【無責任国家体制を集約した「ひとつの典型的に意図的な現象」が「国家基本統計のゴマカシ」】

 【せめて,日産自動車は自国の企業としてとり戻したい安倍晋三政権の,ひどく強引にもはかない希望】



 ①「〈経済気象台〉タイは頭から腐る」(『朝日新聞』2019年1月24日朝刊11面「国際」)

 昨〔2018〕年11月のカルロス・ゴーン日産会長(当時)の逮捕から2カ月が過ぎた。逮捕後,検察当局からの意図的なリーク情報をもとにしたと思われる報道が相次ぎ,国内ではゴーン氏はすっかり「落ちた偶像」になったようだ。一方,海外の報道は,複雑な背景事情の解説にくわえ,逮捕・再逮捕・繰り返された勾留延長,起訴後も続く長期勾留など,日本の刑事司法の人権感覚を疑問視する声が多い。

 刑事司法は「無罪推定」が原則のはずだ。相変わらず「逮捕即有罪」と決めつけるような国内の報道ぶりはいかがなものか。検察当局にもマスコミにも,村木厚子・元厚生労働事務次官の事件への反省はないのだろうか。もうひとつ。今回の事案で改めて思うのだが,ゴーン氏にひきかえ,東芝の幹部がなんのおとがめもなく刑事訴追もされていない,というのはどういうことなのだろうか。

 数千億円の粉飾決算を何年にもわたって続け,会社を傾けて何万人という従業員の生活を脅かし,株主に損害を与え,日本経済の足を引っぱり,日本国の信用に泥を塗った。それこそ「万死に値する」行為だったのではないか。責任ある地位の者たちが責任を果たさないばかりか自己保身と責任逃れのために「悪事」に手を染め,それを歴代幹部が隠蔽しつづける。

 思えば永田町・霞が関の世界でも同じようなことが起こっている。力のあるものが強弁し,いい逃れを続け,それがまかり通る。この国の社会的正義,社会的公正についての感覚は少なからずまひしてしまっている。これを許していたらいつか国は滅びる。そう。タイは頭から腐っていくのだ。(呉田)(引用終わり)

 --この経済気象台において,指摘・批判されている “その総代表は安倍晋三君” である。過去形ではなく現在進行形でこの総理大臣の基本責任の問題が増産されつづけている。この事実は,いまさらにようにあらためてなんどでも強調しておく必要がある。また,カルロス・ゴーンの件にくらべて東芝の件の関係者たちは,いまではすっかり〈無罪放免〉されたつもりでいられるらしい。

 推定無罪である以前に「企業・経営者の社会的責任」の基本事項すら問われずに〈放免〉されていたのが,東芝の「日本人」経営者たちであった。これに対してゴーンに対する「日本国検察庁」のあつかい方は “国策的な非情・残酷” そのものであって,裏舞台では菅 義偉や安倍晋三もからんでいて,日産自動車を日本のものにとり戻そうとする「陰謀が画策された」と推理されてきたが,これを100%完全に否定する者は,事情を少しでも理解している識者であれば誰1人としていない。

西川広人画像5 現在,日本側で NISSAN の社長である西川広人の容貌は,新聞紙上になんどでも登場しているが,その顔つきに漂うまだ自信が不足しているような,なにか不安げな目線が気になる。ルノーが日産を助けて再生させたからには,もう日本側の思いどおりにはならない国際的な企業に,日産はなっていた。問題はその実践経営における支配構造のあり方であった。
 出所)画像は西川広人,https://mainichi.jp/articles/20181122/k00/00m/040/120000c

 いまから4年半も前に日産のことを,こう語っていた記事がある。「資本の論理」だけではもともと,日産を日本に奪回することが不可能であった事情を,教える論旨になっている。放っておけば頓死(野垂れ死に)していたはずの日産を復活させてくれた事情などおかまいなしに,いまとなっては日産は「もともと日本のモノ」だったという,いささか調子のいい意見である。

 ②「そろそろ日産自動車を取り返そうではないか」(『闇株新聞』2014年09月05日,http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1215.html)から適宜に引用する(ので,中略個所はとくに断わらない

 本誌がいつも「ルノーに食い尽くされて数年後には残骸だけになる」と書く日産自動車ですが,最近はルノーのCEOも兼ねるカルロス・ゴーンCEOの周辺から外国人幹部の退社が目立ちはじめています。つまり外国人幹部にとっては「日産自動車がルノーに食い尽くされて残骸だけになっても」気にする必要はないため,ルノー・日産連合あるいはカルロス・ゴーン体制そのものに見切りをつけはじめたともいえます。

