<あれも聴きたい、これも聴きたい>

何故イクリプスなのか?(Ⅲ)


前回の続き>

◆これまで述べてきたことは、スピーカーというオーディオ機器が本来抱えている問題だが、ここで<理想的なスピーカー>になれる条件というものを整理してみたいと思う。

①スピーカーの振動板は瞬時に立ち上がり、瞬時に止まれること。
②振動板自らが固有の音を発生しないこと。(内部損失が大きい素材であること)。
③振動板が歪まないこと。
④スピーカーユニットの振動が箱に伝わらないこと。
⑤箱が固有の音を発生しないこと。(内部損失が大きい素材であること)

上に述べた条件を満たすために、さらに解決すべき根本的技術課題はあるが、それらはまた次の機会としたい。

◆そこで今回のテーマである「何故イクリプスなのか?」についてだが、現時点において、上に挙げた5つの条件を最も高いレベルで実現出来ているのがイクリプススピーカーだと私は考えている。勿論その完成度は5つの条件いずれについても100%ではない。しかし、世界に数多あるメーカーのスピーカーに比べれば、遥かに高いレベルで実現していると断言できる。その証拠のひとつがあの卵型をした特殊樹脂製のエンクロージャーであり、内部構造であり、そしてスタンドの形状・構造なのだ。それらは単なるデザインではなく、理論を突き詰めた結果からくる必然の形なのだ。

◆私はこの投稿の第1回目で、スピーカーメーカーの設計者たちは、そもそもクラシックギターのことなど考えていない、また、そういう方たちにとって、クラシックギターというジャンルはまだメジャーではないのだろう、とも書いた。そしてデンソーテンの設計者の方々も、そういったメーカーと同様、クラシックギターの音などまったく意識はしていなかったはずだ。しかし彼らは理想的なスピーカーというものをとことん理詰めに追及し、、世界でどのメーカーも無しえなかったことをやり遂げた。その結果、ありがたいことに、世界で初めて、クラシックギターという楽器のための理想的なスピーカーができたのである。

◆そして最後になるが、もうひとつクラシックギターにとって幸いであったことは、直径12cmのユニット1個(シングルコーン)で、35Hz~26KHzもの広帯域を再生できるスピーカーとして完成させたことだ。しかもクラシックギターの再生には、そのうちの80~1KHzしか使用しないため余裕たっぷりだ。3ウェイスピーカーのようにウーファーとスコーカーの二つのユニットにまたがることもない。また2ウェイスピーカーのように、13cmや15センチ、さらには20センチ以上のウーファーの振動板を歪ませながら再生することもない。勿論、高周波倍音成分も、別のユニットにまたがることなく同じユニットで再生しているので、それについても優位性がある。

◆可能であれば、一度イクリプススピーカーでお好みのクラシックギターのCDを聴いてみてほしい。一般的なスピーカーで聞いていた音とまるで違った、生々しくはっきりとした弦の音が全域に渡って聞こえてきてきっと驚かれるはずだ。拙宅に来ていただいた何人ものギタリストの方に、イクリプスでご自分のCDを聴いていただくと、例外なく「こんなにいい音で録音されていたとは思わなかった!」と驚かれる。

◆クラシックギターのコンサートにおけるPA(SR)のスピーカーは、ギターの音を拡大してスピーカーから出しているのではない。生のギターの音に少しスピーカーから出る音をプラスしているのだ。だからスピーカーにはマイクで拾ったギターの音に可能な限り近い音で鳴ってもらわなくては困る。
やはりイクリプススピーカーでなくては不可能なのだ。


TD712MK2図面

何故イクリプスなのか?(Ⅱ)

<前回の続き>

◆クラシックギターの楽譜に書かれている音は、実際の音より1オクターブ高く記譜されている。つまり音叉で聴く440Hzの音は、3弦の第2フレットではなく1弦の第5フレットということになる(クラシックギターをやられている方は皆ご存知のことだが)。

