【ぐずぐずいっては,原発の再稼働どころか新増設を企図する日本政府の立場は,すすんでは「核兵器保有」を,真っ昼間から夢みている】

 【採算・営利が不如意,不成立である原発事業は捨てても,原発事業関連技術の維持・保守のためには現有の原発を廃棄しないといい,この方針のさきには原爆の製造・保有「願望」あり】



 ① 安倍晋三政権は「3・11」以後,国民の過半数(6~7割)が「原発反対でありつづけてきた声」など馬耳東風


 『朝日新聞』2019年3月11日朝刊10面「オピニオン」に掲載されていた「〈声〉東日本大震災8年 消えない痛み,東海再稼働ノー」は,こういう意見を述べていた。投書者は「西山雄二郎(神奈川県 74歳,無職)。
 私は8年前の福島第1原子力発電所の事故によって,福島県楢葉町にあった亡き父の実家と先祖の墓を失いました。〔3月〕1日朝刊では,昨〔2018〕年4月に再開したばかりの同県川俣町立山木屋小学校が,新たな入学希望者がいないために休校になると報じられました。町長の「原子力災害の影響は予測していたよりもはるかに痛みが大きい」という言葉には心が痛みました。

 一方,2日朝刊には,茨城県東海村にある東海第2原発の再稼働をめぐる安全対策のために1900億円を東京電力が支援する計画案があることが書かれていました。国によって2038年までの運転延長が認められ,所有する日本原子力発電が再稼働をめざすと報じられたときも,いったいなにを考えているのかという強い憤りを感じたことをいまでも忘れません。

 どれほどの安全対策を施せば地震や津波に耐えられるのか。誰が保障できるのでしょうか。再稼働時期は2023年1月を想定しているそうです。亡き父母の墓があり,年老いた一人暮らしの妹がいま住んでいるのが,東海第2原発から半径30キロ圏内にある水戸市です。再稼働には絶対反対です。
 あの東電福島原発事故を起こした「現社名を東京電気ホールディングス」(東京電力グループの持株会社)と称する大電力会社が,いまでは「茨城県東海村にある東海第2原発の再稼働をめぐる安全対策のために1900億円を東京電力が支援する計画案がある」というのだから,この話を聞いて驚かないほうが不思議である。
 補注)東京電力株式会社は2016年4月1日,電気事業法の一部改正に応じて家庭用電力の小売り全面自由化に対応するために,持株会社体制へ移行し,社名を変更していた。2011年「3・11」に発生した東日本大震災とこれにともない誘発した「東電福島第1原発の大事故」の体験があったにもかかわらず,その基本的責任は当初から免責されていた。

 その後,最近になってようやくつぎのような光景が展開されているに過ぎない。添田孝史稿「傍聴席から失笑も… 東電元副社長が法廷で驚きの発言を連発」を参照してみる(以下は『AERA dot.』2018.10.23,https://dot.asahi.com/aera/2018102200055.html から引用)
  筆者が驚いたのは,政府の津波予測について,武藤氏が「信頼性はない」と断じたことだ。「信頼性が低い」という表現なら理解できる部分もあるが,政府予測に信頼性が「な無い」と繰り返す口調の強さに,のけぞりそうになった。最新の科学的知見の意味を理解できない人が,東電の原発の最高責任者だったのだと,つくづく恐ろしくなった。

 武藤氏の口からは,傍聴席から失笑や驚きの声が漏れるような発言もたびたびあった。

 「津波想定を見直さなくても,福島第1の安全性は社会通念上,保たれていた」
 「見直しの報告書は形式上のものだ」
 「現状でも十分安全なのに,安全の積み増しで補強,良いことをしようとしていた」

 これらは東日本大震災前に,電力会社が繰り返しPRしていた建前そのものだ。
 註記)https://dot.asahi.com/aera/2018102200055.html?page=3

 武藤氏は,会議資料は「読んでない」,部下から送られた電子メールも「読んでない」「探してみたがみつからない」,説明を受けたかどうかは「記憶にない」。それを証言で繰り返した。

 公判後の記者会見で,被害者参加代理人の海渡雄一弁護士は「武藤氏は否定のしすぎだ。動かない証拠があるところまで否定している。証言全体の信用を失い,墓穴を掘ったのではないか」と話した。
 註記)https://dot.asahi.com/aera/2018102200055.html?page=4
 この『AERA dot.』の記事(ここで引用した該当頁は html?page=2 を参照)は,こういう論点を説明していた。

