【過去に学ばず,現在を無視し,未来をみくびる「お子さま政権」による人口減少対策:「外国人労働者(労働力)移入策」は,今後の日本社会のなかに《混乱の種》を蒔くだけの愚策】


 ①「外国人受け入れ策,疑問だらけ 基本方針と分野別運用方針,閣議決定」(『朝日新聞』2018年12月26日朝刊3面「総合」)

 来〔2019年〕春からの外国人労働者の受け入れ拡大に向けて,政府は〔12月〕25日の閣議で,新制度の全体的な方向性を示す基本方針と,業種ごとの受け入れ見込人数などの詳細を記した分野別運用方針を決めた。新在留資格「特定技能」をめぐる国会審議で野党から「生煮え」と批判された内容について,具体像が浮かんだ部分もあるが,多くはなお煮詰まっておらず,実効性が課題になりそうだ。(▼経済面=7割が低生産性業種,オピニオン面=社説)
『朝日新聞』2018年12月26日朝刊3面外国人労働者

 閣議に先立って開かれた関係閣僚会議では,外国人の受け入れや共生のための総合的対応策も決定した。安倍晋三首相は「外国人が日本で働いてみたい,住んでみたいと思えるような制度の運用,社会の実現に全力を尽くしてください」と指示をした。
 補注)この「外国人が日本で働いてみたい,住んでみたいと思えるような制度の運用,社会の実現」という目標は,すでに幻想に近いキレイごとになっている。 “単純労働の従事者” がほしいだけである「いまの日本における労働経済の要求」は,自国にとって都合のよい,それもアジア系の人びとを労働力として導入し,利用するための体制作りにのみ関心を向けている。日本に来て稼ぎたいと希望する彼ら・彼女らが仮に大勢いたとしても,日本に永住していきたとまで思うかという点は,ひとまず別問題である。

 しかも,単純労働に従事する外国人労働力はとくに地方で強く需要があるので,そちらの地域に彼らを送りこむことを,いまから算段しているつもりだとしたら,これはまったく調子のいい,自分たちの思惑ばかりを優先させた外国人導入策でしかない。自国内で問題にとり組み解決しておくべき労働問題の一端を,外国人を入れる手当でもってなんとか埋めあわせようとする “みえすいた魂胆” は,はじめから問題含みであって,わざわざに禍根の要因をもちこむような狙いを意味する。

 〔記事に戻る→〕 基本方針などによると,相当程度の技能をもつ「特定技能1号」の外国人を受け入れるのは介護や建設など14業種。来〔2019〕年4月からの5年間の受け入れみこみ人数は,最大34万5150人となる。ただ,資格に必要な技能試験と日本語試験を来年4月に実施するのは3業種だけで,他の11業種は当面,技能実習生からの在留資格変更が中心となりそうだ。
 補注)技能実習生の “これまでにおける諸事実の経過” から判明しているのは,たとえば彼らが時給300円で働かせられたり,およそ労働法などとは無縁の使役をさせられているごとき,いわば大げさではなく,奴隷的労働に近い現実であった。「技能」を実習させるのではなく,それを名目に日本人であればとても適用できないような悪い労働条件で外国人(アジア系)を酷使してきた。

 技能実習生に関する “このあたりの問題点” を解決する(ごまかしていく)ために,こんどは本格的におおっぴらに彼ら・彼女らを低賃金労働者群に正式に転換し,固定化しようとする魂胆がみえみえである。そういう狙いなのであれば,今後においては「関連する困難な問題」がつぎつぎと発生していく事態を覚悟しておいたほうがよい。

 熟練した技能が必要な「2号」を活用するのは建設と造船・舶用工業の2業種。資格をうるのに必要な新設の技能試験は2021年度に実施予定で,当面は対象者は出ない見通しだ。

 外国人が地方から,賃金の高い都市部へ流出する懸念は出入国管理法改正案の国会審議でも指摘された。分野別運用方針では,業種ごとに対策が明記されているが,「制度の趣旨を全国的に周知する」「必要な措置を講じる」といった抽象的な表現が並ぶ。

