『朝日新聞』2019年2月22日朝刊4面松沢成文希望の党発言
 【21世紀になって,アメリカ属国体制を喜んで推進させ深化させてきた安倍晋三の「為政」は,国民・県民などを完全にないがしろにする政治姿勢であって,結局「亡国・売国・滅国」的な国家体制を進化(深化)させるだけであった】

 【安倍晋三はアメリカ大統領トランプのポチ(『朝日新聞』2019年2月22日朝刊4面】


 ①「マヨネーズのような地質」の海底地域を埋め立ててでもアメリカに新しく代替用の基地を新設するという「安倍晋三」的決意に「日本の政治家としての立場」はあるのか

 本日〔2019年2月26日〕『朝日新聞』朝刊「天声人語」がこう語っていた。題名は「『無視する』の類語」である。
 「無視する」という言葉には類語が多い。「耳を貸さない」「受け流す」「聞き流す」「しらん顔する」「どこ吹く風」などなど。人を無視することのひどさをごまかすため,いろんな言葉が編み出されてきたか。

 ▼ 最近は「スルーする」とのいい方もある。もしかしたら,こちらもいずれ類語に仲間入りするかもしれない。「真摯に受けとめる」。おとといの沖縄の県民投票の結果を受けて,安倍晋三首相や閣僚らが口にしはじめた。

 ▼ 昨秋の知事選に続いて示された明白な民意である。投票率は5割を上回り,名護市辺野古の埋め立てに7割超が反対した。政府は沖縄に「理解を求める」とずっといってきたが,地元同意はえられなかった。

 ▼ 辺野古に基地を造らないかぎり普天間飛行場に軍用機が飛びつづける。そんな縛りをみなおす以外にないだろう。まずは危険な飛行場を止める方向で米国と再協議すべきだと思うが,政府にその気はないらしい。辺野古への土砂投入は昨日も続いた。

 ▼ 最近印象的だったのが,ロシアのプーチン大統領の発言だ。米軍基地をどこに置くかについて日本に主権があるのか疑問だとして,沖縄を例に出した。「知事が基地拡大に反対しているが,なにもできない。みなが反対しているのに計画が進んでいる」。

 ▼ 北方領土を返還した場合,米国だけの判断で基地ができるかもしれない,といいたいらしい。他国の主権に対し,ずいぶん失礼ではないか。しかし日本政府がこの発言に抗議したという話は聞こえてこない。
 プーチンが「日本の国民(の国家の主権)に対して失礼だ」とみなすべき発言をしたことよりも,安倍晋三の「自国民に対する態度(沖縄県民の完全無視)」ほうがよほど失礼であった。いまの日本の政治が機能不全でないのであれば,立ち腐れ的に不治の病にかかっているとしかいいようがない。その患部から流れる膿のことを「アベ菌」とたとえておかねばならないほど,日本の政治における「安倍1強〔凶・狂〕」の狂乱度は極致にまで到達していた。

 国政次元では過半数には及ばない支持率しかない自民党(プラス公明党)政権が,国会(衆議院)では3分の2ほどの勢力を誇ってはいるものの,これはあくまで,小選挙区比例代表並立制の弊害によって政権党側にのみ都合よく “議席が不当に多く獲得できている” からに過ぎなかった。

  「参院選比例の投票先」 最新の『朝日新聞』世論調査結果から,とくに「支持する政党」と「あなたは,いま参議院選挙で投票するとしたら,比例代表選挙では,どの政党に投票しますか? ご自由に挙げてください」という2項目だけを,つぎに紹介しておく。政党支持率の数字のあとで,( )のなかの数字は,被調査者が次回の選挙に予定しているという「参議院選挙の投票先政党」である。
 註記)『朝日新聞』2019年2月調査は,「調査日」2019年2月23・24日(土・日曜日),「調査方法」電話調査(RDD方式),「対象」全国18歳以上の男女1974人,「有効回答率」54.5%。https://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201902/index.html
 補記)ここでは,朝日新聞社の実施した世論調査の結果を材料にとりあげているが,他社のそれでもよい(もちろん数値はいくらか変動する)。いずれにせよ,多少は生じている数値の相違点は当面する議論に大きな影響はないと判断する。

