関係無いんですが、身内がバイオハザード7をやっててたまにやらせてくれるんですが、恐すぎで心臓が口から飛び出そうになります。
でもちょっと寝取られを連想させるような場面(ミアがルーカスに連れてかれるところ)もあったのでそこはほっこりしました。
 




 

  前回のカリキュラムを終えてからは、プログラムは週に一回の簡単な面談だけとなった。俺と茜と天城さんによる三者でのみ行われ、そこには安田医師は全く介在せず、当然ながら如何なる肉体的接触も存在しない。
 天城さんが言うには、俺と茜の夫婦関係は性的な面も合わせて非常に良好との判断が下され、ただ一つの問題であった緩慢な倦怠期も解消されたとの事で、刺激的なカリキュラムは一時中断して経過を見る事になったらしい。
「けして慌てる必要はありません」
 天城さんは繰り返しそう言ってくれた。
 そして一月が経った。相変わらず子供は出来ていない。しかし天城さん、というよりは委員会の見立て通り夫婦仲は交際を開始して以来でも指折りなほど好調だった。
「何にやにやしてんの?」
 週末明けの朝は確実に二人とも全裸で迎えるようになった。目が覚めるとシーツのみを身に包んだ茜が眠そうに笑っている。
 この光景は週末だけに留まらない。排卵日などお構いなしでほぼ毎日のように茜を抱くようになった。子作りの為だけでなく、茜を一人の女性として欲するが故の行為。
 確かに茜は客観的に見ても魅力的だ。快活な愛敬と美麗。起伏に富んだエネルギッシュな色気。ただ長い間を共にすればどうしても新鮮さは失う。しかしそれを取り戻した俺にとっては、茜は触れたくて愛でたくて食らいつきたくて仕方の無いイイ女以外の何モノでもなかった。
 そんな俺の中学生のような飽くなき欲求に茜もむしろ応戦する。
 性的な実態調査という建前を被った悪夢のような対症療法は、確かに飢えるような欲情と愛情を沸き起こさせてくれた。一歩間違えれば精神的負荷が暴発しそうなやり方ではあるが、そこは素人目には理解の及ばない細かいケアが行き届いていたのだろう。
 ともかく意識の水面下で緩やかに停滞していた漫然とした家族愛は、青春時代の自意識過剰なほどの性意識に回帰する事により、初めてデートに誘った時のような緊張感すら維持している。
「変な旦那さん」
 強い輝きを放つ宝石のような茜の瞳も、昨夜の激しい交わりの後では少女のような可愛げしか感じ取れない。
 くすくすと笑いながら唇を押しつけてくる姿には、彼女が自分の嫁ではなく恋人だと錯覚してしまう。
 あのカリキュラムを経て俺達の関係は一度リセットされたのだ。それも愛情だけを伴ったまま。
「そういえば今日だっけ。天城さんの家庭訪問」
 ブラジャーを身に着けながらそう尋ねてくる茜の後ろ姿はやはり初めて見たアダルトビデオのように扇情的だ。肩甲骨と背筋が浮き立つ引き締まった背中は染み一つ無く、背後からでも充分伺える胸部の豊かな丸味は思わず手を伸ばしたくなる衝動に駆られる。理性を抑えきれずに背後からその弾力を愉しむ。
「やーだ。もうそんなの触り飽きたでしょ」
 茜はくすぐったそうに笑い飛ばすが、今度はこちらからキスを求めると、すぐに瞳がとろんと妖艶に溶ける。
 ちゅっちゅっ、と音を立てて、砂糖を入れすぎたホットミルクのような甘い朝のキスを続ける。
「ね? 今日だったよね?」
「確かそうだったな」
「大変。じゃあ掃除しとかなきゃ」
「いつも綺麗だろ」
「ただのお客さんなら大丈夫だけど、なんだか天城さんを迎えるってなると完璧にしないとってなる」
「その気持ちはわかる」
 そんな会話を続けながらも唇を押しつけ合う。
 ずっとこのままこんな時間が続けば良いのに。
