2007年12月16日

THE SMITHS / MEAT IS MURDER

さて、“THE SMITHS”をこれから聴こうという人にいったいどういう風に伝えたらいいのだろうか?

MEAT IS MURDER本作は、1985年に発表された彼らの2作目のオリジナルアルバムであり、UKチャートの1位を獲得した唯一の作品であるが、それと同時にMTVを中心とした所謂“産業ロック”が跋扈する当時において、その異形とも言える独特の存在感を確固たるものとした作品でもあると言える。

前作にもまして、Morrisseyによるその詩世界の絶望の淵は深くなる一方で、政治・社会に対する挑発的なまでの反骨精神にも磨きが掛かっているし、サウンド面でもジャズ・ロカビリー・ファンクといった要素を取り入れることにより、一層の広がりを見せることに成功している。

そして何よりもJohnny Marrによるギタープレーが素晴らしい。特に「Barbarism begins at home」に代表されるように、ジャズギターのような深く丸いリバーブのかかった一聴するとクラシカルとも思える音色でありながら、一音たりとも凡庸であることを自らに厳しく禁じたのではないかと思われるほど攻撃的とも言えるフレーズが寸断なく繰り出され、それがMorrisseyの声と激しく絡み合い、これぞ“THE SMITHS”と言える美しいまでの世界を構築しているのだ。まさしく「Johnny MarrのギターはMorrisseyの歌のために存在し、またMorrisseyの歌はJohnny Marrのギターのために存在する」といっても過言ではない。

今となってはネオアコの一派として語られることも多いが、その革新的とも言えるほどの存在感から、当時“THE SMITHS”自体がひとつの現象であったといってもよいのではないだろうか。今、彼らの残した音だけを聴いてこの「熱病のような季節」が一体何であったのかを理解することができるかどうかは正直分からないが、少しでも近づこうとするのならば、やはりMorrisseyの詩世界に触れてみることは必須であろう。

ベッドに寝転がって
生きることについて考え
あるいは死ぬことについて考える
どちらにしてもたいした違いはないが
もし、素直になれるような日が来るのだとしたら
その時にはショックのあまり
道の真ん中に倒れこんで死ぬことだろう
突っ伏して死ぬんだ
(「Nowhere fast」の歌詞の一部をわたしが訳しました)

本作に限らず、彼の詩には常に“死”がまとわりついているが、その「絶望の深淵から放たれる鈍い光」あるいは「絶望の果てにこそ存在する力」、それこそが“THE SMITHS”を時代の寵児へと押し上げた“正体”ではなかったのかと思うのだ。

それにしても、あれはいったい何だったのだろう。
ステージを見つめる少年達の虚ろな瞳・・・・。
スローモーションのように揺れるグラジオラスの花・・・・。
あぁ・・・・。


さて、マイスペはファンが作ったと思われるものしかありませんでしたが、とりあえずこちら。YouTubeからは本作より「Barbarism begins at home」のTVライブ?の映像を貼り付けておきます。

「Barbarism begins at home」(音は悪いですが、Morrisseyらしさがよくわかる映像です)


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beerks880311 at 23:59│Comments(12)TrackBack(2)clip!ロック 

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The Smiths/Please, please, please, let me get what i want <1984年> 久しぶりにThe Smiths(ザ・スミス)を聴いていたら、 不思議とBOΦWY(ボウイ)との共通点がいくつもあることに気づいた。 ザ・スミス82年結成→87年解散、ボウイ81年結成→87年解散という....

