にじ魂

滝本竜彦『綾波忘却計画』

<<ななか6/17を読んだATフィールドはバカの壁>>
滝本竜彦『綾波忘却計画』が面白いので全文転載します。
ヴァの放映が終了した夜、多くの青少年が絶望した。
「明日から何を楽しみに生きてゆけばよいのだろう・・・・・・」
 そしてエヴァ劇場版が上映された日、多くの青少年が心に深い傷を負った。皆、言葉にならない芒洋とした気持ちを抱えて映画館を出た。
 だが一部のものは、エヴァに対するモヤモヤした感情を二次創作小説に吐き出して、自分の気持ちに折り合いをつけようとした。こうして一九九七年、空前のエヴァ小説ブームが到来した。当時ネットに存在していたエヴァ小説サイトはその数、数百とも数千とも噂されていた。その巨大コミュニティーの片隅に、僕のホームページも存在した。メインコンテンツは恋愛小説。ヒロインは綾波、そして主人公は『僕』の、脳がとろけるラブストーリー・・・・・・。
はこたつに座って薄ら笑いを浮かべ、精神が腐るような妄想小説を書いた。大学一年生の僕は学校に行くのも忘れて、妄想含有量百バーセントの純粋自己満足小説を書いた。
僕の考えた綾波は、ライフルも持たずに出ていったり、爆発したり、三人目になったり、びっくりするぐらい背が伸びたりすることもないので安心だった。当時としても旧式のNEC98で、僕は愉快に楽しくノータリン妄想小説を創作した。
まったくそれは、あまりにも知能指数の低い青春エピソードであったが、せめて自分の書いた妄想小説の中だけでも、僕は綾波とお近づきになりたかった。僕はそれだけエヴァを好きだったし、僕は死ぬまで綾波だけを愛するつもりでいた。サークルの新歓コンパでも、僕は胸を張ってエヴァを布教した。
「みなさんこんにちは、北海道から出てきた滝本竜彦と言います。趣味はエヴァンゲリオンというアニメの鑑賞です。観たい人がいたらビデオを貸してあげますので、気軽に声をかけてください!」
ぜかそれ以来誰も僕に声をかけてくれなくなったが、数ヵ月後、学園祭の夜に、サークルの皆が僕の寝床に大挙して押し掛けてきた。僕のアパートは学校近くにあったので、寝泊りに利用するつもりだったらしい。僕は嬉々としてエヴァンゲリオン大上映会を開催してやった。疲れ切っている皆を眠らせまいと、声を張り上げ解説した。
「ほらこのシーン!、ちゃんと見てよこのシーン、マジ凄いから!」
「うわああああああ! がおおおおおおお!ぶしゃぁー!!」ジンジ君が切れ、エヴァが吠え、ナイフが突き刺さって血しぶきが飛び、拳を振り上げ僕ははしゃいだ。
 しかし、皆は舌打ちして僕の部屋から出ていった。以後、二度と僕の部屋に皆が遊びに来ることはなかった。ひとり真っ暗な部屋に取り残された僕は思った。
 あいつらに何がわかる。
 エヴァを無視する人間は、低脳なのだ。エヴァを馬鹿にする人間は、全員僕の仇敵なのだ。
 どんなに頭の良い有識者の言葉でも、エヴァを悪く言うセリフだけは許せなかった。エヴァを馬鹿にする記事を雑誌で読むたび、僕は怒りにぶるぶる震えた。世が世ならテロで粛清してやるところだ。
 知った風な口をきいて「ありゃ失敗作だね」などとエヴァを見下す奴らを僕は、死んでも絶対に許さない。エヴァの良さがわからない人間は、今すぐ己の不明さを恥じて切腹するべきだ。
 お前らに何がわかる。
る日、僕はゼミの研究発表でエヴァを上映した。
 『映像メディアと文学の関わり』的なことを考えるゼミだったような気がするが、あまり詳しくは思い出せない。なぜなら途中で出席するのを止めたからだ。エヴァの凄さ素晴らしさをゼミで意気揚々と発表したところ、サブカル風の男が隣の女性にぼそりと囁いたのだ。
「いまさらエヴァってどうなのよ? あいつヤバくね?」
 僕は拳を握りしめてゼミ室から退場した。以後二度とその授業には顔を出さなかった。
 枕を涙でぬらし世間を呪った。何が「いまさら」だ。エヴァを消費できると思うなよ。綾波を忘れられると思うなよ──少なくとも僕だけは死ぬまでエヴァが綾波が好きなはずだった。その証拠に僕はエヴァグッズを腐るほど買い集めたし、UCCエヴァコーヒーも虫歯になるまで飲んだし、タメになるエヴァ本も本棚にズラリとそろえたし、映画館で売っていたネルフの帽子も持ってるし、シンジ君が表紙のスタジオヴォイスも発売日に二冊買った。
