福島県二本松に短角牛を育てている方がいるという話を聞き、二本松に行ったところ、
福島のすごい牛の生産者に出会ってしまいました。

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短角牛を育てているというのは、福島県二本松に本社を置く、エム牧場。
社長の吉田さんにお電話したところ、短角ではなく、うちで育てているのは短黒ですとのこと。

短黒?

短黒とは短角牛と黒毛和牛の交配種とのこと。

短角は赤身で美味しいけど、何か物足りない。そこで、短角に黒毛のコクを合わせたのが短黒牛。
赤身にこだわって作ってますとのこと。

すごい!会いにお伺いしなくちゃ。

さっそく、次の日、エム牧場にお邪魔しました。

二本松市の郊外を走っていくと、牛舎とエム牧場の文字が。
牛舎を見回すと、黒毛和牛、短角牛、あの茶色はあかうし?

牛を見ていると、社長の吉田さんが迎え入れてくれました。

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吉田さんが代表を務められているエム牧場は、黒毛和牛の繁殖から肥育までの一貫経営を主に、やられてます。
黒毛和牛の価格が高騰し海外にも市場が広がっていったときに、吉田さんはこのままでは日本人が和牛を食べられなくなってしまうのではないかと考え、ここにしかない、自分が美味しいと思う和牛の飼育を始めたそうです。それが短黒牛です。

短黒牛自体はもともと存在しています。
夏山冬里方式の短角牛の飼育の中で、夏に黒毛和牛も一緒に牧場に離したときにたまたま生まれる短黒牛。
短角の市場で800頭出る中で20頭いるかいないかの確立だそうです。
それを本格的に飼育しているとのことです。

なぜ、短黒牛を飼育しているか。それは美味しいから。
吉田社長のお嬢様たちも短黒しか食べたくないというそうです。
それが作り続ける理由。

また、本当に安心・安全なお肉を育てたいとの吉田社長の思いからです。

黒毛和牛の世界では、日本でこれから黒毛和牛の肉質がどうなっていくかというと、脂になっていくことが考えられるそうです。
エサや血統の改良でA5のお肉がどんどん出てきた。今まで目指すところはA5。でも、そのようなお肉は安全で健康な肉なのか?

短角は強く風邪もほとんどひかない。
短角の血をひいている短黒も、強く抗生剤もいらない。

余計な薬を使わず、自然のまま健康的。これが本当の安心・安全なのではないか。

黒毛和牛もA5が増えてきて、高価なお肉が増えてくる。主な市場は海外。日本ではTPPでアメリカやオーストラリアの肉を食べている。
日本で作った肉を日本人が食べるという当たり前の循環ではなく、日本で作った肉は海外で食べられて、日本では海外の肉を食べる。これでは、産業自体がどこにいくのか?
また、誰のために作っているのか?お金のため?
その問いに対しての吉田社長の姿勢を見せていただきました。
僕も震災前に従業員がたくさんいたころ、人件費を稼ぐため、レストランでもうけなくてはいけないと考え、料理がお金のものになっていました。
でも、そうなってしまうと誰のために作っているのかわからない。そのような仕事は心に伝わらない。
自分の体験も踏まえ、吉田社長のお話は共感することばかりです。


吉田社長に牛舎をみせてもらうと、牛舎の中には、黒毛和牛、短角牛、あかうし、ホルスタイン、ジャージー牛。ありとあらゆる牛が一つところに!

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生まれたての短黒牛
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吉田社長はここに来るとみんなびっくりしますよと。
吉田社長の所で牛肉は進化していました!

最後に吉田社長は、この土地のここでしか食べれない。それが重要だとお話していらっしゃいました。
そんな希少は肉を分けていただき、感謝です。

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肉質はやはり短黒牛。さしもあって赤身
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これから店で短黒牛、提供させていただきます!

福島県いわき市HAGIフランス料理店
シェフ 農林水産省料理マスターズ
萩 春朋