2011年07月06日

<さくら共同法律事務所 西村國彦先生>

photo_nishimura西村國彦先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1. 弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1.まず一つに、先輩である河合弘之弁護士が、中学高校大学の卓球部先輩であり、その影響が大きくありました。また、自分にはつきあいベタ、非社交的な部分がありサラリーマンなど雇われることに向いていないと考えていました。そんな時弁護士という仕事は比較的自由業に思え−実際は弁護士も社交的な仕事でしたが−自分に向いていると思ったことがきっかけです。



Q2.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A2.法的権利が確立していなかった、ゴルフ場会員をめぐる諸事件が印象に残っています。彼らには法的な保護がされず、預かり金をまきあげられ、さらに追加金を支払わなければそこでプレーをする権利もなくなるなど、経営者の食い物にされている実状がありました。
そうした中、例えば、私がそうしたゴルフ場関係の案件を扱っていくきっかけとなった東相模のゴルフ場の案件では、会員の方々に団結して、その問題に対する抗議を行うよう勧め、その抗議活動は
彼らの内の数百人によるデモがNHKの全国ネットで放映されるまでの活動にまで発展し、大きな反響を呼びました。この映像は、その後全国の大手金融機関に対しゴルフ場競売をさせない原動力となり、その結果破産競売の状態にあったゴルフ場の会員の権利は守られ、事実上会員としてプレーが可能な状態のまま最終的解決を迎えることができました。
また、岐阜美山のゴルフ場の案件では、地元弁護士には当ゴルフ場は倒産するべきと言われていた状態でした。しかし、そこで会員の代表者によって会員の団体が作られ中間法人として登記、これにより会員の総意によって物事が決定できる状態が組織されました。これまでは手をこまねいていれば、裁判所という墓場に葬られかねないのが通常でしたので、これまでの流れを変える一つの試みとして注目に値し、事実この案件は結果として自主的再建を勝ち取りました。
さらに成田・南総のゴルフ場の案件では、アメリカの投資銀行であるゴールドマン・サックスと経営権を争いました。この案件では経営権がゴールドマン・サックスに移されることによって、それまでの会員の権利が害される可能性がありました。そこでここでも会員による団体を組織し、権利を争うこととなりました。結果として、成田の案件では負けてしまいましたが、南総の案件では勝つことができました。
これらの案件はいずれもそれぞれの会員の方々からとても感謝を頂け、とても印象に残っています。

Q3.弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A3.上記の案件で会員の方々のプレー権を実質的に確保でき、成果を出せたことです。

Q4.弁護士になって一番大変だと感じることは何ですか。
A4.弁護士という仕事は事実を聞き取り事実を探求する仕事です。そこで書類に目を通し、人の話を聞くことが必要になってきます。しかし、年を重ねるごとにカンはよくなり、短時間で話を理解することができますが、一方で丁寧に聞き取りをすることが出来なくなってきます。そういう部分で若い弁護士の助けが必要になってきました。

Q5. 休日はどのようにお過ごしですか。
A5.基本的にゴルフシーズンはゴルフ優先です(西村先生は数々の大会で実績を残され、また多くのゴルフに関する著作をお書きになられています。(http://www.sakuralaw.gr.jp/topics/topics_110602.htm))また最近では知り合いの方と地域ボランティアとして活動をしたり、ジムに行って体を鍛えたりしています。

Q6.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A6.昔は「法的にこうだからだめです。」とそれだけでお金を取る弁護士もいました。しかし弁護士活動は医者などと同様に、企業の「命」を扱う仕事です。そうである以上、すぐあきらめることなく、常識があろうともそれを疑い、戦えるだけ戦っていこうと心がけています。また問題に対して、最初から偏見を持たず中立の立場から仕事を始めていくということは気をつけています。
そして最後に自分の座標軸を持つことを心がけています。法律家の仕事は基本的に相対主義的発想でなされやすいですが、それでもやはり自分の中で良いこと、悪いことという確立した信念を持ち、それに従って仕事をしていっています。
その意味で、私の先輩で同じ事務所の河合弘之弁護士が、時代の流れに抗して、10年間近く浜岡原発差止訴訟を弁護団長として戦ってきたこと(http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20110530.html)も、評価しています。彼とは性格や仕事のやり方はまったく似てないのですが、もう50年以上のつきあいになります。事務所の他の弁護士からは、「運動部的体質」「肉体派」などといわれてしまうのですが、二人とも問題意識を持つ分野については、掘り下げて勉強するのですよ。