◆クラシックギターの音域を周波数(Hz)に置き換えてみると、6弦の開放から1弦の19フレットまで、おおよそ80Hzから1KHz弱の間ということになる。これは楽器としてはかなり低い音域で、スピーカーでいうとほとんどウーファー(低音用ユニット)の受け持ち領域となる。ヴァイオリンやピアノのように、上は4KHzを超える音まで普通に出せる楽器と比べれば、クラシックギターの音域は際立って低い。

◆一般的なスピーカーのウーファーは、3ウェイの場合、数10Hz~300ないし5・600Hzくらいを、2ウェイの場合は同じく数10Hz~1.2ないし1.6KHz位を受け持っている場合が多い。しかしいずれの場合もその振動板は13cm以上と割に大きいのが一般的だ。(13cmが何故大きいのかは後に説明)

◆当然ウーファーは、クラシックギターのように、瞬時に立ち上がった音がまた瞬時に減衰してしまうような楽器の再生には向いていない。ましてやそんな音が連続したりしたらなおさらである。
さらに付け加えれば、ギターの場合は、1KHzもない狭い音域であるにも関わらず、再生には低音用のウーファーと中音用のスコーカーにまたがってしまうことも問題のひとつだ。
3ウェイスピーカーの場合ははそうだが、2ウェイの場合はまるっきり低音用のウーファーで全域を賄わなければならないためさらにきびしくなる。

◆瞬間的に立ち上がりすぐに減衰するという波形が連続する、しかも周波数の低いクラシックギターの音を、ある程度の音量で正しく再生するためには、大きな振動板のウーファーを備えたスピーカーではなく、小さい振動板を何個も並べ、それらをひとつのウーファーとするような(振動板のトータル面積を広くする)スピーカーにするしか方法はない。
以前マッキントッシュというアメリカのオーディオメーカーに、小さいスピーカーユニットを縦にズラリと並べたスピーカーがあったが、そんなことを意識して開発していたのであろうか。私は実際にその音を聴いたことがないので、可能であればぜひ聴いてみたいと思っている。

McIntosh-マッキントッシュ-XRT22-スピーカーシステム-ペア

◆スピーカーの振動板が大きいとさらに違った弊害も起きてくる。特に直径でおよそ12cmを超えると、音を出した時に(高速に前後に振動した時)振動板が歪むという現象が起きるため(歪まない素材というものがなかなか存在しない)、当然音も歪んでしまう。

◆加えてスピーカーユニットの振動が箱(エンクロージャー)に伝わり、音源には無かった「箱鳴り」という余計な音を発生するという問題が起る。そして鳴り始めた箱の振動を止める方法はなく、元の波形は消えているのに、振動板は止まらず、まだ箱も鳴っているという現象が絶えず続く。音源には無かったこの箱鳴りの音は無視できないほど大きいため、これもまた再生音を自ら濁らせる。

◆純粋に正しい音を再生しようとすると、叩いても鳴らないと言う、あり得ないような素材の箱が必要になる。具体的には箱の素材は振動を自らの中で吸収し(内部損失が高い)、自ら固有音を発生しないという性質でなければならない。
従来オーディオ業界では「これはジャズ向きのスピーカー、こちらはクラシック、特に室内楽に真価を発揮するスピーカー」などといったおかしな言われ方をしてきたが、それはどのメーカーも箱の振動は止められないため、やむをえず、ジャズはジャズ向きの、クラシックはクラシック向きのそれらしい響きを持つ箱にしたというだけで、ソースに入っている波形を本当の意味で正しく再現できていない。

<次回につづく>

何故イクリプスなのか?(Ⅰ)

IMG_0579

◆クラシックギターのPA(SR)をやり始めて20年以上になるが、使用する機器としては、マイクもアンプ(マイクアンプ&パワーアンプ)も、そしてスピーカーも 一切変わっていない。マイクアンプやパワーアンプは、良いもの(持ち運びの負担が少なく、使い方が簡単で音の良いもの)があれば今後変わっていく可能性はあるが、スピーカーに関してはデンソーテン(元富士通テン)の開発した、イクリプススピーカーは今後も変わらないし代える気もない。というより「代えられない」といった方が正しい。