 もちろんセリフだって全部暗記したし、CDも毎日聴いたし、壁にポスターもぺたぺたと貼った。アパートに遊びに来た女性と二人きりになった夜も、僕はテレビでエヴァを観た。背後に人間女性がいると緊張したが、体育座りでエヴァを観ていると心が落ち着いた。このように僕の青春は何から何までエヴァだったし、僕は綾波レイが大好きだった。毎晩遅くまで、妄想エヴァ小説の執筆に精を出した。ヒロインは綾波で主人公は僕だ。物語のクライマックスで、僕は綾波に告白した。
「君が好きだよ、いつまでも君が好きだよ!」
 しかし・・・・・・。
 しかし綾波はこんなとき、どういう顔をしたらいいのかわからないらしかった。
 表情を決めかねているうち、恐ろしい速度で数年の時が流れ去った。
 ハッと気づくと、僕は二十五歳になっていた。
十五の僕は「ハリウッドで実写エヴァが!」との大ニュースを聞いてもまったく動揺しない大人になっていた。「綾波役はどうなるのよ?いっそのこと黒人を起用して皆のドギモを抜いて欲しいよな。」と小粋なジョークを呟くぐらいに大人であった。もう「エヴァを汚すな!」などというファナティックなセリフは叫ばなかった。
 壁の綾波ポスターも、とっくの昔に剥がされていた。エヴァビデオは押入れの中でほこりを被っていた。完全暗記し、ことあるごとにスラスラ引用できたエヴァセリフも、今ではほとんど忘れていた。仕方なしに誰かとエヴァについて話す時も、僕は熱くならずにニコニコ喋った。「アレは実に画期的なアニメでしたねえ」そして誰かがエヴァを小馬鹿にしたとしても、もはや怒りは沸いて来ず、すでに何の感情も沸いては来ず、あの日終劇の二文字に感じた喪失感を、僕は見事に消費しきってしまっていた。あの言葉にならない苦悩を、ドロドログチャグチャの感情を、ぽっかりと心に開いた大穴を、僕は完全消費していた。それでも胸の内にただ一つ残されている感情があって、僕は笑った。それは痛さだった。このエッセイを書くに当たり、昔の資料を読み返してみた僕は、疼きだした胸の痛みに微笑んだ。みんなの恥ずかしい過去に僕はウキウキと心躍らせた。
とえば有名ライターさんが書き下ろした、あまりに寒いエヴァポエム。あるいはエヴァのことで師匠とケンカしたライターさんの裁判記録。そして箱根湯本駅に謎の人物が設置した「ようこそ第三新東京市へ」との立て看板──それらの記憶が紡ぎだすイタさ恥ずかしさに、僕は呻いてみんな馬鹿だったねと楽しく笑った。何もかも皆、痛々しくて素敵だった。いい大人も頭の良い有識者も、当時のみんなは、とてもイタくて面白く、僕も若くて狂っていた。押入れの奥からNEC98を引っ張り出して、数年前に自分が書いた妄想エヴァ小説を読み返してみたら、あまりの馬鹿さに脳がとろける思いをした。
 ──ひょんなことから自我に目覚め、ゲンドウの所から逃げ出してきた綾波が、小田急ロマンスカーに乗り込み、新百合ヶ丘で各駅停車に乗り換え、生田までやってくる。そして彼女は、深夜の駅前をぶらついていた僕とばったり出会って恋に落ちる。しかしネルフ保安部が迫り来る。
 僕は機転を利かせて彼女をアパートに匿った。もう大丈夫だ、ここにいれば安心だ。だからお願いだ、綾波、君はずっとここにいてくれ。たぶん僕は世界で一番君のことを愛しているよ。君さえいれば僕は他に何もいらないよ──。
 「そうさ僕は、いついつまでも君が好きだよ!」
 しかし・・・・・・。
かしそもそも君はどこにもいなかったし、僕の言葉は大嘘だった。虚構少女に対する熱い想いは数年も昔、遥か虚空に消滅した。それに綾波はとても無口で無表情な少女だったので、僕らふたりは、どんな顔をしたらいいのかわからないまま、カチンと固まり突っ立っていた。長らく僕らはふたりとも、何も言えずにぽおっとしていた。埒があかないので、僕は古い98のキーボードを数年ぶりに叩き、妄想エヴァ小説の続きをカチカチ執筆再開した。
 「ごめんよ、綾波、僕はもうダメだ」
 「そう」
 「君のセリフが思い出せない。君の顔すら思い出せない。ねえお願いだ、戻ってきてくれ、僕には君が必要なんだ!」
 「さよなら」
 「そんな悲しいこと言うなよ。──そ、そうだ!笑えばいいと思うよ!」
 すると綾波は第六話のラストと同じように、にっこり僕に微笑んだ。
 「さよなら、竜彦君。あなたは死なないわ。私が守るもの」
 そうして電信柱の鳩が飛び、ふと振り向けば、もう綾波は、どこにもいない。
 僕は涙を拭って手を振った。寒くてイタい思い出すべてに、僕は笑顔で手を振った。
『新世紀エヴァンゲリオン エヴァ&エヴァ2アンソロジー』に収録
滝本竜彦『綾波忘却計画』より転載

