<持田法律事務所 持田秀樹先生><中島法律事務所 中島克巳先生>

2010年01月15日

<高橋法律事務所 高橋正明先生>

photo_takahashim高橋正明先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1. 弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1. 私の性格によるところが大きいと思います。サラリーマンのように一つのレールの上に収まるタイプではないため、自由に仕事をし、時には日曜日や祭日でも働くというスタイルに憧れました。また検察官や裁判官は上から命じられる職務を遂行しなければなりませんが、弁護士ならば様々な社会問題などにも取り組むことができるため、それが魅力的でした。



Q2. 弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A2.強く印象に残っており、また大変苦労したのは医療過誤の事件です。ある産科の医療機関において、分娩誘発の用具を(添付の使用取扱書)の用法を遵守しなかったために臍帯脱出を惹起し、子供が窒息して植物人間の障害を持って生まれてしまった事件なのですが、当時、自分には分娩の機序(メカ)に関する医療の知識 が全くなかったので医療関係者や静岡の大学教授のところへ足しげく通いました。一審敗訴、東京高裁では、数千万円の和解の勧告がありましたが、依頼者がこれを拒否、結局、高裁、最高裁とも敗訴となってしまいました。裁判所も高度に技術的な論点に弱く、正確な理解を得られなかったことが極めて残念でした。また、原爆投下時、広島の中心地における親族間の不動産の取引に関する争いについて、最高裁の判決を得たのは数年前のことです。

Q3. 弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A3. 裁判官も人の子、裁判での勝敗にはあまりこだわらず、依頼者には申し訳ないが、むしろ負けたときが一番勉強になると自分に戒めています。一審で負けたものを二審で逆転すると当裁判所には正義感(人間性)があるのだと感心しています。

Q4. 弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A4. 脳科学の分野でも言われていることですが、楽しみながら仕事をすることが大切だと思います。もちろん依頼者の身に起こった事件を扱っている以上、不謹慎な態度を取ることは許されませんが、法律理論の構築を知的に楽しむことなどはその一つだと考えています。

Q5. ご依頼者様に対して、特に気をつけていることは何ですか。
A5. 元国連事務総長であるダグ・ハマーショルドが「大衆の救いのために勤勉に働くより、ひとりの人のために全身を捧げる方が気高いのである」という言葉を残しています。そのため、私も目の前の依頼者のためにできうる全ての努力を尽くせるように気をつけています。

Q6. 弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A6. 弁護士の業務としてはあまり関係がないのかもしれないが、自殺者が多いことなど、社会問題には関心を持っています。現在の弱者を切り捨てる動きに対しては、 個人だけでは対抗することができず、国による対処が必要です。自分のブログ(http://blog.livedoor.jp/iyotakaoka/archives/2007-02.html)にも触れていますが、国による対処といっても、 国民のさまざまな価値観を止揚して、国家のあり方の問題として、思想や哲学を踏まえた新しい国造りこそが緊急の課題であると思います。日本の場合、農耕民 族の特質に考慮を払い、対外的には、国家の主権を確立し、国土と国民を守ること、対内的には、日本の文化や伝統を尊重し、社会主義的な観念をも容れて衣食 住に関する勤労及び生存の社会環境を整備し、北欧型の社会保障制度を導入して病気や老後の不安をなくすことに尽きると思います。なかでも土地問題は大きな 問題です。日本は、戦後、土地の暴騰によって多数の国民の住的環境及び社会生活は苦難を強いられ、加えて、アメリカでも低所得者の住居用の土地のバブルが 弾け、今度は、それより数段大きい規模のビジネス用の土地のバブルが弾けるのではないかないかといった懸念が浮上しています。少なくとも、住居用の土地 は、空気や水と同じであって、社会主義的な発想が必要でしょう。そこで私は弁護士としての視点も交えつつ、ブログを書くことを通じて社会問題への発言を行っています。

Q7. 今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A7. インターネット時代の到来により、セミナーの受講や判例の入手などの面で、弁護士業務もかなり専門化や効率化が進みました。しかしながら、微に入り細に入るばかりで法律全体への解釈がなおざりになってきているような気がします。このままでは人間性への対応がなされない、冷徹な司法サービスになってしまうので はないかと危惧しています。

Q8. 先生の今後のビジョンを教えてください。
A8.私 はあくまで目の前のひとりの人に対して全力を尽くすことが弁護士の使命だと感じています。これからもこの思いを胸に、仕事に取り組んでゆきたいと考えてい ます。作家の柴田よしきさんが、新聞のインタービューに、「弁護士は、正義の味方ではなく、人間の味方であるべきです」と答えて、「事件の真相がどうだっ たかという謎解きをするのは、弁護士の仕事じゃないですからね。逆にいえば、本当の犯人が誰かということがわからなくても、自分が関わった人を守り、その立場に立って支えていくことをするのが弁護士」とありますが、核心を突いていると思います。もっとも、人間性と正義感との関係、特に、人間性に裏打ちされ た正義感か正義感に裏打ちされた人間性かについて議論のあるところでしょか。

Q9. ページを見ている方々に対してメッセージをお願い致します。
A9. 弁護士は敷居が高いと言われますが、そのように身構える必要はありません。私はただ法律問題を解決するのではなく、依頼者の自主判断を大切にし、納得できる 結論を導くことこそが、本当の問題解決だと考えています。もっと人間的なサービスとして弁護士のことを捉えてもらえればと思います。

Q10. ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A10. 学習についてならば、法律の基礎である民法の理解を徹底し、それを通じて法律の全体像を獲得することです。そうして得た全体への理解を大切にし、あまり専門 的な内容に拘るのではなく、常に「公平をどうするか」「正義をどうするか」「人間性とは何か」という基本的な問題を自問して学習に励んで下さい。

<取材法学部生からのコメント>
インタビューの間、ギリシア神話、シェイクスピアの作品といった西洋古典をはじめ、小林秀雄や元国連事務総長の言葉などまで話題は多岐に及びました。法律と は多様な人間社会を一律の条文によって扱うという困難な取り組みであるため、先生の話を聞くにつけ、やはり幅広い教養に根ざした背景知識が不可欠だと痛感しました。また「人間中心の法的解決」を掲げる先生ならではの社会問題への洞察も大変興味深く、ともすれば法律の暗記ばかりに固執しがちな学生として、わが身を正すよいきっかけを頂くことができました。

東京大学法学部2年 槙野尚

 



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