 政府は,運用方針の内容などが反映された政省令案を年内にも公表し,約1カ月のパブリックコメント期間を経て,策定する方針。入管法の来年4月の施行前には,全体像を国会に報告する

 1) 都市への転職,歯止めは
 基本方針と分野別運用方針は,閣議決定前の〔2018年〕12月中旬に自民党の各部会などが審査した。そこでは今後,制度運用の火種となりそうな論点が浮かび上がった。「気仙沼でイカの塩辛をつくっていた実習生が,特定技能に移ると東京の総菜屋やパン屋で働ける。みな首都圏にいってしまう」。

 〔12月〕19日の水産分野の会合では,都市部への流出に危機感をあらわにする小野寺五典衆院議員(宮城6区)がこう話すと,水産庁幹部は「そういう転職は可能な仕組です」と答えた。

 技能実習制度では業務が細分化され,転職も認められていない。一方,特定技能は業務の区分はゆるく,同じ業種内での転職も認められており,政府はあつかうものが全然違っても転職可能との認識を示した。幅広く転職が可能となり,分野別運用方針の都市偏在を防ぐ手立てがどれだけ歯止めになるかは不透明だ。

 法務省は,出席議員の「都市部に受け入れ数の上限を設けるべきだ」との主張を受け,受け入れや共生のための総合的対応策に,地域別の受け入れ人数を3カ月ごとに公表することを盛りこんだ。ただ,「定着を促す施策につなげていく」とするその具体策はみえない。
 補注)外国人労働者の導入問題に直接関連する法律である「出入国管理及び難民認定法」の改正(改悪)がなされたものの,この法律の内容変更はきわめていい加減であって,その審議そのものが不十分なまま,安倍晋三「1強〔狂・凶〕」政権は,例によってこの改正(改悪)案を強引に可決していた。そのために,この出入国管理及び難民認定法の「改正」などとはいえない,完全に「改悪」であるこの法の方向転換をおこなったに過ぎない。

 2) 日本語レベル,どこまで要求
 特定技能1号の人たちに求める日本語のレベルも,具体像が煮詰まっていない項目のひとつだ。14分野いずれでも新設の「日本語能力判定テスト(仮称)」に合格するか,現行の「日本語能力試験」で「N4(ややゆっくりの会話であれば,ほぼ理解できるレベル)」以上を取得することが条件となった。

 なかでも介護は,高齢者の安全や生活の質への配慮が必要で,意思疎通が欠かせない。現場からの要望を踏まえ,介護特有の日本語の理解力を確認するために新設される「介護日本語評価試験(仮称)」も課すことになった。

 自民党内には,求める日本語の水準を上げると介護を担う外国人労働者が増えないと懸念する声もある。〔12月〕19日の厚生労働部会では,昨〔2017〕年11月に導入された介護分野の技能実習の現状について,出席議員が「日本語のハードルがあり,250人足らずしか(日本に)入っていない」と指摘。「海外との人材獲得競争に乗り遅れてはいけない」と訴えた。

 結局,部会では「介護の質を確保するために,どの水準の日本語が必要か」の議論が深まらないままだった。厚労省は介護日本語評価試験の具体的な水準や構成を明らかにしていない。

 3) 知識・経験,「相当程度」とは
 新制度が残すあいまいさに乗じ,なし崩しで対象が広がる恐れも増している。特定技能1号は「相当程度」の知識・経験を求める。政府は,受け入れ時の想定業務と違う仕事をつづければ資格取消もあるとしている。

 農業の想定は「農薬や肥料にひととおりの知識をもち,田畑をみて収穫期が判断できる人材」(農林水産省)だ。だが,〔12月〕14日の農業分野の会合では「現場が求めているのは『猫の手』ではないのか」(小寺裕雄衆院議員,滋賀4区)と,想定を疑問視する声があがった。

 選果はどうか,除雪作業は。相次ぐ質問に,農水省の担当者は「単一作業だけに使うのはもったいない」と答えるのがやっと。結局,農・漁業の分野別運用方針には「業務の範囲について,柔軟に対応する」と,玉虫色の文言がくわわった。