 現在の日産自動車の取締役会は9名で構成されていますが,そのうち外国人はゴーン氏を含めて4名しかいません(退社したパーマー氏は取締役ではありません)。完全にゴーン氏に「忠誠を誓っている」日本人取締役が5名もいて,誰ひとりゴーン氏に意見できていないことになります。これは,取締役会の過半数が日本人でもゴーン氏がまったく「クーデター」などの心配をしていないことを意味し,日産自動車は取締役を含めた日本人幹部が「喜んで」ルノーに食い尽くされていることになります。

 本〔2014〕年6月の株主総会でも,発行済み株数の45.2億株のうち,ルノーの保有する19.6億株(43.4%)を含む最大36.8億株が会社提案に賛成しており,日本人株主の大半がゴーンCEOの「ルノーCEOとして日産自動車を食い尽くす」経営方針を支持していることになります。ついでに日産自動車は,このゴーンCEOに「食い尽くされる」報酬として10億円近くも支払っています。その報酬はもちろん会社=株主の負担です。
 補注)この「ゴーンCEOに『食い尽くされる』報酬として10億円近くも支払っています」という表現:理解は極論的な誤解である。世界的規模の国際企業における最高経営者に対する報酬額を,事実に関した議論を抜きで,このように主情的に一方的に非難したとしても公平な話にはなりえない。しかも,この10億円という経営者報酬が「食い尽くす」という形容でもって,問題の本質を本当にとらえられると考えているとしたら,あまりにも国際経営の実際をしらない者の「舌足らずの意見」どころか,いかにもタメにする駄弁である。

 ここでは参考になる記事として,「『役員報酬が高い』上場企業経営者トップ500 1位は27億円超! 誰もが知るメーカーの前CEO」(『役員四季報』編集部『東洋経済 ONLINE』2018/09/05 5:00,https://toyokeizai.net/articles/-/236206)の参照を勧めたいが,ゴーンの10億円を高いといっておき,これに「食い尽くす」という表現を当てるのは,扇動的な言辞である。議論を広く,高い視野からみわたしながらしようとする人の採るべき方向ではない。以下は,この注意点をもって読んでいきたい。

 〔記事に戻る→〕 どうも本誌以外の日本人は,あまり問題だとは考えていないことになりますが,ここで表題の「そろそろ日産自動車をとり返そうではないか」となります。「ルノーが1993年3月」以降,日産に「ルノーが投入した8000億円は配当とルノーへの出資(議決権なし)で『すっかり』とり返しており,コストがタダになった日産自動車株の本日(〔2014年9月4日)の持ち分株時価総額はちょうど2兆円となります」。つまり(具体的にも大変に難しいのですが)ルノーの持ち株を買い戻すことは,追い銭になるだけです。
 補注)この議論の仕方は心情的に受けとると,日本・日本人側には大いに支持されるかもしれない。だが,気をつけねばならないのは,ルノーは日産に「自己資本金を出資した」のであって,「他人資本として資金を融資した」のではない事実である。

 企業支配権をめぐる資本金の問題と「銀行から借りた金は返せばいい」みたいな議論とを,見境もなしにいきなりこのようにごたまぜにしていいはるのは,自身の議論が意識せずに混乱していたのでなければ,初めから無条件に「日本側における民族主義的な資本主義の立場」を高揚させたい気持を稚拙に暴露させたに過ぎない。

 銀行から借りた金(資金)なら,融資期限まで返済すればそれで済む問題である。これに対して,資本金として投資してもらった,しかも日産を救済するために投入された資金についてこれを「もうその分を返した」というのは,あくまで心情的なリクツとしては理解できなくはないものの,企業経営の財務問題を論じる者としては完全に素人の範疇に属するヘリクツである。

 要は,企業財務をめぐる問題の初歩に無知な「見解(?)」を垂れ流すことは恥ずかしい。正当に議論ができる以前のところで,独りよがりにうろつくような説法は止めたほうがよろしい。

 〔記事に戻る→〕  「ルノーの本日の時価総額は182億ユーロ(2兆4900億円)」で,「ここから保有する日産自動車の時価総額2兆円を引くと4900億円しか残りません」し,「ルノーの本〔2014〕年1~6月の純利益は前年同期比20倍の7億4900億ユーロ(1018億円)でしたが,この間の日産自動車の期間純利益の持ち分が1000億円以上あるはずで,要するにルノー単体では利益が出ていない」。
 補注)この指摘はもっともらしく感じられないわけではないが,読みが深いとはいえない。ルノーは日産の自動車会社としての潜在力を評価して前世紀の末に救済するために乗りこんで来たのであり,狙いはまさにこのような『世界的企業としての NISSAN』の営利面での実現力:潜在力を期待していた。

