【原子力発電が地球上から追放・抹消されるべきエネルギー生産の様式であることは,自明に属する認識である】

 【地球上に再び原発の大事故が発生したら,またもやこの地球は,放射性物質による深刻な汚染に見舞われる】

 【原発はもう要らないエネルギー電源であるのに,これが一番重要な発電の報道だと誤説を平然と開陳する,

 日本の将来におけるエネルギー問題に関する理念像はおろか,現実的に適切な認識も,そして最低限は必要である企業倫理感ももちあわせない

 財界首脳で日本の企業を代表する人士の,それも「不遜・傲岸」と同居する「頼りなさ・器の小ささ」】


 ①「令和を歩む(1)経団連会長中西宏明氏  変化受け止め,次の革新」(『日本経済新聞』2019年5月3日朝刊1面)

 1)まず「記事の引用」など
 平成の約30年はものすごく変化が大きかった。冷戦が終結し,国際秩序を主導する存在がいない「Gゼロ」の世界になった。日本は働けば豊かになる時代が終わり,お金をもっている人も金利では稼げず,リスクをとらないとリターンがえられなくなった。

 電機業界も激動だった。良いモノを作れば売れるという価値観が通じなくなり,大赤字になった事業がつぎつぎと消えた。とくに半導体の製造は他国にも可能になり,市場構造ががらがらと変わった。社会や文化の基盤が変わり,過去に固執したらロクなことがない。そこに気がついた人と気づかなかった人がいた。
 この記事の内容はもちろん,日本の産業経営全体が世界経済のなかでその地位を相対的にも絶対的に下げつづけてきた「1989年から2019年にかけて」を回顧していわれていた。かつては,「ジャパン アズ ナンバーワン」であった日本の経済的な地位を支えてきた「製造業を中心とした企業経営の実力」は,いまではかたなしというところまで落ちてきた。

 そのなかでも,製造業が売る品物としては,その価格がもっとも高い単価を誇れるはずだった「原発の製造・販売」が,日本で原発を製作できる諸会社(原子力「御三家」)において失敗しており,いまや「原子力事業の存続に向けた岐路」に立たされるハメにもなっている。

 中西宏明は,引用した記事のつぎの段落「デジタル活用へ」では「科学技術をうまく使ったイノベーション(革新)は大きなヒントだ。消費者の需要を引き出すことが,そのもとになる。新しい商機をつくる責任は民間が負う。環境を整えるのが政府の役割だ」と強調し,なかでも「新時代を見通したとき,懸念するのはエネルギーの問題だ」だと,くわえて強調していた。

 中西宏明は,その記事の続く段落「競争力の危機」においては,結局「原発ももっと長い目でみた議論をすべきだ。化石燃料を使いきったあと,原子力以外に生活や工業を支えるエネルギーはない。日本は変わらなければならない」とむすんでいた。(以上の記事で,日経側の聞き手は経済部次長・柳瀬和央)

 ところで中西宏明(73歳)の経歴は,「コンピューター設計者として日立製作所に入社」し,「2010年に社長に就き,巨額赤字に陥っていた同社をV字回復させ」「2014年から会長」に就いていたが,「2018年5月に経団連会長に就任した」というものである。だが,はたして,日本の経済界全体をも,今後において「V字回復」させうる人物になりうるかについては,けっして予断を許さない。

 そもそも財界人で日本を代表する大企業の幹部が「日本は変わらなければならない」というときに,「化石燃料を使いきったあと,原子力以外に生活や工業を支えるエネルギーはない」のだから「原発ももっと長い目でみた議論をすべきだ」と主張した観点じたい,歴史・時間的にも状況・空間的にも “完全にといっていいほど” に「いまどきには珍しくも錯乱したピントはずれのいいぶん」だと,あえて徹底的に批判を向けておかねばならない。

 2)世界における電源構成の変化
  つぎの画像資料は『The Asahi Shimbun GLOBE』第217号,2019年5月5日(第1日曜日発行)13面「〈Behind the News〔ニュースの深層〕脱炭素で消えゆく化石燃料『公正な移行』求める声」という記事のなかに出ていた「世界の電源構成 2017年」である。ただし,この図表は「比率(%)の表示」であるので,「世界の電源構成の推移(伸び率)」を表わしている図表も,つづけて挙げておく。
『The Asahi Shimbun GLOBE』2019年5月5日13面電源構成
 出所)『The Asahi Shimbun GLOBE』第217号,2019年5月5月13面。

