【人間・人類史が有るかぎり半永久的に背負っていくほかない原発「後始末事業」の苦役】

 【原発事業という無限大の労苦を生んでいくだけの電力生産方式は,その大事故によって「ダモクレスの剣」である事実を教えられた】



 ①「〈さまよう使用済み核燃料〉関電,中間貯蔵施設確保に壁 原発内での保管 常態化懸念」( 『日本経済新聞』2019年2月2日朝刊27面「ニュースな科学」)

 原子力発電所から出た核燃料を一時保管する中間貯蔵施設について,関西電力の候補地選びが難航している。2018年中に予定していた公表を2020年ごろに先送りした。

 他の電力〔会社〕では原発敷地内に新たに保管用施設を作る動きもあるが,地元には保管が常態化することへの警戒感も強い。使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」が滞ったまま原発の再稼働が進み,保管場所の確保が再び大きな問題になっている。
『日本経済新聞』2019年2月2日朝刊使用済み核燃料画像

 使い終わった核燃料は原子炉からとり出したあとも高熱を出す。現在は大半を原発内の燃料プールで冷やしている。その後,青森県六ケ所村の工場に運び,再処理してウランやプルトニウムをとり出すことになっている。しかし,1997年の予定だった再処理工場はいまだに完成していない。使用済み核燃料をどこかに保管する必要がある。
 補注)ここでいわれている問題は,いわゆる「トイレのないマンション」を意味する。「使用済み核燃料」を「どこかに保管」しておく問題は,昔の農業でリサイクル(再利用)されていた「われわれ人間様の排泄物:糞尿」を肥だめに貯めておくのとは,まったくわけが違う。使用済み核燃料の再利用,それもその有効な活用への道はなく,あとはただ『ネコババ』の要領で,どこかに捨てておく処分の方法しか残されていない。

 たとえばフィンランドでは,オルキルオト島に,オンカロ(Onkalo)(フィンランド語で空洞・深い穴)と名づけられた地下特性調査施設を建設していた。その目的は「原子力発電所の使用済み燃料を高レベル放射性廃棄物として地層処分する施設を建設する」ことである。この施設に関しては,将来において処分施設として利用する予定に備えて,精密な現地調査がおこなわれている。

 原発と同じ火力発電でも「石炭や石油,LNGを燃料に焚く発電方式」が,地球温暖化の主原因を発生させている〔と一般的には理解されている〕。だが,この種の〈物理・化学的な問題〉は,たしかに事実として温暖化の問題に重要な関連性を有するものの,それじたいとしてはあくまで,既存の次元において理解したり,あるいは対策を講じたりできるところの,環境に対する「影響の有無ないしはその分量の問題」である。

 ところが,原発は地球温暖化に関しても基本から大きな影響を与えるだけでなく,都合がたいそう悪いことに非常な厄介モノである。つまり「使用済み核燃料」の後始末,しかもこの問題は人間野川が半永久的にたずさわっていかざるをえない問題を,半永久的な視野をもって残していく。原発の基数が増えていき普及していけばいくほど,当然のことその処分量もどんどん増加していくのである。

 〔記事に戻る→〕 大手電力でつくる電気事業連合会によると,全国17原発にある使用済み核燃料は2018年9月末時点で計1万8620トン(ウラン換算)。各原発の燃料プールで保管できる容量の合計2万2220トン(同)の8割を超す。東日本大震災以降に原発が停止されたため隠れた問題だったが,西日本で再稼働するようになって再浮上してきた。

 a)「稼働に遅れ」 問題解決へ向けた手段のひとつが中間貯蔵施設だ。放射線を遮蔽する専用容器に入れ,建屋内を循環する空気で冷やしながら一時保管する。「乾式貯蔵」と呼ばれる方式だ。プールは電源を失うと水が蒸発して燃料を冷やせなくなるが,こうした問題は乾式では起こらず,安全性が高いとされる。

 いまのところ,中間貯蔵施設を建設できたのは青森県むつ市だけだ。東京電力と日本原子力発電が建設し,最大5000トンの使用済み核燃料を最長50年間保管する。原子力規制委員会の厳しい審査で遅れており,稼働は21年度になる見通しだ。

 b)「9年で容量超え」 使用済み核燃料問題がもっとも深刻なのが関電だ。福井県にある美浜3号機,大飯3,4号機,高浜1~4号機の計7基が再稼働の前提となる安全審査に合格した。4基が再稼働し,3基も準備が進む。予定通りなら6~9年程度で敷地内の容量を超える。今後,美浜1,2号機,大飯1,2号機の廃炉も控える。原発を解体するには使用済み核燃料をすべて搬出しなければならず,中間貯蔵施設がなければ先に進めない。

