【賃金統計の改ざん・捏造をしてみたところで,2018年中の実質賃金「上げ」は「偽装できなかった」】

 【安倍晋三君が,政府の立場から財界に対して「ベア(賃上げ)を要請した」のは,「経済の論理:実情」をないがしろにする「経済音痴」の働きかけであった】

 
 ①「〈時時刻刻〉脱官製春闘,上げ潮続くか  経団連,ベアに慎重姿勢 政権の賃上げ圧力,弱まり」(『朝日新聞』2019年2月5日朝刊2面)

 連合と経団連の労使のトップが5日会談し,今年の春闘がスタートした。経団連は,安倍政権の賃上げ要請に応じる「官製春闘」から距離を置く構えだ。それでも賃上げの流れを持続できるのか。労働組合にとって正念場となるが,一枚岩にはなりきれていない。

  「この(賃金上昇の)勢いを消さないようしっかりと議論したい」。経団連の中西宏明会長がこう述べると,連合の神津里季生(りきお)会長は「賃金上昇の流れをどう広げていけるのか。日本経済全体が暖まっていくことにつながる」と応じた。
『朝日新聞』2019年2月6日朝刊2面時時刻刻賃上げ問題

 この日,東京都内であった会談で,両者は賃上げが不可欠との認識では一致した。深刻な人手不足も,賃上げには追い風だ。だが,今年も昨年までの賃上げムードが続くかは分からない。「官製春闘」の色彩が薄まっているためだ。

 経団連は過去5年間,安倍政権からの賃上げ要請に前向きに応じてきた。連合によると,月額賃金の過去10年の賃上げ率(定期昇給含む)は,2009~2103年は1.7%前後だったが,政権が賃上げ要請した2014年以降は2%前後に。昨〔2018〕年は,経団連の榊原定征前会長が安倍晋三首相が要請した「3%の賃上げ」の実現を加盟社に呼びかけた。

 今〔2019〕年も2%に達するかが焦点となるが,昨年5月に交代した中西会長がこの「官製春闘」に反発。今年1月に出した春闘の指針では「賃上げは,政府に要請されておこなうものではない」と明記し,脱「官製」を鮮明にした。賃上げへの首相の発言が例年より消極的なのは,中西氏への一定の配慮という見方が強い。

 政権の「圧力」が弱まり,経団連は賃金のベースアップ(ベア)への慎重姿勢を隠さなくなっている。ベアは,年齢に応じて賃金が上がる定期昇給のカーブ自体を引き上げるものだ。

 業績に連動する賞与と違い,将来にわたり人件費の固定化を招く。このため,春闘の指針では,過去のベアの「累積効果」をわざわざグラフ入りでアピール。「多様な方法による年収ベースの賃金引き上げや総合的な処遇改善」をかかげ,ベアに偏る交渉を牽制した。
 補注)そもそも21世紀に入ってからというもの,ベアという賃金の上昇傾向は非常に低迷してきており,だから安倍晋三が首相として経済界側にベアの引き上げを要請するといった,実に奇妙な「一種の圧力」をかけていた。この圧力に応じられる大企業は国際経済のなかで活躍し,収益構造も好調である会社であればともかく,日本国内を中心の舞台にして活動する中小企業にとってみれば,とんでもなく辛い「要求」であった。

 社会主義経済体制のなかではあるまいに(それでもいまどきの中国をみよ!),政府の要請:圧力を受けてベア,つまり資本主義経済体制のなかでこそ実施されているはずの「労使関係間の賃金交渉」を,アベノミクス「偽装」をとりつくろい,これを少しでも成立させえているかのように仮装させるために利用しようとしたのは,えげつないうえに節操すらもない「自由主義的国家経済体制の運営方法」であった。

 もっとも,社会主義経済体制のなかで賃金をどうする・こうするといった問題は,どこまでも一国内の賃金政策であったが,いまどき日本経済のなかで首相がベアを期待するなどといった要請は,国際経営となって事業運営をしている大企業にとってみれば,場違いのごり押しにしか受けとれない「安倍晋三流のお願いだった」という理解になる。


