続きました。
 









「ありがとうございました~」
 閉まりかけの自動ドアからコンビニ店員の挨拶が背中に掛かる。
 手に持つ袋の中にはプリンが二つ。それも明希にお金を請求するつもりは全く無い。自分で言うのもなんだがケチの俺が明希に奢りたくて仕方が無い。貢ぎたいといったも良いこの衝動。
 陽気の良い週末の昼下がりは当然のように人で賑わっていた。その間を足早で縫うように通り過ぎて行く。皆一様に楽しそうな表情を浮かべているが、その誰よりも高揚しているのは俺だろう。
 こんな気持ちは生まれて初めてかもしれない。頭の中が明希でいっぱいだ。明希の笑った顔。怒った顔。唇の感触。弾むようなGカップ。それらが大画面のスクリーンで煌びやかに映し出されている。俺はもしかしたら、今初めて恋というものを本当に理解したのかもしれない。俺は明希が好きだ。愛してる。
 いつの間にか早足は駆け足になり、息を切らしながらアパートの階段を駆け上がっていた。動悸は運動不足の所為ではないだろう。少しでも早く明希に会いたい。顔が見たい。声が聞きたい。触れたい。
 ドアノブを回し、靴を脱ぐのも焦れったいほどに気が逸る。
「明希。お前の分のプリンも買ってきてやったぞ! やっぱり俺の奢りだ!」
 勢い良く寝室の扉を開く。
 明希はロボ山の上に跨がっていた。対面座位で密着するよう抱き合い、キスをしながら、腰をねっとりと前後に振っていた。
 俺の声にびくっと肩を震わせ、視線をこちらに向けながらロボ山の舌を吸っていた唇を離すと、「あ、あんがとね」と気恥ずかしそうに引きつった笑みを浮かべた。その間も明希の爆乳はロボ山の胸板でむにゅりと柔らかそうに潰れており、両手は指を絡めて握り合っていた。
 二人の肌は玉粒のような汗が浮かんでおり、部屋の中もむせ返るような熱気で充ちていた。俺が外出している間に、どれほどセックスに熱中していたかが見て取れる。俺は再び激しく勃起した。
「おかえりなさい」
 ロボ山がそう言いながら、静止した明希の代わりに彼女を突き上げる。
「あっ、あっ、あっ」
 途端に甲高い声を上げ、蕩けた表情を隠すように顎を引いて顔を背けた。
「ま、待って……あっやっ、ロボ山、馬鹿、あっあっあっ、ん……ちょっと待ちなって……はぁっあっ、あっあっやだ、あぁ…………こんのっ、待てっつってんでしょ!」
 振り絞ったような荒い口調にも気にせず、ロボ山は明希のしなやかな肢体をゆっさゆっさと上下に揺すり続ける。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」
 なんて愛らしい声なんだろうと、棒立ちのまま呆然と明希に見とれる。
「……あ、あのね、今は、新製品の方のゴム、試してんの……あっ……んっ……んっんっ」
 明希のその説明はどこか言い訳がましかった。あくまで自分は契約を全うしているだけだとアピールしているように見えた。しかしそれは俺に対して罪の意識を抱いているという事。明希のその気持ちが俺の胸を締め付ける。
「このゴム、すっごい薄いの……ロボ山のちんぽの形丸わかりでさ……超うけるっしょ? あっ! あっ! あっ! あっ! だめっ、もっとゆっくり、あんっあんっあんっ!」
 喋る事で何かを誤魔化そうとしているのか、それとも胸の内を明かす事で潔白を証明しようとしているのか。ともかく明希はロボ山の腰つきが小休止に入る度に、なるべく普段通りの調子で喋り続けた。
