【大企業の労働組合を中心に,親方日の丸で『原発支持・推進派』の立場であったエセ労組的な労働組合組織が,そろそろ原発反対のほうに体を入れかえている】

 【いまごろにもなって労働組合が原発反対派に変身などするとは,ずいぶんと「遅きに失していた」,単なる風見鶏的な原発「観」の変更に過ぎなけれども,変えないよりまだマシか】

 
   
 ①「国民〔民主党〕『原発ゼロ』削除→復活 公約向け政策,野党共闘阻むと反発受け」(『朝日新聞』2019年2月22日朝刊4面「総合」)

 国民民主党が参院選の公約を念頭にまとめるエネルギー政策で,いったん削除した「原発ゼロ」の目標を復活させる。立憲民主党など主要野党は「原発ゼロ」をかかげており,野党共闘の阻害要因になりかねないとの反発が相次いだため。〔2月〕22日に総会を開き,「原発ゼロ」を含む文案を了承する見通しだ。

 関係者によると,「2030年代原発ゼロに向け,あらゆる政策資源を投入」という文言に修正する方向で調整している。〔1月〕21日までに支持団体で組織内候補を抱える電力総連や電機連合などに説明したという。国民は19日のエネルギー調査会総会で「2030年代をめざし,できるだけ早期に原子力エネルギーに依存しない社会を実現する」とする中間報告案を了承。工程表の作成を急ぐことも確認した。
 補注)ここで「2030年代原発ゼロに向け」という表現(文言)は気になる。2030年代というのは,もちろん「2030年から2039年」まで幅のある10年間を指すが,以前であれば「2030年」という「年」じたいがその「原発ゼロ」を達成するための区切りとなる年次とされていた。ところで,この記事では「2030年代」というふうに,いうなれば完全にゴマカシ風の表現が工夫されている。あれこれ都合もあって,そのように幅をもたせねばならない事情があるらしい。

 「2030年代原発ゼロに向け」ではなく,実質的な提唱としては「2030年に原発ゼロ」といっている政党に,なんと与党・政権党である公明党があった。こう主張していた。公明党のホームページには『原発ゼロの社会へ』(日付の明示がないが,2014年12月中である「3・11」の1000日後の当日に記述された文章,https://www.komei.or.jp/content/nuclear/)と題した1文が公表されていた。

 これは,いまから5年近く前に公表されていたが,以下では初めから3分の1ほどを引用しておく。ここに唱えられている内容そのものは,原発「反対」論としては優等生的な文面である。
★ 公明党は「原発に依存しない社会
  ・原発ゼロ社会」をめざします ★


 東京電力福島第1原発事故を受け,国民の原発の安全性に対する信頼は崩壊しました。また,放射性物質による汚染など取り返しのつかない大損害を考慮すると, “原発はコストが安い” という神話も崩れ去りました。

 こうした状況を踏まえ公明党は,

  (1)  太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及

  (2)  省エネルギーの促進

  (3)  化石燃料を有効に利用する火力発電の高効率化
 
の3本柱で持続可能な経済社会の構築と経済成長を両立させながら,原発への依存度を徐々に減らして,将来的に「原発に依存しない社会・原発ゼロ社会」をめざします。そのために公明党は原発の新規着工は認めません。また,建設後40年を経た原発の運転を制限する制度を厳格に適用します。
 ここでの補注)公明党はこのように「原発の新規着工は認め」ないし,「建設後40年を経た原発の運転を制限する制度を厳格に適用」と断わっているものの,必らず廃炉に措置させるとまで断言していない。

 たとえば『既設の全原子力発電所の未来について』と題して,国会議員の「辻元清美がまとめた文書」は,「建設後40年」が経過する時期が「2030年」以降になる原発一覧を,つぎのように分かりやすく,整理している。
 2030年以降稼働40年原発一覧辻元清美事務所作成
 註記)「色帯」の原発は「1975年12月以前に原子炉設置許可が出された原発。
 「色帯」の原発,は原子力規制委員会が活断層について追加調査を求めた原発,引き続きデータ拡充に努める原発。