 それでも「安倍1強〔凶・狂〕」政権に逆らわずに対処していくためには,経済界側がそのベア要請にいちおうは応えるかっこうを演技していく必要があった。当然のこと,そうした不自然な労働経済の実情に対する働きかけであるゆえ,これが円滑に実現されていく保証もなかった。そのうち立ち消えになるほかなくなる必然性があったわけで,今年になるとそのとおりになっている。

 どだい,ベアはおろか賃上げさえままならない「中小・零細企業」の立場にとってみれば,安倍晋三君によるそれも「アベノミクス偽装」のための賃金政策(ベア・賃上げ)実施の要請は,トンデモなく身勝手な〈政治的強要〉以外のなにものでもなかった。もとよりそれに応えうる経営の余裕など,はじめからなかった。


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 1) 連合,要求の足並み乱れ  自動車総連,目標額示さず
 連合は「(月額)賃金にはこだわる」(神津会長)と,引きつづきベアを重視する姿勢を強調する。ただ,ベア率を前面にかかげる長年続けてきた戦い方の転換を図った。

 前年と同様に「2%程度のベアと定期昇給を合わせて4%程度」の賃上げは求める一方,個々の労組が将来の月額賃金の目標を設けて交渉にのぞむことも促すことにした。もともと賃金格差のある中小企業と大企業が同じベア率を求めていたら,格差が縮まらないからだ。

 連合の変化は,ベアをめぐって労組側が一枚岩になれない状況の反映でもある。自動車と電機という代表的な産業別労組の方針が分かれたのが象徴的だ。約1千労組でつくる自動車総連は今〔2019〕年,ベアの目標額を示さなかった。昨〔2018〕年までは3年連続で「月3千円以上」としていた。

 ベアの必要性は強調するが,具体的な目標額の設定は,個別労組にゆだねるという。自動車総連の金子晃浩事務局長は「個別の労組がみずから積み上げた考えを提案する方が,説得力のある交渉になる」と話す。一方,電機連合は4年連続で「月3千円以上」を求めた。神保政史書記長は産別労組がベアを打ち出す意味について「一定の相場観をつくり,中小への波及効果を狙う」と強調する。

 ベア額をあいまいにする動きはトヨタが昨年,先陣を切った。労組は「月額3千円増」のベアを求めたが,経営側はベアだけでなく定期昇給や手当なども含めた賃上げ幅を回答。労組もこれを受け入れた。トヨタ労組は今年,ベア額明示の要求をやめる方針だ。春闘は今後,大手労組が2月中旬に要求を出し,大手は3月中旬に回答が出そろう。ベア非開示の動きが広がると,連合が春闘による賃上げの成果をつかみづらくなる恐れもはらむ。
 補注)20世紀後半期における話題「賃金形態の発展史」であるならばさておき,21世紀に入ってから日本企業のなかでベアという「賃金引き上げ交渉のための基本条件」は,実質的に通用しにくくなった。大企業中心に「ベア」ではなく,「定期昇給や手当,賞与(一時金)」のほうに重点を置いた賃金支払形態に移行してきた情勢変化のなかで,ベアじたいにこだわる賃上げ要求の労使交渉では,最近における賃上げの交渉問題に関する中心部分は確実に認識しにくくなる。

 アベノミクス(アホノミクス・ウソノミクス・ダメノミクス)は,国家次元で担当すべき経済政策のひとつとして「企業経営側が担当する賃上げ」の問題を,どのような形態であっても促進しやすくするための支援をおこなうのではなく,首相みずからが大企業を中心に「ベアをしてくれ」と強要するかのように頼みこんでいたのだから,これは本末転倒である。それどころか,いったいいつからこの国は共産主義国家体制の,しかも「できもしない:まねごと」をいいだしたのかといぶかるほかない。

 それもこれも,安倍晋三の唱えてきたつもりの「アベノミクス」を実現させるために,財界側に対して「ベアの要請」をしたとなれば,まさか労働者・サラリーマン(もっぱら大企業だが)の味方になったかのごときに,この首相の立ち位置が登場したかといえば,けっしてそうではなかった。要は「オレノミクス=アベノミクス」が達成されていると,彼自身が少しでも感じてみたい経済状況を,「ウソノミクス」的にでもいいから仮象させてみたかったがゆえ,そうした「ベアの要請」が提示されていた。

