<伊藤塾塾長・法学館法律事務所所長 伊藤真先生><関口博法律事務所 関口博先生>

2010年07月14日

<ほくと総合法律事務所 関秀忠先生>

photo_seki関秀忠先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1.中学校の社会の授業で水俣病のグループ研究をしたときに、企業城下町で偏見に苦しんでいる患者さんたちのために、熊本医大の医師と弁護士がタッグを組んで戦っていることを知って、純粋にかっこいいなと思ったことがきっかけです。
その後、早稲田大学法学部に入学(1996年・平成8年)した後、法曹実務家の先生から指導を賜るゼミに入りました。そこで服部明人弁護士から、「弁護士とは何ぞや」というお話を伺い、そのお話と人柄に魅かれ、自分の進む道もそうありたいと強く思いました。



Q2.勉強をする中で工夫したことがあれば教えてください。
A2. 実際に勉強している時間だけをストップウォッチで測り、毎日手帳に記録して反省材料にしました。勉強しなかった日に「0」と記入するのは辛いことですし、食事やトイレで席を立つ時や仮眠の間ストップウォッチをピッと止めることを実践してみると、意外と「実勉強時間」って少ないんだなと実感でき、次の日のモチベーションになります。また、今日の勉強のスケジュールと予定所要時間を書いて、ストップウォッチとにらめっこして時間内にやり遂げることを意識していました。一緒に勉強し刺激を与えてくれた大学の同級生の存在も非常に大きく、今でもかけがえのない仲間であり続けています。

Q3.最初に入所された事務所への就職活動はどのようにされましたか。
A3.自分の身近にいる人が困っているときにすぐに自分で助けられるような事務所に入りたいという思いがあり、一般民事の事務所を中心に回りました。1期上の司法修習生に向けて募集をしていた時期に、就職活動をしたので、当時は珍しがられましたね。
兄弁の先生が公私ともに気持ちを一にしてお付き合いできる人だと感じたこと、ゼミでお世話になった服部先生、今の事務所の先輩でもある中原弁護士と一緒に仕事をできると思って、舟辺・奥平法律事務所に入所しました。

Q4.弁護士駆け出しの頃の思い出の案件についてお聞かせください。
A4.弁護士になって約1ヶ月の頃に、初めて一人で担当した案件です。婚姻関係を壊した不貞行為を働いたということで、依頼者(女性)に対する元妻からの損害賠償請求事件でした。
何かしっくりこないな・・・と思うところがあり、いわば「真ん中」に位置する元夫の家(片道3時間)にアポなしで雪の中突撃訪問してみたのです。すると彼は不在でしたが、彼のご両親が丁寧にお話をしてくださり、壊れているはずの夫婦関係が実はヨリが戻っていて今も元妻の所にいることや、今も指輪をつけていることなど、「元夫婦」の実情を色々教えてくれました。この事実を聞いた相手方からその翌日にすぐに和解を打診され、依頼者と相談の上、事件はあっという間に解決しました。
相手方の弁護士からは、「しかし先生、よくやるねえ」と笑われたものでした。

Q5.現在はどのような案件に取り組まれていますか。
A5.保険業法・保険法に関する業務、事業再生、企業間の訴訟、内部通報窓口対応などを主に取り扱っています。
4年前に保険会社に企業内弁護士として入り2年間勤めさせていただいたことで、取り扱う案件がガラリと変わったように思います。たとえば、「この銀行の保険販売スキームが法規制に抵触しないでしょうか」「この新商品は保険業法に違反しないでしょうか」といった相談を受けることは、5年前には考えられなかったと思いますし、法令改正や業界の動向にも関心が高まったように思います。

Q6.一般消費者保護を目的とする法規制が強まる中、保険業界のコンプライアンス態勢の構築はどのような影響を受けていますか。また、どのような意識をもって弁護士業務に臨んでいますか。
A6. 企業側も、消費者のニーズに応えるビジネスをやっていかなければやっていけない時代になりました。昔のように、「監督当局からやらされるもの」という意識で法令対応をする時代は終わり、顧客からはもちろん、社会から信用される存在となるために、そして、厳しい企業間競争を勝ち抜くために、「すすんでやるもの」という意識をもってコンプライアンスに取り組む時代となっていることは間違いないと思います。
かくいう私も消費者です。企業と消費者が共にWin-Winとなる関係を築いていくために、企業側に携わる個々の弁護士には、意識をもってやるべきことがあると考えています。

Q7.弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A7.依頼者の方からの「ありがとう」のお言葉。そして依頼者の人生の1ページに自分の存在が記されることです。依頼者の方がお亡くなりになる直前に、認知症が進んでしまっているにもかかわらず私の名前を何度も口にされ、感謝の気持ちを述べられた経験は、今でも私の胸に焼きついています。
もう一つは、他の事務所の弁護士と一緒に仕事をやるなかで、信頼関係を築いたときです。同じ専門家である他の弁護士から評価されたときは本当に嬉しく思います。

