千佳ちゃんとの交際は順調に進みます。
僕が体調を崩して寝込んだ時があったのですが、彼女は泊まり込みで看病をしてくれました。
それ以降、なんとなくずるずると半同棲の様相すら呈していきます。

「なんだかこのまま結婚しちゃいそうですよね」
そう笑いながら、日々少しづつ歯ブラシやスリッパなど運んできます。
なかなかの策士です。
彼女という立場になっても、大人しく礼儀正しい千佳ちゃんですが、結構ぐいぐい来ます。
勿論僕としても、そういった事は考えないでもないですし、そうなったら幸せだなぁ、とくらいは漠然に思っていました。
一度気軽に「そうなったらどうする?」と尋ねてみたんです。
彼女はあっけらかんと「そりゃ、そうなるんじゃないですか?」と僕に背中を向けて、ぱたぱたと可愛くスリッパの音を響かせてながら、洗濯物を取り込むためにベランダで出ていきました。
「どうなるの?」と部屋の中から声を掛けると、「え~、聞こえませ~ん」とくすくす笑うだけ。
絶対聞こえています。
千佳ちゃんはよく自分からそういう話題を振っておいては照れて逃げます。
僕はベランダに出て、後ろから彼女を抱きしめます。
「どうなるんだよ?」
「え~。わかりませ~ん」
休日の昼間から、外から見えるベランダで、キャッキャウフフとかなりの馬鹿ップルです。
彼女が居ない時の僕なら、狙撃してやりたいと思える光景だったでしょう。
そのまま抱きかかえながら部屋に戻ると、なんだか既に盛り上がっている二人。    
にやにや見つめ合いながら、立ったままお互いの服を脱がしていく。
僕がベッドに腰掛けると、その太股の上に向かい合って座ってきました。
千佳ちゃんは「くふふ」と堪えられないといった様子で笑みを零すと、「せ~んぱい。大好き」と甘えるようにキスをしてきます。
そのまま二人倒れ込むようにベッドで寝そべります。
陰部に手を伸ばすと既に濡れてました。
それでも一応と、体格の割にはボリューム感たっぷりのおっぱいを指と舌で苛めていたら、彼女は僕の頭を撫でるように、くしゃくしゃっと掻き混ぜてきました。
見上げるとなんとも切なそう表情。
「……だーめ」
「なにが?」
「意地悪……やだぁ」
「別にそんなのしてないじゃん」
「ん~」
いやいやするように、手足を微かにばたつかせます。
そして僕の勃起した陰茎にそっと指を触れると、「……早く、きてくださいよぅ」と拗ねるように唇を尖らせました。
その様子があまりに可愛らしかったので、鼻息を漏らすと膝を持ち上げて正常位の体勢。
そこでゴムをしていないのに気付きます。
でもなんとなく、イチャラブな雰囲気がマックスだった勢いで、そのまま挿入しようとしてしまいました。
千佳ちゃんはその辺りはすごいしっかりしているので、止めてくれるだろうと確信もしていました。
でも彼女は生で挿入しようとする僕を、下唇を噛んだ何とも言えない表情で見つめてきます。
「良い?」
切なさで満タンのままの顔で、こくりと小さく頷きました。
そのままぬるりと千佳ちゃんの中へ侵入。
千佳ちゃんとの初めての生セックスでした。
千佳ちゃんの膣はぬるぬるでいつも暖かいです。
柔らかい肉壁がちんこを優しく押しつぶしてくる感触が生だと余計たまりません。
彼女の性器は、ぷりっぷりという表現がよく似合います。
「うぁ」と思わず感嘆のため息を漏らしてしまうほど、やはり彼女の膣はお湯に入れたかのように、僕の陰茎を暖かさで包み込んでくれます。
それが生だとさらに顕著に伝わってきました。
千佳ちゃんも恥ずかしいのか、枕で顔を隠してしまいました。
そして「……出来たら絶対産みますからね」と、どこか呆れるような口調でそう口にします。
「いいよ」と即答しながらゆっくりピストン開始です。
彼女は枕を微かに下げて、目だけを出すと、「……本当に?」とやや不安げな口調と瞳で問いかけてきました。
「うん」
その返事に、彼女はもう一度枕で顔全体を覆うと、その下から「えへへ」とくぐくもった笑い声を上げました。
そしてその枕を「えいっ」と僕の顔に突き出してくると、そのまま両手両脚で僕にしがみついてきました。
「離しませんからね?」と楽しそうに僕の耳元で口にする千佳ちゃん。
「中に出ちゃうよ?」
「知りません」
「いいの?」
「先輩が悪いんです」
完全に身体を密着させて、クスクス笑いながらのセックス。
ただでさえ暑かったのに、お互いの肌で暖め合って汗もびっしょり。
何も身に纏わず、性器すら生のままで、身体を合わせていることに快感というよりは至福の感情で満たされます。
彼女も多分一緒だったと思います。
甘い吐息混じりに、こんな事を口走りました。
「せんぱい……あたし、やっぱりせんぱいが色々初めてです」
「なにが?」
「エッチしてて、赤ちゃん欲しいって思ったの」
「そうなんだ」
「はい……どんだけ気持ち良くなっても……そんなの思わなかったですもん」
「俺より気持ち良かったんだ?」
「もう……またそういう風に話持ってくんだから」
「いや俺の性癖とは別に、普通に気になるじゃん」
「先輩は、平均点って感じです」
「普通?」
「はい。普通に気持ち良いって感じです。優しいし。でも、最高に幸せです」
千佳ちゃんはそう言って微笑むと、より一層下から抱きついてきました。
「……良いですよ。あたしは本当に……」
今までの人生で、あけすけに子供を産んでも良いと言われた事がないので、男としての本能でくらくらっときました。
さらには追い打ちで、耳元に「……ください。先輩の……」なんて囁かれた日にはたまりません。
もう僕としても中出しする気満々なんですが、ちょっと意地悪したくなって、「顔でも良い?」と聞くと、「やん、意地悪だめです」と笑い、「あっ、あっ」と何度か喘ぐと、ふと真面目な顔になり、掠れた声で、「……このまま、お願いします」と口にして、僕の腰に巻き付けた両足にさらに力を込めたようでした。
僕はゆっくりと、彼女の中をいたわるようなピストンをしながらも、頬を撫でて、「ちゃんと責任取るから」とだけ言いました。
彼女は「はい」と頷くと、瞳に涙を溜めます。
最後は「愛してる」とお互い呟きながら、僕が彼女の中で果てると、彼女はつうっと涙を流して、「えへへ。子作りしちゃいましたね」とはにかみました。
ちなみに中出しをしたのは、現時点でこれが最初で最後です。
この後ちゃんと二人で話し合って、しっかり計画的に二人の未来を作ろうと語り合いました。
勿論出来てたらそのまま結婚という約束も兼ねて。
子供みたいな事をしてしまったという慚愧の念はありますが、お互いの本当の愛情を確認しあえて良かったと思える部分もあります。