◆何故か?
それは、クラシックギターのPA(SR) はイクリプススピーカーしかできないから。

◆では何故イクリプスしかできないのか。
それはイクリプススピーカー以外、クラシックギターの音を正しく再現できるスピーカーはないから。

◆では何故、世界の数多あるスピーカーの中で、イクリプススピーカーしかクラシックギターの音を正しく再現できないのか。

◆理由の一つには、クラシックギターの音をリファレンス音源にして設計しているスピーカーメーカーが世界中どこにもないから、ということもいえる。
残念ながらオーディオメーカーから見れば、クラシックギターは、音源として、あるいは音楽ジャンルとしても、まだメジャーになっていないのかも知れない。またオーディオ雑誌等で、評論家の記事においても、クラシックギターの音を(CDあるいはLPの)オーディオ機器を評価する際のリファレンス音源に加えている例を私は見たことがない。すなわちオーディオの世界では、それこそ世界的に見ても、音源としてクラシックギターのことなど目に入っていないのだろうと私は感じている。

◆今回のテーマ「何故イクリプスなのか?」を書き出す前は、簡単に短く書くつもりだったのだが、書き始めてみると、変に誤解を招く恐れがあることに不安を感じ、少し真面目に書くことにしようと思った。従って今回はここまで。興味のある方はまた次回、ということにさせて下さい。

宮川春菜コンサートのPA(SR)

宮川春菜プログラム

宮川春菜プログラム内容

◆今月、6月6日 東京のめぐろパーシモンホールにおいて、宮川春菜さんのリサイタルのPA(SR)をやってきた。

◆今回のステージは、プログラム順にあげると、①ギター・ソロ、②ギター&ヴァイオリン、③ギター&ピアノ、④ギター&ギターと4つのパターンがあり、それぞれ全て演奏者の位置が変わる。

◆クラシックギターのPA(SR)は、マイクとスピーカーが敢えて向き合う形のセッティングをとるため、ひとつ間違えばハウリングを起こす危険性がある。にも関わらず今回はその作業を本番の途中で何度も行わなければならない。もしかするとベストなセッティングができないかもしれない上に、演奏中ハウリングを起こすという最悪な事態を招いてしまう可能性も高い。
さらに本番では当然ながら大勢の人が入る。リハーサルの時とはホールの音響条件が大きく違ってくるため、マイク(位置、高さ、向き、角度等)とスピーカー(主に位置と向き)のセッティングは通常よりも慎重にならざるを得ない。しかも私たちが控えている舞台下手ではモニターが入っておらず、ほとんど演奏者の出す音が聞こえないため、本番の間はヒヤヒヤのし通しであった。

IMG_0602
ピアノの伴奏でアランフェス協奏曲全3楽章(リハーサル風景)

◆私が宮川春菜さんの演奏を聴いたのは、何年も前の日本ギターコンクール以来今回で2度目だと思うが、今回当時と比較して、当然のことながら演奏については随分大きく成長されたなあという印象を受けた。機器をセットしている間少しお話もできたが、とても素直で明るい素敵なお嬢さんで、これからもどんどん成長されることを願うばかりである。

◆クラシックギターのPA(SR)をさせていただいていつも残念に思うことは、本番の演奏と音響の効果を、私だけが会場で聴けないことだ。

車 買い替え顛末(5)

<前回からの続き>

◆ZR-Vを買い替えると決めたは良いが、何を買ったらいいかまったくあてがない。トヨタはどの車も納期がとんでもなく長いだろうし、かといってその他のメーカーとなるとどこにも欲しい車が見当たらない。しかも私が本来欲しいと思っているステーションワゴンなど、どのメーカーもほとんど出していない。
そう思っていた矢先に、ある友人が「マツダを検討してみたら」と言ってくれた。
正直なところ、今までマツダは眼中になかった。自分がマツダの車に乗っているところを想像できないのだ。しかしその友人によると、「マツダのCX5は車体の大きさの割には荷室も大きく、そのクラスでは一番売れてる車だヨ」とのこと。