 それゆえ,いまさら「ルノー単体では利益が出ていない」とか「日産自動車の時価総額〔が〕2兆円」あるとか関連する事実を指摘してみたところで,それほど意味があるとはいえない。それならば,なぜ日産が沈没しそうなときにてこ入れする日本のほかの会社が出てこなかったのか,というような疑問をいまであっても,あらためて提示してみる価値がある。

 当時の日産にとってルノーは,最後の最後に救いの綱を投じてくれた外資企業であり,同業種の会社であった。ルノーが名乗りを挙げて日産を救済しなければ,いまの NISSAN はありえなかった。いまのこの日産を観て,もう一度「純ジャパの日本の会社」にとり戻したいと思うことは,心情的には当然の気分である。しかし,この気分を前面に出しただけの,それも論理性においてたいそう貧弱な,ナショナリズムだけを先行させた議論には説得力が欠ける。

 ルノーは「2013年は単体で大赤字でした」。「ルノーの株主構成は,フランス政府が15%,日産自動車も15%ですがこれは議決権がありません」。「ここから考えられる方法はひとしかなく,日本政府がフランス政府に働きかけ,ゴーン氏に引導を渡す条件で日産自動車がルノーにTOBをかけることです。目標の持ち株比率はフランスの会社法や外資規制(もしあれば)にもよりますが,TOBで35%ほどを取得して50%前後とします。
 補注)いま引用している論者にとってはだいぶ時間が経ったものの,この思いどおりになった事態が出現したのだから,きっと万々歳の思いだと推察する。カルロス・ゴーンは昨〔2018〕年2018年11月19日,金融商品取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され,日産と三菱の会長職を解任され,さらに2019年1月11日,特別背任罪で追起訴されていた。近日中にゴーンは,ルノーの会長職も辞任するみこみである。

 要するにルノーのもとに日産自動車があるのと,日産自動車のもとにルノーがあるのでは,どちらが企業価値の増加に結びつくかの選択です。合併はせず(合併するとルノー保有の日産自動車株が消えてしまい自社株買いと同じ効果となります),ルノーはあくまでもフランス企業のままです。(引用終わり)

 東京地検特捜部が「推定無罪」ではなく,いつものやり方である「逮捕即有罪」と決めつけた拘束劇でもってゴーンを拘置所に閉じこめておき,日産自動車をなんとかして日本側に奪回しようとするもくろみを実現するためのテコに利用しようと,それも,裏舞台にいるかもしれない「誰か・たち」の意を受けたかのように動いてきた。

 すなわち,特捜部の捜査の裏側に居て特定の関与・介入している疑いが濃厚である「菅 義偉や安倍晋三などの面々」は,現在までのところ,きっと喜色満面の顔つきで事態の進行を観てきたはずである。だが,その後における情勢の推移は,つぎの報道にも反映されているように,日本(国)側にとってみれば,前途多難の様相も待ちかまえている。

 ③「仏政府,日産とルノーの統合提案=影響力強化狙いか」(『時事通信』JIJI.COM,2019年01月20日22時12分,https://www.jiji.com/jc/article?k=2019012000522&g=eco

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告による不正報酬事件をめぐり,フランス政府が仏自動車大手ルノーと日産の提携関係について,将来的に経営統合などで抜本的に強化させたい考えを日本政府に伝えていたことが〔2019年1月〕20日,分かった。仏政府はルノーの筆頭株主で,同社と資本提携する日産への影響力を高める狙いがあるとみられる。

 仏政府は前週,ゴーン被告逮捕後のルノーと日産の提携関係を協議するため,代表団を日本に派遣し,日本政府の関係者や日産の幹部と意見を交わした。関係者によると,仏政府は技術,経営面での提携強化のあり方を提示。両社が持株会社を設立し,統合する案も示した模様だ。日本政府は,仏政府と異なり株主の立場ではないことから「民間の両社間で協議して提携を強化していくべきだ」との意向を伝えたという。(引用終わり)

 ここでは公式の報道内容であるから,仮に裏舞台で日本政府側がいくらかでも絡んでいるとは,絶対に「口が裂けてもいえない」事情である。この当たりまえの “現実的に生臭い” 駆け引きは,つぎの『東京新聞』の報道が説明していた。

