数奇屋大工・平田雅哉の聞き書きの名作。初版1961年。竹田米吉「職人」、西岡常一「木のいのち木のこころ」とならぶ大工職人が残した貴重な記録です。え、ここまで話すの、というざっくばらんな語り口が気持ちいい。あちらのスジのかたと見まごうキレのいい風貌ながら、酒は一滴も飲まない。「あく」は強いが、情は深い。吉兆、大観荘、朝香宮邸茶席。手がけた仕事は数知れず。喧嘩早く、筋を通さぬ話は頑として受け付けぬ。それでいて、施主は一代二代にわたる。平田棟梁は言う「大工に限らずどんな職業でもそうだと思うが、自分の職業の楽しさを、早く知ることだと思う。不平があったり、迷っていては腕は上達せん。人間の楽しみが、仕事や生活と別にあるように思うのは、われわれ凡人の浅はかさだ」と。うん、名人はお見通しです。
IMG_4138

IMG_4137