 搬出を考えると,福井県内の立地がベストだ。しかし,西川一誠知事の意向もあり,福井県は反対の立場だ。関電は県外で候補地を探してきたが,関西地域では引受先がみつからない。そこで,むつ市の中間貯蔵施設への搬入を模索しはじめた。一部で報道され現実味を帯びたものの,むつ市が猛反発して理解はえられなかったようだ。関電は2018年中に候補地を示す方針だったが,2018年12月に「2020年ごろを念頭に候補を示すよう努力する」と後退させた。

 九州電力は玄海原発(佐賀県)の敷地内に一時的に保管できる施設を建設する計画だ。中間貯蔵施設と同じ乾式貯蔵方式を採用する。2027年度の稼働をめざし,〔2019年1月〕22日に原子力規制委に申請した。燃料プールにある核燃料の間隔を狭め,より多く保管できるようにすることも申請している。

 中部電力は浜岡原発(静岡県),四国電力も伊方原発(愛媛県)で同様の施設を整備する計画,規制委による審査が続いている。政府もエネルギー基本計画に「中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設の建設・活用を促進する」と明記した。

 限られた原発の敷地に建設するのでは,いずれ容量が足りなくなる。一方で地元自治体には,中間貯蔵施設を受け入れると,放射線量の高い使用済み燃料が留め置かれることへの懸念が強い。核燃料サイクル政策のひずみがここにも現われている。(引用終わり)

 以上に表現されていた問題「核燃料サイクル政策のひずみ」とは,使用済み核燃料を「中間貯蔵施設」から「最終処分場」にまで移せない状態に留めおかれている「現実の困難」を表現していた。まずいことにその状態が今後において打開される見通しは立っていない。

 要は,日本の原発事情に関していわれてきた「トイレのないマンション」とは,まことにいいえて妙だったといわざるをえない。だが,あくまで比喩の話としてならば,お気軽にいって片づけられる問題であった。通常の建築では,人間の住む家屋として「トイレのないマンション」など,最初から設計されるわけもない。

 とすれば,原発は最初から設計図にあるはずの「トイレ(便所:便壷)」を抜かしたまま,設計されていたことになる。分かりやすい表現でいえば,特定の意味では完全なる欠陥商品であった。おまけに最初からその困難を承知で製造・販売されていた「超大型の重工業製品」であった。

 ②「東海第2原発,40年超の運転認可 劣化考慮し徹底検査『制限規制が骨抜き』の声も」(nikkei.com 2018/12/7付,
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38618780W8A201C1TJN000/

 日本原子力発電の東海第2原子力発電所(茨城県東海村)が〔2018年〕11月28日,運転開始から40年を迎えた。2011年の東京電力福島第1原発事故後,原発の運転期間は原則40年と定められたが,1回にかぎり最大20年間延長できる。すでに2原発3基で延長が原子力規制委員会に認められ,東海第2原発は4基目となる。稼働から長い時間がたった古い原発にはどんな劣化が起こりうるのか。

 東海第2原発は出力110万キロワットの大型原発。1973年に着工し,1978年11月28日に営業運転を始めた。福島第1原発などと同じ「沸騰水型」と呼ぶ構造の原発で,沸騰水型の原発として初めて運転期間の延長が認可された。

 原発は,原子炉圧力容器のなかで核燃料に核分裂反応を起こさせ,発生する膨大な熱で水を水蒸気に変え,タービンを回して発電する。原子炉や配管などは大量の放射線や高温に長年さらされ,少しずつ経年劣化していく。福島原発事故後,万が一の事故を防ぐ安全重視の観点から国は原子炉等規制法を改正し,原発の運転期間を原則40年と定めた。
nikkei.com2018年12月7日東海原発図解

 1)「60年後の性能想定」
 期間は原発には40年の運転を想定して設計を評価する機器が多いことなどを踏まえ設定された。規制委の厳しい審査に合格すれば,60年までの延長運転が可能となる。

 原発の経年劣化で代表的なのは,核分裂反応で核燃料から飛び出す放射線の一種,中性子線が原子炉圧力容器に当たって起きる。圧力容器は厚さ数十センチメートルの分厚い鋼鉄でできているが,高いエネルギーをもつ中性子がぶつかると原子の配列が乱れ,しだいに粘り強さが低下する。

 粘り強さの下がり具合を把握するため,圧力容器のなかには容器と同じ材料でできた試験片をとりつけている。試験片は原発の運転によって中性子線を浴び,徐々にもろくなる。定期的にとり出して調べ,圧力容器の粘り強さが将来どう変化するか推定する。

 このほかにも,力がくわわった状態で高温などの影響を受けてひび割れが起きたり,繰り返し力がくわわって疲労で壊れたりする。延長運転には経年劣化の進行を考慮しても,60年後まで圧力容器の粘り強さなどの性能が十分に保たれると確認する必要がある。