その数日後の事です。
いつも通り僕の部屋に入り浸っていた千佳ちゃんが、用事で出かけたんですが、携帯を忘れていきました。
以前も書きましたが、千佳ちゃんからは「いつでも携帯チェックしていいですからね」と言われていました。
といっても、そんな事は結局一度もしていなかったのです。
そんな形骸化していた二人の取り決めを、千佳ちゃん自身も忘れていたのかもしれません。
僕は何気にメールチェックをしてしまいました。
別になにか予感があったわけでもありません。
本当にただ暇だったから、つい手に取ってしまっただけなのです。
皆さんは直樹さんという人物を憶えているでしょうか?
前回千佳ちゃんから教えてもらった元セフレの一人で、一番期間も付き合いも深かったと思われる男性です。
↓この人ですね。


名前:直樹さん
年齢:30歳
職業:会社員
外見:爽やかなリーマン
知り合うきっかけ:バイト先
セフレとしての期間:4年
Hの傾向:全体的に技術はダントツ。
会う頻度:週一
千佳ちゃん評:頼れるお兄さん。何度か冗談っぽく告白もされたけど、そんな対象には思えず毎回断っていた。
僕の推察:それでも期間と頻度は随一のメインセフレ。よほど身体だけではなく、友人としての相性も良かったと窺い知れる。彼氏として優越感を抱きながらも超嫉妬。告白はマジだったに違いない。途中で諦めて3Pに持って行ったのだろう


