2011年09月26日

<山内総合法律事務所 山内久光先生>

山内久光先生にインタビューをさせて頂きました。photo_yamauchi

Q1.なぜ、弁護士になろうと思われたのですか。
A1. 高校生の頃、企業に就職するのは自分には向いていないのではないか、もっと他の人と違うことがしたい、と考え司法試験を受けることを決意しました。大学で法学部に入った後は法学部の先輩や友人から刺激を受け、また、ポール・ニューマンの映画「評決」を見て法廷弁護士に憧れました。ロッキード事件で活躍する東京地検特捜部に憧れ検事にも興味を持ちました。しかし、司法試験に合格して修習生時代に弁護士になろうという気持ちが固まりました。検事や裁判官などの仕事に興味を持ったこともあったのですが、幅広い分野に興味を持っていたので民事事件も刑事事件も両方扱うことができ、自分の好奇心をより満たすことのできるのは弁護士ではないかと思い、弁護士を選びました。

Q2.弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A2. 依頼者から感謝をされたときです。依頼者の中には事件が解決した後も毎年季節の果物などを送ってくださる方もいますが、いつまでも忘れずにずっと感謝し続けてくださるお気持ちが非常に嬉しく、お返事は必ず手書きのお礼状を送らせていただいています。また、仕事をする上では、様々な物語に直面します。感動する物語にも出会います。人間社会には本当にいろいろな物語、ドラマがあるものです。裁判で逆転できたときや、依頼者の感動的なドラマを目の当たりにしたときは非常に感慨深いものがあります。

Q3. 弁護士になって一番大変だと感じることは何ですか。
A3. 責任をもつということが一番大変です。依頼者は自分の人生の中の大きな問題を弁護士に託すので、弁護士には依頼者の人生を背負うという重い責任が伴います。もしこの裁判に負けたら依頼者の人生はどうなるのだろう、と考えると気が重くなりますし、判決が出る瞬間は背筋が凍るような緊張を感じます。また、依頼者の思いや心を真正面から受け止めるというのも大変です。依頼者の中には抱えている問題のせいで人生を前に進められなくなっている方もいます。そういう依頼者の抱える問題は経済的な問題だけではなく人間の尊厳にかかわる問題だったりもします。そういう依頼者の思いや心に対して何かしらの答えを見つけ出し、依頼者の人生にひとつの区切りをつけてあげることも大事なことであると思います。

Q4.弁護士としてお仕事をする上で意識していることは、何ですか。
A4.事件を多角的に考察した上で、依頼者に最も適した答えを出してさしあげることを意識しています。そのためにも特定の分野ばかりに精通するのではなく、幅広い知識を身につけ、どんな依頼でもお受けできるように心がけています。また、悩んだら原理原則に立ち返って考えることも意識しています。それと同時に特定の分野にだけ通用する考え方に偏らず、様々な分野から事件をとらえる考え方はないだろうかと幅広く思考することを心がけています。そのためには鋭敏なアンテナをつねに張り、柔軟な思考をすることが大事だと思います。

Q5.弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A5. どの分野にも関心はありますが、最近は特に損害賠償に関する事件一般と刑事事件に関心があります。規制緩和が進んでいくと事後的な紛争解決として損害賠償が重要な問題となります。そういう意味で、今後、今まで以上に様々な場面で損害賠償が問題になると思います。損害賠償は、損害賠償請求権を基礎づける権利侵害に関する侵害論と生じてしまった損害をどのように算定するかという損害論に大きく分かれますが、人の命や精神的苦痛といった感情など本来お金では測れないものも、無理矢理お金に換算しなければなりません。慰謝料などはたいへん算定が難しいものだと思います。それ故非常に難しいですが、今後必要不可欠になる知識だと思っています。また、刑事事件は今まで多くの事件を担当してきました。特に昨年初めて体験した裁判員裁判では、裁判員に弁護士が直接訴えかけ、その判断に影響を与えることができるという意味でとてもやりがいを感じました。そのためにどのように自分の主張を表現すれば共感を得ることができるのかということを入念に研究したいと思います。法廷弁護士を目指すきっかけのひとつでもあったポール・ニューマンの「評決」という映画を見て憧れた、弁護士が陪審員(日本では裁判員)に熱く語りかける、ということが日本の法廷でもできるようになったと思うと胸が熱くなります。

Q6.今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A6. 弁護士にとって非常に厳しい時代がやってくると思います。事件の個別性を重視しそれぞれの事件ごとに慎重かつ丁寧に事件に取りかかることが大事だという考え方ばかりでなく、業務を定型化して事件を解決するというサービスを安い価格で提供する考え方もさらに発展していくでしょう。私は弁護士業務はやはりオーダーメイドだと思っています。今後人数が増えた弁護士の中で依頼者に私を選んでいただくためには、個性を大事にして他の弁護士との差異を示すこと、専門性を求める一方で広い視野を身につけること、そして法的センスやバランスを備えた人間力をより身につけることが必要になってくると思います。

Q7.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A7. 弁護士は「人を助けている」ということが実感しやすく、非常にやりがいのある仕事です。さらに、弁護士業務はどんな知識や経験とも関連づけることができます。例えば医療事件では医学、家事事件では心理学、知財事件であれば最先端の科学技術など、事件ごとに必要な分野の知識を勉強することになるので、飽きることがありません。今、私は、工学鑑定が問題になっている交通事故事件で、物理学や数学を勉強しながら事件に向き合っています。弁護士は自由で、自分の好奇心を満たしてくれる仕事です。法曹界、特に弁護士を目指している方は、是非幅広い知識とやわらかい頭を身につけ、良い弁護士になってください。

<取材学生からのコメント>
山内先生はひとつひとつの質問に具体例などを挙げながら、非常に丁寧にお答えくださりました。弁護士の背負う責任や、物事を多角的に見る力については特に真剣にお話してくださり、様々な分野の案件を取り扱っておられる先生ならではのお話をお聞きすることができたと思います。先生が素敵なお話をたくさんしてくださったので、内容が盛りだくさんの身のあるインタビューになりました。山内先生、お忙しい中インタビューをお受けくださり誠にありがとうございました。

武蔵大学社会学部2年 柳田香帆



bengoshiretsuden at 11:01│Comments(0)TrackBack(0)

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