。・゜・(ノД`)・゜・。ウエエェェン超泣けるテキストだよぅ!俺もエヴァにハマってたけどここまで一途にエヴァだけを想っていた人がいたなんて!凄いよ、ピュアだよ、泣けるよ、ウワワァァァン!!
空想美少女との恋愛は、結局は叶わぬ恋、なればこその純愛が痛々しくって美しい。

俺はこの「綾波忘却計画」を一読して一発で滝本竜彦のファンになったよ。『NHKにようこそ!』も読んでみたら最高だった。マジで震えるほど感動した。特に山崎が作ったゲームのラストとか、山崎が北海道に帰っちゃうシーンは泣けるね。
作者の故郷で、雄大な大地のある北海道だから良いんだよな。これがさいたまだったら駄目なんだよ!
小説を読んでこんなに感動したのは始めてだ。
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』はあんまりピンと来なかったけど、『NHKにようこそ!』はマジで超々・大傑作ですね。
by 箱男 2004年01月16日 17:38 新着コメント記事一覧
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コメント(64)
ダメ人間 :2005年04月01日 09:39

竹内義和の「どうして、こんなに悲しいんだろう」
という小説をお薦めしたいっ。

くろしろー :2005年05月03日 18:44

後輩なんだよなー滝本、学校の。すげえ才能だと思うよ。かつて文学青年で
今や小説嫌いのこの俺に最後まで読ませる本書くんだから。これがラノベか
とその読みやすさに驚いたもんだよ。ただ前エッセイで21世紀の太宰治とか
書いてたけど、それは勘違いというものだよ。上流階級で女にモテ、東大を
でなければその資格は無い。人間失格を100回読んだ俺の言葉だから、
間違いは無い。でも才能あると思うよ。