 後ろ髪を引かれるどころか後頭部を鷲掴みにされるような思いでキスを切り上げると、出勤の支度を調えた。
「それじゃ、一人だけど面談は頼むな」
「あいよ。あ、あとさ」
「ん?」
「今日、あの日だから」
「わかってるって」
 玄関で手を振る茜ともう一度唇を重ねる。爪先立ちをする愛妻の仕草は頬が緩むほどにいじらしい。
 


 忠士を見送り一通り日常的な家事をこなすと茶菓子を買いに出掛けた。昼前には戻り、簡単な昼食を取ると天城さんが尋ねてくる予定の午後二時までにもう一度リビングを掃除しようと腰を上げる。
 今日は初めての家庭訪問。経過観察も兼ねて、どういった日常生活を送っているかの視察との事だった。
「寝室も片付けておいた方が良いかな。多分チェックされるよね」
 ベッドのシーツに張りついた細かい皺や、ゴミ箱に溜まったティッシュが最近の夜の生活を物語っている。改めて客観的に今の自分達を省みると自然と頬が紅潮した。
「中学生じゃないんだからさ」
 激しく乱れた痕を片付けながら、一人照れ隠しの笑みを浮かべる。
 最近の忠士との求め求められる事に熱中する時間を思い起こすと、如何に結婚後アタシ達が良くも悪くも『家族』になってしまっていたかがわかる。今ではアタシは忠士の前ではきっちりと心の底から女になるし、忠士もその逆だろう。互いに異性であることを意識しまくっている。
「これで良し、と」
 ベッドメイキングを終えると丁度チャイムが鳴った。
「はいはーい」
 急ぎ足で玄関に向かう。
 なんてことはない。今更堅苦しい話も無いだろう。ただアタシは単純に天城さんとのティータイムが楽しみだったのだ。
 しかし扉を開けるとそこには予想もしていなかった人の顔があった。
「どうも」
「安田、先生?」
 身長は精々アタシと同じくらい。寂しい頭髪にガマガエルを連想させる顔や体型のフォルム。一ヶ月ぶりでも忘れるわけはない。
「天城が急病の為、代理で伺いました」
「……マジか」
 失望で思わず口に出てしまう。
「上がっても?」
 相変わらずアタシのあからさまなマイナスな感情などモノともしない。誰に対しても、何に対してもこうなのだろう。
「……はぁ」
 アタシも元々ぶっきらぼうなタチなので、そんな安田先生が相手だと気兼ね無くしかめっ面を浮かべられる。
「妊娠はまだのようだね」
「すいませんね」
 天城さんの為に用意をしていたケーキを頬張る安田先生に、下唇を突き出しながらコーヒーを出す。
 ふた口かそこらでショートケーキを平らげると、自分のハンカチで口元を拭ってからまるでケーキの感想を口にするかの如く気安く言った。
「それではプログラムを再開しようか」
「は!?」
「プログラム」
「いや聞こえてるけど」
「じゃあ聞き返さないで。何を驚く事があるのかね」
「今?」
「今」
「ここで?」
「ここで」
「いやいやいや。絶対無理だから」
「身体的にはお二人に不妊の要素は無い。ならセックスの内容やそれに対する心理状態が影響している可能性が疑われる。普段から行為に及ぶ場所も重要視するべきという学説は確立されている」
「そういう事を言ってるんじゃないんだけど」
「そういう話をしに来たんだがね。私は。仕事で。奧さんもそういう真摯な心構えで我々委員会と向き合って貰わねば困るんですがね」
「ぐぬ……」



「最近調子が良いな」
 ここ一ヶ月、上司や同僚から繰り返し受け取る高評価。私生活が充実していればおのずと仕事にも身が入る。それでもやはり早く帰って茜と時間を過ごしたいという気持ちは常に心にあった。
 時計を見ると午後二時過ぎ。天城さんとの面談が始まった頃合いだろうか。
 今回の家庭訪問は少しタイミングが悪かった。
 何しろ今日は排卵日。