◆その話を聞いて、初めて自宅近くにあるマツダの販売店へ行ってみた。営業に少し話を聞き、試乗車に乗せてもらうことにした。乗ったのはCX5とCX30。
しかし乗せてもらった試乗車がまずかった。CX5はガソリン車、CX30はディーゼル車、共に私が期待したほど走ってくれない。CX5は車体が大きく重いくせにガソリンエンジン車。CX-30は小さいくせにディーゼルエンジン車で、いずれも走りが重い。置いている試乗車のディーゼルとガソリンが逆じゃないのと思った。

◆そこからしばらくの期間あれこれ考えていたが、またマツダの別のディーラーに行ってみることにした。そこは最初に行ったディーラーより少し遠かったが仕方がない。
ショールームにはCX5が置いてあったが、やはり私の希望よりは少しばかり車体が大き過ぎる。
手放すつもりのZR-Vは横幅が1840mm、ゴルフより40ミリも広かった。最初はなんとも感じなかったが、街乗りで使っていると段々その大きさがうっとおしくなってきた。できれば新しい車の横幅は1800ミリまでにしたい。

◆その頃、ネット上でCX30は2025年秋にフルモデルチェンジがなされる、という噂で持ちきりだった。しかしフルモデルチェンジの出始めはどの車もトラブルが多いだろうからと思いつつも、ひょっとしたらとてもいい車だったら、とも思って、ディーラーの営業に訊くと、今年CX30の新型車の出る気配はまったくないとのこと。しかし考えようによっては、CX30は発売されて6年経過しているので、トラブルも出尽くしているだろうし、車としてかなり完成度が高くなっているはずだ(ZR-Vは購入時点で販売開始から約2年ほど)。
それともうひとつ、そのマツダのディーラーでは「車の下取りではなく買取りもやっているので、ZR-Vを買い取らせてほしい」と言う。しかも前のゴルフを一番高い価格で買い取ってくれた業者にあらかじめ聞いてあった価格とほぼ同じ価格を提示してくれた。もう暫く買い替えを遅らせるとすると、当然買取価格は下がってしまうだろう。

◆それから後は、車の仕様、性能、機能、使い勝手などをしっかり検討し、ガソリン車(マイルド・ハイブリッド)の試乗車も運転させてもらい、「まあこれぐらいが丁度いいかなあ」として、手を打つことにした。当然私のPA機材も後部座席を倒せば余裕をもって積み込める。人は助手席一人に限られるが、それはゴルフ・ヴァリアントもZR-Vも同じだ。(ちなみにゴルフの前に乗っていたトヨタのアヴェンシスのステーションワゴンは後部座席を倒さずに必要なもの全て積み込むことができた)

◆新車を購入するディーラーにZR-Vを「下取り」ではなく「買取り」してもらったので、結局車を買ったデーラーさんの方から差額のお釣りが頂けることになった。(いくらとは言えないが)
営業マンも「車を買っていただいて、こちらからお金を払うのは殆ど初めてです」とのことであった。(もっともCX30はマイルド・ハイブリッドでZR-Vはストロング・ハイブリッドだ。その価格差がかなりあったので買い替えに際してまったくお金はかからず・・・・もちろん税金・保険・諸経費全て含んで・・・・そんなことになった次第)。

◆現在5月の初旬、これで5か月乗ったわけだが(といってもまだ2000キロを少し超えたくらい)、概ね良好といっていいだろう。ホンダのZR-Vに比べれば、設計も遥かにこなれた感じがするし、車体の「しっかり感」はとても優れている。ハンドルもはるかに扱い易い。車体のインテリア、エクステリア共に非常にキチンと造られているように感じる。ZR-Vの時にひどい目にあった「塗装」はさすがに一味も二味も違い価格以上に高級感がある。