  自民党    44.2%(35.3%)
  立憲民主党  9.9%(10.1%)
  国民党    0.8%(  0.5%)

  公明党    4.5%(  4.7%)
  共産党    4.6%(  4.1%)
  日本維新の会 1.6%(  2.0%)
  自由党    0.2%(  0.1%)

  希望の党    0%(  0.1%)
  社民党    1.4%(  1.3%)

  その他    0.2%(     0%)
  支持なし,わからない,答えない 32.6%(37.6%)
   ※別途⇒(投票しない 4.2%)

 以上の数字においては「自民党と公明党を足しても」半分(5割)を満たせていない。その他に雑多な「第2」自民党余派の小党もあるが,ここでは論外にしておく。ともかくも,小選挙区比例代表並立制の弊害がもろに現象してきた「日本の選挙制度」が,いまでもなお,「日本の政治現象」としての「甚大な政治公害」をまき散らし放題の状況にある。

 沖縄県にある在日米軍基地のうち普天間の代替地を,辺野古とこの沿岸地区に求めて新しく基地を作るとした工事計画は,そのために費やさねばならない予算(金額)と期間(年月)の予定を聞いていると,この沖縄県はいったい,どこの国の土地かと思わせるに十分であった。

 一言でいえば,もしかしたら(多分間違いなくなのだが)21世紀が終わりころになっても,沖縄県にはまだ,米軍基地が存在しているかもしれない。今風のアメリカ帝国主義がその間に衰退いちじるしくなり,沖縄県に置いていた米軍基地から退去するとでもいった事態が起こりうるかという「予測(想定)」すら,もしかしたら許されていない「現状のごときオキナワ的風景」が広がっている。

◆〈社説〉政権と沖縄 これが民主主義の国か ◆
=『朝日新聞』2019年2月26日朝刊 =

 なんと無残な光景か。はっきりと示された民意を無視し,青い海に土砂が投入されていく。沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐる県民投票は,反対票が72%を超え,43万4273票に達した。玉城デニー氏が昨秋の知事選でえた過去最多得票を上回った。しかし,安倍政権は「予告」通り投票結果を一顧だにせず,工事を続行した。

 安倍首相は昨日,記者団に「投票の結果を真摯に受けとめ,基地負担軽減に全力で取り組む」と述べたが,「真摯に」という言葉が空々しく響く。政権を支える自民,公明両党は,県民投票を「自主投票」とし,組織的な運動を避けた。本当に辺野古移設が解だと信じるなら,根拠や見通しを具体的に示し,県民に支持を訴えるべきではなかったか。議論もせずに結果を黙殺するのは,民主的なプロセスとはいいがたい。

 首相は昨日も,住宅地の真ん中にある普天間飛行場をなくすためには,辺野古の代替施設が不可欠だという考えを繰り返した。返還合意から20年以上経つとして,「これ以上先送りはできない」とも強調した。しかし,この事態を招いたのは,沖縄の人びとの過重な基地負担の軽減に取り組むという原点を忘れ,「普天間か辺野古か」という二者択一を迫る政権のかたくなな姿勢にある。

 普天間の危険性をいうなら,まずは米政府に対し,米軍機の運用をできるかぎり減らし,住民の安全を軽視した訓練をおこなわないよう強く働きかけるべきだ。県が長年求めてきた日米地位協定の改定も,正面から提起する必要がある。

 亡くなる直前に埋め立て承認撤回を表明した故翁長雄志(おなが・たけし)前知事は,2016年の沖縄慰霊の日の平和宣言でこう訴えた。「沖縄県民に,日本国憲法が国民に保障する自由,平等,人権,そして民主主義が等しく保障されているのでしょうか」。こんな言葉を県知事にいわせる政権とは,なんなのか。日米合意や安全保障上の必要性を強調し,明白な民意を無視しつづける姿勢は,日本の民主主義を危機に陥れている。