 また,新制度は受け入れ先の直接雇用が原則だが,農・漁業には派遣労働を認めた。これを受け,19日の経済産業部会では,竹本直一衆院議員(大阪15区)が経産省所管の製造3業種でも派遣労働を認めるべきだと要望。経産省は「将来にわたっての課題です」と含みを持たせた。(引用終わり)

 「猫の手」とは,いいえて妙である。要はなんでもいいからともかく人手になりうる外国人(白人系でも黒人系でもないアジア系外国人たちのことだが)を,できるだけ早く入れてほしい,そして人手不足の産業・業種,それも以前から人口の過疎状態に苦しんでいて,絶対的に労働力に不足している地域に向けても労働力を送りこめる労働経済体制を正式に整備してほしい,と要求している。

 それも,当面する目先の利害を最優先したかっこうで,早く「外国人(アジア人など)労働者(労働力)」を入れてくれという国内の要求に応えるかたちで,出入国管理及び難民認定法の改正がおこなわれた。こうなればいずれにせよ〔5年から10年後にはという意味で〕「移入させた外国人労働者が必然的に随伴させて発生する諸問題」が,新しくくわわる展開となって,「日本社会における困難な問題」をさらに蓄積していく。このことはいまから “火をみるよりも明らか” である。

 本ブログにおける関連の記述は,日本国内に潜在している「自国人の不就労者たち」を積極的に発掘し,この特定の社会集団を労働力として顕在化させる努力が最優先されるべき必要性・必然性を,以下の日付・題名で関説したつもりである。まずさきにこの付近の問題を解決する努力よりも,手のつけやすい対策,外国人(アジア系)を導入して当面の労働力不足を補うという方法は,ある意味では問題の先延ばし策であり,その回避策だとしかいいようがない。
2018年12月20日 本ブログの記述 ◆

 主題:「『引きこもり』問題の深刻化と外国人労働者の『導入問題』がバラバラに議論されている,日本の労働経済に特有である『不都合な真実』」

  副題1「目先の利害でのみ外国人労働者を導入するのは,過去の過ちにまったく学ばない愚策」

  副題2「それ以前において,基本の対策をほどこすべき国内問題のひとつに『引きこもり』がある。これはすでに30年来の課題であったが,いまだに本格的な施策は手つかずのままに来た」

 リンク ⇒ http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1073461859.html
   ②「受け入れ7割,低生産性業種 朝日新聞,26万人と試算 新在留資格」(『朝日新聞』2018年12月26日朝刊7面「経済」)

『朝日新聞』2018年12月26日朝刊7面外国人労働者問題 外国人労働者の受け入れ拡大をめざして来年4月に導入される新在留資格で,5年間の受け入れみこみ人数約34万人のうち,7割超の約26万人が労働生産性が平均より低い業種で働くと想定されていることが,朝日新聞の試算で分かった。

 受け入れ先が外国人労働者を低賃金で働かせ,低い労働生産性が温存される悪循環に陥る懸念がある。(▼3面〔 ① のこと〕参照)(労働生産性の説明は後段の「キーワード」を参照)

 〔12月〕25日に閣議決定された対象14業種の「分野別運用方針」の多くに,政府が定める「日本標準産業分類」上の「産業」が明記され,受け入れ先の対象範囲が明らかになった。これと,産業別の付加価値を出している「2016年経済センサス活動調査」をもとに,労働生産性(従業員1人当たりの付加価値額)を,産業が特定できない「航空」を除く13業種で算出した。

 全産業平均は536万円で,13業種のうち8業種がこれより低かった。200万円を下回る「外食」や200万~300万円台の「ビルクリーニング」「介護」などで労働生産性の低さがきわだつ。受け入れ人数別にみると,もっとも多い6万人の介護をはじめ,3万人以上の分野は6業種あるが,建設を除く5業種が全産業平均より労働生産性が低い。労働生産性が低い8業種の受け入れ人数の合計は約25万8500人だった。