Q7. ご依頼者様に対して、特に気をつけていることは何ですか。
A7.表面上の発言の裏に潜む本音の部分を理解して、正当な権利は徹底的に擁護するということです。ご依頼者様と話し合いの中での表面上の回答をうのみにするのでなく、本当の気持ちや事実を読み取り、同時に弁護士の側も正確な情報をご依頼者様に開示する。そうしてご依頼者様と一体化するということを気をつけています。

Q8. 先生が今現在、特に関心のある分野は何ですか。
A8.生成途上の権利、つまりまだ法的に充分保護されていない権利を擁護することです。私のこれまで行ってきたゴルフ場の会員の方々の問題もその一つで、時代の流れや抗議活動とともに銀行側の対応も徐々に変わってきているように感じます。特に現在、リーマンショック、3.11以降パラダイム転換期であり、あらゆる常識を見直す必要性のある法的諸問題が存在します。そうした問題に特に関心を持っています。

Q9. 今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A9. 医師歯科医師だけでなく、弁護士を含むあらゆるサムライ業に大変革が起きつつあります。サービス業化、過当競争、大競争時代、なんでもありの時代になっています。少なくともこれまでのように敷居の高い所に座って依頼者が来るというものではなくなっています。そこで弁護士もネットなどを利用し、情報提供やアピールなど工夫をしていく必要に迫られています。
しかし、そのような時代の中でもいいものはやはりいいわけであり、求められていきます。そして自分にしかできないこと(他にまねのできない専門分野)に競争力があることも確かです。したがって、弁護士のプロとしてそのような専門性を磨いていくことが重要になるのだと考えています。またもちろん、その前提として事務所の機動性・スピード感・組織力・団結力も重要です。

Q10.ページを見ている方々に対してのメッセージをお願いします。
A10.弁護士の数が増え、これからは弁護士を選べる時代です。弁護士の方でも得意分野をアピールしていくでしょうし、そのアピールが実体をともなったものかどうかを、複数のチャンネルからチェックできればいいですね。

Q11.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A11.リーマンショックと3.11以降、弁護士の過当競争が起きています。それは弁護士の疲弊をもたらす部分もありますが、逆に専門性と熱意を持つ弁護士には、活躍の場、チャンスが広く確保されている時代でもあります。努力次第で可能性は広がるため、とてもおもしろい時代ですよ。



<取材学生からのコメント>
西村先生は弁護士でおられながら、ゴルフ界に非常に精通されていて、数々のプレイヤーとしての実績、ゴルフ関係の著作をお持ちです。その関係から、日本のゴルフ場関係の訴訟の第一人者であり、たくさんの案件を扱われてきました。そのような本当に幅の広い活躍をされている先生のお話は、エネルギーに溢れ説得力を感じました。今の弁護士業界は就職難などが騒がれていますが、同時に先生のおっしゃるように、様々な形、様々な分野を扱う弁護士が生まれ、可能性は無限に広がっている時代であると感じます。ゴルフ場の訴訟という他に見ない専門性をお持ちの先生がそれを体現されています。そのような先生とお話する機会を頂き、私もとても感銘を受け、改めて弁護士という仕事の魅力を感じることができました。
西村先生、今回はお忙しい中インタビューにご協力いただき本当にありがとうございました。

早稲田大学法学部2年 佐々木隼





bengoshiretsuden at 12:00│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。