 〔また〕「マヨネーズ並み」の軟弱地盤が埋め立て予定地に広がることが分かり,技術的にも,政治的にも,現行計画の破綻は明らかだ。工事の長期化は避けられず,辺野古への固執が普天間の固定化を招くことになる。政権は速やかに工事を止め,県や米政府と協議に入るべきである。県民投票の結果を,転換の礎としなければならない。(引用終わり)

 この『朝日新聞』社説を引用したのは,以下につづく議論の前提をよく整理してまとめていたからである。安倍晋三の内政・外交は乱雑な無法的手法を一大特性とするが,当人はそれでも自分はまともに為政をおこなっているらしく,この首相の存在はいまや「日本国全体にとって最大・最悪の害悪そのもの」:「罪作りな人」になりはてている。

 ②「地盤改良,砂杭7.7万本必要  辺野古工事,規模拡大の計画 国の設計変更」(『朝日新聞』2019年2月22日朝刊1面冒頭記事)
『朝日新聞』2019年2月22日朝刊1面辺野古地図

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で,埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良のため,防衛省が砂の杭を7万6699本打ちこむ工事を計画していることがわかった。県は「地盤改良じたいに途方もない年数を要する」として,移設工事の中止を求めている。(▼〔2月22日〕13面=耕論,28面=県民投票と民主主義)
『朝日新聞』2019年2月22日朝刊1面辺野古地盤

 県が辺野古の埋め立て承認を撤回したのに対し,防衛省は国土交通相に行政不服審査請求をした。その手続で県と防衛省はたがいに書類を提出しており,県は今回の計画を把握。〔2月〕21日に公開した防衛省の文書に対する意見書のなかで,計画に反論した。

 それによると,地盤改良が必要な面積は,軟弱地盤を中心に計65.4ヘクタール。埋め立てが始まっていないキャンプ・シュワブ北東側(大浦湾側)の6割に当たる。ここに鋼管を打ちこんで内部に砂を流しこみ杭状に固め,鋼管を引き上げる。こうした手法などで砂の杭を計約7.7万本打ちこんで,地盤を強化するという。使う砂の量は約651万立方メートル(東京ドームの約5.25個分)に上り,県内の砂利採取量の数年分に該当する。

 作業船で地盤改良工事を実施できる深さは70メートル程度とされている。ただ,埋め立て予定海域の東端に造る護岸周辺は,水深が30メートルともっとも深く,さらにその下の軟弱地盤の層が60メートルに及ぶ。

 地盤改良工事について,菅 義偉官房長官は21日の会見で「一般的で施工実績が豊富な工法で,対応は可能」と述べた。地盤改良工事に当たっては設計計画の変更手続が必要。政府は年内にも,玉城デニー知事に計画変更を申請する方針だ。

 これに対し,玉城氏は申請を認めない意向。県は意見書で「膨大な砂をどのように調達するかいっさい示されていない」「この水深での大規模な地盤改良工事は前例もない。70メートルより深い場所への対応は不明」と指摘。大浦湾側には防衛省が移植を予定している大小のサンゴ類が多数生息しているが,県は移植を許可していない。大規模な地盤改良工事をすれば環境への影響も甚大だとして,再度の環境影響評価(環境アセスメント)の実施も政府に求める考えだ。

 政府の対応については,「非常に浅い側のみ埋め立てをしても完成に近づくことがないにもかかわらず,埋め立てを強行し,辺野古に固執し続けることによって,普天間の危険性を長い年数にわたり固定化しようとしている」と主張する。(引用終わり)

 以上の記事のなかで一番問題となっているのは,「地盤改良が必要な面積」が「軟弱地盤を中心に計65.4ヘクタール」もあり,これが「埋め立てが始まっていないキャンプ・シュワブ北東側(大浦湾側)の6割に当たる」という事実である。このような地域(海域)の上に基地を建設するという計画は,当然のようにつぎの ③ のごとき記事の展開をみせていた。

 たとえ,この辺野古沿岸地域の埋め立て工事が今後において進展していったとしても,おそらくあるときになって初めて, “予測困難であった要因が出てきた” などと弁解されねばならない,いわば「現在でもすでに予想だけはできているはずの工事にかかわる超難関」がいいだされるものと “予測” しておく。