Q8.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A8.精神的な病に伏してしまった方の弁護です。依頼者が度々自らを傷つける行動に走り社会との壁を作っていってしまう中で、本来法律紛争を解決するべき弁護士が、依頼者の心のケア等に配慮しつつ、一体何ができるのか、何をすべきなのか、どこまで関わることが最も正しいことなのか、弁護士とはどういう存在であるべきかをあらためて考えさせられる印象に残る案件となりました。
また、弁護士である妻の依頼会社の事件相談で、宝石購入をめぐって発生したトラブルの原因分析をするために、同社が営む宝石店で実際に妻との婚約指輪を購入して、トラブルの発生メカニズムを理解すべく真剣にヒアリングし、事件処理に役立てたことがありました。妻とは普段案件を一緒にやることがないので、結婚の思い出とセットになった印象深い案件となりました。

Q9.ご依頼者様と接する際に、特に気をつけていることは何ですか。
A9.端的にいって、大きな声であいさつをすること、そして、事務所から元気にニッコリして帰っていただくことです。企業の方でも個人の方でも、この点は一緒です。

Q10.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A10.いつも笑顔で、明るく元気であること。苦しい中でも楽しむ心を忘れないことです。弁護士に限らない話だと思いますが、元気のない、覇気のない人には、頼みたいものも頼みたくなくなってしまうものだと思いますので。

Q11.ところで、「弁護士サッカーワールドカップ」というものがあるそうですね。
A11.ええ(笑)。フランスの弁護士が主催で、2年に1度開かれる、世界の都市対抗の弁護士サッカー大会「Mundiavocat」です。10日間で7試合、弁護士フットボールプレイヤーが世界から集結します。私は下手の横好きの域を出ませんが、これまでに3回(ハンガリー、スペイン、トルコ大会)参加し、スペイン大会では1000人を超える弁護士サッカープレイヤーの中でBest Goal-Keeperに選出され、トロフィーをいただきました。
ガンバ大阪の元Jリーガー弁護士など、日本にも優秀なサッカープレイヤーが増えてきたとはいえ、世界の壁はやはり分厚いものですが、将来的には、チームとして、是非世界一を勝ち取りたいという夢があります。この記事をご覧の方で興味のある人は是非名乗り出てください。そして「キャプテン翼」の世界を実現させましょう!

Q12.先生の今後のビジョンを教えてください。
A12.事務所の仲間と、プライベートもオフィシャルも一緒に死ぬまで切磋琢磨してわいわいやっていけるような仲間であり続けたいし、そういった真の仲間を増やしていきたいです。また、事務所の弁護士もスタッフも、精神的に満たされ、その結果、スタッフのご家族も含めた周りのみんなが幸せを享受できる事務所であり続けることが目標です。そのために、一日一日、自分の精一杯できることを出し尽くしていきたいと思っています。他方で、時間をこしらえて、目の前にある仕事以外のトピックについても関心を持ち続けていき、一人間としての魅力をより高めていきたいですね。

Q13.弁護士大増員及び今後の弁護士業界の動向についてどのようにお考えですか。
A13.弁護士である妻と私がお互いの取り扱う法分野の話をしたら、重ならないことだらけです。また、私の弁護士の友人も、10人集まれば10人違うことを話すことができます。
今後は、この傾向が益々加速し、弁護士の取り扱う分野がどんどん広がっていくことは間違いないと思います。そのため、今後は、これまでの弁護士の概念に縛られることなく、関心のあることを突き詰めて自分のものにしていく人がより幸せな弁護士人生を送ることができるのではないかと感じています。

Q14.これから法曹を目指す学生にメッセージをお願い致します。
A14.私は、現在の事務所(弁護士法人ほくと総合法律事務所)立ち上げ時の案内状において、北斗の拳のラオウのセリフ「わが生涯に一片の悔いなし」ということのできる弁護士人生を歩みたいという趣旨を込めました。弁護士にとって、仕事の時間は人生の中で相当なウエイトを占めるものだと思いますし、また、弁護士は、普段の暮らしの中で築き上げた人格がモロに出る商売だと思います。
これから法曹を目指す学生の皆さんにも、「この人とだったら素敵なことが成し遂げられる」という気の合う人たちを見つけて、自分のやりたいことをその時々で精一杯やって、悔いのないファイティングな人生を歩んでほしいと思います。

<取材法科大学院生からのコメント>
4月に訪問に伺った森原憲司先生のご紹介で、私にとってのラスト・インタビューをさせて頂きました。関先生から伺うお話には必ず友達や仲間との信頼とチームワークがあり、学生時代には5つのサークルを掛け持ちするほど、サッカーがお好きなことも納得!でした。
印象に残った言葉は、「真に負けるべきときには、勝ってはならないこともある」です。たとえ法律論で勝つことができても、常識や社会通念、当事者の気持ちに沿うかは別問題。心の通った言葉で、その溝に橋を架けるのが弁護士なのではないかと思いました。

早稲田大学法科大学院3年 江上 明子




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