◆変速機は今では珍しいトルクコンバーター式で、ホンダのようにCVTではないのも好感がもてるが、走行性能については少し低速(発進時)のトルクが細い気がする。2ndギアでのエンジンブレーキの効きが弱いので、ギア比だけでももう少し検討をしてみたら少しはマシになると思うのだが。いずれにしても付いているモーターが小さいのであまり期待はできないが。(ゴルフの場合、3rdギアではあまりエンジンブレーキが効かないが、2ndになるとしっかと効く。従って走り出しはまったく不足を感じなかった)

◆とにかくZR-Vと比較して、はるかにデザインは優れているし(フロントグリルが少し大きいのはあまり好みではないが)、車体、機構、安全性の設計も充分こなれている。また何といってもシートが秀逸。私が今まで乗ってきた車の中では最もよくできたシートだと思う。
ただ正直なところ、車全体として見ていくと、ZR-V共々、まだまだすべての面でゴルフには追いついていないように思う。
やはり車造りの歴史の違いなんだろう。8年半前、初めてゴルフ・ヴァリアントを買ったとき、あまりにもすべてが良くできているので、「日本の車がゴルフに追いつくまでにはまだ10年以上かかるのではないか」と思ったが、やはりそれが当たっていたようだ。しかし、日本車はゴルフに比べれば小さな故障やトラブルは少ないであろうから、これから当分の間はこのCX30とお付き合いだ。(終)


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(ZR-Vを売って乗り替えたCX30)

車 買い替え顛末(4)

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(結局8か月乗って手放すことになったZR-V)

<前回よりの続き>

◆ホンダのディーラーで車(ZR-V)の簡単な説明を受け、そのまま自宅へ。
その後10日ほど過ぎたある日、車に乗り込もうとした瞬間、ふとボンネットの上を斜めから見ると、なんだか白く濁っている。「あれ?」と思って車から降りてしっかり見てみると、白い塗装のボンネットの表面が白く濁っている。白い塗料が濁っているのではなく、その上にあるクリア塗装の表面が艶消し状態になっているのだ。

◆驚いてボディーのあちこちを丹念に調べてみると、ボデー全体が白濁していることが判った。これは自動車塗装の業界でいうところの「かぶり、あるいは白かぶり」といって、工場の塗装ラインの温度、湿度(主に湿度)の管理不足により、クリア塗装の表面、内部に渡って白濁してしまうという、完全な塗装不良車だということが判った。
*PCで自動車塗装の欠陥「かぶり」又は「白かぶり」で検索すると必ず出てきます。

◆私は永年に渡って、自動車メーカーや塗料メーカーの依頼により、塗装の外観品質に関する測定方法や測定器・特殊光源などの研究・開発を行ってきた。従って車の外観品質の評価についてはほぼプロに近いと自負している。そういった目でこのホンダのZR-Vを観ると、明らかに不良品と言わざるをえない。

◆このような白かぶりになった塗装の車など、今どきどのメーカーでも聞いたことがない。とにかく塗装ラインの温度・湿度管理を普通にやっていれば起りえない不良だからだ。
ということはホンダという自動車メーカーはこの塗装ラインの温度・湿度管理をやらずにZR-Vという車を出荷、そして販売していることになると考えざるを得ない。しかもその通りであったとすると、この塗装の白かぶりのZR-Vは私の車だけではないということになりはしないか。

◆塗装ラインの不備ではないかとディーラーに尋ねたのだが、ディーラーのサービス、営業とも一切認めようとしない。ディーラーのサービススペース、それから私の自宅の駐車場(観察するにはもってこいの光の条件なのだが)などでも見せたのだが、「私にはわかりません」の一点張り。かみさんでもはっきりわかるような塗装の白濁を、「判らない」で押し通そうとするのにはあきれてものが言えなかった。
ある時この件についてサービスの方に「こんな塗装の白濁は私の車だけですか?」と尋ねたら、サービスマンのとっさの答えが「いや・・・・」と言ってあとは黙ってしまったので、恐らく私の予想が当たっていそうな気がした。

