予定ではあと一話(+エピローグ)ですが予定は未定です。
最終話ではエピローグに関するアンケートというか選択肢を募集しようかなと思っています。
今度は先着じゃなくて多数決でしょうか。
まだ詳しくは決めていません。


 





 部屋に戻ると明ちゃんは何事も無かったかのように、いつもと何ら変わらぬ頼れる笑顔で僕を出迎えてくれた。
 僕の座席の背もたれに両手を置くとそれを引いて、「ほら、いつもみたいにさっさとやっちゃいなよ」と、もやもやした何かを吹き飛ばすように笑った。僕は黙って頷くと差し出された椅子に腰を下ろす。そっと耳元に明ちゃんの体温が近付くのを感じた。
「交渉条件はこっちが上手くやっといたから気にしないで良いからね」
「……わかった」
 その声からは上っ面だけの意地などではなく、確固たる覚悟と僕への信頼が確かに伝わった。
 彼女がそう言うのであれば何も問い詰めない。
 この場で僕が彼女の為に出来る事は、桐山を麻雀で打ちのめす事だけ。
 その桐山も相変わらずの様子で、まるでホームパーティにでも招かれたかのようにリラックスしきっている。鈴本は勿論田島でさえ勝負の場に漂う特有の緊張感を背負っているのに桐山にはそれがまるで無い。
 桐山が一度明ちゃんに視線を向けると、僕の背後から微かに舌打ちが聞こえた。
 再び文字通り賽が投げられる。
「あんなビギナーズラック二回は続かないよ」
 明ちゃんが僕を鼓舞するように声を掛けてくれる。
「わかってるよ」
 何でも無いように返答するものの、先程の田島と鈴本の言葉が気になる。
 桐山の豪運。
 確かに麻雀は運の割合が非常に強い。運だけで大勝ちを成し遂げてきた人間はいくらでも見てきた。
 ただし運だけでは絶対長続きはしない。知識や経験に裏打ちされた様々な力。観察力。思考力。自制力。それらを兼ね揃えて尚常勝とはいかない。それが麻雀。
 しかし今の僕は何か表現のしようがない気味の悪さを感じている。
 対面で一見清々しい笑顔を浮かべ、小気味好く雑談に興じている桐山から、いまだかつて出会った事の無い種類の重圧を感じていた。
 まるで己が勝者である事に一分の疑いすら持っていない笑顔と声。
 気が付けば背筋を何か冷たいものが伝っていた。
 麻雀中に冷や汗など何年ぶりだろうか。いや、初めてかもしれない。ヤクザの抗争に巻き込まれて拳銃や刃物が転がる和室で代打ちをさせられた時ですら僕は勝負の熱に高揚していた(勿論その件は明ちゃんの与り知らぬところで行われた)。
 相手が例え弱かろうが強敵だろうが、それこそ命の危険を感じるような修羅場でも僕はいつだって熱を感じていた。それが寒々しくてたまらない。その原因は薄々と予感から確信に変わる。
 桐山はこれを勝負だなどと思っていないのだ。とはいえ余興だとか、僕を舐めているとかそういうわけでもないのだろう。
「あ、え~と、自分の番で完成するのはツモって言うんだっけ?」
 捕食。
 こいつにとっては、今までの人生全てがそうだったのかもしれない。
「ねぇ蓮君。これ何ていうの? 確かこんな役あったよね。これは僕も知ってるんだ。全部バラバラで特徴的だしね」
 三巡目で国士無双をあがるのも、こいつにとっては幸運でもなんでもなく、朝食に味噌汁を飲むのと同じくらい当然の出来事のようだった。
「そういえば次で上がれる時はリーチっていうのをした方が良いんだっけ? それじゃあリーチだ」
 息を吸うようにダブルリーチをし、
「ふふ、すいませんね鈴本さん。それです」
 息を吐くようにそれをロンすれば、
「裏ドラ? 何それ。あ、ここ捲れば良いの?」
 太陽が東から昇るが如く自明の理としてドラがいくつも乗る。
「あ、今度は田島さんが点棒無くなっちゃいましたね。なんだかすみませんね僕だけ楽しんじゃって。あはは」
 明ちゃんが屈辱的な交渉の末にもぎ取った二局目は、一局目と同様あっという間に幕が下りた。
 鈴本は苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべ、田島は頬を引きつらせている。
 僕はあくまで無表情を装い、桐山はにこにこと人当たりの良い笑顔を浮かべていた。
 明ちゃんがどんな顔をしているのかはわからない。ただ僕の肩に置かれた両手は微かに震えていたし、いつもは僕を安心させてくれる暖かい手の平は、その優しい温もりを失っているかに思えた。
「さてどうしましょう奥さん。またしてもこんな呆気ない結末を迎えてしまいましたが」