 労働生産性が低い産業の職種は低賃金の傾向もある。厚労省の賃金構造基本統計調査(2017年,フルタイム労働者)によると,ホテルや飲食店などで働く「給仕従事者」の給与(毎月決まって支払われる額)は23万1千円。介護施設などで働く「福祉施設介護員」も同水準の23万4千円。いずれも全産業平均の33万4千円より10万円ほど安い。「ビル清掃員」はさらに安く,18万8千円だ。

 勤続年数が短い外国人労働者の給与は,これを下回る可能性がある。明治大学の加藤久和教授(人口経済学)は,「企業が低賃金労働に頼れば,労働生産性が向上しにくくなる。『人手不足解消』のための外国人受け入れが,経済成長の足かせになる可能性がある」と話す。
 ◇ キーワード ◇   「労働生産性」とは,労働者が1人当たり,または1時間当たりでどのぐらい「成果」を生んだか示す指標。企業の売り上げから,生産やサービスにかかった費用を引いた金額に,従業員への給与額などを足した「付加価値」(新たに生み出した価値)の金額として示すことが多い。労働生産性が高い(1人当たりの付加価値額が高い)ほど,少ない労働力で効率的に成果を生み出せ,経済成長の要因とみなされている。
 本日〔2018年12月26日〕『朝日新聞』社説の紹介。
『朝日新聞』2018年12月26日朝刊社説外国人労働者問題
 ③『日本経済新聞』本日〔2018年12月26日〕朝刊の関連する報道

 a)「安倍政権,7年目に 来〔2019〕年11月には桂太郎内閣超え 憲政史上最長 視野に」(『日本経済新聞』2018年12月26日朝刊3面「総合2」)は,今日で7年目に入って安倍晋三政権を記事にしていた。こう書いていた。

 「第2次安倍政権が発足して〔12月〕26日で満6年を迎える。第11政権を含む安倍晋三首相の通算在任期間は2558日で,2019年2月に吉田 茂氏(2616日)を抜いて戦後2位となる。同年8月には佐藤栄作氏(2798日)を上回り戦後最長,同年11月には桂太郎氏(2886日)を超えて憲政史上最長となる」。
 補注)しかし,この安倍晋三政権は「政治の品質」としての〈出来の悪さ〉であれば,みずからしっかり・テイネイに際立たせてきた,といままでの為政を総括するほかない。「ウソ・偽りなど日常茶飯事」というか「それを基本とする政権」であり,本当のことといえば,その「ウソ・偽りをつきまくる首相」だという点にしかみいだせない。

 それほどにまでひどい「〈世襲3代目のボンボン政治屋〉の為政」が,なんと6年間もつづいてきた。自民党が,ほかの弱体である野党群に対して相対的に多く支持されているからといっても,この総裁:総理大臣である安倍晋三が,それとはかけ離れて嫌われ者である点だけは定評がある。

 引用した日経のこの記事は「菅 義偉官房長官は〔12月〕25日の記者会見で,6年間の政権運営について『ぶれることなく政治主導で改革を遂行してきた。経済再生,外交両面で着実に成果を出してきた』と強調した。『なすべきことは謙虚に着実に前に進めていきたい』と話した」とまとめていた。だが,この6年間をありのままに観てきたわれわれ側としては,噴飯モノ以外のなにものでもない,まるで幼児がオモチャ箱をひっくり返した,安倍晋三政権の「内省と外交」だったと感じている。

 いわく現政権流の「政治主導」とは私物化政治の別名であって,いわく安倍晋三の唱える「改革」とは「専制的独裁政治」を意味してきた。経済再生といってもこれは,大企業と一部富裕層向けに限られ,外交のほうは観たら対米屈従路線だけが露出している。要は,安倍晋三君の政治は自分の無能を存分にさらけ出してきただけでなく,この日本国全体をいちじるしく衰退・弱化させるために,独りよがりの為政をおこなっていた。ということで,いわく「謙虚」(?)などといった文句とは,完全に無縁の政権であった。