この人と千佳ちゃんが、中出しエッチの後にメールをしていました。
その内容がこれです。
『久しぶり。彼氏とはどう?』
『お久しぶりですね! ラブラブですよ。残念ながら直樹さんの出る幕は無いですね(笑)』
『マジで?(笑) くそー悔しいな。彼氏出来ても絶対浮気しちゃいそうだからって言ってたからチャンスあると思ったのに(笑)』
『なんか、色々なエッチがあるんだなって教わりましたね(笑)すっごい幸せなんです」
『でもちょっとは浮気したいなって無い?』
『あ~どうでしょうね……って嘘嘘。無いですよ(笑)あ、でも正直、直樹さんとのエッチはすっごい憶えてるかも』
『俺たち相性最高だったもんな。また機会あったらしようよ』
『駄目ですよ(笑)でも多分、ずっと忘れられないかも。あ~やだやだ(笑)』
『今度さ、ご飯だけでもいいから会わない?』
『はい嘘発見(笑)駄目ですよ。直樹さんも早く彼女作って下さいね』

色んな意味で嬉しいメール内容でした。
安堵しつつも鬱勃起です。
勿論このメールを問いただしたりもしていません。
千佳ちゃんに浮気の意志が無いことには安心したのは本当です。
しかしやはりどこかで、それを望んでいる自分がいたのもの事実でしょう。