 さらに,電力会社は通常の定期検査よりも範囲を広げた「特別点検」も実施する。原子炉圧力容器の場合,通常の超音波試験で傷の有無を調べるのは溶接部の一部だけだが,特別点検では核燃料がある炉心の周囲の点検可能な範囲をすべて検査する。

 特別点検や経年劣化の分析結果を踏まえ,規制委は東海第2原発の運転期間を20年間延長しても安全上の問題がないと判断した。関西電力の高浜1,2号機,美浜3号機(いずれも福井県)に続き,延長運転を申請した原発はすべて認可された。

 規制委の委員長だった田中俊一さんはかつて延長運転について「相当困難」と説明,閣僚も「きわめて限定的なケースになる」と答弁していた。現状では運転期間を原則40年に制限する規制が骨抜きになっているとの批判もある。
 補注)電力会社側の原発再稼働にかける意欲はものすごく強い。既存の原発を再稼働させえない期間が長くなればなるほど,原価補償どころか収益力に貢献しないまま原発を停止させていることになるのだから,そのこだわりようといったら一筋縄ではない。稼働できない状態のときは「電力料金はじわじわ引き上げるし,従業員の賃金は露骨に引き下げる」という対抗措置を採ってきた(関西電力のその経営姿勢はとくに嫌らしかった)。

 電力会社側が「原発再稼働にかける執念」は,原発という装置・機械に対して投資した金額が高額であっただけに,ひとまずは理解できるものの,

   イ) 原発に関する技術面の「安全性に対する不安=危険性」への計慮,

   ロ) 使用済み核燃料の保管に必要となり発生する経費,

   ハ) 廃炉後における関連施設一切の後始末に関して事後に発生してくる経費などが,

 もしかすると原発の稼働によって,いままでせっかく挙げてきた収益(利潤)を,事後の過程において大幅に食い尽くしていく「可能性」がある。こちらの事実を事前に覚悟して考えておくとなれば,該当する諸経費の発生は,未来に向けて “よりいっそう相当に高い水準になる” と予測(覚悟)しておかねばならない。

 2)「廃炉決定も増加」 
 廃炉を決めた原発も増えてきた。1970年に運転を始めた原電の敦賀1号機(福井県)など5基は2015年に廃炉を決定。その後も関電の大飯原発1,2号機(同),四国電力の伊方原発1,2号機(愛媛県)が廃炉となり,2018年には東北電力が女川原発1号機(宮城県)の廃炉を発表した。

 古い原発は設備の設計が古く,延長運転の大前提となる新規制基準への適合が技術的にむずかしい面がある。規制委員長の更田豊志さんは「仮に大飯1,2号機の申請があれば,非常に大きな議論になっただろう」と指摘する。また,古い原発は出力が比較的小さいものが多く,膨大な安全対策費をかけても投資回収がむずかしいという経営判断もある。

 原則40年の規制に対し「科学的,技術的根拠が乏しい」との主張もある。日本保全学会は2015年に「設備が健全に管理され,安全性が確保されていると評価されるかぎり,運転期間に制限をくわえずに設備を活用すべきだ」と提言した。更田さんは政策判断もあって原則40年と法律に定められたとして「運転期間の考え方はあくまで国会で議論されることだ」と話す。(引用終わり)

 原発を電力の生産に利用しはじめたころは,耐用年数(運転期間)を40年に制限するという技術的な観点からして,それほど明確には定義されていなかった。だが,実際に原発を稼働させてきた電力会社は,自社の収益力に貢献する装置・機械としての原発を,できるかぎり長期間にわたり稼働させていきたいと考えるのは自然であった。

 一時期までは原発の原価(1キロワットあたり)は,ほかの発電方式に比較してもっとも安価であると喧伝されていたものの,現在では「安全性を確保するための経費」や「廃炉工程において発生してく経費」なども大幅に加算しなければならず,技術経済面の質的な変化を踏まえていえば,原発のコストが安いなどといった主張は通用しなくなっている。

 前段に引用した記事のなかには,「古い原発は設備の設計が古く,延長運転の大前提となる新規制基準への適合が技術的にむずかしい面がある」などと説明されていた。だが,「3・11」に日本でも起きた「原発の大事故」が原発コストの上昇傾向を,さらにあらためて決定づけてもいた。

 以前は,原発に関する『安全神話』が「安価神話」を支持する最大の根拠であったけれども,それは「今は昔」の主張であって,本当のところは〈虚説〉に過ぎなかった。前段に引用した記事のなかには「日本保全学会」という組織名が出ていたが,広義において「原子力村の小字・村民みたいな学会」がとなえる意見は「話半分以下」なのであれば,聞いておく余地がないわけではない。