 大津波襲来の危険性予測を踏まえたその対策案,つまり「東電は決定を先延ばしにする事実」を聞かされた「東海第2原発を運転する日本原子力発電の取締役」が,東電側のその対策案そのものに対して,「こんな先延ばしでいいのか」「なんでこんな判断するんだ」と批判的な意見を吐露していた。この事実はしかも,当時日本原子力発電の「東海第2原発」に出向していた東電社員が「検察官に供述していた」証言であったというではないか。

 その「現在の東海第2原発」(原発の再稼働がいまもなお実現していない)に対して,「現在の東電ホールディングス」が資金援助をする関係をもって,前段のごとき計画案が用意されていたとなれば,いまでも「この原子力ムラ内の構図,その金銭感覚」は “まともな資本主義経済体制における経済の論理” に則しているものとは,とてもではないがいえない。きっと,別のなにか信念なり確信なりがその事情や背景の脈絡のなかにあって,「東電」と「日本原子力発電・東海第2とのそのような相互関係」が裏舞台に控えていたなどと解釈したらよい。そうとしかいいようがない。

 ②「原発ゼロ法案,1年経っても審議されず 与党が拒む」(『朝日新聞』2019年3月12日朝刊4面「総合」)

 野党4党が国会に提出した「原発ゼロ基本法案」が一度も審議されないまま,丸1年を迎えた。4月の統一地方選,今夏の参院選を前に,「脱原発」の争点化を避けたい与党が審議入りを拒みつづけている。「リスクを考えれば,原発に合理性がないことは,はっきりしている」。東日本大震災当時,官房長官だった立憲民主党の枝野幸男代表は被災地視察後の〔3月〕11日,宮城県名取市で報道陣に語った。
 補注)最近は,大手紙の世論調査についてはその信頼性に疑問を呈するほかなく,それらには「安倍晋三〈忖度〉的な影」を感じるといっても,それほど大きな語弊はない。マスコミ・メディアの報道姿勢には不信感を抱くほかない,それもこの首相が作ってくれた「時代の雰囲気」が充満している。そのなかでたとえば,「原発再稼働に反対70.8%,事故の懸念73.8%=学者・民間機関調査」(『REUTERS』2015年04月07日 17:48(4年前),https://jp.reuters.com/article/energy-t-idJPKBN0MY0JX20150407)と題した調査結果が,つぎの中身をもって公表されていた。
 原発再稼働を前に災害リスクを専門とする学者と民間調査会社が,原発・エネルギーに関する世論調査を実施したところ,再稼働に対して反対が70.8%,賛成が27.9%という結果が出た。また,現状での再稼働では,73.8%が東京電力福島第1原発事故と同規模の事故が発生すると懸念。新しい規制基準のもとでも,国民のあいだに原発への不安感が根強く残っていることが鮮明になった。
 いまでは,かつて原子力ムラが喧伝してきた「原発安全神話」にもとづく “虚偽のイデオロギー” を信用しようとする庶民は,ほとんど存在していない。原発が安価で安全で安心でなかったという「原子力ムラ側にとってきわめて〈不都合な真実〉」は,昨今ではいいかげん “庶民の立場” でも理解できている。自民党が「原発ゼロ基本法案」を塩漬け状態にしている国会の現状は,その庶民の立場を恐怖している(→認めてしまうことになる)からである。

 〔記事に戻る→〕 原発ゼロ法案は,施行後5年以内に全原発の運転を止めることや,電力供給量に占める再生可能エネルギーの比率を2030年までに4割以上に高めることなどを盛りこむ。昨〔2018〕年3月9日に立憲民主,共産,社民,自由の野党4党が衆議院に共同で提出した。原発推進の安倍政権との「対立軸」(立憲幹部)として,野党共闘の目玉に据える狙いがあるが,多数を占める与党が野党側の求めに一貫して応じていない。

 「自民,公明が審議拒否している。葬り去ろうとしている」。2月5日,国会内であった民間団体など主催の集会で,立憲の菅 直人元首相が与党を批判した。

 今国会では〔3月〕8日,初の衆院経産委が開かれ,今後,中小企業の災害対応力の強化や円滑な事業承継を促す中小企業強靱化法案など,政府提出法案の審議が本格化する。同委の自民党議員は「あんまり早く(政府提出法案の審議が)終わると,やることがなくなる。野党に原発ゼロ法案を審議しろといわれると困る」と漏らす。