それからさらに数日後の話です。
僕たちはいちゃいちゃと、じゃれ合うようなセックスをしていました。
ただ挿入しながら、冗談を言い合ったり、お互いの身体をくすぐりあったり、時々思い出したように情熱的に唇を交わして、そして腰を打ち付けあいました。
そんな幸せな時間に、一つのノイズが紛れ込みます。
千佳ちゃんの携帯がメールの着信音を鳴らしました。
なんて事はありません。
その送信元が元セフレであったとしてもです。
その時は対面座位で繋がっていました。
抱き合うようなそれではなく、お互い両手を後ろについて自らの背中を支え、腰を突き出し、お互いの結合部を見せつけ合うような体勢でした。
千佳ちゃんは少し困ったように顔をしかめながらも、「すいません。前話してた人です」と正直にそのメールを見せてきました。
『何してるの?』といった他愛の無いメールでした。
千佳ちゃんは非情に申し訳なさそうでしたが、僕はそんな彼女の頭を撫でながら「送り返してあげなよ」と優しく返事を促してあげました。
今繋がっているのは自分だという優越感からくる余裕です。
でも千佳ちゃんは「ん~ん。やだ」と首を横に振ります。
「なんで?」
「今は、先輩だけだから……ていうか、もう着信拒否にした方が良いですか?」
いや別に、そこまでしなくても……と言いかけた時、僕の頭にある閃きが浮かびました。
千佳ちゃんは、直樹さんとのセックスに未練はあったのかも知れませんが、関係はもう本当に断ち切りたいようでした。
正直僕は、直樹さんと千佳ちゃんが浮気セックスをしてくれるのを望んでいましたが、もうそれは叶わないとわかっていたのです。
少なくとも、それを目の前で観たりなんて夢のまた夢だろうなと諦めていました。
だから、僕はどうせならと、別の方向から攻めてみようかと思ったのです。
「いいの?」
着信拒否について、確認を取ります。
「はい。全然大丈夫ですよ」
僕にそう問われた千佳ちゃんは、むしろ嬉しそうに頷きました。
そう言って欲しかったんでしょう。
いじらしい恋人だなぁと、改めて彼女に惚れ直しました。
「じゃあお願い。あ、でも、直接会いにきたりとかはしないかな?」
「それは大丈夫ですよ。今結構遠いところ居ますし、職場もここも知らないですし」
「そっか。それとその人のアドレス教えてもらって良い?」
「はい。どうするんですか?」
「彼氏としてメールするよ。『俺の彼女に手を出すな』って」
僕のその言葉に、千佳ちゃんは両手で口を押さえて、瞳を一瞬で潤わせなました。
同時に膣が、きゅっと締まった気がします。
「……やばい……滅茶苦茶ドキドキしてます……今」
抑えきれないといった様子で、口元をにやにやと緩めながら、自分の携帯では着信拒否にして、そして僕に直樹さんのアドレスを教えてきました。
そして僕がメールの文章を打っている間、彼女は「よいしょ……よいしょ」とゴムを外してきました。
「ちょっと千佳ちゃん」
「だめ。我慢できません」
そう言って千佳ちゃんは生挿入をねだってきました。
僕はバックでゆっくりと千佳ちゃんを犯しながら、手を伸ばしてメールの文章を見せました。
前述したとおり、「俺の彼女に手を出すな」的な文章です。
彼女はバックで突かれながら、それを目にすると「はぅ」と嬉しそうな声を漏らして、また膣をぎゅっと締めてきました。
「あっ、あっ、んっ、せんぱい、格好良すぎです……大好き……大好き……」
僕のピストンを受けて、腰をくねらせながら、暖かい膣をぎゅっぎゅっと断続的に締め付けてきます。
しかし僕は、それを千佳ちゃんに見せると、別の文章で直樹さんにメールを送りました。
件名は『携帯変えました』。
本文『次からはこっちにメールお願いしますね。ちなみにさっきまで彼氏とエッチしてました』。
僕は千佳ちゃんになりすます事にしました。
追加でメール。
『しかも生です。中で出されちゃったかも?(笑)秘密です』
この辺は、寝取られ性癖として何かを期待していたわけではなく、ただ単純に、直樹さんに対して、優越感を抱きたかったんだと思います。
しかしすぐに帰ってきた返事は、僕のその性癖を、一瞬で昂ぶらせてくれる文章でした。
『マジで? 超羨ましい。ていうか千佳中出し好きだよな(笑)俺もまた千佳の中で一杯出したい(笑)』
不意打ちでした。
突然背後から頭を殴られたような感覚。
しかしけして苦痛だけではなく、胸を鷲づかみにされる甘酸っぱい気持ちが沸き上がります。
僕は慌てて、『何回くらいしましたっけ?(笑)』などと返信を送ってました。
冗談だと返して欲しかったんです。
しかし再び返ってきた直樹さんのメールは、さらに僕の陰茎を硬くいきり立てました。
『数えてるわけないじゃん(笑)いつもそうだったんだし。今もピル飲んでるの? ちゃんと避妊しないと駄目だぞ。って俺も説教出来る立場じゃないか(笑)でも昔も、ピル飲んでても生や中出しさせてくれたの俺だけだったんだよな? 特別扱いしてくれてて嬉しかったよ。今さらだけど、俺も千佳が特別な存在だって改めて気付いたな』
僕は思わず、そのまま彼女を後ろから犯しながら、中で果てたい欲求に駆られました。
直樹さんに数え切れないほど、何年間も中出しされた彼女の奥を、自分のものにしたいという本能だったのでしょう。
「このままで良い?」
千佳ちゃんは躊躇無く、「はい。お願いします」と答えてくれました。
それで溜飲が下がった僕は、なんとか外へ出すことが出来ました。
敗北感が詰まった劣情の塊が、彼女の細い背中を白く濁らしていきます。
「…………ケチ」と千佳ちゃんは不満そうに呟いていました。
その後ベッドの中で、「(直樹さんとの事)どうなりました?」と不安そうに聞かれたので、「ばっちりだよ」と答えておきました。
彼女はほっと胸を撫で下ろしていたようです。
縁を切りたいと思いつつも、自らそうするには、情や未練が残っていたのかもしれません。

後日、千佳ちゃんにはピルを飲んでるかどうかを、さりげなく聞きました。
「飲んでませんよ。あ、昔は飲んでました。万が一があったら絶対嫌だったし」と答えてくれました。
そして「えへへ。今はその万が一を、むしろ狙ってますけど」とはにかむ千佳ちゃんは、やはり可愛いです。

直樹さんとの成りすましメールは早々に止めましたが、その成果は十分すぎるほどでした。
その話はまた今度ということで。