 ③「東海村の放射能警報,服や床から放射性物質を検出!  管理目標値の約30倍  MOX燃料用の粉末が原因か?」『情報速報ドットコム』2019.01.31 19:30,https://johosokuhou.com/2019/01/31/12228/
              
 このニュースには,かなり専門的な技術に関する用語がたくさん出てくるが,いとわず読んでみたい。   

 a) 〔2019年〕1月30日に茨城県東海村の核燃料サイクル工学研究所で放射能漏れを伝える警報が鳴った問題について,運営する日本原子力研究開発機構は,作業員の服や作業場の床から放射性物質を検出したと発表した。

 日本原子力研究開発機構によると,現場にいた作業員9人の防護服などを調べた結果,最大濃度で管理目標値の約30倍に匹敵する1平方センチメートル当たり1.1ベクレルが検出された。〔この値は〕法令で定められている制限値は下回っているが,床や作業員の服に付着した放射性物質が警報を鳴らした可能性が高い。

 当時はプルトニウム・ウラン混合酸化物(モックス)燃料用の粉末が入った容器を扱っていた。

 b)「日本原子力研究開発機構の調査資料」の説明(『プルトニウム燃料第二開発室 α 線用空気モニタ警報の吹鳴について』https://www.jaea.go.jp/02/press2018/p19013101/b01.pdf)
    発生日時:2019年1月30日(水)14:24頃

    発生場所:プルトニウム燃料第二開発室 粉末調整室(A-103)(管理区域内)

    状 況:粉末調整室において,核燃料物質を貯蔵する貯蔵容器のビニールバッグの定期交換作業の一環で,グローブボックスから貯蔵容器のバッグアウト作業(搬出作業)をおこなっていたところ,α 線用空気モニタ(α - 8)の警報が吹鳴した。
 
 同室の作業員9名(作業中半面マスク着用)は,隣室(A-102)へ退避し,身体サーベイを開始した。また,保安規定に基づき同室を立入制限区域に設定した。

    経緯 ……(中略)

    原因 …… 調査中

    従業員への影響 ……調査中(同室の作業員の身体サーベイを継続実施中)

    環境への影響 ……排気モニタ及び敷地内のモニタリングポスト及びステーションの値に変動がないことから,環境への影響はない。
 以上に関する記事「東海村施設,服や床に放射性物質 原子力機構が汚染検査」(https://this.kiji.is/463641817201919073?c=39546741839462401)は,別途,つぎのように説明していた。
 茨城県東海村の核燃料サイクル工学研究所で放射性物質が漏れた問題で,運営する日本原子力研究開発機構は〔2019年1月〕31日,現場にいた作業員9人の防護服などを調べた結果,汚染が検出されたと明らかにした。床の汚染も確認され,最大濃度で管理目標値の約30倍の1平方センチメートル当たり1.1ベクレルだったが,法令の制限値は下回っていた。
 c) 以上の a)  b)  を受けて議論したい。そもそもどのような物理・化学の技術を使用した方法であっても,事故というものを完全に百パーセント防止できるものはありえない。原発の大事故(1979年3月「スリーマイル島原発事故」⇒1986年4月チェルノブイリ原発事故⇒2011年3月「東電福島原発事故」)が,まさにその事実を実証してきた。

 しかし,これらの大事故以外の〈中・小・微の各次元〉における原発事故の発生は,いまででも世界中の原発現場において多種多様に現象している。となれば,第4の深刻で重大な原発の事故が近いうちに絶対に起こらないとは,誰にも保証できないはずである。

 原発の事故はその事実をもって「異様であるという現実の位相」を超越しており,人間の手には負いかねる次元の困難をも突きつけている。いうなれば,すでに「悪魔的な領域」にまでその事象は突破していた。原発の廃炉問題が実際に各国で進行しはじめているが,この技術工程(後始末)がどのような作業内容として一般的に定型化されていくのかと問われて,これに明確に答えられる原子力工学者はいない。とくに,この点はとくにその処理期間について妥当する。

 チェルノブイリ原発事故現場の後始末はひとまずおこなわれてきたけれども,実態としては「臭いものに蓋をした」状態である。東電福島原発事故現場はその後始末が始まったばかりであって,これからも延々とその作業がつづいていくとしか展望できていない。この東電福島原発事故現場は,2011年3月11日「東日本大震災」のために発生していたが,いまだに「臭いものに蓋をできる」状態にさえ到達できていない。デブリをとり出せる段階に至っていない。

 ④「福島)汚染水,公表データにミス 東電260カ所を修正」(asahi.com 2018年10月18日03時00分,https://digital.asahi.com/articles/ASLBK6367LBKUGTB01P.html