WWWk :2005年05月04日 00:00

この人ほんとうに暗いですよね

大人のくせにキャラにはまって恥ずかしくないのかな

そんなに綾波が好きなら、彼女の声優の林原 めぐみのファンになれよ・・・

自分もエヴァが好きで、綾波派だけど

あなたみたいなアヤナミストははっきりいってキモイ

俺が気に食わないなら別にいい

でも、ゆっくり考えてみろ

自分の愚かさに気づくはず



あと、BSのエヴァ特集でお前を見たけど


はっきりいって、暗かった

あと、好きなシーンがシンジがオナってるシーンだなんて・・


はっきりいって減滅


自分で評論家ぶってるのが、アホみたいに見えるよ

くろしろー :2005年05月05日 12:39

キャラを脳内恋人にするのはある意味でやさしさだと
思う。実在の人物を脳内恋人にするとその人間を傷つ
ける。キャラならどんなことをさせてもOK

K :2005年05月07日 15:09

生田って明大生だってわけじゃないですよね。

松。 :2006年01月07日 22:55

どうでもいいですけど、僕はファンです。憧れます。最高です。
                              はい、以上。

S :2007年09月02日 10:36

綾波が好きなら声優にはまれよとかそれは違うだろ・・・ 意味が分からないわ
綾波が好きなんであって声優は別に関係ないじゃん 
ここまでキャラクターを愛すことができるなんて俺は尊敬は覚えても軽蔑なんてとてもじゃないができないね
2次元だからとか3次元だからとか関係なくただ愛せるっていうのはすごいだろ
まあ俺はミサトが好きなんですがw

S :2007年09月02日 10:39

綾波が好きなら声優にはまれよとかそれは違うだろ・・・ 意味が分からないわ
綾波が好きなんであって声優は別に関係ないじゃん 
ここまでキャラクターを愛すことができるなんて俺は尊敬は覚えても軽蔑なんてとてもじゃないができないね
2次元だからとか3次元だからとか関係なくただ愛せるっていうのはすごいだろ
まあ俺はミサトが好きなんですがw

ゲンドウ :2007年09月02日 12:34

友人や女が一度でも遊びに来る時点で、彼は勝ち組であった

FSR402 :2007年09月03日 00:20

>友人や女が一度でも遊びに来る時点で、彼は勝ち組であった

同意。やっぱり一人暮らししようかな・・・
遊びに来る友人、ましてや女性のあてなど微塵もないが

中上 :2008年01月16日 12:40

枯木灘!枯木灘!枯木灘!枯木灘!

  :2008年02月20日 12:43

ふむふむ

ハミュッツ=メセタ :2008年02月22日 11:57

 滝本さんがどういった人格であろうと若干は許せます。
 何故なら「NHKにようこそ」という素晴らしい作品を作り上げたからです。好きなシーンは「好きだ! 愛してる! 死なないでくれ!」「ははは、面白いこというね佐藤君。でもダメだよ。死ぬんだから!」です。
 「エヴァ」ちょっと好き。