◆納車前に施してもらったボディーのガラスコーティング(ホンダで施工)も物凄くいい加減だったので(ただ液剤を塗っただけのようであった)、その液剤のメーカーに連絡をとり、ホンダのディーラーのサービススペースで見てもらい、一度塗ったコーティングを剥いでもらったが、やはり思った通り、下のクリア塗装が白濁していることには変りがなかった。そして再度コーティング剤のメーカーさんにコーティング施工してもらったところ、最初ホンダが施工したコーティングとは見違えるほどピカピカ、ツヤツヤになった。そのときのホンダのサービスと営業の方のきまり悪そうな顔つきは未だに忘れられない。
こんなことになったボディーコーティングだが、ゴルフの時にやってもらったものと同じものを施工してもらったのにもかかわらず、ホンダはトヨタ、ワーゲンその他自動車メーカーより3万円以上オーバーセールしていることが判った。本来の価格は8万ちょっとなのだが、ホンダはそれより4万円近く高値をつけて受注していた。

◆結局コーティング層の下のクリア塗装は白濁したまま、ということが判明した。
しかしそしてその時のホンダの作業報告書には、あろうことか「コーティングが不良であったため、再度やり直した」としか書かれていなかったのだ。私が「コーティングも悪かったが、肝心なのは、その下のクリア塗装が白濁していたのではないか」と問いただすも、「いや、白濁は判らないので報告書は変更できません」と言うではないか。
挙句の果てに、「もし白濁していたとしても、工場がOKと承認して出荷してきた車両なので、私どもとしてはこの車はこの状態で正規のOK品と考えてください」とまで言い切った。こうなってくるとZR-Vのクリア塗装が「かぶり」で白濁していることは、工場、本社、ディーラー共に以前から承知の上でのことであったと考えざるを得ない。
*そのころディーラーのショウルームに置いてあった車をチラと見てみたが、その車も私のと同じように表面塗装が白濁していた。

◆しかしその後一か月くらいした頃、ネットを見ていると、なんと「ホンダのZR-V、クリア塗装の塗料を新しいものに変更して新発売する」というニュースが出た。しかも車の仕様は一切変わっていないにも関わらず、クリア塗料だけ変更して新発売だという。これは臭い、いかにも何か匂うではないか。
そのことをディーラーに問いただすと、またしてもしきりに「我々ディーラーには解りません」の一点張りだ。それからホンダとの関係は硬直状態になり、何か月か経過したが、あとはもうZR-Vの欠点ばかりが目立ってきてしまった。

◆私がZR-Vに感じた不満点

1)ドアの取っ手に触れてもドアが開錠しなくなることが頻繁に起こる。これは以前から起っていた問題らしくディーラーも認識していたが、改善する気はなさそうに感じた。
2)主に街乗りが主になる私としてはハンドルが無駄に重い。しかも重いだけでなく、車の速度やハンドルの回転角度などによるトルクの研究があまりなされていないようで、暫く乗っているととても疲れる。
3)運転席、助手席のシート座面の奥行きが長すぎるため、かみさんなどはふくらはぎがシートの先端に当たってしまい非常に居心地が悪い。結局は人間工学の研究がしっかりとされていないのだろう。
4)信号で停車するとオートブレーキが効くが、右足がアクセルベダルに僅かに触れただけで車が動き出してしまう。何度も前の車にぶつかりそうになった。
(アクセルを踏んだ意識がないのに動き出してしまうのは非常に危険)
5)今どきの車としては珍しく運転席にランバーサポート機能がない。(長時間運転は非常につらい)
6)足回り(ショックアブソーバ等)もタイヤもやたらに硬く、とにかく乗り心地がゴツゴツ。
(一度徳島まで高速で出かけたが(往復300キロ程度)、やたらに疲れて仕方がなかった)
7)ワイパーの動きが雑で、一回だけ動作させるモードでは、物凄い速さでワイパーが動き、動作のエンド位置に激しくぶつかる。これではすぐに故障してしまうだろう。
8)内装は一見高級そうに見せているが、デザインは幼稚でガキっぽい。結果安っぽく見えてくる。
ただこれなどは、購入する前にほとんどトランクルームの広さしか見ていなかった自分の責任だが)