 桐山の言葉に明ちゃんは無言のまま、歯軋りの音だけを袖時雨に響かせた。心なしか彼女の細い指に嵌められた結婚指輪が助けを求めるように瞬いたようにも見えた。
「先程こちらが提示した条件に上乗せする事で再々勝負も検討しますが」
 逡巡している。あの明ちゃんが。即断即決。竹を割った後にヤスリを掛けたような彼女が迷っている。
 彼女が生まれ育った場所。
 僕が救われた場所。
 それでも僕が最優先して守るべきは彼女自身。
 もう諦めよう。
 そう提案しようとした矢先だった。
「……わかりました」
 ピンと張り詰めた糸のような声。しかしそれはけして弱々しくなく、力強く前を向いて茨の上を歩こうとする人間の声だった。
「蓮、ごめんね。今日は一旦お開きって事で。絶対もう一回、勝負の場を用意してあげるから」
 彼女が突き進むというならば、僕はそれに従うのみだ。
 次こそは勝ってみせる。彼女の覚悟を無駄にはしない。

「相変わらずとんでもねぇな桐山の坊ちゃんは」
 交渉とやらを行う為に袖時雨に残ったのは明ちゃんと桐山。
 駅ビルの階段を降りながら田島が薄くなった頭頂部を撫でながら愉快そうに鼻を鳴らす。
 鈴本は忌々しそうに眼鏡の縁を何度も触ったり離したりを繰り返していた。どうやら本気で悔しがっているようだ。
「おっと坊主。まさか俺達が手を組んでるなんて思ってねーだろうな?」
「まさか。それくらいはわかるよ」
「そうかい。まぁ鈴本君の悔しがりようはどう見ても演技じゃねーわな。がっはっは」
「でも一つだけわからない事があるんだけど」
「あ? なんだ?」
「あいつのあの豪運は確かに尋常じゃないね。なのになんであんた達はそれを知ってて挑んでる? 投資家ってのは利益が最優先なんじゃないの? それこそ手を組んだ方が良いに決まってる」
「俺は半分趣味さ。こう見えても金には困らない立場でね。桐山の坊ちゃんがどこまで破綻せずにいられるか見届けたいってわけだ。それに『お零れ』で美味しい思いもたまには出来たりするしな。鈴本君は色々とあったからな。なぁ? がっはっは」
 肩を叩かれた鈴本はそれを払い除けると一人歩調を早めた。
「私はこれで失礼します」
 それだけ言い残して早足で階段を駆け下りていく。その背中が見えなくなると僕は田島に問いを続けた。少しでも情報が欲しい。
「色々って?」
「そりゃあれだ。坊主にはまだわかんねーかもしれねーが、コレだよコレ」
 田島は脂っこい笑みを浮かべると小指を立てた。
「鈴本君の奥さん、一回桐山君に寝取られてんだこれが。鈴本君も超がつくエリートでプライドは富士の頂が如くだからな。何かに勝って見返してやりてーんだろう」
「ふぅん」
 別段興味など無い、といった様子で返す。
「それよりこれから飯でもどうだ? おっちゃんが奢ってやるぞ」
「遠慮しとく。次はまた敵として相見えるわけだし」
「わっはっは。それもそうか。それじゃ坊主またな」
 駅ビルを出ると田島は僕に向かって愛想良く手を振りながら駐車場の方向へ歩いて行った。
「成る程ね。私怨か」
 面白い事を聞いた。
 桐山の馬鹿げたあの上がり方。あれがいつまで続くかはわからないが打てる手は打っておくべきだ。対策は二つ。一つは単純明快。味方を増やすべきだ。しかし田島を仲間に引き入れることは困難に思えた。あの男はけして桐山の味方ではないが敵でもない。どちらかといえばファンに近い感覚らしい。
 ならば狙いは鈴本。
 しかし僕は鈴本の連絡先などを知らない。今から走って追い掛けようにも何処へ向かったのか検討もつかない。
「袖時雨になら何かあるか?」
 僕が彼を勧誘しようとしているのは、桐山や田島は勿論、明ちゃんにも知られてはならない。明ちゃんはそういう手を由とはしないだろうし、仮に認めても彼女は立ち会い人として勝負の場に必要不可欠。策を知っているば必ず表情や仕草に出る。
「電話番号が書かれたメモか何かくらいは探せばどこかにあるはず」
 僕は再び駅ビルに入ると階段を駆け上がった。
 僕が愚かだったのは、あのような現場を見ておいて、明ちゃんと桐山の交渉をイマイチよく理解していなかった事だ。そういった知識や経験に疎い僕は、せいぜい先程のように身体を触られたりする程度の想像しか出来なかった。勿論それだけでも業腹だし、明ちゃんも吐き気を催す嫌悪感に耐えているに違いないと考えていた。
 袖時雨は鍵が掛かっていたが、ポストの裏に緊急用の合い鍵が残っているのを僕は知っている。