ブルームバーグ2017年世界電源伸び率図表
 出所)気候変動に関する有識者会合,第1回 黒﨑美穂「世界の電力市場見通し-クリーンエネルギー投資と設備導入量-」2018年1月9日,〔外務省ホームページ〕https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000323639.pdf

 補注)2つ目の図表のなかに出ていた用語「PVシステム」を説明しておく。
 太陽光発電とは,太陽から発生される光を太陽光パネルで受けとめ,家庭で使用できる電気に変換して供給するシステムである。別名を「PV」と呼ぶこともあり,これは「Photovoltaic(フォトボルタイク)」ということばの略語である。この Photovoltaic とは,英語で「光起電性」という意味をもつ。

 ちなみに発電は英語で「Power Generation」。日本では太陽電池を「Solar Cell」と呼ぶことが多いが,海外ではほとんどがこちらの Photovoltaic もしくはPVと呼んでいる。「Photovoltaic Power Generation」で,太陽光発電という意味になる。     

 またPVシステムとは,太陽電池や接続する周辺機器などをひっくるめたシステムをいい,基本構成は「太陽電池による発電」「直流電流を交流電力に変換するインバータ」「充電するための蓄電池」「電力会社との売買をする系統連系システム」などからなる。その目的に応じて構成内容は変わり,さまざまな種類のPVシステムが構築されている。 
 以上,関連する最新事情の説明も途中に入ったが,要は,原子力発電については中西宏明が強説するように「原発ももっと長い目でみた議論をすべきだ。化石燃料を使いきったあと,原子力以外に生活や工業を支えるエネルギーはない」という主張は,いったいなにを具体的な根拠(工学・技術的にもそして経済・営利的にも)にしていわれているのか,まったく意味不詳であった。その口調からして,受けとりようによっては「原発固執妄想症」にしか聞こえない。

 中西宏明がこのところ原発の問題に関して発信してきた意見は,「単なる虚偽のイデオロギー」にもなりえない虚言だと解釈されても文句など一言も返せないくらい,身勝手な無理解と度外れた無責任さに満ちていた。

 とりわけ中西の発言は,日本の関連した大企業による原発事業の失敗・不振を棚上げした〈ものいい〉であった。しかも,まずいことにその発言の仕方は,完全に没論理であった。というしだいで,まことに始末に悪い印象を与えてもいた。なかんずく,経団連会長が発言する中身としてはあまりにお粗末であり,デタラメが過ぎていた。

 ②『日本経済新聞』2019年5月3日朝刊(つまり ① と同じ日)に掲載されていた関連の記事

 1)「〈ニュースな科学〉『脱炭素社会』へ戦略策定 数十年で再エネ主力に CO2 リサイクルにも注力」(『日本経済新聞』2019年5月3日朝刊19面「ニュースな科学」)
 この解説記事は冒頭部分(ほぼ5分の1)のみ引用する。ただし,この記事も原発を「温暖化対策」に有効な発電手段のひとつに挙げているが,これは基本的に間違いであった。にもかかわらず『日本経済新聞』も終始一貫,「原子力・発電」が地球温暖化の問題に利用できる方法だと主張しつづけてきた。

 原発そのものが余熱発生源として温暖化の原因を提供するだけでなく,またもや万が一にでも “深刻な事故” を起こしたとなれば,その時はその時で「温暖化の問題次元」を超えた,よりいっそう深刻な〈放射性物質による地球汚染〉の問題を再来させる。

 そうした,すでにこの地球の表面空間においてさらけ出されてきた「原発事故・事実史」を頭から無視してでも,「原発がエネルギー起源のCO2 排出量をゼロにするには」という目標に役立つと認定するのは,二重の意味でひどく倒錯した過誤の説明であった。

 とりわけ,原発の廃炉問題に関しては「炭酸ガス」を大いに発生させる作業や工事を含む「廃炉工程」を,これから,おそらく半世紀・1世紀の単位で管理していく予定を覚悟していなければならず,「エネルギー起源のCO2 排出量をゼロ」とした想定そのものが原発に関して強調されるとしたら,議論の出立点そのものに過ち(ボタンのかけ間違い)がある。

 つぎには, ② の記事(その冒頭段落だけだが)を引用する。

 温暖化対策の長期戦略について政府は,温暖化ガスの排出量を今世紀後半の早い時期までに「実質ゼロ」とする初の戦略をまとめた。再生可能エネルギーの主力電源化や水素の普及,二酸化炭素(CO2 )を活用する新技術などによって達成を目指す。気候変動に伴う自然災害や海面上昇などから国際的な対策が求められている。「CO2 ゼロ国家」という旗をかかげて,技術力を総動員する。
『日本経済新聞』2019年5月3日朝刊脱酸素記事