 ただ,議員提出法案は政府提出法案よりも審議があとまわしにされるのが通例で,とりわけ与党がくわわらない法案はたなざらしにされることが多い。原発ゼロ法案の場合,野党側の足並みもそろっていない。脱原発に反対する電力会社の労働組合を有力支持団体に抱える国民民主党は原発ゼロに慎重だ。自民党の幹事長経験者は「全野党が乗らない議員立法を審議入りさせる理由はない」と話す。

 ※ 原発推進派が主導する構図が復活 ※

 東日本大震災から8年。未曽有の事故で原発再稼働に反対する世論は根強いが,エネルギー政策は推進派が主導する震災前の構図が復活している。震災直後は,エネルギー政策の意思決定に民意をとりこもうという試みもあった。2012年,当時の民主党政権は討論を通じて意見の変化をみる「討論型世論調査」を実施。それをもとに2030年代に原発をゼロにする政策をかかげた。
      ★ 原発ゼロ基本法案の概要 ★

 ・法施行後5年以内に全原発の運転廃止

 ・2030年までに電気需要量を2010年比で30%以上削減

 ・2030年までに再生可能エネルギーの電気供給量に占める割合を40%以上に

 ・廃炉作業をおこなう電力会社や立地地域の雇用経済対策について,国が必要な支援をする
 だが,自民党が政権に復帰すると,エネルギー基本計画をまとめる経済産業省の審議会のメンバーは推進派が大勢に。原発は「重要なベースロード電源」と位置づけられ,復権した。現在,震災後にできた新規制基準にもとづき再稼働した原発は9基で,今〔2019〕年はゼロの見通しだ。

 一方,日立製作所が英国での原発建設計画を凍結するなど,日本が官民で手がける原発輸出計画は事実上すべて頓挫したが,政権は「日本の原子力技術に対する期待の声は各国から寄せられている」(菅 義偉官房長官)として失敗を認めない。
 補注)本日〔3月12日〕の「朝日川柳」(西木空人選)からつぎの4句を紹介する。菅 義偉のいいぶんが “すこぶるウソっぽい” はずの事情(素性)を考慮するに,いわゆる「印象操作」程度の発言であったといえる。ともかく,この川柳を参考意見として聞いておきたい。

  ★-1 復興もアンダーコントロールもウソ五輪(神奈川県  鈴木功)

  ★-2 良いとこは行くが汚染土見に行かぬ(大阪府  石田貴澄)

  ★-3 戻りたい八年前のちょっと前(千葉県  姫野泰之)

  ★-4 明日は我が身の日本列島(岡山県  中山敬子)

 菅 義偉は,日本の原発関連技術に「期待の声は各国から寄せられている」と自慢していたけれども,どの国々からどのようなその「期待の声」が届いているのか,具体的にはなにも明らかにしていない。別に秘密にする必要などなく,むしろ誇らしげに公表したらいいはずの,それらの国名である。

 つまり,その国名をいちいち挙げて誇れってみればいいところだと思われるのに,実際にはなにもいえないところからして怪しい発言であった。だから,その発言は「多分ウソ」であり,かつ「はったり」だと思われる。官房長官の話は以前から半分以下にも聴く余地がなかった。

 〔記事に戻る→〕 経団連の中西宏明会長(日立会長)は「日本のエネルギーは危機的状況」と国民的議論の必要性を唱えたが,脱原発の民間団体が公開討論を要請すると「議論にならない。水と油」と一転して拒否。原発政策を抜本的にみなおす議論は一向に進まない。
【参考記事】

◆ 福島第1原発事故からの復興「進んでいない」75%
時事調査(2019/03/11 14:50)◆
= 引用は『日刊ゲンダイ』2019/03/11 =

 時事通信社が実施した「東日本大震災に関する世論調査」で,地震で被災した地域の復興が進んでいるか聞いたところ,「進んでいない」との回答が「進んでいる」を上回った。

 地震や津波で被害を受けた地域の復興が進んでいるかについて「とても進んでいる」2.2%,「まあ進んでいる」42.8%の計45.0%に対して,「全く進んでいない」3.8%,「あまり進んでいない」43.8%の計47.6%となった。