 それを使ってこっそりと中に入る。交渉とやらをしているなら、むしろ今が好都合だ。桐山の携帯電話があれば手っ取り早い。
 二人の姿は無かった。また給湯室に居るのだろうか。
 探索をこっそり続ける為にも二人の所在を前以て確認しておくべきだと考え、足音を消して給湯室の扉に近付く。
 一見締まっていたかのように見えたその扉はほんの少しだけ隙間が空いていた。
 中腰の体勢で指一本分程度のスペースに顔を近づける。

 僕はそういう知識を同年代の男子に比べて正確に持っていなかった。
 友達や兄弟も居ないから本やビデオを見たこともない。袖時雨の客が面白半分で僕に話を振ってくる事もあったが実際興味は持てなかった。
 それでも二人が何をしているかは理解できた。
 僕の目に映るのはズボンが足首まで落ちた桐山の後ろ姿。下着も一緒にずり下がっているのか臀部も丸見えだ。
 その奥にはやはりジーンズが地面に落ちている生足が見えた。しかし桐山のそれとは違いとても白く、そして柔らかそうに見えた。実際桐山が腰を打ち付けると、ぱしんぱしんと軽快な音を立てていた。
「んっ……んっ……あっ、ん……」
 聞いた事が無い声。僕の知らない声。辛そうな、切なそうな、それでいて耳をくすぐるような甘く甲高い声。声の主は両手を洗面台の縁を掴んで桐山に腰を突き出していた。
「本当はもっとスマートに口説きたかったんですが。こういうのは僕の流儀じゃないんでね」
 桐山はその腰を両手で掴みながらそう言った。
「……あらそうですか? お似合いですけど」
 その声は僕がよく知る声だった。
「ふふ。そうやって威勢が良いところも好きですよ」
 桐山の腰がより激しく前後する。
「あっ、あっ、やだ……もう少し、あっあっあっ……ゆっくり、で…………やっ、んっ」
「大丈夫ですよ。鍵も締めましたし他の皆さんも帰りました」
「そういう、問題じゃ……あっ、あっ、あっ、あっ」
「案外すんなりと可愛らしい反応を見せてくれるんですね。好きですかこれ?」
「知らっ、ないっ……んっ、はぁ……はっん」
「良いですよね。立ちバック。特に奥さんみたいにスタイルが良い人だと尚更映える」
 腰遣いの流麗さはそのままに、桐山の手が女性の裏腿を撫でた。
「はぁ、はぁ、はぁ……うっ、く」
「奥さんも僕を気に入ってくれたようで何よりです」
「……何を……言って」
「すごく締め付けてきてますよ」
「や……だ」
「もしかして旦那さんとはご無沙汰でしたか?」
「はっ、はっ、はっん……う、うるさい」
「いけませんね。こんな身体を持て余してたら。お子さんもまだでしょ?」
「あっやっ、あっそこ、あっあっあっ!」
「何なら僕のでどうですか? 奥さんさえ良ければいつでもゴムを外しますよ」
「冗談、やめて……あっいっ、いっ、あっ、はぁ、はぁ……おねがい……もう少し、ゆっくり」
「よく聞こえませんね」
「はっ……はっ……ゆっくり、して……お願い」
「よく聞こえない、と言ったのですよ」
 洗面台に置かれた両手が拳を作った。
「……セックス、久しぶりだから……手加減して」
「痛かったでしょうか? 僕のはそれほど大きい方ではありませんけどね」
「冗談でしょ……こんな奥、あっあっ、やっ、だから、奥、やめっ、あっあっあっ……だめっ、だめっ、来ちゃう、からっ」
「旦那さん以外でイクのは嫌ですか?」
「あんっ、あんっ、あんっ」
 大きく喘ぎながら首を微かに縦を振る。しかし桐山は腰を止めない。
「聞こえませんね」
「あっ! あっ! あっ! いやっ、お願い……んっ、んっ、あぁっ! ダメなのっ! 旦那じゃないおちんちんで、イクの、だめ、だからっ!」
 ふふ、と鼻で笑うと腰遣いが緩まる。
「成る程。それじゃあ二つばかり質問に答えて下さい」
「な、何よ……」
「子作りはされてるんですか?」
「……してる、けど……でも、旦那も忙しいし……あっそこ……ぐりぐりしないで……あっ、あっ……それ、あっ、い」
「それは仕方有りませんね。旦那さんも働き盛りでしょうし。それにしてもこの膣の具合なら毎晩でも味わいたいものですけどね。それでは二つ目です。あの蓮君という子。奥さんに好意を向けているのはご存じでした?」
「は、はぁ? 蓮が? そんなの……有り得ない」
「おやおや。気付いてあげてなかったんですか? あの少年は感情を隠すのに長けてるみたいですからね。今度ゆっくり観察してみたら良いですよ。きっと僕のように貴女をこうして抱きたいと思っているに違いありませんから。はは。彼とは趣味が似てるからお友達になれそうだ」