 ③「辺野古埋め立て工費2.5兆円 沖縄県試算,当初計画の10倍」(『琉球新報』2018年11月29日 10:40,https://ryukyushimpo.jp/news/entry-841236.html
琉球新報2018年11月29日辺野古地域写真

 米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり,玉城デニー知事は〔2018年10月〕28日,埋め立て工事にかかる工費が2兆5500億円に膨らむとの試算を政府との集中協議で示していたことを明らかにした。

 現状の護岸建設までの費用が当初予定の10倍となっていることを踏まえ,防衛省が資金計画書で示していた埋め立て工事全体の2400億円も10倍になると当てはめた。そのうえで,岩国飛行場拡張工事で生じた費用を踏まえ,軟弱地盤の改良工事費や県外からの追加の土砂調達費を加算した。

 工期についても,埋め立て工事に5年,軟弱地盤の改良工事に5年,埋め立て後の施設整備に3年の計13年を要すると指摘した。「1日も早い普天間の危険除去につながらないうえに,2兆円以上も費用がかかる計画を続けるのか」(県幹部)と,辺野古移設以外の方策の検証を国に求めている。

 工事費用の県の試算は県の主張を補強するためのおおよその想定で,公式の調査ではない。(引用終わり)

 この『琉球新報』の記事は2018年11月29日付けであったが,つぎの ④ には,やはり沖縄県の地方紙である『沖縄タイムス』2019年2月18日の関連記事から引用する。

 ④「辺野古新基地,総工費は青天井  想定外の地盤改良  工法・工期不明で大幅増必至【深掘り】」(『沖縄タイムス』2019年2月18日,2019年2月18日 05:00,
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/385920

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設の総工費が大幅に膨らむことが確実となった。沖縄防衛局は当初,資金計画書で2400億円としていたが,想定していなかった軟弱地盤の地盤改良が必要となったためだ。国会では工費について「青天井だ」との声が上がりはじめた。政府は,莫大な税金が投入される公共工事にもかかわらず,不確定要素があるとして総工費の明示は困難としながら,工事を進めている。

 イ)すでに4割支出。防衛省によると,2017年度末までに実際に支出した額は約920億円で,すでに2400億円の約4割に達している。防衛省は「総工費のうち埋め立て工事が約4割を占める」としつつ,「土砂の調達や輸送費等が相場にも左右され,いまだ約9割が契約に至っていない」として不確定要素を挙げる。現在使われている埋め立て土砂は,沖縄総合事務局が定める単価より高い1立方メートル当たり1万1290円で購入されている。

 ロ) 砂杭7万7千本。もっとも工費を押し上げる要因になりそうなのが,大浦湾側の軟弱地盤の改良工事だ。政府は最長90メートルともされる砂杭(すなぐい)を7万7千本打ちこむ方法を検討しているが,さらに増える可能性もある。杭(くい)打方式での地盤改良は過去にも例があるが,大浦湾のような深さの地盤改良ができる作業船は国内に数隻しかない。さらに沖縄の場合は台風が襲来することもあり,工事が長期化する要因を抱える。

 防衛省は県が埋め立て承認申請を撤回したさい,工事停止中も1日約2千万円の警備費などを要すると試算していた。工期が延びれば,警備費や機材の維持費などもかさむことになる。安倍晋三首相は1月30日の衆院本会議で「工期や費用について確たることを申し上げることは困難」と明示を避けた。

 ハ) 県試算は2.5兆円。一方で,県は岩国基地(山口県)の例を参考に地盤改良の工事費を500億円などと見積もり,総工費は2兆5500億円に上ると試算している。2月5日の野党超党派議員による防衛省からのヒアリングで,工費に関し議員からは「ブラックボックスで青天井だ」(立憲民主・石橋通宏参院議員)との批判が噴出した。

 沖縄大・沖縄国際大特別研究員の宮田裕氏は「工期も工費も示されないまま工事を進めるのは,予算の適正執行の面からも問題。政府は額を国会に示し,議論するべきだ。それをしないのは事業に合理性がないからではないか」と指摘した。(引用終わり)