 ④「〈ゴーン事件の底流〉(2)自動車戦争 日仏ぶつかる国益」(『東京新聞』2018年12月12日朝刊,http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121202000132.html
 

 a)「出資比率と統治は現状どおりが望ましい。世耕氏と,統治のルールは変わらないことで一致した」。〔2018年〕11月25日の仏報道番組。

 仏ルノーと日産自動車,三菱自動車の三社連合について,仏経済・財務相ブルーノ・ルメールは,3日前の経済産業相の世耕弘成(せこう・ひろしげ)との会談内容をこう説明した。会談は3社の会長だったカルロス・ゴーンの逮捕後,仏側の要請を受け,訪問先のパリで急遽おこなわれた。世耕はこの発言に強く反発。〔11月〕27日の閣議後会見で「日産のガバナンス(統治)に関して,なにか他国と約束するようなことはまったくない」と否定した。

 ルノーは日産株の43.4%を保有する筆頭株主で,仏政府はルノー株15%を保有するものいう株主だ。フランスでは,今回の事件をルノーとの関係を対等にしようとする日産側のクーデターとの見方が根強い。仏大統領エマニュエル・マクロンと首相の安倍晋三の首脳会談がおこなわれた11月末のG20直前,仏経済紙レゼコーは「権力闘争になれば,われわれは大砲をもち出し,ルノーに対して日産への出資比率を上げるよう要請する用意がある」という仏政府幹部の言葉を紹介した。

 「大砲」とはルノーの大株主としての強力な議決権行使を意味する。マクロンは経済相だった2015年,ルノー株を買い増したうえで,2年以上株式を保有する長期株主に1株当たり2票の議決権を認めるフロランジュ法を利用し,日産とルノーの経営統合に動いたこともある。ゴーン逮捕で,再び日仏の国益がぶつかりあうことになる。

 b) 特捜と連携,官邸は「サポート」。カルロス・ゴーン逮捕翌日の〔2018年〕11月20日,日産自動車専務執行役員の川口 均が首相官邸を訪れ,官房長官の菅 義偉(すが・よしひで)に事件の経緯を説明し謝罪した。川口は「日産とルノーとのアライアンス(提携)の関係でサポートしていただけるとお聞きした」と記者団に語った。一昨〔2016〕年5月の三菱自動車との提携発表前にも官邸で,菅に事前報告していた。

 仏マクロン政権はルノーと日産の経営を一体化し,日産車の仏国内での生産に意欲的とされる。日産には,独自性が失われ,ルノーにのみこまれていく恐怖感が募る。日産側の動きにも日本政府の影がちらつく。

 日産のある執行役員はゴーン逮捕後,政府と連絡をとりあっているのかという報道陣の質問に「(政府には)心配いただいている。今回の件だけでなく,フロランジュ法のときも日本政府としての考え方を仏政府に伝えてもらった。国をまたがることなので,いろいろとお話をさせてもらっている」と明かした。

 検察との司法取引に協力した日産側の弁護士は元東京地検特捜部検事の熊田彰英。安倍政権や自民党の「守護神」とも呼ばれるやり手だ。日産は特捜部とも密に連携。米在住のグレゴリー・ケリーとゴーンが同時に来日するのは珍しく,日産側はゴーンの帰国スケジュールを特捜部に伝えていた。

 日産の川口は渉外担当が長く,大手企業幹部は「議員会館や霞が関でよくみかける。菅長官は地元が日産本社のある横浜で,事前に相談を受けていても不思議ではない」と推測する。

 自動車業界に詳しい大手監査法人関係者は,米司法省がカルテル容疑で摘発した日系自動車部品メーカー46社と役員32人が有罪(五月現在)となったことなどを例に分析する。「国対国の自動車戦争は日米,米独で起きており,それが日仏でも起きたのでは」。(引用終わり)

 日本経済はバブル経済が破綻してから,それまでであれば倒産などするはずもないと思われていた大企業までが消滅したりもした。以下の一覧は「これまでに倒産した大企業」の会社名である。1990年以降,不況があまりにも長引いてしまったために,この約30年の間に多くの企業が倒産の憂き目をみてきた。これらの「倒産の事例」は「社名・倒産年月,負債額・業種・倒産形態」を示してある。
 註記)以下は,https://amphibia-tokyo.com/tousankigyou.php 参照。
恵 川   1991年8月 4100億円 料亭 任意整理
村本建設  1993年11月 5900億円 ゼネコン 会社更生法
日本モーゲージ 1994年10月 5185億円 不動産担保ローン 特別清算
島之内土地建物 1995年3月 2725億円 不動産開発 任意整理
兵庫クレジットサービス 1995年8月 1403億円 貸金業 民事再生法