 「アベノミクス」が高唱されるやただちに,経済学者の浜 矩子(同志社大学教授)このミクスを「アホノミクス」と蔑称し,のちに植草一秀(国策捜査にはめられた体験をもつ経済学者)が「アベノリスク」と指弾したのは,それなりに十二分の事由があった。安倍晋三はできもしない経済政策に「自分の姓」を冠した〈ミクス〉を提唱したわけである。

 だが,まともな経済学者にいわせれば “そんなものはありえない” ものであったか,あるいは “大昔前に提唱された記憶のあるオンボロ仕様の経済政策” であったかに過ぎなかった。それでも,この安倍晋三という総理大臣は,21世紀初頭の日本政治経済史のなかに「自分の名を付した経済政策の〈有意義性〉」を記録させたかった。しかし,その「歴史の記録」はといえば,どうしようもないくらいに〈汚名・不名誉〉なものになる予定しか保証されていない。

 先日,本ブログはこういう趣旨の文章を書いていた。アベノミクスは,「円安⇒輸出増大⇒設備投資活発化⇒賃金上昇・内需拡大⇒消費者物価上昇(そしてリフレ目標値達成)」の好循環を前提していた。しかし,このもくろみは,昨今における「国際経済の機構・動向」が「一国経済内における次元」のほうにあっても,そのまま同じ具合に直接的に反映され,うまく現象すると錯覚した想定にもとづいていた。

 ともかくも,現実における日本経済の動向は “そうは問屋を下ろさせなかった” 。それだけしかない結末になっていた。昨年(2008年)中,実質賃金の動向はこうなっていた。
 根本 匠厚生労働相は〔2019年2月〕5日午前の衆院予算委員会で,野党による2018年1~11月の実質賃金の伸び率がマイナスになったとの独自試算を事実上認めた。野党は政府の公表値よりも実態に近い「参考値」をベースに計算した。「機械的な消費者物価での計算という前提の限りでは(野党の)おっしゃるとおりだと思う」と述べた。立憲民主党の西村智奈美氏への答弁。
 註記)nikkei.com 2019/2/5 11:40,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4089904005022019EAF000/
 安倍晋三による財界側に対する「ベア3%確保」の要請は,要するに「アベノミクス偽装」を助けてくれという,いうなれば “ごり押し・強請” を意味していた。アベノミクスが当初かかげていた具体的な目標が,まともに達成されたという実績はなにもない。だからこの先には「アベノミクス偽装」が,どうしても必要になっていた。

 もっとも,財界側にベアを要請した安倍晋三政権の狙いは,2018年中における労働者・サラリーマンの家庭経済にとってみれば,部分的な達成どころか,完全に破綻していた。冗談にすらなりえなかったのが「アベノミクス」の提唱であった。おまけに冗談が過ぎているのであったが,その後においても経済運営が思いどおりにはうまくいかない様子を必死になってとりつくろうために,こんどは「アベノミクス(の)偽装」まで手を染めはじめていた。ここにいたり,この総理大臣の運命は「一巻の終わり」だと決めつけておく。

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 2)「働き方改革」実現どこまで
 今春闘では,今〔2019〕年4月以降に順次施行される働き方改革関連法が求める環境を,どこまで実現できるかも焦点だ。

 大企業には来〔2020〕年4月に適用される「同一労働同一賃金」は,政府がガイドラインで正社員と非正社員の不合理な格差の是正を原則としたうえで,正社員の待遇引き下げによる是正は望ましくないとしている。

 非正社員が多いNTT労組は,ガイドラインをもとにグループ各社の正社員の基本給や手当などを分析し,同等にすべき項目と一定の違いを認める項目を整理。幹部は「今春闘を皮切りに格差是正にとり組む」と語る。