 この長期戦略は2016年に発効した温暖化対策の国際的枠組「パリ協定」で,各国政府が策定を求められているものだ。パリ協定では産業革命前より気温上昇を2度未満に抑える目標をかかげており,それを実現するシナリオとなる戦略を2020年までに国連に提出しなければならない。日本政府は6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議までに提出しようとこの時期にまとめた。

 政府が新戦略でめざすのは「脱炭素社会」の実現だ。CO2 などの温暖化ガスは大気中にとどまると地球を温める。温暖化が進むと,気候変動を引き起こし,気象災害や海面上昇などの原因となる。大気中への放出を抑える必要がある。

 「実質ゼロ」というのは差し引きゼロという意味で,なにも出さないという意味ではない。産業活動をすればどうしても出てしまうが,排出した気体を回収したり,再利用したりすることで,差し引きゼロとする目標だ。(引用終わり)

 この解説記事に添えられていた「キーワード:温暖化ガス」に関する用語の説明のなかには,「地球を温める効果をもつ気体のこと」で,「二酸化炭素(CO2 )のほか,メタンや一酸化二窒素,代替フロンなどがある。地球から放出される赤外線を吸収し,熱を地球の内部にとどめる働きをもつ。温暖化ガスが増えすぎると,熱が地球にこもり,温暖化をもたらす」と記述した部分があった。

 だが,「温暖化ガスが増えすぎると,熱が地球にこもり,温暖化をもたらす」点については,原発の発電した電気じたいが生産する熱や,発電における熱効率が「3分の1」しかない効率との関係で,冷却水に吸収させている排熱分「(その残りの)3分の2」が,世界中に2018年1月1日現在で443基ある原発によって,地球温暖化そのものの原因を提供している事実も配慮に入れておく必要があった。

 その点については,「全国の原子力発電所の毎月の排熱量について」(内閣府原子力委員会ホームページ,http://www.aec.go.jp/jicst/NC/qa/iken/iken-q85.htm)が,たいそう奇妙で粗雑な(つまり安倍晋三君の国会答弁のごとき)反論をしていた。それは,都合のよい論点の寄せ集めによる主張であって,現実に起きている具体的な問題など等閑視したまま,説明にならない説明を強弁するばかりであって,議論の余地ある問題点を放置しており,権柄尽くにも感じられる「問答無用の中身」になってもいた。

 2)「〈令和 Nippon 特集 波頭を越えて〉電力の主役は再生エネ  国産電源,政府目標は2030年度20%台 発電効率高めて競争力」(『日本経済新聞』2019年5月3日朝刊13面「特集」)
 こちらの解説記事からは,適宜に段落を摘出する体裁で,つぎの2つの項目〔 a)  と b)  〕に分けて引用する。

 a)    日本のエネルギーは時代とともに主役が変わってきた。昭和の時代は高度経済成長を石油による火力発電が支えたが,中東依存が裏目に出てオイルショックという苦い経験をした。その後,電源の安定を担ったのが原子力発電だ。
 補注)原発が「電源の安定をになった」というのは,日本の電力史に鑑みて判断すると,いささかならず過分の評定である。というのは,原発がなくても済む発電事情の現実的な推移が,実際にあったからである。

 別の火力発電(原発も火力である)が,いままでにおける「電力の安定供給」に利用できなかったという判断にだけこだわる説明は,公平で客観的な観方とはいえない。

 現に「3・11」後の一定時期は,原発の稼働ゼロでもやっていけたし,いまでもできる。もちろん「燃料費の価格問題」も関連する重要な事項としてかかわっているけれども,ここではひとまずさておいての話題である。そういう条件で話を進めても基本的に支障はない。

 「3・11」発生時,東京電力は原発が稼働できない状態になっていたさい,ほかの火力発電でも未稼働状態になっている部分(発電能力)が多分にあった。もちろん,原発事故の発生に合わせすぐには稼働できなかったり,震災による被害を受けてしまいこれまた,すぐには稼働できなかったりした火力発電所もあった。

