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◆先日投稿したテデスコの「二つのギターの為の協奏曲」を収録したCDがどれだけあったかと棚を見てみたところ、とりあえず写真の4枚が見つかった。左上は先日とりあげたプレスティ&ラゴヤのもの。右上はアサド兄弟がロドリーゴの作品とともに同曲を演奏したもの。次の右下は山下和仁&尚子の兄妹コンビ。オーケストラはロンドン・フィル、指揮はレナード・スラトキンという豪華な顔ぶれ。そして最後が左下、イタリアのロレンツォ・ミケーリ&マッシモ・フェリチという二人のギタリスト。

◆テデスコのギター・コンチェルトは私の知るところ、1番、2番と今回の2つのギターの為の協奏曲と合計3曲あるが、山下兄妹とミケーリ&フェリチの盤では、いずれも3曲全て収録されている。

◆昨日、プレスティ&ラゴヤ以外の3枚を続けて聴いてみたが、それぞれ最初に聴いたときの印象よりは随分良い印象を受けた。といっても良いのは演奏の方で、作品については3流で変わらず。

◆演奏はみな完璧なギターデュオで、そのことについてはどれも文句のつけようがない。これらの演奏を聴くと、これこそギターデュオの神髄。どんなに上手いギタリストが二人そろっても、この人たちの演奏にはかなわないだろう。

◆ギターという楽器は、その発音の構造上、複数のギタリストがぴったりと合わせるのはなかなか難しい。個性あるギタリストであればあるほど、それぞれ発音のしかたも微妙に違い、なおさら合わせるのが難しくなる。これはあのブリームとジョンのデュオでも同様で、ブリームといえども、またジョンといえども結果はただ上手い人がたまたま合わせてみました、という範疇を超えておらず、大して面白くない。いかに上手いギタリストであっても、デュオの魅力を最大限発揮しようとすると、通常専門デュオにはかなわない。勿論専門であればみないいというわけではなく、ここにあげたデュオの方々はやはり超一流、見事と言う外ない。

◆特に素晴らしかったのは、意外かも知れないが、「山下和仁&尚子」の兄妹によるデュオであった。このコンビのデュオはデュオの鏡といったらよいだろうか。このお2人は兄妹と言えども専門のデュオというわけではないのにもかかわらず、むしろ他の専門デュオの上を行く素晴らしい演奏を披露している。

◆山下和仁氏のソロ演奏については、時として多少の違和感も感じることもある私だが、このテデスコの「二つのギターの為の協奏曲」を聴く限りでは、プレスティ&ラゴヤをも凌ぐ上手さだと感じた。勿論アサド兄弟、ミケーリ&フェリチも、デュオの魅力を存分に味合わせてくれる立派な演奏だと思うが、この作品にかけては山下兄妹に一歩譲るように私は感じた。