【稼働停止にし,廃炉にできない「原子力発電所の裏庭」には,原爆など核兵器の生産・保有にこだわる「日本の軍国主義者」が待機して(隠れて)おり,安倍晋三はその代表者】

 【採算の論理・経営の基準でみたら,原発は国策として保護され民営として優遇されてきたからこそ成立できていたが,現在は斜陽産業どころか完全に無用で有害な産業である。しかも,産業廃棄物としては無限大的にやっかいものを残していくのが「原発という装置・機械」である】

 【いまや,本当のところでは財界でもお荷物になりつつあり,国民にとってはもともと大迷惑であった原発が,安倍晋三君にとっては「原発=原爆」である軍事的な観点があって,どうしても捨てられない「原発関連の産業部門」】

 【次世代の高速増殖炉を計画? 前世代のもんじゅは大失敗していたし,発育不全ではなかったか?】

 【小型原子炉の開発を計画するというが,大型が要らないのにわざわざ小型を作るという奇策の狡猾さ。なんの利点があるというのか】

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  「本稿(1)」のリンクはこちら( )。


  「本稿(3)」のリンクは末尾に掲示。

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 ④「自民党が原発をやめられない理由」(『ビデオニュース・ドットコム』2014年02月15日 19:22,引用は『BLOGOS』https://blogos.com/article/80437/ から

 かつて自民党内では反原発の立場・思想を堅持していたようにみえていた河野太郎議員は,この ④ に紹介する「反・原発の見地」を主張していた。だが,河野太郎は,安倍晋三政権のもとで2015年10月,内閣府特命担当大臣(規制改革,防災,消費者及び食品安全)に任命され,さらに2017年8月3日,外務大臣に任命されていたが,この大臣職に就くと即座に「反原発の立場・思想」を封印し,隠蔽した。なんということもなかった,この太郎もただ大臣病にとりつかれていた自民党内の陣笠議員,その1人でしかなかった。彼はそうした自分に関する事実をすすんで暴露していた。

河野太郎表紙 河野太郎もまた「世襲3代目の政治家」であるが, “政治家としての好ましい因子” は祖父の代からは徐々に劣性遺伝化してきたかのような展開をみせてきた。

 それも,大臣の椅子を与えられてからのこの太郎は,外務大臣になるや自分用の政府専用機がほしいなどとおねだりするなど,なぜか,世襲的政治家に本来的でもあったかのように,非常に俗悪な素質をムキだしにしていた。

 『自民党内の共産党的議員』だと同僚たちから非難・罵倒されてきたこの太郎の存在意義は,原発問題に関していえば,いまでは完全にゼロに近い。

 河野太郎はそれでも,いまから4年前までであれば,とてもりっぱに反原発(「原発廃絶」)のための提唱をおこなっていた。著作ももち,『原発と日本はこうなる-南に向かうべきか,そこに住み続けるべきか-』(講談社(2011年11月)もあった。この本は「3・11」を契機に公刊したものと受けとめてよい。

◆ 自民党が原発をやめられない理由 ◆
=『ビデオニュース・ドットコム』2014年02月15日


 安倍政権は一体全体どんな展望があって,再び原発推進に舵を切ろうとしているのだろうか。東京都知事選で自民党が推す舛添要一氏が脱原発を主張していた宇都宮・細川両候補に勝利したことで,安倍政権は懸案だった原発再稼働へ向けて動き出した。事実上原発推進を謳ったエネルギー基本計画の策定作業も,速やかに進めるという。

 当初,政府は2030年代末までに原発ゼロを謳った民主党政権のエネルギー基本計画を破棄し,原発を重要なベース電源と位置づけた新たなエネルギー基本計画を〔2014年〕1月中に閣議決定する予定だった。しかし,原発ゼロをかかげる小泉純一郎元首相の後押しを受けた細川護煕元首相の都知事選出馬で,にわかに原発問題が注目を集めはじめたとみるや,選挙後まで閣議決定を先延ばしにしてまで,原発が都知事選の争点となることを避けてきた経緯がある。

 選挙から一夜明けた〔2014年1月〕10日の予算委員会で早速,安倍首相はエネルギーの「ベストミックス」をめざしたエネルギー基本計画の策定を進める意向を示した。ベストミックスというのは経産省が考え出した霞ヶ関文学で,要するにこれからも原発を継続することの意思表明にほかならない。