 「残業時間の上限規制」は今〔2019〕年4月に始まる。みずほ総研は,各社の残業規制で1人あたり月約7万円の残業代が浮くと試算。削減分を別の形で還元できるかも争点になりそうだ。
 補注)この項目に関する関心事に関しては,非正規社員の待遇改善が正規社員の待遇悪化(賃金低下)につながらないかといった懸念,そして,残業規制を厳格にできるほどに「残業なしでの賃金総額」が “まともな水準” に維持できるかという論点も残されている。

 3) 非開示,賃上げの流れ弱める恐れ
    -「日本総研の山田 久主席研究員の話」-

 デフレからの脱却にはゆるやかな賃上げの持続が欠かせない。生活が安定して消費が活発になるには,月の固定給を引き上げるベアが重要だ。トヨタのベア非開示に「春闘の牽引役がいなくなる」との批判もあるが,すべての企業が成長を共有する時代は終わり,トヨタの賃上げが中小企業に波及する効果は弱まっていて仕方がない面もある。

 ただ,トヨタに限らず本来ベアは開示するべきだ。賃上げに後ろ向きな企業が多かった中で,「官製春闘」がベアの必要性を社会で共有する流れを呼び戻してきた。非開示が広がれば,ベアの重要性が薄れてその流れが弱まる恐れがある。(引用終わり)

 トヨタは世界的企業として自動車産業では1・2位(ここでは販売台数)をいつも争ってきたが,電気自動車を中心とする自動車産業において実際に展開されつつある画期的な変革や,日本国内における自動車じたいに対する需要の低下傾向には,相当神経質になって経営をおこなっている。
自動車国内需要推移
国内自動車需要推移(2017・2018年度)
出所)http://www.garbagenews.net/archives/2031049.html

トヨタ自動車決算純利益2018年3月期決算
出所)https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/
investors/library/annual/pdf/2018/annual_report_2018_fij.pdf
 【最新記事追補】

◆ トヨタ,純利益25%減 保有株評価損で
下方修正 3月期予想 ◆

=『朝日新聞』2019年2月7日朝刊8面「経済」=

『朝日新聞』2019年2月7日朝刊トヨタ決算
 トヨタは純利益の予想を下方修正した。トヨタ自動車は〔2月〕6日,2019年3月期の業績予想を下方修正し,純利益の見通しを従来の2兆3千億円(前年比7.8%減)から1兆8700億円(25.0%減)に引き下げた。新車販売は堅調を維持するが,株式相場の下落で保有する株の評価損が利益を押し下げるとみる。
 トヨタがベアを非開示にするという労務戦術(経営戦略とまではいえないもの)は,何兆何千億円もの純利益を計上できるこの会社であっても,「一寸先は闇」かもしれない資本主義経済体制下の企業競争を強く意識しているからであった。

 ② 日常生活用品がじわじわ値上げされている
    -アベノミクスなど「▲ソ食らえ」の日本経済の
       現実様相,賃金上がらぬが,モノみな値段は上がる-

 「あぁ続く値上げ カップヌードル193円に 日清,6月出荷分から 森永の牛乳,4月分から」(『朝日新聞』2019年2月6日朝刊6面「経済」)
『朝日新聞』2019年2月6日朝刊4面「経済」日清値上げ
 a) 日清食品は〔2月〕5日,即席のカップ麺や袋麺,カップライスなど同社製品の約8割にあたる計約160品目を,6月1日出荷分から値上げすると発表した。

 メーカー希望小売価格を4~8%引き上げ,「カップヌードル」(レギュラー)は税抜き180円から193円,袋麺の「チキンラーメン」(レギュラー)や「出前一丁」は,同105円から111円になる。値上げは2015年1月以来,4年ぶり。原料となる具材や包材費のほか,製造ラインの人件費や物流費も上昇しているためという。

 b) 森永乳業は5日,牛乳やヨーグルトなど計45品を,4月1日出荷分から値上げすると発表した。出荷価格や希望小売価格を3.0~8.3%引き上げる。原料となる生乳の価格が4月から引き上げられるため。乳業大手では明治に次ぐ値上げの発表となる。

 「森永のおいしい牛乳」(1リットル)は出荷価格の引き上げで,スーパーなどでの実勢価格が現在の税抜き220~230円から10円ほど高くなるみこみ。「ビヒダス  プレーンヨーグルト」(400グラム)は,希望小売価格を10円引き上げて220円にする。(引用終わり)