 東京電力は〔2018年〕1月17日,経済産業省の小委員会で今月1日に公表した福島第1原発の汚染水のデータについて,約260カ所で誤りがあったと発表した。グラフを作成するさい,誤ったデータを入力していたという。

 東電福島復興本社によると,誤りがあったのは多核種除去設備(ALPS)で処理する前後の放射能濃度の数値。放射性セシウム134の数値を入力するべきところセシウム137のデータを入れたり,誤った測定日の数値を入力したりしてグラフを作ったという。入力は社員1人でやっており,別の社員が確認したが,誤りに気づかなかったという。

 社外からの指摘を受けて発覚。同社の広報担当者は「人為的なミスで意図的ではなかった。再発防止に努めたい」と話した。(引用終わり)

 ⑤「トリチウム水と政府は呼ぶけど実際には他の放射性物質が1年で65回も基準超過」(木野龍逸・フリーランスライター稿『YAHOO! JAPAN ニュース』2018/8/27 11:26,https://news.yahoo.co.jp/byline/kinoryuichi/20180827-00094631/

 a) 福島第1原発で発生しつづける汚染水からトリチウム以外の放射性物質をとり除いたと東電が説明してきた水,いわゆるトリチウム水に,実際にはその他の放射性物質がとり切れずに残っていることがわかった。〔2018年〕8月19日に共同通信が〔その〕とり残しを報じたのち,23日には河北新報が,2017年度のデータを検証したところヨウ素129が法律で定められた放出のための濃度限度(告示濃度限度)を60回,超えていたと報じた。

 東電は〔2018年8月〕23日の会見で,超過した回数は65回だったことを明らかにした。筆者がさらにデータを精査したところ,告示濃度限度を超えたのは昨〔2017〕年度下半期に集中していることが分かった。トリチウム水は,8月30日と31日に今後のとりあつかい方針を議論するための公聴会が開かれることになっているが,資源エネルギー庁が公表している説明用の資料にはヨウ素129は「ND」,つまり検出されていないと記載されている(8月25日現在)。

 この資料は東電が2016年11月に作成したものをそのまま使っている。それにもかかわらず東電は,記者会見で資料の記載内容について質問すると「確認する」と繰り返し,回答を避けようとしていた。また実際には基準を超えていることもあったにもかかわらずNDと記載していることについては,23日の会見で「ヨウ素に限らず,核種の濃度はフィルターの状況等によって,凸凹がある。もしNDと書いていればNDで,ND以上の数値が出るんであれば示している」と説明。記載に問題はないという認識を示した。
 補注)ここでの東電側の「答え方」は,いわゆる「木で鼻をくくった」態度を明示している。「もしNDと書いていればNDで,ND以上の数値が出るんであれば示している」という答え方は,答えになっていない。当たりまえのことを一般論として答えているのであって,問題点に対してまともに答えていない。

 福島第1原発の汚染水は,多量に含まれる放射性セシウムと放射性ストロンチウムについては,セシウム除去設備や多核種除去設備を使って大部分をとり除いた状態で貯蔵している。このうち多核種除去設備について東電は,62種類の放射性物質を告示濃度限度以下まで除去でき,残るのはトリチウムだけと説明してきた。

 たとえば2016年11月2日に東電が原子力規制庁との面談で示した資料では,「62核種について,告示濃度限度を下回る濃度まで除去されていることを確認」と記載している。

 また,トリチウム水のとりあつかいを検討している資源エネルギー庁の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の2016年11月11日の会合で東電が提出した資料では,「タンクに貯蔵している水は,トリチウムを除く放射性物質の大部分をとり除いた状態」と記載。貯蔵水に含まれる放射性物質は,ルテニウム106を除き,セシウム137,ストロンチウム90,ヨウ素129,コバルト60,アンチモン125は検出限界以下と,グラフで表示している。

 ところが実際には,これら62核種のうちヨウ素129(I-129),ルテニウム106(Ru-106),テクネチウム99(Tc-99)が,2017年度だけで65回,告示濃度限度を超えていた。

 さらにデータを精査すると,2017年8月24日から2018年3月26日の間は,2種類がほぼ常時稼働している多核種除去設備のうちのひとつ,増設多核種除去設備で,84回分析したうちの45回で告示濃度限度を超えていたことも分かった。稼働期間の半分は,基準を超えていたということになる。なぜこの期間に集中して超過していたのか,東電は説明していない。

 またタンクに貯めている水は,東電は分析をしていなかった。東電が示したのは,ある一時期に多核種除去設備の出口側で採取した水の分析結果だけで,最終的にタンクに溜まっている水の性状はわからない。それでも東電は,タンクの水はほとんどの放射性物質をとりのぞいていると説明してきた。そして今後については,いまのところ分析の計画はないという。

