2011年05月23日

<田中広太郎 先生>

photo_tanaka (2)田中広太郎先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1. 私は高校卒業後すぐ大学へ進学できず、しばらく貧乏な自活生活をしていました。建設現場などでも働いていましたが、新聞配達をやっていたときに「人生このままではまずいな」と思い、独学で外国語を勉強し、通訳の仕事を始めてお金をためました。その資金で大学に行きたいと思ったのですが、その際「どうせなら日本で一番難しいと言われている司法試験に挑戦したい」と思ったのがきっかけですね。ただ、高卒の単なる肉体労働者の自分にとっては、司法試験受験は雲をつかむような話でしたので、その時点で受験できる一番偏差値の高い大学を試しに受けてみて、合格したら司法試験を受験しようと考えました。これを思い立ったのは、ある年の年末のことで、センター試験がすでに終わっていましたので、その時に願書が出せる一番偏差値の高い大学だった慶應大学法学部を受験し、運よく合格したので司法試験も真剣に目指しました。



Q2.どのような学生時代を過ごされましたか。
A2. 通訳のバイトでためたお金で良く遊びました。仲の良いグループ7、8人で一緒に住んだり、みんなで試しにヘリコプターをチャーターしたりもしました。ですが、司法試験を受けるために大学入学したということもあり、初日からダブルスクールもしていました。まさにたくさん勉強して、たくさん遊んだ学生時代でしたね。大学4年生のときは国会議員の秘書もやっていました。


Q3.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えて下さい。
A3.何も悪いことをしていないのに窃盗罪で誤認逮捕されたペルー人の事件ですね。その人の無実を証明し、県警幹部に正式に謝罪させた事件であり、とても印象に残っています。一弁護士にとって、無罪を勝ち取り、捜査機関に謝罪させることは一生に一度あるかないかの経験です。その時、私は弁護士1年目だったので、解決がとても不可能な、まさに山のような事件だと思ったのですが、周りの経験ある弁護士やマスコミが見えないところでとても助けてくれて、当事者も驚くほど順調に解決しました。この事件で刑事弁護の新人賞を受賞しました。


Q4.弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A4. 英語とスペイン語が使えるので、日本に住んでいる外国人のための一般民事や交通事故などの分野を新しく切り開きたいと思っています。今までは、外国語を使う弁護士というと、渉外事務所勤務か又はビザや刑事弁護等を扱う弁護士と、両極端でした。日本はこれから、国として観光産業や外国人労働力に頼らざるを得なくなります。ですので、一般民事の分野で外国人に法的サポートが必要になってくると思います。


Q5.弁護士のお仕事をしていて一番やりがいを感じるのはどんなときですか。
A5.人生最大の困難に直面して困り果てている人に自分が関わった時、「救われた」と言っていただけることがあり、そういうときには本当に心底やりがいを感じます。また、自分が弁護士として介入することで、依頼者だけではなく関係者全員に良い結果が生じる場合もあります。例えば、外国人の交通事故事件では、外国人の依頼者は正当な額の損害賠償金を受け取り、保険会社も外国語が分からず長く未解決となっていた事件が解決し、依頼者も保険会社の担当者も双方がとても喜んでくれるという場合が多くあり、こういう場合はとても嬉しいですね。


Q6. 弁護士に求められるのはどのような能力でしょうか。
A6.限られた時間・環境の中でとにかく結果をだすという能力ですね。いくらでも時間がある中で書面を書いても良いよ、ということはあり得ません。また、弁護士に事務処理能力は絶対に必要ですが、同時にバランス感覚も大切です。弁護士というのは人生最大の問題に直面している状況の人たちの中に入っていく職業なので、依頼者に共感しすぎて感情的になりすぎる危険もあるということです。あとは、そうは言ってもやはり、とにかく人に優しいこと、謙虚であること、誠実であることも大切だと、個人的には思っています。


Q7. 休日はどのようにお過ごしですか。
A7.外国人と遊んでいます。西洋やラテンアメリカ系の人と遊ぶことが多いですね。


Q8.今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A8.人数多すぎてお先真っ暗です。よく「外国に比べて日本の弁護士は少ない」と言われることがありますが、私は、それは違うと思います。海外では、弁理士、司法書士、行政書士、海事代理士、社会保険労務士などの職域の分離がなく、法律関係者をすべてひっくるめて弁護士と呼んでいる場合が多く、それを考慮せずに「弁護士」の数だけを比べるのは間違いだと思っています。


Q9.先生の今後のビジョンを教えてください。
A9・国内でいえば、外国人の一般民事を扱う事務所を作れたら良いなと思います。日本国内ではスペイン語、ポルトガル語、中国語、タガログ語話者が一定程度いますので、それら各言語に対応する事務所が1つくらいあっても良いのではないかと思っています。また、海外展開でいえば、サッカーや野球などのスポーツ選手の移籍に関わっていけたらと思っています。最近は日本サッカーの技術も上がっているので、スペインや中南米に移籍したい選手がいればぜひお手伝いしたいと思っています。


Q10.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A10.弁護士というのは疑いの余地なく最もやりがいのある仕事の一つだと思います。弁護士という職業の唯一かつ最大の欠点は「なるのが難しいこと」です。なので、理想を持ちつつも、現実的かつ的確な勉強をしなければなりません。いざ弁護士になると、これはこれでつらいことや、大変なこともたくさんありますが、そのような困難に直面した時に、「これは、若いころにあれだけなりたいと思っていた弁護士の仕事じゃないか」と思うと、頑張れたりします。一生に一度あるかないかの大きな事件に直面し、パニックになることもあります。ですが、そのような人の一生を左右する仕事をするからこそ、受験勉強の苦労を経験し、それを乗り越えておく必要があるのだと思います。だから、勉強頑張ってください。



<取材法学部生からのコメント>
 佐藤・村松法律事務所の田中広太郎先生にインタビューをさせて頂きました。田中先生は英語とスペイン語を独学でマスターした方であり、法廷通訳のご経験もおありです。ペルー人の冤罪の事件では、新人ながら大活躍、と新聞にも載るほどのご活躍です。今回は、インタビューも快く受けて下さり、とても楽しく進めることができました。また、新たな分野を確立したいとおっしゃる先生はとてもパワフルな印象を受けました。最後になりましたが、田中先生、お忙しい中ありがとうございました。


上智大学法学部国際関係法学科3年 下川恵里奈





bengoshiretsuden at 11:00│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。