 菅 義偉官房長官になるとまったく冗談にもなりえない,またホラだとすら形容もできないゴタクを,性懲りもなく吐くつづけてきた。「安倍晋三政権・自画自賛」の発言は,たとえていえば「ゴジラの排泄物:放射能物質のゲロ」みたいに非常に有害である。「安倍晋三と菅 義偉」の「悪代官・庄屋のコンビニ店経営方式」になる日本国の「内政・外交」は,もはや未来への展望はないも同然の顛末をもたらしてきた。

 b)「迫真外国人と働く(2) 魔法のつえにあらず」(『日本経済新聞』2018年12月26日朝刊3面「総合2」

  この記事の引用からは適当に段落を取捨選択して引用する。

 日本の建設現場で働く約330万人の技能労働者のうち4分の1は60歳以上だ。若者の入職は少なく,足元でも建設業の年間実労働時間は2054時間と製造業の平均より92時間多い。改正入管法で5年間の受け入れ上限となる約34万人のうち,建設業は4万人の枠が与えられた。人手不足を補う戦力として期待できるが,業界は歓迎一色というわけではない。

 「将来の仕事量が見通せないなかで(受け入れの是非を)評価できない」。下請け企業が加盟する建設産業専門団体連合会常務理事の道用光春(70歳)はいう。五輪終了後や景気の波に応じて仕事が減る可能性があるなか,外国人に職が奪われることへの警戒感もある。

 外食の業界団体,日本フードサービス協会会長の高岡慎一郎(60歳)は,外国人受け入れに期待を示しつつも「まだ足りない」と話す。外食は法改正で5万3千人の受け入れ上限が設定されたが,5年後にみこまれる人手不足は29万人。最大6万人を受け入れる介護分野でも約34万人の不足が想定される。

 外国人受け入れは,人手不足や若手獲得など企業の悩みを一挙に解決してくれる魔法のつえではない。パーソル総合研究所(東京・港)社長の渋谷和久(42歳)は「企業は人手不足を前提にビジネスモデルをあらためないと生き残れない」と語る。

 c)「外国人材の拡大,通常国会も焦点野党『なお具体性欠く』」(4面「政治」

『日本経済新聞』2018年12月26日朝刊4面外国人労働者 臨時国会で成立した改正入管法は外国人の受け入れ上限や地方への分散策が盛りこまれていなかった。政府は答弁を通じて明らかにし,野党は「法案は生煮えだ」と批判していた。

 制度詳細の決定後も,立民の福山哲郎幹事長は「明らかになっている内容は抽象的で具体性はない」と指摘した。共産党の小池晃書記局長も「法案じたいは生煮えだった。今日の決定をみても,まだ火がまったく通っていない」と述べた。

 通常国会の論戦でとくに焦点になりそうなのが,外国人材の大都市への集中を避ける対策だ。政府は基本方針で必要な措置を講じるとした。有効求人倍率は47都道府県で求人数が求職者を上回る1倍超で,深刻な人手不足は全国的な問題となっている。だが,賃金が相対的に高い東京など大都市に人材が集まれば,地方での人手不足解消にはつながらない。

 憲法は「居住移転の自由」や「職業選択の自由」を保障しており,政府の対策でどこまで抑制できるか見通せない。菅 義偉官房長官は〔12月〕25日の記者会見で自治体での生活相談窓口の設置や医療機関の整備など外国人が地方にとどまるとり組みを進める考えを示した。「必要な措置があれば随時対応したい」と追加措置にも言及した。

 d)「〈2018 経済政策回顧〉 浮かぶ難題(2) 4年越しの働き方改革 生産性議論置き去り」(5面「経済」

 国会審議で最大の焦点になったのは,労働時間と賃金を切り離す脱時間給制度。現行法では働いた時間にもとづいて労働者の賃金は決まる。戦後すぐに制定した労働基準法は工場法の流れをくんでおり,労働時間と成果が結びつく工場労働者を主に想定している。

 IT(情報技術)の普及など業務の高度化に伴い,時間だけで評価できない仕事は増えている。政府は脱時間給制度を「柔軟な働き方の実現につながる」と強調。対する野党は「長時間労働を助長する。定額働かせたい放題だ」と猛反対した。ところが厚労省が法成立後の10月に示した脱時間給制度の要件をみると,国会論戦は,働き手の現場の実情とはずれていた印象が強まる。

