絶えずみなおす必要がある。(引用終わり)

 従来の発電装置・機械とはその仕組・造りじたいが根本から異質であり,非常に危険である原子力発電所は,いつの時期になるにせよ必らず,スクラップ(廃炉)にしなければならない時期を迎える。ところが,そのときからあらためて新しく,至難である後始末ための苦役が開始されることになる。この「廃炉という事業」の展開・処理の工程は,原発を現役の機械・装置として稼働させ使用してきた時期とは異相の,技術経済的に至難な対応を要求される工事になる。

 いまのところ,原発廃炉問題は「その先(未来)がどのように決着がつく」のかまだ不透明であり,未詳な事項も多く残している。そこまでにも,なんともまことに頼りない原発という装置・機械であるからには,ともかく当面としてできることといえば,できるかぎり早めに “廃炉にしていく” ほかない。再生エネルギーの開発・利用に対して妨害する電源が原発でもある。

 火山の噴火や地震の発生,津波の襲来を極度に,それこそビクビクしながら警戒していなければならない原発は,いうなれば地球上の科学・技術としては異端児であったどころか,《悪魔の火》に手を出してしまった「人類・人間側の基本的な大失策」を端的に象徴する発電方式であった。 

  “後悔先に立たず” であった。いまからでもすぐにできることはある。この《悪魔の火》のせいで,それも事故を起こした原発に対して「われわれが対処できることのすべてを奪われている現状」にある。これを,なんとかして少しでも,われわれの手に早く奪い返すためにはまず,「原発の稼働を休止させ廃炉にもっていく」ことである。

 たとえていえば,毎日が「二日酔い状態であるにもかかわらず,それでも迎え酒を大杯で重ねている」ごとき,つまり多臓器不全に等しい病状になり,もうすぐ死にそうでもある「重篤なアル中患者」を想像させるだけの,いいかえれば,重度の麻薬中毒患者にも似た原発政策は,国家じたいの自滅への早道である。

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