 以上の記事から読みとる以前の話であったが,辺野古周辺の海岸地域を埋め立てる工事は,在日米軍「普天間基地」の代替基地を建設するためであった。この調子でいくと,沖縄県が予想した概算は,「岩国基地(山口県)の例」における「地盤改良の工事費を500億円を」「参考に」して,辺野古基地予定地(海域)埋め立てのためにかかる「見積もり,総工費は2兆5500億円に上ると試算」している。けれども,この工事予算で収まるという保証は全然ない。

 しかも,完成にまでかかる工期は, 沖縄県側の判断では「埋め立て工事に5年,軟弱地盤の改良工事に5年,埋め立て後の施設整備に3年」で,なんと「計13年を要する」というのだから,そのころまでには,沖縄県にある米軍基地のみならず,日本の各地にある米軍基地も依然と継続している状態を想像してみる余地がある。

 米日安保関連法は,いうまでもなく日米間の軍事同盟関係に関した法律であるが,敗戦国となっていた日本側にとってみれば,その同盟関係は「主従関係」を根本的に含意していた。辺野古埋め立て問題が沖縄県民の意志などそっちのけにしたまま,しかもみこみとしては13年も先に完成させるつもりで,その敷地となる沿岸海域を埋め立てる工事にとりかかっている。

 だが,この工事じたいが「マヨネーズ状の海底」に対しての杭打ち,それも海底30メートルまで埋め立ててから,さらにくわえて60メートルの深部まで都合90メートルまで杭打ちをしなければならないといった,しかもこれまで「未体験である非常に困難な工事」となる。こうした工事になる点はいまから十分に分かっているゆえ,そもそも,いったいなんのための米軍用の代替基地のための工事なのかといった疑問も膨らむほかない。

 安倍晋三政権はいままで担当期間が長くなればなるほど,対米従属国家体制にあるこの日本国のみっともなさを,より正直にかつより露骨に披露してきた。いわゆる「戦後レジームからの脱却」とはその意味で,心底から笑わせる「安倍独自の政治理念」であった。しかし,辺野古沿岸分埋め立て工事の問題状況は,その「戦後レジームからの脱却」どころか,すでに「そこへ埋没」させられていた「その脱却」を教えている。まさしく笑止千万のアベ的政治理念の実際であった。

 ⑤「〈時時刻刻〉首相・政府の言葉,むなしく響く沖縄 言ったその日,進む工事 / 不履行,地元に責任転嫁」(『朝日新聞』2019年2月26日朝刊2面)

『朝日新聞』2019年2月25日朝刊辺野古埋め立て沖縄県民投票

 沖縄県民が米軍普天間飛行場移設による辺野古埋め立てに「ノー」を突きつけて一夜明けた〔2月〕25日,安倍晋三首相は工事を止めることもなく,移設の必要性をひたすら繰り返した。みずから約束した「普天間の5年以内の運用停止」も空手形に。工事の長期化は必至で,民意を軽んじられ続ける県民の政権への不信は募るばかりだ。(2月26日朝刊▼1面参照)
 補注)政治家に嘘をつくなといってもとうてい無理であることは,いちおう普遍的な真理だといえる。だが,安倍晋三の場合は「ウソ」以外にはなにもいわない政治家だといった定評がある。「《民意》などといった概念」はもとより彼の胸中において占める空間をもたなできた。

 1)いったその日,進む工事「投票の結果を真摯に受けとめる」
 〔2月〕25日朝,沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前。有効投票数の72.15%が反対票を投じた県民投票を受けて,市民ら約40人が座りこんだ。「県民投票の結果で大きなうねりをつくろう」と拳を突き上げたが,県警の機動隊に抱えられ排除された。資材を積んだダンプカーやミキサー車が続々と到着し,沿岸部にはこの日も土砂が投入された。

 安倍晋三首相は衆院予算委員会で「県民投票の結果を真摯に受け止める」と神妙な面持ちではあったが,つづけた言葉は普天間飛行場の移設の必要性ばかり。「危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない。地元の皆様との共通認識である」。埋め立て工事の中断や見直しにはいっさい触れず,沖縄の民意を無視し,工事を続行する姿勢は変えなかった。