 たとえば,制度の対象業務はコンサルタントや研究開発など5業務に限られ,対象となった社員に対して,企業側が開発時期など時間に関する指示をできないよう制限した。対象の年収は1075万円以上を想定している。数万人の従業員を抱える大企業でも「対象になりうる社員は数人いるかどうか。制度導入予定はない」という。「柔軟な働き方の実現」という政府の主張も,「定額働かせ放題」という野党の懸念も,いずれも現実に当てはまりそうにない。

 労働法制の議論は労働者保護に重きを置く。過労死やブラック企業の問題が後を絶たないなか当然だが,どうすれば生産性が高まるかという議論は深まらない。その結果,新たな制度は,何のために導入するのか政策効果に中途半端な印象が残るものになりがちだ。

 日本の労働生産性は低い。日本生産性本部によると,2017年の1時間あたりの労働生産性は47.5ドル。米国の7割弱の水準にとどまる。先進7カ国(G7)のなかでは1970年以降,最下位の状況が続いている。
 補注)いまや日本国の労働者・サラリーマンによっては,先進国中でもひどく貧しい部類(階層)に仕分けされる者たちが多くなっている。とくに,非正規労働者・女性労働者・外国人(非欧米・白人系)労働者の賃金水準は,いちじるしく低劣・不遇である。

 若者たちの年齢層では,結婚や出産という「サイフサイクル(人生行路)の出来事」の展開に,みずから意欲をもってとり組むための生活意識が消沈し,不活発になっている。というのも「土台(経済的基盤)が不確かで軟弱なのだ」から,現実に若者たちの多くがそのような気分に追いこまれるほかない生活環境のなかに生きている。なかんずく,彼ら・彼女ら自身の精神のうちの「社会意識そのもの」が「積極的に生きる動機」を喪失しつつあり,人生そのものを生き抜くのだという「生活への確実な意欲」を駆り立てられないでいる。

 安倍晋三といえば,国会の議論の場で「主婦のパートが月に25万円の収入をえていると仮定して」などといい,事実にもとづかない空想的な発言をしていた。菅 義偉になると,自分自身の学生時代を思いだしてなのか,給付型の奨学金制度には積極的に賛同しない姿勢をとるなどしていた。

 一方の首相は,なにひとつ不自由のない裕福な家庭に生まれたボンボンで,世間の実相を本当はなにもしらない。他方の官房長官は,恵まれていなかった自身の過去をほかの誰にでもなぞらえてやらせたい御仁である。しかもこの2人が「悪代官・庄屋」の絶妙なカップルを形成しているとなれば,政治家としての「彼らの立場」に対して,なにがしかの「創造的な発想」を期待することすら「夢のそのまた夢」である。

 〔記事に戻る→〕
 働き方改革法はあらかじめ決めた時間を働いたとみなす「裁量労働制」の対象業務の拡大が抜け落ちた。厚労省の不手際で制度の実態に関するデータで大量の誤りがみつかり,削除を余儀なくされた。生産性の向上につながる重要な政策だ。

 厚労省は裁量制の対象業務拡大に再挑戦する構えだが,法案の国会提出は早くても2020年となる見通し。深刻な人手不足やフリーランスの増加など対応しなければならない課題は山積している。不断の改革が欠かせない。

 ④「取らぬ狸の皮算用」的な外国人労働者の導入政策

 『日本経済新聞』本日〔12月26日〕朝刊21面「オピニオン」で,神奈川大学名誉教授(中南米研究)の石井陽一が「〈私見卓見〉外国人増,移民送った経験生かせ」と論じていた。以下に引用する。

 --外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が成立した。政府・与党の審議姿勢には批判も出たが,人口減少が始まった日本では労働力の不足と国内消費の停滞が鮮明になっており,改正は時宜をえている。長年,中南米地域の研究をしてきた立場から,外国人を円滑に受け入れるための留意点を示したい。