兵銀ファクター  1995年11月 3692億円 債券保証 特別清算
日榮ファイナンス 1996年10月 1兆円 住宅金融保証 商法による会社整理
クラウン・リーシング 1997年4月 1兆1874億円 総合リース業 破産
ヤオハンジャパン   1997年9月 1614億円 総合小売業 会社更生法
三洋証券  1997年11月 3736億円 証券業 会社更生法

北海道拓殖銀行 1997年11月 2兆3433億円 都市銀行 解散・営業譲渡
山一證券  1997年11月 3兆5085億円 証券業 破産
日本リース 1998年9月 2兆1803億円 各種リース・金融 会社更生法
日本長期信用銀行 1998年10月 約3兆6000億円 長期信用銀行 
                    金融再生法による特別公的管理
日本債券信用銀行 1998年12月 約3兆2000億円 銀行業
                    金融再生法による特別公的管理

日本ランディック 1999年5月 4708億円 不動産 特別清算
苫小牧東部開発  1999年9月 1423億円 第三セクター 特別清算
そごう  2000年7月 6891億円 百貨店業 民事再生法
千代田生命保険 2000年10月 2兆9366億円 生命保険業 更生特例
東京生命保険  2001年3月 9802億円 生命保険業 更生特例法

マイカル  2001年9月 1兆5482億円 総合小売業 民事再生法
大日本土木 2002年7月 2712億円 ゼネコン 会社更生法
ハウステンボス 2003年2月 2289億円 観光 会社更生法
足利銀行  2003年10月 1023億円 地方銀行 特別危機管理銀行指定後
                                  国有化
エー・シー・リアルエステート (旧フジタ) 2005年11月 3526億円
                           不動産 民事再生法

麻布建物   2007年6月 5648億円 不動産開発 会社更生法
大和生命保険 2008年10月 2695億円 生命保険業 会社更生法
ロプロ    2009年11月 約2500億円 事業者向け貸金業 会社更生法
日本航空   2010年1月 6715億円 空運 会社更生法
ウィルコム  2010年2月 2060億円 通信業 会社更生法

安愚楽牧場  2011年8月 約4331億円 オーナー制度畜産業 民事再生法
エルピーダメモリ 2012年2月 約4480億円 製造業 会社更生法
カブトデコム 2013年4月 5061億円 不動産開発 特別清算
第一中央汽船 2015年10月 1197億円 海運 民事再生法

タカタ    2017年6月 約1兆7000億円 製造業 民事再生法
日本海洋掘削株式会社 2018年6月 904億7300万円 海洋坑井掘削業
                              会社更生法
 以上の時期の流れのなかでこそ,また「日産自動車の没落・救済・再生」劇も展開されてきた。ルノーの日産に対するてこ入れ的な資本出資がなければ,とうの昔に日産は消滅していた。つまり,以上の一覧のなかに1社としてくわわり,その名を連ねていたかもしれない。

 だが,その日産再生劇は日本の側からではなく,フランスのルノーが主体になり演じてきた。日本国内では日産を助けられる企業はなかったし,そのときは政府筋もなすすべもなく傍観していただけであった。

 ともかく,ルノーから派遣されたゴーンのおかげで,日産は「V字回復」を実現できた。この20年前に始められたゴーンによる「日産・立てなおし」によって,いまではその救済先であったルノーに対して多大な利益貢献を果たしている。ところが,この「日仏自動車関係個別史」の様相進展を,そろろろ黙ってみていられなくなったのが,とくに日本側の各関係方面であった。

 現在のところ,日産自動車の実質的な支配権をめぐっては,前年11月の「ゴーン逮捕で,再び日仏の国益がぶつかりあっている」(前段『東京新聞』参照)。菅 義偉や安倍晋三が裏舞台でなにも演じていないと断定する者がいたら,これはうかつに過ぎる判断といわざるをえない。
 ゴーン氏の事件では,日産の西川社長らが,社内調査で把握したゴーン氏の不正事実を検察にもちこみ,ゴーン氏が逮捕され,出席できなかった取締役会でゴーン氏を代表取締役会長職から解職したという,

