銀座四丁目その日暮

仕事場は銀座四丁目。気ままに日々ビールビールしているコピーライター日暮真三(ひぐらししんぞう)。「西武」「ぴあ」「リクルート」「キリン」「小学館」「TOTO」「劇団四季」、「無印良品」のネーミング、「日清オイリオ」等を手がける。作詞はNHK「おかあさんといっしょ」の「こんなこいるかな」「ともだち8にん」「夢のなか」「あいうー」「アイーダアイダ」、世界卓球選手権テーマソング「ネットを越えろ」、松田優作ラストアルバム。著書に黒田征太郎絵「怒る犬」岩波書店、宮沢りえ絵「ふたりの12のものがたり」木楽舎がある。東京コピーライターズクラブ賞、同特別賞、ニューヨークADC賞金賞等を受賞。とまあエラそうに書いていますが、相変わらずのその日暮らしです。

案外ちいさい。うしろに見えるのが井の頭線ホーム。右の白い建物はみずほ銀行。オーゼキ手前の道からの写真です。旧マーケット跡はロータリーに、東北沢につづく手前の道は遊歩道や店舗ができるのだろう。どこかの駅前のように無機質に整然としてしまうのかと心配していたのだけれど、なんだか片づけても片づけてもまとまりのつかない日本的住まい方とおんなじで、シモキタ風混沌の雑然にやがてのみこまれて行くのではないかと期待している。
IMG_4861


ホテルのネーミングを頼まれて、いろいろあったのですが当初のHAMACHO HOTELに落ち着きました。ブルーノートが1階にカジュアルな街の食堂をつくったので、これはSESSIONという名前をつけました。居心地の良さそうないい感じのお店に仕上がっています。ホテルのロゴは佐藤卓さんのデザインで、これはまた見事な堂々たる傑作です。緑をテーマにしているので建物全体がたくさんの木々や植栽でおおわれていて、時間とともに季節の彩りが楽しみなホテルになると思います。浜町といえば明治座、水天宮、そして甘酒横丁、人形町へひろがるこの界隈はますますおもしろいエリアになりつつあります。しばらくお散歩、と思っていたのですが、花粉症、症状悪化。まったく気力がわかない。アタマが真綿につつまれているようで、ただただボーッとしてしまう。うつうつとウツ病のようでもあるが、どうにもならない。
IMG_4856
IMG_4855
IMG_4851



広い車寄せができてエントランスが奥に引っ込んだ分、一階のロビーが狭くなってどこにいていいのか、居場所がない。真ん中にエスカレーターがあるガラーンとした殺風景な空間に、案内のスタッフばかりが右往左往して落ち着きがない。と、むかしをなつかしんでばかりいてもいけないか。「お呼びじゃない、こりゃまた失礼しました」と早々に退散して、つながっている東京商工会議所の地下、二重橋スクエアの飲食街へ行ってみる。どこの新設ビルも似たり寄ったりのつくりで、客のほうはもうすっかりお見通しだからか、なんだか全体が空いている。博多の魚が売りものの店に入ってみたら、どうもいけない。魚は築地に限る。いや、豊洲か。考えてみれば福岡直送より豊洲のほうがだんぜん近いんだしね。お酒のリストから超定番ともいうべき佐賀は五町田酒造の「東一」をいただいて、うん、これが実によかった。結局、お酒よければすべてよしということか。高級ブティックが建ち並ぶ丸の内仲通りは相変わらず華やかなイルミネーションに彩られて美しい。
IMG_4848
IMG_4849
IMG_4846


朝からグラミー賞のライブ中継を見ていたかと思えば、午後は長井八美さんからご案内があった下北沢ザ・スズナリの劇団態変公演へ。世界最高峰のゴージャスなパフォーマンスのあとで障碍者の最前衛舞踏家・金満里さんの「ウリ・オモニ」という大ギャップにココロは乱れ収拾がつかない。
そこに実写版「アラジン」、ウィル・スミスがジーニーのニュース。いや〜、想定外でした。完全に意表をつかれました。アタマはさらにグルグル。
アリアナ・グランデをはじめとするグラミー賞受賞ボイコットの動きもミュージック・シーンの新たな潮流の予感。グラミー、グラミーと言ってる時代じゃないしね。
ピンクがまた受賞を逸して家族から17個目のアルミホイル製のグラミー残念賞をもらったエピソードのほうが、ずっとホンモノ。
一番人気はミシェル・オバマでした。
FullSizeRender
IMG_4843


村上隆が、「芸術は貧しいものである」という正義をふりかざす日本の神話に果敢に闘争を挑んだ記録である。島国根性の画壇に絶望し、戦略的に勉強し、積みあげ、どう戦えば世界に打って出ていけるかを自身の成功例と重ね合わせて一つ一つ論破しながら指導していく。ルイ・ヴィトン、ルーブル美術館、オークションでの高額な位置付け。「ぼくが海外で評価されるのは、ビジネスで成功しているのではなくてアートシーンにおいてやらなければならないことをしているからです」と言い切る自信に満ちた、赤裸々であけっぴろげな告白ルポルタージユでもある。東京藝術大学の日本画出身という環境だから生まれた反発・反骨。緻密な計算と努力と集団作業でつくりあげていく制作過程の克明な記録。お金の話、ネットワークのつくりかた、作品のネタ元。ここまで話していいのか、と思えるほどのエピソードが満載。作品は大きさが大事、それは作品を買うのは●美術館に寄付したいお金持ちか●自分の広すぎる家の壁を埋めるためにアートでも欲しい、人たちだからとアッケラカンと明快。おもしろく、どの言い分もリアリティのあるド直球。いや、どっちが正論かは読んでみた今でもわからないのだが。しかし、どこを読んでもいかにも幻冬社の本という過剰さにあふれているのはたしかだ。エライ人だなあ、村上隆。でもぼくとは世界がちがう。そこがやっぱりおもしろい!
IMG_4842

↑このページのトップヘ