 外国人の受け入れを拡大するにあたり,最初に出る不安は治安の悪化であろう。明治以来,日本は移民を他国に送り出す国だったが,受け入れ先であるブラジルなど中南米諸国も日本人の増加に不安を感じていた。日本人だけで群れて,現地に同化しないとの批判もあったようだ。日本の警察に無犯罪証明書を,指定の病院に身体検査書を,政府には農業従事証明書の提出を求めるなどした。そして在日の領事が本人と面接して永住ビザを発給した。

 また戦後は,日系人の有力者が中南米各国政府と交渉して人数枠を決めたこともあったが,しだいに送り出す日本と受け入れ国とで移住協定を結ぶようになった。両国で審査機関を作り,たがいいのやるべきことを決めたのだ。ブラジルでは日伯混合委員会を作り,年間の職種別の入国枠,語学教育,現地でのトラブル処理の方法を詰めた。

 こうしたとり組みは,これからの日本の参考になる。外国人の受け入れを拡大するさい,日本側から関係各省や地方自治体,人を送り出す国から在日領事,中立的な立場で国際機関の関係者らが参加し,起こりうる問題を話しあう場を設けてはどうだろうか。
 補注)ここまで引用した意見の内容はもっともな論旨である。だが,すでに日本国内の現実は,このような意見を生かしてほしいき関連の現象を数多く発生させてきた。この付近の問題(早くから現実化してきた事象)は,どのように受けとめ,考えているのか?

 治安悪化を防ぐには,日本で働く人が失業しないようにするのが肝心だ。あわせて考えておくべきは家族の帯同である。今回の法改正で新設された在留資格のうち,熟練度の低い1号は最長5年で家族の帯同を認めていない。単身で就労した人が母国の家族に送金すると,日本では厳しい生活を強いられる。家族との関係には配慮がいる。
 補注)「治安悪化=〔の原因が〕失業〔にある〕」のだとしたら,この悪化の原因をもたらすのは,なにも外国人に限定されない。「日本で働く人が失業しないようにする」という文句は,「日本人の働く人が失業しないようにする」ことにも妥当するはずである。一般的に日本は失業率が非常に低い国だといわれているが,実際には引きこもり状態の人びとなどが,その気になって求職活動をしだしたら,その率は一挙に上昇する。専門家がのんびりした発言に終始していてはいけない。

 もうひとつ,日本語能力の問題も指摘しておきたい。先進国の出身といえども,識字率が低い人もいる。外国語の習得には自国語の識字能力が欠かせない。日本に来た人の日本語教育の充実は考えておいたほうがいい。政府や自治体は国際交流基金などノウハウのある機関との連携を進めるべきだろう。日本で外国人が増えれば,さまざまな問題が出てくる。過去の経験を生かし,トラブル回避につなげたい。(引用終わり)

 引きこもり状態の人びと(もちろん日本「国籍」である彼ら・彼女ら)は,日本語能力の点ではなにも問題はないはずである。だが,問題は「なにゆえこの人たちが引きこもっているか」という「経済・社会的な理由なり背景なり」のほうにみいだされていいはずである。こちらの問題じたいに本気でとりくまない政府当局の基本姿勢にこそ,実は「外国人労働者の導入」問題の核心にも深く関連する “別の重要な問題” が潜伏している。

 前段に紹介した本ブログの推定では,20歳代から50歳代までを含めて合計した数字となるのだが,引きこもり状態関連の人びとの総数は,300万人近くはなるのではないかと推算してみた。

 以上の議論に関しては,谷 洋之(上智大学外国語学部イスパニア語学科教授)稿「地球の裏側のできごとを自分のこととして受け止める-『キャラバン』現象を日本から読む-」註記)が,日本の事情にも深く関連する外国における外国人労働者問題を,なかでもアメリカの事例を引きあいに出して説明している。先日,国会において成立した「出入国管理及び難民認定法」の改正が,どうみても改悪でしかありえない理由が,この文章のなかにも記述されている。
 註記)『YOMIURI ONLINE タイアップ特集』「ニュースを紐解く」2018年12月3日 9:54:37,https://www.yomiuri.co.jp/adv/sophia/

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