国土交通省が令和6年3月に発表した「車体整備の消費者に対する透明性確保に向けたガイドライン」について解説します。
ガイドライン策定の背景
- 2023年7月、ビッグモーターにおける保険金不正請求や車両損傷行為が発覚。
- 既存の規制や取り組みだけでは不十分であることが明らかになり、再発防止と消費者への透明性向上を目的としてガイドラインが策定されました。
ガイドラインの対象範囲
- 事故車両を含む板金や塗装などの整備作業を行う自動車整備事業者。
- 「消費者」は自動車利用者全般を指し、消費者が安心して整備サービスを受けられるようにするためのものです。
自動車整備工場に求められる取り組み
- 車体整備作業に係る画像情報の記録・保存
- 入庫時、作業開始前、作業中、完了後の各段階で車両を特定できる情報や整備部位の画像を記録し、一定期間保存。
- 画像は明るくピントが合ったもので、撮影時刻の記録も必要。
- 車体整備作業の内容・方法に係る情報の記録・保存
- 作業前の予定内容、方法、使用部品・材料を記録し、作業後は実際の内容を記録・保存。
- 記録者や実施者を明確にし、予定と異なる場合は理由を記載。
- 車体整備の料金に係る情報の記録・保存
- 作業前に整備内容、部品名、塗料名とその料金を含む概算見積もりを記録。
- 作業後には実際の整備内容と料金を記録・保存。
- 事前見積書や納品請求書などで記録し、一定期間保存。
- 車体整備に係る情報の関連付け
- 画像、作業内容・方法、料金情報を対象車両ごとに連携させ保存。
- 同一PCやクラウド上への電磁的記録、専用システム活用など。
- 一定期間保存し、必要な際に検証可能とする。
- 消費者等への適切な説明と消費者等の了承
- 整備作業に関する画像、内容・方法、料金情報を活用し、消費者へ適切に説明し了承を得る。
- 事前、作業中、作業後の各段階でサービス内容、標準料金、必要費用などを説明。
- 提供したサービスに関する問い合わせにも適切に対応。
自動車整備工場に推奨される取り組み
- 車体整備作業の見える化
- 工場レイアウトの工夫やカメラ設置による作業状況のリアルタイム配信。
- 消費者が整備状況を直接確認できるようにし、信頼感向上。
- プライバシー保護やセキュリティ対策も考慮。
- 消費者に対する積極的な情報発信
- WebサイトやSNS、情報誌でサービス内容、標準料金、資格・認証情報を発信。
- 資格の有無や業界団体の自主認定の有無など、品質を示す情報を積極的に開示。
- 発信する情報は常に最新のものとし、誤解を招かないようにする。
これらのガイドラインにより、車体整備の透明性が高まり、消費者と整備工場との信頼関係が強化されることが期待されます。
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