 企業ガバナンスという面からは本来許されないやり方で経営トップを交代に追いこんだ。その背景には,日産と,その大株主でフランス政府が筆頭株主のルノーとの経営統合をめぐる争いがあったともいわれている。
 註記)「世耕大臣のダボス会議での『人質司法』擁護 “失言” を,朝日はなぜ削除したのか」『郷原信郎が斬る』2019年1月28日,https://nobuogohara.com/2019/01/28/世耕大臣のダボス会議での「人質擁護」失/
 ⑤「国家基本統計」までゴマカしてきた「日本国の経営」陣が「日産問題」に口出しをしたいと「思わせる背景」

 1) 幻想のアベノミクス
 2019年1月24日朝刊に各紙が報じていた問題が,アベノミクスの幽霊:ゾンビ的な基本性格であった。アベノミクスは企業活動が活発になり,労働者の賃金は上がり,庶民の生活が豊かになるような「マイルド・インフレ」を起こさせるための「インフレターゲット(リフレ)」を,経済政策の基本目標に据えていた。

 ところが実のところ,この「リフレの政策」は「デフレによって停滞している経済を正常な状態に戻すために,適正なインフレ率への回帰を狙っておこなわれる金融政策」を指すのであったけれども,安倍晋三第2次政権が出立した以降,まともに機能する場面は一度も披露できていなかった。

 2)「2%上昇,また遠のく 日銀,物価見通し引き下げ」(『朝日『朝日新聞』2019年1月24日朝刊9面物価見通し率新聞』2019年1月24日朝刊9面「経済」)
 日本銀行は〔1月〕23日の金融政策決定会合で物価上昇率の見通しを引き下げた。とくに2019年度は1.4%から0.9%への大幅な引き下げで,目標の「2%」はまた遠のいた。

 さまざまな緩和手段を繰り出しても賃上げと物価上昇による好循環は生まれず,むしろ景気の先行きリスクが高まり,追加緩和すらささやかれる。

 今回は「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を3カ月に1回見直す会合で,注目される物価上昇率見通しは,公表した2018~20年度をすべて引き下げた。〔なかでも〕引き下げが目立った2019年度について日銀が理由とするのは原油価格下落だ。

『朝日新聞』2019年1月24日朝刊日銀物価見通し 昨〔2018〕年末から産油国の増産や需要減の観測から下落傾向が続く。ガソリンや光熱費など物価指数に大きく影響するエネルギー関連品目が下落し上昇率を押し下げる。
 補注)かつて「3・11」直後,しばらくのあいだであったが,原発の再稼働がままらならなかった時期,火力発電用に調達される原油やこれと連動して価格が上昇するLNGの価格を理由に出し,そのさい原発のほうが「コストが安い」のだという根拠を挙げて,原発を再稼働させろとゴリ押し的になされる主張が,原子力村側から盛んに発信されていた。

 ところが,その逆の局面(原油・LNG「安」)に差しかかった段階に至ってからは,不思議ことなのだが,そのまた反対の主張,いわば「原発は稼働を停止させ,ほかの火力発電を積極的に稼働させろ」という方向のほうに切り替えろという主張が,いっさい登場しなかった。

 なかんずく,原子力村側の唱える主張は,いちいちがきわめてご都合主義の発想に依っていた。もっともそのうち,その種のリクツは立ち消えになっていた。原子力村側がこだわった議論の方法が非生産的な方途に迷いこむまでもなく,エネルギー供給事情の基本的な変化,つまり「再生エネルギーの開発・利用」が「原発コスト安価論」の虚構性を確実に瓦解させていった。

 〔記事に戻る→〕 こうした品目の値下がりで,ほかの消費に回るお金が増えてもよさそうだが,消費者の節約志向は根強い。賃上げの動きは鈍く,将来不安で財布のひもは締まったままだ。それでも日銀は,2020年度の物価上昇率は2019年度の 1.5倍の 1.4%とし,黒田東彦総裁は会見で「2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」との従来の見解を繰り返した。ただ黒田総裁は「2%の実現に時間を要するとみこまれることも事実」とも認めた。実際,今回の予想の数値からは,日銀が2%の達成が当面はむずかしいと考えていることがうかがえる。
 補注)すでに2%目標は未達成の年度が何年も続いてきたが,老いの繰り言のようにしてこの総裁は,今後に向けて「まだ時間を要する」と読経するばかりであった。それも寝言に近い印象を周囲に与えながらも,無意味にも反復してきた。

 アベノミクスの具体的な担当者であるこの人物:黒田東彦の立場にあっては,そもそも「時間の観念:会計年度の自覚」というものがないに等しい。この程度の仕事ぶりならば,子どもにもその真似ごとぐらいならば,簡単にできそうである。