 とくに東京電力福島第1原発事故からの復興については「進んでいない」「あまり進んでいない」の合計が74.8%に達している。

 一方,政府が進める原発の海外輸出戦略についても是非を聞いたところ「やめるべきだ」38.2%,「どちらかといえばやめるべきだ」34.7%の「反対派」が計72.9%にのぼった。安倍内閣の支持層でも66.0%が「やめるべきだ」と回答した。
 註記)https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/249217
 ③ 『日本経済新聞』のどっちつかずの原発議論は,政府の立場を鵜呑みにすると同時に,オウム返しに「原発の必要性」を説くが,「経済の論理」に乗りえない “原発の不利:無理” は百も承知のうえだとなれば,どうしてもその論旨がいつもフラフラする点だけは,一貫する報道姿勢となっている-

 本ブログは昨日〔3月11日〕,「東日本大震災きょう8年」(『日本経済新聞』2019年3月11日朝刊1面,冒頭ではなく,左・下部に配置された記事)という項目を設けて,『日本経済新聞』の原発に対する無定見・不見識に相当する部分をとりあげ,遠慮なく批判する議論をくわえてみた。

 とはいえ「日経の立場」が原発の非経済性をしらぬわけはなく,最近ではどうあがいても,「原発問題」をめぐる「そちら側の負的要因」に関する議論から逃げられるわけがない。むろん,以前から日経の「原発に関した基本の報道姿勢」は一定に維持されていたが,どこまでも「政府の原発再稼働・維持推進の路線」を支持するかのような観点を,強く前面に出してきた。それゆえ,原発を報道するさいの日経の見地は,その全体的な論調において〈ヌエ的にならざるをえない本然の姿〉を隠せないでいた。

 『日本経済新聞』2019年3月11日朝刊は,23面から26面までを充てて,「東日本大震災8年」という特集記事を編成したうえで,被災地となった東日本太平洋側の各地が,いかに復興・復旧しているかを積極的に解説していた。とはいっても,全体的に前向きの記事が並んでいるものの,まだ被災者たちが5万人以上残されていて,とくに福島県内外への避難生活を続けている人びとへの配慮が十分になされているとはいえない。

  『日本経済新聞』の「財界側に足場を置いたごとき報道姿勢」で特徴的な点は,「3・11」以降において持続的に披露してきた「原発再稼働許容」論であった。当面する目先の「経済の論理」にもとづく利害に拘泥するかぎり,「地球・環境に対する大破壊」を犯してきた「チェルノブイリ原発事故」および「東電福島原発事故」の問題は,つまるところ「短期的に要請される〈経済の理性〉」を働かせる論調でしか捕捉できていなかった。

 『日本経済新聞』はまた,一時期においては原発の1キロワット時ごとの増分コスト(原子力燃料単価)が1円だと解説した,いわば〈原発コストに関する統計不正・偽造〉といっていい「経産省が作成した文面」まで紹介する報道をしていた。この点は,本ブログ内でも以前に言及したことがあった。経産省の該当する文書からその点を記入した表を抜き出し,なんどか重ねて紹介もしていた。再度つぎに掲示しておく。
 以下は,経済産業省・総合資源エネルギー調査会・総合部会「電力需給検証小委員会(第3回)」(平成25〔2013〕年4月17日)における配布資料『燃料コスト増の影響及びその対策について』のうち,「(参考)原子力代替コストの諸元に用いた燃料単価について」(2頁)の紹介となる。

 a) その2頁に掲載されていたこの「(参考)原子力代替コストの諸元に用いた燃料単価について」を,画像資料に切り出し,つぎにかかげておく。これは,最終更新日:2018年4月9日と記されてもいる文書であった。
原子力コスト比較表
  出所1)http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/2.html#jukyu_kensho (PDF形式:287KB)

 〔原資料のリンクはこちら( ↓ ) 〕
  出所2)http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/jukyu_kensho/pdf/003_03_00.pdf
経産省エネルギー調査会総合部会
 なお,以上に註記してみた原文書は現在〔2019年3月12日時点〕で,確認を入れてみたところ,削除されていた。「削除された事実」は,上にかかげた画像資料で確認できる。いつかは判明させえないが,リンクがすでに除去(切断)されており,この原資料をインターネットでは閲覧できないように措置してある(隠蔽に相当する)。

 本ブログではたとえば,2018年09月23日「日本経済新聞が過去の原発安価論に触れないまま,原発再稼働・推進の立場も問題視せずに,しかも原発問題には直接触れない『社説』が書ける摩訶不思議」(http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1072656021.html)が言及していた。