 ぼくも現在小説を書いて投稿しています。それで印税生活を送りたいです。

はぶかれ :2008年05月18日 22:20

滝本・・・NHKのアニメのおかげで世間からの評価がだいぶ良くなったな。

海燕の巣 :2008年06月20日 19:54

同意

飯 :2008年06月28日 21:28

NHKにようこそ!という傑作を書いたという点では滝本さんは偉大

ルドルフ227 :2008年07月02日 15:39

感動しました、まさに純愛ですね。
悲しいかな、こういう純な人ほど損をする世の中なんですよね。

NHKにようこそ、最近読み終わりました。

元ひきこもり :2008年07月13日 20:56

ひきこもりの親が
NHKにようこそ!
見てると思うと泣ける

海燕の巣 :2008年07月26日 19:10

戦場には何もない

佐藤君 :2008年07月30日 10:54

nhkにようこそさえなければ痛い人だな。
性格あいそうだなww

jack the ripper :2008年07月31日 14:19

もうない

Wittgenstein 4 :2008年08月02日 06:37

まあいい

死に至る病 :2008年08月05日 11:41

なければいい

白蟻の巣 :2008年08月10日 01:22

白蟻の巣

SA10 :2008年08月11日 18:18

滝本竜彦さん最高だ!これからも頑張ってくれ〜

蝶々の巣 :2008年08月15日 16:20

ほらそこ〜

蝶々の巣 :2008年08月15日 16:29

ほらそこー

雀蜂の巣 :2008年08月27日 06:38

おべんとう (新字新仮名、作品ID:49466) 
市井にありて (新字新仮名、作品ID:4619) 
食堂 (新字新仮名、作品ID:47172) 
蝉の子守唄 (新字旧仮名、作品ID:45122) 
力餅 (新字旧仮名、作品ID:45121) 
芭蕉 (旧字旧仮名、作品ID:49482) 
春 (新字新仮名、作品ID:1516)

銀狐の巣 :2008年09月04日 12:21

家族会議 (新字新仮名、作品ID:47564) 
上海 (新字新仮名、作品ID:2148) 
寝園 (新字新仮名、作品ID:47211) 
新感覚論 感覚活動と感覚的作物に対する非難への逆説(新字新仮名、作品ID:4888)
日輪 (新字新仮名、作品ID:4252) 
馬車 (新字新仮名、作品ID:4887)

海燕の巣 :2008年09月06日 11:49

資本論 01 訳者序文/原著序文(新字新仮名、作品ID:47071)

白蟻の巣 :2008年09月09日 04:38

共産党宣言 (旧字旧仮名、作品ID:47057)  →堺 利彦(翻訳者) →幸徳 秋水(翻訳者) →エンゲルス フリードリッヒ(著者)
共産党宣言 (新字新仮名、作品ID:43292)  →堺 利彦(翻訳者) →幸徳 秋水(翻訳者) →エンゲルス フリードリッヒ(著者)

藁屑の巣 :2008年09月09日 11:47

うずしほ (新字旧仮名、作品ID:2075)  →森 鴎外(翻訳者) →森 林太郎(翻訳者)
病院横町の殺人犯 (新字旧仮名、作品ID:2076)  →森 鴎外(翻訳者) →森 林太郎(翻訳者)
マリー・ロジェエの怪事件 (新字新仮名、作品ID:4261)  →佐々木 直次郎(翻訳者)

雀蜂の巣 :2008年09月12日 12:28

「一つ」と大時計が云つた。
「一つ」とスピイスブルク市民たる小さい、太つた爺いさん達が、谺響(こだま)のやうに答へた。「一つ」と爺いさんの懐中時計が云つた。「一つ」とお神さんの時計が云つた。「一つ」と子供達の時計や猫の尻つぽ、豚の尻つぽの時計が云つた。
「二つ」と大時計が云つた。「二つ」と皆が繰り返した。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と大時計が云つた。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と皆が答へた。
「十一」と大時計が云つた。
「十一」と皆が合槌を打つた。
「十二」と大時計が云つた。
「十二」と皆が答へて、大満足の体で声の尻を下げた。
「十二時だ」と爺いさん達が云つて、てんでに懐中時計を隠しに入れた。
 然るに大時計はまだこれでは罷(や)めない。「十三」と大時計は云つた。
「やあ」と爺いさん達はうめくやうに云つて、鯉が水面に浮いて風を呑むやうな口附きをして、顔の色が蒼くなつて、口から煙管が落ちて、右の膝が左の膝の上から滑つた。
「やあ、十三だ、十三時だ」と皆が歎いた。