 政権中枢を含め原発推進が主流を占める自民党内にあって,一貫して脱原発を提唱しつづけている衆議院議員の河野太郎氏は,そもそも現在のエネルギー基本計画の原案では,自民党の選挙公約に違反していることを指摘する。

 自民党は政権に返り咲いた2012年の衆院選で原発をあくまで「過渡期の電源」と位置づけ,できるだけそれを減らしていくことを約束していた。いまになって原発を「重要なベース電源」とするのは公約違反になるというわけだ。
 補注)河野太郎は以前,自分のブログ『ごまめの歯ぎしり』を公開していた。このなかで反原発の立場・思想を鮮明にしながら,原発を廃絶する必要性を議論していた。ところが,2015年10月に大臣職に就くや否や,当該する「原発関連のブログ」は一挙に削除していた。

 自身の境遇になにかまずいことでも生じていたのかと勘ぐるまでもなく,河野太郎も大臣になったとたん,安倍晋三の “アンダー・コントロール” にとりこまれていたに過ぎない。原発廃止の運動にとりくんでいる『仲間たち』からみたこの太郎の変幻自在ぶりは,政治家なんてやはりこの程度かと軽蔑心を抱かせる実例であった。

 〔記事に戻る→〕 河野氏が代表を務める自民党脱原発派のエネルギー政策議員連盟は,政府のエネルギー基本計画の原案に対抗するかたちで,原発の新増設・更新はおこなわず,核燃料サイクルも廃止して「40年廃炉」を徹底することで緩やかに脱原発を実現するための提言を策定し,政府と自民党に提出している。

 しかし,河野氏は自民党内では実際に脱原発の声をあげられる議員の数は党所属国会議員409人中せいぜい50人前後ではないか。電力会社やその関連会社,電気事業連合会と経団連,そして電力会社に依存する企業群や関連団体などからなる「原子力ムラ」は,脱原発を主張する議員に対して,激しいロビー活動をしかけている。多くの若手議員から,「原子力村から脅された」となどの相談を受けているが,本心では原発をやめるべきだと考えている議員の多くが,こうしたロビー活動のために身動きがとれなくなっている実態があると指摘する。

 原子力ムラは政治家にとって命綱となる選挙を,物心両面で支えている。パーティ券の購入や政治献金などを通じた政治活動の支援も,電力会社本体はもとより,関連会社・下請け・関連団体などを通じて,幅広くおこなっている。

 原発の再稼働を容認しないと発言した途端に,議員の集票や資金集めに支障が出てくるといっても過言ではないほどの影響力があると河野氏はいう。とくにやる気のある新人や若手議員は選挙での支持基盤が脆弱なため,電力会社から「つぎの選挙では支援しない」といわれれば,政治生命の危機に陥るような議員が大勢いるのが実情だというのだ。
 補注)この原子力村全体からの国会議員に対する圧力(原発反対の主義・主張に対するそれ)が,しかも非常に強力である「金力」にモノをいわせるかたちで,反原発の立場・思想を採ろうとする国会議員を金銭面および票の両面から締めつけてきた。そのために,どうしても抗えずに降参することを強いられた若手の議員が多いと,河野太郎は説明したわけである。だが,この太郎は太郎で “もっとゼイタクな理由:名誉欲” のせいで,反原発の立場・思想を弊履のごとく捨てていた。

 だいたい,最近における自民党の政治家たちに終始一貫した信念・理念を求めたところで,もともと無理難題だというのが通り相場になっている。とはいえ,この太郎のように「大臣という餌」に釣られてしまうと同時に,さっさと「原発反対」を捨てた者は,その政治家としての立場のいい加減さを,他者に対して分かりやすく示してくれた。要は,太郎自身が世襲3代目である政治家として,その唾棄すべき悪い側面ばかりをみせつけてくれた。