 もっとも,この日銀総裁と「初老の小学生・ペテン総理」(ブログ『くろねこの短語がつけたあだ名)との “迷コンビ” 的な間柄の話題でもあったゆえ,さもありなんというほかなかった。これからもまだきびしく経過観察が必要なこの2人である事実は確かであるにせよ,ともかく「現実経済」に対する政策的な対処方法ににじみ出ている「その脳天気ぶり」といったら,間違いなく「生きたまま成仏していた」と説明できる姿になっている。

 これまでの物価見通しでは,予想期間の最終年度は2%に近い高めの数値を示してきた。今回は,最終年度の2020年度は小幅な下方修正としたが 1.4%にとどまり,「2%」との差は広がった。元日銀審議委員の木内登英氏は,「(度重なる見通し修正で)2%の物価目標を,より長期的に達成をめざすものへ位置づけを変えようとしているのでは」と指摘する。
 補注)この物価見通しを庶民感覚の生活実感に即していうと,実質賃金の上昇が実質的かつ平均的に全然ともなっていない労働経済状況の推移のなかで,また諸物価の巧妙なる実質的な値上げがじわじわと浸透してきたなかでは,たとえ1%台の物価指数の上昇であっても,非常にこたえる国民生活の経済環境になっている。

 3) ここで参考にまで2019年1月~2018年11月(直近から以前に並べてある)における分だけの値上げ商品実例を,以下に列記しておく。

物価値上げ一覧
(2019年1月25日~2018年11月1日に注目された品目)★
= http://news.livedoor.com/値上げ/topics/keyword/31964/ =


 ※-1「2019年1月」
  1月25日「ハーゲンダッツ値上げ 約4年ぶり」
    23日「シャネルが香水と化粧品の一部を値上げ 原材料の価格が高騰」
       「原材価格の高騰を受けて,「ルージュ ココ ボーム」などが対象となる」
    16日「サントリーが水や炭酸飲料を値上げへ〔2019年〕5月1日の出荷分から」
    9日「選抜高校野球 入場料値上げへ」
    8日「コカ・コーラが27年ぶりに商品を値上げ 4月1日出荷分から」
        「コカ・コーラなどの大型ペットボトル飲料が対象で,4月1日出荷分から」
    4日「小麦粉や天ぷら粉などの値上げを受け物流コストや人件費も高騰」

 ※-2「2018年12月」
  12月26日「三井住友銀行のATM振込手数料を一部引き上げへ 他行宛てが対象に」
       「2019年4月1日からで,他行宛てに振りこむさいの手数料を108円ずつ値
       上げ」
    20日「コカ・コーラが値上げを検討 27年ぶり,最大1割」(前出の関連)
      「早ければ2019年4月にも,希望小売価格の6~10%値上げするとしている」
      (同上)
      「製粉大手4社が小麦粉を値上げ『なぜこのタイミングで』と嘆き」
      「政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格が引き上げられたことが原因だ
       そう」
    10日「日清食品チルドが製品価格を値上げへ 努力だけでコスト増に対応できず」
      「明治 スーパーカップなど値上げ」
    7日「読売新聞が近日中に値上げを発表か 月額300円~400円程度増との情報」
      「12月中にも発表され,実際の値上げは2019年に入ってからになる見通し」
    4日「『マルちゃん』ブランドの冷蔵・冷凍食品 約200品目を値上げへ」
      「東洋水産は2019年4月1日の納品分から2~9%値上げすると4日,発表
       した」
          「東洋水産が200品目を2019年4月に値上げ『マルちゃん焼そば』など」
    1日「本格化するお歳暮商戦 商品の配送料を値上げする動きが相次ぐ」
          「『松屋』では,東京23区内に送る場合,2017年の300円から600円に改定」
 
 ※-3「2018年11月」
  11月30日「森永乳業もアイスを値上げ ピノやモウなど,3月出荷分から」
       「2019年3月1日の出荷分から,原材料や人件費などの上昇が理由」
    23日「銘菓『ままどおる』久々値上げへ」
    18日「原材料の高騰や天候不順で相次ぐ値上がり 食費節約の鉄則5つ」
    6日「ロッテがアイス29商品の値上げを発表 原材料費の上昇が理由」
          「『爽 バニラ』『モナ王マルチ 北海道あずき』などを税別で10~50円値上げ」
      「ロッテ 雪見だいふくなど値上へ」
    1日「 11月1日から食卓の味方・ツナ缶が値上げ キハダマグロの高騰が影響」
      「主原料であるキハダマグロの価格高騰が影響し,最大で20円値上げした」
   