 ⚫印は,原子力規制委員会が,活断層で〔が〕ある可能性が高いと大筋合意しているもの。
 ▲印は,原子力規制委員会が,敷地内破砕帯の最近の活動可能性の有無について追加調査を求めたもの。
 △印は,敷地内破砕帯の活動性を判断するには情報不足で,引きつづきデータ拡充に努めるもの。
 出所) 辻元清美が2013年2月7日,「衆議院予算委員会」で使用したパネル・配布資料:「既設の全原子力発電所の『未来』について」(「衆議院調査局資料」で「原子力規制庁資料より辻元清美事務所作成」)https://www.kiyomi.gr.jp/wp/wp-content/uploads/blogs/pdf/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%AB_%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%B8%80%E8%A6%A7_%E7%B8%A6.pdf 。

 〔ここでは直前の公明党の文章に戻る→〕
 原発の再稼働については,原子力規制委員会が策定した新しい規制基準を満たすことを前提に,国民の理解と原発立地地域の住民の理解をえて再稼働するか否かを判断します。

 新基準では,以前の技術で設置された原発を,最新の知見にもとづいて見直す「バックフィット」制度や,活断層などの徹底的調査を進めることなどが盛りこまれており,世界一きびしい基準となっています。

 しかし,安全に十分ということはなく,今後も不断の努力が必要ですが,新基準による規制は信頼に足る内容だと考えています。

 使用済み核燃料の再処理については,立地地域への配慮は欠かすことなく,使用済み核燃料を再処理せずにそのまま地下に埋める「直接処分」も含めて見直しを提案しています。高速増殖炉 “もんじゅ” については廃止を進めます。 
 以上が,公明党が2014年12月の時点で提示していた「原発観」である。いささか周囲の状況(「原発理解に関する諸見解」)をきょろきょろみまわしながら,公明党の「独自の見解」を表示するかたちにはなっていたものの,原発稼働に対する国民たちの不支持は現在でもそうであるように「6割以上7割にまでもなる」状況を受けて,公明党はこうした『原発廃絶』の立場を,ヌエ的な立場に追いこまれつつも表明せざるをえなくなっていた。

 もっとも,前段のごとき原発「観」の基本的な立場が再稼働促進・原発維持の「価値観」と相容れない点は,贅言するまでもなく明白であった。ただし,もう一歩踏みこんでいえば,このあたりの問題に対する公明党の立場は,ともかく不明瞭,不徹底であった。

 〔 ① の記事に戻る→〕 これまでは「2030年代原発ゼロ」をかかげてきたが,現実路線をアピールすることで,原発ゼロ基本法案を国会に提出した立憲などとの差別化を〔国民民主党は〕図る狙いがあった。ところが,翌20日の執行役員会で「原発ゼロ」の文言を削除したことに批判が噴出。「原発ゼロ」の方針から後退したと受けとられかねないという懸念の声が噴き出した。(引用終わり)

 これまで,国民たちの「対・原発観」は,各種世論調査が継続して「原発利用じたいに反対する声が6割から7割台である事実」を伝えてきた。原発に対する国民・有権者のそうした基本的な意識だけでなく,最近になって結論が出たといえる「日本の原発事業(新設原発市場の開拓・創造・進出)」不調に終わった事実は,看過できない。

 いいかえれば,それが事業領域的にも実質的に完全に失敗に終わっており,現状を回復する展望ももてない事情に照らしても,本日のこの記述が問題としている,とくに大企業所属の労働組合の関係も考慮に入れて考えると,もはや原発の維持・再稼働にこだわる者は,個人であれ企業経営であれ政治家であれ,誰でも「時代の流れ」「原発の本質」を正視できていないとみなしていい。

 日本の労働組合連合(上部組織)は,職種別・産業別単位でも組織されてはいるものの,それ以前において企業別の単位での所属意識がきわめて強いがゆえに,労働者たちが自分の会社が原発事業で儲かっている時期・環境であれば,「支持する政党」(与野党を問わず)に対しては,その個別労組の利害の立場・利害を基本に置いて「支援するか・しないか」に関する態度を決めてきた。