 だが,電力の供給力として絶対的に不足ではなかった。当時としては緊急時ゆえ,需要(消費者)側からの電力使用抑制(節電)に協力してもらえれば,決定的な電力供給不足だとみなす事態が発生することはなかった。この点はこう把握されている。
 「原子力発電の発電量の大幅な減少を火力発電の発電量増加と電力消費量減少で相殺したかたちとなったといえる」
 註記)小笠原潤一「東日本大震災後の電力需給の状況」,日本エネルギー経済研究所『IEEJ』2012年6月,https://eneken.ieej.or.jp/data/4359.pdf,2-3頁。
 さて,東電が公表している「電力供給設備」「電源構成比」がつぎの図表である。現在も原発は1基も再稼働していない。つぎの図表のうち原子力(原発)の比率は「3・11」(2011年)以降ゼロであって,いまもゼロ。「原発ゼロ」でも東電は経営維持が可能。
東京電力電力供給設備電源構成比
 出所)http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/electricity-supply/generation-capacity-tepco-j.html

 この 2)の記事がかかげていた図表は3点あるが,つぎの1点のみ紹介しておく。
『日本経済新聞』2019年5月3日朝刊13面波頭を越えて

 〔記事に戻る→〕 平成は「原子力ルネサンス」と呼ばれる時期で,日本も50基以上の原発を稼働させた。しかし,2011年の東日本大震災による東京電力の福島第1原子力発電所の事故で,全国の原発は一斉に止まった。再稼働は一部にとどまり,多くの原発は寿命を迎えつつある。

 b)  令和の主役が再生エネとなるのは間違いない。だが世界をみわたすと,日本は出遅れている。欧州はすでに英国やドイツの再生エネの比率が30%台前後で,とくに洋上風力は産業化に成功している。発電コストは大きく下がった。日本は洋上風力の導入実績はほとんどなく,208年秋に成立した洋上風力を促進する新法をもとに普及を急ぐ。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」も各国の再生エネ導入を後押しする。日本で必要なのは再生エネの自立だろう。導入する企業がコスト競争力で優位に立つほどに発電効率を上げる取り組みが必要だ。電力システム改革の仕上げとして,2020年には電力会社の発送電分離が実施される。新規参入組の再生エネ事業者は送電線インフラが使いやすくなり,普及の後押しになりそうだ。(引用終わり)

 以上,ここまでの記述に関していえば,「再生エネルギーの開発・利用」とは対極に位置する発電装置・機械である「原発の大事故」(日本では東電福島第1原発事故)をもって,この国の人びとが骨身に浸みるかたちで教えられたはずの《悪魔の火》の恐怖を学ぼうとしない「原子力村に一群集団」が,いまだにどこかに盤踞している。

 論旨の都合上,ここでもう一度,中西宏明の発言を反復させておく。「化石燃料を使いきったあと,原子力以外に生活や工業を支えるエネルギーはない」といいきっていた。これはひどい間違いにしかなりえない謬説(意図的な発言か?)であった。

 『朝日新聞』2019年4月29日朝刊の社説は「原発被災地 住民本位の将来像」という論題で語っていたが,なかでも,東電福島第1原発事故のために破壊された地域社会の復旧が前途多難である事実に触れていた。

 なお,福島県双葉郡広野町大字下北迫字二ツ沼58に位置する東電「広野火力発電所」は,「3・11」以後に新設された6号機も入れて,

  1号機・2号機(出力 60万kW,燃料は重油,原油),
  3号機・4号機(出力 100万kw,燃料は重油・原油),
  5号機・6号機(出力 60万kw,燃料は石炭)

の構成であるが,1・3・4号機は現在「長期計画停止中」だと断わられている。

 さらにくわしく参照すると,「2016年4月1日  広野火力発電所1号機は,2016年4月1日より長期計画停止しております」。「2018年7月1日 広野火力発電所3・4号機を長期計画停止いたします。なお,状況に応じて稼働いたします」と,断わられてもいる(『東京電力フェエル&パワーの企業情報』「広野火力発電所」,http://www.tepco.co.jp/fp/thermal-power/list/hirono.html)。
 補注)現有の原発施設(装置・機械)が,東電側がいうように「長期にわたり計画停止」できるほど余裕があり,「状況に応じて稼働」するといっても,いったいどういう状況になったとき稼働するのかについて,具体的な説明は与えられていない。

 現在6基ある広野発電所の火力のうちなぜ,現在は3基だけの稼働で済むのか,時期(需要の少ない春期)だからなのか? 電力需要の大きくなる夏期には全基が稼働するのか,のぞいてみたホームページの画面全体のなかには,該当する説明はない。いちいちその付近の状況は説明しなくともよいということか? 不親切ではないか。 