「ちんぽが、めっちゃ熱いし……んっ、はぁ……あぁっん……あっあっあっ! あぁっ! あっ! カリでおまんこ擦られる感じが、まるで生ハメしてるみたいでさっ、あっ♡ あっ♡ やっ、これマジで、すごいんだってば……あっあっあっあっあっ♡ 本当に、生ちんぽでまんこ擦られてるみたいっ、あっあっ、そこ、だめっ、好き、んっんっ、あっあっ、べ、別にロボ山のちんぽが好きってわけじゃないからね」
 俺に向かってそう弁明しつつも、ロボ山の無遠慮なピストンに背中を反り返りつつ、「あっあっあっあっあっ♡」とあられもない声を上げる。
 明希は口端をうっすら涎で濡らしていた。俺に向けた笑みは一瞬でも気を抜けば焼いたマシュマロのように溶けそうな程危うい。
「……今度からはさ、あたし達もこれ使ってヤろうよ」
「馬鹿野郎。ゴムなんて使うかよ。結婚するんだから速攻で子作りに決まってんだろ」
「それもそっか」
 作った笑みでなく安堵によって頬が自然に綻んだ。
 と同時にピストンが強まる。
 メロンのような乳房を派手に揺らしながら大口を開けて喘ぐ。
「あっあっあっ♡ だめっ、このちんぽっ、響き方半端無いって……おまんこにめっちゃズンズン来るっ♡」
「僕も明希ちゃんの膣の感触、すごくダイレクトに楽しんでるよ。こんな暖かくて柔らかいんだね。フェラの感触も生でしてるみたいだったよ」
「……明希……お前、ロボ山の咥えたのか?」
「だって、それも検査項目だって……」
「きちんと比較出来るように生でもフェラしてもらったよ」
 ロボ山が余計な補足を加える。
 ロボ山の両手が明希の尻をがっちりと掴んだ。スレンダーの割りに肉付きの良い臀部は、まるで美乳のように指を食い込ませた。
「明希ちゃんのフェラ、結構上手だったよ」
 無表情でそう言うと、ベッドが悲鳴を上げるほどに明希を突き上げた。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 明希の両手がしがみつくようにロボ山の首に巻き付いた。
「だめっ、だめっ、ロボ山のちんぽ、二回戦なのにガッチガチに勃起してて、硬ったいしっ、大っきぃんだってばぁっ」
「でも大きい方が好きってさっき……」
「言ってない!」
「言ったよ」
「……言ってないからね毅? あたし、毅ぐらいのが一番……あっ、いっ♡ ひっいっ、いっいぃっ♡ あっひっ、ん」
 グジュグジュと粟立った白濁液が結合部から睾丸へ、睾丸からシーツへと溶岩のように流れ落ちると、ピストンが中断される。
「キスして良い?」
 ロボ山が明希の耳にそっと舌打ちした。内緒話のつもりだろう。確かにうっすらとしか聞こえないが、会話の内容はなんとかギリギリ掴める。
「……毅が居るからダメ」
 明希も限界まで声量を絞っている。
「僕のキス、上手だって言ってくれたじゃん」
「そういう問題じゃない。空気読めってこのポンコツ」
「じゃあ聞いてみてよ」
「やだ、無理、死ね」
「聞いてくれないと無理矢理するよ」
「ゴムの検査なんだし関係なくない?」
「明希ちゃん可愛いから」
「……あたしの事を好きだったのって昔の話だよね?」
「……」
「……ちんぽで返事すんなっての」
 一体どんな返事がなされたのか。どんなコミュニケーションが二人の間に交わされたのか。身体が繋がっている二人だけの世界。明希と生活を共にする我が家で、まるで宇宙で一人きりのような疎外感を味わう。
「……聞くけどね、毅がダメって言ったら諦めなよ? 無理矢理も無しだからね」
 明希が視線をこちらに向ける。
「あの、さ……やっぱりキスはダメだよね?」
「だ、ダメに決まってんだろうが」
 明希がほっとするような表情を浮かべるも束の間、ロボ山が唇を重ねる。そして「料金は上乗せするから」とだけ口にして、明希の唇を吸いながらピストンを再開させる。