 〔記事に戻る→〕   そのような与党内の党内事情と同時に,もうひとつ日本が原発をやめられない明確な理由があると河野氏は指摘する。使用済み核燃料の最終処分場をもたず,また核兵器をもたない日本は,原発から出るプルトニウムなどの核のゴミを処理する方法がない。そのため,日本の原発政策は一度発電に使った使用済み核燃料を再処理して再び燃料として再利用する「核燃料サイクル」と呼ばれる遠大な計画がその根底にある。それがないと,日本の原発政策は経済的にも国際的にも正当化できなくなってしまうのだ。

 ところが実際には,核燃料サイクル事業は高速増殖炉「もんじゅ」の相次ぐ事故やトラブルで何兆円もの国費を投入しながら,まったく動いていないばかりか,2050年までは実現できないとの見通しを政府自身が出す体たらくにある。

 問題は日本が核燃料サイクル事業を放棄した瞬間に,電力会社が資産として計上している膨大な量の使用済み核燃料がすべてゴミになってしまい,電力会社の経営状況が悪化してしまうことだ。東京電力などは債務超過に陥り,経営が破綻してしまう。

 また,中間貯蔵を条件に青森県六ヵ所村に保管してある使用済核燃料も,燃料の再処理をしないのであれば,各電力会社がそれぞれ自分の出したゴミを引きとらなければならなくなってしまう。もともと,そういう条件で青森県に置かせてもらっているのだ。

 しかし,日本中の原発に併設された使用済み核燃料プールは,既に70%以上が満杯状態にあり,どこもそれを引きとるだけの余裕はない。また,原発の近くに使用済み核燃料を保管することのリスクがいかに大きいかは,今回福島第1原発事故のさいに,稼働していなかった4号機がどうなったかをみれば明らかだ。

 河野氏が指摘するように,日本が原発をやめられない理由は実は非常に単純明快だが,問題は日本という国にこの問題を解決するガバナビリティ,つまりみずからを統治する能力がないようなのだ。民主党政権もこの2つの問題に明確な解を出せなかったために,脱原発をめざしながら,最終的に策定した計画は「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう,あらゆる政策資源を投入する」のようなやや意味不明なものになってしまった。

 民主党よりもさらに物心両面で原子力ムラへの依存度の高い自民党では,「やめたければ原発をやめられる国」になれるみこみが,ほとんどもてそうもないといっていい。

 河野氏が率いるエネルギー政策議員連盟は今回政府と自民党に提出した提言のなかで,最終処分場問題の解決には明解な答えを出せる状態にないことを前提に,
 
  イ) 核燃料サイクルを廃止し,使用済み核燃料はゴミとして扱う,

  ロ) それが理由で経営が悪化する電力会社に対しては,国が送電網を買い上げることで公的支援を注入する(そうすることで自動的に発送電分離が進む),

  ハ) 各原発が六ヵ所村から引きとった使用済み核燃料は,最終処分場問題が解決するまでの間,サイト内にドライキャスク(乾式)貯蔵法によって保管することで,地震や津波などで使用済み燃料プールが損傷して大惨事が起きるような危険な状態を回避すること,

などを政府に申し入れている。

 現在政府が公表している新しいエネルギー基本計画はあくまで原案であり,自民党内や国会での議論はこれからだ。河野氏は選挙公約に違反している部分については,党内議論の過程で徹底的に反対し,変えさせていきたいと抱負を述べるが,はたして自民党にそれを受け入れる能力があるか。注目したい。
 補注)この河野太郎による原発「史観」はすでに崩壊(自壊)していた。この太郎に「もとの反・原発観に戻れる」可能性はあるのか?

 本心で原発を推進したいのならいざしらず,実は止めたいのに止められないのだとしたら,止められる状態を作っていくしかない。なぜ自民党は原発を止められないのか,どんな党内事情があるのか,止めるためにはどうすればいいのか……。(引用終わり)

 この自民党内「反原発議員」であった河野太郎はその後,完全に心変わりしていた。自民党の原発推進路線は,国民たちの6割から7割も原発に反対する実情のなかにありながら,それでもなお,なんとか原発体制を維持していこうと必死になって画策をつづけており,けっしてその方向を諦めていない。問題はなぜ,そのような原子力村全体の意向にそった自民党の原発推進路線が止まないのかにある。

