台風一過とはいかず、サントリーホールへ着いたときは小雨がパラパラ降っていました。

N響の新シーズン開幕戦は、ここ数年 人気急上昇中の巨匠ブロムシュテットの客演。
1981年からN響の指揮台に立っているようで、手堅いが面白みに欠ける・・・という評価が多かったと思いますが、誠実さや誇張のない真摯な態度などの職人気質を84歳まで一切ぶれることなく、頑固なまでに貫くと聴衆の方がまるで根負けしたようにその音楽に惹かれてくる・・・・そんな印象をこの指揮者には持っています。

今夜のメインはブルックナーの交響曲第7番 ホール入口にノヴァーク版を使用するがトライアングルとシンバルは用いないというお知らせが貼ってありました。ノヴァーク版の特徴は2楽章の打楽器くらいしか分からない者には何のことやら。聞いてみると、派手さを嫌ったのかなと理解しましたが・・

いつもの通りの両翼配置で右にワグナー・チューバ、左にホルンで1楽章の冒頭部が厳かに始まりました。金管が響くところはかなりの音量で、音がホール全体に拡がるようです。そしてこの大合奏が終わったときの余韻を残した静寂 そのとき、ブロムシュテットの棒が天井を指していました。ここは感じますねぇ。

こうした思い切って金管を鳴らすところもあれば、3楽章のテーマ(雄鶏のキッケリキーという鳴き声から着想したそうです〜知りませんでした)を吹くトランペットは弱音 その他、音量を抑えるところはしっかり。中途半端な音はこの巨匠からは聞こえてきません。
隅々までコントロールされた音とともに、見事に反応しているN響の実力もまた素晴らしいものでした。

全体には重心の低い音ですが、ドイツ系の分厚さとは違い力感を強く感じることはありません。唸ったり飛び跳ねたりというパフォーマンスや強引さもなく、楽譜に忠実にというスタイルが貫かれていました。
2楽章のテーマも棒を振り下ろしてパワフルに演奏するのをよく聞きますが、ブロムシュテットにはそこまでの強引さはありません。
1楽章のコーダや4楽章のフィナーレは圧倒的ですが、音楽を積み上げながら頂点をつくり結末をつくるという設計がよく見える演奏でした。

コンマスはお馴染みのペーター・ミリング ご自分で譜面をめくっていました。このめくり方も丁寧で、先日のアルミンクと新日本フィルの少々乱暴気味なのとは違います。
オケのバランス どうすればバランスよく会場に響くかという点ではブロムシュテットに一日の長があります。

終演後、小澤征爾のように木管の首席のところまで行って握手を求めていましたが、N響の管楽器奏者は若返り途上ですが皆さん達者ですね。

前半はシューベルトの未完成 こちらはあまり開放的に音を鳴らすシーンはありません。1楽章のテーマをトロンボーンが吹きトランペットがリズム打ちするところでも抑えていました。
N響の木管セクションがいいソロを聞かせていましたし弦楽合奏も ブロムシュテットの持ち味である渋さを感じる未完成でした。