鈑金塗装は顧客に対する考え方で未来が決まる

昨年は数社の廃業した鈑金塗装工場の経営者の方々とお話する機会があり
それらの経営者には共通した【顧客に対する】考え方があったので
以下の記事にしてみました

廃業・倒産へ向かってしまう鈑金塗装工場の【顧客に対する】考え方とは?
実は鈑金塗装工場というのは【下請け工場】が全国の9割を占めています。
この【下請け工場】とは何なのか?

まずここを抑えておく必要があります。
下請け工場】と【直需の工場】は工場内で従業員や現場の技術者が作業する工程や
設備なのどはほぼ同じです。
(工場規模・売上高による)
しかしながら
【直接的に依頼を受ける仕事】【間接的に依頼を受ける仕事】では
ある部分で大く違いがあります。
それは現場の人間が顧客の顔や声を【知ってる】か【知らない】です
後者が下請け工場です。
そして
下請け工場が請け負う仕事は大きく3つに分類されます

1つが【大手ディーラー】からの依頼
2つが【保険会社】からの依頼
3つが【買取業者・中古車販売店】からの依頼


3つに共通して言えるのは、顧客の依頼受け付けは1~3が行い
その後、下請け工場に仕事【顧客の車】がオートマチックに舞い込むと言う事です。

当然、修理依頼後に顧客の知らない所で1~3と修理工場の受注発注関係が発生します。
(請求書の行先・送金など)

そして1と3は【中間マージン】を取ります。
簡単に言うと【お客様が払う金額の3~7割】がこの1と3の売上高・利益になります。
(顧客が支払った金額の半額以下で請け負う工場も存在します)

2は少し事情が違って、【支払いを圧縮】します。
その場合の脅威があります
簡単に言うと【支払いの圧縮】=【仕事の手抜き】に繋がる恐れがあると言う事です。

皆様も記憶に新しい【ビックモーター事件】がまさにそれを証明しました。
【圧縮】されるならお客様の知らない所で【損害を増やそう】という発想が生まれたのです。


このロジックを説明しようとすると長文になるので、完結に言いますが
1~3に共通する【悪の根源】は修理業者の主体性がお客様に無いと同時に
第三者の【何かしらの思惑】が混入した修理には純粋なサービスは存在しないと言う事です
現に私がお会いした廃業に追い込まれた鈑金塗装工場はもれなく【下請け工場】だったからです
こういった点を踏まえて今後も廃業・倒産に追い込まれる鈑金塗装工場を以下のポイントに
纏めてみました。

下請け工場に顧客満足度もヘチマも無い

サービスや人間関係は第一印象が9割と言われるほど重要と言うのは一般的に知られた事ですよね
ところが下請け工場にはその意識がありません、これにはちゃんとした理由があります


保険会社や第三者からオートマチック(自動的)に流れ込む仕事には
自分の技術サービスを自ら顧客に伝えて集客出来る程の熱量は無い


と言う事です
車の事故を医療に例えると理解できると思います
例えば現在【町の医者】がどんどん廃業に追い込まれてますよね?
このロジックは鈑金塗装工場の廃業とよく似ていて、原因は仕事のルーツにあると考えます

町医者は営業や宣伝行為を一切しません

しかし最先端の医療技術を持っている病院は世間に対する技術や設備の宣伝をします
設備や医療のプロセスを顧客に説明したりSNSなどを使って認知して貰えるよう努力します

例えば【プロフェッショナル仕事の流儀】に出演する【脳神経外科のゴットハンド】的なお医者さんは
自分の技術や医療を広げる為に仕事場をオープンにして認知してもらえる様にアクションを起こす
つまり前者【町医者】と後者【ゴットハンド】の違いは顧客満足度に対する認知の違いなんです

町医者・下請け工場も『お客様の為に努力はしている』と言うでしょう

しかし、残念ながら顧客目線では【その言い分】は通用しません
自ら望んで【調べて】選べる経営主体の修理工場や病院に
第三者の思惑が混在したサービスでは太刀打ち出来ません
なぜならより良いサービスや信頼のある技術にはオートマチックに直接的に顧客が集まり
第三者に中間マージンを払ってまで仕事を請け負う必要性が全くないからです

特に、事故で傷ついた愛車を預けるというシチュエーションでは
顧客は不安を抱えていることが多く事故時は最初の工場選びから始まり
その後の工場スタッフとの出会いがその後の信頼関係を大きく左右します
この顧客目線のロジックを理解している経営者と理解できていない経営者では
成長と廃業という、もはや両極端にある位置に分かれる結果を生みます

鈑金塗装に必要な『顧客目線』とは?

鈑金塗装における『顧客目線』は、主に以下の点で重要です。

  • 競合店との比較: 他の鈑金工場との見積もり比較、作業内容の比較を行う事。
  • 過去の意見: 過去の修理経験や口コミなど、顧客の過去の経験を基準として意見を取り入れる。
  • 担当者の印象: 担当者の知識、対応の丁寧さ、誠実さなどを顧客に評価してもらう。

顧客減少を防ぎ、顧客満足度を高めるための戦略

  1. 丁寧なヒアリングと説明:

    • 顧客の不安を解消するために、丁寧にヒアリングし、分かりやすく現状と今後の作業内容を説明します。
    • 損傷状況を写真や図を用いて具体的に示し、修理方法や費用について納得してもらうことが重要です。
  2. 見積もりの透明性:

    • 見積もり書は、項目ごとに詳細に記載し、なぜその費用がかかるのかを分かりやすく説明します。
    • 追加料金が発生する可能性がある場合は、事前にその旨を伝え、顧客の同意を得ることが大切です。
  3. 作業中の進捗報告:

    • 定期的に作業の進捗状況を報告し、顧客の不安を解消します。
    • 写真や動画を用いて、修理の様子を分かりやすく伝えることも効果的です。
  4. 納車時の説明:

    • 修理が完了した車両を納車する際には、再度車両の状態を確認してもらい、丁寧に説明を行います。
    • 保証内容やアフターサービスについても、分かりやすく説明し、顧客の安心感を高めます。
  5. 清潔な作業環境:

    • 作業場を常に清潔に保ち、顧客が安心して預けられる環境を整えます。
    • 工具や備品を整理整頓し、プロ意識の高さをアピールします。
    • SNSやYouTubeを活用してお客様に普段の修理中の風景を見てもらう事も大切です。

まとめ

鈑金塗装においても、初対面の印象が顧客満足度を大きく左右します。
他の工場と工賃やサービスの差をつけて自身の努力や実績で顧客を獲得する事が求められる時代です。
さらには丁寧なコミュニケーション、透明性の高い情報提供、そして清潔な作業環境など、
顧客視点に立った対応も求められます。
これらの取り組みを通じて、顧客との信頼関係を築き、リピートに繋げることが重要です。