 ⑤ 原発の技術的停滞と原発市場の動向

 1)原発事業の停滞
 『日本経済新聞』2018年11月29日朝刊は「仏,次世代原子炉凍結へ 共同開発計画,日本に衝撃」という見出しで,また『朝日新聞』同日朝刊が「フランス,原発削減を先送り マクロン氏 依存後50%『2035年』に」という見出しで報じていたのは,電源を70%も原発に依存するフランスであっても,原発のその比率を削減していく必要性を切実に受けとめるほかない「時代の趨勢」を真剣に検討しているという事実についてであった。

 『日本経済新聞』は翌日〔2018年11月30日〕の朝刊5面「経済」では,「核燃サイクル継続に黄信号  次世代炉,仏が凍結方針  エネ政策見直し論再燃も」との見出しをつけた記事では,最初にこう報道していた。
 日本がフランスと進めている次世代原子炉の開発をめぐり,仏政府が2020年以降に計画を凍結する方針を日本政府に伝えた。日本は16年に核燃料サイクル政策の柱だった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の廃炉を決定。新たな柱として次世代原子炉を日仏で共同開発する方針だった。核燃料サイクルは八方ふさがりの状態で,エネルギー政策の見直し論が再燃する可能性もある。
 そもそも原発という科学技術は,「〈リレーおぴにおん〉火のいざない:2『原子の火』,怖いのは人の欲」(『朝日新聞』2018年12月5日15面「オピニオン」)で高村 薫も指摘するように,原発の燃料に使用される「原子力は,原爆の恐ろしさはあっても,平和利用という条件付きで『希望の火』でした」と理解されるかぎりでの,いうなれば,あくまで「原爆あっての原発」であって,その反対の関係ではありえない。

 したがって,「原発にこだわるところには必然的に〈原爆の問題〉が同居している(=「同じ穴のムジナ」)」。いいかえれば,そこには,究極的に軍事的な背景が控えている。そうした「原発と原爆」の関係づけに関して踏まえるべき基本の理解が,それらのうちに秘められている「論理的に深い脈略」を疎んじるわけにはいかない。

 『日本経済新聞』2018年12月4日朝刊1面の冒頭記事が「トルコ原発建設 断念へ 三菱重など官民連合」であった。アメリカの原発産業から事業を引きついだ日本の企業(東芝,日立製作所,三菱重工業)は,その後において先細りになるばかりの経過をたどった原発事業に苦しんでいる。
 政府や三菱重工業などの官民連合がトルコの原子力発電所の建設計画を断念する方向で最終調整に入った。建設費が当初想定の2倍近くに膨らみ,トルコ側と条件面で折りあえなかった。トルコでの原発新設は日本政府のインフラ輸出戦略の目玉のひとつ。国内で原発の新設計画が見通せないなか,日本は原発戦略の立てなおしを迫られる。
 『日本経済新聞』2018年12月4日朝刊13面原発トルコ輸出失敗『日本経済新聞』2018年12月4日朝刊13面原発トルコ輸出失敗2
 『日本経済新聞』同上は,13面「企業1」の記事「日本の原発事業,岐路に トルコで断念へ 案件,英の計画のみ」でもって,以上に関する事情をつぎのよう報道していた。  
 官民で受注を狙っていたトルコの原子力発電所の建設断念が避けられなくなったことで,日本の原発ビジネスの行方の不透明さが一段と増した。現在,日本勢が参画している原発輸出プロジェクトは,日立製作所が英国中部で計画している案件のみとなった。国内での新設案件はゼロで,長年培ってきた技術の維持にも暗雲が垂れこめている。(1面参照)
 日立製作所は英原発子会社のホライズン・ニュークリア・パワーを通じて,英中部アングルシー島で2基の原発新設計画を進める。ただ,総事業費は当初計画の2兆円から3兆円に膨らむみこみ。現在,日英両政府や民間企業からの出資を募る交渉を進めているが,先行きは見通せない状況だ。

 これまでベトナムやリトアニアで日本勢が交渉を進めていたが,東京電力福島第1原発事故以降の安全対策コストの急上昇や政権交代などで撤回や中断に追いこまれた。日本だけでなく,原発は高価でリスクの高いエネルギー源としての認識が世界的に広がっている。