 政府は県民投票を当初から「意味がない」と軽視していた。自民,公明両党は告示後も賛成を訴えるわけでもなく,投票率が下がることを期待していたのが実態だ。その影響もあって投票率は昨〔2018〕年の知事選より下がったが,反対票は玉城デニー知事の票数を超え,自公支持層も反対票を投じたのは間違いない。投票率52.48%は,2017年衆院選全体の投票率と1.2ポイントしか違わず,不参加で投票の政治的効果を減じようとした与党の思惑は外れた。

 それでも政府が無視するのは,日米両政府の合意を変えたくないという判断がある。首相は「普天間の全面返還については,日米で合意をしてからすでに20年を超えて,いまもなお返還が実現しておらず,もはや先送りは許されない」と答弁した。ハガティ米国駐日大使も朝日新聞のインタビューに「現行案を追求しつづけること以外,実行可能な選択肢はないと思っている」と語っている。
 補注)普天間基地の移転話が出てから20年が経ったというが,辺野古に基地を移転するにしても,仮に “完成まで13年かかった” としたら,その合計する年数は33年にもなる。沖縄県の米軍基地は(「本土」のそれらも基本は同じなのだが)1945年6月23日に沖縄戦が終了してから,数えると74年が経過してきた。

 しかも,アメリカによる在日基地を介した日本側の「軍事的な従属・支配」は,これからも半永久的に続いていく。安倍晋三が前段の記事のようにしか発言できない事情は,実はそうした対米従属状態にある国家体制を実質的に強いられている「日本の首相」の立場として,抗いようもない現実である。

 〔記事に戻る→〕 首相は3月1日にも玉城氏と面会するが,これまでどおり政府方針を一方的に伝達することになりそうだ。首相官邸幹部は「民主党政権でも結局辺野古になった。辺野古しかない。県も反対だけで代替策なんてなんの提案もしていないでしょう。辺野古になれば基地の面積はいまの半分になる」とさえ語る。

 移設の是非が争点となった2度の知事選に続き,埋め立ての是非を問うた県民投票の民意さえも無視されることに,沖縄県側は収まらない。玉城氏は〔2月〕25日の県議会で「辺野古埋め立てをけっして認めないという断固たる民意を真っ正面から受けとめ,辺野古が唯一という方針をみなおすべきだ」と政府に迫る考えを示した。

 県幹部は首相の「真摯に受けとめる」との言葉について,「また口ばかりだ。本土の国民向けにていねいな言葉ばかり並べるが,実際に沖縄でやっていることは誠実さのかけらもない。沖縄県民を馬鹿にしている」と語った。
 補注)安倍晋三は,沖縄県民だけでなく全国民をバカにしてきている。おまけに,口ばかりの首相である事実は世界中から認証されてもいる。例の決まり文句は,最近ではあまり出てこないが,「しっかりとテイネイに」というものであったが,これは「いつものウソ」をつくときの決まり文句であった。彼が口に出していう「真摯に受けとめる」という表現は,できたらウソになる前段階で受けとめておくべきであり,せいぜい冗談の部類だと解釈しておくべきである。

 2) 不履行,地元に責任転嫁 2014年「5年以内に普天間運用停止」
 安倍政権は2014年2月,当時の仲井真弘多(ひろかず)知事に「普天間飛行場の5年以内の運用停止」を約束していた。仲井真氏が辺野古沿岸部の埋め立てを承認する前提として求めたものだが,約束はほごになり,それに代わる新たな停止時期の見通しも立っていない。

 政府は仲井真氏との約束ののち,普天間飛行場がある宜野湾市と県との3者で負担軽減を協議する推進会議を4回,作業部会を9回開いた。だが,辺野古移設が前提との立場を一貫して変えず,昨〔2018〕年7月の作業部会を最後に開いていない。

 「普天間の返還が合意されてから23年間,負担軽減を実感している県民はいない。運用停止の約束もほごにされ,返還への疑いも出ている」。玉城氏を支える県政与党県議は怒りをこめて指摘する。