 だが,現在に至ってはその必要性など消滅した。日本の重化学工業会社にとって原発事業は,いまでは重荷どころか「手かせ・足かせ」の状態からさらに「くびき」にさえなりつつある。東芝の原発事業に関する「経営者の失策・失敗」,日立製作所の「海外原発事業の頓挫」は,各社の労組にとっても看過できない経営不振の原因・理由であって,これらから大きな影響を受けざるをえない。

 したがって,これらの労組が支持しようとする特定の政党がある場合,いまどき「原発再稼働・推進」を組合が政党を支持するさいの基本方針にすることは許さない時代になっている。それにしても,最新における日本の原発事情は,どうなっているか?

 2011年の「3・11」東日本大震災を引き金とした原発事故発生以降,日本で新設して稼働できた原発は1基もない。スリーマイル島原発事故が起きた1979年3月28日以降,アメリカでは新設がないわけではなかったもの,一気にその勢いが落ちた事実と併せて考慮すべき《原発事情》があった。
▼ 島根原発3号機 稼働は見通せず ▼
= nikkei.com 2018/12/29 =


 エネルギー関連でも,中国電力の島根原子力発電所(松江市)が建設中の3号機の稼働に向けて一歩を踏み出した。立地自治体の島根県と松江市の了解をえたのち,〔2018年〕8月に原子力規制委員会に安全審査を申請した。

 3号機は建物や設備がほぼ完成しているが,東日本大震災の影響で営業運転開始時期が未定となっている。火力発電所の老朽化が進み,中国電は「代替電源の確保が必要だ」(清水希茂社長)と強調する。

 建設中の原発の審査入りはJパワーの大間原発(青森県大間町)に次ぐ2例目だが,今後の展望は開けていない。規制委が〔2018年〕9月に開いた同機の審査会合で,申請書の不備を指摘する声が上がり,審査は当面休止となった。5年前に再稼働を申請した2号機の審査を優先する規制委の方針もある。

 3号機の安全審査申請をめぐっては,立地自治体である島根県,松江市と,原発周辺30キロ圏内の島根・鳥取両県5市や鳥取県とで立場の違いも浮き彫りになった。現在は中国電と結んだ安全協定にもとづき立地自治体だけに事前了解の権限があるが,周辺自治体の間では,立地自治体並みの権限をもつ協定締結を求める声が高まった。
 註記)https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39553150Y8A221C1LC0001/
 ②「労組『連合』が連合できないワケ 『立憲』と『国民』の間で右往左往」(『FNN PRIME』2018年5月25日金曜 午後5:00,https://www.fnn.jp/posts/00315960HDK

 この放送記事は,いまから9ヶ月前の内容になる。この解説番組は3行の要点にまとめると,まず以下の「◆ ◆」のように整理されていた。なおその間において(※)の点は, ① で関説してきたとおりすでに完全に変質しており,「時代遅れ」の「原発ゼロ」観になっているごとき問題であった。

 さらに断わっておくと,FNN(フジテレビ)は,系列新聞である産業経済新聞社(産経新聞社,『産経新聞』)を従えているとおり,特定の政治的傾向を強く帯びている,一定の色が漬いている報道機関である。つまり原発「路線」に基本的に賛成。このフジテレビの解説番組が議論していたのである。  

    ◆ 3-LINE SUMMARY
      ★  連合の課題は,野党第1党となった立憲民主党との関係修復
      ★  立憲の「原発ゼロ」政策に,連合内の一部労組が慎重姿勢(※)
      ★  連合・神津会長が,立憲・枝野氏に意外なリップサービス?