 家では料理をしない本ブログ筆者であるが,配偶者とは食材の買い出しにはよく同伴する。そのさい配偶者の口から出てくる嘆きは,いつの間にかスーパーの食品売り場の品物はじりじりとひそかに値上げされているし,値上げしないもの場合は,やはりひそかに中身の分量を徐々に減らしているというものである。 
【補足説明】
 前後する文章を書いたあと,この記述をすでに公表した直後であったが,『日本経済新聞』から送信されてきたあるメール記事のなかには,このような段落があった。紹介しておく。

 容量を減らして実質的に値上げすることを俗に「シュリンクフレーション」といいます。シュリンク(縮む)とインフレーションを合わせた造語です。調べてみるといろんな商品が実質値上げをしています。チョコレートのような菓子が値段も外箱もそのままなのに,内容量が10~20%くらい減っていると聞いたら驚くのではないでしょうか。

 家事に敏感であった人は「○○の中身が最近減った!」と気がついていたかもしれません。しかし,多くの人たちがあまり気にしないあいだに,冷凍食品やコンビニエンスストアの弁当,あるいは洗剤など日用品はじわじわ実質値上げをされていたのです。

 新製品や新パッケージを発表し,高機能をうたいつつ,内容量を減らしている例もあります。注ぎ口が衛生的なキャップになったと思ったら内容量が10%減っているということもあります。値段据え置きでもこれでは実質的な値上げでしょう。あなたが気がつかないうちに,実はもう物価は上がり始めているともいえるのです。
 註記)「実は相次ぐ『値上げ』 家計防衛へ商品価格を再点検 物価上昇をマネーハック(1)」『NIKKEI STYLE マネー研究所』2019/2/4,https://style.nikkei.com/article/DGXMZO40658730Q9A130C1000000?channel=DF260120166518&n_cid=LMNST002&page=2

 以上のごとき日常品に関した物価「感」についてであるが,その実感でいえば「値上げ感」が「2~3%」内に収まっているとは,とても思えない。大部分の国民たちにとって実質賃金が上がらない経済生活のなかで,物価の実質的な値上がりだけは大いに先行している。つまり,こちらは「2~3%」以上にしか観察できない話題であった。冒頭での話題「ベアが3%だ,2%だ」という数値は,現実の実感から外れている。

 この指摘は,一世帯の消費者による単なる主観的な感想ではない。その事実は,つぎの参考になる記事がある。題名と住所(リンク先)だけを掲示しておく。

   ※-1「値上げ2019 / 食料品やサービスの値上げはいつから?  月別一覧」(『夜更けの瓦版』2019年2月6日,⇒ https://shabonyukuro.com/price_increase/

   ※-2「2018年の値上げリスト一覧!  その種類や食品が値上がりする理由は ... 」(『メディアアラカルト』2018年1月29日,⇒ https://kyoukaran.com/neage-risuto/

 安倍晋三君がもしも,労使間における交渉の題材である「ベアの率」に問題があると考え,労使関係のその交渉に「政府の立場」から口出しをしたのであれば,それと同時に企業に対しては「製品・サービスの値上げ」をしないように要請(ごり押し?)しなければなるまい。

 しかし,そこまではいくらなんでも「さすがの安倍首相」であっても,できることではなかった。こちらにおける現実の問題は「アベノミクス」が直接手出しできる領域にはない。となればこれもまた,「アベノミクス偽装」を必然的に誘導とさせる不可避の関連問題を示唆していた。

 ③ このコラム記事を読んで庶民はどう感じるか
    -「〈経済気象台)千日手の景気談議」-
     (『朝日新聞』2019年2月6日朝刊面「国際」)