 再生エネルギーの普及で,原発ビジネスは世界的にみても厳しい環境に置かれている。

 世界大手の米ゼネラル・エレクトリック(GE)は今秋,経営不振が深刻な電力部門を組織再編し,ガス火力発電部門と,原子力や石炭を含むその他部門に分割すると発表した。ドイツでもシーメンスが2011年に原発事業から撤退した。東芝は2006年に米原子炉大手のウエスチングハウスを買収したものの,巨額の損失が発覚し,経営危機に陥った。

 〔日本〕国内の事業環境はさらに厳しい。原発の新設案件はなく,各社の原子力部門の収入源は既存原発の再稼働に向けた工事や設備の維持管理だけだ。2000年代半ば,温暖化ガス排出量が少ないことから各国で原発建設計画が相次ぎ「原子力ルネサンス」と呼ばれた。

 日本勢はインフラ輸出の目玉として売りこみを進めてきたが,環境が激変するなかで重電各社の経営の重荷になっている。独自の技術開発を進め,政治的にもバックアップを受けながら営業攻勢をかけるロシアや中国企業の勢いが増す可能性がある。

 2)「中ロが握る原発市場 2000年以降稼働の6割 軍事技術に直結,警戒感も」(『日本経済新聞』2018年11月17日朝刊1面冒頭記事)
 世界の原子力発電市場で中国とロシアの存在感が高まっている。2000年以降に世界で稼働した原発の約6割は両国の企業が担った。一方,米国では採算悪化で原発の運転停止が相次ぎ,欧州も脱原発が勢いを増す。軍事技術に直結する原発技術の中ロへの集中を警戒する声もある。米中の「新冷戦」が指摘されるなか,原発が新たな覇権主義の舞台となる可能性もある。 
『日本経済新聞』2018年11月17日1面原発記事スリーマイル原発
註記)2019年9月までの閉鎖が決まった
  米スリーマイル島の原子力発電所 = AP

 a) 日米欧薄れる優位
 2000年以降,世界全体の約4割にあたる33基を稼働させた中国は国内の原子力発電を現在の3600万キロワットから2030年に世界トップの1億5000万キロワットまで高めることを視野に入れる。国内経済の安定に発電能力の引き上げが不可欠という事情にくわえ,習 近平(シー・ジンピン)指導部による産業政策「中国製造2025」でも原発を重要な技術と位置づけているためだ。

 現在,国内で計画する原発は150基以上。英国でも中国企業による原発建設計画が進む。米仏の加圧水型軽水炉(PWR)をベースに中国が自主開発した第3世代原子炉「華竜1号」はアルゼンチンやパキスタンなどへの輸出が決まった。稼働数で圧倒し,部品調達でも価格競争力が高いのが最大の強みだ。

 2位のロシアは中国よりもペースは遅いものの,15基を稼働させて全体の2割弱を占める。電力需要が高まる中東やアジアに売りこみをかけるロシア国営の原発企業ロスアトムは7月時点で世界の新規原発建設で全体の67%にあたる35基の契約を締結したと発表。2019年には世界初の洋上原発も稼働させる。

 4月には地中海沿岸のトルコのアックユでも同国初の原発を着工した。同国ではより安定した地盤の黒海沿岸で日本勢も建設計画を進めるが,総事業費の試算額が当初想定から2倍以上に膨らみ着工のメドすら立たない。日本政府関係者は「日本が断念すればロシアがやるといい出すのではないか」と話す。

 中ロのあとを追うインドもこれまで小規模な原発を中心に原発公社が国内で稼働させてきたが,世界第2の埋蔵量を誇る同国のトリウム資源を活用した独自の燃料サイクルの開発が進む。今春には同国としては海外初となる隣国バングラデシュでの建設計画への参画が決まった。周辺のスリランカやベトナムへの建設にも関心を寄せる。

 新興国による原発市場のシェア拡大の動きとは対照的なのが欧米の原発離れだ。米国では9月に稼働開始から49年を経た米最古のオイスタークリーク原発(ニュージャージー州)が運転を停止し,稼働中の商業炉は98基となった。

 シェール革命によるガス火力との価格競争力の低下が主な原因で,2025年までに全米でさらに11基停止する予定。欧州でもドイツやフランスなどが安全性を理由に脱原発を打ち出しており,国際原子力機関(IAEA)の予測によると,先進国を中心に30年に世界の原発の発電容量は10%以上減る可能性がある。