 1)野党結集へ右往左往する連合
 約700万人を擁する労働組合の中央組織で,民進党の最大の支持団体だった「連合」。この連合がいま,来年夏の参議院選挙に向け,民進党から派生した立憲民主党と国民民主党との間で右往左往している。

 連合は〔2018年5月〕24日の中央執行委員会で2019年参議院選挙の「基本的な考え方」を決めた。それは,立憲民主党と国民民主党を事実上支援すること。まずは両党と政策協定の協議に入るとした上で,10月をめどに両党と締結する方針だ。

 2)連合はこれまで民主党や民進党を支援してきた。
 しかし,去〔2017〕年の衆院選で民進党は小池〔百合子〕東京都知事の結成した希望の党への合流に踏み切り, “排除された” 議員を中心とした立憲民主党が結党。野党分裂の選挙となったため,連合は特定の政党の支援ができず,存在感を示せなかった。

 その後,連合の執行部は,残された民進党と希望の党の合流による国民民主党の結成に肩入れしたが,その結果,立憲民主党との間にヒビが入ってしまった。

 3)立憲との関係修復に “アキレス腱”
 関係修復にむけて,連合の神津会長は〔2018〕5月16日,立憲民主党の枝野代表らと5か月ぶりに会談した。神津会長は,2019年の参議院選挙での支援に向け,「立憲民主党と国民民主党との政策協定締結に向けて連携・調整していきたい」としたうえで,「政策協定がそれぞれ違うのは二枚舌になる」と指摘。立憲民主党・国民民主党と同一の協定を探る方針を示した。

 これに対し,枝野氏は「連合とはめざ指すべき社会像について共有している」と前向きな姿勢を示した。実は連合は,この政策協定を立憲に拒まれるのを警戒し,かなりの緊張感をもってこの会談に臨んだという。それには連合と立憲との関係のアキレス腱ともいえる理由があった。

 4)連合に亀裂が走るワケは「原発ゼロ」-立憲民主党などが「原発ゼロ基本法案」を提出
 立憲民主党は今〔2018〕年3月,運転中の原子力発電所の速やかな停止などを盛りこんだ「原発ゼロ基本法案」を国会に提出した。希望の党と民進党にも共同提出を呼びかけたが,両党は応じなかった。この原発ゼロ政策こそ,連合にとっては分裂含みとなる頭の痛い問題なのだ。

 連合は,1989年に公務員ら官公庁の労組を中心とした「総評」と,民間企業の労組を中心とした「同盟」が合同する形で誕生した。旧同盟系には,電力会社の労働組合である「電力総連」などが含まれる。原発に関わる仕事に就いているこうした労組にとっては,働く場を確保するためにも,原発ゼロに容易に賛同するわけにいかないのだ。

 そのため連合内では,地方自治体の職員らの組合「自治労」や,教職員の組合「日教組」のような旧総評系労組が原発ゼロをかかげているのに対し,旧同盟系は原発ゼロには慎重,あるいは反対姿勢と溝が生じている。そこに,立憲の”あの人物”まで,意見表明を始めたのだ。

 5)菅 直人元首相の “牽制”
 原発ゼロをかかげる菅 直人元首相は〔2018年5月〕12日のブログで,連合傘下の組合が立憲民主党を支援する旧総評系と,国民民主党を支援する旧同盟系に大きく二分されたと指摘したうえで,その理由を「原発ゼロ政策に対する姿勢の差だ」と述べている。そのうえで「国民民主党は連合の原発容認グループに依存しすぎぎだ。原発ゼロ政策に踏み切れば,『原発ゼロ』の旗のもとに野党が結集することは可能だ」と強調した。

 菅氏はさらに「国民民主党の幹部から,参院比例選では立憲民主党と『統一名簿』で戦いたいという意見が一方的に発信されていますが,ありえません。原発ゼロを公約した立憲民主党が原発を実質推進しようとしている電力総連の候補者を統一名簿に載せることは有権者を欺くことになるからです」と統一名簿構想を強く牽制した。
 補注)ここまで記述を進めてくれば,①「国民〔民主党〕『原発ゼロ』削除→復活  公約向け政策,野党共闘阻むと反発受け」(『朝日新聞』2019年2月22日朝刊4面「総合」)という記事の意味が,より分かりやすくなるはずである。