銀狐巣 :2008年09月13日 20:37

第一条。何事に依らず古来定まりたる事を変更すべからず。
第二条。本市以外には一切取るに足る事なしと認む。
第三条。市民は先祖伝来の時計及キヤベツを忘却すべからず。

海燕の巣 :2008年09月13日 20:38

脱獄だ

やしろ :2008年09月20日 06:10

青春の牢獄から出所したって話・・・・泣ける。
・・・けどBSのエヴァ特集見たけど卒業してるように見えなかった。

今で、あの感情剥き出し状態なんだから昔はもっと・・

あそこまで情熱がないとモノ作りは出来ないってことなんですかね

山羊の巣 :2008年09月22日 20:36

もう一回ゼルダヘ

病巣 :2008年09月22日 20:48

洪水は我が魂に及び

海燕の巣 :2008年09月22日 21:25

とどめだ

雀蜂の巣 :2008年11月07日 10:53

阿Q正伝 (新字新仮名、作品ID:42934)     →井上 紅梅(翻訳者)
明日 (新字新仮名、作品ID:42935)     →井上 紅梅(翻訳者)
兎と猫 (新字新仮名、作品ID:43411)     →井上 紅梅(翻訳者)
鴨の喜劇 (新字新仮名、作品ID:43412)     →井上 紅梅(翻訳者)
狂人日記 (新字新仮名、作品ID:42936)     →井上 紅梅(翻訳者)
薬 (新字新仮名、作品ID:42937)     →井上 紅梅(翻訳者)
孔乙己 (新字新仮名、作品ID:42938)     →井上 紅梅(翻訳者)
幸福な家庭 (新字新仮名、作品ID:43650)     →井上 紅梅(翻訳者)
故郷 (新字新仮名、作品ID:42939)     →井上 紅梅(翻訳者)
些細な事件 (新字新仮名、作品ID:43019)     →井上 紅梅(翻訳者)
端午節 (新字新仮名、作品ID:43020)     →井上 紅梅(翻訳者)
頭髪の故事 (新字新仮名、作品ID:43021)     →井上 紅梅(翻訳者)
「吶喊」原序 (新字新仮名、作品ID:42933)     →井上 紅梅(翻訳者)
白光 (新字新仮名、作品ID:43413)     →井上 紅梅(翻訳者)
不周山 (新字新仮名、作品ID:43414)     →井上 紅梅(翻訳者)
村芝居 (新字新仮名、作品ID:43415)     →井上 紅梅(翻訳者)

銀狐の巣 :2008年11月09日 00:55

風波 (新字新仮名、作品ID:43022)  →井上 紅梅(翻訳者)

海燕の巣 :2008年11月23日 11:37

「一つ」と大時計が云つた。
「一つ」とスピイスブルク市民たる小さい、太つた爺いさん達が、谺響(こだま)のやうに答へた。「一つ」と爺いさんの懐中時計が云つた。「一つ」とお神さんの時計が云つた。「一つ」と子供達の時計や猫の尻つぽ、豚の尻つぽの時計が云つた。
「二つ」と大時計が云つた。「二つ」と皆が繰り返した。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と大時計が云つた。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と皆が答へた。
「十一」と大時計が云つた。
「十一」と皆が合槌を打つた。
「十二」と大時計が云つた。
「十二」と皆が答へて、大満足の体で声の尻を下げた。
「十二時だ」と爺いさん達が云つて、てんでに懐中時計を隠しに入れた。
 然るに大時計はまだこれでは罷(や)めない。「十三」と大時計は云つた。
「やあ」と爺いさん達はうめくやうに云つて、鯉が水面に浮いて風を呑むやうな口附きをして、顔の色が蒼くなつて、口から煙管が落ちて、右の膝が左の膝の上から滑つた。
「やあ、十三だ、十三時だ」と皆が歎いた。