 妊娠検査が発達した今日では即日の判明も可能となっている。明日であれば良い報告を天城さんに伝えられる可能性だってあった。
 その事を少し残念に思いながらも、茜との子作りを考えると胯間が苦しくなってくる。座りながらやや前屈みになると、これから行われる会議の資料をもう一度見直し始めた。



「でも質疑応答始めるから」
「……んっ……んっ……」
「ここ一週間の性行為の頻度は?」
「……やっ、あっ……んっ、く」
「奧さん?」
「み、三日前くらいに、生理終わったから……あっ、はぁっ、ん……それから、毎日……」
「それなら妊娠してる可能性もあるのか。今朝チェックした?」
「した、けど……駄目だった……やっだっ! そこっ、あっあっあっ」
 折角綺麗にしたシーツが背中で擦れてしわくちゃになっていくのがわかる。じんわりと浮き上がる汗も吸い込んでいるだろう。
 同じ正常位でも夫とは全く異なる音を立てて軋むベッド。別の人とセックスをしている事を痛感する。
 何より明確な差異はやはり繋がっている男の部分だろう。ゴムは安田先生が持参したものを自ら着用していたが、それでも形状の違いは嫌が応でも身を以て知ってしまっている。
「最近の旦那さんとの行為で絶頂はしてる?」
「し、してる……」
「きちんと良いセックスをすれば妊娠しやすいのは医学的に証明されてるから。この前ノーベル賞も取ってたでしょ?」
「うっさいな……だから、ちゃんと旦那でもイってるって……あっ、あっ、あっ、あっ、だめっ♡ イキそう♡」
「もうちょっと我慢しようか。数をこなせば良いというものではないからね」
「……無理っぽい」
「いつもより声抑えられてるじゃないか」
 いつもより。まるで勝手知ったる我が女のように口振りに腹が立つが、実際彼には女として身体は隅々まで検査を済まされているので反論は出来ない。
「そりゃ、んっ、んっ、こんな場所でしてて、あっ、やっ……ふぅ、ふぅ、んっう……派手に喘げるわけないでしょ」
 相手が違うというだけで、まるで異国のような夫婦の寝室。
「じゃあイクのも我慢出来るね?」
「それは無理っつってんでしょ……先生の、おっきいから、勝手に、きちゃうんだってばっ……あっそんなされたら、来ちゃうってば……あっあっ、来る、来る……ちょっと、強いって、あんっあんっあんっ♡ もうだめ」
 火花が爆ぜる直前に安田先生がピストンを中断する。
 助かったという安堵と、苦痛なほどの渇きが同時に去来する。
 はぁはぁと息を荒げながら全身が汗でびっしょりと濡れている事に気が付く。渋々ながらも全裸になっていて良かった。今アタシの身体を包むモノは結婚指輪だけ。安田先生のだらしない中年の裸体も同様に汗ばんでいる。カーテンを締め切った寝室は薄暗いが、ぴったりとくっついた下腹部で互いの昂ぶり具合は嫌でも伝わる。
「ゴム、外すよ?」
 その言葉にアタシの胸は大きく飛び跳ねた。
 まだ記憶に新しい避妊具無しの彼の男性器の感触は、目の前が眩むほど鼓動を激しくさせた。
「……別に、良いけど」
 彼から目を逸らしながらそう言った。ゆっくりと結合が解かれる時、軽い電流がアタシを襲い、それが麻酔のようにこの場所で生挿入を受け入れる判断の是非を曖昧にする。寝室での行為はともかく生挿入の申し出はカリキュラムの外である事は薄々気付いたが、バターのように溶け始めた身体はそれを欲して仕方が無かった。
「外に出してよね……今日危ない日なんだし」
 安田先生は無言のままゴムを外してゴミ箱に入れると、アタシの踵を両手で持ち上げ、腰だけで膣口に亀頭を押しつけた。
 忠士ごめん。
「はやく……来てよ」
 アタシ、浮気してる。
「あっ♡ すっごい♡」