 いまからさきまわりして断わっておくが,『日本経済新聞』が最終的に原発推進路線から完全に離脱するときは,間違いなく政府の方針の変化に抜本的な方向転換が生じたときであり,それに唯々諾々と追従していくものと予想しておく。

 つぎの ④ の記述における引用の内容・議論は,本ブログ筆者の寸評も入れてある『朝日新聞』「社説」であるが,今後においても多種多様に展開される「原発問題の具体的な各論」を自分なりに整理し,独自の認識を構築するうえでも参考になるはずである。

 ④「〈社説〉福島の事故から8年『原発ゼロ』に向かわねば」(『朝日新聞』2019年3月12日朝刊「社説」)

 〔2019年の〕先〔2〕月上旬,東京電力福島第1原発を訪ねると,普通の作業服で立ち入りできるグリーンゾーンが敷地の96%になっていた。がれきの撤去や樹木の伐採,地表をモルタルなどで覆うことで放射線量が低くなったのだ。2,3号機の間もグリーンゾーンで,普段着と使い捨てマスクで取材できた。数年前,全身防護服でも車中からしか取材できなかったのがうそのようだ。

 といっても,事故の傷痕が消えたわけではない。3号機のコンクリート壁は水素爆発で吹き飛んだままだ。多数の鉄筋が壁から突き出し,ぐにゃりと折れ曲がっている。事故直後にまかれた放射性物質の飛散防止剤が,外壁を緑色に染めているのも生々しい。

 1~3号機の原子炉には,溶け落ちた燃料デブリが残る。先日,遠隔操作の装置で2号機のデブリに少し触ることができたとはいえ,全部をとり出せるのかどうか,分からない。炉心を冷やす注水や地下水の流入で,放射能で汚染された水が生じつづけている。

 浄化装置で処理しても放射性物質トリチウムが残っており,貯蔵タンクにためざるをえない。その数は増え,1千基に迫る。廃炉への道のりは険しい。
 補注)なんども断わっておくが,これが安倍晋三流に表現されていた『「大嘘」の本当の実態』であった。2013年9月7日,ブエノスアイレスで開催されたIOC総会の場において,東京への招致をアピールする演説をおこなった安倍晋三は,日本国の首相としてつぎのように,聴衆をだますための虚偽を平然と語っていた。
 安倍首相は,滑らかな英語で東京への五輪招致演説をした。首相官邸ホームページにその和訳が掲載されている。福島について言及したのは,開始直後だった。「フクシマについて,お案じの向きには,私から保証をいたします。状況は,統御されています〔このときの例の表現が under control〕。

 東京には,いかなる悪影響にしろ,これまで及ぼしたことはなく,今後とも,及ぼすことはありません。……」  英語では「アンダーコントロール」といった。え? 立ち並ぶタンクのあちこちから汚染水が漏れてくる。

 地下水は山側から容赦なく流れこみ,それが汚染されて港湾に流れ出る事態も続く。汚染水はいま,「アウト・オブ・コントロール(制御不能)」じゃないですか。
 註記)「安倍首相『アンダーコントロール』のウソ」『WEBRONZA』2013年09月18日,https://webronza.asahi.com/science/themes/2913091700003.html
 〔「社説」記事に戻る ↓ 〕
 1)再稼働が進む日本
 原発事故の被害は甚大で,後始末は困難をきわめる。そのことを身をもってしる日本は,原発に頼らない社会をめざすべきである。朝日新聞は2011年7月の社説で「原発ゼロ社会」を提言した。需給からみて必要なものしか稼働させず,危険度の高い原発や古い原発は止め,その後も段階的に廃炉にしていく。そして,そう遠くない将来,原発をなくすという考え方だ。

 福島の事故後,古い原発を中心に21基の廃炉やその方針が決まった。だが,日本が脱原発に向かっているわけではない。安倍政権は「可能なかぎり原発依存度を低減していく」としながら,原発を重要な基幹電源と位置づけ,2030年に総発電量の20~22%をめざす。今国会でも安倍首相は「原発ゼロは責任あるエネルギー政策ではない」と述べ,原子力規制委が新規制基準に適合すると判断した原発は再稼働を進める方針を示した。
 補注)この20~22%という電源構成に占める原発の比率が,文字どおり2030年の目標であるならば,それも,2011年「3・11」以後においての目標だといわれるかぎり,実際問題として原発は完全に不要になっている。