「そんな、はずは……あっ! あっ! あっ! あっ! は、はげし……あっあっ! ちょ、っと、約束が、あんっ! あんっ! あんっ! あんっ!」
「休憩時間は差し上げましたよ」
「あっ、うそっ、イク、イク、あっあっあっあっあっ! だめっ、ガマン出来ないっ、あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! イクっ、イクっ、いっちゃうっ! うぅっ……ごめんっ……イック!!!!」
 一際大きな声を上げるとガクガクと全身、特に腰と膝を激しく痙攣させながら彼女はその場にへたり込んだ。
「ほら。自分だけが気持ち良くなってちゃダメでしょう。そんなんだから子作りも上手くいかないのかも。僕がレクチャーしてあげましょうか?」
「はぁっ……はっ……はっ……はぁ」
「とりあえずこっちを向いて」
 ぐったりと脱力しながらも肩を大きく上下する彼女を半ば無理矢理自分の方へと向き直らせた。
 その際僕にも彼女の顔が見えた。
 それは明ちゃんだが明ちゃんではなかった。
 いつものキリっと凜々しい彼女ではなかった。
 頬を桜色に染め、とろんと瞳を緩ませて、微かに開いた口元からは涎がうっすら垂れていた。
 フックのように前方に突き出した桐山の男性器は薄く緑色の何かに包まれていたが、それを一息に外すと桐山はそれを彼女の口に押し入れた。
 そして先程までそうしていたように腰を振り出したのだ。
「んっ、ぐっ……ふっ、く!」
 明ちゃんの薄い唇が、男性器の出っ張ったところでめくれる度に、ぎゅぽ、ぎゅぽ、と粘り着くような水音が給湯室に響いた。
 直前まで溶けるような表情だった明ちゃんのそれが苦しそうに歪み。
 それを見下ろしながら腰を前後させる桐山は全身が恍惚に包まれているようだった。
「ふふ。とても良い顔をされますね。出しますよ」
「うっ、ぐ……んんん!」
 ぴたりと桐山の動きが止まる。
 同時に明ちゃんが険しく眉間に皺を寄せて顔をどけようとするが、桐山の両手が彼女の頭をがっちりと掴んで離さない。
「……ふぅ。舌先で舐めて下さい」
「んんっ、ぐ……ふぅ、うっ」
「舐めろと言ってるんだ」
「……うぅ」
「そうそう。やれば出来るじゃないですか」
 男の力で押さえ込まれる事に諦めたのか、彼女は首を振る事をやめて目を瞑った。頬の中からはチロチロと何かを舐める音が漏れ聞こえてくる。
「そのまま飲んで」
 明ちゃんは一度うっすらと瞼を開けて、そしてすぐにまた閉じた。ごくりと彼女の喉が鳴った。固く閉じられた双眸からは涙が一滴伝った。
「ははは。いいね声も出さずに泣くの。本当僕好みだ奥さんは」
 満足気にそう言うと桐山もその場に腰を下ろすと、明ちゃんの両爪先を持って左右に開いた。
「さ、このまま二回戦といきましょうか」
「……ま、待って」
「何? いくらタイプとはいえまさか一回くらいでこの不動産の価値があるとでも思ってる?」
「……せめて、ゴムして」
「大丈夫だよ。僕は神か仏かしらないけど寵愛を受けてるからね。今までもバレた事はない」
「やだ、おねが……あっ、うそ、あぁ……」
 明ちゃんの爪先が持ち上げられて腰が上を向くと、そこに密着するように桐山の腰が沈んだ。
「あっ……あっ……いっ、く」
 その光景を最後に僕はゆっくり後ずさりを始めた。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 ドアを開けて鍵を閉めてもその声は聞こえてきた。
「すごっ、あっいっ、こんなの、初めて……おまんこ、イキっぱなしに、なってる……あっ、ん❤ あっ、ん❤ あっあっあ❤」
 転がり落ちるように階段を降りた。
 その間ずっと耳には僕の知らない明ちゃんの声が反響し続けていた。
 止めに入る事が出来なかったのは、その声がけして完全に桐山を拒んでいたとは思えなかったから。
 明ちゃんは桐山に怒りを感じていた。それは確かだった。なのに桐山の全てを拒絶出来ていなかった。
 駅前の雑踏はいつの間にか夕陽に照らされ始めていた。
 誰かが「大丈夫?」と声を掛けてきた。
 いつの間にか僕は涙を流していた。
 袖でそれを拭うと、いつのものように表情を取り繕うとしたが、いつまでたっても頬は引きつったままで、喉もしゃっくりを続けるばかりだったが、それでも僕は歩き出した。