2008年04月06日

村八分/村八分ライブ

“村八分”を初めて知ったのは、本作が発売(1973年)されてから10年も経ってからだ。当時はあまりお金も無かったので、音源はもっぱらレンタルか中古で入手していたのだが、その中古レコード屋で本作を見かけることが多かったので自然と記憶に残ったのだ。

村八分ライブしかし、それまでは日本のロック黎明期を支えたバンドとして、“ジャックス”“はっぴいえんど”といった名前を聞くことはあっても、“村八分”については少なくともわたしの周囲の年長者の口やメディアから語られることは皆無であった。それにも関わらず、中古レコード店で手にしたこのジャケットが醸し出す妖しさは、それまで70年代前半以前の日本には存在しないと思い込まされてきた「公序良俗とは相容れない危険な雰囲気」と「ロックの原初的なパワー」を併せ持つバンドが確かに存在したことを示すに十分なものであった。

実際に、バンド名自体もそうだが今となっては社会通念上不適切と判断されるであろう表現や、彼ら自信がライブ以外での露出を拒んだことが、結果としてその名が積極的に語り継がれることから遠ざけられてきたと言ってもよいだろう。

さて、村八分のサウンドについてはよく“日本のストーンズ”と譬えられることが多いが、実際に『Get Yer Ya-Ya's Out』あたりの荒削りな雰囲気に近いものを感じる。山口富士夫の奏でる骨太なリフとブルージーなソロは、その当時の世界的なロックの潮流を意識したものであると思われ、オリジナリティー溢れるとは言い難いまでも、1973年(=昭和48年)の日本というシチュエーションを考えれば、ロックのダイナミズムをここまでギターで表現できる人間が存在したことだけでも驚きに値する。

考えてもみていただきたいのだが、昭和48年といえば、アグネス・チャンや天地真理、フィンガー5が国民的な人気を誇り、普通の若者はガロの「学生街の喫茶店」やチューリップの「心の旅」を聴いていたような時代なのだ。(なんとかモップスの「たどりついたらいつも雨ふり」にロックの香りがするぐらいだ。)そのような時代において、村八分がアングラ・カレッジカルチャーの枠でのみ語られる存在であったとしても何ら不思議ではないし、ロック自体がそういう存在でもあったのだ。

一方で、Vo.の柴田和志(愛称“チャー坊”)の激情的とも言える歌唱と、ゆらゆら帝国にも通ずるような日本語歌詞における言葉遊びの妙こそが、このバンドに強烈な個性を与えていると言ってよいと思うが、もし村八分にこのような側面が無ければ、当時の日本においていくら先鋭的な存在であったとはいえ、欧米のブルースロックを精巧に模しただけのバンドに留まっていたかもしれない。また、このような側面によりもたらされた個性は、すでに“パンク”的なアティテュードをも獲得しており、村八分の特異性を後押ししている。

確かに、聴衆の野次への応酬など時代を感じさせる部分がないではないし、決して耳障りが良いとは言えないが、個人的には当ブログで以前ご紹介したMC5の『KICK OUT THE JAMS』なんかよりは、軸がブレておらずはるかにカッコいいと思う。

この文章を読んで本作を聴いてみたいと思った方にご忠告申しあげるが、『村八分ライブ』は何種類か音源がリリースされており、復刻版としてVAPから発売されている紙ジャケのものがおそらく最も多く流通していると思われるが、この音源は音は良いものの、歌詞に問題があるとして1曲目の「あ!!」という曲が削除されており、オリジナルの雰囲気を存分に伝えるものとは言い難い。amazonの評価を参考にすれば、GOODLOVIN'PRODUCTION他から発売されている『村八分ライブ+1』をお薦めしたいところだ。

では、YouTubeより1972年の貴重なライブ映像をどうぞ。

「1972年の慶応義塾大学ライブよりダイジェスト」 (映像が流れるまで18秒ほど掛かります。)


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beerks880311 at 20:47│Comments(6)TrackBack(0)clip!ロック 

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この記事へのコメント

1. Posted by コハゲ   2008年04月07日 21:39
村八分と外道については、音楽雑誌での文字による知識ばかりが先に入ってきて、いまだに音をちゃんと聴いたことがなく、いつかは絶対掘り下げてみたいと思っていたバンドです。

しかしこの映像は初めて見たのですが衝撃的でした。特に山口富士夫のギターが、こんなにもカッコ良いとは知りませんでした。こんど中古屋を巡ってみることにします。
2. Posted by ケニー   2008年04月08日 23:25
>コハゲさん

コメントありがとうございます。

わたしも今回記事にするにあたって映像は初めて見たのですが、1972年ということが俄かには信じられませんでした。

外道も相当にファンキーですよね。演奏力も高いです。
3. Posted by ロカビリー   2008年04月09日 23:15
4 日本のロックンロールを勉強していた高校時代にフォーク全盛期のまだ[CAROL]以前のバンドって興味あるんですよ![はちみつぱい][はっぴいえんど][ファニーカンパニー]etc… まだそんなにロックンロール探索中だった日本のロックシーンがどうだったか 気になる所であります。
4. Posted by エイタ   2008年04月10日 20:24
おいらも知り合いに貸してもらって聞いたことあるんですけど
そんなに昔のバンドとは知りませんでした

音はすっごく好きだったけどヴォーカルがちょっと苦手だったりするんです
5. Posted by ケニー   2008年04月10日 23:15
>ロカビリーさん

コメントありがとうございます。

欧米のマネだけではなく、日本語でどうやってロックを演ろうかと試行錯誤していた時代の音は興味深いですよね。古さを感じさせないものも多いです。
6. Posted by ケニー   2008年04月10日 23:20
>エイタさん

コメントありがとうございます。

そうですね。ヴォーカルはダミ声でだいぶアクが強いですので、とっつき難いところはあると思います。

たぶん当時はもっと拒絶反応があったのではないでしょうか。

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