 原発市場の勢力図の一変は欧米や日本の技術優位に影を落とす。米国では原子力事業で必要な米機械学会による認証を取得した企業数は1980年に約600社あったが,2007年時点で200社以下に減少。米エネルギー省は原子力産業の衰退で,第3世代原子炉の主要資機材である原子炉圧力容器などを米企業ではもはや製造できなくなったとの見方を示す。日本でも加圧器用部品などの製造から撤退するメーカーも相次いでいる。

 b) 核不拡散体制に影
 原発建設・輸出の主導権が欧米から中ロなどに移ることに安全保障上のリスクを警戒する声も出ている。米国務省高官は中国による原発輸出について「中国の原子力産業は実質的に軍民一体であることが明らかだ」と指摘し,原発技術の向上は軍拡の一環との見方を強める。インドの原発輸出も,同国の周辺国への影響力を強める中国への対抗とみる向きもある。

 日米欧や中ロが加盟する核拡散防止条約(NPT,Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)は加盟国に核兵器に転用されない担保を義務づけ,各国とも輸出相手国と原子力協定を締結し,核燃料再処理などに制限をくわえている。だが,核兵器転用が懸念されるイランの原発でロシアが核燃料供給を支援するなど「中ロの協定内容は相当不十分」(日本外務省幹部)との指摘は多い。

 米シンクタンクのアトランティック・カウンシルも3月にまとめた報告書で中ロの核技術の向上と海外輸出強化について「第2次大戦後に確立した核の安全と不拡散,法的枠組に対する挑戦である」と指摘した。(引用終わり)

 この記事は全文を引用してみた。いま,世界の原発市場でいったいどのような動向が進行中であるか分かる。問題は「原発=原爆」であるという「おおもとの大前提」が,いつもまとわりついていたところにあった。

 「原発の黒子」としての「核兵器:原発である」とたとえてみたところで,これは実は不正確な修辞なのであって,むしろ『原発の原型』が原爆であって,この原爆の〈性能〉を低度次元に抑えて科学的に応用した発電技術が原発であった。原発の事故はその「抑え」が制御できなくなったときに発生する。

 前段で高村 薫が指摘したように,原発というものは「恐ろしい原爆」の「平和利用という条件付きで『希望の火』」(本当は《悪魔の火》)であるかぎり,一度でも事故を起こしたとなれば,これが事後においては収拾のつかない〈事故現場〉を,地球の環境に対して永久といっていい時間の長さとくわえて空間の広さでもって,残すことになる。

 こういうことである。チェルノブイリ原発事故(1986年4月)の現場はいつになったら更地に戻るのか。このことに答えられる原子力工学者(とくに推進論者)はいない。東電福島第1原発事故(2011年3月)についても “同じだ” としかいいようがない。そうであるに決まっている。

 原発を盛んに新設している中国であるが,もしもそれらの原発の1基でも大事故を起こした分には,地球上にはもう1基も原発は要らないという理由・批判があらためて生まれるかもしれない。(画面 クリックで 拡大・可 ↓  )
  中国原発配置図2013年現在
 出所)2013年,https://matome.naver.jp/odai/2132867636661272301
 ところで,INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)があるが,これは原子力発電所などの事故やトラブルを,安全上どの程度のものかを表わすための国際的な指標である。 福島第1原発事故とチェルノブイリ原発事故のINES評価は,同じく「最高のレベル7」を記録した。

 もしも,過去におけるそれらの原発事故と同じくらいに深刻で重大な原発事故が,中国の原発で起きたりしたら,われわれはそれをどのように受けとればいいのか? 考えただけでも恐ろしい事態の到来となる。「原爆を止めますか,それとも地球を壊し,人類を殺しますか」と問わねばならない現状を,中国はなんとも思っていないのか?

 アメリカは核兵器はけっして捨てないものの,原発はスリーマイル島原発事故(1979年3月)で懲りていた。ロシアもチェルノブイリ原発事故を忘れられない。日本は東電福島第1原発事故の後始末に本格的に着手したとはいえ,実質的にその進捗がまだない状態に留めおかれている。

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 【未 完】 「本稿(2)」の続き「(3)」は,⇒  ここにリンクを貼る予定

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