◆こんな状態では、車の機能面での設計が甘く、しっかり検討され尽くしたものとは到底考えられない。「とにかく必要なものは一応付けときましたけど・・・」程度の安直な車ということが良く分かる。

◆点検の報告書に加えてもう一枚、細かい字でびっしり書かれているが、読んでみると結局「弊社としては規定に基づき正しく点検作業を行っているので、クレームはお断りします」と言う趣旨のことが書いてある。「何かお気づきの点があれば何なりとお申しつけ下さい」というのが普通だと思うのだが、何とも「ホンダ・ファースト」だなあという気がする。

◆その他、車の使い方に関する質問をするが、そのたびに2か月経っても3か月経っても一向に返事が来ない。問い合わせてみても調査中だった形跡もなく、「すぐにお返事します」と言いながらまた1か月くらい待たされる。こんなことはそのディーラーだけの話で、大元の本田技研工業ぐるみでないことを祈るばかりだ。

◆そんなこんなで半年ほど過ぎたころいい加減いやになってきた。ここまで客を軽視したホンダの自己中を見せられた上は、金輪際付き合いきれないとあきらめ別の車を探すことに決心した。

<次に続く>


車 買い替え顛末(3)

<前回よりのつづき>

◆車買専門のサイトにゴルフ・ヴァリアントの情報を記入して依頼してみた。すると翌朝3件の買取業者から連絡があった。余りの早さに依頼した私の方がびっくりしたくらいだった。
なんでも私のような買取りの見積り依頼に対し、20件の専門業者にいっせいに依頼をかけ、その中の1位から3位の業者から依頼者に連絡があるのだそうだ。

◆提示された結果は、私の認識不足なんだろうが、想像の3倍くらいの金額だった。全くの誤算だが、これは良い方の誤算。早速その中でもっとも高い価格を出してくれた業者と相談し、ホンダのZR-Vの納期(40日ほど)に合わせて、価格の変更なしでゴルフの引き渡しが可能かどうか上司に相談してもらうことにした。そして翌日すぐにOKの連絡が来たので、早速ホンダへ発注をかけることにした。
*7年半乗って、走行距離が3万7千キロの車(しかも輸入車)を、新しく購入する車のディーラーに下取りしてもらったとしたら、恐らく私の想像していた価格の半分もいっていなかっただろし、この買取金額が私の予想通りの金額だったら新しい車など買えなかっただろう。

◆そして2025年3月の24日、午前中にゴルフを業者に引き渡し、午後1番にホンダへ行ってZR-Vを引き取ってきた。
*以前は納車といえば、ディーラーがこちらの自宅まで運んできてくれたものだったが、ホンダのディーラーさんに聞くと、「今はそれは一切していません。お客様に店まで引き取りに来ていただくことになっています」とのことであった。おそらく営業あるいはサービスマンが運転して納車するとなると、事故でもあった時の責任の所在でもめたくないからだろうと思うのだが、本当のところは彼らは一切言わなかった。

◆今ではどのメーカーのディーラーさんも、納車は客が店までとりに行くことになっているんだろうか。買い取ってくれる業者さん(お店は私の自宅まで20キロ以上はある)はこちらの自宅まで引き取りに来てくれるのに、売ったディーラーは取りに来いという。なんか変だなあとは思ったが、ゴルフはなくなってしまったので仕方がない。バスに乗ってホンダのディーラーまで行くことになったんだが、なんというか、「理不尽」という言葉が頭に浮かんだ。このあたりからホンダというメーカーが昔とは随分対応が変わってしまったなあ、という感想を抱いた。
*この件については私の方が時代に遅れているのかもしれないが。

<次に続く>
ギャラリー
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