「んんっ、んっ、あっんっ、ふぅっく、んっんっ」
 明希は最初こそ首を振る動作を見せたが、横目で俺に止めに入らないのを確認すると、やがてロボ山の舌を受け入れるようになった。両腕は変わらず首に巻き付いている。
 ロボ山が明希の舌を吸いながら、「出すね」と小さく報告すると、明希は視線だけ俺に向けて、「こいつ、射精するんだってさ」と小馬鹿にするように言った。その所作からは俺のオンナであろうとする気概が読み取れる。
 ロボ山に身体を上下され、桃尻をびたんびたんと太股に打ち付け、時折舌先を突きあいながらも明希は態度を変えない。
「あんたさっ、いくら生ハメしてるみたいだからって、ただでさえでかいチンポをザーメンでパンパンにしすぎだっての。二発目だってのにどんだけビュルビュル射精しちゃうつもりなわけ? それとも昔好きだった女のまんこってそんな気持ち良い?」
 ともすれば侮蔑にも聞こえる挑発的な言葉にもロボ山は怯みもせず、真っ直ぐ明希を見つめながら、グチュグチュと結合部を摩擦させつつ言った。
「うん。正直今も好きだよ」
 その瞬間明希の顔色が真っ赤に染まった。その色の所以は驚きが大半だったが、明らかに明希はオンナの顔をした。それがあまりに可憐なものだから、明希に一目惚れをした当時の記憶を鮮明に追体験する。
 ロボ山に抱かれながら、恋心を伝えられ、雌の表情を浮かべた明希はもっとも魅力的だった。
「……こいつって本当にバカじゃないの?」
 明希が上下に揺さぶられながらも、俺に向かって苦笑いを浮かべる。
「……あとで殴る」
「うん。あたしも一緒に…………あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ やばい、これ、射精用のちんぽになってる……♡ あんたさ、いくら片思いしてる女とハメてるからって、ガツガツしすぎだっての……んっや……あんっ、あんっ、あんっ♡」
「好きだよ明希ちゃん」
 唇を押しつけながら再び告白する。
 明希は一瞬俺をちらりと見やった。
 ダメだとわかっている。絶対にダメだとわかっているけど、我慢がならない。そんな表情だった。
 明希は一際強くロボ山の首を抱き、自ら口を開けて再び深く舌を絡めた。
「……早く来てよ……あたしもうとっくに限界なんだけど……ほんっと、なにこの深いカリ……くそウザい……」
「もう出そう」
「わかってるし……精液で亀頭破裂しそうになってんじゃん……んっあっ、あっあっ♡ あっ、きてっ♡ 出してっ、ここまできたら、ちゃんと一緒にイってよねっ……あっあっあっあっあっ♡ イクっ、イクっ、あっ、やばいっ、これ好きっ♡ おっきぃおちんちんでイクの、癖になりそうっ♡ いつもと全然違うっ、あっあっ、イクイクっ、あっ、イック!!!」
 明希の臀部を掴むロボ山の両手の指がより深く食い込む。ロボ山は微かに顔を歪めただけだったが、その柔肉を激しく掴む指先には強い感情が感じられた。
 ロボ山の巨体にしがみつくよう抱きつく明希の姿に燃え盛るような嫉妬心を抱く。ビクビクと小刻みに痙攣したまま結合した下腹部。爆乳がぐにゅりと潰れるほど密着した胸部。そして貪りあうように絡みつく舌と唾液。
 何も知らない人が目にしたら、二人が恋人同士であると誰もが信じて疑わないような熱くも甘い繋がりの余韻。そんな二人だけの世界の中で言葉を交わす。
「気持ち良かった?」
「……ていうかやばい。今あんたのちんぽで全身どろどろに溶けてる感じする」
 舌を舐めあいながらの明希の掠れた声による返事で、俺はジーンズを履いたまま天にも昇る思いで射精に達した。