銀座四丁目その日暮

仕事場は銀座四丁目。気ままに日々ビールビールしているコピーライター日暮真三(ひぐらししんぞう)。「西武」「ぴあ」「リクルート」「キリン」「小学館」「TOTO」「劇団四季」、「無印良品」のネーミング、「日清オイリオ」等を手がける。作詞はNHK「おかあさんといっしょ」の「こんなこいるかな」「ともだち8にん」「夢のなか」「あいうー」「アイーダアイダ」、世界卓球選手権テーマソング「ネットを越えろ」、松田優作ラストアルバム。著書に黒田征太郎絵「怒る犬」岩波書店、宮沢りえ絵「ふたりの12のものがたり」木楽舎がある。東京コピーライターズクラブ賞、同特別賞、ニューヨークADC賞金賞等を受賞。とまあエラそうに書いていますが、相変わらずのその日暮らしです。


銀座八丁目「四季のおでん」で一杯。この店には長友啓典・伊集院静の「馬の絵」の色紙が飾ってあることを思い出して、先日来、当ブログで紹介してきたトモさんの「犬の絵」を持参して進呈する。店主によると伊集院さん、9月にお見えになりました、とのこと。ガンが見つかったのは10月のことだったから、直前まで銀座をたのしんでいたんだ。酒豪番付大関クラスの美魔女から「悪魔」と「天使」のクラフトビールを頂戴する。度数をみると10%もある。さて、どちらが天使で、どちらが悪魔なのか。寒くなってきたせいか、おでんの温もりを求めて、カウンターも満席だ。差し入れの極上白ワインもご相伴にあずかって、ほろほろと夜の銀座を歩いたのでした。

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代々木公園、羽根木公園、外苑前、ここのところ銀杏めぐる散歩がつづいている。開放されている皇居東御苑もいいかなあ、とおもいつつ、いつものアササンで日比谷公園へ。イベントのしつらえで噴水まわりが塀にかこまれているのは興醒めだけれど、松本楼の先には見事な黄葉がありました。イチョウのこの明るさが好きなんです。今宵は銀座で銀杏で一杯とするか。浮世離れしているかな、カンゼンに。世の中をあきらめているのか。ところがどっこい。革命をゆめみているんだ。

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スマホとひとくちでいうけれども、やはりこれはとてもやっかいなエイリアンではないのか。電車にのれば、ほぼ90パーセントの人はスマホに見入っている。異常事態。満員電車のスキマでもとてもムリな姿勢でスマホのゲームをやっている。そのとりつかれたような熱中度に恐怖さえおぼえる。もはやホラーじゃないのか、これは。ぼくは混んでいる時間帯ではないので、だいたい本を読みながら立っている。下北沢から東銀座までは30分程度だから、立っていたいのだ。代々木上原駅ホームの列にも並ばない。列から外れて、みんなが乗り終わったあとに最後に乗る。そういえば中村文則が小説『列』をだした。「だれも列から逃れられない」と帯にある。人はなぜ並ぶのか、そして並ばないことへの不安。おもしろいところに目をつけたものだ。哲学でもあり、社会批評でもあり、精神分析でもある。近所のインスタ映えする幅広うどん屋には、いつも50人くらいの列ができている。どうして並んでいるのかわからないけれど、並んでいるからとりあえず並んでみる、というような列もあるんだろうなあ。列に並ばないという選択をした段階で、あるいは社会から落ちこぼれているのかもしれない。

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ことしもかわりなく。かわらない風景がそこにある、ということの価値を忘れてはいけない。記憶がにんげんをささえている。

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今回はいつもの「タバッキ セコンド」から、たまに庭にタヌキが現れるという「湘南倶楽部」に会場を移して、粛々とディナータイム。ビールにワインに冷酒に熱燗と、食事をいただきながらの「オトシモ会」。チエちゃん、カナちゃん、アイちゃん、シンゴちゃん、カメちゃん、元気に言いたいことを言いあって、なんと5時からはじめて8時には解散という、短期充実のかつてないおとなの進行でした。疲れているひと、眠いひと、みんなそれぞれホンモノのオトナになったということか。それでもイヤまだ飲みます、という懲りない面々にわかれをつげて井の頭線の踏切をわたれば、家まで3分。ここのところのいろいろでヨレヨレになっていた身としては、ほどよく、ありがたく。よい一夜となりました。

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