夏目 漱石の私の個人主義
講演集
大阪や学習院での講演を一冊にまとめた講演集。
時には冗談を交えながらも、真摯に若者に語りかける漱石。
この講演で各地に出かけたことが、のちの作品の中で生かされています。
一瞬一瞬も無駄にしない漱石の姿があります。
いまでも自分にそう語り続けているような気がします。
また一段と漱石が好きになった一冊です。
現在にも通じる普遍性を持っている漱石の思惟 !
「道楽と職業」、「現代日本の開化」、「中味と形式」、「文芸と道徳」、「私の個人主義」の5つの講演録を収めた作品。漱石の思索が直接的に語られるので、その想いが率直に伝わって来る。漱石の思惟が現在にも通じる普遍性を持っている事が良く分かるし、ユーモアや講演地の話題を巧みに織り交ぜる等、講演の名手だった事も窺える。
「道楽と職業」では、職業における自己本位と他人本位の問題が語られる。文明が進むに連れ、人々の職業上の専門性が高まり、互いの同情心が薄れ、横の連鎖が無くなると言う。漱石は職業を他人本位(他人のためにする)と捉え、それが人が商売を嫌だと考える理由だと言う。それを免れているのは、科学者・芸術家だとし、これを道楽と称し、自己本位の発露だと考える。「現代日本の開化」は、戦勝による昂揚気分への戒めである。本来内発的であるべき開化が外発的に行なわれた日本の上滑りを憂いている。開化が生活上の競争を低減しない上に、滑らない様に頑張った結果、神経衰弱になるとすれば憐れだと語る。「中味と形式」では、社会にあった型(法律等)は、その社会的状況や、社会を構成する人々の心理状態に合うような無理の少ないものであるべきと論じている。中味に応じて外形も変わるべきとの論である。「文芸と道徳」は、浪漫主義文学と自然主義文学を、明治以前・以後の道徳と結び付けた興味深い論考。個人主義の立場から世の中を見渡す時代においては「明治以前の道徳は大体において過ぎ去った」と語るが、「道徳界における理想が低くなったに過ぎない」とも警告する。「私の個人主義」は、英国留学を中心とする漱石の経歴を語る中で、「個人主義」の信念に到る経緯を述べたもの。「個人主義」は他人の個性を尊重する事でもあるが、その阻害要因として権力・金力の濫用を挙げている。
「個人主義」を中心に、漱石の晩年の思索が活き活きと伝わって来る貴重な講演集。
思想の冒険家・夏目漱石。
小説家としての漱石以上に、思想家としの漱石に魅力を感じている。
この『私の個人主義』から、漱石の考え方を直接、学ぶことができる貴重な1冊である。
2001年8月10日、NHKラジオ第1で放送された「21世紀に読む漱石」のゲスト・寺島実郎のイギリスから20世紀を持ち帰った男・漱石の話と、「私の個人主義」(1914年)の講演を声優・銀河万丈の声で聴いて内容にも魅了されました。
「道楽と職業」から、大好きな分野を個人的に学ぶ楽しさと、他人へのサービスとしての職業を考えることは、現代社会でも通じる内容です。
漱石の『私の個人主義』は、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』(1941年)、オルテガの『大衆の反逆』(1929年)に匹敵するほどの内容の講演と思います。
時代を先取りした思想家・夏目漱石の言葉が、時代を超えて受け継がれることを祈ります。
私の個人主義
コーチ ショルダーバッグ
講演集
大阪や学習院での講演を一冊にまとめた講演集。
時には冗談を交えながらも、真摯に若者に語りかける漱石。
この講演で各地に出かけたことが、のちの作品の中で生かされています。
一瞬一瞬も無駄にしない漱石の姿があります。
いまでも自分にそう語り続けているような気がします。
また一段と漱石が好きになった一冊です。
現在にも通じる普遍性を持っている漱石の思惟 !
「道楽と職業」、「現代日本の開化」、「中味と形式」、「文芸と道徳」、「私の個人主義」の5つの講演録を収めた作品。漱石の思索が直接的に語られるので、その想いが率直に伝わって来る。漱石の思惟が現在にも通じる普遍性を持っている事が良く分かるし、ユーモアや講演地の話題を巧みに織り交ぜる等、講演の名手だった事も窺える。
「道楽と職業」では、職業における自己本位と他人本位の問題が語られる。文明が進むに連れ、人々の職業上の専門性が高まり、互いの同情心が薄れ、横の連鎖が無くなると言う。漱石は職業を他人本位(他人のためにする)と捉え、それが人が商売を嫌だと考える理由だと言う。それを免れているのは、科学者・芸術家だとし、これを道楽と称し、自己本位の発露だと考える。「現代日本の開化」は、戦勝による昂揚気分への戒めである。本来内発的であるべき開化が外発的に行なわれた日本の上滑りを憂いている。開化が生活上の競争を低減しない上に、滑らない様に頑張った結果、神経衰弱になるとすれば憐れだと語る。「中味と形式」では、社会にあった型(法律等)は、その社会的状況や、社会を構成する人々の心理状態に合うような無理の少ないものであるべきと論じている。中味に応じて外形も変わるべきとの論である。「文芸と道徳」は、浪漫主義文学と自然主義文学を、明治以前・以後の道徳と結び付けた興味深い論考。個人主義の立場から世の中を見渡す時代においては「明治以前の道徳は大体において過ぎ去った」と語るが、「道徳界における理想が低くなったに過ぎない」とも警告する。「私の個人主義」は、英国留学を中心とする漱石の経歴を語る中で、「個人主義」の信念に到る経緯を述べたもの。「個人主義」は他人の個性を尊重する事でもあるが、その阻害要因として権力・金力の濫用を挙げている。
「個人主義」を中心に、漱石の晩年の思索が活き活きと伝わって来る貴重な講演集。
思想の冒険家・夏目漱石。
小説家としての漱石以上に、思想家としの漱石に魅力を感じている。
この『私の個人主義』から、漱石の考え方を直接、学ぶことができる貴重な1冊である。
2001年8月10日、NHKラジオ第1で放送された「21世紀に読む漱石」のゲスト・寺島実郎のイギリスから20世紀を持ち帰った男・漱石の話と、「私の個人主義」(1914年)の講演を声優・銀河万丈の声で聴いて内容にも魅了されました。
「道楽と職業」から、大好きな分野を個人的に学ぶ楽しさと、他人へのサービスとしての職業を考えることは、現代社会でも通じる内容です。
漱石の『私の個人主義』は、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』(1941年)、オルテガの『大衆の反逆』(1929年)に匹敵するほどの内容の講演と思います。
時代を先取りした思想家・夏目漱石の言葉が、時代を超えて受け継がれることを祈ります。
私の個人主義
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