 ※ 事前解説 ※ 「千日手(せんにちて)」とは,将棋で双方とも他の手をさすと不利になるので,同じ手順を繰り返してさすほか仕方がなくなること。
 --今秋の消費税率引き上げをめぐり,中止か断行かの議論が活発になってきた。景気の拡大は続いているが,先行きの不安もみえ隠れするからである。しかし,平時における景気に関する議論は,将棋でいう「千日手」だ。みな安心しておしゃべりをするため,堂々めぐりを繰り返す。
 補注)「景気の拡大は続いている」という経済状況に関する認識は,まさしく安倍晋三に対して「忖度」した,うわずった評論である。庶民目線でも明白な事実,いいかえれば「実質賃金が上がらず,物価モノみな上がる」日常経済の事情推移のなかで,このように堂々といえる神経が疑われる。たとえ,口先だけでの忖度「発言」であってもいただけない。その点は,以下に続く議論じたいが自白している。

 リーマン・ショックの時のように,「不況」を実感するときの論議は,やがて「状況をどう突破するか」に収斂する。いまは,失業率や有効求人倍率の改善,倒産件数の減少,企業収益の拡大などの指標がどんなに改善しても,「だが」と反論が続く。

 おなじみの「消費者には実感がない」からはじまって,日本銀行の政策運営や財政支出の問題点の指摘もあれば,貧困や格差,はては「ハイパーインフレが来る」といった無数の議論がある。問題はつねにある。議論の基準が無数にあるからだ。それゆえ,経済・財政政策の議論に終わりはなく,しかも論者の「正義感」や「信念」もくわわる。

 国民の関心は分かりやすいものに向きがちである。たとえば,インフレへの警戒が消えなかった白川方明・日銀前総裁と,デフレを否定する黒田東彦・日銀現総裁の政策のどちらがよいか。あるいは,民主党政権の政策とアベノミクスの比較などが好まれる。もちろん議論にはプロとアマチュアの差はある。だが,プロの議論がいつも要点をえているとは限らない。

 世界に広がる「トランプ現象」は,ジャーナリズムを含めた「プロ」の敗北の証明なのだろう。結局,庶民の暮らしが悪化する政治は歓迎されない。耳の痛い話はなにかと敬遠されがちだが,いつまでも「千日手」ではなにも進まない。(遠雷)(引用終わり)

 この議論はなにかを抽象的に語っているようでありがら,結局,具体的にはなにも語っていない。本格的な議論に立ち入る前に,そのまわりをうろうろしているだけ。日本経済の現状はこのような議論以前の議論では,なにも進展させえない。前提にある問題に対する「コラムの説明」としても,寸足らずもいいところであった。現在でも,経済政策として政権(権力)側がやるべきこと:できることが,それほどむずかしい状態にあるとは思われない。

 日本以外の先進国がそのあたりの見本・先例は,いくらでも示している。まず少子高齢の問題? この解決策に向かうにはアベノミクスは,もともと無理であった。だが,ヨーロッパ諸国の実例においては,その模範性は万全ではないものの,的確に明示されてきている。そのマネさえする気がないのが,安倍晋三政権。

 教育問題もしかり。サラ金まがいの日本学生支援機構の貸与型奨学金制度になると,最近では「奨学金の利子」過払い請求訴訟まで惹起させうるほどである。その制度運用の実態は,回りまわって「日本国内の労働力調達」や「労働者の育成・養育」に対して大きな障害になっている。

 視点を広げていえば「自分(自国)で自分(自国)の首を絞める」育英制度。ここまで来ると「狂った奨学金制度」を国家みずから運営・維持していると非難されていい。その利子過払い訴訟の向こう岸には,この問題に関係の深い営利追求の金融機関が立ち並んでいる。

 保育所問題も安倍晋三は「やるやる詐欺」同然のぐずぐず対策しかおこなわないでいる。軍事費予算ばかり考えるヒマがあるならば,待機児童を1人も出さないようにする手立てなど,すぐに実現するための予算確保など容易である。

 だが,この「子ども(初老の小学生・ペテン)総理大臣」の頭には,「兵器のオモチャ」の調達(目先の問題)に勝る国家予算の使い道はない。彼こそが「国民たちの日常的生活な立場の利害」とってみれば,これ以上はない「最悪の首相」である由。

 21世紀の第2・十年期にとって,アベノミクスなどと自称された経済政策がまともになりたつ事由:余地など,もとよりありえなかった。安倍晋三君の頭のなかには「アベノミリタリノミクス」的な細胞が充満している。それだけのことであった。

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