<うえまち法律事務所 早川光俊先生><岩手銀河法律事務所 加藤文朗先生>

2011年09月14日

<東京法律事務所 永盛敦郎先生>

永盛敦郎先生にインタビューをさせていただきました。photo_nagamori (1)


Q1.先生が弁護士を目指されたごきっかけを教えてください。
A1. 大学では学問をしようと思い、法学部に進学しましたが、最初の1・2年はあまり好きではありませんでした。なぜなら、学問といえば典型的にいえば科学ですが、心理を探求するというイメージを持っていたので、法律学が利益考量に帰結してしまうことに対して、違和感を隠せなかったからです。しかし2 年生の後半に、弁護士のなかには権力や財力に無縁な人に対しても身を粉にして働く人がいるという話を友人から聞き、そんなかっこいい仕事があるなら私も目指したいと思いました。結局、法律は道具であって、誰のために使うかということが大事であるということが分かり、これがモチベーションとなって弁護士なることが出来ました。



Q2.弁護士のお仕事の中で特に印象に残っているご案件を教えてください。
A2. 私のなかでは財産になったともいえる事件もありましたが、私にとって一番印象になっているのは日弁連の刑法鉤括弧付き改正阻止運動にかかわったことですね。
1974年に法務省が改正刑法草案によって刑法改正を目指したのですが、日弁連はこれに対し、処罰の拡大や重罰化などの人権侵害の危険性が大きいとして反対したというものです。私は1970年に弁護士になったのですが、1980年からはこの委員会の事務局長として活動しました。これによって法務省の人と意見交換会に弁護士会側からの10人として参加したのですが、議論を戦わせた末に、対立することではなく、一致点を拡大することでこれを阻止することが出来たというのが印象的です。
また、財団法人法律扶助協会の専務理事として、日本の遅れている法律扶助制度の導入に参加し、民事法律扶助法を2000年に成立させることができ、さらに運営主体としての強化のため、法テラスを設置させることに繋がったのが印象的です。

Q3.弁護士のお仕事の中でうれしかったことは何ですか。
A3.最初は自分のことだけを考えていた依頼者が、その事件を進める中で、相手の立場にも理解を示し、御礼を言ってもらえたときですね。弁護士という職業は、依頼者に寄り添いながらも、依頼者と相手方の思いの中で妥当な解決を導くというものです。また、1つの事件において、どちらかが一方的に悪いというのは少ないです。事件を進める中で、依頼者自身がこのことに気付くということがとても大事であると思いますし、依頼者自身が成長することが、より良い方向での解決も見えてきます。大変ですが、これが弁護士としてのやりがいでもありますね。

Q4.逆に大変なことは何でしょうか。
A4. 普通の人にとっては、法的トラブルにはなりにくいですので、弁護士を頼る依頼者の方の思いは深く、重いものです。この依頼者の悩んでいることをお引き受けするお仕事ですし、このような依頼を何10件も抱えるわけですので、苦痛だと思うとなかなか解決など見えてくるはずもありません。なので、私は、1つ1つの事件の契機を探すことに頭を使っています。なぜなら、それぞれの事件には必ず前身となる契機があり、これを見つけることが出来たら仕事が楽しくなるからです。

Q5.休日はどのようにお過ごしですか。
A5.平日は頭を常にオンにし仕事をしているので、休日の日はクラシックやジャズなどの音楽を聴くことで、なるべく頭をオフにするようにしている。

Q6.弁護士としてお仕事をする上での信条やポリシーなどございますか。
A6. 弁護士は、依頼者や、相手方などさまざまな方と付き合う職業ですので、自分の立場にとらわれることなく、相手方の立場を謙虚に理解するということが一番大事だと思います。この中で自分との違いはどのような点なのかを考えたり、一致点を模索したりするので、謙虚さがないと他の人から学ぶことが出来ません。逆に謙虚さがあれば、他の人から学ぶということを通して、成長し続けることが出来ると考えています。

Q7.御依頼者様に対して、特に気をつけていることは何ですか。
A7. その人の気持ちをまず受け止めるということです。その人の正しい思いをしっかり受け止め、一緒に事件について体験することで、依頼者の目的を達成し、また弁護士と依頼者がお互いに勉強しあって進め、相手の立場も理解して上で事件の解決することを目指しています。


Q8.先生が特に関心のある分野について教えてください。
A8. 現在、労働者のかなりの部分が非正規の人によって占められており、これまで正規だった人が、不安定な雇用関係の中に放り込まれています。なので、労働分野では、仕事が増えていくと思いますし、今後法律の面からこのような人々の権利を守っていくことがますます重要になると考えていす。


Q9.今後の弁護士業界の動向を先生は、どうお考えでしょうか。
A9.経済的には、従来より厳しくなると思いますが、同時にこれは国民全体が置かれている立場が反映されたものです。実際に以前と比べ、費用の点で、困っている人は多いと実感しています。このために法律扶助制度があるのですが、弁護士が厳しくなるのは国民全体が厳しくなることの反映だと思います。埋もれている権利侵害を掘り起こしていく中で、従来よりは高収入を保障されないまでも、弁護士としてのやりがいのある仕事ができるのではないでしょうか。
また、現在は、弁護士大増員時代と呼ばれていますが、地方はまだまだ多くはありません。地方にも法的インフラが広がっていけばいいと思います。


Q10. 先生自身の今後のビジョンを教えてください。
A10.日本の法律扶助制度はまだまだ遅れているので、このための力になりたいと考えています。日本の法律扶助対象者は下から2割層と呼ばれていますし、そのうえ付与ではなく貸付制度が採られています。このような遅れは先進国では日本だけです。さらなる、日本の法律扶助制度の充実に力を尽くしたいと考えています。例えば、法テラスの初回相談を無料にするというだけで、日本の司法アクセスは進むのではないでしょうか。


Q11.法曹を目指す学生に向けてメッセージをお願いします。
A11. これから法曹を目指す方には、自分の利益ために働くのではなく、困っている人や悩んでいる人のために働くという気持ちを持って働くようにしてほしいと思います。


Q12. ページを見ている方にメッセージをお願いします。
A12日本の法律需要は、多いにもかかわらず、多くの部分が埋もれていると言われます。自分の権利についてあきらめずに、ぜひ法テラスや弁護士などの専門家に相談してほしい。日本人には、泣き寝入りや、長いものに巻かれるというものもありますが、正義が実現される社会のためにも、ぜひ私たちに相談していただきたいと思います。


<取材記者からのコメント>
永盛先生は、日本の法的インフラの改善や弁護士会としての活動をとても精力的にされている先生で、とても貴重なお話を伺うことができました。法テラスは、現在は有名となっており、市民と法曹とをつなげる、重要な役割を果たしていますが、永盛先生は現在法テラス東京の所長を務められているとともに、その設立にも携わっている先生で、まさに法律扶助制度の歴史とともにある素晴らしい先生ように感じました。
さらなる法律扶助制度の充実のため、今後もご尽力していただきたいと切に思っております。
最後となりますが、非常にお忙しい中インタビューをお受けしてくださり、永盛先生ありがとうございました。


法政大学法学部2年 加藤裕太




bengoshiretsuden at 11:01│Comments(0)TrackBack(0)

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