 6)「原発ゼロ」の溝を乗り越えて,野党結集はできるか
 先述の神津会長と枝野氏の会談後,2人が記者団の取材に応じたさい,気になる場面があった。記者団から枝野氏に「連合の支援を受けると脱原発の旗印がみえにくくなるのではないか」という質問が飛び,枝野氏は一息おいて「連合の皆さんのめざす社会と立憲民主党のめざす社会はおおむね共有できている。応援してもらえるのは大変ありがたい」と述べた。

 そこで取材は終わるはずだったところに,神津会長が切りこんできた。「連合も原子力エネルギー依存からの脱却等は考え方としてもってますので! そこは誤解なく!」 神津会長みずから,立憲民主党の原発ゼロ政策に歩み寄ろうとしたともとれるこの発言は,いままで支持母体として強気だった連合が野党結集を実現するために,下手に出ようとしているようにも感じた。

 神津会長は会見のさい,原発政策について頻繁に工程表の重要性を強調した。連合の幹部も「新規建設は必要ないというのは乗れる。原発ゼロの工程表を作って,現実的な過程を盛りこんでもらえればいい」と話す。ただ『原発ゼロ』をかかげる立憲民主党と,『原発に依存しない社会』にとどめたい連合が工程表で一致するのは簡単ではない。民進党時代に原発ゼロ政策を進めたい蓮舫元代表が連合との関係に苦しんだのもその証左といえる。
 補注)連合を組織する各種別の諸単位を構成する労働組合組織のなかには,自社が原発事業にたずさわっていた場合,この会社の労組は連合に加盟する立場にあっても,当然のこと,「反原発」はおろか「再稼働反対」の立場さえまったく表明できていなかった。だが現在は「その正反対の立場」でもかまわない状況に急変している。つまり,立憲民主党と国民民主党とのあいだでは,原発に関する意見に関して,基本的に違いを発生させる基盤はなくなっている。

 7)参院選も分裂選挙に?  一本化の行方は…
 連合が〔2018年〕5月24日に決定した「参議院選挙の基本的な考え方」では,比例区について「ひとつの政党で闘うことは困難とみざるをえない」と指摘した。連合傘下の組合のうち,すでに自治労や日教組,私鉄総連は,組織の支援する候補が立憲民主党から出馬する方針を発表した。

 一方で,自動車総連や電力総連の支持を受けてきた議員は現在,国民民主党に所属していて,比例区が分裂選挙となるのは濃厚だ。しかし,選挙区で1人しか当選できない「1人区」が多い参院選において,野党が巨大与党に対抗するには候補者の一本化が不可欠だ。

 元民進党のベテラン議員は「支持率の高い立憲民主党,選挙の強い中堅議員と地方組織の国民民主党。この2党の連携なくして,自民党には勝てない」と語る。その一本化のカギを握るのが連合だ。しかし連合が主導した国民民主党の結党にあたっては,民進・希望両党の107人のうち,62人しか参加しなかった。

 関係者は「希望と民進の幹部が根回しをできなさすぎて,連合幹部が多数派工作に手をかけたが,連合が政治に介入しすぎて,国民民主党に参加する議員が減った」と,連合の失態・力不足を嘆いている。連合は『原発ゼロ』の壁を超えて,両党と政策協定を結び,野党が結集したかたちでの参院選支援体制を整えられるのか。その道のりは簡単ではない。(引用終わり)

 連合の期待するその『原発ゼロ』の壁は,今日報道されていた「国民〔民主党〕『原発ゼロ』削除→復活 公約向け政策,野党共闘阻むと反発受け」(『朝日新聞』2019年2月22日朝刊)という事情の変化が間違いなく確かろ路線として維持されていくのであれば,ひとまず除去されることになる。

 ③「電力総連など3労組,民進に『2030年原発ゼロ』再考を申し入れ 狭まる蓮舫氏への包囲網」(『産経ニュース』2017.2.18 07:00 更新,https://www.sankei.com/politics/news/170218/plt1702180006-n1.html

