完璧を目指しすぎる人が陥る落とし穴


━━━皆さんは普段、普段から何点を目指して仕事をしていますか?━━━━

 多くの人は、成果物をできる限り100点に近づけたい、完璧に仕上げたいと考えるものです。
 日本の教育では、テストで100点を取ることが良いとされ、
 私たちはその考え方に慣れ親しんでいます。
 そのため、仕事においてもついつい「100点を目指す」姿勢で臨みがちです。

 しかし、鈑金塗装の世界では、絶対的な基準に基づく100点というものは存在しません。
 自分が考える100点が、お客様や会社にとっては過剰であったり、不十分であったり
 することもあります。

 さらに、完璧【仕上がり】を目指すあまり、仕事の進行が遅れたり、
 必要以上にリソースを費やしてしまうことも少なくありません。
 例えば、ドアの傷は手のひらサイズだがボディーの色が特殊な為に
 調色時間に必要以上に時間がかかってしまう、といったケースが挙げられます。

 こうした完璧主義の罠から抜け出し、スピードと質を両立させるためには、
 相手の評価基準を明確にし、それを満たすことを優先する考え方が重要
になります。

 例えば上記の例でいうなら【色は合わないからお客様に追加ボカシ費用を貰っています】
 ➡なので調色には時間をかけず隣接パネルまで広げてボカシて下さい。

 といった感じです。

 私達の仕事【鈑金塗装】というのはまさに、このロジックを理解して仕事に従事しなければ
 この完璧と言う言葉に惑わされ、逆に仕上がり【品質】が落ちる場合があります。



 完了主義で仕事の効率を最大化する

 鈑金塗装の仕事で一番大切なのは完了主義という考え方です。
 この完了主義を理解できる技術者は仕事が早くて効率が良いです。
 なぜなら100点を目指すのではなく、受け手【お客様】の基準を満たすことを最優先に
 考えているからです。

 この考え方では、自分にとっての「完璧」ではなく、 
 相手が求める基準に応じた「十分な完成度」を重視します。
 特に鈑金塗装の現場では、相手の期待値を事前に把握し、
 どの程度の仕上がりが必要なのかを明確にすることが仕事の
 迅速化および効率化の鍵となります。

 当社で実際にやっている事でいえば、事故や修理の依頼を受ける際はお客様と
 実際に作業を行う技術者が3者面談の様な形で修理方法を考える事があります。

 これをすると、受け手側【お客様】からすると事前に修理方法が明確になります。
 そして現場でも【こういう修理方法でいくらで受けている】と修理金額も 
 同時に把握することで【仕事の工数】が逆算が可能です。

 この方法を取ることで、完璧を目指す場合に比べて時間を有効活用できるだけでなく、
 他者の視点を取り入れた質の高い結果が得られる可能性も高まります。


100点を目指さないことで得られる成果

 このように、完了主義を取り入れることで、リソースを効率的に使い、
 無駄を省きながら、相手の期待に応える成果物をスピーディに提供することが可能
になります。

 さらに、全体的な仕事や仕上がりの品質を結果的に高める効果も期待できます。
 受け手【お客様】の基準を理解することで、
 リソースを本当に必要な部分に集中させることができます。

 特に技術系の鈑金塗装業では時間をかければ、かけるほどに
 どこまでも完璧を目指す事が出来ます。
 こういった【あいまいな基準】から起こる過剰な労力や時間の浪費が発生すると
 効率的に目標を達成する事が出来ません。
 現場全体を【完璧マインドから完了マインド】へ移行する事で
 他の業務に割ける時間やエネルギーが生まれ、全体のパフォーマンスが向上します。

 すべての仕事【修理】を同じ基準で完璧に仕上げようとするのではなく、
 優先順位を明確にして、重要な部分に集中して他の仕事を素早く
 処理する能力を身につけることができるため、
 限られた労働時間の中で最大の成果を引き出すために、
 必要不可欠な考え方だと言えるでしょう。

 ━━━━━━まとめ━━━━━━━

完璧主義からの脱却と完了メソッド

完璧主義が生まれる背景と心理

  • 自己肯定感との関連: 完璧主義者は、完璧な成果を出すことで自己肯定感を高めようとする傾向がある。
  • 失敗への恐れ: 完璧主義は、失敗することへの恐怖心の裏返しである場合がある。
  • 周囲の期待: 周囲の期待に応えようとするあまり、完璧を目指してしまうケースも考えられる。

完璧主義から脱却するための具体的な方法

  • 小さな成功体験を積み重ねる: 完璧な成果ではなく、小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高めることができます。
  • 失敗を恐れない: 失敗は成長の機会と捉え、積極的に挑戦することが大切です。
  • 周囲とのコミュニケーション: 周囲の人と積極的にコミュニケーションを取り、自分の考えや気持ちを共有することで、周囲の期待へのプレッシャーを軽減することができます。

完了主義を実践する上での注意点

  • 質の低下: 完璧主義から脱却するあまり、質が低下してしまう可能性も考えられる。
  • 納期へのプレッシャー: 納期に間に合わせるために、安易な判断をしてしまう可能性がある。
  • チームとの連携: 個人の完了主義が、チーム全体の連携を阻害してしまう可能性もある。

完璧主義と完了主義のバランス

完璧主義と完了主義は、どちらか一方ではなく、両方の良いところを取り入れることが重要です。重要なタスクは完璧を目指し、そうでないタスクは完了主義で取り組むなど、状況に応じて使い分けることが大切です。

完璧主義から脱却し、完了主義を取り入れることは、仕事効率の向上だけでなく、心の健康にもつながる可能性があります。しかし、完了主義を盲目的に実践するのではなく、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。