蝙蝠の巣 :2008年11月26日 17:39

V. (V., 1963):ウィリアム・フォークナー賞
競売ナンバー49の叫び (The Crying of Lot 49, 1966)
重力の虹 (Gravity's Rainbow, 1973)
スロー・ラーナー (Slow Learner-Early Stories, 1984)
ヴァインランド (Vineland, 1990)
メイソン&ディクソン (Mason & Dixon, 1997)
アゲンスト・ザ・デイ(Against the Day, 2006)

山羊の巣 :2008年11月26日 17:41

ほらそこー

雀蜂の巣 :2008年11月28日 18:15

ランペスのライザ(Liza of Lambeth、1897年)田中西二郎訳、北川悌二訳 講談社文庫
魔術師(The Magician、1908年)田中西二郎訳 ちくま文庫
人間の絆(Of Human Bondage、1915)中野好夫訳 新潮文庫、守屋陽一訳 角川文庫、厨川圭子訳 旺文社文庫、行方昭夫訳 岩波文庫
月と六ペンス(The Moon and Sixpence、1919年)厨川圭子訳 角川文庫、中野好夫訳 新潮文庫、竜口直太郎訳 旺文社文庫、阿部知二訳 岩波文庫、北川悌二訳 講談社文庫、大岡玲訳 小学館、行方昭夫訳 岩波文庫、土屋政雄訳 光文社古典新訳文庫
お菓子とビール(Cakes and Ale、1930年)上田勤訳 新潮文庫、厨川圭子訳 角川文庫、竜口直太郎訳 旺文社文庫、
劇場(Theater、1937年)竜口直太郎訳 新潮文庫
山荘にて(Up at the Villa、1941年)※邦題『女ごころ』中野好夫訳、竜口直太郎訳 新潮文庫、
剃刀の刃(The Razor's Edge、1944年)斎藤三夫訳 新潮文庫、中野好夫訳 講談社文庫、ちくま文庫
昔も今も(Then and Now、1946年)清水光訳 新潮文庫
 アシェンデン 加島祥造訳 早川書房、河野一郎訳 新潮文庫、ちくま文庫、篠原慎訳 角川文庫
秘密諜報部員 竜口直太郎訳 東京創元社 1956 創元推理文庫、
夫が多すぎて 海保眞夫訳 岩波文庫 2001

銀狐の巣 :2008年11月28日 18:17

信義の人(A Man of Honour、1904年)
フレデリック夫人(Lady Frederick、1912年)
ジャック・ストロー(Jack Straw、1912年)
ドット夫人(Mrs Dot、1912年)
ひとめぐり(The Circle、1921年)
おえら方(Our Betters、1923年)
シェプー(Sheppy、1933年)

海燕の巣 :2008年11月29日 06:54

6発だ

山羊の巣 :2008年12月05日 09:08

「一つ」と大時計が云つた。
「一つ」とスピイスブルク市民たる小さい、太つた爺いさん達が、谺響(こだま)のやうに答へた。「一つ」と爺いさんの懐中時計が云つた。「一つ」とお神さんの時計が云つた。「一つ」と子供達の時計や猫の尻つぽ、豚の尻つぽの時計が云つた。
「二つ」と大時計が云つた。「二つ」と皆が繰り返した。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と大時計が云つた。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と皆が答へた。
「十一」と大時計が云つた。
「十一」と皆が合槌を打つた。
「十二」と大時計が云つた。
「十二」と皆が答へて、大満足の体で声の尻を下げた。
「十二時だ」と爺いさん達が云つて、てんでに懐中時計を隠しに入れた。
 然るに大時計はまだこれでは罷(や)めない。「十三」と大時計は云つた。
「やあ」と爺いさん達はうめくやうに云つて、鯉が水面に浮いて風を呑むやうな口附きをして、顔の色が蒼くなつて、口から煙管が落ちて、右の膝が左の膝の上から滑つた。
「やあ、十三だ、十三時だ」と皆が歎いた。