 この記事はいまから2年前の報道であり,しかもその間,とくに日本における原発をめぐる状況の変化が大きく,基本的ともみなせる変質があった。それゆえ,以下に引用する記事の内容は現時点に立って読むとき,十分に注意しつつ接する必要がある。

 --原子力産業と密接なかかわりをもつ電力総連,基幹労組,電機連合の3労組が〔2017年2月〕17日,民進党に対し,同党が検討中の「2030年原発ゼロ」方針を再考するよう申し入れたことがわかった。同日,都内で3労組の幹部が野田佳彦幹事長,玄葉光一郎党エネルギー環境調査会長と面会し,要請文を手渡した。原発政策をめぐる民進党と労組との対立が激化しており,蓮舫代表の指導力が問われている。

 「エネルギー・環境政策をめぐる諸課題に係る要請」と題した要請文は,電力総連の岸本 薫会長と基幹労連の工藤智司委員長,電機連合の野中孝泰委員長の連名で提出。平成23〔2011〕年の東日本大震災以来,電気料金やエネルギーコストの高騰が経済活動や国民生活に深刻な影響を及ぼしていると強調し「徹底した効率化やコストダウンなど現場で不断の努力を積み重ねている」と訴えた。

 そのうえで,蓮舫氏が3月の党大会で「2030年原発ゼロ」を打ち出そうとしていることを踏まえ「現場で働く者の窮状を踏まえていただき,安全性が確認された原発の再稼働やエネルギー政策の確立に努力してほしい」と求めている。

 蓮舫氏は17日午前,電力総連を訪れ,「原発ゼロ」達成の前倒し方針を説明。岸本氏らは「拙速に議論を進めるべきでない」と慎重な対応を求めた。党内では,「2030年原発ゼロ」の提案をきっかけに,労組関係議員と脱原発派との対立が先鋭化している。

 榛葉賀津也参院国対委員長は〔2017年2月〕17日の記者会見で,「なぜ,わざわざ党内が割れている印象を与えないといけないのか」と党執行部の対応を批判。蓮舫氏は党大会までに意見集約を図る意向だったが,方針明示の先送りも現実味を帯びている。(引用終わり)

 2年前の記事に報道されたこの中身に関していえば,この連合という労働組合のなかでも「原子力産業と密接なかかわりをもつ電力総連,基幹労組,電機連合の3労組」は,当時,民進党に対してこのように申しこんでいて,当時なりにおける「労組側としての利害関心」(原発再稼働・推進の立場)の立場を明確に提示していた。

 2017年2月時点において連合に加盟する傘下の有力労組が前段のような立場から連合に対して要求していた事実は,いまとなって回顧するまでもなく(同時に当時においてもそうであったという意味で),労組としては「会社側とひどく一体化しすぎている」「日本企業における労組:企業別の体質」にまつわる不利・弱点を物語っていた。

 すなわち,大企業の社員でもある労働組合員が基本的に会社のなかに囲いこまれた「労組を組織する1人ひとり」であるかぎり,原発に対する賛否も「会社員としての立場」を強制されざるをえず,1人の「自立した市民」としての立場から「原発に対する賛否」を表明できないままでいる。企業社会における「個々の市民」として会社員が,政治社会全体のなかでどのように日常的に政治に関与するかは,1人ひとりの政治的な自由である意識に属する問題であるはずだが,現実はそうはいかない。

 ④「JR東労組,反原発の旗幟」(『JR東労組 東日本旅客鉄道労働組合』2015年5月25日 15:14:04 更新,http://www.jreu.or.jp/static_page/05international/page55.html
さようなら原発 1000万人アクション
   
  原発いらない!  子どもを守ろう!  都内に響き渡った9・19集会

  明治公園を埋め尽くした60,000人が原発NO!
 1) 一致点は「原発はいらない!」
 〔2015年〕9月19日,明治公園は「さようなら 原発 1,000万人アクション」に労働組合,市民団体,個人6万人が集まりました。千駄ヶ谷駅から「さようなら原発  9・19集会」をめざす人の流れが延々と続きました。

