2011年10月13日

<ユアサハラ法律特許事務所 嶋田英樹先生>

photo_shimadaQ1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。 
A1.大学卒業後は郵政省に勤務していまして、3年目に国際会議での議論を見たら、日本は光ファイバーを全国津々浦々に引くという話しをしているときに、欧州ではその先の話、例えば、公衆が利用可能なデータベースの議論をしていたのですね。なんだ次元が違うなと思って、データベースやネットに乗っかるもの、著作物の方に興味が湧きまして、弁護士になろうと決意しました。



Q2.学生時代はどのように過ごされましたか、またゼミ活動はどのようなことをなさいましたか。
A2.最初は行政官になるつもりでしたので、司法試験は記念受検した程度ですね。ゼミは憲法の高橋和之教授と、民法の能見善久教授で、前者では教師の性的自己決定権の話、後者では.転用物訴権の話でレポートした記憶がありますね。今考えると冷や汗ものですが。

Q3.司法修習時代の経験や思い出について教えてください。
A3.東京地裁の民事部26部での修習で、当時の部長からそれこそ手取り足取り教えていただいたことですね。法曹としてのバックボーンです。刑事では、弁護修習中に特捜部にかかった案件で、犯罪への関与が薄いので不起訴にして身柄を解放するよう求める書面を書いたら、実際に不起訴になりましたという案件ですね。もちろん、そんな書面なくとも不起訴になっていたと思うのですが、特捜部というのは独特の緊張感がありましたね。

Q4.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A4.弁護士のまま金融庁証券取引等監視委員会に行った際に行政処分の勧告を行ったいくつかの件ですかね。件名は言えませんが、システムに焦点を当てた物や、会社の認可の取消しにつながったものもあります。後者については、伝家の宝刀と言われる条文を使ったのですが、もうその条文を使いたいといった瞬間に議論が起きまして。認可の取り消しをすれば、会社は基本的に潰れます。職を失う従業員の今後とか考えて、それでも公益上、潰すという結論でよいのか、怖くなかったと言えば嘘になりますね。でもまあ、可能な限り詰めて、関係者に根回しをしました。

Q5.弁護士になって一番大変だと感じることは何でしょうか。
A5.他の職業と比較して弁護士ならでは、という意味なら感じたことはないです。あえて言うとしたら、責任感が鈍感になったり、摩耗してしまったらやっていけない仕事だとは思います。

Q6.休日はどのようにお過ごしでしょうか。
A6.夫婦でドライブにでかけることが多いですね。ワインディングを走ったり、海岸沿いを走ったり、基本は高速道路が多いかな。まあ、渋滞にはまると、全体で時間を人間の命に換算して何人分奪っているのだとか考えて不機嫌になってしまうのですけどね。

Q7.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A7.弁護士業務に限らず、至誠奉公という言葉を大事にしています(勝海舟の発言だそうですよ)。

Q8.先生にとって、弁護士に最も求められると思う力は何でしょうか。
A8.説得力ですね。同じ意見を伝えても、聞き入れられる場合とそうでない場合、聞き入れられる人とそうでない人とがいます。最後の違いは説得力と思います。経験、人格、知見全部が試されていると思います。なんだかんだいって、リスクを負っているのは事件の当事者です。その当事者から「分かった。納得できる」、と思われるか、「人ごとだと思って・・・」と思われるかの違いも、そのあたりかなと。

Q9.弁護士として特に関心のある分野は何でしょうか。
A9.正直好奇心で動いている人間なので・・・自動車関連産業、アニメ産業、金融(証券業)、素材産業、農業といったところでしょうか。分野ではありませんが、品質管理は弁護士になる以前から関心はありますね。要は今やっている仕事です。特に現場に行くのが好きでして、これはと思ったら出かけて関係者の方にお話を伺ったりすることもあります。他方で、国絡みの話題であれば、財政ですね。税収が上がらないなか、社会保障費の純増が年2兆円なんて正気の沙汰ではありません。削れないまでも、増加を止めないと、増税しても切りがないです。親の世代が孫の世代を食いつぶしているようなものです。人口減少に応じた構造に変えないと保たないでしょうね。

Q10.先生の今後のビジョンを教えてください。
A10.ドラッカー風に言えば、新しい顧客(市場)の創出ですかね。傍らから見ると、好き勝手にやっているだけに見えるかもしれませんけれど、これまで存在しなかったサービスを作り出すことができれば嬉しいですね。

Q11.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてのメッセージをお願いします。
A11.何で法曹になりたいのか、常に最初の想いに立ち返ることをお勧めします。また、法曹は主役・裏方でいえば、基本は裏方です。自分自身が主役として舞台に立ちたいなら、別の職業を選んだ方が、その人も周りの人も幸せでしょうね。

Q12.その他に特記したい事項やページを見ている方にお伝えしたいことはございましたら、お願い致します。
A12.最近、顧問料の価格競争が始まっているような気がしますが、行き着く先は誰も残らない、ということにならないとよいのですけどね(価格下げて、顧問先増やしてもサービスは何も提供しない、というのは論外ですから除きますよ。)。まあ、弁護士の数を増やしたら、そういう方向に行ったというのは、需要と供給の話しのとおりなのですね。本来、敷居を下げることと、価格を下げることとは同義ではないのですが、現実には同義になってしまっているということは、実は殆どの人が代替可能なサービスしか提供できていないので、価格競争に走らざるを得なかったということです。全く新しいサービスや、高級品・高額品の存在意義といいましょうか、そのあたりを考えて実現することのできる人が法曹界に来ないと、法曹界全体としての市場規模が膨らみませんので、弁護士を増やした分低価格競争の「スパイラル」から抜けられなくなります。だいたい、高くても、それだけの理由・実質があるから利用される。それだけの高い価値を生み出し続けるために切磋琢磨する。そういう競争でないとつまらないでしょう。また、情報格差を無くせば自然に解決するという学者さんも居られましたが、1人前になる期間と費用を無視しているので所詮机上の空論です。

【おおざっぱな試算:弁護士一人あたりの売上が平均3000万円と仮定して、弁護士数を3万人で計算すると、総売上は9000億円ですね。毎年弁護士が3000人増やすなら(自然に500人くらい減りますので)純増2500人ですから、10年で5万人を超えますね。これまでも市場は大して大きくなっていないですし、経済成長率と同程度しか成長しないなら、一人あたりの売上は、10年後に計算上1800万円程度に下がります。高速道路や空港の利用客数の見込みが甘いと批判する人も多いですが、それでも法曹を増加させようとした際の需要予測よりは詰めてあるのではないですかね。現状のままいけば、新しく法曹になる人の年収が低下し、ひいては採用自体されない、即独立、といった状態が続いてしまい、法曹としての技術や心構えが承継されていきません。それこそ由々しき事態です。】



<取材学生からのコメント>
今まで何人かの弁護士の先生方とお話をさせていただきましたが、嶋田先生は独特の考え方をしていて、こんな風に法曹界・弁護士業を見ることができるのか思い、とても印象に残っています。これから法曹を目指す身として、将来を考える上で私自身、とても勉強になりました!
最後になりましたが、お忙しい中インタビューをお受けくださった嶋田先生、ありがとうございました。

上智大学法学部1年 千葉大成

 


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