蝙蝠の巣 :2008年12月05日 09:09

「一つ」と大時計が云つた。
「一つ」とスピイスブルク市民たる小さい、太つた爺いさん達が、谺響(こだま)のやうに答へた。「一つ」と爺いさんの懐中時計が云つた。「一つ」とお神さんの時計が云つた。「一つ」と子供達の時計や猫の尻つぽ、豚の尻つぽの時計が云つた。
「二つ」と大時計が云つた。「二つ」と皆が繰り返した。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と大時計が云つた。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と皆が答へた。
「十一」と大時計が云つた。
「十一」と皆が合槌を打つた。
「十二」と大時計が云つた。
「十二」と皆が答へて、大満足の体で声の尻を下げた。
「十二時だ」と爺いさん達が云つて、てんでに懐中時計を隠しに入れた。
 然るに大時計はまだこれでは罷(や)めない。「十三」と大時計は云つた。
「やあ」と爺いさん達はうめくやうに云つて、鯉が水面に浮いて風を呑むやうな口附きをして、顔の色が蒼くなつて、口から煙管が落ちて、右の膝が左の膝の上から滑つた。
「やあ、十三だ、十三時だ」と皆が歎いた。

鸚鵡の巣 :2008年12月05日 09:10

「一つ」と大時計が云つた。
「一つ」とスピイスブルク市民たる小さい、太つた爺いさん達が、谺響(こだま)のやうに答へた。「一つ」と爺いさんの懐中時計が云つた。「一つ」とお神さんの時計が云つた。「一つ」と子供達の時計や猫の尻つぽ、豚の尻つぽの時計が云つた。
「二つ」と大時計が云つた。「二つ」と皆が繰り返した。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と大時計が云つた。
「三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十を」と皆が答へた。
「十一」と大時計が云つた。
「十一」と皆が合槌を打つた。
「十二」と大時計が云つた。
「十二」と皆が答へて、大満足の体で声の尻を下げた。
「十二時だ」と爺いさん達が云つて、てんでに懐中時計を隠しに入れた。
 然るに大時計はまだこれでは罷(や)めない。「十三」と大時計は云つた。
「やあ」と爺いさん達はうめくやうに云つて、鯉が水面に浮いて風を呑むやうな口附きをして、顔の色が蒼くなつて、口から煙管が落ちて、右の膝が左の膝の上から滑つた。
「やあ、十三だ、十三時だ」と皆が歎いた。

D :2008年12月05日 09:11

まだ死ぬな

雀蜂の巣 :2008年12月06日 15:57

読書子に寄す

銀狐の巣 :2008年12月06日 15:58

岩波文庫発刊に際して

海燕の巣 :2008年12月06日 15:59

「終焉」からの始まり

山羊の巣 :2009年01月04日 12:19

「中公クラシック」刊行あたって

蝙蝠の巣 :2009年01月04日 16:16

アンドロイドは電気羊の夢を見るか

鸚鵡の巣 :2009年01月04日 16:16

もう一回ゼルダヘ

ZAZAZA :2009年01月09日 15:32

NHKにようこそマジ感動したわ
青い鳥にようこそのラストはがちで泣けた

俺 :2009年02月13日 19:42

誰が何と言おうと俺は滝本竜彦を応援し続ける

アスカ :2009年02月15日 05:48

・・・気持ち悪い

hiro :2009年05月10日 18:36

NHKにようこそは傑作
滝本さんは偉大

k :2009年05月21日 22:52

本当に何もわかってないのはお前だ滝本

k :2009年05月23日 00:21

滝本さん、なんかすみませんでした。ネガティブチェーンソーハッピー面白かったですよ

名無し :2009年06月18日 21:05

青春はそんなチャラチャラした物じゃない。
このセリフは衝撃的でした

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