 人口減少傾向(少子高齢化の急速な進行)による電力需要の絶対的な減少傾向,くわえて省力化や節電努力による需要の抑制実現などは,

 原発を以前のように間違えて〔つまり供給側の都合だけで,原発という木偶の坊的な技術特性を絶対視し,守護するために〕 “ベースロード” のための電源だとみたてていたにせよ,

 さらに新しくは〔以上の見地に一歩はゆずってみて〕「重要な基幹電源」と位置づけようとしたにせよ,

 各種の電源のなかではもっともあつかいにくい厄介モノである原発に,なおも「2030年時点における電源比率の目標:20~22%」にまで上げたいと期待をかけるのは,いまどき滅相もない,トンデモない願望にもとづく基本方針の設定であった。

 〔記事に戻る→〕 破綻した核燃料サイクル政策も捨てていない。経済性のなさから欧米の多くの国々は撤退したが,安倍政権は青森県六ケ所村に2兆9千億円かけて建設中の再処理工場を動かし,使用済み燃料からプルトニウムをとり出す方針を変えていない。千葉商科大の田中信一郎・特別客員准教授が政府の新年度予算案を調べたところ,各省庁のエネルギー関連予算の合計額の4割が原子力だったという。いかに大きな資源が原子力に投じられているのかがわかる。
 補注)それだけの予算のうちから何分の一でもいい,「再生エネルギーの開発・利用」の領域にまわしていたら,いまごろの日本は「再生エネの超大国」になれていたといえなくもない。ただし,日本も,国家としての願望に「原爆の製造と保有」を抱いていないといったら,ウソになる。もちろん,アメリカの従属下にある日本が勝手に原爆を製造し,保有することは至難の業であって,当面はできない相談ではある。現状はそうであっても,その欲望じたいは無限大に膨らませてきた自民党関係の政治家がいた。

 2)大転換に入った世界
 世界的に原発の競争力が失われつつある。1月,そんな報告書を公益財団法人・自然エネルギー財団がまとめた。福島の事故で安全対策費が増えて原発のコストが上がり,太陽光や風力は技術革新でコストが下がっているという。
 補注)途中になるが,長い挿入による引用を以下にしておく。とはいっても要旨だけの紹介である。この報告書の本文全体は,https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/190123_NuclearReport_JP.pdf  を直接参照してほしい。
        ◆ 報告書・提言 自然エネルギー ◆

 『競争力を失う原子力発電 世界各国で自然エネルギーが優位に』2019年1月23日


 公益財団法人 自然エネルギー財団は本日,報告書「競争力を失う原子力発電:世界各国で自然エネルギーが優位に」を公表いたしました。
 
 気候変動の抑制に向けて,世界各国が脱炭素に向けたとり組みを加速させる状況にあって,原子力発電の競争力は急速に失われています。原子力発電を脱炭素の手段として位置づける動きが日本を含む一部の国で見られるものの,全世界の発電電力量に占める原子力の比率は下がりつづけ,2017年には10%まで低下しました。一方で自然エネルギーの比率は2倍以上の24%に達しています。

 本報告書では国際機関などのデータをもとに,原子力発電の現状と今後の可能性について検証しました。世界の主要な国の動向を個別に確認した結果,どの国においても原子力発電が脱炭素の有力な手段として拡大する状況にないことが明らかになりました。

 原子力発電の段階的撤廃を進めるドイツ,大幅な削減目標を打ち出したフランス,さらに米国や日本ではコストの増加を理由に運転を終了する動きが相次いでいます。原子力発電を拡大している中国やインドでも,自然エネルギーの増加が上まわり,原子力発電の占める比率は2~4%程度にとどまっています。新たな原子力発電所の建設プロジェクトも頭打ちの状態です。
 
 原子力発電が競争力を失った要因は主に3つあります。

 第1に安全対策の実施や建設期間の延長によってコストが増加していること,

 第2に燃料の利用効率や安全性を高めるための技術革新が進展していないこと

 第3に最大の課題である放射性廃棄物の処分が各国で停滞していることです。

 急増する自然エネルギーと組みあわせて使う電源として柔軟性に欠けるため,電力市場における経済価値もいちじるしく低下しつつあります。くわえて地震や異常気象,機器の故障による運転停止が頻繁に発生するようになり,電力の安定供給に大きな影響を及ぼしはじめています。全世界で運転中の原子力発電所の運転期間は平均で30年に達しており,老朽化にともなって今後さらに廃止の動きが広がることは確実です。
 補注「引用」中の補注)ここでは原発神話の核心であった「安価・安全・安心」の3大要因が全面的に崩壊した事実が指摘されている。なお,引用はしていないが,本文のなかに掲出されていた図表2点をつぎに引用しておく。
 註記)その
図表2点を収載している「本文」の住所は,前掲してあったが,https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/190123_NuclearReport_JP.pdf
競争力を失う原子力発電2019年1月
競争力を失う原子力発電2019年1月2