 参加者は手作りプラカード,旗,横断幕などさまざまなかたちで原発NO! の声をあげました。大江健三郎さんらの呼びかけに応え,ナショナルセンターの枠を超え,市民団体・グループも「原発はいらない」の一点で結集しました。

 JR総連の旗のもと,JR東労組は約 1,200名の仲間・家族が集会とデモ行進に参加しました。「原発に頼らない平和で安全な社会を」という声は,ひとつの大きな社会的な声になりつつあります。私たちは,この集会に参加したすべての人びとの思いを一過性のものにせず,「原発をない安全な社会」を子どもたちに引きつぐための具体的な力にしていかなければなりません。

 2) 労働組合として「脱原発」を,旗幟鮮明に闘い抜こう
 しかしこうした6万人の人びとの声とは裏腹な現実も進んでいます。野田〔佳彦〕首相(当時)は国連で「日本は最大級に安全な原発をめざす」とスピーチし,原発輸出にも積極的な姿勢を示しました。また電力総連もまた先の定期大会で「原発推進」方針を確認しています。

 明治公園の集会にも多くの労働組合ののぼり旗がかかげられていましたが,最大のナショナルセンター連合傘下の労働組合の参加は少なかったのも現実です。6万人という多くの「原発いらない」という声があげられた意義の大きさと同時に,労働組合総体の現実も,私たちはしっかりとみておかなければなりません。
 補注)「最大のナショナルセンター連合傘下の労働組合の参加は少なかった」という事実に関しては,説明するまでもない事情・理由があった。前述のごとき原発(原子力産業)に飯の種を求めてきた重化学産業,そしてこの下請け産業群はいままで,絶対に「原発が要る」と認識してきた(させられてきた?)。

 福島第1原発事故により,常磐線の一部はいまだ寸断され,水戸地本の仲間たちは職場,仕事,そして家族との当たりまえの日常を奪われています。この事実を私たちは片時も忘れるわけにはいきません。私たちは仲間の仕事と職場を奪った原発に対し,労働組合として旗幟鮮明にして闘っていきましょう。

 10月には連合大会も開催されます。そこでの議論に注目しましょう。そして原発頼りのエネルギー政策の転換を実現し,安全で安心な社会を子どもたちに残すため闘っていこう。(引用終わり)
【参考資料:1】

   「JR常磐線の状況」「JR 常磐線の運転再開状況」(『ふくしま復興ステーション』2017年10月24日更新,http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/jrjoban.html)から。

 最新情報,平成29年10月21日(土曜日):「竜田駅(楢葉町)-富岡駅(富岡町)」間の運転が再開されました。
常磐線復旧状況

【参考資料:2】
JR東日本東北地方普通区間
 付記)「参考資料:1」との間には多少の不整合があるが,より新しい日付の説明が正しいものになる。山田線「都-釜石」(55.4㎞)間は,2019年3月23日に開通予定とされている。また,常磐線の「浪江-富岡」(約20㎞)間の全線開通は,2020年になりそうだともいわれている。
 出所)https://www.jreast.co.jp/pdf/saikaijoukyou.pdf
 すでに各紙が報道していたが,昨日の2019年2月21日,たとえば『しんぶん赤旗』の記事でみると,「『福島原発かながわ訴訟』 国の賠償責任認める 全国5件目  横浜地裁」という見出しの記事が出ていた。

 あの「3・11」の後遺症的な傷跡は,いまも生々しく生きのこっている。なによりも,東電福島第1原発はデブリの除去すらまだとりかかれていない。東日本大震災が起きてから来〔3〕月の11日で丸8年が経過する。

 《悪魔の火》は大事故を起こした原子炉の中などを通りすぎていっただけであったが,いまだに,日本の国土の上に大きな惨害を与えつづけている。いったいいつになったら,その傷跡が完全に癒えたという時期が到来しうるのか? そう問われて,これにまともに答えられる人はいない。専門家であっても,そうなのである。

 どだい「悪魔」の《火》に人間が対抗できるわけなどなかったのである。

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