なぜ、あなたの自動車保険料は上がり続けるのか?


「最近、自動車保険の更新のお知らせが来たけど、また保険料が上がっている…」 「毎年のことだけど、どうしてこんなに高くなるんだろう?」

多くのドライバーが、今まさにそう感じているのではないでしょうか。その原因を「物価高だから仕方ない」と一言で片付けてしまうのは、簡単です。しかし、その裏側には、もっと複雑で、私たちのカーライフに深く関わる複数の理由が隠されています。

今回は、なぜあなたの自動車保険料が上がり続けるのか、その3つの大きな理由を、私たち修理のプロの視点から解説します。

理由1:車の「進化」が、修理代を押し上げている

まず、最も大きな理由の一つが、自動車そのものの進化です。 昔の車と比べて、今の車がいかにハイテクになっているか、想像してみてください。

  • センサーだらけのバンパー:かつてはただの鉄の塊だったバンパーも、今や衝突被害軽減ブレーキのためのセンサーやカメラがびっしり。軽くぶつけただけでも、交換費用は数十万円に跳ね上がります。

  • 特殊で高価な塗料:見る角度によって色が変わる特殊な塗料や、小さな傷を自己修復する塗料など、新車の塗装は非常に高度になっています。これを再現するための材料費や技術料も、昔とは比べ物になりません。

  • 部品代そのものの高騰:世界的な物価高や円安の影響で、海外から輸入される部品の価格も上がり続けています。

私たち修理工場も、日々その進化に対応するため、新しい設備への投資や技術の習得が欠かせません。この**「車の進化コスト」**が、修理代全体を押し上げ、保険料に反映されているのです。

理由2:他人事ではない、「不正請求」という名のコスト

次に、見過ごすことのできないのが**「保険金の不正請求」**の問題です。 「バレなきゃいい」「ついでに古いキズも…」といった軽い気持ちで行われる不正請求。その代償は、誰が支払っているのでしょうか?

答えは、正直に保険料を支払っている、私たち契約者全員です。

保険制度は、みんなで少しずつお金(保険料)を出し合い、困った人がいた時に助け合う「相互扶助」の仕組みで成り立っています。誰かが不正に多くのお金を受け取れば、その制度を維持するために、みんなの負担(保険料)を増やさざるを得なくなるのです。

一般社団法人 日本損害保険協会が2025年4月に行った調査でも、この不正請求の被害者が「私たち契約者である」と正しく理解している人は、半分以下しかいませんでした。この「無関心」が、結果的に私たちの首を絞めているのです。

理由3:増加する「自然災害」という脅威

そして、もう一つ大きな要因となっているのが、近年の自然災害の増加です。 毎年のように発生する大型台風や、かつてない規模の集中豪雨、そして雹(ひょう)による被害。これらの災害によって、一度に何百台、何千台という車が水没したり、傷ついたりする事態が頻発しています。

当然、保険金の支払いも急増します。この予測不能な大規模災害への備えもまた、保険料を押し上げる一因となっているのです。

結論:賢い消費者になることが、未来の保険料を守る

自動車保険料の値上げは、単なる物価高だけでなく、「車の進化」「不正請求」「自然災害の増加」という、3つの大きな要因が複雑に絡み合った結果です。

私たちにできることは、まず、この現実を正しく知ること。そして、万が一の事故の際には、保険会社の言いなりになるのではなく、適正な価格で高品質な修理を提供してくれる、信頼できる修理工場を自ら選ぶことです。

その一つ一つの賢明な選択が、巡り巡って、あなたの未来の保険料を守ることに繋がるのです。

気合を入れていきましょう。

【まとめ】

  1. 保険料値上げの3大要因:**「①車の進化に伴う修理代の高騰」「②保険金不正請求の横行」「③自然災害の増加」**が、保険料を押し上げている。

  2. 車の進化コスト:バンパーのセンサーや特殊な塗料など、車のハイテク化が修理費用を増大させている。

  3. 不正請求の代償:不正請求によって支払われた保険金は、最終的に正直な契約者全員の保険料に跳ね返ってくる。

  4. 私たちがすべきこと:値上げの背景を正しく理解し、信頼できる修理工場を自ら選ぶなど、賢い消費者としての行動が求められる。