 〔記事に戻る→〕 ドイツや韓国のように原発からの段階的な撤退を決めた国もあれば,米英のように再生可能エネルギーの台頭で原発の比重が下がった国もある。原発大国フランスも原発依存度を大きく下げる方針だ。国が後押ししてきた中国やインドでも,再エネの伸びが原発をしのぐ。

 かつて世界の総発電量の17%を占めた原子力は,現在10%ほど。対照的に再エネは25%近くになった。国際エネルギー機関(IEA)は「2040年に再エネは40%になる」と予測する。原子力から再エネへ,時代は大きく転換しつつある。
 補注)ここまで聞けば,日本の「2030年時点における電源比率の目標:20~22%」という数値を示した原発に関する「電源比率の目標設定」は,いったいなにを考えているつもりでそう設定したのか,はたして正常な神経で原発問題を議論してきたつもりかとまでもいいたくなる。

 3)責任ある政治決断を
 安倍政権の成長戦略である原発輸出が,英国やトルコでつまずいた。事故を境に新時代へ転換する海外に,事故当事国が原発を売りこんで袋小路に入る。なんとも皮肉な事態である。衰退していく原子力の延命に大きな資源を割き,次代を担う再エネを二の次にする。そんな姿勢のままでは,時代の大転換にとり残されてしまう。
 補注)いまの安倍晋三政権が展開してきた「原発問題への取組姿勢」をみていると,まさしくこの「とり残される」路線をわざわざ選んできている。となれば,あとに残された「注目すべき問題」といえば, “「原発」は「原爆」の出來の悪い弟分” だという事実に関係していた。

 原発ゼロの実現は容易ではない。だからこそ政府は,一刻も早く脱原発の方針を決め,段階的に廃炉を進めるあいだに再エネを急ぎ育てるべきだ。地球温暖化を抑えるためにも,そうすることが欠かせない。政策転換は早い方がいい。原発を止めれば,それ以上,使用済み燃料は増えない。また,核燃料サイクル政策から撤退すれば,六ケ所村の再処理工場の操業や設備投資に巨額の費用をかけなくてすむ。
 補注)このような,せっかくの忠告・助言がなされていても,いまの安倍晋三君には馬耳東風,馬の耳に念仏,ブタに真珠でありつづけてきた。「ドブに金を捨てる」かのようにして原発を建設させ発電し,さらに高速増殖炉も完成させようとしたが,とくに後者にいついては完全なる失敗であった。なにをかいわんやであり,ここまで来たとなれば,原発の終末論的な議論に移行できない自民党は,政党として「科学技術」に関する認識が基本からなっていなかったとみなすほかない。

 〔記事に戻る→〕 原発ゼロはけっして無責任ではない。野党の原発ゼロ基本法案を1年もたなざらしにし,議論もせぬまま,なし崩し的に再稼働を進める。そんな安倍政権の姿勢こそ無責任ではないか。段階的な脱原発を決断し,向かうべき方向をはっきり示す。それが政治の責任である。(引用終わり)

 あの安倍晋三君にこのような忠言を申しあげたところで,まったくの無駄打ちにしかなりえないところが悲しい。『国難=亡国・滅国・売国の首相』たるゆえんを,みずからよりいっそう深刻化させてやまない「この日本の最高指揮官」の行く手には,もはや悲劇の顛末しか残されていない。この悲劇を食いとめるのは誰か?

 【参考記事】

 ▲-1「何度でも言う!  安倍首相こそが福島原発事故の最大の戦犯だ!  第1次政権で津波による冷却機能喪失対策を拒否」『リテラ』2019.03.11 08:40,https://lite-ra.com/2019/03/post-4599.html 以下。

 ▲-2「マスコミの原発批判激減の裏に電力会社の広告漬け復活が!  関西電力、九州電力は広告費3倍増に」『リテラ』2019.03.12 11:13,https://lite-ra.com/2019/03/post-4600.html 以下。

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