2011年07月07日

<さくら共同法律事務所 松井清隆先生>

松井清隆先生にインタビューをさせて頂きました。photo_matsui

Q1.先生が弁護士を目指されたごきっかけを教えてください。
A1.極めてシンプルです。両親が弁護士だからです。ある意味洗脳されたんでしょうね。弁護士としてのやりがいといったものを常に聞かされていました。私が学生だった80年代後半は、どの企業も24時間働けるような社員を求めていた時代でしたが、弁護士は割とリラックスして仕事が出来るということも言われていました。また、定年がないということも魅力でしたね。祖父も弁護士でしたが、70代までずっと現役で、死ぬ時は自宅兼事務所で寝たまま老衰で亡くなったんです。とても幸せな死に方だと思いました。このような環境下で育った影響もあり、資格を持つ重要性を認識していましたので、法学部に入学した以上、弁護士を目指そうと思いました。



Q2.学生時代はどのように過ごされましたか。
A2.高校時代は帰宅部だったので、体育会系に入ろうと決めていました。ただ、部活一辺倒だと勉強がろくにできないので、ある程度オフのある部を探したところ、少林寺拳法部を見つけました。そこに3年間所属して、週5日、汗を流し、体と心を鍛えました。それと同時に法律の勉強もしなくてはならなかったのですが、私は予備校が嫌いだったので、基本書や大学の授業中心の勉強をしていました。4年になって司法試験の短答式を初めて受けて、結局、落ちました。非常に悔しかったし、ゼミの先生からも「情けない。」と切り捨てられたので、一念発起して司法試験の勉強に没頭しました。そのとき、商法の教授から「司法試験なんて受験マシーンになれば簡単に受かる。司法試験に出そうな論点をA4一枚に纏める作業を毎日10点ずつやれば絶対受かる。」とのアドバイスを受け、4年の夏からその言葉通り必死で実行しました。それから嫌いだった予備校にも行き、そこで答練や模試を利用して、翌年、合格することが出来ました。

Q3.試験勉強が実務で役立った経験はありますか。
A3.まずは、最低限持つべき基本的な知識を修得できたことですね。ただ、それよりももっと重要だったのが、物の見方や考え方ですね。解決すべき問題が生じたときに、その問題に関して本当に重要なポイントは何かという観点から、その論点を把握し、それに対して自分の結論を出すということ、結論に対する理由を述べること、という一連の論理的な思考能力を修得したことだと思っています。
 
Q4.弁護士のお仕事の中で嬉しいと感じることは何ですか。
A4.自分の経験や持っている能力・知識を最大限に発揮して成果を上げたときです。自分にストレスをかけながら仕事を進め、そのプロセスが実を結び、成果を上げて、依頼者から感謝されれば、二重に嬉しいですね。訴訟案件だけでなく、交渉案件でも成果を上げて、依頼者の正当な利益を実現したときは最高に嬉しいです。

Q5.弁護士のお仕事の中で大変だと感じることは何ですか。
A5.難しい訴訟案件では、これは負けるかもしれないということを常に考え、自分自身が重荷を背負う必要があることや、最高のパフォーマンスを発揮しても、成果を上げることができなかったときは辛いですね。あとは、依頼者にも合う・合わないというのがあり、残念ながら、良好な関係を維持できない場合には精神的に辛いですね。

Q6.先生のご専門分野について教えて下さい。
A6.私は事業再生を専門にやっています。おそらく事業再生を専門にしている弁護士は日本でも数十人程度ではないでしょうか。事業再生には、色々なアプローチがあります。例えば裁判所のご厄介になる会社更生や民事再生は、通常、取引先の債権をカットするし、債務の支払いを止めます。債権者平等の原則を徹底するため、弁済禁止の保全処分が発令され、お世話になった取引先に対して、裁判所からそういう命令を受けたから払えません、と言わざるを得ないんです。本来ビジネスの展開には協力を得ることが不可欠な取引先に対して多大なご迷惑をおかけするという手続きなんですよ。ビジネスを殺すリスクがあるんです。一方、中小企業再生支援協議会などの公的機関に調整役を担ってもらい、取引先に対しては何らご迷惑をお掛けせず、金融機関を説得して、有利子負債を削減することによって事業を再建する「私的整理」というアプローチもあります。ポイントは、会社が破産すると債権を全く回収できないが、「私的整理」ではある程度回収できるという経済合理性を追求していく点にあります。

Q7.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A7.自分に勝つことです。弱い自分にどう勝つかだと思っています。弁護士の仕事は、非常に地道で愚直なものです。人から話を丹念に聞いて、参考文献や判例を探し、アウトプットを作成して、相手側を説得する、更に説得するため、このプロセスを繰り返す、これは非常に地道で面倒な作業なんですね。、愚直さが肝心です。成果を上げた時のことを思い浮かべながら具体的に成功イメージを持って日々頑張るしかないですね。
 
Q8.休日はどのようにお過ごしですか。
A8.英語を勉強しています。この先、ロースクールへ行って英語力を磨き、英語でディスカッションやネゴシエーションできる弁護士になりたいですね。

Q9.先生の今後のビジョンを教えて下さい。
A9.渉外関係に関して言えば、ロースクールへ行って、できればニューヨーク州弁護士の資格を取って、今ホットな上海や台湾を含むアジアで対等に渡り合えるインターナショナルロイヤーになりたいというのが一つ。それから、専門の事業再生について、よりパワーアップしたいですね。会計、税務、ビジネスなどの知識も当然必要になってくるので、そういったものを身につけていきたいです。あとは、訴訟案件に関して、弁護士の力で結果が決まる、複雑で難しい案件を引き続きやって、成果を上げていきたいですね。

Q10.法曹を目指す学生に向けたメッセージをお願いします。
A10今後日本はますます豊かじゃない社会になっていきます。リスキーな社会の中で生き残っていくためには、自分や、自分の属する組織、そして社会を強くしていかなければならないと思います。その第一歩は間違いなく自分を強くしていくことです。ですから、自分をいかにスマートで、魅力的な人間に変革していくのかという努力をしていって欲しいですね。というか、私と一緒に自分を強くしていきましょう。

<取材法学部生からのコメント>
先生が弁護士になられたきっかけ、すなわち御両親・御祖父様の弁護士に対する職業観といったものからは、様々な職種の人と共に、指揮命令系統も無く仕事が出来る自由業としての弁護士業務のやりがいや楽しさを感じることができ、お話を間接的に伺っている身からもとても魅力的なものに感じました。先生のご専門である事業再生については、例を上げてくださりながら詳しくお話して頂けましたが、非常に繊細で難しい仕事であるという印象を受けるとともに、弁護士という職人が企業を再生させているんだと実感することができ、弁護士と企業の関係において新たなイメージを持つこともでき、非常に勉強になりました。
略儀ながら、本文をもちまして松井先生に感謝の意を表し、コメントの結びとさせていただきます。

早稲田大学法学部2年 庄司颯平



bengoshiretsuden at 11:00│Comments(0)TrackBack(0)

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