2011年10月07日

<国広総合法律事務所 中村克己先生>

中村克己先生にインタビューさせていただきました。photo_nakamura

Q1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えて下さい。
A1.大学中は特に弁護士を目指してはおらず、できるだけ早く社会に出てビジネスに関わりたいと思っていました。そして航空会社に就職した後、当時の大蔵省に派遣されることになったのですが、派遣先の所管業務はいわゆるODA事業で、我が国の金融や財政の専門家の方々とともに、金融財政政策を担う発展途上国の人材を支援するといった業務を担当しました。こうした経験を通じて、専門的な知識や経験によって社会や組織に貢献できることの素晴らしさを実感したことが、法律の専門職である弁護士を志すきっかけとなりました。また、発展途上国の人々が目をキラキラと輝かせながら、我が国の財政金融制度等を学んでいたのを目の当たりにして、社会人になった自分としても、再び勉学する環境に身をおいてみたいと思ったことも弁護士を目指した理由の一つです。


Q2.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えて下さい。
A2.あるメーカーの依頼者に対して、長年にわたり執拗かつ悪質なクレームを上げていた消費者がいました。この依頼者から、本件について相談をいただいたのですが、担当の方々と一緒に対応チームを立ち上げ、依頼者の経営陣にもきちんと理解いただいた上で、会社全体として毅然とした対応を取ることで、この消費者からの不当クレームを完全にシャットアウトすることができました。本件では、長年対応窓口として苦労されていた担当の方に非常に喜んでいただけたことが印象に残っています。

Q3.会社務めの経験が生かせると思ったことはありますか。また、法務部と弁護士事務所の違いを教えてください。
A3.会社では法務部も経験しており、その際には依頼者の立場でしたので、依頼者が本当は何を望んでいるのかという点を推し測ることに生かせていると思います。また、ビジネスのやり方、社内の意思決定に対するイメージや現場感をもって仕事ができていることも会社務めをしていて良かった点だと思っています。
法務部と弁護士事務所の違いということですが、業法など依頼者の事業や業界に直結する法的知識については、法務部の方が大きなアドバンテージを持っています。しかし、訴訟という局面では、弁護士の専門性や経験が非常に重要になりますので、訴訟を含めたリーガルリスクを見据えた法的判断という部分では、第三者的な立場から専門性と経験に裏打ちされたアドバイスが出来る弁護士事務所に優位性があるといった違いがあるように思います。
 
Q4.弁護士のお仕事の中で嬉しかったことは何ですか。
A4.依頼者が個人であれ会社であれ、弁護士という法律の専門家であるからこそ、依頼者が本当に困っているときや悩んでいるときにご相談いただけること、そうした件について依頼者と一緒になって問題解決を目指すことができること、そして、問題解決に至った際に共に喜びを分かち合えることが弁護士冥利に尽きることだと思っています。

Q5.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えて下さい。
A5.弁護士業はスピード感が求められる仕事ですので、クイックレスポンスを心がけています。依頼者には、大まかな見込みであっても早めに明示した上で対応することを心がけています。もうひとつは問題となっている紛争の裏にある様々な利害関係に配慮した上で解決案を提示する、すなわち、真の問題解決を図るためには、目の前の一つの紛争にただ勝てば良いというわけではないという点に気をつけるようにしています。

Q6.ご依頼者様に対して、特に気をつけていることは何ですか。
A6.先に挙げたクイックレスポンスが一点。あとは「傾聴」です。依頼者が真に求めていることを把握するためには、まず十分に話を聞くことが重要です。依頼者からきちんと話をお聞きした上で、こちらから質問すべきことを質問するという対応によって、依頼者の気持ちが整理され、本当に解決すべき問題を浮き彫りにすることができると思っています。

Q7.弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A7.大企業では、問題となる法分野ごとに弁護士事務所を複数使い分けるなど、リーガルリスク管理体制の整備が進んでいるように思いますが、中小企業では必ずしもそこまでの対応が可能というわけではありません。そうした中小企業における多様なリーガルニーズにワンストップで応じられるようなリーガルサービスを提供することによって、まだまだ十分とは言えない中小企業のリーガルリスク管理体制の改善に貢献できればと考えています。

Q8.今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A8.基本的に厳しいと思います。今までのように弁護士資格を取ればそれだけで食べていけるといった時代ではなく、それぞれの弁護士がコアとなる専門性を持って仕事をする必要性があると感じています。また、弁護士以外の職業分野で弁護士が活躍することも生き残る一つの道として考えられると思います。

Q9.先生の今後のビジョンを教えて下さい。
A9.先にも挙げました中小企業に対するリーガルサービスに力を入れていきたいと考えています。他方、特定分野の専門性を深める必要があるからといって、自分の業務領域を過度に限定する必要はありませんので、企業法務以外取り扱わないというスタンスではなく、家事事件・相続事件といった一般民事事件も積極的に取り扱っていきたいと思っています。自分のキャリア・ビジョンとしては、特定分野における深い専門性とあわせて、ある程度幅広い業務を取り扱えるような「T字型」のキャリア形成を図っていければと考えています。 

Q10.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A10.法律家になるということは、法律という専門分野において自分自身の基盤となる知識やスキルを有するプロフェッショナルになる、ということです。そうした実力勝負のプロフェッショナルの世界で自身のキャリアをスタートできるということは大きな魅力だと思っています。法律家になるまでの道のりは長いと思いますが、法曹界を目指す皆さんには、是非頑張ってほしいと思います。
私自身は弁護士業務にやり甲斐を感じていますし、様々な事件や人との出会いの中で得られる喜びも大きい仕事だと思っていますが、弁護士という職業がやり甲斐を見いだせるものかどうかは、皆さんが実際に弁護士になってから、自分自身で答を出して欲しいと思います。

<取材学生からのコメント>
中村先生は会社務め、公務員勤務などを経た経験豊かな弁護士の先生です。そのような先生の言葉には説得力があり、自身のキャリア形成に大きく影響された部分がありました。中村先生、ありがとうございます。大変拙い文章で恐縮ですが、最後に中村先生の今後の更なるご活躍をお祈りし、取材学生からのコメントの結びに代えさせていただきます。

慶應義塾大学法学部3年 井上絢貴



bengoshiretsuden at 11:00│Comments(0)TrackBack(0)

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