 以上の一覧(リスト)のなかには,いままで長期間ほとんど値上げしないで,がんばってきた項目が多く登場している。さて「アベノミクスのウソノミクス性」の初歩的な欺瞞性は,こう指摘したらよい。

 すなわち,「円安⇒輸出増大⇒設備投資活発化⇒賃金上昇・内需拡大⇒消費者物価上昇(そしてリフレ目標値達成)」の好循環が前提されていた。しかし,このもくろみは,昨今における「国際経済の機構・動向」が「一国経済内における次元」のほうにも,そのまま同じ具合に直接的に反映され,うまく現象すると錯覚した想定にもとづいていた。しかも,たいそうまずいことは,日銀総裁である人物が手前勝手に,きっと “そうなるはずだ” と〔期待する〕まで,思いこんでいたところにみいだせる。

『朝日新聞』2019年1月24日朝刊1面給与総額推移 事実,労働者の実質賃金の伸びは相変わらず低調である。前項 2) に参照した記事は2019年1月24日『朝日新聞』朝刊であったが,この1面冒頭記事は「統計再集計,見通せず 厚労省,欠落の2004~11年分」との見出しで報道されていた。

 そこに添えられていたのは,国家の基本統計を語ってきた安倍晋三政権の「サギノミクス・アホノミクス」性の安っぽいカラクリを示すことになった図表(左側)であった。しかも,この期間に物価の上昇はこの程度の賃金の上昇と「いい勝負(?)」であって,「アベノミクスのウソノミクス」性をじわじわと実証していくだけの「数値の趨勢」をたどってきた。

 〔 ここで  2)  の記事に戻る ↓  〕
 「強まる海外への懸念」。さらに今回の展望リポートで目立ったのが,景気の先行きの不透明さだ。実質国内総生産(GDP)の見通しは,2018年度は自然災害の影響から引き下げたが,2019年度と2020年度はそれぞれ引き上げた。

 政府の消費増税対策の効果などを織りこんだものだが,「海外経済をめぐる下ぶれリスクは,このところ強まっているとみられる」と警戒する文言もくわえた。米中摩擦で世界貿易が停滞し,企業業績にも影が差しているためだ。

 日銀は今回,政策を「現状維持」とし,黒田総裁は「メインシナリオを変えるリスクが顕在化している状況ではない」と述べた。しかし,市場が再び混乱すれば追加緩和を求める声が出る可能性がある。追加緩和をおこなうとしても,超低金利で金融機関の経営悪化が目立つなか,さらなる金利引き下げはむずかしい。

 黒田総裁は「非伝統的な金融政策の余地が狭まっているわけではない」と強調したが,追加緩和へのハードルは上がっており,日銀内からは「少なくとも2019年度半ばまでは,辛抱強くいまの緩和を続けるしかない」との声が上がっている。(引用終わり)

『日本経済新聞』2019年1月24日朝刊5面経済日銀物価 黒田東彦日銀総裁は譬えていえば,「慢性便秘」の腹をひとしきりさすりながら,いずれこの宿便は出る,必らず出るはずだといいつづけてきたが,いまだにその気配は全然みられないのだから,つまりは「オオカミ少年」の言辞に瓜二つであった。以前からそうであったが……。

 『日本経済新聞』2019年1月24日朝刊5面「経済」の解説記事,「さらに遠のく物価2% 日銀,見通し3回連続下げ 携帯〔料金〕値下げで一段〔とさらに〕下げ」という見出しの報道も,なされていた。右側図表を参照したい。

 この記事は最後で「日銀はきびしい持久戦を強いられることになる」などと,実にのんびりした(いい気にも聞こえるような)観測をしていた。だが,日銀総裁が最低2~3名は首をすげかえられてもよい「金融・財政政策の実際における体たらく」(アベノミクス的経済政策のサギノミクス性)を,国民生活の目前に恥じらいもなく堂々とさらしてきながら,いまごろいったいなにを「完全に脳天気なこと」をいっているのか,という印象しかもてない。

 安倍晋三や黒田東彦は『時間:年限(年度)ごとの勝負事』である「日銀の仕事というもの」を,はたして,どう心えているのか? 嘘の土台の上には嘘の家しか建てられない。

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 【「本稿」の続編(2)】は,
         できしだい,ここにリンクを貼る予定である

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