 多核種除去設備でとり切れていない放射性物質があることについて記者会見で質問すると,「敷地境界での放射線量を年間1ミリシーベルト以下にすることが目標だった」のであり,すべてを告示濃度限度以下にすることではないと繰り返した。だからその目標に合わせて,放射性物質を低減する吸着材の交換頻度を調整していた。

 また福島第1原発で測定している放射性物質についてはデータをすべて公表しており問題はないという認識を示した。

 b) こうした東電の説明には,大きな問題があるというほかない。まず,濃度限度を超えていても目的には適っているので問題ないと東電はいうが,前述の資料にあるとおり,東電は多核種除去設備で告示濃度限度以下にできると説明してきた一方で,運用状況によって基準を超えているという説明はしていない。しかも昨〔2017〕年度下半期は,分析回数の5割以上が超過しているのに,記者会見など公の場ではまったく説明がなかった。これが誠実な姿勢といえるのだろうか。

 また,データをすべて公表しているという東電の説明は,ウソではないが,CSVファイルに含まれる大量のデータを精査しないと “なにがなんだか分からない” のはあまりに自分本位だろう。

 なにしろ,使用中の多核種除去設備だけでも分析計画が21もあるうえ,分析期間が細かく分割されていて,ひとつひとつファイル名を確認しながら探す必要がある。期間によってファイルが変わってしまうので,ひとつのデータを追いつづけるのもきわめて困難なのが実情だ。
 〈データの例〉 福島第1原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果(汚染水処理設備,構内タンク等,項目は1~13まであり,それぞれに細かな分析計画がぶら下がっている。
 そのうえ今回の件で,分析結果が東電の説明と違っていても,東電がみずから公表しないことがあることも分かった。これでは外部から福島第1原発の状況を確認するのは,ほぼ無理だろう。原子力規制庁の規制事務所が浜通りにあるとはいえ,つねに原発構内に入っている職員は1~3人程度。毎日5000人の作業員が入る現場をこの人数で監視するのは不可能だ。

 今週〔2018年〕8月30日と31日には,トリチウム水の扱いについての公聴会が開催される。これまでトリチウム水のとりあつかいについては,東電の資料にあるようにトリチウム以外はほぼNDであること(ルテニウムのみ検出)を前提に政府内で議論が進んでいた。その前提が崩れたなかで,公聴会が開かれようとしていることになる。

 東電は公聴会のときに最新のデータを公表するとしているが,いったいどのような説明になるのか。また主催者のエネ庁は,実際には残っている放射性物質があることをどのように参加者に説明するのか。注意深く見る必要がある。(引用終わり)

 以上に引照した東電福島原発事故現場に関する報告・議論は,2018年8月の時点で「汚染水問題」をとりあげたものであった。ところが,2019年1月になってからも,「福島第1原発の汚染水タンクから300トン漏えい,東電が2年間放置! 12万ベクレルのトリチウム」(『情報速報ドットコム』2019.01.24 20:19,https://johosokuhou.com/2019/01/24/12070/)といった報道がつづいている。

 東電福島原発事故は,2011年の「3・11」発生後の数日中に起きていたが,そのときからいまはすでに8年近くの歳月が経っている。安倍晋三・日本国総理大臣は2013年9月7日,ブエノスアイレスで開催されたIOC総会の「最終プレゼンテーション」で,2020年にオリンピックを東京に招致するための演説をしたさい,「福島原発事故現場」に関して,つぎのような大嘘を申したてていた。
 「The situation is under control」(私が安全を保証します,状況はコントロール下にあります)。

 「汚染水は福島第1原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされています」。

 「福島近海でのモニタリング数値は,最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1です」。

 「健康に対する問題はない。いままでも,現在も,これからもない」。
 ⑥「安倍首相が五輪招致でついた『ウソ』 “汚染水は港湾内で完全にブロック” なんてありえない」(水島宏明・上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター稿『YAHOO! JAPAN ニュース』2013/9/8 11:44,https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20130908-00027937/

 この ⑥ の批判は,いまから5年以上も前に提示されていたが,すでに「安倍晋三の大嘘」に言及していた。いまとなっても,あらためて聴いておく価値がある。当時(5年以上前)もまた現在も,東電福島原発事故現場は実質的かつ本質的には,なにも状況は変わっていない。それどころか,今後に向けてみえてきた難題だけは,よりその輪郭をはっきりさせつつある。 

 a) 東京五輪開催を望んでいる国民が大多数だとしても,首相の発言を聞いて「おいおい,いくらなんでもいい過ぎでは?」と思った人は少なくない。福島の人たちや原発事故のその後に注目している人たちからみれば,明らかな「ウソ」がある。