 一方,菅 義偉官房長官は〔2月〕25日の記者会見で,「5年以内の運用停止には普天間飛行場の辺野古移設について地元のご協力をえられることが前提であった」と強調。沖縄県による埋め立て承認の取り消し,撤回を列挙し,約束を守れなかった原因は沖縄側にあると責任を転嫁した。
『朝日新聞』2019年2月26日朝刊2面時時刻々辺野古

 しかし,工事そのものが順調に進んでいるわけではない。政府は3月25日には南側の33へクタールの埋め立て工事を始める予定で,2020年夏ごろには南側全域が「陸地化」する見通しだが,軟弱地盤が広がる北東側は改良工事が必要であることが判明。長期化は避けられない状況となっている。

 首相は国会の代表質問で改良工事について「一般的で施工実績が豊富な工法により可能」と答弁した。そのさい,質問した立憲民主党の枝野幸男代表は25日の衆院予算委員会で,改良工事の「工法」について具体的に追及。

 防衛省は,横浜港や関西空港などの事例を一部紹介したものの,詳細は「現時点で答えるのは困難」とかわした。このため枝野氏は「(首相が代表質問で)従来の工法でできると答弁したということは,精査したから答弁できたんじゃないのか。これぐらい無責任に辺野古の工事が進んでいる」と厳しく批判した。

 政府は年内にも地盤改良工事のための設計変更と,サンゴの特別採捕許可について県に申請する。県は県民投票の結果も踏まえ,いずれも認めない方針で,これらは法廷に場所を移して争われる可能性が高い。

 政府高官は「県との裁判があるだろうから,運用停止の時期を示すのはむずかしい」という。辺野古移設が「唯一の解決策」とし,それを受け入れない地元に運用停止ができない責任を押しつける,その構図が続くことになる。(引用終わり)

 この最後に引用した本日の記事に関連しては,大事な介在者がいた。いうまでもなく米軍当局のことである。問題は国内問題ではなく国際問題であり,しかも軍事同盟関係の枠内にある米日間の問題として展開している。それゆえ,このように隔靴掻痒どころかとくに政府側の姿勢は,他人事のように問題に対面している。すなわち,安倍晋三の政治は根源的に無責任なのであり,沖縄県のことなど完全に軽視(=無視)している。ましてや,県民の存在のみならず国民全体の目線も,彼は平然と無視している。

 しかし,安倍晋三の為政(外交問題でもある内政問題の「辺野古埋め立て問題)が,ただそのように制限されたかたちでしか展開できないのかと問われるとき,日米安保関連法の枠組のなかで彼自身が身動きをとれないでいるというよりは,みずから主体的に(?)国権をアメリカに対してゆずり渡している「この安倍政権に特有である体たらくぶり」が問題であった。

 いいかえれば,まさに「亡国・売国・滅国のために存在する」かのごとき「日本国総理大臣」の実際の政治面における機能不全が,いまではますますより重大な問題になりつつある。

 アベノミクスの成果にとりたててみるべきものがなかっただけではなく,アベノポリティックスに関してもさしたる業績がみられなかったのは,安倍晋三という「世襲3代目の政治家」に備わっていた固有の負的(不適)な資質に由来していた。現状において日本は仕方なくもこの程度の政治家に国家の舵とりを任せている。

 とはいえ,昨今の状況はとくに少子高齢社会がますます昂じていくなかで,この国の経済・社会の運営問題がより困難の度合を増していくにもかかわらず,彼がこの状況を克服していくためにどうしても必要である有効な対策を講じていない。

 政治家として不可欠である最低限の才覚も決断力・実行力ももちあわせていない「安倍晋三の基本資質」と併せて考えるに,昨今における日本の政治状況については,単なる悪寒を超えて「複雑な気持のなかで」「戦慄させられる」思いがする。

 安倍晋三の為政は国民たちにとってみれば,踏んだり蹴ったりと形容すべき状況でしかなかった。とくに沖縄県民に対する彼の政治家としての姿勢は,そのとおりでありつづけてきた。

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