この記事へのコメント

1. Posted by kiyo   2007年12月17日 10:44
遅くなりましたが、リンクさせていただきました。
いくつかトラバしますのでヨロシクお願いします。

う〜んスミス、いいですね。
2. Posted by いもすけ山   2007年12月17日 17:49
スミスですか。自分「The Queen Is Dead」をちょっと聞いた事あるだけなのですが、なんか音だけ聞くと軽やかな感じしますね(YouTube見ての感想です)。歌詞がものすごいという噂は聞いていましたが、訳詞見るだけでもすごそうですね。
そういやFUJIMIROCKさんの所でもモリッシーが記事になってましたよ。シンクロニシティってやつですかね。
3. Posted by コハゲ   2007年12月17日 20:46
「それにしても、あれはいったい何だったのだろう。」という一文に共感です。

イギリスで国民的なバンドとしてスミスが全盛期だったあの当時をときどき思い出しながら、今でも「PANIC」を口ずさんだりします。
そういえばスミスからの影響をハッキリと公言するバンドって、哀しいことにほとんどいないですね。それだけ唯一無比だったということでしょうか。

しかし本当に、あのうなされたような『熱』は一体何だったんでしょう…。
PLEASE,PLEASE,PLEASE, LET ME GET WHAT I WANT♪
4. Posted by ケニー   2007年12月17日 22:50
>kiyoさん

コメント&トラックバックありがとうございます。

こちらからもトラックバックさせていただきますね。
5. Posted by ケニー   2007年12月17日 22:53
>いもすけ山さん

コメントありがとうございます。

そうですね。歌詞はすごいというか「陰鬱」なんですね。

自分の記事を書き終えた直後にFUJIMIROCKさんの投稿を見たのでビックリしました。ホントに偶然です。
6. Posted by ケニー   2007年12月17日 22:59
>コハゲさん

コメントありがとうございます。

そうですねぇ。スミスについてはギャラガー兄弟がたまに口にする程度でしょうか。

バイセクシャルで妖艶な感じのバンドは他にもありますけど、スミスのような「異形」をも感じさせるバンドはあまりいないですよね。
7. Posted by ガチャピン   2007年12月18日 14:03
THE SMITHがよくネオアコの部類に入ってるのを見るたびに「ん〜」と違和感を感じていました^ ^;

僕は実はちょっと遅れてTHE SMITHを聴いたのですが、リアルタイムで体験していた友人もよく「あの一過性のブームは何やったんやろ…」とつぶやいています…。
8. Posted by FUJIMIROCK   2007年12月18日 22:05
スミス記事,盛り上がっていますね!
私も参戦させていただきます。
本当,モリッシーとジョニー・マーの出会いはロック史上最も奇跡的な出来事だと思うくらい,この二人のコンビは最高でした。私は当然,マーのギターも大好きで,その後の彼の渡り歩いたバンドはすべて好きなのですが,それ以上に影響を受けたのはやはりモリッシーかもしれません。
「言葉」ひとつだけで,リスナーの心臓をえぐることができる彼の詩は,どんな鋭いギター音よりも殺傷力があって,どんな重いドラム音よりも脳ミソを揺さぶる。スミス時代から,そんな彼の刺激的で挑発的な言葉に翻弄されっぱなしです。長くなりましたが,スミス,最高です。
9. Posted by ケニー   2007年12月18日 23:14
>ガチャピンさん

コメントありがとうございます。

そうですねぇ。当時のrockin'onあたりでは、ほぼ毎月スミスの記事ないしは投稿が掲載されていたようなイメージがあります。

まぁ、一過性というよりは自ら幕引きをした感じもありますしね。
10. Posted by ケニー   2007年12月18日 23:27
>FUJIMIROCKさん

コメントありがとうございます。

仰るとおり、Morrisseyは未だに消息が不明の時も珍しくなかったりして、ある意味スミス当時の『異形』な人のイメージが益々プリミティブなものになっていて本当に凄いと思います。

本人は未だに辛いのかもしれませんが、これだけの長きに亘りファンを裏切らない人もいませんね。
11. Posted by エイタ   2007年12月19日 19:18
初めて聞きました。
おいら的にはベースがたまらないですはいw
12. Posted by ケニー   2007年12月19日 23:11
>エイタさん

コメントありがとうございます。

ボーカルとギターばかりが注目されるバンドですが、仰るとおりベースも結構弾けてますし、ドラムもタイトです。

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