 汚染水に関していえば,現在〔も〕「打つ手がない」ことは明らかだ。安倍首相が自信満々にいったことは,これまで東電が汚染水に関して発表してきた事実とも完全に異なる。安倍首相が言及した福島第1原発の専用港内の「0.3平方キロメートル」は,確かに堤防や水中カーテンで仕切られている。

汚染水処理過程イメージ図 さまざまなルートから外洋に出ようとする汚染水を,こうした堤防などがどこまでを「完全にブロック」できているものかあやしい。いろいろな議論もあるので,ここでは問わないことにする。ちなみに新聞報道などをみるかぎり,東電も「港湾内と外洋を水が行き来していること」を認めている。
 出所)左側画像は,https://panpoke.at.webry.info/201812/article_29.html このとおりにはうまく処理できていない。

 最近,問題になった地上タンクから漏れた高濃度の汚染水も,もしも流れ出た先がこの「0.3平方キロメートル」ならば,水はひとまず港内にとどまっているように思えるので首相の発言にも多少は根拠があるように聞こえそうだ。ところが実際には,汚染水が流れ出た先は「0.3平方キロメートルの港内」ではない。その外の海なのだ。

 タンクからの汚染水漏れに関する東電のこれまでの会見によると,地上タンクからの排水路の側面に水の流れた跡があり,そこから高濃度の放射線が観測されていて,そこから水が流れた可能性があることを東電も認めている。その排水路がつながっている先は「0.3平方キロメートルの港内」ではない。外の海と直接つながっているのだ。この点で安倍首相の説明は間違っている。

日野行介表紙 b) さらに「完全にブロック」がありえず,傍証からも明らかだ。いろいろな調査からは,福島沖の海底には40カ所の放射能のホットスポットがみつかっている。「0.3平方キロメートルの港内」ではこれまで1キロあたりのセシウムが74万ベクレルというアイナメがみつかっているが,その港の外の20キロ先で捕れたアイナメからも2万5800ベクレルが検出されている。また,東京湾でも原発20キロ圏内と同じレベルの汚染箇所が見つかっている。
 補注)なお,この計測値は2013年中のものである。以下も同じ留意が必要。
 付記)右側画像には「Amazon 広告」へのリンクあり。

 こうした事実からみれば,安倍首相の発言は「よくいうよ」であった。歴史的にみても,これほど大量の高濃度の汚染水が長期間漏れつづけている事態は,過去に例がない。しかも,当の安倍政権が政府主導で汚染水対策の「基本方針」を打ち出したのは,最終プレゼンテーション〔2013年9月7日〕のわずか5日ほど前に過ぎない。

 要するに,五輪招致に合わせて付け焼き刃で作成した基本方針なのだ。

 こうした現実を直視すると,誠実な人ならば「状況はコントロールされている」などという表現は,安易に使えない。歴代首相で比較するなら,原発問題にもともと詳しく,かつ,ウソをつこうとすると顔に出てしまうタイプの菅 直人元首相なら,同じ表現はとてもできなかったか,すぐにばれてしまったと思われる。その意味では笑顔さえ浮かべて「私が安全を保証します」といい切った安倍首相の厚顔はなかなかのものだ。

 c) 一国のリーダーは,たとえ多少ウソが混じっても国益を守る責務がある。今回のプレゼンテーションでは,日本という国,その首都・東京の対外的なイメージを印象の良いものにしていく責務があった。五輪が開催されるかどうかは日本という国にとっても大きな岐路になることは間違いない。人としてというより,国を率先してアピールするリーダーの立場として,安倍首相は厚顔無恥なプレゼンテーションによって役割を果たしたという皮肉な見方もできる。

 五輪開催の決定にはさらに皮肉な効果もある。それは首相が国際的についた「ウソ」を2020年に向けて「マコト」にしなければならない宿命を背負った,ということだ。これまで政府が本気でとり組んでこなかった汚染水や放射能汚染の広がりについて,今後,解決できければ,「首相の大ウソ」が国際的に批判されかねない。東京五輪に向けて福島の問題は世界のメディアからますます注目される。もうこれ以上,ウソを上塗りすることはできなくなる。
 補注)この段落の内容についての答えはすでに出ていた。東電福島原発事故現場における「汚染水や放射能汚染の広がり」が,本格的に解決の方途に向かうかたちで食いとめられているとはいえない。とりわけ,日本政府の東電福島原発事故に対する「その後の基本姿勢」は「調べない・教えない・助けない」の3原則に徹底してきた。

 つまり,この原発事故の存在そのものを “極力なきものにしていこう” とする,そしてまたその狙いがうまくいかなくともなるべくその結果を小範囲に囲いこんでおき,この事故が含意しうる「意味を限定しつつ無化させていく」方針である。