 プログラムとか関係無しに、この人のおちんちんをハメてもらいたいって思っちゃってる。
「イクっ! イクっ! ああっ、はっ、あああぁっ!!!」
 安田先生の生の亀頭が子宮口とキスをすると同時にビクンと背中が反り返った。
「イィッ♡ ひっ♡ いっいっ、ひっん♡」
 旦那以外の男性を招いた事すら無い寝室で、あろうことか生挿入のみで絶頂してしまった後ろめたさは、アタシの身体を断続的に激しく痙攣させた。
「これまでで一番大きいオーガスムだったね」
 彼の言う通りだった。全身の筋肉が硬直したまま中々解れないほどの絶頂。勝手に浮いた腰が着地するまで酸欠状態が続いた。
「……だって、先生の大きいの、久しぶりだったし」
「旦那さんのじゃ不満だった?」
 ゆっくりと後戯のようなピストンを再開する。過不足の無い天にも昇るような快感。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ…………そういう、わけじゃ……ないけど……あっい、あぁ、いいっ」
 ここ最近の忠士との情熱に溢れた交わりに不満などあろうはずもない。ただ時折、忠士と繋がっている最中に、安田先生の太さを自分の身体が憶えてしまっている事実に辟易としてしまった事は何度かあった。その纏わり付くような不快感は、こうしていざ重なってしまえば驚嘆でしかない。
「別に忠士のが小さいわけじゃないし……先生のがっ、おっきぃだけ、だし……あっあっあっあっあっ♡ やっ、これっ、あんっあんっ、やっぱり、太くて、すごい……♡」
「僕のが気持ち良いんだね?」
「そうは、言ってない」
 口には出せないだけ。
 アタシは結局、夫よりも安田先生の大きい男性器のが気持ち良いと思ってしまっている。身体が忘れられないままでいる。そして自分と繋がり一つになる部分を好むという事は、その大元の人間に対しても、特別な感情を持たざるをえない。それは勃起している間だけ。挿入している間だけ。アタシがよがっている間だけ。しかしその限定された時間に生まれる本能から形成される情念は、倫理観や理性などいとも容易く押し流す。
「でも旦那さんとこんな風に感じるかい?」
「それは、だって……なんだか、不倫みたいだし……」
 興味も無いししたいと思った事も無い。
 それでも夫の与り知らぬところで、他の男に抱かれるスリルは、緊張感と高揚を錯覚させる。不安と期待を混同させる。
 安田先生は無言のまま腰を前後させ、むきだしのカリで膣内を遠慮無く掻き混ぜる。彼とアタシの陰毛は、白濁した愛液で白く染まり始めていた。
「ねぇ……不倫じゃないよね? これ、プログラムの一環だよね?」
 せめて彼にはそうじゃないと答えて欲しかった。しかし安田先生は無言のままアタシの唇を奪うと注送を加速させた。不倫という言葉に反応したのかアタシの中で彼が一際力強く膨脹し硬度も増した。
「んんっ、ふっ……うっ、あっ……んちゅ、くちゅ、ちゅう、っく」
 彼の口内への愛撫を受け入れるばかりか、自らも彼の舌を吸い、歯茎を舐めにいく。両手はいつの間にか彼の首に巻き付いていた。
「先生ってさ、キス、上手だよね……このドスケベ医師め……」
 アタシを突き刺す彼の肉槍は益々雄々しさを増していっている。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 アタシの身体が彼をそうさせている事が妙に自負心をくすぐる。忠士の前では心が女になるが、彼に抱かれると身体が女になる。そして性的高揚は身体と心を直結させる。
