2007年10月28日

ゆらゆら帝国/空洞です

きっと新作はこんな感じになるんじゃないかと思っていた「ゆら帝」ファンは多いのではないかと思う。
もともとつかみどころのないというか、意外性のあるところがゆらゆら帝国の魅力ではあったわけだが、特に『めまい』と『しびれ』以降、ロックの様式というか意味性といったものを削ぎ落とす傾向にあったのは確かである。

空洞ですそれが本作では一層推し進められたものとなっているのだが、これでまた多くのリスナーが離れていくであろう一方で、新たなファンを獲得することにもなるのだろう。まあアルバム製作にあたって彼等にそんな打算があるはずもないのだけれど・・・・。

このような作品を耳にすると、普段いかに自分が音楽の「様式」や「フォーマット」といったものに頼って聴いているのかを痛感する。だからそういったものを排除されるとたちどころに困ってしまうのだ。具体的に言うと、コード進行やロックギター特有のギターリフやスケール、はたまたリズムパターンや曲の展開、といった既定の形式・様式になぞらえることによってその曲を自分の中に位置づける作業を無意識のうちに行っていたのである。

さらに言えば、もし本作がゆらゆら帝国の作品ではなく、無名の新人の作品であったなら間違いなく購入していないと思う。「そんな理屈っぽい聴き方なんかしないで、ただ音の渦に身を委ねればいいんだよ」と言われてしまいそうだが、これがわたしにはなかなか難しいのである。たぶんテクノが好きな人というのは自然にこういう聴き方ができるんだろうなと思う。それはそれでうらやましい。

そういった意味で、本作の印象を一言で表すとすれば、まさにタイトル通り「空洞です」。今後彼等がさらに様式を削ぎ落としていけば、それこそローテク?の「テクノ」になっていくのかもしれないが、考えてもみればそれが彼等なりの様式なのかもしれない。だって知らない曲でもタイトルだけ見てバンド名が判るアーティストなんてそうそういないもの。因みに以下は本作収録の曲名です。どこから見てもゆらゆら帝国でしょ。

01.おはようまだやろう
02.できない
03.あえて抵抗しない
04.やさしい動物
05.まだ生きている
06.なんとなく夢を
07.美しい
08.学校へ行ってきます
09.ひとりぼっちの人工衛星
10.空洞です

もう「太陽のうそつき」「人間やめときな」「アイツのテーマ」「うそのアフリカ」「アーモンドのチョコレート」といったようなロックンロールチューンは聴けないかもしれないが、それでも来月のライブが楽しみなことには変わりない。常に新しい魅力を発し続けることが出来るのもまた彼等のスゴイところなのだから。

最後にYouTubeより、本作のタイトル曲「空洞です」と「美しい」をどうぞ。(マイスペにはページが無いみたいです。)

「空洞です」(本作の中では最も既定の様式を踏襲したタイプの曲です)


「美しい」(映像のアニメがほとんど「トイレット博士」です。マタンキ!)


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beerks880311 at 23:59│Comments(6)TrackBack(2)clip!ロック 

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この記事へのコメント

1. Posted by いもすけ山   2007年10月28日 06:52
なんというか…、ゆらゆらしてますねえ。浮遊感があるというか。ロックの意味性を解体するってのは、なんとなくわかる気がします。「美しい」のPVは、ホントにトイレット博士みたいですね。実物あんま見たことないんですけど。
2. Posted by ケニー   2007年10月28日 15:20
>いもすけ山さん

毎度コメントありがとうございます。

名は体をあらわすと言いますが、これほどバンド名と表現の雰囲気が一致しているアーティストもいないと思います。
でも練りに練って考えた名前かと言えばそうでもないらしく、いくつかの候補の中で他にまともなものが無かったかららしいですが、それがまたいかにも坂本らしいエピソードです。

「トイレット博士」は30年以上前に少年ジャンプで連載されたスカトロ漫画です。おそらく当時は『PTAが選ぶ子供に最も読ませたくない漫画』のダントツNo.1であったと思われます。
3. Posted by エイタ   2007年10月28日 20:54
数曲しか聴いたこと無いんですけど
物凄くロックなバンドだった記憶があるのですが
最近はそういう曲はやってないのでしょうか?
このバンドも聴きたいけど聴けてないバンドだったりするんですよね
4. Posted by ケニー   2007年10月28日 23:42
>エイタさん

毎度コメントありがとうございます。

もともとサイケデリックロックのバンドとは言われていましたが、2003年ぐらいからサイケデリックの部分が強くなってきた感じです。

ディストーションの効いたファンキーなギターリフというのはもうほとんどありません。記事に貼り付けたYouTubeのような曲が多くなっています。
5. Posted by ガチャピン   2007年10月29日 02:33
ゆらゆらは前から気になりつつもずっと放置していたバンドです…。
もし洋楽アーティストに例えるとしたらどんなもんなんでしょう?
6. Posted by ケニー   2007年10月30日 21:04
>ガチャピンさん

コメントありがとうございます。

音が似ているわけではないですが、あえて雰囲気で選べば「The Jimi Hendrix Experience」でしょうか。サイケに対するアプローチが似ていると思います。(反対意見も多いと思いますが・・・・)

もうちょっと言えば、ジミヘンにあってゆらゆらに無いものが「Blues」で、反対にゆらゆらにあってジミヘンに無いものが「キッチュ」または「キュート」な部分でしょうか。

お薦めの1枚は『ミーのカー』です。

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