 また,安倍晋三という首相は「マコト」という信念とは無縁の政治家であり,「ウソ」ならば日常的に過大積載して総理大臣であったゆえ,「ウソ」だとか「恥」だとかいったたぐいの上塗りなどなんとも思わぬ人物であった。この事実は最近では完璧に近いといっていいほど,安倍晋三に関する定評になっている。

 〔記事に戻る→〕 また,東京都の猪瀬直樹知事〔当時〕らがメンバーとなる東京五輪招致委員会は「被災地の復興のため」にも東京で五輪を,と訴えてきた。ところが,招致委員会の竹田恒和理事長がIOC総会の開かれるブエノスアイレスで会見したさい,「東京は福島から250キロも離れているから安全」と発言。まるで「東京が安全ならばよい」とも聞こえる差別的な発言だとして福島の関係者から強い批判を浴びた。
   安倍晋三と竹田恒和アンダーコントロール発言
   出所)安倍晋三と竹田恒和,https://twitter.com/ogawabfp/status/376667360033124352
 d) 開催が決まった以上,原発事故の収拾にくわえて,被災地の復興にも本腰を入れてもらう必要がある。もしできないなら,日本という国への国際的な信用が地に落ちかねない。五輪開催を喜ぶだけにみえるメディアの反応をみて,マスコミのあり方もすごく気になる。

 安倍首相は最終プレゼンテーションでIOC委員から福島の汚染水問題について質問を受けたさい,「新聞のヘッドラインではなく,事実をみてほしい」と答えている。つまり,日本のマスコミ報道を信じるなというようなことを国際的な公式の舞台で発言している。このことに日本のメディアはもっと怒るべきではないか。
 補注)いまの日本のメディア(とくに大手マスコミ)にこの期待「もっと怒るべき」ということを抱いても,お門違いになる。大手紙(全国放送局)や大企業など,東京オリンピックの開催を支援している関係筋に対して,このような期待をかけても〈無理難題〉であった。安倍晋三のスシ友「化」している組織・人びとに向かい,前段のように「もっと怒る」ことを要求しても,とうていかなわぬ願いである。

 e) 五輪開催の喜びに沸く報道一色のなかで,安倍首相の一連の発言に「?」をつきつける報道がテレビにも新聞などのメディアにみられないのはどうしたことか。〔2013年9月〕8日午前中の各局のテレビ番組や新聞社のホームページをみているかぎり,テレビは歓迎ムード一色。「経済効果は抜群」「若者に夢を与える」「被災地に元気を与える」などと肯定的な評価ばかりが目につく。

 他方,ツィッターの反応などを見ると,ネットではややシニカルな見方が多いように感じる。五輪よりもっと先にやるべきことがある」「浮かれるなかで福島の問題を忘れてはならない」という論調だ。私もそう感じている。
 補注)昨今は,オリンピックじたいが「ボランティア・感動詐欺だ」とまで非難されている。それにしても最近新聞にも出ていたが,東京オリンピックの競技入場券の値段の高いこと。

 いまも〔2013年9月時点でまだ〕15万人近い福島の人たちが自宅に戻ることができない生活を強いられている。その人たちの帰還にも影響を与える汚染水の問題が,五輪招致をめざす最終段階になってやっと政府が対策に乗り出すという後手後手の対応が明るみに出た。

 東京開催決定で浮かれた報道をしている陰で,本来,報道すべき現実が報道されないままに放置されている。(引用終わり)

 福島原発事故から福島を復興させる工事関係が,2020年に開催する五輪開催のために悪影響をこうむっている。こういう記述の題目をかかげておき,本日もまた長くなった文章を終わりにしたい。
  題名:「被災地復興が進まぬわけは,東京オリンピックだ。工事業者がいない。総理の言葉『被災者に寄り添う復興』はどこに消えた。柔軟な対応で被災者のための復興をすべきだ」(ブログ名:『山と土と樹を好きな漁師 「佐々木公哉のブログ」-東日本代震災の被災漁師が現地生の声をそのまま伝えます。復興が遅れは何故なのか,いまの安倍政権ではウソばかり,ダメです。-』2018/8/1  午前 7:00,https://blogs.yahoo.co.jp/sasaootako/65046033.html)

 復興庁は〔2018年7月〕31日,平成29〔2017〕年度に東日本大震災の復興予算として計上した3兆3082億円のうち,33.9%に当たる1兆1206億円を年度内に執行できず,使い残したと発表した。

 当たりまえだ,東京オリンピック関連で業者や作業員が皆東京に移動したのだから。

 東日本大震災でも,マスコミは「◯◯施設が完成」「◯◯イベント被災者に力を」などなどの,良いことしか報道して,お茶を濁しているのだ。現実は,そうではないことをしってほしい。
 
 ------------------------------
     ※ 以下の画像には「Amazon 広告」へのリンクあり ※