「アタシ、多分だめだっ……先生のおちんちん、きっと一生忘れられない……あんなに忠士と心底ラブラブだったのに……先生としちゃうと、しちゃうと…………あっい♡ ああぁっ、いっ♡ あっあっいっいっ♡ そこ、そこっ、すごく、好き♡ 忠士じゃ届かないとこ、あっ♡ 深い♡ 先生じゃないと、ダメなところ♡」
 彼がアタシに出たり入ったりする度に、この部屋では聞いた事が無いようないやらしい音が鳴る。
 グジュッグジュッ。
 ズッポズッポ。
「ああっ♡ ああっ♡ はぁっ、んっ♡ 先生っ、先生っ、もっとして、もっと、めちゃくちゃにしてっ♡」
 鼻の頭同士がぶつかりそうな距離で先生が沈黙を破る。
「今日、書類持ってきてるけど」
 膣壁から子宮口まで丹念にカリと亀頭でぐりぐりと擦りつけるような動きをしながらそう言った。
「しょ、書類?」
「前言ったでしょ。僕の子種で孕む誓約書」
「やっ、だ……あっ、あっ♡」
「説明した通り、奧さんは何も心配要らない。旦那さんにバレる危険性はゼロだ」
「だめ、赤ちゃんは、忠士のっ、んっんっ、おちんちんは先生が一番でも、それは、だめ」
「一番相性の良い男性器と精液で遺伝子を残した方が良い」
「それは、そんな感じが、しちゃうけど……あっあっあっあっあっ♡ ぶっちゃけ、こんだけ気持ち良いと、先生のおちんちんで、妊娠したいって、思っちゃうけど、でも、でも、あっいっ♡ それ好きっ♡ あっい、あぁっひ♡ いっいぃ…………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………ア、アタシ、やばいかも……」
 一旦言葉を句切ると無言で彼と見つめ合う。
 確実に一時的な錯覚だろうが、彼がやけに端整で精悍な男性に見えた。
「……先生のザーメンで、赤ちゃん作りたい」
「書類には後で記名してもらうから。大丈夫。何も心配は要らない。今日の事も旦那さんに知られる事は無い」
 彼の子作り用の肉棒が破裂を予兆させた。合わせてアタシも押し広げられる。アタシが彼の一部になったような感覚。それは幸せでしかなかった。
「アタシも正直に言ったんだから、先生も言ってよ」
「何を?」
「最初から、アタシとしたかったんでしょ?」
 彼は相変わらず仏頂面のまま憮然と口を開いた。
「うん。奧さんに僕の子供を産んでもらいたかった」
 その男らしいストレートな物言いに、アタシの女としての最後の壁が、「ま、いいか」と脆くも崩れ落ちる。
「あーもう…………忠士、ごめんね……ごめん、ごめん、ごめん…………」
 色々諦めがつくと自然と涙が零れた。
 そして安田先生を睨み付ける。
「責任持って孕ませてよねっ! アンタのデカチンポの所為で、大好きな旦那さん居るのに、アンタの赤ちゃんが欲しくなっちゃったんだからっ!」
「もう出そうだ」
「早く出せ馬鹿っ! ハゲっ! さっさとあのこってりザーメンで種付けしろっ! あっ、やだっ、すごい、はげしっ♡ あっあっあっあっあっあっ♡ 先生っ♡ 先生っ♡ はやくきてっ、子作りするときくらい、ちゃんと一緒にイキたいから、アタシもう……イクイクイクっ、イックっ!!!!!」
 真っ白な海に沈む。
 上下左右もわからない。
 力は入らず、自意識さえ曖昧。
 どれだけ漂っただろう。
 ようやく視界が戻る。
 目の前には夫じゃない男の顔。
 ヘソの下にどくどくと熱い何かを注ぎ込まれる感覚は、血管の一本一本、毛穴の一つ一つを多幸感で優しく包んだ。
 霞が掛かった頭の中では未だに本当に愛している男性の名を呼び続けていた。しかし勝手に開いた口からは、「先生の精液、あったかい」と安心感に充ちた声が漏れた。
 まるで今朝忠士と交わしたような甘え合うキスを交わしながら、徐々に肩にのし掛かる後悔と罪の重さを感じた。それでも陽が暮れ始めるまで再び彼を求め、そして求められた。 



次回茜編最終話。