2010年10月20日

<おおかわ法律事務所 大川秀史先生>

おおかわ法律事務所_大川先生大川秀史先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1. 弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1. 物心がついたころ、免田事件・財田川事件・徳島ラジオ商事件等の相次ぐ再審無罪を報道で目にし、弁護士を目指し始めました。しかし弁護士登録後、刑事事件で無罪を争った経験は殆どありません。



Q2. 弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A2. 難民申請中で、複数の疾病も抱えたビルマ人女性が、治療費に事欠き、健康保険にも加入できないために、医師の即時入院指示を断り続けていました。民主化活動にも殆ど参加できないために、難民認定される見込みはかなり低い事件でしたが、同時に、保護の必要性で言えば極めて高い事件でもありました。1年半以上にわたりこれら事情を訴えた結果、思いがけず入管より在留特別許可を受け、滞在ビザと健康保険証を頂くことができました。

Q3. 弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A3. 事件以外の活動で言うと、タイとビルマの国境にある難民居住地域で、ビルマ難民(学生)たちに対し、憲法の講義をしたことです。将来、自分が教えた生徒たちの活動でビルマが民主化につながるかもしれないと考えると、とても新鮮で、感動的でした。

Q4. 弁護士になって一番大変だと感じることは何ですか。
A4. 弁護士登録から12年半が経過していますので、依頼人や同僚との関係、或いは事務所経営といったことは、一通り経験させて戴きました。難民分野に限って言えば、認定数が極めて少なく、認定基準も必ずしも明らかでないことが悩みの種です。各案件とも、審理には2〜3年という長期間が必要で、大半は不認定。待っているのは、入管への収容や強制送還、収容中の各種トラブル、家族の離散。入管の担当者の方も、外交や雇用問題など考えるべき事柄が多いのでしょうが、弁護士の側も、依頼人や家族に申し訳なく思うことが少なくありません。

Q5. 休日はどのようにお過ごしですか。
A5. 難民関係のイベントに参加することが多いです。ビルマの旧正月「ダジャン」やアフリカ映画祭、グローバルフェスタなど。そのような場でも、法律問題を抱えた方々から相談を受けることがあります。

Q6. 弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A6. 裁判所や入管は、民主化団体のトップの立場にある人や、名の通った活動家につき、「迫害のおそれ」ありとして、難民認定する傾向があります。多くの難民申請者達の声を聞くうち、「組織の末端にいる人と、トップに立つ人とを、平等に扱うことこそ『民主主義』である」との想いを強くしました。

Q7. ご依頼者様に対して、特に気をつけていることは何ですか。
A7. 出身国によって、或いは同じ国の中でも、それぞれ民族や宗教が異なります。それぞれの人にとって真理・常識があり、いずれの立場も平等だと考える必要があるようです。また置かれている状況はそれぞれでも、お互いに対等な「大人」であり、ビザ取得のための支援はしつつも、最終的には、自らの国のことは自らで決すべき、と考えます。

Q8. 弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A8. 過労死や首都圏建設アスベスト等の労災事件にも携わっています。NGO「ヒューマンライツ・ナウ」の事務局も務めており、現在の一番の関心事は、多くの弁護士達が海外でも人権活動を行えるようにすることです。

Q9. 今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A9. 多くの弁護士が述べられていることと思いますが、人口増によって各分野に弁護士が浸透していく一方、統一性は弱まるかもしれません。依頼人側からの、細かい知識や迅速性への要求も高まると思います。在日外国人弁護で申し上げれば、弁護士の数が決定的に不足しており、今後、弁護士人口増加に伴って、新しい弁護士達が参入して戴ければと思います。

Q10. 先生の今後のビジョンを教えてください。
A10. 弁護士会での役目が増えてきています。まず、若手や地方の弁護士に情報・人脈・機会を提供して各分野への弁護士の浸透を図ることと、次に弁護士が人権領域の業務で海外に長期赴任できる体制を整えていくこと、の2点を課題にしています。

Q11. ページを見ている方々に対してメッセージをお願い致します。
A11. 日本にも庇護を求めている難民申請者が滞在しているので、宜しければ是非、ご支援をお願いしたいと思います。例えば難民支援協会では、企業から食品や日用品、アパートのオーナーから空室の提供を受け、難民申請者達に提供しています。

Q12. ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A12. 法曹関係者に対する市民の要求が高くなってきています。一昔前までの弁護士像のままでは、もはや対応できない状況です。自ら、弁護士を必要としている人々を見つけ、開拓していく必要があります。また、昔から言われていることですが、依頼者は法律知識だけでは満足されないため、経済や人間関係などの面からの助言も出来るよう、司法試験合格後も引き続き、研鑽を積む必要がありそうです。

<取材法学部生のコメント>
 大川先生は、弁護士の先生でも取り組み方の少ない難民問題に深く携わっている先生でした。事務所内にも、色鮮やかな民族工芸品などが飾られておりました。どこか自分とは離れた遠い問題だと考えていた難民の問題が実はこの日本でも多くあるのだということを、このインタビューで知り、改めて考えさせられました。

法政大学法学部2年 阿部 恵理佳

 



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