 簡単にいえば,各時節によって平均的には何基の火力が稼働する「状況」にあるのか,などに関した説明があってもいいはずである。電力会社における発電設備の稼働方法に関していえば,それだけ特殊な運営を迫られる事情(「1年」の「各月」の「曜日」の「1日」の「24時間内」ごとに)によって,電力の供給に変動させ柔軟に応じなければならない。この点に関する管理業務が,電力会社の重要な仕事である。もっとも,最近は再エネの普及・拡大によって「電力需給の調整管理」の方法は,以前のように各地域ごとの電力会社(大企業)の運営・調整にだけ任されるものではなくなっているが。

 東電は,2019年5月現在,福島第2原子力発電所の「4基の原発」(総出力 440万kw),柏崎刈羽原子力発電所の「7基の原発」(総出力 821万2千kWで,合計1261万2千kw)のうち,いまだに1基も再稼働できていない。したがって,こちらの原発が休止中をつづけている状況のなかでは,全発電能力のうちほぼ3分の2を占める火力発電に一番大きく依存している。

 補注)ちなみに,北陸電力の「発電設備」(2015年での出力:供給電力)を参照してみると,こうであった。この出力の数値「合計」は1000万kw未満である。

   発電所      箇所数   出力(万kW)
   水力        131    1921
   火力       6     4400
   原子力      1  (※)1746
   新エネルギー      6        8
   小計        144     8075
    他社受電    -    1176
   合計       -    9251
        (2015年3月31日現在)
    註記)※ は志賀2号機において整流板を設置して運転の場合。

 つぎの表は「電力10社の発電設備」(2017年度末)である。原発の設備が会社によっては,非常事態に備えて設備の余裕を控えて保有しているにしても,無駄といえそうな範囲・水準にまで原発が建造されてきたといっていい。
電力10社の発電設備分類
 出所)電気事業連合会ホームページ,https://www.fepc.or.jp/library/data/infobase/pdf/08_b.pdf

 東電の「発電設備」も当然そうであったが,原子力発電に対する各電力会社の投資・設置・稼働は,現在的に評価していえば,積極的と消極的とを問わず「再生エネルギーの開発・利用」を抑制するだけでなく,妨害さえしてきたと観察される。いまでは,国家に保証・補償されていない「各電力会社の地域独占形態」および「総括原価方式」の採用が,投資額が非常に高額である原発設備を整えていきながらも,「既有の火力発電設備の不要・無用な遊休化」を許してきたわけである。

 「3・11」発生時,東京電力の広野発電所は震源地に近いために相当の被害を受けていたものの,当時も休止していた火力発電も含めて全5基の稼働に向けて懸命の努力をしていき,その後,稼働させるために時間はかかったものの,「3・11」以後における電力事情に対して重要な発電所の地位を占めたはずである。
※ 東日本大震災時の東電広野火力発電所 ※

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に被災した東電の広野火力発電所は,当時運転中だった2号機と4号機が停止し,その直後に襲来した大津波によって,タービン建屋など構内広範囲にわたって浸水した。その結果,がれきが散乱するなどした状態となり,地震発生時停止していた1号機,3号機,5号機を含む全機が運転できない状態に陥った。

 広野火力発電所の施設は,福島第2原発の10km圏内および福島第1原発の30km圏内に位置する。2011年4月21日に福島第2原子力発電所の避難区域が10km圏内から8km圏内に縮小し,翌22日には広野町全域が「緊急時避難準備区域」へと変更され,避難区域から外れた(同年9月30日に解除された)。

 まず損壊が少ない設備から着工し,復旧作業をおこなった結果,5号機が2011年6月15日に運転を再開し,その後も順次復旧作業を進められ,7月16日に再開した3号機を最後に全機の運転が再開した。
 原発を稼働させるかどうかの問題は,再生エネの比率を上げていく努力・工夫していけば,過去における電源構成(供給能力に十二分の余裕があった)のなかで,それも原発に分担させてきた “つもりの分” は,今後に向けてはいよいよ減少させうるし,最終的には完全に不要にできる展望が確実にある。

 だが,それでもなお,「原発の維持」(その電力経済的な採算目的)の問題であるというよりは,実は「個別企業の営利追求」と「原発の軍事関連技術問題」(政治的次元・意図のほうとしては “原爆保有という軍事目的” )とを分離させたくない「政治側の意向」が,けっして原発を捨てようとはしない理由となっている。

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